Monday, March 27, 2023

新春IRSガイダンス特集「CAMT適用対象法人Safe Harbor (3)」

新春特集のはずが、いつの間にか2023年も3月。それも後半。っていうかほとんど4月。お雛祭りはとっくに終わり、早くもDay-Light Saving(サマータイム)開始。早くしないとこのまま2023年も終わっちゃう勢いなんで頑張ります(笑)。

前回はモーツァルトからなぜかZeppelinに脱線し、延々とBlack Dogのリフの話しとかで興奮してしまい申し訳なかったです。僕たちの世代だとZeppelinって避けては通れないプレゼンスだったけど、今どきの読者にはその影響力とかピンとこないかもね。アメリカで街歩いたり飛行機乗ったりする人は気づくと思うけど、中学・高校生くらいの女の子が結構「Led Zeppelin」のTシャツ来てるんだよね。でも聞いてみるとロゴとかをデザインとして見てるっていう状態で、Zeppelinの曲とかは一切知らないとのこと。Black DogやHeartbreaker(HeartbreakerのリフもBlack Dogに負けず劣らずブルーノートスケールそのものだよね。いきなり低音ストリングのBendingで始まってかっこいい)とか知らなくても当然だけど、Tシャツ来てるんでStairwayぐらいは知ってんのかな~、ってチョッと期待してたんだけどね。ZeppelinのTシャツ、古着屋の例えばBuffalo Exchangeとかで売っているのは分かるけど、実はBrandy MelvilleとかPACSUNとかで最新コレクションとして結構な値段で販売されてるんだよね。それで中学・高校の女の子が買うんだろうけど。Led Zeppelinと並んでなぜかその手のTシャツに多いのはMetallicaかな。不思議。

Led ZeppelinのTシャツのデザインとしては、Houses of The Holyのジャケットのプリントが多い気がする。今見てもいいデザインだよね。いい感じで70年代っぽい。実は密かにビニールのLP未だに持ってるんでそのうち高く売れるかもね。Houses of The HolyはBlack Dogが収録されてている4枚目のアルバム「IV」の次の(当たり前だけど)5枚目のアルバム。4名目までアルバム自体にタイトルは付いてなかったと思うけど、Houses of The Holy以降、6、7、8枚目のPhysical Graffiti、Presence、In Through the Out Door、って名前が付くんだよね。偶然かもしれないけど、タイトルのないI~IVの方が出来がいい、っていうと失礼かもしてないけど、個人的な好みには合ってる。Jimmy Pageとか後半は練習不足(?)って思っちゃうくらい昔のギターの方が切れ味かいい。Jimmy Pageと言えばウォールストリートジャーナルに記事が出てたけど、ビクトリア調のお城みたいな豪邸に住んでて、隣の家が地下にプールを増設するっていうプランに振動でビクトリア調の自分の古城建造物にダメージがあり得るってことで町内会で戦っているそう。あんな大音量でツアーしていたのに今ではQuiet Lifeなんだね。Seasons of Lifeを感じさせてくれて感慨深い。ちなみにHouses of The Holyって曲の名前にもあるけど、曲の方はHouses of The Holyのアルバムには収録されてなくて、代わりに次にリリースされたPhysical Graffitiに入ってて面白いね。途中で気が変わったのかな。

CAMT適用対象判断時のSafe Harbor

またしても脱線が延々と続きそうな危機なんで、ここで気を取り直してCAMT。

前回、前々回からのテーマ、Noticeに規定されるSafe Harborは、とりあえず現時点ではCAMT対象になるかどうかを初年度の課税年度2023年に判断する際にのみ適用が認められる。ただ、その後の財務省関係の人たちの話しを聞く限り、Noticeが今後正式な規則って形で公表される暁には、2024年以降の課税年度における適用判断時にも適用が拡大される見込み、と考えておいていいだろう。ちなみに一度CAMT対象になると、例外的にIRSがお墨付きを与えるケースを除き、未来永劫CAMT対象法人であり続ける点は以前から警鐘を鳴らてるけど、Safe Harborが規定されてもそこは何ら変わりない。仮に将来課税年度にSafe Harborが適用可能となっても、Safe Harborを使うってことは未だ一回も適用法人になってない、ってことが大前提。一回でも適用法人になってしまうと、その後はフルバージョンにしてもSafe Harborにしてもテストをするっていう概念すら存在しない。試しにやってみて仮に結果がネガティブでもどうせ適用法人のままなんで意味がない。一回でもJokerを引くと負けが確定してしまう恐ろしいゲームだ。

以前もチラッと触れたけど、Safe Harborを規定する目的は、一般テストやインバウンド企業特別テストをフルバージョンで実施すること自体、CAMTの計算以前でテスト自体が複雑怪奇なんでそれだけでも負荷が高いっていう点の弊害を緩和する点。「私たちは適用法人ではありません」ってIRSに主張をするためには例えどんなに可能性が低くても複雑怪奇なテストに付き合わないといけない。すなわち、Safe Harborがないと、結局のところどれだけ調整しても$1Bとか$100Mには到底至らないと思われる場合でも、複雑怪奇なテストをして対象法人でない点をきちんと証明できるようにしておかないといけなくなる。会計上、損失が出てるとか、利益は微々たるもの、みたいなケースでも、大掛かりな調整等の計算をして「あ~よかった。やっぱりAFSIも3ドルでした」とか、誰が見ても無駄な作業を強いられるもんね。本格的に大掛かりな調整を加えてフルバージョンでテストする前に、ザックリと財務諸表を見て、テスト基準値に遠く及ばないと想定される場合には、それをもって対象法人ではないと結論づけてよろしい、というものだ。

で、Safe Harborの適用を選択する場合、と言っても適用できるんだったらしない理由はないから結局みんなすると思うけど、一般テストおよびインバウンド企業特別テストに基づくフルバージョンテスト適用に代わり、「簡素化テスト」の適用が認められる。

具体的には、ほぼ難しい調整はせずにザックリと財務諸表をみて、本来の基準値の半分、すなわち本当は$1Bを使用するテストには$500M、本当は$100Mを使用するテストには$50MをSafe Harbor基準値とし、それに至らない場合はそれをもって適用法人ではないと結論付けることが認められる。ちなみに前回(だっけ?)触れたんで覚えてくれてると思うけど、$1Bテストは「超過」、$100Mテストは「以上」の場合に満たすんで、Safe Harbor目的でも$500M超、$50M以上、が基準値となる。

Safe Harbor目的で使用するAFSIは、財務諸表グループを構成する主体が税務と異なったり、課税年度と会計年度が異なったりするケースは調整する点を除き、ほぼ財務諸表通り。一点分かり難い点として、Safe Harbor目的で適用するインバウンド企業一般テストで会計利益が$50M以上かどうかを見る際に、米国法人傘下の外国法人のAFSIをECIに準じる基準で取り込む点は、フルバージョン同様に調整を行うようにって規定されている。以前に触れた通り、このECI基準は、CFCの所得は持分に準じて米国株主側で直接AFSIに取り込むっていう調整とセットで考えないと変だけど、Safe Harbor規定でインバウンド企業一般テスト目的のみでECI調整だけ特定して適用しなさい、っていうのはどういうことなんだろうか。インバウンド企業の米国法人の財務諸表には傘下のCFCの所得は連結されている可能性が高いけど、CFCの持分を直接自分のAFSIとして取り込むことなく、CFCの所得はECI基準でのみAFSIとすると、CFCの利益が抜け落ちて計算がおかしいのでは?って思うけどね。またECI基準を適用するのはSafe Harbor目的ではインバウンド企業だけだとすると、米国多国籍企業のAFSIは財務諸表で連結されている数字をそのまま使用するんだろうか。チョッと釈然としない感じ。

という訳で次回は、その他のCAMT系のガイダンス、特にM&A関係と減価償却に軽めに触れて、その後は他の年末ギリギリガイダンスのうち結構面白いREITや米国不動産投資のクロスボーダーの取り扱いに触れたい。Zeppelinの話しは次回はしないように自制します。