Tuesday, February 26, 2008

米国のスピンオフ(4)

米国スピンオフに関しては2008年2月3日より「米国のスピンオフ(1)」「同(2)」「同(3)」にてポスティングしている。それらのポスティングでは最近発表されたモトローラとタイムワーナーのスピンオフ案に頻繁に言及しているが、双方とも不振部門をスピンオフすることで企業の株主価値を高めようというものだ。モトローラの場合は「Mobile Devices」部門が不振であり、他のセグメントを含めた全体の企業価値の足を引っ張っていると考えられ、したがってスピンオフにより他セグメントだけの法人とすることにより株主価値が高まると同時に、「Mobile Devices」部門も独立化によりその後の再編(他のMobile Devices企業と合併等)を通じてそちらの価値も高められるのではないか、という戦略だ。タイムワーナーによるAOLのネット接続事業スピンオフ案も同様である。

実はこの点に関して「なぜ単純に一つの企業を二つとすることにより価値が上がるのか?」という単純な質問を受け取ったので、今回は個人的好みの税務上の細かい取り扱い分析から敢えて脱線してスピンオフを取り巻く米国のマーケット環境に関して触れてみたい。なお、この分野はCorporate Financeに従事する方の専門分野であることから、タックス専門の僕が書くことはあくまでも経験に基づく私見であることはあらかじてご了承願いたい(ブログ全体が僕個人の私見なのだが)。

*なぜスピンオフが株主価値を高めるか

一般的にスピンオフはその後の株価に好影響をもたらすことが多い。スピンオフの発表直後に株価が上がることはよく目にする。しかし、これはあくまでの「発表の効果」であり、マーケットが戦略そのものに好感を示すという理由に基づく。実際の効果はもう少し長期で計らないといけないが、スピンオフ後の複数年で見てもポジティブな影響が多いようだ。なぜだろうか?

スプリットアップ、スプリットオフではない上場企業がリストラの一貫で実行する通常のスピンオフでは、スピンオフの対象となる事業を持つ法人の株式がDの株主全員にD株式の持分に準じて分配される。例えば、モトローラがもし本当にスピンオフを実行すると、モトローラの株主に「Mobilve Devices」事業を有する法人の株式が分配されてくる。モトローラ株主が受け取るMobilve Devices法人の株式数はモトローラ株式の持分比率に等しい。モトローラの株を1%持っている株主がいるとしたら、あたらしく受け取るMobile Devices法人の株式も全体の1%を受け取ることになる。

したがってスピンオフの結果、株主は引き続きMobile Devices事業に従来通りの持分の持ち続けるが、過去にはモトローラの経営下にあったMobilve Devices部門は独立法人・経営となりモトローラ経営陣から開放(?)されることとなる。しかし、ここで重要なのは「開放」されるのはMobile Devices部門だけではないということだ。すなわち、モトローラ経営陣も同様に今まで自らの管理下にあったMobile Devices部門の経営責任から開放され、残りのセグメントである「Networks and Enterprise」「Connected Home Solution」の経営に専念できるということだ。

このようなスピンオフ発表は経営陣のコア事業にフォーカスしたいという意欲の表れとマーケットから評価されることが多い。この既存の経営陣による「コア」の事業へのフォーカスこそが基本的にスピンオフの最重要ポイントであろう。

一方でスピンオフされた事業に関しては従来存在した他セグメントとの「しがらみ」に囚われない経営が可能となり自由化される。スピンオフを実行した側の法人はスピンオフの対象となる事業を失うこととなるので、その法人だけを見ると価値が若干低くなることもあり得るが、スピンオフされた独立法人の価値も加味すると合計では価値が上がるケースが多いということだ。もちろん、業績不振の事業、ミスマッチの事業をスピンオフした場合には、そのような事業から開放されたことにより、Dだけの価値だけを見ても価値が上がることもあるだろう。

財務的にもスピンオフの前にスピンオフする事業から配当という形で資金をDに戻したりしてDの財務体質を一新することもある。このようなステップを踏むことによりDの借入金を減らしたり、今までSubに費やした投資を回収したりできる。多少古い例(1997年)だがペプシがレストラン事業(ピザハット、KFC、タコベル)をスピンオフした際には$4.5Billionにおよぶ現金をレストラン事業から吸い上げている。レストラン事業はこの金額を借入しており、ペプシの借入がスピンオフされるレストラン事業法人に移管されたような形だ。

*Equity Carveouts

スピンオフと共通性を持つ手法に「Equity Carveouts」と呼ばれるものがある。これは子会社をIPOで上場させてしまう方法だ。Dが所有していたSubの株式を売ることもあれば、Subが株式を新規発行して資金調達することもある。また、少数持分をEquity Carveoutsしておいて後にスピンオフを行うという2ステップを踏むこともある。従来はDにControlされていたSubを切り放すことができるという意味でスピンオフと似ていると言える。

*Tracking Stock

もう一つスピンオフと共通性を持つ言われる手法にTracking Stockが挙げられる。こちらは一つの法人の中に異なるセグメントに紐付きの別クラスの株式を発行するというものだ。マーケットがセグメント別に事業評価をすることができ、その意味でこちらもスピンオフと似ていると言える。

Sunday, February 24, 2008

ロス疑惑再逮捕と「時効」

それにしても「今になって・・・」という感に堪えないのが例のロス疑惑の三浦さんの米国での再逮捕劇だ。僕らの世代ではあの事件を知らない人はもちろんいないので多くの人がビックリだろう。当時は「ロサンゼルスっていうアメリカの街は危ないところなんだな~」というような印象を持ったのを覚えているが、気がついてみるとあの事件現場から目と鼻の先で十年以上も仕事をしている自分の境遇も改めて見つめてみると不思議なものだ。

再逮捕のニュースを聞いてまず「時効は成立していなかったのか?」と疑問に思った方は多いのではないか?

*時効とは?

「時効(Statute of Limitations)」とは法的な「Defense」であり、被告が相手方の主張を排斥するために主張するものである。「自分はしていない」という主張は実際の「事実認定」を争う裁判でのひとつの戦いであるが、Defenseというのは若干異なる別の争点となる。Defenseはもし「仮に自分がやっていたとしても」責任を追及することができない、という主張であり、Defenseが認められると裁判上は「やったかどうかに係りなく被告の責任を問うことができない」ためそれ以上の事実認定に係る争点は意味がなくなる。

時効は「民事(Civil)」と「刑事(Criminal)」の双方に規定されるDefenseのひとつだ。Defense一般には民事、刑事各々の性格の違いから異なる種類のDefenseがあるが、代表的なものとしては「法的管轄権(Jurisdiction)の有無 - これがないと裁判所に裁判をする権利がない」「正当防衛」「遂行能力 - 精神異常、未成年、泥酔、等の理由で個人に責任を問うだけの判断能力等がなかったとみなされる」等がある。これらに並び「時効」も代表的なDefenseのひとつだ。

時効というDefenseは、時間が経つと証人を見つけるのが困難になったり、過去の記憶が曖昧になったり、と事実関係を突き詰めるのが困難となるために被告が不当な重荷を負うのを避けるために設けられている。また、時効により訴訟を起こす理由のある者はタイムリーに手続きを取るように促すという側面もある。

しかし時効というものは万人に自動的に与えられる生得権のようなものではない。あくまでも法律に規定されて始めて有効となるDefenseである。したがって、時効の有無、期間は固有のケースに対してどのように具体的に法律が規定しているかにより決定される。ここが今回のロス疑惑に関係してくる部分である。

米国の民事、刑事は基本的に州の法律で規定されている。したがって、州により時効はまちまちであるが、殺人罪(特に悪意が伴う計画的犯行に適用される「First Degree Murder」)にはどの州にも時効はない。これは、そのような重大な罪に関しては随意に25年とかの制限を設けずにいつでも裁けるようなシステムにしておくのが望ましいという理念を反映している政策であろう。また、今回のケースには適用されないかもしれないが、事項には「国外逃亡」等、法的管轄権の及ばない地域に身柄を置いている期間が時効に必要な期間とは数えられない(Toll)というコンセプトもある。

*時効のパワー

上のことからも分かる通り、時効というのは立法機関が随意に設けるDefenseであり、その適用有無は多くのケースで運命を大きく左右する。税務調査でもそうである。基本的に時効が税法に基づき有効に機能する場合には、実際の税金計算上、追徴があるかどうかという問題点に行き着く前に勝利することができるからだ。

米国の連邦税法では基本的に申告書の申告期限または申告書が実際に提出された時点のどちらか「遅い方」から3年が時効となる。例えば、2004年12月期の法人税申告書を2005年の6月1日に提出していれば2008年5月31日には時効が成立する。悪質なケースでは時効が延びたり、不正・未申告では時効が成立しなかったり、とまちまちだが、普通のケースでは「この課税年度は再編等いろいろあるので見られたくないな・・・」という年に関して3年が経ってしまえばそれまでである。また、税務調査が長引き時効の期限内に調査が最終化できなようなケースでは「時効の延長」をIRSと納税者で合意する。どのようなDefenseもそうであるが、本人が合意するのであれば「Waive(免除)」される。もちろん納税者側には「延長には応じない」というオプションが可能である。しかし、税務調査が進行している途中で時効の延長に応じないとIRSは即座に「追徴Notice」を発行することから戦略的にそのようなオプションが有利となるケースは少ないだろう。時効の管理は極めて重要な税務・法務戦略の一部である。

また、FIN48算定の際には、時効の有無が負債の計上、分析の対象範囲、等を決定することになるためますます時効管理の重要性が増している。IRSと時効の延長に合意している場合には、州の時効も自動的に延長されると規定している州も多く、その場合にはどのような州の問題点が「Open」と取り扱われるのか等の検討が必要となる。

*Double Jeopardy

もうひとつ、少しでも法律をかじった方であれば「Double Jeopardyじゃないの?」という反応を持たれたのではないか?Double Jeopardyとは米国憲法修正第5条に規定され「二重処刑の禁止」と訳され、一度無罪とされた事件は二度と裁判できないという考え方だ。これは時効とは異なり「刑事法」にのみ適用される。この点は有名な「O.J. Simpson」ケースがいい例だ。O.J.は刑事訴訟では無罪となったが、その後の民事訴訟(Wrongful Deathケース)で損害賠償の責任を問われている。

日本では無罪が確定しているので、クロスボーダーでDouble Jeopardyのプロテクションが認められるのであれば今回の逮捕はないはずだ。クロスボーダー局面でのDouble Jeopardyの適用は僕も今まで考えたこともなかったが、日米両国に法的管轄権がある珍しいケースでは、日本で無罪が確定していても米国ではDouble Jeopardyの適用はなく、今回のように米国で別裁判ができるというのが少なくともロサンゼルス市警の判断なようだ。税金の世界で言うところの二重課税のようなイメージだが、税金の世界では少なくともこれを低減しようとする努力(FTC、租税条約、CAなど)が存在する。刑事法には国際協定みたいなものがありDouble Jeopardyのコンセプトが適用されるような規定はないのだろうか?

Wednesday, February 20, 2008

米国のスピンオフ(3)

米国のスピンオフ(3)

前回のポスティングではスピンオフ等の分割を非課税とする多くの条件の中から「Active Trade or Business」に関して触れた。基本的にDもSubも過去に少なくとも5年行っていた実績のある事業をスピンオフ後も継続しなくてはならないというものだ。モトローラの例で見ると「Mobile Devices」部門は5年どころか少なくとも数10年は行っているだろうし、残りの事業も5年はやっているだろう。Mobile Devicesのように技術革新が目覚しい業種だと、一言でMobile Devices事業と言っても5年前と現在ではその姿はかなり異なると思われるが同一事業という認定がされれば問題はない。どこまで事業内容が異なると新しい事業と位置づけられるのか等、Active Business規定は個々のケースに独特の事実認定に拠るところが大きい。

タイムワーナーはネットサービス部門「AOL」のネット接続(プロバイダー)事業を分離する意向だと伝えられている。AOLとタイムワーナーは後からくっついた企業であるが少なくとも5年は経過しているので、Active Business規定の条件を満たすことができるであろう。

Active Business規定は近年いろいろな進展があるのでもう少し落ち着いた時期にじっくり解説してみたい。今日のところはスピンオフの他の条件に移るとする。

*事業目的(Business Purpose)

この「Business Purpose」という条件はスピンオフばかりでなく、買収型の再編(A、 B、C、買収D等)にも適用されるのだが、買収の局面では他の条件と比べると何となくハードルが低い。しかし、スピンオフの局面ではかなりの牙を持つ条件となる。

まず、誰にとっての「Business Purpose」かという点だが、これはスピンオフを実行する法人、すなわちDまたはSub(各々のグループ法人を含む)の事業目的でなくてはいけない。スピンオフにより事業分配を受け取る株主側の目的を達成するためではいけないということだ。Business Purposeは無数に存在するだろうが、連邦税を低減させるためというのは目的としては受け入れられない。これは一見当然であるが、面白いことに連邦税以外(例えば州税)の低減は立派なBusiness Purposeとして認められる。

また、スピンオフの最終的な目的は直接・間接に企業の株主価値を高めるというものであるが、単純に株主価値を高めるということだけで終始してしまうと、表面的には目的が株主側だけのものとなってしまう。したがっておかしな話しではあるが事業目的はDそのものに帰属するものでなくてはならず、あくまでも「結果として」株主価値が高まったという流れである必要がある。

もちろん多くのケースで法人側のメリットは株主のメリットでもあることが多いため、この区別は時として難しい。そのような場合には株主にメリットがあってもDまたはSubでもメリットがあるのであればBusiness Purpose条件は満たされる。

一般的によく見られるBusiness Purposeとして、異分野の業種を複数抱えていて経営その他の面で問題があるようなケース、またDまたはSubの再編を進める前準備として事業を切り分ける、というようなものがある。上述のモトローラ、タイムワーナーの例もこれらのケースである。また、上場企業でないClosely Heldっぽい局面では株主間の折り合いが悪くなり、各々が事業の一部を受け取り袂を分けるという、分かり易い分離もBusiness Purposeのクラシックケースであろう。ちなみにこの場合はスピンオフだと引き続き仲間割れをした株主と事業を共有しないといけないので、スプリットオフまたはスプリットアップの形態を取ることとなる。でないとBusiness Purposeと形態に整合性がなく、条件を満たしていないと取り扱われるリスクがある。

また、Business Purposeは「スピンオフ」、すなわち切り放した事業を株主に分配するところまでの必要性がなくてはいけない。一つの法人に存在する二つの事業を単に子会社に現物出資して目的が達成されるのであれば、それを敢えて株主に分配する必要はなく、単に別法人に持たせるだけでよくスピンオフをする理由とはならない。

*DによるSubの「Control」

非課税スピンオフの条件を満たすには、Dが分離する事業を有しているSubに対してスピンオフ前に「Control」に上る持分を所有している必要がある。ここでいう「Control」は企業再編の規定に共通な定義である「議決権の80%」かつ「議決権を有していないクラス各々の80%」とされる。面白いことに株式の価値とは関係がない。議決権付きの株式は全てのクラスまとめて80%かどうかを判断する一方、議決権を有していないクラスの株式がある場合には「各クラス」の80%を持っている必要がある。仮に79%の議決権しか持たないSubを「スピンオフ」したとすると、非課税スピンオフの条件を満たしていないことから単なる配当となり、株主が課税されることはもちろん、Subの含み益に対してDでも課税される大惨事となる。

もちろん「Control」要件を満たしていないのであれば、スピンオフの前段階で再編をして「Control」を得てからスピンオフを実行するというプラニングは可能だ。しかし、そのようなプラニングの際には、Subの株式取得がActive Trade規定違反とならないこと、またSubに対するControlが単なる一時的な意味のないもの(Transitory)として無効されないこと、等の個別の事実関係に即した検討が必要となる。

「Control」条件からも分かる通り、スピンオフの対象となる事業はSubという法人格に所有されていなくてはいけない。Dが事業資産を法人化することなくいきなり株主にスピンオフすると非課税スピンオフとならない。ただし、Subはスピンオフの目的でスピンオフ時に子会社化される形態でも問題はない。すなわち、Dにスピンオフしたい事業がある場合にはその事業を第一ステップとして現物出資してSubを設立した上で、第二ステップとしてそのSubをスピンオフの対象とするという形態だ。スピンオフに先立つ現物出資は通常の出資と異なりDが一瞬株主となるもののスピンオフを前提としていることから通常の非課税出資規定の対象とならないことがある。しかし、スピンオフを前提とした第一ステップの現物出資は「分割D型再編」となるため、第二ステップの分配が非課税スピンオフとなる限り現物出資時に課税されることはない。D再編の後にスピンオフされるためこのような2ステップ型取引を「D-355」と表現したりする(僕だけかもしれないが)。

例えば仮にモトローラの「Mobile Devices」事業が他の2セグメントである「Networks and Enterprise」「Connected Home Solution」と同様にモトローラ株式会社という一法人に属しているものとする。その場合には直接Mobile Devices事業を資産(プラス負債)として分配することができないため(正確にはできるが、とんてもない課税関係が発生するため)、Mobile Devices事業を現物出資してSubを設立する必要がある。Mobile Devices事業に税務上の含み益が存在するとしても、Sub株式をその後非課税スピンオフで分配することができるのであれば、第一ステップの現物出資はD型再編となり非課税だ。

*DによるSubの分配

Dは分割する対象となるSubを株主に分配する必要がある。スプリットオフ、スプリットアップに見られるようにこの分配はD株主の持分に準じて均等に行う必要はない。技術的には分配はSubの「Control」部分が分配されれば分配の条件そのものは満たすことができるが、敢えて分離しようとする事業の20%等の少数持分を持っていてもしょうがないケースが多く、また再編を促すというようなBusiness Purposeを掲げている場合には、一部株式を保有することはその目的から逸脱するというような解釈もなりたち、そうなるとBusiness Purpose条件を満たさなくなるリスクがあることから、多くのケースで100%持分が分配される。

Thursday, February 14, 2008

米国のスピンオフ(2)

2008年2月3日に「米国のスピンオフ(1)」のポスティングを書いたがその直後にタイムワーナーが傘下のAOLのネット接続事業をスピンオフする意向であるという発表をした。企業内の特定部門が企業全体の価値を落としていると経営陣が認識した場合に、問題の部門をスピンオフして将来的な再編の選択肢を増やすという戦略だ。先のモトローラ、今回のタイムワーナーの動きからも分かる通り、かなり頻繁に取られる戦略であることが分かる。

*非課税スピンオフ

スピンオフはその形態から正式には「スピンオフ」「スプリットアップ」「スプリットオフ」に区分されることは前回触れた。これらの形態が認められていることからスピンオフのために行われる株式の分配は各株主の持分比率に準じて均等に行われる必要はないことが分かる。何れの形態を選択する場合も、分割が非課税となることが極めて重要である。スピンオフが非課税とならない場合には、株主に分配される分割部門の株式は単純に配当となり、分配を受ける株主レベルで課税されることはもとより、分配をする側でも分割部門の含み益に課税されるという大惨事となるからだ。

同様にスプリットアップが非課税とならない場合には清算として課税されるし、スプリットオフの場合には株式償還の規定に基づいて課税関係が決定される。いずれのケースでも分配する法人と株主の双方で課税関係が発生することとなる。

このため、実務的にはスピンオフ等の分割を実行する際にはIRSに個別通達(Ruling)にて非課税取り扱いとなる旨の事前確認を行うケースがほとんどである。

スピンオフ等の分割を非課税とするためには多くの条件を満たす必要がある。買収系の再編と比べてスピンオフの非課税措置には税法(I.R.C.)そのものに詳細な条件が規定されている。これらの条件は複雑かつ個々の事実関係に拠るところが大きいので実際に分割をしようという場合には専門家と詳細な検討を行うこ必要があることは言うまでもないが、簡単に要点をまとめると次の通りだ。なお、以下、特別に区別が必要となるケースを除いては分割を一括してスピンオフと言及する。

*Active Trade or Business

数多い条件の方でも基幹となるのがこのActive Trade or Business (以下Active Business)である。この条件下では、スピンオフを行うDおよびSubの双方が、スピンオフ後も継続してActiveな事業を行い続ける必要がある。また、これらの事業はスピンオフから遡ること5年間D(またはDグループ)の事業であった必要がある。何が「事業」で何が「Active(経営・事業の管理)」かという点は事実関係の内容次第ではClose Callとなることもあり、相当数の判例、規則が存在する。5年間存続していたかどうかの検討には、どの活動をひとつの事業単位にまとめるかという決定が極めて重要だ。

また、スピンオフの過去5年間以内に事業が課税取引で買収されたケースではこの要件を満たすことはできない。この点に関しては既存の事業を「拡張」する目的での買収は問題ないとされているが、どのような買収が新規事業に係るもので、どのようなものが事業拡張のための買収となるのかは、事実認定の問題であり、その判断は難しいこともある。したがってIRSとの事前確認が大切だ。

Active Business条件の基本的な理由付けは、スピンオフは「納税者が本当に従事していた事業」を対象としたものでなくてはならないというものだ。本来であれば配当されるはずであった現金等の流動資産を利用して付け焼刃的に事業を取得してそれを非課税スピンオフとして分配することは認められない。5年間という条件があるため、非課税スピンオフすることを目的として現金等の流動資産・投資資産を事業と偽ることができない。

このActive Business条件をモトローラの例で考えてみる。モトローラはSECにファイルされている10K(Annual Report)によると「Mobile Devices」「Networks and Enterprise」「Connected Home Solution」と3つのセグメント事業を抱えている。このうちスピンオフが実行されるとなると対象となるのはMobile Devicesのようだ。Active Trade or Business要件を満たすためにはスピンオフされるMobile Devicesが別会社として株主に分配された後も事業として継続される必要がある。また、スピンオフされない事業、すなわち現在のモトローラにそのまま残る事業もスピンオフ後に継続される必要がある。更にこれらの事業は少なくとも過去5年間モトローラが従事していたという実績を持つ必要がある。

Thursday, February 7, 2008

減税小切手ついに可決

先行きがますます怪しい景気への緊急対策となる減税が今日可決された。前もって減税分の小切手が送付されてくる「戻し減税」に関しては2008年1月20日のポスティング「減税「還付小切手」の悪夢(?)が再び」で触れているが、その通りの結果となってしまった。減税法には他に設備投資減税が盛り込まれており、2001年の景気刺激策と類似するものとなっている。

*減税額

減税額の算定は法律そのものを読むと結構ややこしいが次のような感じだろう。基本的に普通に税金を支払っている独身者・夫婦別申告者は$600、夫婦合算申告者は$1,200となる。これに子女控除の対象となる子供が居る場合には子供一人当たり$300が追加される。しかし、年間の総所得(正確にはAGI)が独身者・夫婦別申告者で$75,000、夫婦合算申告者$150,000を超える場合には減額(Phaseout)がある。具体的には、AGIがこれら規定額の超過する金額の5%相当が減税から差し引かれる。したがって、夫婦合算ベースで子供がいない場合、$174,000のAGIがあると小切手はこない。基本的にはミドルクラス以下に対する減税となる。

上の$600であるとか$1,200は、もし年間の最終税金(減税前)がそれよりも少ない場合には税額が上限とされる。しかし、税金を支払っていない低所得者層でも少なくとも$3,000の社会保障受給額または稼働所得がある場合、または少しでも税金を支払っている場合には最低でも独身者・夫婦別申告者で$300、夫婦合算申告者で$600の減税がある。したがって、一定の条件を満たす場合にはネットで還付が認められる「Refundable Credit」であることが分かる。

*2008年の減税を今先払いするメカニズム

減税そのものの法律は2008年に対する税額控除(クレジット)として規定されている。しかし、誰が2008年に上の条件を満たすのか(2008年のAGIはいくらか、子供は何人いるか、最低でも$3,000の所得があるか、等)は2008年が終了して申告書を作成しないと分からない。

にも係らず、景気対策としての効果を最大限とするため、減税の効果は「前払い小切手」で国民に送付する必要がある。そこで減税規定はますます複雑となる。具体的には法律を読むと、もし今回の減税規定が2007年に適用されたとすると2007年にクレジットされたであろう金額と同額の金額を各納税者が実際に2007年にIRSに支払った金額にプラスでIRSに支払ったものと取り扱われる。この回りくどいメカニズムに基づき、2007年の申告書であたかもクレジット金額相当分の還付が発生するような取り扱いとなり、結果として2008年の早いうちにクレジット相当額が納税者に「還付小切手」として送付される。

このように一応2007年の還付かのような体裁は整えているものの、実態としては2008年の減税である。したがって、2008年の確定申告書を作成し、上述のクレジットが2008年の状況に応じて最終計算されることなる。この2008年のクレジットから実際に2007年に前もって発行された小切手の金額を差し引いた金額が2008年の申告書上でクレジットとなる。ただし、法律には2007年に基づく還付小切手の金額で2008年のクレジットを減額した金額はゼロを下回らないとされていることから、還付小切手を一旦受け取ってしまえばそれを返却することはない。結果として、2007年、2008年の双方の年に減税規定を適用し、どちらか高い減税額が最終的に懐に入ることになる。

*非居住者は対象外

今回の減税の対象となるのは「米国居住者」である。ただし、上のメカニズムに基づくと、2007年に居住者で申告している場合には、2008年非居住者でも小切手が送付されてくる。これは返却する必要はない。逆に2007年非居住者の場合には、前払いの小切手は送付されてこないが、2008年に居住者であれば2008年の確定申告時に税額控除の恩典を受けることができる(所得上限に引っかからない場合)。

*ITINの配偶者、子供は対象外?

法律には減税の対象となるのはSSNを持っている者と規定され、敢えて「ITIN(納税者番号)ではダメだ」と明記されている。となると日本人派遣員の場合には、例え夫婦合算申告して子供がたくさんいても、多くのケースで配偶者・子供はSSNではなく、ITINを使用していることから対象外となるように読める。その場合、法律を文字通り読むと派遣員本人分の$600も含めて減税不適格となるようにも読めIRSの具体的な対応がどのようになるのか興味深い。

*他の減税

今回の景気刺激策には上述の還付小切手の他に、2008年に事業用途に供される機械類に対する取得時50%の特別償却、小規模事業主による資産取得年の一括償却($250,000まで)等の投資減税が盛り込まれる。なお、一部で期待されていた欠損金の繰り戻し期限(通常2年)の特別延長措置は見送られている。

Sunday, February 3, 2008

米国のスピンオフ(1)

モトローラが携帯電話機事業をスピンオフする方向で検討に入っているというニュースが先日報道された。米国企業が株主価値を高めるために採算事業と不採算事業を分離したり、合併を実行する前段階で合併には必要のない事業を分離したりするスピンオフは珍しいことではない。スピンオフに関して書き始めたらマイクロソフトによるヤフー買収案のニュースが飛び込んできたのでそちらを先にポスティングしてしまったが、今回はスピンオフに関してポスティングする。

日本でも会社分離が企業再編の一手法として取り入られるようになってきているが、米国のスピンオフとは大分異なる部分が多いようだ。米国でも会社を分離する際にはいろいろな手法が考えられる。分離の対象となる事業がパススルー主体で行われているのか、株式会社(C Corp)で行われているのかで可能な手法は異なる。モトローラのようなC Corpが事業を分離する場合、技術的には「スピンオフ」「スプリットアップ」「スプリットオフ」の3通りの手法が考えられる。一般的な用語としてはこの3つをまとめてスピンオフと表現されることもあるようだが、税務上は3つ各々異なる手法として認識されている。

*スピンオフ

スピンオフは、分離をする法人(Distributionを行う立場にあることから「Distributing」と呼ばれる、ここでは「D」とする)が分離する事業を持つ子会社株式(Sub)をDの株主にD株式の持分に準じて分配する手法である。スピンオフの直後、D株主は全員、D(分離の対象とならなかった事業を持ち続ける主体)とSub(分離される事業を持つ主体)の双方の持分を持つ。DとSubの間に資本関係はなくなり、基本的に共通の株主がいる別会社となるということだ。

スピンオフの対象となる事業を持つSubは既存のD子会社のケースもあれば、Dがスピンオフしたい事業を新規法人Subに現物出資し、その上でSub株式をD株主に分配しても問題ない。Sub株主の分配が全てのD株主にD株式の持分に順じて行われることから形式的には「配当」に似ている。スピンオフの特徴は旧D株主の全員がDおよびSubの双方の株式を持ち続ける点である。

*スプリットアップ

スプリットアップでは、Dが事業をSub 1、Sub 2等、分離したい事業の数だけ子会社に現物出資する。その後、Dは清算され、清算配当の一環でSub 1、Sub 2の株式がDの株主に分配される。この分配はD株主のD株式の持分に準じて行われることもあれば、Sub 1は株主A、Sub 2は株主Bという形でばらばらに行われることもある。D株式の持分に準じて分配される場合には最終結果はスピンオフに似ており、逆にばらばらに行われる場合にはスプリットアップに似ている。ただし、スプリットアップでは、分離前に存在したDが消滅するという特徴がある。

*スプリットオフ

スプリットオフはスピンオフに似ているが、DがSub株式を分配する際にD株式の持分に準じて分配するのではなく、特定の株主にSub株式をD株式と交換する形で分配する。特定の株主のD株式をSub株式を利用して「償還」するようなイメージだ。結果は旧Dの一部の株主はDの株式のみを持ち続け、残りの株主はDの株式は持たずSubの株式のみを持ち続けることになる。

*Sub株式の分配という手法が必要な訳

上の全ての手法に共通するのは、分離する事業を別法人(=Sub)に移管し(または最初からSubが分離対象となる事業を持っている場合もある)、Subの株式を分配する点だ。事業そのものを事業資産として株主に直接分配してしまうことももちろん可能ではあるが、その場合は配当、償還の取り扱いを受け非課税のスピンオフにはなり得ない。課税分配となる場合には、株主サイドで課税されるのはもちろんのこと、法人サイドでも事業資産の含み益(Goodwillを含む)に課税される。これはDがSubを課税取引に売却して売却代金を配当で株主に分配する取り扱いに等しいが、スピンオフの場合には実際の売却と異なり代金が入ってこない。したがってDには税金を支払う原資が入ってこない。このことから非課税スピンオフが後に課税取引と認定されることはかなりの大惨事である。


Subを分配する場合でも多くの条件を満たさないと非課税のスピンオフにはならない。今後いくつかのポスティングがスピンオフ等に係る米国での税務取り扱いのポイントに関して触れてみる。

Saturday, February 2, 2008

マイクロソフトのヤフー買収案

つい先日モトローラが「スピンオフ」に基づく再編案を検討しているという報道があり、スピンオフに関するポスティングを書いていたら、いきなりマイクロソフトによるヤフーの買収案が報道された。スピンオフにしても買収にしても米国では珍しいことではないが、マイクロソフトのヤフー買収案は注目度が極めて高いので、スピンオフは次回として急遽マイクロソフトの買収案に関して触れる。ネット検索・広告分野でのグーグルへの対抗という今回の買収の戦略的な部分に関しては既にいろいろと報道されているので、ここではその手法、税務上の検討事項等を公になっている情報から推測してみたい。

*買収手法

最初に「敵対買収」という報道があったため、一瞬「Tender Offer」(具体的にはTender Offerの後、Merger)かと思ったが、Microsoftが公開したYahoo取締役会にあてたレターの内容、2月1日のアナリスト向けカンファレンスコールのプレーバック等の情報から、買収はMerger(合併)という形で提案されていることが分かった。Tender OfferとMergerの基本的な違いに関しては以前のポスティングでも触れたことがあるが、、Tender Offerは株主に直接株式交換、現金取得を提案するもので、買収先の取締役の承認を必要としない。一方でMergerは買収先の合意が必要となることから相手法人の取締役との交渉となる。

Tender Offerでは判断が個々の株主に委ねられるため、上場企業の全株式を取得することはできない。したがって、Tender Offerで過半数の株式を取得した後、Mergerにて100%子会社化という第二ステップが取られることも多い。過半数の株式を取得すればMergerの交渉相手となる取締役は実質買い手にコントロールされているのでMergerの障害となるものはない。

*今回のMerger提案

マイクロソフトの提案によるとMergerの対価はヤフー一株当たり「$31の現金」または「マイクロソフト株式0.9509」のいずれかということだ。マイクロソフト株式0.9509は1月31日の終値ベースで$31となる。

各株主が一旦どちらの対価を取るか選択することができるが、最終的にはMerger対価が合計ベースで50%が現金、残り50%が株式となるように調整されると読める。すなわち、仮にMergerが承認されたとして、もしYahoo株主の半数が現金が欲しいと言い、残りの半分が株式がいいと言ったとすると、それ以上の調整は必要とされない。もちろん現実には株主のピッタリ半数の者が現金、株式の対価を選択することは考えられない。その場合、もし現金を選択する株主が過半数を超えたら、全体の対価の50%を超える部分に関しては強制的に株式が支給されることになるだろう。その場合、最初から株式を希望した株主には希望通り対価全額が株式で支給されることとなる。

このMerger対価の調整に関しては、株式が欲しいという希望を持つ者が50%を超える場合にのみ調整がされるようなMerger契約もあり得る。その場合、現金を欲しがる株主が50%を超えても調整が行われないこととなるが、そのような形態は株式%が低くなっても非課税取引が認められるダブル・ダミー形態を取るケースに多く、今回のようないわゆる「Reorg」系の再編に関しては少なくとも50%の株式対価は確保されるのではないかと思われる。これらの細かい点に関しては実際のMerger契約書を見れば全てクリアになる。

*Merger形態

最終的にMergerの対価に占める株式の割合が50%とされていることから、通常の二社間合併、またはForward三角合併であれば、他の条件を満たすという前提で非課税のA型再編となる。通常、少なくとも40%の対価が株式であればA型再編(Foward)の持分継続規定は満たすことができるからだ。

非課税とならない現金買収の場合には通常Reverse三角合併という手法が用いられ、Forwardの二社間合併または三角合併は税務上のコストが高すぎて非現実的であることが多い(この点に関しては2007年12月16日のポスティングを参照 http://ustax-by-max.blogspot.com/2007/12/blog-post.html)。しかし、今回の取引のように非課税再編となるのであればForwardでもいい。株式の対価が50%に限定されることからReverse三角合併として非課税再編とすることはできず、Forward合併となるであろう。

どのようなMergerでもそうであるが、Mergerをすると消滅法人のオフバランス、偶発債務を含む全ての負債が存続法人の負債となる。このことから、巨額のネット資産を有するマイクロソフト本体が合併の受け皿となるとは考え難い。となるとマイクロソフトがMerger Subを設立しそこにヤフーが合併されてくることになる。その場合、Merger Subが株式会社であればForward三角合併となり、LLCであれば税務上は通常の二社間Mergerと扱われる。

Forward三角合併の場合、二社間合併と比較して、若干非課税要件が厳しい部分があり、特にヤフーに不必要な資産がありそれを合併前にスピンオフするようなことがあると、三角合併の形態で非課税とすることができない。そのようなケースではLLCの利用も考えられる。

二社間にしても、三角合併にしてもForward Mergerとなる場合には非課税取引とすることが「Must」である。でないとヤフー法人レベルでGoodwillを含む事業含み益全てに課税されるという大惨事となるからだ。IT企業は資産簿価と事業価値の差異が巨額であることが多いのでこの点はとても重要である。このことから両法人の弁護士事務所による「このMergerはA型再編となる」というオピニオンがClosingの条件となることも十分に考えられる。

*株式 v 現金

A型再編(Forward三角合併を含む)となる場合でも、現金を受け取る株主はその部分が課税取引とされる。したがって、ヤフー株主がMerger対価を現金、株式のどちらを選択するかは基本的に課税取引としたいかどうかという検討となる。ゲインが出るようであれば非課税を好む株主が多いかもしれない。しかしヤフーの株価はITバブル時代には$100以上で取引されていた実績を考えると現在の株価に60%以上のプレミアムを足した$31という金額でも、キャピタルロスを認識する株主は少なくないかもしれない。その場合には、敢えて課税取引としたいと考える株主もいるだろう。

*今後の進展

現時点では未だMergerが成立した訳ではない。双方によるDue Diligence(マイクロソフトの株式が対価となるため、ヤフー側もマイクロソフトに対するDue Diligenceを行うのが一般的)、独禁法その他のRegulatory問題、を経てプロセスは今後最終化されていく。

また、上述の通り、Mergerを実現させるにはヤフーの取締役会の合意が必要となる。取締役会には株主のことを第一に考える「Fiduciary Duty」があり、他に有力なオプションがない限り$31という提案を拒否するのは簡単なことではない。どのような選択をしても株主訴訟が待ち受けている可能性が高く、M&A専門の弁護士、投資銀行が取締役会に張り付いて迅速な意思決定が行われるであろう。代替案が浮上してくる場合には、それが他の買収案なのか、単独Recapなのか、どのようなものとなるのか極めて興味深い。

マイクロソフトのレターによると合併に応じない場合には、他の手段を取るというコメントがある。これはTender Offerを含む強制的な敵対買収のことであろう。仮に最終的にヤフー取締役会がマイクロソフトと合併すると決定するにしても、代替案を提示したり、その他の戦法で買収価格を上げるというようなこともあるかもしれない。米国のM&Aがサブプライム問題でスローダウンした矢先に出現した面白い戦略的買収案だ。Private Equity等のFinancial Buyerによるバイアウトとは若干異なる見所が沢山あり、ヤフー取締役会の反応を見るのが楽しみだ。