Friday, March 28, 2025

(号外)ナントUTPR追加対抗法案「The Unfair Tax Prevention Act」も下院再提出

Section 899法案の話しもそろそろ大詰めで、終わったら税制改正が本格化する前の隙間を縫ってインバウンドPracticeとしては欠かすことができないYA Globalの話しでもとか思ってワクワクしてたら、ナントSection 899法案(「the Defending American Jobs and Investment Act」)に加えて、さらなるGlobal Tax Deal対抗法案「The Unfair Tax Prevention Act」が下院に再提出された。この法案はどうなっちゃうんだろうって注意はしてたけど急な再提出でビックリ。

このthe Unfair Tax Prevention Actは先の899法案同様に2023年7月に一度H.R.4695 (118th)として提出されて、提出当時はその厳しい内容に驚きだったけど、それが昨日3月27日に下院に今度はH.R. 2423 (119th)として再提出された。法案のスポンサーは以前も今回も下院歳入委員の一人Ron Estes(R-KA)だけど、下院歳入委員会共和党議員全員が賛同している。ちょうど899法案が元々提出されたのも2023年5月だから2か月空けて時間差攻撃するフォーメーションなのかな。

2023年バージョンと同様の内容って想定されるけど、899法案がsection 899を新設するのに対し、the Unfair Tax Prevention ActはBEATをSuper-chargeする規定。したがって新たなSectionが生まれるんじゃなくて、既存のBEAT、すなわちsection 59Aに追加Subsectionが加えられる形で規定される。そのSuper-chargeぶりがなかなか激しい。従来のBEATをChargePointやblinkとかの「Destination Charger」だとするとthe Unfair Tax Prevention Actは純正のTesla Supercharger級。

899法案のポスティングが終わったら、続いてこのSuper-chargeのBEATに関しては詳細に触れたいけど、チラッと頭出ししておくとUTPRを含むExtraterritorial Taxを導入している国の主体に支配される主体は「Foreign-Owned Extraterritorial Tax Regime Entities(「FETR Entities」)って認定される。国際紛争時の制裁対象国やバッテリー製造時の鉱物輸入時に指定される懸念国(FCOC)、またはテロリスト団体みたいな勢い。で、このFETR EntitiesにはBase Erosion Benefitが3%かどうかとか売上高が$500MかにかかわらずBEATを適用し、従来のBEAT法で免除されてる支払い、例えばSCM適格のサービスFeeその他もBase Erosion Benefitと取り扱うっていうもの。ここからが凄いけど、ナント禁じ手のCOGSの50%もBase Erosion Benefit扱い。COGSの否認は憲法的に問題があり得る点は「バイデン政権「グリーンブック」で増税案詳細公表(4) COGSとSHIELD」で以前触れたけど(SHIELDとか存在自体忘れてました)、実は現状のBEATもInversionした法人にはCOGSもBase Erosion Benefitとするっていう懲罰規定がある。って考えると半分で済んで御の字なのかな?

再提出に共催している下院歳入委員メンバーには委員長でsection 899法案のスポンサーのJason Smithも当然入ってることから、section 899と相互排他的な関係にあるのではなく、補完関係にあり両方一気に立法化を目指すっていうアプローチに見える。Section 891や899と大きく異なるのはUTPRを導入した国に所有される「米国法人」がFETR EntitiesとしてSuper-charge BEATの対象になる点。ついに本丸に攻め入られた感じだ。金利、ロイヤルティ、配当の源泉税が50%で、仕入れに25%関税かかってその上仕入れ半分がBEAT目的で損金不算入じゃ商売にならないよね。

という訳でProvocativeな展開だったんで取り急ぎ号外でポスティングしておきます。