Tuesday, September 18, 2007

ファンド上場とBlocker Corporation

ファンドの基本的なストラクチャーとBlocker Corporationの関係は前回のポスティングで触れた。Blocker Corporationは米国外のオフショアに設立されることが多いが、通常であれば米国での事業所得がパススルーされてくる限り、米国での法人税の対象となる。

*ファンドの上場ストラクチャー

ファンドが上場する際には今までの例ではファンドそのものの持分が一般投資家に公開される訳ではなく、ファンド・マネージャーとして機能する主体の一部が公開されている。もちろん、ファンドを本当にマネージする元々のファンド・マネージャーが大多数の持分を持ち、ファンドの運用等に関して決定権を持ち続ける。一般投資家はファンド・マネージャー主体の一部の持分を買い、基本的にファンド運用に対する決定参加権はない。

*上場前再編とBlocker Corporation

ファンドが上場する際の目論見書に記載されるストラクチャーはかなり複雑であるが、上場前に実施される再編で、元々のファンド・マネージャーは事業をBlocker Corporationを含む他のグループ企業に売却するという手順を踏んでいる。ファンド・メネージャー事業の価値は高く、従って売却価格は高いが、その多くの部分がGoodwill等の無形資産に配賦される。 Blocker CorporationがGoodwillを所有している場合には、その償却費によりBlocker Corporationの法人税が圧縮されることとなる。また、Blocker Corporationには貸付が行われ支払利息によっても法人税は圧縮される。

さらに圧縮された法人税は「Tax allocation」契約に基づき、もともとのファンド・マネージャーに戻される契約となっている。このようなストラクチャーを取ることによりBlocker Corporationを介在させ外国人投資家、非課税組織に事業所得の性格がパススルーしないようにしながら、Blocker Corporationそのものでは法人税が多く発生しないようなことも可能だ。なかなかよく考えてあるストラクチャーである。税引後のEarningsまで検討しないでグループ・ストラクチャーを決定しまいがちな日本企業にとって、少なくとも「こんなことをしているのか・・・」位の意識は持つ価値はある取引きである。