Saturday, September 30, 2017

米国税法改正大綱 「Unified Framework」(3)

前回はは米国税法改正大綱とも言える「Unified Framework」の全体のテーマ、現状35%から20%と劇的に低減される法人税率、そして個人オーナーに配賦されるパススルー所得25%特別税率を中心に触れた。今回も引き続き法人税および事業所得に対する課税について、特に設備投資減税と支払利息の損金算入制限に関して触れてみたい。

前回触れた法人税率20%だけど、これは先進国平均22.5%よりも低く設定され、米国の投資先としての魅力を高めるとしている。実際には連邦法人税と並び米国には州税があり、配賦比率とか個々のケースで大きく異なるとしても州税の実効税率はザックリ5%程度に終焉することが多く、連邦・州合計では税率は25%程度になるケースが多い。ちょうど、日本でタックスヘイブン税制が見直されているタイミングなので、日本企業の米国子会社各社の実効税率が税法改正後、何%になるのか親会社側としては気になるところだろう。

法人税率低減は民主党は取りあえず反対を表明しているが、経済界は当然大歓迎で、中でもオバマケア廃案議論または今日に至るまでの税法改正議論の過程で発言権および影響力を強めてきたFreedom CaucusやKoch Industriesのサポートは特筆に値する。ただ、企業にとっていいこと尽くしかと言うとそうでもないケースもあり、米国連邦税に関して繰延税資産を計上しているケースでは資産が, 改正と同時にある日急に4割強も目減りしてしまう。そんな状況に晒されている事業体は課税所得の前倒しとか改正前9回裏ギリギリのプラニング検討がMustだろう。

代替ミニマム税(AMT)の撤廃だが、面白いことに個人所得税に関しては撤廃と言い切っているのに対し、法人税に関しては撤廃を目指す(「Aimする」)と少し腰が引けた感じで記載されている。Big 6内で完全にUnifiedできなかったか、財源のことを心配して逃げ道を残しているのか不明だけど、いずれにしてもこの際一気に撤廃してもらいたいものだ。

次に注目度の高い設備投資減税だけど、The Blueprintでは有形、無形を問わず事業資産は土地を除き全て取得時に費用化という提唱だった。The Blueprintによるこの大胆な提案は設備投資減税の側面も当然あるものの、課税所得の算定を完全にCash Flowベース化し、かつ一部で評判の悪かった例のBorder Adjustment、すなわち消費地課税と組み合わせることで法人税を限りなく消費税やVATに近づけるという意味が大きかった。消費地課税の方はUnifiedできずに廃案としておきながら、納税者に受けのいい設備投資減税の部分は残している点、税法改正はテクニカルな世界では一切なくあくまでもポリティクスにより事が動いていくことが良く分かる。

Unified Frameworkに対する第一印象のところで触れたけど、Frameworkは法の発効日とか施行日には一切触れていないにもかかわらず、設備投資減税に関しては2017年9月27日(Framework発表の日)以降に適用と細かく規定し、さらに当措置は少なくとも5年は継続するともわざわざ記載して時限立法っぽい方向を示唆している。これはおそらく設備投資の100%費用化はあくまでタイミング差異の話しなので、経済浮揚効果を最大限化するには、一日も早く投資を始めてもらい、しかも時間制限を設けることで、比較的早期5年以内に先行投資させる意図であろう。

対象となる資産は建物を除く償却資産(Depreciable Assets)とされている。正確に何を意図しているのか分かり難い。税務上は「Depreciable」という際、「Amortizable」の資産も含まれると解釈される局面もあり、有形資産のことだけを意味しているのか、それともSection 197償却対象となる無形資産をも含む意図があるのか文面からは必ずしも明確ではない。ただ、「New Investment」と言及されていることから、最初に読んだ際の印象としては建物を除く有形の動産を対象としているように見え、無形資産はテクニカルにはDepreciable Assetsでかつ動産ではあるけれど、Goodwillとか通常は他者が創造したものを取得することで簿価が発生することから新規投資とは言えず、Frameworkの意図する対象ではないように思えた。今後、法原文の作成過程でより明らかとなっていくだろう。

Frameworkによるこの設備投資減税はスコープ、対象期間共に前代未聞のスケールであり、税法をドラフトする議会は更なる強化を試み、「中小企業」の後押し努力を惜しまないと自画自賛している。なぜ設備投資減税が大企業と比べて中小企業により大きな助けとなるのか良く分からないけど。

次に激しいロビー活動の矛先が向けられていた支払利息の損金算入の動向。The Blueprintでは事業体、個人を問わず事業目的の支払利息の損金算入は全面撤廃とされていた。これは法人税のVAT化に準じてある意味当然の方向ではあったかもしれない。一方Frameworkではこの点に関して何とも歯切れが悪く、C Corporationによる支払利息は一部損金算入を制限するとのみ記載している。例えば金融機関なんかもC Corporationのケースがほとんどだと思うけど、金融業で支払利息の損金算入が制限されてはビジネスが成り立たないんじゃないか、とも思え、結局はいろいろな例外が規定されることになるのだろう。また、グループ金融会社も同様だが、銀行ライセンスを持っていないグループ会社は銀行と比べると例外対象となる確率は低いようにも思われる。Capital Structureの大幅変更を強いられるケースも予想され、十分な導入期間の設定が期待されるところだ。制限が条文化されると例のDebt/Equity Classification(俗に言う過少資本)を規定したSection 385の膨大な規則も用無しとなり、自然消滅の憂き目にあう可能性もある。また、一般企業が金融機関から受ける融資に対して支払う利子の損金算入に制限が加えられることになると、ファイナンス法としての魅力が低下することとなり、今後この規定を巡っては銀行が猛反対してくるだろう。

C corporationによる支払利息の損金算入制限だけど、具体的にどのような方法で制限してくるんだろうか。トランプ大統領案では元々、設備投資の一括費用化と支払利息の損金算入が選択制だったが、今回の「制限」というのは、設備投資の一括費用化メリットを取る際に適用されるような仕組みになるのだろうか?設備投資減税が選択制という書き方ではないのでこの方向はないように思える。もう少しあり得そうな方向は、一定のDebt/Equityレシオを超える負債に対する支払利息の損金不算入とか、例えばAFR、またはAFRの120%までとかIRSが指定する利率を超える部分を損金不算入にするとか、だろう。

C Corporationに対する扱いも曖昧だけど、それ以外の事業主による支払利息の損金算入可能性に関しては更にオープンエンドだ。FrameworkではC Corporation以外の事業に関しては議会が適切なアプローチを検討するとだけしている。どのような制限が規定されるにしてもロビー活動をさかんにしていた農業、Frameworkが繰り返しサポートを強調している中小企業は制限免除の可能性もある。

今回はこの辺で、次はR&Dその他クレジット等に関して。

Friday, September 29, 2017

米国税法改正大綱 「Unified Framework」(2)

9月27日に公表された米国税法改正大綱とも言える「Unified Framework」。前回はその第一印象を中心に書いたけど、今回は全体のテーマと驚くべき低税率となる法人税および事業所得に対する課税について触れてみたい。

まずUnified Frameworkでは冒頭に大統領が目指す4つの原則が列挙されている。これは4月の大統領府による発表と同じようなテーマ設定だけど、1) 税法の簡素化、2) 勤労所得者の手取り給与の増額、3) 他国と同じ土俵で米国企業、個人が活躍できる経済環境作り、4) 海外に眠る巨額埋蔵金の米国還流促進、となる。そしてこれらのテーマは両院で税法原案作成の任を負う下院歳入委員会および上院財務委員会も共有しているとのこと。

このテーマの下、Unified Frameworkでは21世紀に相応しく、財政責任を持つ税法改正を提唱するとし、1)ミドルクラス減税、2) 大多数の米国市民がポストカード一枚で申告手続きが終わる税法簡素化、3) 事業、特に中小企業減税、4)労働、資本、所得の海外移転インセンティブ排除、5) 多くの各種恩典の排除による課税ベース拡大、の5つを目標として特定している。財政責任と明言しているけど、前回書いた通り減税に見合う歳入の議論はUnified Frameworkではされていないのでチョッと口だけな感じも否めない。後、ポストカードは実現したらうれしい。僕も自分の申告書を作成するけど、プリントするといろんなStatementとか付くので連邦税だけでも1.5センチくらいの厚さになるから相当な簡素化だ。

Unified Frameworkは今後の法律原案作成のテンプレートとなるが、委員会は必要に応じて更なる改正を盛り込んでFrameworkの目標を達成するようにと命じている。

ここでUnified Framework原文では個人所得税減税の説明に入るが、そこは次回触れるとして、今日はその次に論じられている法人税および事業課税に触れてみたい。

まず、冒頭に宣言されているミドルクラス減税の部分を前面に打ち出すため、法人税率より先に中小企業に対する減税が披露される。内容は簡単でスケジュールCで申告される個人事業所得、S Corporationおよびパートナーシップからの所得は一律25%で課税しますというものだ。これは個人オーナーに配賦されるパートナーシップ所得の話しで日本企業が他企業とJV等を実行する際に組成するLLC等のパススルー主体からの所得は含まれない。そのような法人が受け取るパススルー所得は後述の法人税20%で課税されることになる。

このパススルーに25%という部分はThe Blueprintそのものだ。4月の大統領府による発表ではここも15%と説明されていた。

で、The Blueprintの頃から燻っている不明点だけど、今回のUnified Frameworkでも25%税率の対象となるパススルーは「Small and Family Owned」と記載されている。ここはかなり重要ポイントだけど正確な意味は不明だ。すなわち、今までの大統領府、特にPrivate Jetに乗り過ぎのMnuchin財務長官とかの話を聞くと、彼らの頭では個人に所有されるパススルーはイコール中小事業だろうという先入観があるように思える節があり、25%税率適用判断の際に一定の売上とか、パートナーの頭数等の規模的な制限が規定されることとなるのか、それとも基本的にパススルーには全て25%規定が適用されるが、The BlueprintやUnified Framework、また大統領府の4月の発表でも懸念が表明されている通り、実際には給与所得に当たるパススルー所得を事業所得と仮装して本来は35%とかの個人所得税率の対象となる部分に25%が適用されないようなAnti-Abuse規定を設けるだけなのか、今ひとつ不明だ。

この点はThe Blueprintに関して詳解した頃、「米国タックス行く年・来る年(10)下院改正案「A Better Way(The Blueprint)」」にも記載しているので、そちらも参照して欲しいけど、このAnti-Abuse規定を法律化するのは大きなチャレンジだろう。何が合理的な給与水準かという算定はValuationという事実認定の問題となり、パススルーやオーナーが一万通りあれば、適正な給与水準も一万通り存在することとなる。これを個々のケースのFacts and Circumstancesで決めていては数多くの訴訟、係争に発展することは間違いない。となると、安全ガイドラインみたいなものを設けて70%はみなし給与とかするのだろうか。その場合、実際にLLCから勤労所得という形で給与も受け取っているオーナーに対してはどのように対応するのだろうか。パススルー所得は一律25%課税にしてあげます、というのは言うのは簡単だけど、実際に法律として運用するのはとても難しいと思われ、今後の法律原案でどのように扱われることになるか大変興味深い。この規定に代表されるようにUnified Frameworkでは税法を簡素化するって言ってるけど、Frameworkそのものはかなりハイレベル、すなわち大枠の議論で終わっているため、以前のThe Blueprint同様「the devil is in the detail」という感じは否定できず、結果として以前にも増して複雑な税法になってしまうリスクがあちこちに隠れている。

で、次に法人税率。ナンと本気で20%にするとしている。ご存知の通り、トランプ大統領は15%と言い続けてきたけど、Unified Frameworkでさすがに「Unified」して観念したのか、翌日のインタビューでは「20%はパーフェクトな税率でこれ以外にあり得ない!」と言い切っていた。「いよっ、大統領!」という感じの言い切りだったけど、つい一週間ほど前まで15%を主張し続けていた点に関しては「俺が言い続けてた15%っていうのは余りに低すぎてチョッと歳入不足なんだな。だけど俺は15%にしたいと言い続けてそのお陰で20%っていう数字に落ち着いたんだ。で20%っていうのが俺のナンバーで、この20%にこれ以上交渉の余地はないし、俺は交渉しない。なぜかと言えば20%が俺が目指してた数字だからだ」って僕の訳が悪くて意味分かんないと思うかもしれないけど、原文英語でもまさしくこの通りに言ってて意味分からな過ぎだった。まあ、要は15%って敢えて低いところから始めて20%で妥協したように見せてるけど、実際には15%っていうのは単なるGambit、すなわち序盤の先手であり、作戦通りというか計算通りにみんな引っかかって20%になったということなんだろう。

で、20%としか記載されていないんだけど、Flat Rateなんだろうか。現状では15%、25%、34%、35%となっていて、途中、低税率ブラケットの恩典を消去するためのSurtaxとかもあり、部分的に39%で計算したりする帯域もあるんだけど、さすがに今15%で法人税払っている法人が今後は20%となることはないような気もして、となると15%と20%の税率区分になるのだろうか?別にそれでもいいけど、15と20しかない累進税率って何か感覚的に妙だ。一層のこと、0%と20%にして、今まで15%だった法人は0%とかにしたら気前よくかつ分かり易い。

トランプ大統領の発言を訳すのに余計な(?)エネルギー費やしてしまったのでここからは次回。

Thursday, September 28, 2017

米国税法改正大綱 「Unified Framework」(1)

4月に大統領府がレターサイズ一枚、7月にはBig 6が今度はレターサイズ半ページで米国税法改正の原理原則というか方向性を大げさに発表をして以来、いくらなんでもそろそろ具体的な改正内容を発表しれくれないと2017年中の改正は不可能になるぞ、と国民の堪忍袋の緒が切れ掛かっていた、というかオバマケア廃案失敗で共和党主導の議会の無力ぶりに有権者の怒りが頂点に達していた、このタイミングでようやく大統領府および両院の共和党幹部により米国税法改正の大綱とも言える「Framework」なる発表が行われた。

ここまで待たせたからには相当中身の濃いものになっているんだろうな、と数週間前から様々な憶測があったが、発表日の9月27日が近づくにつれ今回も「ハイレベル」な原則っぽいものに留まると噂され始め、え~いつまでやってんのって感じだったけど、逆に怖いもの見たさに似た不思議な感覚で実際の発表内容が注目されていた。

そんな中、予定通り9月27日に発表された大綱は9ページ!う~ん。ボリューム的には大統領府による4月の発表会の配賦物の9倍。Big 6による7月の発表の18倍の紙面を割いた力作(?)と言える。で、肝心の内容はと言うと大統領府の発表との比較でとても9倍とは言えず、せいぜい2.5倍くらいの感じ。

まあ、とは言え、1986年以来の大規模な税法改正に向けてようやく重い腰が上がり一歩(まだ残り99歩未踏?)を踏み出した観はある。まさに「Let me kick it like it's 1986!」。この歌詞、ここ1カ月くらいやたらNYCでもL.A.でもFMでヘビーにプレーされる「Feel It Sill」からだけど、この部分の歌詞聞く度に税法改正を思い出していた。この曲聞いて税法改正を連想するようなオタクな人は世界広しと言えども僕以外に存在しないのは間違いない。Portugal The Manによるオリジナルもノリが良くていいけど、MedassinによるRemixバージョンもAmbientでなかなかGood。オリジナルはLA.、RemixはNYCって感じかもね。

さて、一歩踏み出したのは評価できるとして、でもちょっと遅すぎた観は否めない。2017年内に法制化を目指す点は共和党幹部的には未だブレていないようだけど、その無謀な根性は評価に値いするとしても、後3カ月強の月日を残すのみだけという点を見てもそのアグレッシブさが伝わるけど、実際に議会の開会日数は40日を切っているというと無謀ぶりがもっと伝わるだろう。そんな短期でこんな大それた改正が本当に法律になるのだろうか。法律案の原案作成すらこれからだし、その後の審査、両院での審議、すり合わせ、成立と先は長い。

今回から数回に亘りUnified Frameworkに記載されている改正の方向性の詳細を見ていきたい。まずこの大綱のタイトルだけど正式には「Unified Framework for Fixing our Broken Tax Code」。Unifiedというのは下院、上院、大統領府というステークホルダーから既にコンセンサスを得ているという意味。逆に言えば、曖昧に表現されている部分、または敢えて避けて通っている部分は未だにコンセンサスに至っていないという厳しい現実を露呈しているとも言える。

Unified Frameworkの表紙はどことなく昨年発表された「The Blueprint」を思わせる。今回のUnified FrameworkをPaul Ryanが手に持って嬉しそうに公表している姿を見ていると、一年強前にThe Blueprintを公表していた姿がダブる。Paul Ryanもオバマケア廃案失敗等でどことなくチョッとやつれた感じ。

一年前はBlueprintだったけど今回は「Framework」。どちらも方向を示すもので詳細な法律ではない。Blueprintって用語はもう使えないだろうから代替の用語選択としてはまあいいチョイスだと思う。でも、それに続く「Fixing our Broken Tax Code」っていうのはなかなか毒々しい。本当だから仕方ないかもね。。

「Unified」の部分は今回の立法プロセスのキーとなるアプローチ。オバマケア廃案の最初の下院案が根回しなく公表され、結局廃案に追い込まれるという苦い経験があるだけに下院が法原案を作成する前段階で前広に大枠は合意しておくというアプローチだ。オバマケア廃案の試みはご存知の通りその後も混迷を極めまくり、ついに2017年の予算調整案に基く廃案期限の9月30日までに法案が通らないという選挙公約違反状態に陥っている。2018年の予算調整案に税法改正と並んで再度盛り込むという敗者復活的なうわさもあるにはあるけど何回やっても共和党が一枚岩になれなけば難しい。John McCain、Rand Paul、Lisa Murkowskiの3共和党上院議員は共和党の党是的には決して許されない憲法違反に近い大きな連邦政府、大増税を実現したオバマケアを部分的にでもリバースする機会を潰した功労者として歴史に残るだろう。この3人はNancy PelosiやChuck Schumerとかの民主党幹部の誰よりもオバマケア存続のために大活躍したことになる。John McCainはトランプが嫌いという理由だけでも絶対に賛成票は投じないにしても、先のSkinny廃案には賛成していたRand Paulは一体どうしてしまったんだろうか。このRand Paul先生こそ、日米租税条約の改定議定書が未だに批准されない理由の張本人だ。いろんなところで大活躍してくれている。

で、Unified Frameworkの話しに戻るけど、まず第一印象としては歳入部分の詳細が不明でブラックホール的なイメージ。これだけの減税をどうやってFinanceするのかという点に関して一部の控除を撤廃するという以外は敢えて無視しているのかな、と思えるほど触れられていない。The BlueprintではBorder Adjustmentとか金利の損金不算入とか一応財源が手当されていたので、今回は対照的だ。ここをどう読むかだけど、共和党幹部に何のアイディアもないと読むか、実は手当の目途は付いているけど、今公表すると損を被る業界団体等から猛反発を受け、ロビー活動で動きが取れなくなるシナリオを避けるため、敢えて奇襲攻撃で行くつもりと読むべきか。おそらく後者だろう、というか後者であると願いたい。

ただ、歳入原資は結構な重要ポイントだけに、その点を不明なままにしているFrameworkを早速今朝の専門誌とかでは「Nowhere Plan」とか揶揄している。Nowhere Planとか言われると、どうしてもThe BeatlesのRubber Soulに入っているNowhere Manを思い出す。武道館の東京公演でもライブで演奏したJohn Lennonの名曲だ。John Lennonと言えば、ついこの前Paul McCartneyをMadison Square Gardenで見た際、Set Listの結構な部分をThe Beatlesの曲の中でもどちらかと言うとJohn Lennon系の曲が占めていたのが意外かつ印象的だった。数年前にL.A.のStaples Centerで見た際はThe Beatlesの曲でも当然McCartney自作の曲がほとんどだったけど。今回はOpeningのA Hard Day’s NightもどちらかというとJohn Lennon系の曲だし、まあこの当時はまだ本当にLennon/McCartney共作のエレメントもあったかもしれないけど、以前は同じSGT PepperからでもGetting Betterとかやってたのに、今回はBeing for the Benefit of Mr. Kiteと言うおよそJohn Lennon以外がプレーすること自体が想像し難い曲を取り入れていた。A Day in the Lifeもそうだ。まあA Day in the Lifeは曲の真ん中のブリッジ部分はどう聞いてもPaul McCartneyが作った部分をくっつけているので半分は自作と言えるかもね。

で、何の話しだったかと言うとUnified Frameworkに歳入原資の話しが欠落しているというところだった。もう一つ興味深いのは税法改正の発効のタイミング、施行日に触れられていない点だ。その一方で、後述する設備投資減税に関しては「2017年9月27日以降に事業用途に供された動産」と異様に詳しくタイミングを規定してみたり、となかなか面白い。法人税とかは2018年1月またはそれ以降に開始する課税年度から適用というのが順当だろうけど、個人所得税とかは2017年1月に過去訴求とかないんだろうか。

と、いろんな意味で面白い発表だけど、次回から法人税・事業課税、クロスボーダー、個人所得税・遺産税、今後の手続き、等もう少し詳細に見ていきたい。