今日は連邦最高裁(SCOTUS)の主判事John Robertsの誕生日なんで敬意を表して(Inbound Fから脱線して)最高裁の話し!って勢いよく書き始めたのが1月27日だったんだけど、書き終わらなくてポスティングの今日には既に誕生日過ぎちゃいました。1月27日はモーツァルトの誕生日でもあるよね!フィガロの結婚聴いてフルーツタルトで時を超えて誕生日を祝いました。Robertsは1955年生まれだけど口頭弁論聞くと相変わらず頭脳明晰で議事進行も迫力満点で凄いね。トランプは1946年だから更に先輩だけど、彼らどんな遺伝子持って生まれたんだろうね。う~ん、Robertsは連邦憲法良く知ってるよね(SCOTUSの主判事だらか当たり前だね)。
で、この一か月ほど「最高裁はいつトランプ関税に関する判決を公表するの?」とか「私も還付もらえる?」系の質問が後を絶たなかった。メディアではなぜか1月9日とか、1月14日に判決が出る、とか根拠もない怪情報が出回ったりしてたんで余計に混乱するよね。
「LEARNING RESOURCES, INC. v TRUMP」
この関税のケース、正確には「LEARNING RESOURCES, INC., ET AL., Petitioners, v. DONALD J. TRUMP, PRESIDENT OF THE UNITED STATES, ET AL., Respondents. 」と「DONALD J. TRUMP, PRESIDENT OF THE UNITED STATES, ET AL., Petitioners, v. V.O.S. SELECTIONS, INC., ET AL.,
Respondents」の2つのケース(No. 24-1287とNo. 25-250)を共同訴訟化(Consolidated)したものだけど一般には簡単に「LEARNING RESOURCES, INC. v TRUMP」って呼ばれる。昨年11月5日の口頭弁論もRobertsが今日の弁論は「Learning Resources v. Trump, and the consolidated case」に関してっていうオープニングで始まってた。「Et al」っていうのは「その他」っていうことで他にも当事者が居る際に用いられる。「LEARNING RESOURCES, INC.」は、もともとDC Circuit控訴院の判決を不服として連邦政府側がSCOTUSに上告しているもので、もう一つの「V.O.S. SELECTIONS, INC」はFederal Circuit控訴院の判決に上告しているもの。双方ともに一審、控訴審共に原告が勝利している。法的な争点は双方同じ(後述のSubject-Matter Jurisdictionの件を除く)。
登場人物
2つのケースがConsolidateされてたり、被告数が多いんで当事者が多くて登場人物がチョッとConfusingだけど、最初のケースの原告で上告を受けて立ってるのは「Learning Resources, Inc.」と「hand2mind, Inc.」。この2社、教材等のサプライヤーで関税で仕入コストが大きく上がり取り返しのつかない経済的な被害を受けたということ。Common Lawの裁判は被害を受けたものが金銭的な存在賠償を求めて起こすのが原則だから、被害を受けない(Standingがない)と訴訟を持ち込むことはできない。もう一方の「V.O.S. SELECTIONS, INC」ケースの方の原告は「V.O.S. Selections, Inc.」「Plastic Services and Products, LLC (商号 Genova Pipe)」、「MicroKits, LLC」、「FishUSA Inc.」、そして「Terry Precision Cycling LLC」の5社。V.O.S.はニューヨークのワイン輸入者。さらにややこしいことに上告を受けて立つ者、すなわち裁判の対象となっている関税は不法と主張する側、にはオレゴン、アリゾナ、コロラド、コネチカット、デラウェア、イリノイ、メイン、ミネソタ、ネバダ、ニューメキシコ、ニューヨーク、バモントの12州が含まれてる。
元々の被告で上告しているのは主権としての「the United States of America」、トランプ大統領、Department of Homeland Security (DHS)、 Kristi Noem (DHS長官)、Customs and Border Protection (CBP)、Rodney S. Scott (CBP長官)、USTR、Jamieson Greer通商代表、Howard W. Lutnick (商務長官)、加えて訴訟の被告には 財務省、Scott Bessent (財務長官)、商務省も含まれていた。
訴訟の争点
最初の争点は「The International Emergency Economic Powers Act (IEEPA)で国家緊急時に大統領に付与されている権限に関税を課すという行為が含まれているか」っていう点。これは議会が立法したIEEPAっていう法律に含まれる条文解釈(Statute Interpretation)の問題と言え、僕たちが日常、Internal Revenue Codeの条文が意図している意味が何かって格闘しているの同じ検討になる。ちなみにIEEPAは「アイーパ」っていいます。次に仮にIEEPA による大統領への権限付与に関税を課す権利が含まれている場合、法律のその部分は「立法行為を行政府に権限移譲することを禁じている連邦憲法に違反しているか」という点。憲法解釈の争点で主に「Non-delegation条項」(これはその名の通り)やCommon Lawの「Major Questions原則」(Majorな立法Questionは名言がない限り権限移譲されないっていう趣旨の憲法論)の視点での検討になる。最後の争点は法的管轄権にかかわるテクニカルなもので「Learning Resources, Inc.」の一審だった地方裁に法的管轄権(Subject-Matter Jurisdiction)があったかどうか、すなわちそもそも審議をする権限を持っていたかっていう点。この最後の点はこの手の連邦政府を相手取っての訴訟はCourt of International Tradeに持ち込まないとダメで通常の地方裁には管轄権がないという連邦政府側の議論で、一般にはそれは正しいって理解されているけど争点になっているのはIEEPAでそもそも関税を課す権利がないという話しになると地方裁にも管轄があるのではないかっていようなポイント。この点は口頭弁論ではハイライトされてなかった印象があるんでこれ以上は触れない。
訴訟の「争点ではない」ポイント
最高裁は司法府だから、関税を課すという政策が賢明なものか、とか効果があるかというような点には口を出さない。これらは憲法で認められる範囲で立法府の議会や行政府・大統領が決定すること。最高裁に判断が求められているのはあくまでも純粋に法的なもので、最高裁の審議は関税という政策を支持する、またはしないという視点ではない。これは他の最高裁のメジャーな判例も同じで例えば、死刑、拳銃等の武器保持権、Abortionとかメディア報道はとかく「最高裁が死刑容認…」とか「Abortion禁止…」みたいにフレームされることが多いけど、そうではなくこれらの権利が憲法的にどのように解釈され、是非があるのであれば誰が(Abortionに関しては主権を持つ市民が州の選挙・立法を通じて決めるべき)という判断をしていることになる。
また最高裁で審議の対象となってるのはIEEPAに基づく大統領権限だけで、他の法律に基づく関税、例えば232とか301とかに基づく関税には一切影響はない。仮に別の訴訟でも起これば別だけど、232や301はIEEPAと異なり関税を課す権利を大統領に明確に付与しており、また一定の限定的な範囲での権利と考えられることから今回、IEEPAに関して審議されている争点は余りないと言える。
口頭弁論
去年の11月5日10時04分に始まった口頭弁論はスケジュールされた1時間20分(原告・被告各々40分)をもちろん大幅に超過して3時間近くを要した。9人の判事による多くの質問が双方に寄せられた。長いやり取りを詳細に説明するのは紙面の関係で不可能だけど、口頭弁論聞き終わった個人的なImpressionは次のような感じ。
最初の争点であるIEEPAの大統領に対する権限付与に関税が含まれるかっていう点は条文の文言の「regulate… importation」のRegulateに関税を課すという行為が含まれれるかっていう点。連邦政府の弁護士(司法省のSolicitor GeneralであるJOHN SAUERが代表)は簡単に言ってしまえば輸入に対する「Regulate」の主たるツールは関税なのだから、この権利は含まれてないという解釈は不合理と言うもの。これに対して原告側の主張は関税を課す権利を与えている他の法律は明確に関税に触れており、関税に言及がないIEEPAでは関税を課す権利は付与されていないと解釈すべきというもの。IEEPAで認められる輸入の「Regulate」はQuota、Embargo、輸入Licenseなどという主張。IEEPAではこれらの権利を付与していると同時に最後に「or otherwise 」と記載されてて、条文解釈的にこのOtherwiseが意味する権限の範囲も議論されていた。またIEEPAを理由に関税を課した例はないという点も指摘していた。それに対して連邦政府はIEEPAの前身である1917年の「Trading with the Enemy Act (TWEA)」(法名がなまなましいね。Running with the Devilみたい)はIEEPA同様に「Regulate」っていう用語を使用してたけど、TWEAに基づき1971年にニクソン大統領が平時に課した関税をCCPA(Federal Circuitの前身みたいな裁判所)が権限の範囲内とした例を持ち出して防御していた。ちなみにこのニクソンのケースの原告は「Yoshida International Inc.」っていうジッパーを日本から輸入していた日本企業だ。1975年のケース。1971年と言えば前回触れたBretton Woodsが崩壊した頃で、この関税も米国のMonetaryシステムを外国の侵略から守るみたいな理由付けだったらしい。なんかいつも変わんないね。
原告のCollateral議論、すなわち仮にIEEPAで関税を課す権利が大統領に付与されているという条文解釈判断になる場合、その付与自体が憲法のNon-delegation条項違反というもの。Non-delegationはMajor Question原則とほぼ並行して議論されてたんでこの二つは正確に区分し難かったけど、連邦政府の言い分はNon-delegationは外交政策分野には適用はないというもの。一方、原告側は関税は課税権(Taxing Rights)であり、行政府に権限移譲は認められない立法府の権限の最たるものというもの。IEEPAに基づく関税が課税かどうかっていう点のやり取りは結構面白くて、連邦政府は「IEEPAを基に課している関税の目的は他国の通商や薬物にかかわる行動を制御」するもので「歳入はあくまで付随効果…」という苦しい抗弁。トランプは日ごろから関税でTrillion Dollarの歳入があるって豪語しているし、実際に関税で財政赤字(Deficit)は減っている。
判事の反応
リベラル派のSotomayer、Kagan、Jacksonは原告指示だろう。おそらくNon-delegationの複雑な連邦憲法違反という理由よりも条文解釈的にIEEPAのRegulateには関税は含まれてないっていうOpinionを書くんじゃないだろうか。他の憲法厳格主義派の6人だけど仮にThomasとAlitoが連邦政府の主張を支持とすると、他の4人のOpinionがどうなるかで決まる。この6人はLoper Bright(Chevron原則撤廃)やWest Virginia v. EPA(Major Questions原則を強固に)等でも表れている通り通常から行政府が大きくなるのを嫌う。口頭弁論でも連邦政府側のポジションに余り同調を示している様子はうかがえず残り4人のうち3人がIEEPAに基づく関税を支持するとはチョッと考え難かった。ただ最終的には判決を読むまで分かんないからね。
救済法・Remedy
仮にIEEPAに基づく関税が認められない場合、次に原告にどんな救済が認められるかっていう点が見もの。ちなみに今回、最高裁で審議されてるこのケースはClass Actionじゃないから訴訟という手続きの性格から原則、原告2+5社(口頭弁論では原告は5社って言及されてた)に対する損害賠償の話し。最高裁が何らかの救済を認める場合、自動的に他の輸入者に同様の救済があるということでは必ずしもない。既に地方裁やCITにIEEPAに基づく関税が不法と言う訴訟を持ち込んでいる他の原告は、地方裁等は最高裁の判決に準じた判決を出す義務があるので最高裁で不法という判決となる場合には他のLower Courtsの訴訟に関してもSummary Judgment的に原告が勝利し、同様の救済があることになるだと思う。ただし、口頭弁論でも少し触れられてたけど原告以外の輸入者に関しては全く異なる法源に基づく込み入った手続きになり実務的に還付作業は困難ではないかって議論されていた。
主判事のRobertsは憲法厳格主義であると同時にPragmaticなところがあり、オバマケアを違憲とすると医療保険市場が大混乱すると予想されたので5対4のCasting Vote的にオバマケアは「Taxing Rights」だから議会による立法は憲法違反ではないという詭弁(?)でオバマケアを違憲判決から救った実績がある。今回も同様にIEEPAに基づく関税は不法というSubstantiveな判断に至った上で、救済策としては何らかの実務的に対応可能な方法を提示するんじゃないだろうか。もちろんそうなるかどうかは分かんないし、どんな対応策があり得るか検討もつかないけど、例えば議会の立法に委ねる、または不法という位置づけを判決後のProspectiveな適用にするっていう可能性もあるかもね。
判決はいつ?
最高裁の手続きとして、口頭弁論が終わるとケースは「Submit」済みStatusとなり、その後、いつSCOTUSが判決を言い渡すかは2025~26年の会期が終了するのが6月だからそれまでには言い渡されるはずっていう点を除いて誰にも分からない。明日かもしれないし5月かもしれない。ただひとつ言えるのは9人の判事でどんな風にMajority Opinionを構築するかっていうすり合わせに時間を要しているに違いないっていう点。このプロセスは結論そのもの(Holding)に合意する以上にデリケートで、Holdingには同調しても理由や何をDictaとして挿入するかに関して意見が割れることは多く、Robertsとしては少なくとも6人の判事がMajority Opinionに参加できるようなドラフティングを模索しているかも。税金関係の最高裁判決で話題だったMooreはMajority Opinionを読むとOpinionを構成する判事形成のためのバランシングアクトが素晴らしい。今回は特に救済策をどんなものにするかに頭を悩ませてる可能性はあるよね。
Sunday, February 1, 2026
Saturday, January 24, 2026
米国RedomicileとFIRPTA
前回のポスティングは年末年始スペシャルだったんで専門外のGeopoliticsや米ドルの運命で調子でなかったけど、今日からまた米国税務。って思ったらトランプがダボスに行くって知ってチョッとビックリ。しかもダボス行きのAir Force Oneの電気系統がおかしくなって(オフィシャルには「Minor Electrical Issue」)離陸後に引き返すっていうハプニングも。僕らが普段から利用してるコマーシャルエアーだったら整備その他でキャンセル・遅延は珍しくないけどAir Force Oneの整備は鉄壁なはずだからこの話し額面通りに受け取っていいのかどうかチョッと怪しいよね。しかも離陸した後のUターンだからね。
トランプがダボスに行くのは既に半死のグローバリズムに総本山でとどめの一撃を加えに行くつもりだっただろうから(実際にそうなったけど…)、最高度の要人セキュリティで臨んでるんだろうけど去年2度の暗殺未遂に見るように常に危ない状況。そんな状況でのAir Force One引き返し事件は怪し過ぎ。石橋を叩いて渡る的な対応だった可能性もあるけどどこか釈然としない。もしかして最初の747型Air Force Oneはオトリで本当のトランプは最初から代替で急遽登用されバックアップAir Force Oneの一機に当たるC-32(空軍特別仕様のボーイング757)に居たとかね。考え過ぎじゃんって?かもね。まあ、一般市民の僕には知る術もない。ちなみにこの手の話しに詳しい人によると正確にはAir Force Oneっていうのは特定の機体の名称じゃなくて、大統領が搭乗しているAir Force機体のコールサインで、必ずしもいつもの747に限定されて使用される訳じゃないそうだ。C-32も国内移動で小さな空港に着陸する際に日頃から使用されることはあるとのこと。
う~ん、何があったんでしょうか。あくまで架空の世界で何らかの理由で大統領が交代するような事態になったらヤングMAGAの副大統領JDバンスがステップインするんで方向的に余り変わりはないっていうのは良く語られるところで、米国ではJDバンスはトランプの生命保険って言う人もいるほどだ。
で、ダボスでのトランプのスピーチは大方の予想よりソフトタッチだった感がある以外に大きな驚きはなかったけど(グリーンランドに関しては例によってTACOぶりが否めなかったけどこれも想定通りなのかな?)、欧州委員会首脳のアルセラの公演は面白いというかチョッと不思議だった。トランプにボロクソ言われたんで何らの形で米国の過去に触れなければって思ったのか、文脈的にチョッと唐突な感じでアルセラ曰く「1971年のニクソンショックでBretton Woods体制が終わり、その地殻変動によりグローバリズムが実現した」とし「そして今、また(今度はグローバリズムが終わる)次の時代の変革に際し過去の教訓から学び欧州は強くなくてはいけない…。独自の通貨も云々」とか。
あんまり深く聞いてなかったけどFiat Currency化して久しい米政府の無責任なMonetary政策や米ドル運営に釘を刺してたってことなのかな。Euroclearにあるロシア中央銀行の米ドル資産没収をちらつかせて米ドル基軸通貨Statusにみんなで引導を渡しておいて面白いね(SWIFTもEuroclearもせっかくDCとかNYCじゃなくてベルギーに設立したのにね)。ニクソンショックでBretton Woodsが終わった点はそうだし、また今日のような地殻変動時に各国が(Survivalモードの?)戦略策定待ったナシっていうのもそうだろうけど、今日直面しているグローバルリオーダーとニクソンショックをパラレルに描写している点、またニクソンショックでグローバリズムに至ったっていう演説内容は誰がスクリプトしたにしてもDeepな考察に基づくんだろう。そう解されてるんだね。ニクソンショックで米ドルが正式に金本位性じゃなくなって、既にFiat化してた欧州通貨等の他国通貨に仲間入りし、その後はFiat通貨の歴史の必然とでもいうべき身の丈に合わない量の紙幣を刷り続け今日の米ドルに至るけど、それがグローバリズム導入の助けっていう因果関係部分が個人的にはピンと来なかったんでもう少し勉強します。国家間や市民と国家の間の信用や信頼が揺らぐ中、何の資産にもバックアップされないFiatは各国がLegal Tender(この紙切れを使って税金を納めることができる)って約束しているんでその価値が認められる。米ドル紙幣には一枚一枚丁寧に「This note is legal tender for all debts, public and private」って印字してあるよね。そこが人生ゲーム(古い?)の100,000ドル紙幣とは違うところ。昔、僕たちの世代の人生ゲームだと白い100,000ドル紙幣が溜まるとうれしかった。薄いピンク色(だっけ?もしかして薄い黄色?)の1,000ドルは結婚祝いとかの時は便利だったけどね。
こんなFiat通貨の米ドルを基軸にSWIFT、Euroclear、西の金融機関が支配する現状のMonetaryシステムはGeopoliticsや通商と密接な関係にあるんで切り離して考えることはできないけど、このシステムもここに来て変革間近なのかもね。米国的には独立250周年近辺に何か大きな発表や動きがあるのかな。それが金の再起用(とは言ってもPhysicalな金の量は足りないよね)なのかGENIUS Actに基づくStable Coinの活用なのか分かんないけど2026年のVolatilityは激しそう。NYCのJFK空港にあるCOMEXでは前代未聞のGoldの現物デリバリーがあるって専門の方が言ってた。誰がStand for delieveryかは分からないけど財務省のExchange Stabilization Fund (ESF) だとしてもおかしくないってことらしい。
Volatilityが高くなるとAlpha Returnを求める資産家やヘッジファンドの暗躍・活躍の時代がまたしても到来。そんな時代の財務長官が「あの」Scott Bessentっていうのも全てシナリオ通りなんでしょうか。イロンマスクがダボスで「(テクノロジー的に)人類は今までかつてない時代に生きてる」ってポジティブなトーンだったけど、あらゆる意味でかつてない時代に生きてるのかな。ローマ帝国の崩壊時の世界ってどんなだっただろうね。当時はグローバリズムとかもちろん存在しなかったから例えばヤマト政権はローマ帝国が崩壊しつつあること自体知らなかっただろうけど、今日の変動は瞬時にグローバル動向に影響を与えるんで世界的なインパクトはもちろん比較にならない。これってグローバリズムの弊害のひとつ?かもね。とは言っても鎖国にはもどれないよね。余談だけど、イロンマスクをダボスでホストしてたブラックロックのラリーフィンクが「テクノロジーで不老不死になれるか」って熱心に聞いてて「右腕と左腕が同じように老化する点に注目すれば人間のどこかに老化をトリガーする指令があるだろうからその辺を把握すれば可能性あり」(記憶に基づく相当な意訳です)ってマスクが言ってた。フィンクは「それはうれしい」って無邪気に喜んでて面白かった。フィンクや秦の始皇帝は同じように考えるんだね。いつの時代も変わんないね。マスクは「死にもメリットはある」とか返してた。そんなやり取りは、ふと宮崎監督のスタジオジブリ映画のセリフ数々の重みを再認識させてくれた。日本はDeepだ。
そして税法
税務以外の専門外の話しは前回で終わったんじゃないのって思った?反省してここで本当に終わりにします(次に何か起こるまでは)。凄い時代に生きてるってことなんでつい…。で、税法の世界も昨年後半触れた通りOB3関係やDe-Regulation・規制緩和系でトピックは多い。そんな中まずはDe-Regulation系から攻めることにして、前回、前々回で自社株買い1%懲罰課税のFunding規則撤廃とDC REITの定義緩和措置をカバーした。今日はInbound FとFIRPTAについて。
Notice 2025-45
チョッと前になるけど、財務省は2025年8月19日にNoticeで、米国外法人が米国法人に生まれ変わるDomestication・Redomicile取引をFIRPTA面から援護する規則を公表した。Redomicile実行ストラクチャリングはひとつじゃないけど、Noticeでは米国外の上場企業がF型インバウンド資産移管組織再編(Inbound F)を利用する際のFIRPTA適用緩和を規定している。今後、当Noticeの内容にて規則草案を公表するとのこと。具体的には一定要件を満たすInbound Fを「対象Inbound F」とし、Inbound Fのステップに内包されるUSRPI(米国法人株式を含む米国不動産持分)移管に対するFIRPTA課税適用を緩和している。当規則はNotice公表日の2025年8月19日以降の分配、資産移管、資産交換に適用可能。
分配や非課税取引とFIRPTA
FIRPTA課税のベーシックに関しては2023年の「FIRPTAアップデート」で結構詳しく触れてるんでそちらを見て欲しい。FIRPTA課税はいろんな取引に適用があり得るけど、今回のNoticeが触れているInbound Fに関係が深いのは外国法人による分配資産に米国法人株式等のUSRPIが含まれるケース、また組織再編を含む非課税資産移管に対するFIRPTA課税になる。この辺りの取り扱いは条文だけでなく、暫定規則(Temporary Regulations)や過去のNoticeに基づくんで元々かなり複雑。規則は暫定なんだ…って不思議に思うかもしれないけど、結構な数の財務省規則が暫定Statusのまま生き残っている。
暫定のまま規則が長期にわたり放置される傾向があったんで、1988年11月21日以降に公表された暫定規則は3年後に自動的に法的効果を持たなくなるっている所謂Sunset規定が条文化されてる。Sunset規定ができてから財務省・IRSは通常、暫定規則と同時に同じ内容の規則草案(NPRM)を公表する。暫定規則は存在している間、最終規則と同じ法的効果がある一方、規則草案には法的効果はない。ただ、暫定規則がSunsetしてしまっても一応、法的効果はないけど規則草案はそのまま生きてるんで、その後、草案を最終化することができる。FIRPTA課税の複数の規則(-5T、-6T、-7T、-9T)は長らく暫定のままだけど、強制Subsetで3年間制限が導入される前のものなんで今日でも暫定のまま法的効果を持っている。分配の規則は1988年5月4日に公表されているんで滑り込みセーフでSubset前だ。その後、一部修正やNoticeでのオーバーライドはあるけど、Subset目的ではあくまでオリジナル公表日をみるんで40年近くもSurviveしてる。
外国法人による分配とFIRPTA
清算分配、Redemption(この用語を聞くと嫌でも自社株買いExcise Taxを思いだすね!(苦笑))を含む外国法人による資産分配は含み益を持つ資産でも多くのケースで米国では非課税。含み益を持つ資産の分配は清算分配以外の局面ではみなし資産譲渡として課税が原則だけど、外国法人の話しなんでECIでない限り(ECIじゃないケースがほとんど)課税対象じゃないし、子会社清算だと潜在的にsection 332取引になってsection 337の適用もあり得る。これらの取り扱いはFIRPTA課税で原則オーバーライドされ、分配資産にUSRPIが含まれる場合、USRPIの含み益は米国で課税対象になる。
外国法人の分配に対するこのFIRPTA課税には例外がある。USRPI分配を受け取る者がその後のUSRPI譲渡に米国で課税される、そして分配で受け取るUSRPIに関して受け手が認識する簿価が分配する側の外国法人が認識していた簿価を上回らない場合には分配にはFIRPTA課税は不適用となる。通常分配資産に関して受け手が認識する資産簿価は時価だから、含み益を持つUSRPI分配に関して2つ目の要件は満たさず、通常分配にこの例外規定の適用は難しい。この例外は条文そのものに規定されてるんで「Statutory Exception」っていうけど、条文では財務省に更なる例外規則の策定権を認めていて、財務省は暫定規則で清算分配およびスピンオフに対して例外を規定してる。組織再編に関してはC、D、F型組織再編の一環で外国法人が別の法人に株式対価で資産移管し、受け取り対価の株式がUSRPIの場合、直後に譲渡法人が自分の株主に対価で受け取ったUSRPI(存続法人の株式)を精算分配する際には原則、含み益にFIRPTA課税があるとしている。ただしこの分配も上述のStatutory Exception条件を満たす場合には分配そのものに課税はない。この組織再編の(みなしを含む)清算分配で受け取る資産(適格組織再編の話しなんで多くのケースで存続法人の株式)の簿価は、原則、株主が消滅法人株式に対して認識していた簿価になるんでStatutory Exception適用のチャンスは上がる。組織再編時の分配に対するこのFIRPTA課税はチョッと直観的に分かり難いかもしれないんでベーシックな点を乱暴なほど簡素化して触れておくと、資産移管型の組織再編は資産を移管をする法人が、存続する移管先法人から移管対価として移管先法人株式(プラスあればBoot)を受け取り、直後に受け取った対価(およびあれば手元に残ってる資産)を自分の株主に清算分配(みなし清算分配含む)する。今はその清算分配にかかわる話しをしてる。
1989年に公表されたNotice 89-85では、組織再編の一環で行われる清算分配に対するStatutory Exceptionの代わりに別の例外を規定している。すなわち、清算分配をする外国法人の株主が1980年以降に当外国法人の持分を課税取引で譲渡し、仮にその時点で当外国法人が米国法人でその持分がUSRPIだったとしたらそれらの株主が支払ったであろう税額を外国法人が支払えば、分配そのものにはFIRPTA課税はないとしている。ただし、この例外の適用条件として組織再編で消滅法人の株主が実際に分配(株主の視点からは消滅法人株式と交換)で受け取る存続米国法人株式の将来譲渡時に米国で(FIRPTA課税を含む)課税の対象になること、また分配法人が分配の課税年度に申告・報告義務に準拠することって規定されている。ただしNotice 89-57っていう別のNoticeは申告・報告義務を一定条件下で緩和している。なぜ1980年以降かって言うとFIRPTA課税っていう法律ができたのが1980年だから。この規則に関してUnpackしないといけない検討は多い。
更にややこしいことに1989年のNoticeから20年弱経過したこともあり、2006年には別のNotice(2006-46)が公表され、89-85に規定される例外を修正している。修正では上述のNotice 89-85で加味しないといけない株主による外国法人株式譲渡を1980年以降ではなく組織再編前の10年間に限定している。ただし再編前に存続米国法人(または関連者)が外国法人を支配(価値または議決権50%以上ベース)している場合には支配開始日から遡ること10年から再編日までの期間となる。
非課税取引とFIRPTA
非課税取引(nonrecognition transaction)は主に組織再編または適格現物出資に基づく資産交換でFIRPTAがなければ非課税(簿価のステップアップがないから正確にはDeferralだけど用語として「Tax-Free」って言われます)になる取引のことだけど、USRPIの移管・交換に関して通常通り非課税と認められるのは交換対象となる資産もUSRPIの場合。交換する資産は当然USRPIの想定。でないとFIRPTA課税の対象じゃないから組織再編や適格現物出資を含む通常のルールで課税関係が決まる。
Inbound F
次はいよいよInbound Fだけど、ダボスで脱線してしまってチョッと長くなってきたんで今日はこの辺で。今日・明日は相当冷え込むんで(摂氏だとマイナス15度!)明日またCoffee片手に頑張ります。
トランプがダボスに行くのは既に半死のグローバリズムに総本山でとどめの一撃を加えに行くつもりだっただろうから(実際にそうなったけど…)、最高度の要人セキュリティで臨んでるんだろうけど去年2度の暗殺未遂に見るように常に危ない状況。そんな状況でのAir Force One引き返し事件は怪し過ぎ。石橋を叩いて渡る的な対応だった可能性もあるけどどこか釈然としない。もしかして最初の747型Air Force Oneはオトリで本当のトランプは最初から代替で急遽登用されバックアップAir Force Oneの一機に当たるC-32(空軍特別仕様のボーイング757)に居たとかね。考え過ぎじゃんって?かもね。まあ、一般市民の僕には知る術もない。ちなみにこの手の話しに詳しい人によると正確にはAir Force Oneっていうのは特定の機体の名称じゃなくて、大統領が搭乗しているAir Force機体のコールサインで、必ずしもいつもの747に限定されて使用される訳じゃないそうだ。C-32も国内移動で小さな空港に着陸する際に日頃から使用されることはあるとのこと。
う~ん、何があったんでしょうか。あくまで架空の世界で何らかの理由で大統領が交代するような事態になったらヤングMAGAの副大統領JDバンスがステップインするんで方向的に余り変わりはないっていうのは良く語られるところで、米国ではJDバンスはトランプの生命保険って言う人もいるほどだ。
で、ダボスでのトランプのスピーチは大方の予想よりソフトタッチだった感がある以外に大きな驚きはなかったけど(グリーンランドに関しては例によってTACOぶりが否めなかったけどこれも想定通りなのかな?)、欧州委員会首脳のアルセラの公演は面白いというかチョッと不思議だった。トランプにボロクソ言われたんで何らの形で米国の過去に触れなければって思ったのか、文脈的にチョッと唐突な感じでアルセラ曰く「1971年のニクソンショックでBretton Woods体制が終わり、その地殻変動によりグローバリズムが実現した」とし「そして今、また(今度はグローバリズムが終わる)次の時代の変革に際し過去の教訓から学び欧州は強くなくてはいけない…。独自の通貨も云々」とか。
あんまり深く聞いてなかったけどFiat Currency化して久しい米政府の無責任なMonetary政策や米ドル運営に釘を刺してたってことなのかな。Euroclearにあるロシア中央銀行の米ドル資産没収をちらつかせて米ドル基軸通貨Statusにみんなで引導を渡しておいて面白いね(SWIFTもEuroclearもせっかくDCとかNYCじゃなくてベルギーに設立したのにね)。ニクソンショックでBretton Woodsが終わった点はそうだし、また今日のような地殻変動時に各国が(Survivalモードの?)戦略策定待ったナシっていうのもそうだろうけど、今日直面しているグローバルリオーダーとニクソンショックをパラレルに描写している点、またニクソンショックでグローバリズムに至ったっていう演説内容は誰がスクリプトしたにしてもDeepな考察に基づくんだろう。そう解されてるんだね。ニクソンショックで米ドルが正式に金本位性じゃなくなって、既にFiat化してた欧州通貨等の他国通貨に仲間入りし、その後はFiat通貨の歴史の必然とでもいうべき身の丈に合わない量の紙幣を刷り続け今日の米ドルに至るけど、それがグローバリズム導入の助けっていう因果関係部分が個人的にはピンと来なかったんでもう少し勉強します。国家間や市民と国家の間の信用や信頼が揺らぐ中、何の資産にもバックアップされないFiatは各国がLegal Tender(この紙切れを使って税金を納めることができる)って約束しているんでその価値が認められる。米ドル紙幣には一枚一枚丁寧に「This note is legal tender for all debts, public and private」って印字してあるよね。そこが人生ゲーム(古い?)の100,000ドル紙幣とは違うところ。昔、僕たちの世代の人生ゲームだと白い100,000ドル紙幣が溜まるとうれしかった。薄いピンク色(だっけ?もしかして薄い黄色?)の1,000ドルは結婚祝いとかの時は便利だったけどね。
こんなFiat通貨の米ドルを基軸にSWIFT、Euroclear、西の金融機関が支配する現状のMonetaryシステムはGeopoliticsや通商と密接な関係にあるんで切り離して考えることはできないけど、このシステムもここに来て変革間近なのかもね。米国的には独立250周年近辺に何か大きな発表や動きがあるのかな。それが金の再起用(とは言ってもPhysicalな金の量は足りないよね)なのかGENIUS Actに基づくStable Coinの活用なのか分かんないけど2026年のVolatilityは激しそう。NYCのJFK空港にあるCOMEXでは前代未聞のGoldの現物デリバリーがあるって専門の方が言ってた。誰がStand for delieveryかは分からないけど財務省のExchange Stabilization Fund (ESF) だとしてもおかしくないってことらしい。
Volatilityが高くなるとAlpha Returnを求める資産家やヘッジファンドの暗躍・活躍の時代がまたしても到来。そんな時代の財務長官が「あの」Scott Bessentっていうのも全てシナリオ通りなんでしょうか。イロンマスクがダボスで「(テクノロジー的に)人類は今までかつてない時代に生きてる」ってポジティブなトーンだったけど、あらゆる意味でかつてない時代に生きてるのかな。ローマ帝国の崩壊時の世界ってどんなだっただろうね。当時はグローバリズムとかもちろん存在しなかったから例えばヤマト政権はローマ帝国が崩壊しつつあること自体知らなかっただろうけど、今日の変動は瞬時にグローバル動向に影響を与えるんで世界的なインパクトはもちろん比較にならない。これってグローバリズムの弊害のひとつ?かもね。とは言っても鎖国にはもどれないよね。余談だけど、イロンマスクをダボスでホストしてたブラックロックのラリーフィンクが「テクノロジーで不老不死になれるか」って熱心に聞いてて「右腕と左腕が同じように老化する点に注目すれば人間のどこかに老化をトリガーする指令があるだろうからその辺を把握すれば可能性あり」(記憶に基づく相当な意訳です)ってマスクが言ってた。フィンクは「それはうれしい」って無邪気に喜んでて面白かった。フィンクや秦の始皇帝は同じように考えるんだね。いつの時代も変わんないね。マスクは「死にもメリットはある」とか返してた。そんなやり取りは、ふと宮崎監督のスタジオジブリ映画のセリフ数々の重みを再認識させてくれた。日本はDeepだ。
そして税法
税務以外の専門外の話しは前回で終わったんじゃないのって思った?反省してここで本当に終わりにします(次に何か起こるまでは)。凄い時代に生きてるってことなんでつい…。で、税法の世界も昨年後半触れた通りOB3関係やDe-Regulation・規制緩和系でトピックは多い。そんな中まずはDe-Regulation系から攻めることにして、前回、前々回で自社株買い1%懲罰課税のFunding規則撤廃とDC REITの定義緩和措置をカバーした。今日はInbound FとFIRPTAについて。
Notice 2025-45
チョッと前になるけど、財務省は2025年8月19日にNoticeで、米国外法人が米国法人に生まれ変わるDomestication・Redomicile取引をFIRPTA面から援護する規則を公表した。Redomicile実行ストラクチャリングはひとつじゃないけど、Noticeでは米国外の上場企業がF型インバウンド資産移管組織再編(Inbound F)を利用する際のFIRPTA適用緩和を規定している。今後、当Noticeの内容にて規則草案を公表するとのこと。具体的には一定要件を満たすInbound Fを「対象Inbound F」とし、Inbound Fのステップに内包されるUSRPI(米国法人株式を含む米国不動産持分)移管に対するFIRPTA課税適用を緩和している。当規則はNotice公表日の2025年8月19日以降の分配、資産移管、資産交換に適用可能。
分配や非課税取引とFIRPTA
FIRPTA課税のベーシックに関しては2023年の「FIRPTAアップデート」で結構詳しく触れてるんでそちらを見て欲しい。FIRPTA課税はいろんな取引に適用があり得るけど、今回のNoticeが触れているInbound Fに関係が深いのは外国法人による分配資産に米国法人株式等のUSRPIが含まれるケース、また組織再編を含む非課税資産移管に対するFIRPTA課税になる。この辺りの取り扱いは条文だけでなく、暫定規則(Temporary Regulations)や過去のNoticeに基づくんで元々かなり複雑。規則は暫定なんだ…って不思議に思うかもしれないけど、結構な数の財務省規則が暫定Statusのまま生き残っている。
暫定のまま規則が長期にわたり放置される傾向があったんで、1988年11月21日以降に公表された暫定規則は3年後に自動的に法的効果を持たなくなるっている所謂Sunset規定が条文化されてる。Sunset規定ができてから財務省・IRSは通常、暫定規則と同時に同じ内容の規則草案(NPRM)を公表する。暫定規則は存在している間、最終規則と同じ法的効果がある一方、規則草案には法的効果はない。ただ、暫定規則がSunsetしてしまっても一応、法的効果はないけど規則草案はそのまま生きてるんで、その後、草案を最終化することができる。FIRPTA課税の複数の規則(-5T、-6T、-7T、-9T)は長らく暫定のままだけど、強制Subsetで3年間制限が導入される前のものなんで今日でも暫定のまま法的効果を持っている。分配の規則は1988年5月4日に公表されているんで滑り込みセーフでSubset前だ。その後、一部修正やNoticeでのオーバーライドはあるけど、Subset目的ではあくまでオリジナル公表日をみるんで40年近くもSurviveしてる。
外国法人による分配とFIRPTA
清算分配、Redemption(この用語を聞くと嫌でも自社株買いExcise Taxを思いだすね!(苦笑))を含む外国法人による資産分配は含み益を持つ資産でも多くのケースで米国では非課税。含み益を持つ資産の分配は清算分配以外の局面ではみなし資産譲渡として課税が原則だけど、外国法人の話しなんでECIでない限り(ECIじゃないケースがほとんど)課税対象じゃないし、子会社清算だと潜在的にsection 332取引になってsection 337の適用もあり得る。これらの取り扱いはFIRPTA課税で原則オーバーライドされ、分配資産にUSRPIが含まれる場合、USRPIの含み益は米国で課税対象になる。
外国法人の分配に対するこのFIRPTA課税には例外がある。USRPI分配を受け取る者がその後のUSRPI譲渡に米国で課税される、そして分配で受け取るUSRPIに関して受け手が認識する簿価が分配する側の外国法人が認識していた簿価を上回らない場合には分配にはFIRPTA課税は不適用となる。通常分配資産に関して受け手が認識する資産簿価は時価だから、含み益を持つUSRPI分配に関して2つ目の要件は満たさず、通常分配にこの例外規定の適用は難しい。この例外は条文そのものに規定されてるんで「Statutory Exception」っていうけど、条文では財務省に更なる例外規則の策定権を認めていて、財務省は暫定規則で清算分配およびスピンオフに対して例外を規定してる。組織再編に関してはC、D、F型組織再編の一環で外国法人が別の法人に株式対価で資産移管し、受け取り対価の株式がUSRPIの場合、直後に譲渡法人が自分の株主に対価で受け取ったUSRPI(存続法人の株式)を精算分配する際には原則、含み益にFIRPTA課税があるとしている。ただしこの分配も上述のStatutory Exception条件を満たす場合には分配そのものに課税はない。この組織再編の(みなしを含む)清算分配で受け取る資産(適格組織再編の話しなんで多くのケースで存続法人の株式)の簿価は、原則、株主が消滅法人株式に対して認識していた簿価になるんでStatutory Exception適用のチャンスは上がる。組織再編時の分配に対するこのFIRPTA課税はチョッと直観的に分かり難いかもしれないんでベーシックな点を乱暴なほど簡素化して触れておくと、資産移管型の組織再編は資産を移管をする法人が、存続する移管先法人から移管対価として移管先法人株式(プラスあればBoot)を受け取り、直後に受け取った対価(およびあれば手元に残ってる資産)を自分の株主に清算分配(みなし清算分配含む)する。今はその清算分配にかかわる話しをしてる。
1989年に公表されたNotice 89-85では、組織再編の一環で行われる清算分配に対するStatutory Exceptionの代わりに別の例外を規定している。すなわち、清算分配をする外国法人の株主が1980年以降に当外国法人の持分を課税取引で譲渡し、仮にその時点で当外国法人が米国法人でその持分がUSRPIだったとしたらそれらの株主が支払ったであろう税額を外国法人が支払えば、分配そのものにはFIRPTA課税はないとしている。ただし、この例外の適用条件として組織再編で消滅法人の株主が実際に分配(株主の視点からは消滅法人株式と交換)で受け取る存続米国法人株式の将来譲渡時に米国で(FIRPTA課税を含む)課税の対象になること、また分配法人が分配の課税年度に申告・報告義務に準拠することって規定されている。ただしNotice 89-57っていう別のNoticeは申告・報告義務を一定条件下で緩和している。なぜ1980年以降かって言うとFIRPTA課税っていう法律ができたのが1980年だから。この規則に関してUnpackしないといけない検討は多い。
更にややこしいことに1989年のNoticeから20年弱経過したこともあり、2006年には別のNotice(2006-46)が公表され、89-85に規定される例外を修正している。修正では上述のNotice 89-85で加味しないといけない株主による外国法人株式譲渡を1980年以降ではなく組織再編前の10年間に限定している。ただし再編前に存続米国法人(または関連者)が外国法人を支配(価値または議決権50%以上ベース)している場合には支配開始日から遡ること10年から再編日までの期間となる。
非課税取引とFIRPTA
非課税取引(nonrecognition transaction)は主に組織再編または適格現物出資に基づく資産交換でFIRPTAがなければ非課税(簿価のステップアップがないから正確にはDeferralだけど用語として「Tax-Free」って言われます)になる取引のことだけど、USRPIの移管・交換に関して通常通り非課税と認められるのは交換対象となる資産もUSRPIの場合。交換する資産は当然USRPIの想定。でないとFIRPTA課税の対象じゃないから組織再編や適格現物出資を含む通常のルールで課税関係が決まる。
Inbound F
次はいよいよInbound Fだけど、ダボスで脱線してしまってチョッと長くなってきたんで今日はこの辺で。今日・明日は相当冷え込むんで(摂氏だとマイナス15度!)明日またCoffee片手に頑張ります。
Thursday, January 8, 2026
2026年明けましておめでとうございます!今年はどんな年?
2026年明けましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします。
このポスティング、ゆく年くる年のつもりで書き始めたんだけど、既に新年を迎えたんで「新春」ポスティングになりました。皆さんはどんな「New Year Resolution」を立てたでしょうか。初夢は富士山や鷹や茄子だった?それともBitcoin、AI、世界の平和とかだったかもね。
例年のことだけど2025年も始まったな~と思ったらアッと言う間に過ぎてしまった。とは言えトランプ政権が誕生してから未だ1年未満なんだよね。この1年の米国リセット、またその影響を受けてグローバルのリセットはコペルニクス的転回。それでも地球はまだ太陽の周り回ってるはずだけど。
米国税務(広義には米国の法体系)オタクの僕にとってGeopolitics、マクロ経済、特にMonetary Policy等は専門外だけど(したがって専門家の視点からはおかしいこと言ってることも多いかも)、それでも時代の大きな変遷は感じざるを得ない。Fiat Currencyの過多なプリンティング、Bitcoin派とGold派の戦い、AIや自動運転(これ凄く便利)を含むテクノロジーの進化、税務その他の法制度をとりまく様々な環境の変化は、法制度の理解に不可欠なことが多い。
今回は新春特集なのを良いことにオタクな米国税務テクニカルな話しは次回以降に泣く泣く譲り、2025年を振り返り2026年に備える、みたいなテーマとします。いつもそうだけどあくまで私見で無知さを露呈するかもしれないけど米国で感じる姿をのべつ幕無しに書いておくね
僕たちが現実って思ってることの多くは演出?
米国を語る際のひとつの副題として、肌感覚的に日本の一般市民には米国って言う国がほぼ理解されていない点っていう点がある。戦後80年経過していて堅固な同盟関係を築いている日米間でなぜ?って思うことは多いけど、考えてみると米国に住んでる僕たちでも米国っていう国を理解するのは難しいし知らぬが仏みたいな部分も多いから増してや対岸の火事とまでは行かなくても他国の米国の事情が日本で理解されていないのは当然かもね。
これって従来はニュースソースがレガシーメディアの報道に限られていた点は一因だろうけど、米国レガシーメディアは主に民主党側なので、例えば、オバマやバイデン政権は良く分かんないけど何となく善で、トランプ政権は逆に悪っていう銭形平次とかウルトラマン的な感覚の世論の形成に尽力する傾向がある。
その昔、Jim Carrey(彼のLiar Liarは面白かったね)主演の「トルーマン・ショー」って1998年の映画があって、トルーマンっていう主人公の人生は全て舞台装置上の演出でそれを知らないのは本人だけ、みたいなストーリーで当時話題だったんでLAの映画館で封切と同時に見たけど、その頃は単なるエンターテインメントとして見てた。でも、あのストーリーって結構怖くて、結局のところ僕たちが生きてる世界や現実っていうのはメディアを含むDeep Stateに完全に支配されている演出に過ぎず、大多数の一般市民は本当の現実を知らずに生涯を送っているっていう実態を大げさに描いてるとすると実に深淵。
1998年はGoogleが設立された年で、まだまだアナログの世界だったけど、全てがデジタルに移行し、トルーマンショー当時とは比較にならない監視社会に移行した今日、当時は単なる映画の非現実的なあらすじにしか見えなかった話しが、実は僕もトルーマンか…っていうような再認識をせざるを得ない。知らぬが仏でそれはそれで実害なければいいのかもしれないけどね。最後の一線は政府、企業、個人の道徳観だね。う~ん大丈夫かな。個人にしても企業にしてもメディアで報道されていることは演出の可能性ありっていう点を理解してリスク管理していくしかない。インターネット普及で1998年とは比較にならない量の代替ニュースソースがあるんで異なる視点を吸収できるチャンスは多いけど、どれが正しいってこともないんで難しいよね。
America Firstトランプ2.0の即実行で2025年はパラダイムシフト
180度転換とも言える米国の政策リセットは、大別してオープンボーダーの撤回・国境警備強化、バイデン政権下で1千万人以上と言われる不法移民流入に対する強制送還措置、エネジー・Climate関係、金融・税制・独禁法・その他の広範な分野における規制緩和(De-Regulation)、Re-shoringを目指す通商政策、カルチャー系(いわゆるWokeへのプッシュバック)などなど。これらは全て選挙前からの公約に基づくもので全て速攻で実行された。その意味で有権者への公約は守ったことになる。
このExecutionのスピードは2016年のトランプ1.0の失敗と対照的。すなわち2016年政権発足当時はDCの抵抗を過小評価していたかまたはそもそも部外者なんでDCのパワーストラクチャーを理解していなかったんだろうけど、当時は内部で足を引っ張られ、「匿名情報源」の真偽不明の諸々メディア報道、今では作り事だったって分かっているロシア疑惑、とかで政策どころじゃなかった感じだもんね。このトランプ1.0の教訓を活かし、2.0は相当用意周到だったけど、感覚的に2024年11月の選挙後に準備開始したんでは到底間に合わないレベル。となると、おそらく2020年の選挙結果を見て2024年はちゃんとやれば当選するっていう確信があり、4年間かけて相当な準備をしたとしか考えられないね。取り巻きもSusie Wilesとか実力者かつ忠臣で揃えてるし。Wilesが先日Vanity Fairにインタビュー許したのは意外だったけどね。
2024年の選挙結果予想とかもそうだけど、米国のレガシーメディアはトランプに対しては2016年から一貫して極端にネガティブ。ニュースを伝えるっていうよりもトランプを引きずりおろすっていうのが目的になってしまったんで、これらの表面的なニュースから情報を得ていると本当のトレンドは分かり難い。
メディアや民主党のメッセージはその時その時で流行フレーズ(Buzz Word)、例えば選挙中は「ファシスト」「ヒトラー」, Elon MuskがDOGEに居た頃は「President Musk」、政権発足後の諸々に政策実行時には「Chaos」、とか、を決めて徹底的に連呼して世論に浸透させる。それらだけ聞いてると大変な混乱が生じてるようなイメージを持つかもしれない。トランプっていう人物に予見可能性が低いのは確かだけど、上述の政策そのものは選挙運動中から一貫して提唱しているもので、それらが賢明なものか、または賛成できるかどうかは別として、2025年は尋常じゃないスピードと決意で着々とそれらをExecutionした一年って言える。
国外不干渉は?
ひとつ公約違反(?)があるとすると、米国外の戦争や他国の内政干渉、Nation Buildingしたりしないっていう原則。Nation BuildingのUSAIDは即廃止されたけど(もちろんだからってBlobがなくなったって思うナイーブな人はいないし、これらがゼロになると米国の国力や経済力にマイナス面もあるんだろう)、イランにミサイル打ち込んだり、ウクライナに関してもEUとかNATOが一向に戦争を終わらせる気配を見せないなか、議会のプレッシャーもあってか最後通牒を発することができず、なんだかんだ米国も中途半端な関与を続けてる。数日前はベネズエラのMaduroを米国の罪状に基づき逮捕の上、Brooklynに連れてくるっていう驚愕の出来事もあった。Maduroのような立場にある者は当然、どの国でも要塞のようなところで強力な警備で守られてるはずだけど、そんな他国のリーダーを国外から攻撃して数時間で(米国側の)犠牲者ゼロでNYCに連れて帰ってくるっていう諜報能力やオペレーション遂行能力にはビックリ。米国と馬の合わない他国のリーダーも戦々恐々だろう。ただ、MAGAの重要な信条のひとつ、米国外不干渉の原則からは逸脱してるよね。イランとかベネズエラは単発攻撃なんで湾岸戦争とかベトナム戦争とは比較可能性はないけど、だからってMAGAのサポートは得られるんでしょうか。
Donro主義
ベネズエラに関しては過去の米国石油会社の資産没収や米国への薬物流入、等の特別な背景があるかもしれないけど、そう言えば先日公表された米国の「National Security Strategy」でも従来の外交政策を一変、米国の国家主権を最重要視して、グローバルではなく「西半球」(Western Hemisphere)の反米勢力やそこからの不法移民や犯罪の排除にフォーカスするとしてる。西半球を米国のSphere of Influenceとしてフォーカスする外交はMonro 主義だけど、その復活がうたわれていた。Donald Trumpにもじって早速Donro主義っていう新用語が生まれてる。
そんな原則の下、西半球以外の地域への関与は徐々に控えると同時に、米国が自分の裏庭だと思っている西半球に属するベネズエラが反米勢力に支配されたり、中国やロシアの影響が強くなったり石油がそれらの国に渡るのは許せないっていうことなんだろうか。Maduroは米国に逮捕される直前、中国の代表と会っていたそうだから反米他国とは親密な関係にあったんだろう。National Security Strategyではロシアとは安定的な関係を築くとしたり、中国にもソフトタッチな一方、欧州やNATOには冷淡。EUとは言論統制の問題、また国家主権や選挙に基づかないグローバリストによるSuper Stateの統治形態、等の観点からMAGAの米国とは馬が合わない。
グリーンランドと火星
西半球って言えばグリーンランドが含まれててこれも意味深。ベネズエラの例から見るに、その気になれば数時間で占拠可能なのかもしれないけど、現時点では対価を支払って取得するとかって未だ言ってるけどね。グリーンランドに関しては米国の国家安全保障や資源の観点からの重要性が指摘されるけど、米国の自律神経的に新たなフロンティアを求める血が騒いでるっていう側面はないのかな。
以前のポスティングでも書いた記憶があるけど、今の米国って、個人のLibertyを重要視するリベタリアン派には独立時や憲法起草当時の精神・理想から掛け離れた国になってしまったって感じてる者が少なくないだろう。MAGAってグローバリストに取り残された一般市民を代表する面もあるけど、Tech Rightとかのリベタリアン的な側面もあるよね。Tech Rightやリベタリアンの人は未開の地で一から米国が目指した真の個人の自由を再度追及したい、みたいなドリームがあるんじゃないかな、って感じる。Techの重鎮やCypherpunkの人って結構な人がイデオロギー的に真逆の大きな政府・官僚主導のCaliforniaにも住んでる気がするんでチョッと不思議だけど、根はリベタリアンな人が多いように感じる。火星に文明を築きたいっていうドリームも、もう地球はトルーマンショーで自由はないから新天地を目指したいみたいな理想を追求してるのかもね。でもTechが原因でますますトルーマンショーになっているんでなんか矛盾があるけど。グリーンランドはその一歩?
Bitcoin
Cypherpunkと言えばBitcoin。取引の多くが現金ではなくカード等の電子決済に移行した中、インターネット普及初期から取引を中央銀行や銀行に頼らずに純粋にPrivateに行う仕組みを現実化したいっていう者が現れてた。シルクロードみたいなアングラマーケットを目指したっていうよりも単純にお金の動きを把握されたりする点を嫌うPrivacy面、トランプ政権が問題視している過去のDe-bankとかでも明らかなように急に自分のお金が使えなくなったりするリスクを恐れたりする制度そのものに対する不信感、に基づく動きだと理解してるけど、E-Goldとかの流れからBitcoinはそれを達成しようとするもの。
でも今のところBitcoinは商業の媒体・通貨っていう機能よりも、どこまで価値が維持できるのか不安なFiat CurrencyやDebasement対策で長期的な富の温存的な存在になってるけど、価値が安定したら通貨としての機能も持つようになるかもね。後述の米ドルの問題と直結してる。米国法制面で2025年に可決・署名済みのGENIUS Actや今議会で議論されているCrypto Market Structure法案、などトランプ政権下ではCryptoに関してより活発な議論が行われているんでこちらも2026年は注目に値する。
基軸通貨USドルとペニー(セント)硬貨廃止
ニクソンショックで金本位性を一方的に撤回してドルがFiat Currencyになって際限なくドルをプリントすることができるようになったけど、それ以前、1913年にFederal Reserveが通貨を国単位で管理するようになってからのドルの価値は実に96%下がっている。逆に言えばインフレが3,000%っていうこと。1913年は連邦憲法改正で連邦政府がIncome Taxを徴収することが初めて認められた年。この辺りから建国時の理想は崩れていくね。大国のサガだ。
戦争その他のクライシス毎に出費を重ね結果、到底返済不能な$38Tの国家負債。過剰なドル供給でにっちもさっちもいかなくる姿はローマ時代の銀貨(denarius)に含まれる銀の量がどんどん低下していったのと同じ。帝国初期には98%ってほぼ純銀硬貨だったものが、90%、80%、50%、20%、ついに300年AD頃には2%からゼロ%って銀貨とは名ばかりになってしまった。銀貨の価値が低減する訳だから、当然銀貨で表示される物品の価格は上がる。6,000%を超えるインフレになりリーダーの信用な地に落ちた。はは、6,000%のローマ帝国の話しは大昔で今は違うって思うかもしれないけど、米国は1913年から100年掛けて3,000%。どっちがマシだろうか。
ちなみに米国のPennyは製造コストが1セントより高いっていうことで製造停止になったけど、これもPenny自体の価値(すなわちPennyの購買力)が大きく低下してしまったっていうことでDenariusの運命、そしてローマ帝国の運命を連想させる象徴的な2025年の出来事。
返済できないって分かってる負債に対処するため歴史的に必ず起こるのがDebasement。すなわち意図的に自国通貨の価値を下げて返済を容易にするっていう作戦。これはイコール、高いインフレなんで賃金上昇が表面インフレ率を上回らない限り一般市民には受け入れ難い。利下げその他の動きでこのテンションをどうするかのかじ取りは難しそう。ドルがBebaseって言ってもドルの為替レートは悪くなってないじゃんって思うかもしれないけど、それは他のFiat Currencyとの比較での話し。どの通貨、EUも円もFiat Currencyで同じような状況にあるんで相対的な話しなんだと思う。
米国が巨額の債務でも大丈夫だったのはドルが基軸通貨だっていう理由が大きい。所謂Exorbitant Privilegeだ。Overnightでドル以外の通貨が基軸通貨になるとは思えないけど、Debasementとは別の観点で基軸通貨を持つ国としてどうなのかな、って思えたのはロシアに対する制裁でバイデン政権がEUと一緒に$300Bのロシア中央銀行が持つドル資産を凍結してしまった事件。主にEuroclearにある資産の話しだけど、その後、EUでは凍結だけではなく実質没収(国際法上許されないってことで結局腰が引けた?)みたいな話しも出てたって理解してる。これは相当な冷却効果で、過去にも凍結は限定的にあったけど、核保有軍事大国ロシアの資産も凍結されたり没収の話しに至るっていうことは、特に反米のレッテルを張られやすい国の中央銀行として米国債やドル資産はリスキーって当然考えてドル離脱が加速するだろう。BRICsでは一部金でバックアップされたバスケット通貨構想もある。国家ですら凍結対象となるとCypherpunkが恐れる個人の資産凍結などはいとも簡単。Bitcoinがレスキューできるでしょうか。
なぜリセット?
米国や世界のリセットだけど、トランプが出てきて急にリセットしてるっていうよりも、ここ何年も掛けて蓄積されてきた支配階級のグローバリストと米国一般市民間の「Disconnect」が作因というかAgentで、その反発がトランプやMAGAとして具現化されてるってことだろう。そんなタイミングで媒体としてトランプって言う変人が存在したのは時の悪戯。トランプの好き嫌いは両極端なんで意見が割れるところだけど、100件近い刑事訴訟、その他民事訴訟、徹底したメディア中傷、その他の困難を克服して再選っていう精神力は普通ではない。
米国外の一般市民と生活を共にしてないんで肌感覚はゼロだけど、もし同様のDisconnectや不満、失望を感じている一般市民が米国外でも多いとすると、戦後80年のグローバル秩序は大きな曲がり角差し掛かってるだろう。支配階級のグローバリストは各国の一般市民の意思で成り立つ国家主権ベースではなく、権威主義的にトップダウンで世界レベルで事を進めようとするから、自国の選挙で地道に議員を選んだりしても結局何も変わんないねっていう無力感の蓄積も激しい。
僕たちは戦後のグローバル秩序しか体験したことないし、それがあたも未来永劫続くような錯覚に陥ってるかもしれないけど、歴史を見ると必ず訪れる大きなリセット。たまたまそんな時代に生きてるってことなんだろうね。
タックスの世界でもOECDのグローバルタックスなんかはその例で、自国の選挙や主権国家レベルの統治とは直接関係なく、各国市民に説明責任のない欧州の専門家が税法を書き、その規則から逸脱すると村八分にすることで各国に適用を半強制するもので、各国市民の意思が反映されているように見えない。15%のミニマム税を課すっていう政策が世界の発展にプラスかどうかって視点は置いておいて、その意思決定プロセスに対する議論が(米国外では)思ったよりも少ない点は意外だった。なんかトルーマンショーみたい。
この従来の民主主義とは異なる新しい姿のコンセンサス民主主義、すなわち支配階級にあるグローバリストが超国家的なポリシーを一般市民からは手の届かないところで合意し、各国にトップダウンでその実行を求めるタイプの民主主義(それが民主主義って言えればだけど…)で、Brexitやトランプ1.0以降に加速した感じがする。ただ「Rule-based」の秩序っていうのは、Ruleを策定する側に説明責任がないとRuleされる側の納得感が低下するっていう致命的な欠点があるけどね。
トップダウンの新しい民主主義の許容レベルは各国の国民性や国家統治のあり方、国際舞台での発言力等の違いにより凹凸があるだろう。議会制度(Congress制度、Parliament制ではないという意味)で、国民性的にもなんだかんだ言って個人のLibertyを重要視するリベタリアンが比較的多い米国では衝突必至のCollision Course。グローバルタックスでも結局衝突。G7が12月末までに合意することに合意していた(?)Side-by-sideはどうしちゃったんでしょうかって思ってたらギリギリセーフでルールが公表されたね。これを受けて米国財務長官のScott Bessentは「the historic victory in preserving US sovereignty」って反応してた。この反応からもグローバリタックスの問題はテクニカルなタックス面に加えて一般市民・有権者への説明責任を伴う主権国家ベースのRule作り、と新民主主義との確執だったことが計り知れる。まあ、Side-by-sideルール公開があんまり遅くなると議会では例の(苦笑)section 899の復活も噂されてたもんね。
グローバルタックスは法人税の世界なんで戦争や個人のLibertyの観点から比較的Benignな世界かもしれないけど、根本的なテンションは同じ。グローバリストがやり過ぎると一般市民から信頼が低下し、コロナ禍のDraconianな対処で多くの米国市民が専門家、メディア、官僚機構に失望してすっかり信頼をなくしたように、国際合意や国際機関への信用も低下してしまって結局これらの制度のいい面も台無しになり兼ねない。
2026年 (and beyond)
2025年のリセット・トレンドは反転不可で2026年も加速し、人類の歴史的に100年単位で訪れる大きなリセットの流れに身を置くことになるんだろうね。この大きな流れは良くも悪くも逆らうことはできず、国、企業、個人単位でリスク管理して対処するしかないね。関税や通商問題を考える際にも、リセット渦中でのひとつの現象として広範なトレンドっている文脈で対処していく必要がある。
この世は無常で盛者必衰。138億年っていう長~い歴史の中で僕たちが知ってる文明はたかが2~3千年、今のグローバル秩序に至ってはたった80年っていうスパンの話しなんで、一瞬の出来事に過ぎず当然未来永劫続くものじゃない。
テクノロジーやAIとかで「自分たちはローマやオランダ時代の人とは違う」っていう錯覚に陥るかもしれないけど、人間の根本的な行動パターンはたかが2000年とかでは変わらない。テクノロジーの進化で変わることがあるとすると変化のスピードが加速することだろうけど、根本的なストラクチャーは前述のローマ帝国のDebasementを見ても結局あんまり変わんないんじゃないだろうか。
リセット時には新たな勝者や敗者が現れるけど、日本としてはかじ取りを間違わずに自国の伝統、美学、そして世界でもまれに見る質の高い民度・文化を大切に温存していって欲しい。Some kind of happiness is measured out in milesだけど、HappinessのMeasureは他にもあるんで資源やお金は限りがあるっていう前提で国としてどんなHappinessを目指すのかな。
ということで慣れない話しだったけど次回からはまたタックス三昧しましょう。
このポスティング、ゆく年くる年のつもりで書き始めたんだけど、既に新年を迎えたんで「新春」ポスティングになりました。皆さんはどんな「New Year Resolution」を立てたでしょうか。初夢は富士山や鷹や茄子だった?それともBitcoin、AI、世界の平和とかだったかもね。
例年のことだけど2025年も始まったな~と思ったらアッと言う間に過ぎてしまった。とは言えトランプ政権が誕生してから未だ1年未満なんだよね。この1年の米国リセット、またその影響を受けてグローバルのリセットはコペルニクス的転回。それでも地球はまだ太陽の周り回ってるはずだけど。
米国税務(広義には米国の法体系)オタクの僕にとってGeopolitics、マクロ経済、特にMonetary Policy等は専門外だけど(したがって専門家の視点からはおかしいこと言ってることも多いかも)、それでも時代の大きな変遷は感じざるを得ない。Fiat Currencyの過多なプリンティング、Bitcoin派とGold派の戦い、AIや自動運転(これ凄く便利)を含むテクノロジーの進化、税務その他の法制度をとりまく様々な環境の変化は、法制度の理解に不可欠なことが多い。
今回は新春特集なのを良いことにオタクな米国税務テクニカルな話しは次回以降に泣く泣く譲り、2025年を振り返り2026年に備える、みたいなテーマとします。いつもそうだけどあくまで私見で無知さを露呈するかもしれないけど米国で感じる姿をのべつ幕無しに書いておくね
僕たちが現実って思ってることの多くは演出?
米国を語る際のひとつの副題として、肌感覚的に日本の一般市民には米国って言う国がほぼ理解されていない点っていう点がある。戦後80年経過していて堅固な同盟関係を築いている日米間でなぜ?って思うことは多いけど、考えてみると米国に住んでる僕たちでも米国っていう国を理解するのは難しいし知らぬが仏みたいな部分も多いから増してや対岸の火事とまでは行かなくても他国の米国の事情が日本で理解されていないのは当然かもね。
これって従来はニュースソースがレガシーメディアの報道に限られていた点は一因だろうけど、米国レガシーメディアは主に民主党側なので、例えば、オバマやバイデン政権は良く分かんないけど何となく善で、トランプ政権は逆に悪っていう銭形平次とかウルトラマン的な感覚の世論の形成に尽力する傾向がある。
その昔、Jim Carrey(彼のLiar Liarは面白かったね)主演の「トルーマン・ショー」って1998年の映画があって、トルーマンっていう主人公の人生は全て舞台装置上の演出でそれを知らないのは本人だけ、みたいなストーリーで当時話題だったんでLAの映画館で封切と同時に見たけど、その頃は単なるエンターテインメントとして見てた。でも、あのストーリーって結構怖くて、結局のところ僕たちが生きてる世界や現実っていうのはメディアを含むDeep Stateに完全に支配されている演出に過ぎず、大多数の一般市民は本当の現実を知らずに生涯を送っているっていう実態を大げさに描いてるとすると実に深淵。
1998年はGoogleが設立された年で、まだまだアナログの世界だったけど、全てがデジタルに移行し、トルーマンショー当時とは比較にならない監視社会に移行した今日、当時は単なる映画の非現実的なあらすじにしか見えなかった話しが、実は僕もトルーマンか…っていうような再認識をせざるを得ない。知らぬが仏でそれはそれで実害なければいいのかもしれないけどね。最後の一線は政府、企業、個人の道徳観だね。う~ん大丈夫かな。個人にしても企業にしてもメディアで報道されていることは演出の可能性ありっていう点を理解してリスク管理していくしかない。インターネット普及で1998年とは比較にならない量の代替ニュースソースがあるんで異なる視点を吸収できるチャンスは多いけど、どれが正しいってこともないんで難しいよね。
America Firstトランプ2.0の即実行で2025年はパラダイムシフト
180度転換とも言える米国の政策リセットは、大別してオープンボーダーの撤回・国境警備強化、バイデン政権下で1千万人以上と言われる不法移民流入に対する強制送還措置、エネジー・Climate関係、金融・税制・独禁法・その他の広範な分野における規制緩和(De-Regulation)、Re-shoringを目指す通商政策、カルチャー系(いわゆるWokeへのプッシュバック)などなど。これらは全て選挙前からの公約に基づくもので全て速攻で実行された。その意味で有権者への公約は守ったことになる。
このExecutionのスピードは2016年のトランプ1.0の失敗と対照的。すなわち2016年政権発足当時はDCの抵抗を過小評価していたかまたはそもそも部外者なんでDCのパワーストラクチャーを理解していなかったんだろうけど、当時は内部で足を引っ張られ、「匿名情報源」の真偽不明の諸々メディア報道、今では作り事だったって分かっているロシア疑惑、とかで政策どころじゃなかった感じだもんね。このトランプ1.0の教訓を活かし、2.0は相当用意周到だったけど、感覚的に2024年11月の選挙後に準備開始したんでは到底間に合わないレベル。となると、おそらく2020年の選挙結果を見て2024年はちゃんとやれば当選するっていう確信があり、4年間かけて相当な準備をしたとしか考えられないね。取り巻きもSusie Wilesとか実力者かつ忠臣で揃えてるし。Wilesが先日Vanity Fairにインタビュー許したのは意外だったけどね。
2024年の選挙結果予想とかもそうだけど、米国のレガシーメディアはトランプに対しては2016年から一貫して極端にネガティブ。ニュースを伝えるっていうよりもトランプを引きずりおろすっていうのが目的になってしまったんで、これらの表面的なニュースから情報を得ていると本当のトレンドは分かり難い。
メディアや民主党のメッセージはその時その時で流行フレーズ(Buzz Word)、例えば選挙中は「ファシスト」「ヒトラー」, Elon MuskがDOGEに居た頃は「President Musk」、政権発足後の諸々に政策実行時には「Chaos」、とか、を決めて徹底的に連呼して世論に浸透させる。それらだけ聞いてると大変な混乱が生じてるようなイメージを持つかもしれない。トランプっていう人物に予見可能性が低いのは確かだけど、上述の政策そのものは選挙運動中から一貫して提唱しているもので、それらが賢明なものか、または賛成できるかどうかは別として、2025年は尋常じゃないスピードと決意で着々とそれらをExecutionした一年って言える。
国外不干渉は?
ひとつ公約違反(?)があるとすると、米国外の戦争や他国の内政干渉、Nation Buildingしたりしないっていう原則。Nation BuildingのUSAIDは即廃止されたけど(もちろんだからってBlobがなくなったって思うナイーブな人はいないし、これらがゼロになると米国の国力や経済力にマイナス面もあるんだろう)、イランにミサイル打ち込んだり、ウクライナに関してもEUとかNATOが一向に戦争を終わらせる気配を見せないなか、議会のプレッシャーもあってか最後通牒を発することができず、なんだかんだ米国も中途半端な関与を続けてる。数日前はベネズエラのMaduroを米国の罪状に基づき逮捕の上、Brooklynに連れてくるっていう驚愕の出来事もあった。Maduroのような立場にある者は当然、どの国でも要塞のようなところで強力な警備で守られてるはずだけど、そんな他国のリーダーを国外から攻撃して数時間で(米国側の)犠牲者ゼロでNYCに連れて帰ってくるっていう諜報能力やオペレーション遂行能力にはビックリ。米国と馬の合わない他国のリーダーも戦々恐々だろう。ただ、MAGAの重要な信条のひとつ、米国外不干渉の原則からは逸脱してるよね。イランとかベネズエラは単発攻撃なんで湾岸戦争とかベトナム戦争とは比較可能性はないけど、だからってMAGAのサポートは得られるんでしょうか。
Donro主義
ベネズエラに関しては過去の米国石油会社の資産没収や米国への薬物流入、等の特別な背景があるかもしれないけど、そう言えば先日公表された米国の「National Security Strategy」でも従来の外交政策を一変、米国の国家主権を最重要視して、グローバルではなく「西半球」(Western Hemisphere)の反米勢力やそこからの不法移民や犯罪の排除にフォーカスするとしてる。西半球を米国のSphere of Influenceとしてフォーカスする外交はMonro 主義だけど、その復活がうたわれていた。Donald Trumpにもじって早速Donro主義っていう新用語が生まれてる。
そんな原則の下、西半球以外の地域への関与は徐々に控えると同時に、米国が自分の裏庭だと思っている西半球に属するベネズエラが反米勢力に支配されたり、中国やロシアの影響が強くなったり石油がそれらの国に渡るのは許せないっていうことなんだろうか。Maduroは米国に逮捕される直前、中国の代表と会っていたそうだから反米他国とは親密な関係にあったんだろう。National Security Strategyではロシアとは安定的な関係を築くとしたり、中国にもソフトタッチな一方、欧州やNATOには冷淡。EUとは言論統制の問題、また国家主権や選挙に基づかないグローバリストによるSuper Stateの統治形態、等の観点からMAGAの米国とは馬が合わない。
グリーンランドと火星
西半球って言えばグリーンランドが含まれててこれも意味深。ベネズエラの例から見るに、その気になれば数時間で占拠可能なのかもしれないけど、現時点では対価を支払って取得するとかって未だ言ってるけどね。グリーンランドに関しては米国の国家安全保障や資源の観点からの重要性が指摘されるけど、米国の自律神経的に新たなフロンティアを求める血が騒いでるっていう側面はないのかな。
以前のポスティングでも書いた記憶があるけど、今の米国って、個人のLibertyを重要視するリベタリアン派には独立時や憲法起草当時の精神・理想から掛け離れた国になってしまったって感じてる者が少なくないだろう。MAGAってグローバリストに取り残された一般市民を代表する面もあるけど、Tech Rightとかのリベタリアン的な側面もあるよね。Tech Rightやリベタリアンの人は未開の地で一から米国が目指した真の個人の自由を再度追及したい、みたいなドリームがあるんじゃないかな、って感じる。Techの重鎮やCypherpunkの人って結構な人がイデオロギー的に真逆の大きな政府・官僚主導のCaliforniaにも住んでる気がするんでチョッと不思議だけど、根はリベタリアンな人が多いように感じる。火星に文明を築きたいっていうドリームも、もう地球はトルーマンショーで自由はないから新天地を目指したいみたいな理想を追求してるのかもね。でもTechが原因でますますトルーマンショーになっているんでなんか矛盾があるけど。グリーンランドはその一歩?
Bitcoin
Cypherpunkと言えばBitcoin。取引の多くが現金ではなくカード等の電子決済に移行した中、インターネット普及初期から取引を中央銀行や銀行に頼らずに純粋にPrivateに行う仕組みを現実化したいっていう者が現れてた。シルクロードみたいなアングラマーケットを目指したっていうよりも単純にお金の動きを把握されたりする点を嫌うPrivacy面、トランプ政権が問題視している過去のDe-bankとかでも明らかなように急に自分のお金が使えなくなったりするリスクを恐れたりする制度そのものに対する不信感、に基づく動きだと理解してるけど、E-Goldとかの流れからBitcoinはそれを達成しようとするもの。
でも今のところBitcoinは商業の媒体・通貨っていう機能よりも、どこまで価値が維持できるのか不安なFiat CurrencyやDebasement対策で長期的な富の温存的な存在になってるけど、価値が安定したら通貨としての機能も持つようになるかもね。後述の米ドルの問題と直結してる。米国法制面で2025年に可決・署名済みのGENIUS Actや今議会で議論されているCrypto Market Structure法案、などトランプ政権下ではCryptoに関してより活発な議論が行われているんでこちらも2026年は注目に値する。
基軸通貨USドルとペニー(セント)硬貨廃止
ニクソンショックで金本位性を一方的に撤回してドルがFiat Currencyになって際限なくドルをプリントすることができるようになったけど、それ以前、1913年にFederal Reserveが通貨を国単位で管理するようになってからのドルの価値は実に96%下がっている。逆に言えばインフレが3,000%っていうこと。1913年は連邦憲法改正で連邦政府がIncome Taxを徴収することが初めて認められた年。この辺りから建国時の理想は崩れていくね。大国のサガだ。
戦争その他のクライシス毎に出費を重ね結果、到底返済不能な$38Tの国家負債。過剰なドル供給でにっちもさっちもいかなくる姿はローマ時代の銀貨(denarius)に含まれる銀の量がどんどん低下していったのと同じ。帝国初期には98%ってほぼ純銀硬貨だったものが、90%、80%、50%、20%、ついに300年AD頃には2%からゼロ%って銀貨とは名ばかりになってしまった。銀貨の価値が低減する訳だから、当然銀貨で表示される物品の価格は上がる。6,000%を超えるインフレになりリーダーの信用な地に落ちた。はは、6,000%のローマ帝国の話しは大昔で今は違うって思うかもしれないけど、米国は1913年から100年掛けて3,000%。どっちがマシだろうか。
ちなみに米国のPennyは製造コストが1セントより高いっていうことで製造停止になったけど、これもPenny自体の価値(すなわちPennyの購買力)が大きく低下してしまったっていうことでDenariusの運命、そしてローマ帝国の運命を連想させる象徴的な2025年の出来事。
返済できないって分かってる負債に対処するため歴史的に必ず起こるのがDebasement。すなわち意図的に自国通貨の価値を下げて返済を容易にするっていう作戦。これはイコール、高いインフレなんで賃金上昇が表面インフレ率を上回らない限り一般市民には受け入れ難い。利下げその他の動きでこのテンションをどうするかのかじ取りは難しそう。ドルがBebaseって言ってもドルの為替レートは悪くなってないじゃんって思うかもしれないけど、それは他のFiat Currencyとの比較での話し。どの通貨、EUも円もFiat Currencyで同じような状況にあるんで相対的な話しなんだと思う。
米国が巨額の債務でも大丈夫だったのはドルが基軸通貨だっていう理由が大きい。所謂Exorbitant Privilegeだ。Overnightでドル以外の通貨が基軸通貨になるとは思えないけど、Debasementとは別の観点で基軸通貨を持つ国としてどうなのかな、って思えたのはロシアに対する制裁でバイデン政権がEUと一緒に$300Bのロシア中央銀行が持つドル資産を凍結してしまった事件。主にEuroclearにある資産の話しだけど、その後、EUでは凍結だけではなく実質没収(国際法上許されないってことで結局腰が引けた?)みたいな話しも出てたって理解してる。これは相当な冷却効果で、過去にも凍結は限定的にあったけど、核保有軍事大国ロシアの資産も凍結されたり没収の話しに至るっていうことは、特に反米のレッテルを張られやすい国の中央銀行として米国債やドル資産はリスキーって当然考えてドル離脱が加速するだろう。BRICsでは一部金でバックアップされたバスケット通貨構想もある。国家ですら凍結対象となるとCypherpunkが恐れる個人の資産凍結などはいとも簡単。Bitcoinがレスキューできるでしょうか。
なぜリセット?
米国や世界のリセットだけど、トランプが出てきて急にリセットしてるっていうよりも、ここ何年も掛けて蓄積されてきた支配階級のグローバリストと米国一般市民間の「Disconnect」が作因というかAgentで、その反発がトランプやMAGAとして具現化されてるってことだろう。そんなタイミングで媒体としてトランプって言う変人が存在したのは時の悪戯。トランプの好き嫌いは両極端なんで意見が割れるところだけど、100件近い刑事訴訟、その他民事訴訟、徹底したメディア中傷、その他の困難を克服して再選っていう精神力は普通ではない。
米国外の一般市民と生活を共にしてないんで肌感覚はゼロだけど、もし同様のDisconnectや不満、失望を感じている一般市民が米国外でも多いとすると、戦後80年のグローバル秩序は大きな曲がり角差し掛かってるだろう。支配階級のグローバリストは各国の一般市民の意思で成り立つ国家主権ベースではなく、権威主義的にトップダウンで世界レベルで事を進めようとするから、自国の選挙で地道に議員を選んだりしても結局何も変わんないねっていう無力感の蓄積も激しい。
僕たちは戦後のグローバル秩序しか体験したことないし、それがあたも未来永劫続くような錯覚に陥ってるかもしれないけど、歴史を見ると必ず訪れる大きなリセット。たまたまそんな時代に生きてるってことなんだろうね。
タックスの世界でもOECDのグローバルタックスなんかはその例で、自国の選挙や主権国家レベルの統治とは直接関係なく、各国市民に説明責任のない欧州の専門家が税法を書き、その規則から逸脱すると村八分にすることで各国に適用を半強制するもので、各国市民の意思が反映されているように見えない。15%のミニマム税を課すっていう政策が世界の発展にプラスかどうかって視点は置いておいて、その意思決定プロセスに対する議論が(米国外では)思ったよりも少ない点は意外だった。なんかトルーマンショーみたい。
この従来の民主主義とは異なる新しい姿のコンセンサス民主主義、すなわち支配階級にあるグローバリストが超国家的なポリシーを一般市民からは手の届かないところで合意し、各国にトップダウンでその実行を求めるタイプの民主主義(それが民主主義って言えればだけど…)で、Brexitやトランプ1.0以降に加速した感じがする。ただ「Rule-based」の秩序っていうのは、Ruleを策定する側に説明責任がないとRuleされる側の納得感が低下するっていう致命的な欠点があるけどね。
トップダウンの新しい民主主義の許容レベルは各国の国民性や国家統治のあり方、国際舞台での発言力等の違いにより凹凸があるだろう。議会制度(Congress制度、Parliament制ではないという意味)で、国民性的にもなんだかんだ言って個人のLibertyを重要視するリベタリアンが比較的多い米国では衝突必至のCollision Course。グローバルタックスでも結局衝突。G7が12月末までに合意することに合意していた(?)Side-by-sideはどうしちゃったんでしょうかって思ってたらギリギリセーフでルールが公表されたね。これを受けて米国財務長官のScott Bessentは「the historic victory in preserving US sovereignty」って反応してた。この反応からもグローバリタックスの問題はテクニカルなタックス面に加えて一般市民・有権者への説明責任を伴う主権国家ベースのRule作り、と新民主主義との確執だったことが計り知れる。まあ、Side-by-sideルール公開があんまり遅くなると議会では例の(苦笑)section 899の復活も噂されてたもんね。
グローバルタックスは法人税の世界なんで戦争や個人のLibertyの観点から比較的Benignな世界かもしれないけど、根本的なテンションは同じ。グローバリストがやり過ぎると一般市民から信頼が低下し、コロナ禍のDraconianな対処で多くの米国市民が専門家、メディア、官僚機構に失望してすっかり信頼をなくしたように、国際合意や国際機関への信用も低下してしまって結局これらの制度のいい面も台無しになり兼ねない。
2026年 (and beyond)
2025年のリセット・トレンドは反転不可で2026年も加速し、人類の歴史的に100年単位で訪れる大きなリセットの流れに身を置くことになるんだろうね。この大きな流れは良くも悪くも逆らうことはできず、国、企業、個人単位でリスク管理して対処するしかないね。関税や通商問題を考える際にも、リセット渦中でのひとつの現象として広範なトレンドっている文脈で対処していく必要がある。
この世は無常で盛者必衰。138億年っていう長~い歴史の中で僕たちが知ってる文明はたかが2~3千年、今のグローバル秩序に至ってはたった80年っていうスパンの話しなんで、一瞬の出来事に過ぎず当然未来永劫続くものじゃない。
テクノロジーやAIとかで「自分たちはローマやオランダ時代の人とは違う」っていう錯覚に陥るかもしれないけど、人間の根本的な行動パターンはたかが2000年とかでは変わらない。テクノロジーの進化で変わることがあるとすると変化のスピードが加速することだろうけど、根本的なストラクチャーは前述のローマ帝国のDebasementを見ても結局あんまり変わんないんじゃないだろうか。
リセット時には新たな勝者や敗者が現れるけど、日本としてはかじ取りを間違わずに自国の伝統、美学、そして世界でもまれに見る質の高い民度・文化を大切に温存していって欲しい。Some kind of happiness is measured out in milesだけど、HappinessのMeasureは他にもあるんで資源やお金は限りがあるっていう前提で国としてどんなHappinessを目指すのかな。
ということで慣れない話しだったけど次回からはまたタックス三昧しましょう。
Monday, December 29, 2025
DC REIT判断時のCorporation look-throughルール短命で削除
ゆく年くる年の前にチョッと時間あるんで今回はREIT関係の2025年新規則草案に関して。
FIRPTA/REIT
REITの持分は大概において(必ずしもそうじゃないんで要注意だけど)FIRPTA課税対象のUSRPIに当たるんで、外国人による持分譲渡損益は原則ECIとして申告課税対象になる。REIT持分が公認取引所で流通されてる場合には、10%超(REITやRIC以外は5%超)の持分を所有していない限りUSRPIには当たらないとかいくつか例外があるけど、REITに関しては他のUSRPIとの比較で有利な「Domestically Controlled(DC)」例外がある。すなわちDC REIT持分はUSRPIに当たらないと規定され、外国人が譲渡しても申告課税の対象にならない。この例外、正確にはUSRPHCに区分されるRICも含む「Qualified Investment Entity(QIE)」に適用があるけど、FIRPTAの話しなんで簡便的にREITって言っておく。QIEなんて言うと一般読者にしてみると「何それ?」ってなるしね。
DC REITを含むFIRPTAやREITの詳細は2022年規則草案が公表された頃に連載した「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案)」で触れてるんでそちらを参照して欲しい。
2022年DC REIT規則草案「CorporationのLook-through」
2022年も終わろうとしていた12月29日、複数の駆け込み規則のひとつとしてDC REITをカバーした規則草案(2022年規則草案)が公表された。さすがにもう新しい規則とか出ないだろうって油断してマイアミビーチでキューバンコーヒー三昧してたんで面食らったのを覚えてる。
DC REIT持分がUSRPIでないとすると、当然、どんなREITがDC REITに位置付けられるかが重要。以前も触れたけど、DC REITって言うけど、実際の判断時にはDomestically Controlledかどうかよりも「ForeignにControlされてない」っていう認定が重要。原則ルール的には過去5年間継続して外国人が直接・間接に50%未満の持分しか持っていないREITがDC REITになる。
外国人にどれだけの持分%を直接・間接に所有されているかを判断する際、2022年規則草案では「Look-throughアプローチ」を正式に定義して採択。当アプローチ下では、直接にしても間接にしても「Non-look-through主体」のみがREIT持分を所有していると取り扱われる。逆に「Look-through主体」に所有されている持分はLook-through主体の所有者が間接所有していると取り扱う。ここまでは「なるほど、それはそうだよね」って感じ。米国税務上パススルー課税に区分されるパートナーシップとかをLook-throughするのは自然な話しだ。
で、米国税務上法人課税に区分される主体、ここでは簡単にCorporationって言っておくけど、は一般的にはNon-look-throughって規定されてるんだけど、2022年規則草案では公認取引市場で流通していない(非上場って言っておくね)米国Corporationの持分25%以上を外国人が所有している場合は、そんなCorporationはLook-through主体と取り扱うと規定した。米国Corporationだから、REIT持分譲渡益を含むWorldwide所得全額に課税されるんだけど、REITがDCがどうかの判断目的ではパススルーかのように一定要件下でLook-throughしますっていうもの。CorporationをLook-throughするって一体全体どっからそんなルールが来るの?って驚愕をもって受け止められた。
2024年最終規則
2024年4月24日、規則策定権や規則の内容そのものに対する反論・疑問、また非上場でも必ずしもUpper Tierの持分所有者の特定が容易ではないっていうルール適用時の実務的な障害、その他の理由に基づく撤回要求が多く寄せられたにもかかわらず、財務省はそれらの見解には全て「Disagree」ということで、米国CorporationのLook-through主体ルールが最終化された。ただし、2022年規則草案ではLook-throughがトリガーされる外国人が所有%が25%以上だったけど、最終規則ではこれを50%以上に緩和し移行措置も規定した。このトリガー持分の引き上げをもってCorporationのLook-throughルールのScopeは「Significantly narrow」になったって財務省は胸を張ったけど、基本的なCorporationのLook-throughルールは同じ。前回のExcise TaxのFunding規定からPer Seルールを除去することで「Substantial modification」って言ってたのと似ている。納税者としては釈然としないところだったけど、後は法廷で司法府の判断を仰ぐのみ。法廷に持ち込むにはStandingが必要なので誰かがCorporationのLook-throughルールに基づき課税されるのを待つ必要があった。2024年最終規則に関しては当時「FIRPTAアップデート(DC REITのC CorporationのLook-throughルール最終化)」で詳細を説明してるんで参照して欲しい。
2025年新規則草案CorporationのLook-throughルール削除
CorporationのLook-throughルールはどれだけおかしなルールでも最終化されてしまったんで法廷で無効化されるまでは万事休すって思われてたけど、2025年にDe-Regulations志向の新政権が誕生し、他の多くの眉唾な規則と並び、改訂が期待されていた。そんな期待に応え、2025年10月21日に新たな規則草案が公表された。
最終規則公表後も引き続き納税者からCorporationのLook-throughルール撤回を求めるコメントが寄せられ続けた。適用時の実務的な困難さ、条文と不整合、米国Corporationはフルに課税主体、等のコメント全てに財務省は合意し、米国Corporationはその持分構成にかかわらず全てNon-Look-through主体とした。この新ルールの正式適用開始日は規則が最終化された日以降だけど、2024年4月25日、すなわちCorporationのLook-throughルールが最終化された日、以降の取引、さらに2024年4月25日より前に効果を持つEntity Classificationを4月25日以降に選択したケース、に新ルールの適用を認めている。
Excise TaxのFunding規定を含む他の規則もそうだけど、規則が条文とかけ離れたアクティビスト的な方向に行っていたのを普通のレベルに戻してくれてて納税者としては納得感が高い。もちろん納税者としてLook-throughしない方がありがたい。ただ、ポリシーとしてDC REIT判断時にCorporationをLook-throughするべきかどうかは立場次第で賛否両論いろいろあるだろから、もしそうしたいのであれば、憲法の観点からもExecutive Branchの行政府ではなく、立法府の議会がきちんと議論して法律を変えて実行するべきっていう観点での納得感だね。
FIRPTA/REIT
REITの持分は大概において(必ずしもそうじゃないんで要注意だけど)FIRPTA課税対象のUSRPIに当たるんで、外国人による持分譲渡損益は原則ECIとして申告課税対象になる。REIT持分が公認取引所で流通されてる場合には、10%超(REITやRIC以外は5%超)の持分を所有していない限りUSRPIには当たらないとかいくつか例外があるけど、REITに関しては他のUSRPIとの比較で有利な「Domestically Controlled(DC)」例外がある。すなわちDC REIT持分はUSRPIに当たらないと規定され、外国人が譲渡しても申告課税の対象にならない。この例外、正確にはUSRPHCに区分されるRICも含む「Qualified Investment Entity(QIE)」に適用があるけど、FIRPTAの話しなんで簡便的にREITって言っておく。QIEなんて言うと一般読者にしてみると「何それ?」ってなるしね。
DC REITを含むFIRPTAやREITの詳細は2022年規則草案が公表された頃に連載した「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案)」で触れてるんでそちらを参照して欲しい。
2022年DC REIT規則草案「CorporationのLook-through」
2022年も終わろうとしていた12月29日、複数の駆け込み規則のひとつとしてDC REITをカバーした規則草案(2022年規則草案)が公表された。さすがにもう新しい規則とか出ないだろうって油断してマイアミビーチでキューバンコーヒー三昧してたんで面食らったのを覚えてる。
DC REIT持分がUSRPIでないとすると、当然、どんなREITがDC REITに位置付けられるかが重要。以前も触れたけど、DC REITって言うけど、実際の判断時にはDomestically Controlledかどうかよりも「ForeignにControlされてない」っていう認定が重要。原則ルール的には過去5年間継続して外国人が直接・間接に50%未満の持分しか持っていないREITがDC REITになる。
外国人にどれだけの持分%を直接・間接に所有されているかを判断する際、2022年規則草案では「Look-throughアプローチ」を正式に定義して採択。当アプローチ下では、直接にしても間接にしても「Non-look-through主体」のみがREIT持分を所有していると取り扱われる。逆に「Look-through主体」に所有されている持分はLook-through主体の所有者が間接所有していると取り扱う。ここまでは「なるほど、それはそうだよね」って感じ。米国税務上パススルー課税に区分されるパートナーシップとかをLook-throughするのは自然な話しだ。
で、米国税務上法人課税に区分される主体、ここでは簡単にCorporationって言っておくけど、は一般的にはNon-look-throughって規定されてるんだけど、2022年規則草案では公認取引市場で流通していない(非上場って言っておくね)米国Corporationの持分25%以上を外国人が所有している場合は、そんなCorporationはLook-through主体と取り扱うと規定した。米国Corporationだから、REIT持分譲渡益を含むWorldwide所得全額に課税されるんだけど、REITがDCがどうかの判断目的ではパススルーかのように一定要件下でLook-throughしますっていうもの。CorporationをLook-throughするって一体全体どっからそんなルールが来るの?って驚愕をもって受け止められた。
2024年最終規則
2024年4月24日、規則策定権や規則の内容そのものに対する反論・疑問、また非上場でも必ずしもUpper Tierの持分所有者の特定が容易ではないっていうルール適用時の実務的な障害、その他の理由に基づく撤回要求が多く寄せられたにもかかわらず、財務省はそれらの見解には全て「Disagree」ということで、米国CorporationのLook-through主体ルールが最終化された。ただし、2022年規則草案ではLook-throughがトリガーされる外国人が所有%が25%以上だったけど、最終規則ではこれを50%以上に緩和し移行措置も規定した。このトリガー持分の引き上げをもってCorporationのLook-throughルールのScopeは「Significantly narrow」になったって財務省は胸を張ったけど、基本的なCorporationのLook-throughルールは同じ。前回のExcise TaxのFunding規定からPer Seルールを除去することで「Substantial modification」って言ってたのと似ている。納税者としては釈然としないところだったけど、後は法廷で司法府の判断を仰ぐのみ。法廷に持ち込むにはStandingが必要なので誰かがCorporationのLook-throughルールに基づき課税されるのを待つ必要があった。2024年最終規則に関しては当時「FIRPTAアップデート(DC REITのC CorporationのLook-throughルール最終化)」で詳細を説明してるんで参照して欲しい。
2025年新規則草案CorporationのLook-throughルール削除
CorporationのLook-throughルールはどれだけおかしなルールでも最終化されてしまったんで法廷で無効化されるまでは万事休すって思われてたけど、2025年にDe-Regulations志向の新政権が誕生し、他の多くの眉唾な規則と並び、改訂が期待されていた。そんな期待に応え、2025年10月21日に新たな規則草案が公表された。
最終規則公表後も引き続き納税者からCorporationのLook-throughルール撤回を求めるコメントが寄せられ続けた。適用時の実務的な困難さ、条文と不整合、米国Corporationはフルに課税主体、等のコメント全てに財務省は合意し、米国Corporationはその持分構成にかかわらず全てNon-Look-through主体とした。この新ルールの正式適用開始日は規則が最終化された日以降だけど、2024年4月25日、すなわちCorporationのLook-throughルールが最終化された日、以降の取引、さらに2024年4月25日より前に効果を持つEntity Classificationを4月25日以降に選択したケース、に新ルールの適用を認めている。
Excise TaxのFunding規定を含む他の規則もそうだけど、規則が条文とかけ離れたアクティビスト的な方向に行っていたのを普通のレベルに戻してくれてて納税者としては納得感が高い。もちろん納税者としてLook-throughしない方がありがたい。ただ、ポリシーとしてDC REIT判断時にCorporationをLook-throughするべきかどうかは立場次第で賛否両論いろいろあるだろから、もしそうしたいのであれば、憲法の観点からもExecutive Branchの行政府ではなく、立法府の議会がきちんと議論して法律を変えて実行するべきっていう観点での納得感だね。
Sunday, December 28, 2025
自社株買いExcise Tax「Funding規定」不採択
ということで昨日はElla and Bossa Beat聴いて何から始めようか考えたんだけど、個人的な好みのCFC持分譲渡時のNCTI・245A、Inbound FとFIRPTA、またはForeign Governmentの取り扱いとかから行くか、ここはチョッと我慢して一般読者の皆さん側で関心が高いかな~って推測される自社株買い1%懲罰課税のFunding規則撤廃とかDC REITに行くか、で迷った挙句、後者で行くことにしました。Inbound Fじゃなくて安心した?
自社株買い1%Excise Tax(懲罰課税)
2022年IRAで米国上場企業による自社株買いに1%のExcise Taxが導入された(section 4501)。2017年のTCJAで法人税率が35%から21%に引き下げられたこともあり、その分単純に法人の税引後利益および配当原資は増額するだろうから、従来から活発だった自社株買いはさらに拡大してたね。 このExcise Tax、報道とか読んでると日本語で「物品税」って訳すのが一般的みたいなんだけど、例えば大型トラックの販売に対するExcise Tax(4051)とかだったらトラックは物品だろうから分かり易いし、ガソリンの卸しに対するExcise Tax(4081)も、まあガソリンも有形だし何となく日常的な感覚の物とはチョッとズレる気はするけど、まあ物品税なのかな~って思える。でも、自社株式買いに対するExcise Taxは物品って感じは全然しないんでこの訳はしっくりこない。僕の日本語力の問題の可能性も大だけど、Excise Taxって米国では政府の視点で好ましくない行動や取引に懲罰的に課す税金っていうニュアンスがあるんで個人的には懲罰課税って呼んでる。ここでは無難なところで(自社株買い)Excise Taxって統一しておきます。
このExcise Tax、概念的には比較的シンプルなはずだった…。株式が公認Stock Exchangeで取引されている「米国法人」を適用対象法人とし、2023年1月以降の適用対象法人による自社株買い対象株式時価の1%を法人の課税年度ベースでExcise Taxとして課すというもの。税法(Title 26)のSubtitle D(4000番台)にCodifyされていることから分かる通り、Miscellaneous Excise Taxのひとつであり、よってSubtitle A(1~1563)の「Income Tax」ではない。Excise Taxなんで単純に取引価格に%を掛け、費用控除は認められない。ここまでは「なるほど…」って感じで仕方ないんだけど、読んでいくと設計ミス的な複雑性が伴い始める。何と言っても致命的なのが「Stock Repurchase」定義。4000番台のExcise Tax下の規定にもかかわらず「自社株買い(Repurchase)」はIncome Tax(Subtitle A)のChapter 1傘下で法人取引やM&Aの課税関係を規定しているSubchapter C(Sub C)に属するsection 317の「Redemption」(および財務省が「当Redemptionと経済的に類似と判断する取引」)って定義されている。ええ~、マーケットで認識されている所謂自社株買いとSub CのRedemptionって全然Scopeが異なるけど大丈夫…?って驚愕したとしても、既に立法府の議会で条文化されてしまってるんでどうしようもない。
ちなみにIRAのExcise Tax導入には何らかの深淵なポリシー目的があるはずで、例えばZuckerburg効果の抑止とか、それが何なのか教えて欲しいっていうリクエストが少なからずあるんだけど、IRAのエネジークレジットの財源として急遽抜擢されただけの話しでLegislative HistoryやIntentの記録は一切ない。何も記録がないんで憶測に過ぎないけど、IRA審議時にCarried Interest課税強化可決に足る票が集まらず、代替財源が必要となりExcise Taxが急遽法制化されたに過ぎない。したがってもちろんだけどなぜsection 317のRedemption定義を流用したかの議論は残っていない。
またExcise Taxって通常、四半期ごとに申告して支払うけど、課税年度ベースで支払うとなると手続きも異なって混乱だったよね。結局、2023年は準備が整わず混乱の挙句に申告・納税は不要(苦笑)っていう変わったアナウンスに至っていた。2023年6月のAnnouncement 2023-18だ。
上述の通り、何がsection 317のRedemptionと経済的に類似する取引かっていう判断権限は、立法府の議会が条文で行政府の財務省に付与している。Excise Taxが立法化された2022年夏はまだChevron原則下だから行政府は条文解釈に対する広範な裁量を持っていた。その後2024年6月に言い渡されたLoper Bright最高裁判例でChevron原則は撤廃され、連邦憲法の趣旨に立ち返り、拡大一方の行政府の裁量が抑制されている。行政府が策定する規則は立法趣旨に沿って合理的でないといけないし(この点はChevronの2ステップテストのうち、2つ目のテストでもそうだったはずなんだけどね…)、沿っているかどうかの判断時に行政府の判断をほぼ常に尊重するのではなく、司法府が行政府の解釈が合理的かどうか、策定権の範囲内かを判断することになった。「経済的に類似する取引」が何かの解釈に関して行政府の判断・裁量はChevron原則下よりLoper Bright原則下ではより限定されることになる。ただ後述のFunding規定はChevron原則でも法廷でチャレンジされると怪しかったんじゃないかな。
例えば、議会が「桶屋が儲かっている、または経済的に類似する」場合にはExcise Taxを課すっていう法律を通し、何が類似するかは行政府に規則策定権を付与したとする。財務省は規則を策定し「風が吹いたら桶屋が儲かり経済的に類似することからExcise Taxを課す」っていう規則を公表したとする。風を感じた者にExcise Taxが課せられ、裁判になったとしたら、さすがにChevron原則でも合理的な解釈じゃないってことになるだろう。桶屋はもちろん非現実的な例だけど、Excise TaxのFunding規定って個人的にはそれに近いくらいStretchだったと思う。
Funding規定案
風が吹いて桶屋が儲かるFunding規定、もともと2023年1月にNoticeに規定されて世間を驚かせた後、2024年4月の規則草案に若干「緩和」されて盛り込まれていた。Funding規定は簡単に言うと米国法人が、関連者の外国上場企業が米国外で実施する自社株買いの財源を直接・間接に提供、すなわちFundingしている場合、米国法人は外国法人株式を取得していると取り扱われExcise Taxの対象になるっていうもの。上場日本企業の例で行くと米国子会社が分配、貸付を含むいかなる形式でも親会社に資金提供・Fundingし、Fundingの主たる目的のひとつ(「a」 principal purpose)がExcise Tax回避の場合、米国子会社がExcise Taxの対象になる。
2023年のNoticeでは分配以外の取引(例、貸付)の前後2年間に親会社が自社株買いを実行している場合、「反証不可」でFundingの主たる目的のひとつはExcise Tax回避だったと認定するという「Per Se」ルールが規定されていた。日本親会社は米国のExcise Taxなんかが可決される前から自社株買いプログラムを持ってるところも多いし、そもそもExcise Taxの存在も認識してないケースもあるだろう。また、従来から子会社から定期的に分配を受け取ったり、Cash Management等で借入をしてたりするのは極普通。にもかかわらず後からExcise Taxが可決され、米国子会社から日本親会社へのFundingはExcise Tax回避が目的っていう超訳分かんないことになっていた。しかも主たる目的って一体全体誰の目的?日本の親会社なのか米国子会社なのかも不明だった。
NoticeのFunding規定、特にPer Seルールには多くの反論が寄せられた結果、2024年4月の規則草案のFunding規定はPer Seルールの代わりに反証可能な推定事実認定となった。財務省は大きな改訂(Substantial modification)と胸を張ったが、反証こそ可能になったもののFunding規定の基本的なストラクチャーはそのまま。しかもFundingのひとつの目的が直接・間接に親会社の自社株買い資金を提供している場合、それをもってイコールExcise Tax回避目的と規定されていた。この点に関して、納税者等からFundingの意図とExcise Tax回避の意図は異なるっていう反論が寄せられていた。
2024年6月に最終化された規則は主に手続き的な規則にかかわるもので、Funding規定は含まれていなかった。バイデン政権末期に規則策定権または法的解釈が眉唾な規則が次々最終化されていったので、Funding規定もそのまま最終化されてしまうのかな~って危惧はあったけど結局、草案のまま政権交代となった。
パラダイムシフトの2025年Excise Tax最終規則
つい一か月ほど前の2025年11月21日に最終化されたExcise Tax規則は2024年6月の最終規則ではペンディングになっていた手続き面以外の規則案の多くを大幅に自由化、合理化した。2024年4月の規則草案の(法人の視点から)行き過ぎの規則の多くがリバースされ、パラダイムシフトって言っても過言じゃない。前座としてFunding規定以外でいくつか代表的なものを挙げておくと次の通り。
Preferred Stock
規則草案では原則、全てのPreferred Stockの償還も自社株買いExcise Taxの対象とされていた。Preferred Stockは償還が義務つけられているタイプも珍しくないことから一定条件下で不適用にして欲しいというコメントが寄せられていた。特にExcise Taxが可決された2022年8月16日より前に償還権が付与されていたPreferred Stockに関しては、債権交付時にはExcise Taxという制度は存在せず、当事者のEconomicsが後から没収されるような効果となることから過去遡及の適用はおかしいというコメントもあった。最終規則ではどれも「ごもっとも」ということで、所謂Vanilla Preferred stock(連結納税グループの判断時に無視されるベーシックなTermのみ付与されるタイプのPreferred Stock)はその性格がDebtに近いということでExcise Tax目的ではStockに当たらないと規定された。またVanillaでなくてもExcise Tax可決(2024年8月16日)より前に交付されたPreferred Stockのうち、償還が義務つけられていたり、HolderにPut Optionが付与されていたりするケースの償還はExcise Tax対象から除外するとされた。
LBO/Take-Private/企業買収
Leveraged Buyout(LBO)やTake Privateのストラクチャリングは一つじゃないけど、もう何十年もベーシックなストラクチャーは同じ。LBOの「L」のLeverageはバイアウトファンドによるターゲット買収対価の一部で、メカニクスとしては通常、Debt Commitment Letterに基づきTransitoryのMerger Subが借り入れ、ファンドがEquity Commitment Letterに基づいて提供するEquityポーションにプラスされてトータル取得対価を構成する。同時にMerger Subの負債はMergerやDouble Mergerでターゲットが継承する。ちなみにバイアウトファンドによるこのLeverage導入はその昔から一貫してそのままで、ここ10年程度で定着したファンドレベルのSub LineやNAV Debtと混同しないようにね。同様にTake Privateも、TransitoryなMerger Subを介して結局のところターゲット法人の資産を原資に一般株主の持分が換金化される。双方共に(LBOのケースではDCLに基づく部分Debt部分)株式取得対価をターゲットが負担してるんで税務上は「Redemption」と位置付けられ、多くのケースで302(b)(1)下で「Payment in exchange for the stock」となる。Sub Cの世界ではこのExchangeは明らかにsection 317(b)のRedemptionに当たる。となるとメカニカルには条文定義的にExcise Taxの対象になるんでNoticeや規則草案ではLBOやTake Privateのターゲット取得対価もExcise Taxの対象としていた。所謂自社株買いプログラムとは似つかない取引だけど、4000番台のExcise TaxにSub Cの定義を流用した制度設計の弊害のひとつで、納税者からは趣旨的に対象外ではないかっていうコメントが寄せられていた。
最終規則では法人株主構成を根本的に変えてしまうタイプの取引は、議会がExcise Taxの対象と意図していた自社株買いとは似つかないとしてExcise Tax対象外としている。またLBOやTake Privateに加えて、企業買収取引のケースではそもそも単独法人のCorporate Financeの域を超えてるとし、適用対象法人がM&Aその他のCorporate Transactionを介して適用対象法人でなくなる(すなわち上場企業ではなくなる)取引はExcise Tax対象外としている。結果としてLBOや法人買収時に対価の原資をトラッキングしたりする作業も不要となった。Section 355適格スピンのうち、Pro-RataのSpin-offではないSplit-Offに関しては引き続き条件付きでExcise Taxの対象とされる。Split-OffはCorporate Finance的にも経済的にもRedemptiveな取引(にもかかわらず355適格の場合にはDistributing法人レベルでControlled法人株式の含み益に課税ナシになるんでとても強力)なんで、こちらがExcise Taxの網に掛かり続けるのは、買収型の取引との比較で仕方ない観がある。
そしてFunding規定不採択
Funding規定はNotice時の規定は言うまでもなく、規則草案で「substantial modification」された後も完全撤廃を求める声は後を絶たなかった。それでも政権交代前にカンファレンスでIRSのChief Counsel Office高官が発言してたのを聞いた際は「いろんなNoiseはあるが、規則草案で緩和したんで合理的」って感じだったけどね。反対の理由は多岐に亘ったけど主に次のようなもの。Excise Tax導入以前から恒常的に実行している取引にもかかわらず新たなコンプライアンス負荷が高い、米国子会社による親会社への配当、貸付その他の資金供与の主たる目的のひとつが親会社の自社株買いをFundingっていう認定はどのタイミングで行うのか、また誰の動機なのかが不明、ルール適用有無の基準が不明確、親会社側の多岐に亘るFunding源泉有無が加味されない、など。最終規則では「これらのコメントに基づきFunding規定は採択されない」と極めてシンプルにバッサリ。
ということでExcise Taxの最終規則でした。年末が近づいてきたんで次回は恒例のゆく年くる年。その後、De-RegulationsおよびOB3で続けます。
自社株買い1%Excise Tax(懲罰課税)
2022年IRAで米国上場企業による自社株買いに1%のExcise Taxが導入された(section 4501)。2017年のTCJAで法人税率が35%から21%に引き下げられたこともあり、その分単純に法人の税引後利益および配当原資は増額するだろうから、従来から活発だった自社株買いはさらに拡大してたね。 このExcise Tax、報道とか読んでると日本語で「物品税」って訳すのが一般的みたいなんだけど、例えば大型トラックの販売に対するExcise Tax(4051)とかだったらトラックは物品だろうから分かり易いし、ガソリンの卸しに対するExcise Tax(4081)も、まあガソリンも有形だし何となく日常的な感覚の物とはチョッとズレる気はするけど、まあ物品税なのかな~って思える。でも、自社株式買いに対するExcise Taxは物品って感じは全然しないんでこの訳はしっくりこない。僕の日本語力の問題の可能性も大だけど、Excise Taxって米国では政府の視点で好ましくない行動や取引に懲罰的に課す税金っていうニュアンスがあるんで個人的には懲罰課税って呼んでる。ここでは無難なところで(自社株買い)Excise Taxって統一しておきます。
このExcise Tax、概念的には比較的シンプルなはずだった…。株式が公認Stock Exchangeで取引されている「米国法人」を適用対象法人とし、2023年1月以降の適用対象法人による自社株買い対象株式時価の1%を法人の課税年度ベースでExcise Taxとして課すというもの。税法(Title 26)のSubtitle D(4000番台)にCodifyされていることから分かる通り、Miscellaneous Excise Taxのひとつであり、よってSubtitle A(1~1563)の「Income Tax」ではない。Excise Taxなんで単純に取引価格に%を掛け、費用控除は認められない。ここまでは「なるほど…」って感じで仕方ないんだけど、読んでいくと設計ミス的な複雑性が伴い始める。何と言っても致命的なのが「Stock Repurchase」定義。4000番台のExcise Tax下の規定にもかかわらず「自社株買い(Repurchase)」はIncome Tax(Subtitle A)のChapter 1傘下で法人取引やM&Aの課税関係を規定しているSubchapter C(Sub C)に属するsection 317の「Redemption」(および財務省が「当Redemptionと経済的に類似と判断する取引」)って定義されている。ええ~、マーケットで認識されている所謂自社株買いとSub CのRedemptionって全然Scopeが異なるけど大丈夫…?って驚愕したとしても、既に立法府の議会で条文化されてしまってるんでどうしようもない。
ちなみにIRAのExcise Tax導入には何らかの深淵なポリシー目的があるはずで、例えばZuckerburg効果の抑止とか、それが何なのか教えて欲しいっていうリクエストが少なからずあるんだけど、IRAのエネジークレジットの財源として急遽抜擢されただけの話しでLegislative HistoryやIntentの記録は一切ない。何も記録がないんで憶測に過ぎないけど、IRA審議時にCarried Interest課税強化可決に足る票が集まらず、代替財源が必要となりExcise Taxが急遽法制化されたに過ぎない。したがってもちろんだけどなぜsection 317のRedemption定義を流用したかの議論は残っていない。
またExcise Taxって通常、四半期ごとに申告して支払うけど、課税年度ベースで支払うとなると手続きも異なって混乱だったよね。結局、2023年は準備が整わず混乱の挙句に申告・納税は不要(苦笑)っていう変わったアナウンスに至っていた。2023年6月のAnnouncement 2023-18だ。
上述の通り、何がsection 317のRedemptionと経済的に類似する取引かっていう判断権限は、立法府の議会が条文で行政府の財務省に付与している。Excise Taxが立法化された2022年夏はまだChevron原則下だから行政府は条文解釈に対する広範な裁量を持っていた。その後2024年6月に言い渡されたLoper Bright最高裁判例でChevron原則は撤廃され、連邦憲法の趣旨に立ち返り、拡大一方の行政府の裁量が抑制されている。行政府が策定する規則は立法趣旨に沿って合理的でないといけないし(この点はChevronの2ステップテストのうち、2つ目のテストでもそうだったはずなんだけどね…)、沿っているかどうかの判断時に行政府の判断をほぼ常に尊重するのではなく、司法府が行政府の解釈が合理的かどうか、策定権の範囲内かを判断することになった。「経済的に類似する取引」が何かの解釈に関して行政府の判断・裁量はChevron原則下よりLoper Bright原則下ではより限定されることになる。ただ後述のFunding規定はChevron原則でも法廷でチャレンジされると怪しかったんじゃないかな。
例えば、議会が「桶屋が儲かっている、または経済的に類似する」場合にはExcise Taxを課すっていう法律を通し、何が類似するかは行政府に規則策定権を付与したとする。財務省は規則を策定し「風が吹いたら桶屋が儲かり経済的に類似することからExcise Taxを課す」っていう規則を公表したとする。風を感じた者にExcise Taxが課せられ、裁判になったとしたら、さすがにChevron原則でも合理的な解釈じゃないってことになるだろう。桶屋はもちろん非現実的な例だけど、Excise TaxのFunding規定って個人的にはそれに近いくらいStretchだったと思う。
Funding規定案
風が吹いて桶屋が儲かるFunding規定、もともと2023年1月にNoticeに規定されて世間を驚かせた後、2024年4月の規則草案に若干「緩和」されて盛り込まれていた。Funding規定は簡単に言うと米国法人が、関連者の外国上場企業が米国外で実施する自社株買いの財源を直接・間接に提供、すなわちFundingしている場合、米国法人は外国法人株式を取得していると取り扱われExcise Taxの対象になるっていうもの。上場日本企業の例で行くと米国子会社が分配、貸付を含むいかなる形式でも親会社に資金提供・Fundingし、Fundingの主たる目的のひとつ(「a」 principal purpose)がExcise Tax回避の場合、米国子会社がExcise Taxの対象になる。
2023年のNoticeでは分配以外の取引(例、貸付)の前後2年間に親会社が自社株買いを実行している場合、「反証不可」でFundingの主たる目的のひとつはExcise Tax回避だったと認定するという「Per Se」ルールが規定されていた。日本親会社は米国のExcise Taxなんかが可決される前から自社株買いプログラムを持ってるところも多いし、そもそもExcise Taxの存在も認識してないケースもあるだろう。また、従来から子会社から定期的に分配を受け取ったり、Cash Management等で借入をしてたりするのは極普通。にもかかわらず後からExcise Taxが可決され、米国子会社から日本親会社へのFundingはExcise Tax回避が目的っていう超訳分かんないことになっていた。しかも主たる目的って一体全体誰の目的?日本の親会社なのか米国子会社なのかも不明だった。
NoticeのFunding規定、特にPer Seルールには多くの反論が寄せられた結果、2024年4月の規則草案のFunding規定はPer Seルールの代わりに反証可能な推定事実認定となった。財務省は大きな改訂(Substantial modification)と胸を張ったが、反証こそ可能になったもののFunding規定の基本的なストラクチャーはそのまま。しかもFundingのひとつの目的が直接・間接に親会社の自社株買い資金を提供している場合、それをもってイコールExcise Tax回避目的と規定されていた。この点に関して、納税者等からFundingの意図とExcise Tax回避の意図は異なるっていう反論が寄せられていた。
2024年6月に最終化された規則は主に手続き的な規則にかかわるもので、Funding規定は含まれていなかった。バイデン政権末期に規則策定権または法的解釈が眉唾な規則が次々最終化されていったので、Funding規定もそのまま最終化されてしまうのかな~って危惧はあったけど結局、草案のまま政権交代となった。
パラダイムシフトの2025年Excise Tax最終規則
つい一か月ほど前の2025年11月21日に最終化されたExcise Tax規則は2024年6月の最終規則ではペンディングになっていた手続き面以外の規則案の多くを大幅に自由化、合理化した。2024年4月の規則草案の(法人の視点から)行き過ぎの規則の多くがリバースされ、パラダイムシフトって言っても過言じゃない。前座としてFunding規定以外でいくつか代表的なものを挙げておくと次の通り。
Preferred Stock
規則草案では原則、全てのPreferred Stockの償還も自社株買いExcise Taxの対象とされていた。Preferred Stockは償還が義務つけられているタイプも珍しくないことから一定条件下で不適用にして欲しいというコメントが寄せられていた。特にExcise Taxが可決された2022年8月16日より前に償還権が付与されていたPreferred Stockに関しては、債権交付時にはExcise Taxという制度は存在せず、当事者のEconomicsが後から没収されるような効果となることから過去遡及の適用はおかしいというコメントもあった。最終規則ではどれも「ごもっとも」ということで、所謂Vanilla Preferred stock(連結納税グループの判断時に無視されるベーシックなTermのみ付与されるタイプのPreferred Stock)はその性格がDebtに近いということでExcise Tax目的ではStockに当たらないと規定された。またVanillaでなくてもExcise Tax可決(2024年8月16日)より前に交付されたPreferred Stockのうち、償還が義務つけられていたり、HolderにPut Optionが付与されていたりするケースの償還はExcise Tax対象から除外するとされた。
LBO/Take-Private/企業買収
Leveraged Buyout(LBO)やTake Privateのストラクチャリングは一つじゃないけど、もう何十年もベーシックなストラクチャーは同じ。LBOの「L」のLeverageはバイアウトファンドによるターゲット買収対価の一部で、メカニクスとしては通常、Debt Commitment Letterに基づきTransitoryのMerger Subが借り入れ、ファンドがEquity Commitment Letterに基づいて提供するEquityポーションにプラスされてトータル取得対価を構成する。同時にMerger Subの負債はMergerやDouble Mergerでターゲットが継承する。ちなみにバイアウトファンドによるこのLeverage導入はその昔から一貫してそのままで、ここ10年程度で定着したファンドレベルのSub LineやNAV Debtと混同しないようにね。同様にTake Privateも、TransitoryなMerger Subを介して結局のところターゲット法人の資産を原資に一般株主の持分が換金化される。双方共に(LBOのケースではDCLに基づく部分Debt部分)株式取得対価をターゲットが負担してるんで税務上は「Redemption」と位置付けられ、多くのケースで302(b)(1)下で「Payment in exchange for the stock」となる。Sub Cの世界ではこのExchangeは明らかにsection 317(b)のRedemptionに当たる。となるとメカニカルには条文定義的にExcise Taxの対象になるんでNoticeや規則草案ではLBOやTake Privateのターゲット取得対価もExcise Taxの対象としていた。所謂自社株買いプログラムとは似つかない取引だけど、4000番台のExcise TaxにSub Cの定義を流用した制度設計の弊害のひとつで、納税者からは趣旨的に対象外ではないかっていうコメントが寄せられていた。
最終規則では法人株主構成を根本的に変えてしまうタイプの取引は、議会がExcise Taxの対象と意図していた自社株買いとは似つかないとしてExcise Tax対象外としている。またLBOやTake Privateに加えて、企業買収取引のケースではそもそも単独法人のCorporate Financeの域を超えてるとし、適用対象法人がM&Aその他のCorporate Transactionを介して適用対象法人でなくなる(すなわち上場企業ではなくなる)取引はExcise Tax対象外としている。結果としてLBOや法人買収時に対価の原資をトラッキングしたりする作業も不要となった。Section 355適格スピンのうち、Pro-RataのSpin-offではないSplit-Offに関しては引き続き条件付きでExcise Taxの対象とされる。Split-OffはCorporate Finance的にも経済的にもRedemptiveな取引(にもかかわらず355適格の場合にはDistributing法人レベルでControlled法人株式の含み益に課税ナシになるんでとても強力)なんで、こちらがExcise Taxの網に掛かり続けるのは、買収型の取引との比較で仕方ない観がある。
そしてFunding規定不採択
Funding規定はNotice時の規定は言うまでもなく、規則草案で「substantial modification」された後も完全撤廃を求める声は後を絶たなかった。それでも政権交代前にカンファレンスでIRSのChief Counsel Office高官が発言してたのを聞いた際は「いろんなNoiseはあるが、規則草案で緩和したんで合理的」って感じだったけどね。反対の理由は多岐に亘ったけど主に次のようなもの。Excise Tax導入以前から恒常的に実行している取引にもかかわらず新たなコンプライアンス負荷が高い、米国子会社による親会社への配当、貸付その他の資金供与の主たる目的のひとつが親会社の自社株買いをFundingっていう認定はどのタイミングで行うのか、また誰の動機なのかが不明、ルール適用有無の基準が不明確、親会社側の多岐に亘るFunding源泉有無が加味されない、など。最終規則では「これらのコメントに基づきFunding規定は採択されない」と極めてシンプルにバッサリ。
ということでExcise Taxの最終規則でした。年末が近づいてきたんで次回は恒例のゆく年くる年。その後、De-RegulationsおよびOB3で続けます。
Sunday, December 21, 2025
OB3と米国税法その後
とてつもなくお久しぶりです!公私ともにかなり忙しく、いつの間にかもう直ぐクリスマス。今日のNYCは朝から「12月の雨」。
なんでこんなに忙しいんだろう、ってチョッと立ち止まって振り返ってみると、まずUS Taxに関しては主にOB3可決後の詳細整理、現政権によるかなり徹底したDe-Regulation動向、そしてようやく活発になったM&A対応、とか満載でハイテンション。こんな風に過ぎ去っていく時間は二度と戻らないし、グローバル経済や米国や米ドルの世界における位置づけも大きなリセット、AI絡みの産業革命とか、ローマ帝国末期じゃないけど凄い時代を生きてるって実感して過ごさないとね。この時の経つスピードって単に歳のせい?まあ毎日ハイテンションだったとしても、時はいつの日にも親切な友達。過ぎてゆく昨日を物語にかえてくれるからね!
OBBBA(OB3)
OB3関係ではSuper-chargeされたFDDEIの使い方、CFCの持分を期中に譲渡した際の買い手と売り手間Sub FやNCTI(旧GILT)のInclusion計算、CFCやUS Shareholder認定時のDownward Attribution禁止復活とその代わりに8年遅れで導入された新たなDe-Control対抗措置、各規定の導入タイミング、多くの規定の相互干渉にかかわるモデリング、とかいろいろと考えることが多い。
税法、特にクロスボーダー課税の基本構造を根本的に改革した2017年のTCJAとの比較で、OB3はTCJAのフレームワークはそのまま温存し、2025年末で改定がImbedされていたものの多くを恒久化してるんで目新しさに欠ける。だけど詳細を見ると結構Game Changerで、とにかく金額の規模的なインパクトは大きい。
また、TCJAの恒久化に重ね合わせて、OB3には現政権およびMAGA政策の柱の一つ「America First」および「Parallel Prosperity」的な規則も盛り込まれている。Parallel ProsperityはScott Bessent財務長官が頻繁に口にする用語で、ニュアンス的にはGlobal経済で資本家クラスは潤った反面、取り残された観の強い一般Peopleにも再度、繁栄の機会を与えないといけないというもの。同時に国家安全保障の観点から最低限のものは自給可能にしないと…、という意図を反映している。グローバル経済のリセットは複雑で、また2年間の短期サイクルでManageされる米国ポリティクスの時間軸で達成するのは至難。意図はいいかもしれないけど実現可能性はどうでしょうか。経済学者や専門家による議論はいろいろあるけど、過去のコメントとその後実際に起こったことを比較してみるとまず当たらない。コロナ禍の頃、専門家が予想していたことを振り返ると笑ってしまう。結局経済のRegional化やAIで経済や雇用がどうなるか、等も含む先のことは誰にも分からないってことだね。
De-Regulations
De-Regulationは税法ばかりでなく、エネジー政策、独禁法、証券法、金融を含む広範な領域で実行されている。規則撤回や緩和のスピードは速く、第一次トランプ政権との比較で徹底してる。
税法面でも過剰な規則の迅速な撤回が目立つ。バイデン政権末期に滑り込み的に最終化された財務省規則のうち、策定権限、条文との整合性、等に関して疑問が呈されていたものが次々撤廃された。これらの規則の考え方が政策として合理的かどうかって観点に加え、有権者に選ばれて法律を可決する唯一の府である議会ではない行政府側にそんなルールを策定する権利はないんじゃないかっていう点は以前のポスティングで複数の規則に関して触れたけど、それらが次々撤廃。
例の自社株買いのFunding規定も結局お蔵入り。自社株買いに関してはM&Aに影響がある緩和も盛り込まれて「ええ、こんな取引も対象?」っていう驚きが少なくなった。他にも以前13回に亘る長編シリーズ「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案)」で触れた「DC REIT」判断時に米国C CorporationをLook-throughするっていう「え~C CorpをLook-throughしちゃうの??」っていう驚くべき規則もRollback。またDual Consolidated Loss(DCL)適用判断時にP2のQDMTTをForeign Use(15%以上の税率でQDMTTになってなくても‼)にするとか議会の立法趣旨とはかけ離れた規則、また新たにDCL規則に追加されていたDisregarded Payment Loss(DPL)ルールもDCL適用時の「本店とDRE間」の取引に対する考え方を逸脱してたんで「何コレ~?」って思われてたけど、これらも廃案。パートナーシップ税制に基づいて強制的に簿価調整させられる取引に関する広範な報告義務や条文に規定されている簿価調整を政策的に認めないっていう規則も撤廃。他にもCAMTのパートナーシップのBottom-up法の撤廃とか、ここまでやってくれるとは…。
こちらはDe-Regulationsじゃないけど、SWFを含む外国政府の取り扱いで納税者にありがたい規則、特にControlled Entityとしてsection 892のForeign Governmentの恩典を受けている主権のExistential Issueとも言える世界中どこかで微塵のCommercial Activityがあってはいけないっていう厳しいルール適用時の規則、が最終化されている。また米国外上場企業がUS Parented Groupに転換されるDomestication取引(Inbound F再編)に適用があり得、実務的にDomestication実行の障害になり得るFIRPTA課税の緩和策が規則草案化される旨のNoticeが公表されている。US Parented GroupだとP2から免除されるSide-by-Sideを見て米国企業に転換したいっていう話しも聞くけど、それよりも資金調達アクセス面での動機が強いように感じる。取引所のルールは専門じゃないんでForeign Issuerのままだとどんな支障があるのか良く分かんないけど、投資銀行の人と話すと結構頻繁に出てくる理由が米国法人になることでIndexに入れてもらうことができるっていう理由。いろいろあるんだね。
M&A
マーケット動向としては、バイアウトファンドやVCのExitを含むM&Aが「ようやく」復活。Parallel Prosperityとは不整合かもしれないけどWall Streetはまたしても絶好調というか元気いっぱい。ここ何年も見なかった大型のHostile Takeoverも登場。Warnerのケースはチョッと経緯が特殊だけど、Hostile Bidって通常はDDできないし、ディフェンスとしてPoison Pillが採択されたり、Poison Pillがなくても結構な法人はClassified Boardって言って株主総会で改定できるBoardメンバーは一年当り3分の1が上限っていう定款になってる。Classified BoardだとBoardのMajorityを取るのに1年超掛かる。Hostile Bidする側でBidを1年もオープンにしてSurviveできるCEOはいない(?)だろうからClassified BoardはPoison Pillよりも有効な対Hostile Bidディフェンス策って考えられる。
話題のWarnerのケースだと、最新のProxyを見る限りClassified Boardは2025年に廃止されてる(つい最近)。またPoison Pillも正式に採択されてないみたい。ただPoison Pillって「Shelf化」って言ってHostile BidがRealになった場合には必要に応じて即採択できる準備をしている企業が多いからWarnerもそんな状態にあるのかもね。Hostile Bidって米国でもTOBって言って80年台は活発だったけど、Poison PillとかClassified Boardのせいかその後余り聞かなくなった。2008年のGFC以降、例外的に存在はしたけど実務的なチャレンジが多く、またHostileで始まっても結局Boardが折れて「Friendly」Dealにいやいや転換するケースが多い。
「Hostile Bid少ないって言うけど、Activist Hedge Fundは頻繁に上場企業の株式を買い占めてるじゃん」って思うかもしれないけど、Activist Hedge Fundが2~3%とか5%とかのポジションを取る際にWhole CompanyをTake-Overするっていうような意図を持っているケースはほぼないだろう。つい先日のLululemonのケースも、Starbucks、Texas Instrument、Southwest、これらは$1Bを超える巨額の投資ではあるけど、5%行かないケースも多い。ただ上場企業の持分を2~3%持てばBoardとの交渉には十分。ElliottとかStarboardとかがどれくらい自社の株式を持っているかっていうのはCEOとしては日夜超気になるところだろう。Activist Hedge Fundの要求はCEOの首を挿げ替えるっていうのが多いからね。
M&Aじゃないけど、VCバックのスタートアップのExitとしては重要なIPOなんかも復活してきてる。一方でUnicornでもPublicにならない企業、または長期にPrivateのまま資金調達し続ける企業も多いよね。Open AIとかPublicになる日は来ないって言っているけどそうかもね。でもSpace Xが来年Publicになるかもって公表してビックリだった。スタートアップやUnicornのExitのタイミングに関しては、資金調達面ではVCや他の投資家がバックアップする限り支障はない。特に「AI」って付くといくらでもFundingが付く傾向があるように見える。何がAIかって言うのも特に決まりはないんでマーケティング戦略として何でもかんでもAIって付ける観はあるよね。10年前何でもかんでもCloudだったみたいに。 Late Stage企業のIPOやM&Aが遅れる際に対処が必要な点のひとつに従業員や創業者のストックオプションやCommonの換金化がある。最近はExitがなくてもTender Offerで換金化のOpportunitiesが提供されることが多い。Tender Offerばかりを専門にするサービスプロバイダーも少なくない。これらのEcosystemは必要に応じて自然に拡充していく。Capitalismの優れている点だ。
結構久しぶりだったんで現状の復習みたいなポスティングだったけど、次回からこれらの各点に関して具体的に触れていきたい。OB3からにしようか、ProvocativeなDe-Regulationsからにしようか…、甲乙つけがたいね。どうしようか~。今晩、ゆっくりElla and Bossa Beat聴きながら決めます。Ella and Bossa Beat、春に本拠地FloridaのBeachに見に行く予定にしていたけど、3月にNYCのLower Eastside、またチョッと北のTarrytownのイベントも追加されたんで近くだったらこっちの方がいいかな…。でもやっぱりFloridaのBeachが合うよね。
なんでこんなに忙しいんだろう、ってチョッと立ち止まって振り返ってみると、まずUS Taxに関しては主にOB3可決後の詳細整理、現政権によるかなり徹底したDe-Regulation動向、そしてようやく活発になったM&A対応、とか満載でハイテンション。こんな風に過ぎ去っていく時間は二度と戻らないし、グローバル経済や米国や米ドルの世界における位置づけも大きなリセット、AI絡みの産業革命とか、ローマ帝国末期じゃないけど凄い時代を生きてるって実感して過ごさないとね。この時の経つスピードって単に歳のせい?まあ毎日ハイテンションだったとしても、時はいつの日にも親切な友達。過ぎてゆく昨日を物語にかえてくれるからね!
OBBBA(OB3)
OB3関係ではSuper-chargeされたFDDEIの使い方、CFCの持分を期中に譲渡した際の買い手と売り手間Sub FやNCTI(旧GILT)のInclusion計算、CFCやUS Shareholder認定時のDownward Attribution禁止復活とその代わりに8年遅れで導入された新たなDe-Control対抗措置、各規定の導入タイミング、多くの規定の相互干渉にかかわるモデリング、とかいろいろと考えることが多い。
税法、特にクロスボーダー課税の基本構造を根本的に改革した2017年のTCJAとの比較で、OB3はTCJAのフレームワークはそのまま温存し、2025年末で改定がImbedされていたものの多くを恒久化してるんで目新しさに欠ける。だけど詳細を見ると結構Game Changerで、とにかく金額の規模的なインパクトは大きい。
また、TCJAの恒久化に重ね合わせて、OB3には現政権およびMAGA政策の柱の一つ「America First」および「Parallel Prosperity」的な規則も盛り込まれている。Parallel ProsperityはScott Bessent財務長官が頻繁に口にする用語で、ニュアンス的にはGlobal経済で資本家クラスは潤った反面、取り残された観の強い一般Peopleにも再度、繁栄の機会を与えないといけないというもの。同時に国家安全保障の観点から最低限のものは自給可能にしないと…、という意図を反映している。グローバル経済のリセットは複雑で、また2年間の短期サイクルでManageされる米国ポリティクスの時間軸で達成するのは至難。意図はいいかもしれないけど実現可能性はどうでしょうか。経済学者や専門家による議論はいろいろあるけど、過去のコメントとその後実際に起こったことを比較してみるとまず当たらない。コロナ禍の頃、専門家が予想していたことを振り返ると笑ってしまう。結局経済のRegional化やAIで経済や雇用がどうなるか、等も含む先のことは誰にも分からないってことだね。
De-Regulations
De-Regulationは税法ばかりでなく、エネジー政策、独禁法、証券法、金融を含む広範な領域で実行されている。規則撤回や緩和のスピードは速く、第一次トランプ政権との比較で徹底してる。
税法面でも過剰な規則の迅速な撤回が目立つ。バイデン政権末期に滑り込み的に最終化された財務省規則のうち、策定権限、条文との整合性、等に関して疑問が呈されていたものが次々撤廃された。これらの規則の考え方が政策として合理的かどうかって観点に加え、有権者に選ばれて法律を可決する唯一の府である議会ではない行政府側にそんなルールを策定する権利はないんじゃないかっていう点は以前のポスティングで複数の規則に関して触れたけど、それらが次々撤廃。
例の自社株買いのFunding規定も結局お蔵入り。自社株買いに関してはM&Aに影響がある緩和も盛り込まれて「ええ、こんな取引も対象?」っていう驚きが少なくなった。他にも以前13回に亘る長編シリーズ「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案)」で触れた「DC REIT」判断時に米国C CorporationをLook-throughするっていう「え~C CorpをLook-throughしちゃうの??」っていう驚くべき規則もRollback。またDual Consolidated Loss(DCL)適用判断時にP2のQDMTTをForeign Use(15%以上の税率でQDMTTになってなくても‼)にするとか議会の立法趣旨とはかけ離れた規則、また新たにDCL規則に追加されていたDisregarded Payment Loss(DPL)ルールもDCL適用時の「本店とDRE間」の取引に対する考え方を逸脱してたんで「何コレ~?」って思われてたけど、これらも廃案。パートナーシップ税制に基づいて強制的に簿価調整させられる取引に関する広範な報告義務や条文に規定されている簿価調整を政策的に認めないっていう規則も撤廃。他にもCAMTのパートナーシップのBottom-up法の撤廃とか、ここまでやってくれるとは…。
こちらはDe-Regulationsじゃないけど、SWFを含む外国政府の取り扱いで納税者にありがたい規則、特にControlled Entityとしてsection 892のForeign Governmentの恩典を受けている主権のExistential Issueとも言える世界中どこかで微塵のCommercial Activityがあってはいけないっていう厳しいルール適用時の規則、が最終化されている。また米国外上場企業がUS Parented Groupに転換されるDomestication取引(Inbound F再編)に適用があり得、実務的にDomestication実行の障害になり得るFIRPTA課税の緩和策が規則草案化される旨のNoticeが公表されている。US Parented GroupだとP2から免除されるSide-by-Sideを見て米国企業に転換したいっていう話しも聞くけど、それよりも資金調達アクセス面での動機が強いように感じる。取引所のルールは専門じゃないんでForeign Issuerのままだとどんな支障があるのか良く分かんないけど、投資銀行の人と話すと結構頻繁に出てくる理由が米国法人になることでIndexに入れてもらうことができるっていう理由。いろいろあるんだね。
M&A
マーケット動向としては、バイアウトファンドやVCのExitを含むM&Aが「ようやく」復活。Parallel Prosperityとは不整合かもしれないけどWall Streetはまたしても絶好調というか元気いっぱい。ここ何年も見なかった大型のHostile Takeoverも登場。Warnerのケースはチョッと経緯が特殊だけど、Hostile Bidって通常はDDできないし、ディフェンスとしてPoison Pillが採択されたり、Poison Pillがなくても結構な法人はClassified Boardって言って株主総会で改定できるBoardメンバーは一年当り3分の1が上限っていう定款になってる。Classified BoardだとBoardのMajorityを取るのに1年超掛かる。Hostile Bidする側でBidを1年もオープンにしてSurviveできるCEOはいない(?)だろうからClassified BoardはPoison Pillよりも有効な対Hostile Bidディフェンス策って考えられる。
話題のWarnerのケースだと、最新のProxyを見る限りClassified Boardは2025年に廃止されてる(つい最近)。またPoison Pillも正式に採択されてないみたい。ただPoison Pillって「Shelf化」って言ってHostile BidがRealになった場合には必要に応じて即採択できる準備をしている企業が多いからWarnerもそんな状態にあるのかもね。Hostile Bidって米国でもTOBって言って80年台は活発だったけど、Poison PillとかClassified Boardのせいかその後余り聞かなくなった。2008年のGFC以降、例外的に存在はしたけど実務的なチャレンジが多く、またHostileで始まっても結局Boardが折れて「Friendly」Dealにいやいや転換するケースが多い。
「Hostile Bid少ないって言うけど、Activist Hedge Fundは頻繁に上場企業の株式を買い占めてるじゃん」って思うかもしれないけど、Activist Hedge Fundが2~3%とか5%とかのポジションを取る際にWhole CompanyをTake-Overするっていうような意図を持っているケースはほぼないだろう。つい先日のLululemonのケースも、Starbucks、Texas Instrument、Southwest、これらは$1Bを超える巨額の投資ではあるけど、5%行かないケースも多い。ただ上場企業の持分を2~3%持てばBoardとの交渉には十分。ElliottとかStarboardとかがどれくらい自社の株式を持っているかっていうのはCEOとしては日夜超気になるところだろう。Activist Hedge Fundの要求はCEOの首を挿げ替えるっていうのが多いからね。
M&Aじゃないけど、VCバックのスタートアップのExitとしては重要なIPOなんかも復活してきてる。一方でUnicornでもPublicにならない企業、または長期にPrivateのまま資金調達し続ける企業も多いよね。Open AIとかPublicになる日は来ないって言っているけどそうかもね。でもSpace Xが来年Publicになるかもって公表してビックリだった。スタートアップやUnicornのExitのタイミングに関しては、資金調達面ではVCや他の投資家がバックアップする限り支障はない。特に「AI」って付くといくらでもFundingが付く傾向があるように見える。何がAIかって言うのも特に決まりはないんでマーケティング戦略として何でもかんでもAIって付ける観はあるよね。10年前何でもかんでもCloudだったみたいに。 Late Stage企業のIPOやM&Aが遅れる際に対処が必要な点のひとつに従業員や創業者のストックオプションやCommonの換金化がある。最近はExitがなくてもTender Offerで換金化のOpportunitiesが提供されることが多い。Tender Offerばかりを専門にするサービスプロバイダーも少なくない。これらのEcosystemは必要に応じて自然に拡充していく。Capitalismの優れている点だ。
結構久しぶりだったんで現状の復習みたいなポスティングだったけど、次回からこれらの各点に関して具体的に触れていきたい。OB3からにしようか、ProvocativeなDe-Regulationsからにしようか…、甲乙つけがたいね。どうしようか~。今晩、ゆっくりElla and Bossa Beat聴きながら決めます。Ella and Bossa Beat、春に本拠地FloridaのBeachに見に行く予定にしていたけど、3月にNYCのLower Eastside、またチョッと北のTarrytownのイベントも追加されたんで近くだったらこっちの方がいいかな…。でもやっぱりFloridaのBeachが合うよね。
Saturday, August 9, 2025
OBBBA可決一か月とちまたで聞かれる活用法
OBBBA規模感
OBBBAの可決から1か月強。法文自体膨大で減税規模は歴史に残る規模なんだけど、1986年や2017年の税制改正と比べて、それほどインパクトの実感がない。そんな認識の原因は、OBBBAのかなりの部分が2017年のTCJAで規定された減税やクロスボーダー課税の2025年末自動失効・税率引き上げを「回避」し「恒久化」を実現したっていう性格にあるんだろう。すなわち、実際に失効や税率引き上げに至ってしまった後に救世主のようにOBBBAが登場して減税等を復活・恒久化したとしたら「これ凄いね!」って感じられただろうけど、そんな体験しないまま現状が維持されたんで実感が伴わない。
制度的にも、例えば法人と株主間の取引を規定するSub C(M&Aやストラクチャリング含む)に大きなインパクトを与えた1986年税制改正や、クロスボーダー課税のあり方を根本的に書き換えた2017年TCJAと異なり、OBBBA大枠は2017年以降の制度を踏襲しているんで、2018年以降の学習・プラニング効果はそのまま役立つ部分が多く新たに学習しないといけない法律は比較的少ない。
2017年TCJA可決後当時を振り返ってみると、米国MNC、投資銀行、ファンドスポンサー、アドバイザーは制定から2年程度でGILTI、FDII、BEAT、245A、困難になったInversion等の法体系を徹底研究、財務省の時に気の利いた(GILTIのHigh Tax Exclusionとか)そして時に堅苦しい(GILTI FTCのExpense allocationやPortfolio Interest Exemption適用にかかわるCFC認定時のDownward Attribution適用とか)規則やガイダンス等が出る度にプラニングをFine Tuneしながら複雑極まりない新制度を完全にマスターしたもんね。TCJAのクロスボーダー課税は新制度にもかかわらず旧条文を全取り換えするんじゃなくて、当時の既存の条文にOverlayしたんでより複雑かつ時には矛盾がある取り扱いとなることが多かった。OBBBAではM&A時のCFC所得合算タイミング等に関して8年の月日を経てようやく一定の再整理に漕ぎつけている。
そんな過程を経て裏表を知り尽くした制度に対するTweak部分が多いOBBBAは、マスターするための学習期間は自ずと短く、一方でメリット最大限化は複数条文の「組み合わせ」方に掛かるケースが多いんで、即座に定量モデリング的なプラニングに入りつつある感じがする。支払利息の損金算入、広範な即時償却、R&D支出の費用化、輸出促進として実質拡充されたFDDEI、その他のいろんなGoodiesが規定されるけど、条文間の相互干渉が激しく、さらに法人税外の検討、例えば関税とか、も加味するのが最重要課題の今日、各条文のどんな組み合わせが最も適してるかを複数検討の上、戦略意思決定する必要がある。関税や地政学は予測不能なんでモデリングは必然的に複数のシナリオを用意することになり、普段、税務室に限定されがちな税務プラニングは企業全体の課題となる。
OBBBAは何て呼ぶ?
税法に登場するAcronym(アルファベットの略)をどう読むかっていうのは最初いろんな派が乱立し、その後徐々に法曹界、投資銀行、ファンドスポンサーとかの集まり、特にそこに参加する財務省やIRS高官がどんな風に呼ぶかで何となく統一されていくことが多い。2017年TCJA時はGILTIやBEATは最初から「ギルティ」「ビート」だったけど、FDIIは最初の頃はBay City RollersのSaturday Nightみたいに(古過ぎ~。しってる?タータンチェックのScotland出身バンド)「エス・エイ・ティー・ユー・アール・ディ・エイ・ワイ」、じゃなくて「エフ・ディ・アイ・アイ」って表現されることが多かった。「フィデイ」とか「フィダイ」とか言う人もいたけど最終的には「フィディ」に落ち着いていた。2022年のIRAで姿を変えて再導入されたCorporate Alternative Minimum Tax、CAMTも「シィ・エム・ティ・ティ」派、法律事務所は当時CAMTが会計Bookベースなんで結構な人が「ビィ・エム・ティ」ってそもそもCAMTには含まれてないBを使っていた。でも結局最後は「キャムティ」に統一されていった。ただクロスボーダー課税の「FDAP」みたいに未だに「フダップ」派と「エフ・ダップ」派が拮抗し続けてる用語もあるけどね。
OBBBAに関して、まず肝心のOBBBAそのものだけど、Bを3つ連呼して「オー・ビー・ビー・ビー」または「オー・ビー・ビー・ビー・エイ」ってフルスペリングするのはチョッとギコチないし、間違えてOBBBBAとか勢いに乗ってひとつ余分なBを付けちゃったりすることもあり得て、現状では結構なケースで「オー・ビー・スリー」(Bが3つなのでスリー)って言う人が多い。これだと言いやすいね!
GILTIがRetireしてNCTIになるけど結構なケースで「ネクタイ」って言われている。個人的には法案時から「ネクティ」が可愛いいんでこっちを使ってて、実際にネクティって呼んでくれてる(?)人たちも居て今後の動向が楽しみ。ネクティに落ち着きますように。ただ、今のところ8年間慣れ親しんだGILTIが自然に出てきちゃうんで「今日は仮にGILTIって使っときます」みたいなDisclaimerしてGILTIで通してるケースも多い。いつまでDisclaimerし続けられるでしょうか。
せっかく「フィディ」が確立してたFDIIもRetireしてFDDEIになるけど、これは手ごわい。何となく「フダイ」とか「フデイ」的な表現が多いけどどっちもゴロが悪いね。
関税と法人税
関税は相変わらず紆余曲折。何となくUniversalのベースラインは15%辺りで落ち着きつつあるけど、なんか気に入らないことがあると急に「だったらプラス50。更に倍」とかなり兼ねないんで油断大敵。
関税プラニングは当然、法人税にもインパクトがあり得るんで、ここ数か月議論が尽きない関税対策時にTPやBEATを含む法人税の観点とのすり合わせする機会が増大。関連者からの輸入だとTPと表裏一体の関係にあるけど、米国MNCも含めて米国への輸入は関連者間取引が実に多くの比率を占めてるんだなって実感。統計取った訳じゃないし、職業柄関連者間取引ばっかり目に入ってくる傾向があり、実際には中国から個人輸入とかもあるんだろうけど、米国MNC含めて実に多くのクロスボーダー取引が国外関連者からのものなんだなって改めて認識。
グローバルトレードのReorderは数か月の一時的な混乱ではなく長期的に向かい合わないといけないっていう現実が身に染みてきた今、各社根本的な世界戦略の緊急見直し中。関税の影響は業種や各社のOperating Model次第で様々だけど、過去8年FDII・GILTI導入の影響もありIPを米国に移管したり新たなIPを米国に配置したところは、結果として比較的対処が容易な気がする。こんな通商環境になるとは誰も考えてなかっただろうから塞翁が馬だけどね。
IPの米国移管はGILTIとFDIIの導入でそれなりに実行され、その意味でGILTIとFDIIの主目的は達成された感はある。Global 「Intangible」 Low-Taxed Income(GILTI)もForeign Derived 「Intangible」 Income (FDII)も双方ともその名の通り主たるフォーカスは米国外にあるIPの米国帰還だったからだ。ここにきてGILTIとFDIIが各々NCTIとFDDEIに生まれ変わり、「Intangible」っていうフォーカスがなくなったことで両制度はどちらかと言うと輸出やライセンスを含む米国企業海外向けビジネスの助成制度の性格が強くなったと言える。FDDEIは日本企業の米国現地法人にとって適用可能性が格段に上がっているんで税率14%って考えると活用を再検討する価値は十分にある。ってことで次回はFDDEIかな。
OBBBAの可決から1か月強。法文自体膨大で減税規模は歴史に残る規模なんだけど、1986年や2017年の税制改正と比べて、それほどインパクトの実感がない。そんな認識の原因は、OBBBAのかなりの部分が2017年のTCJAで規定された減税やクロスボーダー課税の2025年末自動失効・税率引き上げを「回避」し「恒久化」を実現したっていう性格にあるんだろう。すなわち、実際に失効や税率引き上げに至ってしまった後に救世主のようにOBBBAが登場して減税等を復活・恒久化したとしたら「これ凄いね!」って感じられただろうけど、そんな体験しないまま現状が維持されたんで実感が伴わない。
制度的にも、例えば法人と株主間の取引を規定するSub C(M&Aやストラクチャリング含む)に大きなインパクトを与えた1986年税制改正や、クロスボーダー課税のあり方を根本的に書き換えた2017年TCJAと異なり、OBBBA大枠は2017年以降の制度を踏襲しているんで、2018年以降の学習・プラニング効果はそのまま役立つ部分が多く新たに学習しないといけない法律は比較的少ない。
2017年TCJA可決後当時を振り返ってみると、米国MNC、投資銀行、ファンドスポンサー、アドバイザーは制定から2年程度でGILTI、FDII、BEAT、245A、困難になったInversion等の法体系を徹底研究、財務省の時に気の利いた(GILTIのHigh Tax Exclusionとか)そして時に堅苦しい(GILTI FTCのExpense allocationやPortfolio Interest Exemption適用にかかわるCFC認定時のDownward Attribution適用とか)規則やガイダンス等が出る度にプラニングをFine Tuneしながら複雑極まりない新制度を完全にマスターしたもんね。TCJAのクロスボーダー課税は新制度にもかかわらず旧条文を全取り換えするんじゃなくて、当時の既存の条文にOverlayしたんでより複雑かつ時には矛盾がある取り扱いとなることが多かった。OBBBAではM&A時のCFC所得合算タイミング等に関して8年の月日を経てようやく一定の再整理に漕ぎつけている。
そんな過程を経て裏表を知り尽くした制度に対するTweak部分が多いOBBBAは、マスターするための学習期間は自ずと短く、一方でメリット最大限化は複数条文の「組み合わせ」方に掛かるケースが多いんで、即座に定量モデリング的なプラニングに入りつつある感じがする。支払利息の損金算入、広範な即時償却、R&D支出の費用化、輸出促進として実質拡充されたFDDEI、その他のいろんなGoodiesが規定されるけど、条文間の相互干渉が激しく、さらに法人税外の検討、例えば関税とか、も加味するのが最重要課題の今日、各条文のどんな組み合わせが最も適してるかを複数検討の上、戦略意思決定する必要がある。関税や地政学は予測不能なんでモデリングは必然的に複数のシナリオを用意することになり、普段、税務室に限定されがちな税務プラニングは企業全体の課題となる。
OBBBAは何て呼ぶ?
税法に登場するAcronym(アルファベットの略)をどう読むかっていうのは最初いろんな派が乱立し、その後徐々に法曹界、投資銀行、ファンドスポンサーとかの集まり、特にそこに参加する財務省やIRS高官がどんな風に呼ぶかで何となく統一されていくことが多い。2017年TCJA時はGILTIやBEATは最初から「ギルティ」「ビート」だったけど、FDIIは最初の頃はBay City RollersのSaturday Nightみたいに(古過ぎ~。しってる?タータンチェックのScotland出身バンド)「エス・エイ・ティー・ユー・アール・ディ・エイ・ワイ」、じゃなくて「エフ・ディ・アイ・アイ」って表現されることが多かった。「フィデイ」とか「フィダイ」とか言う人もいたけど最終的には「フィディ」に落ち着いていた。2022年のIRAで姿を変えて再導入されたCorporate Alternative Minimum Tax、CAMTも「シィ・エム・ティ・ティ」派、法律事務所は当時CAMTが会計Bookベースなんで結構な人が「ビィ・エム・ティ」ってそもそもCAMTには含まれてないBを使っていた。でも結局最後は「キャムティ」に統一されていった。ただクロスボーダー課税の「FDAP」みたいに未だに「フダップ」派と「エフ・ダップ」派が拮抗し続けてる用語もあるけどね。
OBBBAに関して、まず肝心のOBBBAそのものだけど、Bを3つ連呼して「オー・ビー・ビー・ビー」または「オー・ビー・ビー・ビー・エイ」ってフルスペリングするのはチョッとギコチないし、間違えてOBBBBAとか勢いに乗ってひとつ余分なBを付けちゃったりすることもあり得て、現状では結構なケースで「オー・ビー・スリー」(Bが3つなのでスリー)って言う人が多い。これだと言いやすいね!
GILTIがRetireしてNCTIになるけど結構なケースで「ネクタイ」って言われている。個人的には法案時から「ネクティ」が可愛いいんでこっちを使ってて、実際にネクティって呼んでくれてる(?)人たちも居て今後の動向が楽しみ。ネクティに落ち着きますように。ただ、今のところ8年間慣れ親しんだGILTIが自然に出てきちゃうんで「今日は仮にGILTIって使っときます」みたいなDisclaimerしてGILTIで通してるケースも多い。いつまでDisclaimerし続けられるでしょうか。
せっかく「フィディ」が確立してたFDIIもRetireしてFDDEIになるけど、これは手ごわい。何となく「フダイ」とか「フデイ」的な表現が多いけどどっちもゴロが悪いね。
関税と法人税
関税は相変わらず紆余曲折。何となくUniversalのベースラインは15%辺りで落ち着きつつあるけど、なんか気に入らないことがあると急に「だったらプラス50。更に倍」とかなり兼ねないんで油断大敵。
関税プラニングは当然、法人税にもインパクトがあり得るんで、ここ数か月議論が尽きない関税対策時にTPやBEATを含む法人税の観点とのすり合わせする機会が増大。関連者からの輸入だとTPと表裏一体の関係にあるけど、米国MNCも含めて米国への輸入は関連者間取引が実に多くの比率を占めてるんだなって実感。統計取った訳じゃないし、職業柄関連者間取引ばっかり目に入ってくる傾向があり、実際には中国から個人輸入とかもあるんだろうけど、米国MNC含めて実に多くのクロスボーダー取引が国外関連者からのものなんだなって改めて認識。
グローバルトレードのReorderは数か月の一時的な混乱ではなく長期的に向かい合わないといけないっていう現実が身に染みてきた今、各社根本的な世界戦略の緊急見直し中。関税の影響は業種や各社のOperating Model次第で様々だけど、過去8年FDII・GILTI導入の影響もありIPを米国に移管したり新たなIPを米国に配置したところは、結果として比較的対処が容易な気がする。こんな通商環境になるとは誰も考えてなかっただろうから塞翁が馬だけどね。
IPの米国移管はGILTIとFDIIの導入でそれなりに実行され、その意味でGILTIとFDIIの主目的は達成された感はある。Global 「Intangible」 Low-Taxed Income(GILTI)もForeign Derived 「Intangible」 Income (FDII)も双方ともその名の通り主たるフォーカスは米国外にあるIPの米国帰還だったからだ。ここにきてGILTIとFDIIが各々NCTIとFDDEIに生まれ変わり、「Intangible」っていうフォーカスがなくなったことで両制度はどちらかと言うと輸出やライセンスを含む米国企業海外向けビジネスの助成制度の性格が強くなったと言える。FDDEIは日本企業の米国現地法人にとって適用可能性が格段に上がっているんで税率14%って考えると活用を再検討する価値は十分にある。ってことで次回はFDDEIかな。
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