前回は、スピン時にControlledに債務を付け替える手法として、単純に継承させる方法およびControlledが借り入れをして現金をBootとしてDistributingに交付し、この現金を使ってDistributingが既存の債務を返済する方法、という二つの原始的なものが存在し、これら双方の手法は付け替える債務の金額がD型再編時に出資される資産の簿価を超えると、Distributingに課税が生じる点に触れた。ちなみにIRSによるRuling(事前個別通達)を申請する際には、返済対象となるDistributingの債務が、スピンを念頭に急に借り入れられたものでない点、また債権者が関連者でない点、等の追加のRepが要求される。これは法律と言うよりは、Ruling時のガイダンス。
ソフト事業とハード事業の例でみると、ソフト事業をスピン目的でD型再編で子会社化する際、Corporate Finance的な見地から適正なレベルの負債をソフト事業に非課税で付け替えることは、出資対象資産の税務簿価が十分に存在しないと不可能。無形資産のように簿価がない資産が多いっていう仮定だと、大きな課税を覚悟せざるを得ない状況となり、スピンを実行するメリットが大きく低減する。
で、そこで登場するのがControlledが株式と同時に「Securities」をDistributingに交付し、このSecuritiesをDistributingの債権者に分配、すなわち既存の債務と交換するという第三の手法。Securitiesの交付・分配がD型再編時に適格交付資産になると、出資対象資産の税務簿価に基づく金額のLimitationがない。この点をうまく活用すると、経済的にソフト事業に配賦されるべき合理的な債務額を出資資産の税務簿価に囚われずに付け替えることができる。
ControlledのSecuritiesの利用法。
僕が最初にLeveraged Spinに興味を持った当時、というと結構昔の話しでThe Beatles時代には遡らないにしても、Paul McCartneyがツアーでようやくThe Beatlesの曲を多めにフィーチャーするようになってきた頃(Drive My Carで始まるセットは良かったよね。その後のHello Goodbyeで始まるセットはPost-LindaだったせいかもっとThe Beatlesだったね)なんだけど、D再編時にControlledがDistributingに交付するSecuritiesを、Distributingが実際に既存のBondholderと交換したりしてた。それが達成したいEnd Resultsではあるんだけど、かなりの手間だよね。
そこで、投資銀行が仲介するより効率のいいストラクチャーが徐々に浸透する。このパターンの初期ストラクチャーは、投資銀行が既存のDistributingのBondをオープンマーケットで買い集めてDistributingの債権者を一元化した上、ControlledのSecuritiesと交換するというもの。格段に取引の効率性が高くなる。で、ControlledのSecuritiesを受け取った投資銀行はこれを市場に再販するんで、元々Distributingの債権者だったBondholderのうち、引き続き投資を継続したい場合にはControlledのSecuritiesを取得すればいいし、換金したままでいいケースは、元々投資銀行によるBond取得で現金を受け取っておしまい、ってことになる。これらの一連の取引ステップは一環したプランに基づき実行される。
投資銀行が仲介するパターンは、個々の債権者と直接債権を交換する手法に比べて格段に効率はいいけど、それよりも更に効率のいいストラクチャーに進化していく。投資銀行にDistributingが一旦直接債務を発行する手法だ。この最新型のパターンでは、スピンに関連して、Distributingが投資銀行から直接一旦借り入れをする。その際に、この債務はスピンのD再編時にControlledがDistributingに交付するSecuritiesで直後に返済されることが合意される。Distributingは投資銀行から借り入れた資金を使って、既存のBondをCallして返済してしまう。後は予定通り、ControlledのSecuritiesでDistributingの投資銀行からの債務を返済し、投資銀行はControlledのSecuritiesを市場で売却する。結果は同じだけど、取引効率は更に改善する。
Securitiesとは?
Securitiesを活用したDistributingの債務のControlledへの付け替えは、実態としては債務の継承に近い。にもかかわらずSecuritiesを使うストラクチャーには簿価制限がないとなると、何がSecuritiesなのか、っていう単純な検討が最重要になる。Securitiesって、他の局面でも使用される用語なんで注意が必要。例えば、Section 165(g)で無価値になった場合にみなし譲渡損が認められるのも対象はSecuritiesだけど、Section 165(g)の目的では法人の債務の多くがSecuritiesに区分される。一方、組織再編時のSecuritiesは税法には定義がなく、Common Lawでその意味を理解する必要がある。
Common Lawの性格から、機械的なテストがある訳ではないけど、基本的な基準はSecuritiesがEquityに近い長期に亘るProprietary持分に当たるかどうかっていう点。その際に返済原資が事業にリンクしているかとか複数のファクターを加味して総合的に検討する必要があるとは言え、結局のところ決め手になるのは債務の返済期間だ。Law FirmやBig-4のNational Officeによってリスク許容度は若干異なるものの、一般的には7年程度と考えられている。5年を切るNoteを組織再編目的でSecuritiesと言ってくれるLaw Firmはないんじゃないかな。
スピン+RMT+DeSPACでSPACが所有する現金をどうやってDistributingに戻すかっていう点が難しい検討になる、って前回触れたけど、スピン時に現金を直接Distributingに戻すことができるのは資産簿価が限度で融通が利かない。そこでSecuritiesを活用できないかな、っていう検討になるけど、Controlledが交付するSecuritiesを適格資産とするためには債務を7年間アウトスタンディングにする必要がある。Controlledに現金ニーズがあれば、それでもいいのかもしてないけど、De-SPACしてControlledに現金が移管されるにもかかわらずSecuritiesに基づく債務を長期に亘り返済することができないと、変なバランスシートになってしまう、っていう点にどうアプローチするべきか、っていうCorporate Finance的な検討が必要となる。
Securities活用に対する財務省の反応
という訳で、SecuritiesはLeveraged Spinのストラクチャリングには欠かせないツールだけど、チョッと便利過ぎてIRSの反応が怖い(?)、って思うよね。特に投資銀行が仲介するパターンでは、Distributingが投資銀行から融資を受ける時点で、既にControlledのSecuritiesで返済することが決まっている。スピンとかの話し以前に、素人でもこれって本当の債務者は最初からContolledなんじゃない?って疑問が出てくるよね、普通。真の債務者の特定に関しては、Southwest ConsolidatedとかPlantation Patternとかの判例を考えると、一般的には最初からControlledじゃん、って言われてもおかしくない。でもLeveraged Spin時のこの点に関するIRSのスタンスは寛容で、Distributingを債務者と見てくれると考えていい。チョッと長くなってきたんで、IRSの反応に関してはもう少し詳しく次回。
Thursday, July 7, 2022
Tuesday, July 5, 2022
失速BBBAの法案に見る米国税制の方向「Leveraged Spin」(2)
前回、スピン時にDistributingの債務をControlledに付け替えたり、スピン後の双方の法人のCapital をベストなStructureにする際に、BBBAが厳しい制限を提案していたってイントロっぽく頭出しした。
例えば、トラディショナルなハード事業と過去5年成長著しいソフト事業の双方に従事する法人が、ソフト事業がハード事業と混在していることで、ソフト事業の市場価値が過小評価されてるっていうフラストレーションを感じているとする。そんなマーケットの認識を克服するため、ソフト事業をスピンし、双方の事業の時価総額合計アップを計るとする。ハード事業は重厚で資産が多い一方、ソフト事業は最近5~6年のR&D努力の結晶だとすると税務簿価のある資産はない。さらにソフト事業の事業価値はGoodwillを含む無形資産が占める比率が高いのが一般的だろう。ソフト事業のR&Dファイナンス時にはハード事業の資産によるCredit Supportが欠かせなかったとする。
ちなみにスピンの方向として、逆にハード事業をスピンしても問題ない。どちらの方向を選択するか、は今回のテーマの債務の振り分けも最重要ファクターだし、スピン後のM&AをReverse Morris Trust(RMT)でするのか、元祖Morris Trust(MT)でするのか、とか総合的な検討に基づいて行う必要がある。スピン以外にも、例えばカーブアウトM&A、IPO、またはSECの規制やIPO市場の冷え込みで急激に萎えているDe-SPAC、とか分割の手法は他にも多く存在する。スピンをアナウンスすることで、潜在的なバイヤーが名乗りを上げてきたり、SPAC上場したもののDe-SPACの18か月期限が迫っててこのままでは一攫千金にならないと焦ってるスポンサーが殺到したり、様々な買い手をあぶり出す効果がある。今日日のマーケットでは、これらの手法のいずれか一本に最初から絞ることは珍しく、カーブアウトM&A、カーブアウトIPO、De-SPAC、スピン、スピン+RMTとか、マルチトラックでPricingを最大限化するのが定石だ。
ちなみにスピン後にRMTする際の取引をDe-SPACで実行することも可能。その場合、PIPE投資家がSPAC法人に注入する現金をどのようにして旧オーナーのDistributingに税コストなく移管できるかが最重要課題の一つになるけど、この部分に大きな足かせとなり兼ねないのが、今回のテーマの債務の振り分けにかかわる諸々の制限(既存+BBBA提案)だ。まだSPACがもてはやされてた頃、スピン+RMT+De-SPACストラクチャーは結構な投資銀行が実行可能性を模索してたけど、結局、現金移管のハードルが高くて他の手法に落ち着いたケースが多いと、一般論としてM&Aバンカーの友人が言っていた。
Leveraged Spinは現金対価の事業売却?
Distributingが分割対象事業をControlledに現物出資する際、上のハードVソフトの例でも分かる通り、Distributingの既存債務をDistributingがそのまま全額負担し続けるのは実態に合わない。そこで、債務のうちどれだけをControlledに負担させるか、っていうCorporate Finance的な検討が必要になるけど、既存債務をControlledに継承させるということは、実質、Distributingは現金を受け取ったも同然なので、現物出資がD型再編で非課税になる場合には事業を非課税で譲渡、換金したも同然という位置づけも可能となる。一方で、もともと異なる事業がたまたま同じ法人格の中に存在し、債務が必ずしも法的にどちらか一方の事業にひも付きでなかったものを、スピン時に各々の事業に振り分けるステップは分割時に必然的に求められるステップとも言える。いくつか注意すべきトラップはあるとは言え、紆余曲折の末に現時点で財務省が辿り着いた原則は後者のCorporate Finance的な実態を反映しているものだ。一方で、バイデン政権がBBBAを通じてプッシュしていた法案は前者の見方に基づき、スピン時の債務振り分けを阿漕なものとして位置付けての話し。税務上の見方や取り扱いが異なるとは言え、取引そのものの最終的な経済効果は同じ。
現状の法律と債務振り分け手法の変遷
Distributingの債務をControlledに付け替える一番単純な手法は、Controlledに事業資産を現物出資する際に、Controlledに債務を継承(Assumption)させてしまうこと。この手法に対してはBasis Limitationがある。すなわち、D型再編と取り扱われる事業資産の出資時に、Distributingが課税所得を認識することなくControlledに継承させることができる債務の金額は、出資対象となる資産の税務簿価を上限とする、という制限だ。Section 351の現物出資およびスピンの前兆の分割型D型再編(今回の話しのケース)に適用されるSection 357(c)制限。
債務を直接的に継承させることが税務以外の事情、ローン契約とか何らかのRegulatory関係とか、で容易でない場合、現物出資時にControlledから株式と同時に現金を受け取ることもできる。Controlledは多くのケースで新設法人だから、現金を対価として支払うにはControlledが借り入れをして、現金をDistributingに分配する。このケースではD型再編で受け取る現金と言うBootがDistributing側で課税されないためには、現金をスピンの一環でDistributingの株主、または債権者に分配する必要がある。
この手のLeveraged Spinでは、現金は大概において債権者に分配されるので、蓋を開けてみるとDistributingの債務は減り、その分Controlledに債務が付け代わっていることになる。現金というBootを受け取っているにもかかわらず、Distributing側で課税免除となるかどうかの判断時に株主ばかりでなく債権者への分配も適格分配と認めてくれる点、スピン時にもともとのトータル債務をDistributingとControlledに振り分けるニーズを議会は認識していたと考えられる。債権者への分配も適格分配となったのは実は1984年からで、それまでのスピンで現金のBootが絡むケースでは、現金は「株主」に分配される必要があった。でないとDistributingで課税されていたというのがそれ以前の取り扱い。また、Distributing側でBootを非課税扱いするには、上述の債務の直接的な継承と同様にBootが、D型再編で出資される資産の税務簿価以内に収まっている必要がある。Bootを分配する際にも上述のSection 357(c)同様にBasis Limitationが適用されるって言う制限は、実は2004年ブッシュ政権時のAJCA(TCJAじゃないからね)で追加された結構最近(?)の話し。
上のソフト事業とハード事業の例からも分かる通り、ソフト事業にかかわる負債を切り出そうとすると、資産の簿価が低すぎて課税が生じることになる。資産の簿価と事業に紐付く負債の金額には必ずしも関連性がないからだ。
ControlledのSecurities分配
で、ここからが話しの真髄なんだけど、上で触れた債務の直接的な継承やControlledからの現金分配+Distributing側の債務返済よりもパワフルな手法がある。Controlledが株式と同時に「Securities」をDistributingに交付し、このSecuritiesをDistributingの債権者に分配するというもの。現金の分配とあんまり変わんないじゃん、って思うのはあわてんぼうのサンタクロースさんだ。実はSecuritiesの交付・分配がD再編適格となると、出資対象資産の税務簿価に基づく金額のLimitationがない。これは上の二つの手法との比較において格段に有利で弾力性に富むストラクチャーを可能にすることになる。
で、このSecuritiesを利用した手法そのものにも沿革があり、財務省側のアプローチにも変遷があるので、次回はその点に触れ、時間があればBBBAに見られた提案まで触れたい。
例えば、トラディショナルなハード事業と過去5年成長著しいソフト事業の双方に従事する法人が、ソフト事業がハード事業と混在していることで、ソフト事業の市場価値が過小評価されてるっていうフラストレーションを感じているとする。そんなマーケットの認識を克服するため、ソフト事業をスピンし、双方の事業の時価総額合計アップを計るとする。ハード事業は重厚で資産が多い一方、ソフト事業は最近5~6年のR&D努力の結晶だとすると税務簿価のある資産はない。さらにソフト事業の事業価値はGoodwillを含む無形資産が占める比率が高いのが一般的だろう。ソフト事業のR&Dファイナンス時にはハード事業の資産によるCredit Supportが欠かせなかったとする。
ちなみにスピンの方向として、逆にハード事業をスピンしても問題ない。どちらの方向を選択するか、は今回のテーマの債務の振り分けも最重要ファクターだし、スピン後のM&AをReverse Morris Trust(RMT)でするのか、元祖Morris Trust(MT)でするのか、とか総合的な検討に基づいて行う必要がある。スピン以外にも、例えばカーブアウトM&A、IPO、またはSECの規制やIPO市場の冷え込みで急激に萎えているDe-SPAC、とか分割の手法は他にも多く存在する。スピンをアナウンスすることで、潜在的なバイヤーが名乗りを上げてきたり、SPAC上場したもののDe-SPACの18か月期限が迫っててこのままでは一攫千金にならないと焦ってるスポンサーが殺到したり、様々な買い手をあぶり出す効果がある。今日日のマーケットでは、これらの手法のいずれか一本に最初から絞ることは珍しく、カーブアウトM&A、カーブアウトIPO、De-SPAC、スピン、スピン+RMTとか、マルチトラックでPricingを最大限化するのが定石だ。
ちなみにスピン後にRMTする際の取引をDe-SPACで実行することも可能。その場合、PIPE投資家がSPAC法人に注入する現金をどのようにして旧オーナーのDistributingに税コストなく移管できるかが最重要課題の一つになるけど、この部分に大きな足かせとなり兼ねないのが、今回のテーマの債務の振り分けにかかわる諸々の制限(既存+BBBA提案)だ。まだSPACがもてはやされてた頃、スピン+RMT+De-SPACストラクチャーは結構な投資銀行が実行可能性を模索してたけど、結局、現金移管のハードルが高くて他の手法に落ち着いたケースが多いと、一般論としてM&Aバンカーの友人が言っていた。
Leveraged Spinは現金対価の事業売却?
Distributingが分割対象事業をControlledに現物出資する際、上のハードVソフトの例でも分かる通り、Distributingの既存債務をDistributingがそのまま全額負担し続けるのは実態に合わない。そこで、債務のうちどれだけをControlledに負担させるか、っていうCorporate Finance的な検討が必要になるけど、既存債務をControlledに継承させるということは、実質、Distributingは現金を受け取ったも同然なので、現物出資がD型再編で非課税になる場合には事業を非課税で譲渡、換金したも同然という位置づけも可能となる。一方で、もともと異なる事業がたまたま同じ法人格の中に存在し、債務が必ずしも法的にどちらか一方の事業にひも付きでなかったものを、スピン時に各々の事業に振り分けるステップは分割時に必然的に求められるステップとも言える。いくつか注意すべきトラップはあるとは言え、紆余曲折の末に現時点で財務省が辿り着いた原則は後者のCorporate Finance的な実態を反映しているものだ。一方で、バイデン政権がBBBAを通じてプッシュしていた法案は前者の見方に基づき、スピン時の債務振り分けを阿漕なものとして位置付けての話し。税務上の見方や取り扱いが異なるとは言え、取引そのものの最終的な経済効果は同じ。
現状の法律と債務振り分け手法の変遷
Distributingの債務をControlledに付け替える一番単純な手法は、Controlledに事業資産を現物出資する際に、Controlledに債務を継承(Assumption)させてしまうこと。この手法に対してはBasis Limitationがある。すなわち、D型再編と取り扱われる事業資産の出資時に、Distributingが課税所得を認識することなくControlledに継承させることができる債務の金額は、出資対象となる資産の税務簿価を上限とする、という制限だ。Section 351の現物出資およびスピンの前兆の分割型D型再編(今回の話しのケース)に適用されるSection 357(c)制限。
債務を直接的に継承させることが税務以外の事情、ローン契約とか何らかのRegulatory関係とか、で容易でない場合、現物出資時にControlledから株式と同時に現金を受け取ることもできる。Controlledは多くのケースで新設法人だから、現金を対価として支払うにはControlledが借り入れをして、現金をDistributingに分配する。このケースではD型再編で受け取る現金と言うBootがDistributing側で課税されないためには、現金をスピンの一環でDistributingの株主、または債権者に分配する必要がある。
この手のLeveraged Spinでは、現金は大概において債権者に分配されるので、蓋を開けてみるとDistributingの債務は減り、その分Controlledに債務が付け代わっていることになる。現金というBootを受け取っているにもかかわらず、Distributing側で課税免除となるかどうかの判断時に株主ばかりでなく債権者への分配も適格分配と認めてくれる点、スピン時にもともとのトータル債務をDistributingとControlledに振り分けるニーズを議会は認識していたと考えられる。債権者への分配も適格分配となったのは実は1984年からで、それまでのスピンで現金のBootが絡むケースでは、現金は「株主」に分配される必要があった。でないとDistributingで課税されていたというのがそれ以前の取り扱い。また、Distributing側でBootを非課税扱いするには、上述の債務の直接的な継承と同様にBootが、D型再編で出資される資産の税務簿価以内に収まっている必要がある。Bootを分配する際にも上述のSection 357(c)同様にBasis Limitationが適用されるって言う制限は、実は2004年ブッシュ政権時のAJCA(TCJAじゃないからね)で追加された結構最近(?)の話し。
上のソフト事業とハード事業の例からも分かる通り、ソフト事業にかかわる負債を切り出そうとすると、資産の簿価が低すぎて課税が生じることになる。資産の簿価と事業に紐付く負債の金額には必ずしも関連性がないからだ。
ControlledのSecurities分配
で、ここからが話しの真髄なんだけど、上で触れた債務の直接的な継承やControlledからの現金分配+Distributing側の債務返済よりもパワフルな手法がある。Controlledが株式と同時に「Securities」をDistributingに交付し、このSecuritiesをDistributingの債権者に分配するというもの。現金の分配とあんまり変わんないじゃん、って思うのはあわてんぼうのサンタクロースさんだ。実はSecuritiesの交付・分配がD再編適格となると、出資対象資産の税務簿価に基づく金額のLimitationがない。これは上の二つの手法との比較において格段に有利で弾力性に富むストラクチャーを可能にすることになる。
で、このSecuritiesを利用した手法そのものにも沿革があり、財務省側のアプローチにも変遷があるので、次回はその点に触れ、時間があればBBBAに見られた提案まで触れたい。
失速BBBAの法案に見る米国税制の方向(+個人アップデート)
お久しぶりです!すっかりアップデートを怠ってしまいました。2020年のQ3辺りから米国のキャピタルマーケットが活況を呈すると同時に、深刻な人手不足となり、パンデミックでスローダウンするのでは、っていう2020年3月頃の懸念とは正反対にタックス絡みのアドバイザリー業務は絶えることなく、多忙な毎日となった。とは言え、前も話した通り、The Beatlesだって米国ツアーから戻り直ぐにAbby Roadに戻って毎日レコーディングしてたんだから、どんなに多忙でもProduceし続けないとね。
僕の個人的アップデート
で、税制とは関係ないけど、チョッとした個人的な展開があるんで興味ないかもしれないけど触れておく。EYの米国Firmのパートナーシップ合意書にはパートナー(Principalも含む)だけに適用される強制定年規定がある。実は昨年、それに抵触。まだ28歳のつもりだったんだけど誰か数え間違えてんのかな(笑)。ところが「あなたはもっと働くべき」ということで、パートナーシップの統治を担当しているアメリカズ・ボードから特別に1年の延長措置を言い渡されていた。EY米国Firmの会計年度は7月~6月の52・53Weekベースなんだけど、1年の延長措置の後、今年の7月1日に終了する会計年度をもって強制退任。マイアミビーチでJoe’sのStone CrabやLittle Habanaのキューバサンドイッチ摘まみながらタックスの研究に勤しむか、チョッとアグレッシブに背伸びして米国財務省IRSの法務部に当たるChief Counsel Officeに入れてもらって、ルーリングや規則をドラフトする人を目指すか、または全てを忘れてあこがれのBlack Hills近くのRapid Cityで暮らすか、とかいろいろとDreamingしながらワクワクしてた。ブロンディじゃないけどDreamingってFreeだからね。
ところが、「Maxはまだ働きが足りない」ということで、EYの米国パートナーシップからWithdrawする翌日の7月2日付で、EY APACで米国タックスのテクニカルアドバイスを提供する US Tax Deskって組織に再雇用されることになった。「Maxのオタクな話しはもう聞かなくてもいいな」って思っていた方には残念でした。APACの中でも、僕の場合は当然、主たるアドバイスは日本企業に対するものなんで、テクニカルな雇用地は東京。でも米国以外では暮らせない体となってしまった僕なので、引き続きNYCに住んで「通勤」することになった。2008年EY移籍後5年間、Los AngelesからNYCに通勤していて「よくやるわ」って呆れられてたことあるけど、今度はNYCから日本通勤となるので、日米の皆様、今後とも変わらぬお引き立てをよろしくお願いします。ブログも書き始めて14年。途中、途絶えた時期もあったけどね。時が経つのは早い。過ぎていく昨日は物語になってくし、明日はまだブランクなキャンバスだけど、あるのは今日だけ。ってことで今後はますますテクニカル面に時間を使えるので楽しみ。オタクさが増幅するので皆さん覚悟しておいて下さい。
失速BBBA法案の中身
政権誕生後、メキシコとの国境のオープンボーダー化、アフガン撤退失敗、お金バラまき過ぎて激しいインフレ、燃料費の高騰、ロシア問題、等のクライシスに次々見舞われ、また、最高裁判所が三権分立やFederalism等の連邦憲法の原文に忠実な判決を繰り返し、バイデン行政府が議会や憲法無視して好き勝手できなくなったり、といろいろとあってバイデン増税案BBBAは暗礁に乗り上げたままだ。中間選挙前のこの夏に超限定的な形で予算調整法を利用してプチ税制改正が無理やり可決される可能性は残っているものの、多くのアンビシャスな法案が近々に取り上げられることはないだろう。
中間選挙を控えた立法議会のダイナミクス的にBBBAがその原型を留めることはもうないし、バイデン政権誕生当時、グリーンブックとかで法人を敵視して増税提案していた左翼系エリートの多くの方も既に政権を去り、さっさと元の大学教授とかに戻ってしまった。政権でのStintで箔がついて報酬とか上がってそうだよね。
で、今の時点では暗礁に乗り上げたとは言え、またいつの日か両院と大統領府を左翼政権が支配することはあるだろうし、BBBAの法案の中には党派を超えて立法される規定もあるかもしれないので、法案の内容を吟味しておく必要がある。
レバレッジド・スピン
個人的に興味があった法案のひとつにLeveraged Spinに対する規制強化がある。米国の会社分割、スピンは、分割する事業をまず子会社化し、その子会社(税務用語で「Controlled」といいます)の株式を親会社(同じく「Distributing」っていいます)が株主に分配して達成される。最初に事業を子会社に現物出資する取引は分割型のD再編。必ずしもスピンのために子会社を新設する必要はなく、既存の子会社の株式を分配してもOK。もちろんいずれにしてもスピンの要件を満たす必要がある。ちなみに、既存株主に均等にControlledの株式を分配するのがスピンオフで、Distributingの株式を所有し続ける株主とControlledの株式とDistributingの株式を交換する株主の双方が存在するのがスプリットオフ。更に事業を2つのControlledに出資してDistributing自体は消滅してしまうのがスプリットアップ。スプリットアップは元々Distributingが所有していた属性が消滅したりする変なストラクチャーなので、敢えて消滅させたいプラニングは別として、大概のケースがスピンオフかスプリットオフになる。
で、スピンの要件、特にActive Trade or BusinessとかBusiness Purposeの兄弟のDevice禁止規定とかはそれだけで相当Deepで、かつIRSのRulingポリシーや規則草案とかかなり興味深い検討なんだけど、BBBAがフォーカスしていたのはスピン時のDistributingの債務の取り扱い。これは見ようによってはDistributingが非課税で事業を換金したように見えるので、センシティブな面もあるけど、別の見方をすれば会社分割後のキャピタル・ストラクチャーを最適化するには当然、両社に債務を再分配する必要があるので、Leveraged Spinはそんなに阿漕なものではないと思うんだけどね。
個人のアップデートがあったので、レバレッジとスピンの面白い関係は次回。
僕の個人的アップデート
で、税制とは関係ないけど、チョッとした個人的な展開があるんで興味ないかもしれないけど触れておく。EYの米国Firmのパートナーシップ合意書にはパートナー(Principalも含む)だけに適用される強制定年規定がある。実は昨年、それに抵触。まだ28歳のつもりだったんだけど誰か数え間違えてんのかな(笑)。ところが「あなたはもっと働くべき」ということで、パートナーシップの統治を担当しているアメリカズ・ボードから特別に1年の延長措置を言い渡されていた。EY米国Firmの会計年度は7月~6月の52・53Weekベースなんだけど、1年の延長措置の後、今年の7月1日に終了する会計年度をもって強制退任。マイアミビーチでJoe’sのStone CrabやLittle Habanaのキューバサンドイッチ摘まみながらタックスの研究に勤しむか、チョッとアグレッシブに背伸びして米国財務省IRSの法務部に当たるChief Counsel Officeに入れてもらって、ルーリングや規則をドラフトする人を目指すか、または全てを忘れてあこがれのBlack Hills近くのRapid Cityで暮らすか、とかいろいろとDreamingしながらワクワクしてた。ブロンディじゃないけどDreamingってFreeだからね。
ところが、「Maxはまだ働きが足りない」ということで、EYの米国パートナーシップからWithdrawする翌日の7月2日付で、EY APACで米国タックスのテクニカルアドバイスを提供する US Tax Deskって組織に再雇用されることになった。「Maxのオタクな話しはもう聞かなくてもいいな」って思っていた方には残念でした。APACの中でも、僕の場合は当然、主たるアドバイスは日本企業に対するものなんで、テクニカルな雇用地は東京。でも米国以外では暮らせない体となってしまった僕なので、引き続きNYCに住んで「通勤」することになった。2008年EY移籍後5年間、Los AngelesからNYCに通勤していて「よくやるわ」って呆れられてたことあるけど、今度はNYCから日本通勤となるので、日米の皆様、今後とも変わらぬお引き立てをよろしくお願いします。ブログも書き始めて14年。途中、途絶えた時期もあったけどね。時が経つのは早い。過ぎていく昨日は物語になってくし、明日はまだブランクなキャンバスだけど、あるのは今日だけ。ってことで今後はますますテクニカル面に時間を使えるので楽しみ。オタクさが増幅するので皆さん覚悟しておいて下さい。
失速BBBA法案の中身
政権誕生後、メキシコとの国境のオープンボーダー化、アフガン撤退失敗、お金バラまき過ぎて激しいインフレ、燃料費の高騰、ロシア問題、等のクライシスに次々見舞われ、また、最高裁判所が三権分立やFederalism等の連邦憲法の原文に忠実な判決を繰り返し、バイデン行政府が議会や憲法無視して好き勝手できなくなったり、といろいろとあってバイデン増税案BBBAは暗礁に乗り上げたままだ。中間選挙前のこの夏に超限定的な形で予算調整法を利用してプチ税制改正が無理やり可決される可能性は残っているものの、多くのアンビシャスな法案が近々に取り上げられることはないだろう。
中間選挙を控えた立法議会のダイナミクス的にBBBAがその原型を留めることはもうないし、バイデン政権誕生当時、グリーンブックとかで法人を敵視して増税提案していた左翼系エリートの多くの方も既に政権を去り、さっさと元の大学教授とかに戻ってしまった。政権でのStintで箔がついて報酬とか上がってそうだよね。
で、今の時点では暗礁に乗り上げたとは言え、またいつの日か両院と大統領府を左翼政権が支配することはあるだろうし、BBBAの法案の中には党派を超えて立法される規定もあるかもしれないので、法案の内容を吟味しておく必要がある。
レバレッジド・スピン
個人的に興味があった法案のひとつにLeveraged Spinに対する規制強化がある。米国の会社分割、スピンは、分割する事業をまず子会社化し、その子会社(税務用語で「Controlled」といいます)の株式を親会社(同じく「Distributing」っていいます)が株主に分配して達成される。最初に事業を子会社に現物出資する取引は分割型のD再編。必ずしもスピンのために子会社を新設する必要はなく、既存の子会社の株式を分配してもOK。もちろんいずれにしてもスピンの要件を満たす必要がある。ちなみに、既存株主に均等にControlledの株式を分配するのがスピンオフで、Distributingの株式を所有し続ける株主とControlledの株式とDistributingの株式を交換する株主の双方が存在するのがスプリットオフ。更に事業を2つのControlledに出資してDistributing自体は消滅してしまうのがスプリットアップ。スプリットアップは元々Distributingが所有していた属性が消滅したりする変なストラクチャーなので、敢えて消滅させたいプラニングは別として、大概のケースがスピンオフかスプリットオフになる。
で、スピンの要件、特にActive Trade or BusinessとかBusiness Purposeの兄弟のDevice禁止規定とかはそれだけで相当Deepで、かつIRSのRulingポリシーや規則草案とかかなり興味深い検討なんだけど、BBBAがフォーカスしていたのはスピン時のDistributingの債務の取り扱い。これは見ようによってはDistributingが非課税で事業を換金したように見えるので、センシティブな面もあるけど、別の見方をすれば会社分割後のキャピタル・ストラクチャーを最適化するには当然、両社に債務を再分配する必要があるので、Leveraged Spinはそんなに阿漕なものではないと思うんだけどね。
個人のアップデートがあったので、レバレッジとスピンの面白い関係は次回。
Sunday, January 2, 2022
2022年、明けましておめでとうございます!
大みそかからお正月にかけてNYCは比較的温暖で大助かり。12月後半、Vermontの山奥に自主トレ(何それ?)に行った際はさすがに冷えてたけど、NYCは日中はコートなしでもOK。SOHOのピザ・ジョイントの外で美味しいペパロニを夢見て20分とか並んで順番待つ(住んでる人はどこか分かるね?)のも全く苦にならないいい感じの年末年始となりました。
一応、お正月は自分でお雑煮とか作るんだけど、海外に居ると日本だったら当たり前の食材が手に入り難かったりして困ることがある。三つ葉は何とか手に入るけど、今年はユズの調達に出遅れてしまった。この2つなしではお雑煮にならない。例年、個別にラップされた若干色の悪いユズを12月後半に日系スーパーで調達していたけど、今年はVermont修行から戻ったら既にどこも売り切れ。そこでLexと47にあるマーケットの野菜売り場の方の貴重な助言で見つけることができたのが、冷凍のきざみ生ユズ皮。既にお雑煮にのせるサイズに刻んであって香りもまあまあで合格。しおれ気味の本当のユズより良かったかもね。日本って、ユズだけでなく、かぼす、すだち、とか柑橘系が充実してる。こっちだとレモンかライムだもんね。
2020年3月にコロナ感染の増加に伴う医療機関への負荷を抑える(「Flatten the curve」)みたいな趣旨で数週間だけ、っていう話しで始まった米国のWork from Home。突然「明日からしばらくオフィスは立ち入り禁止」ってなった日を境に、時の流れに対する感覚が麻痺して、2021年も一体全体長かったんだか、あっという間だったんだか、よく分からないSurrealな時を過ごす結果となった。Work from Homeの環境は数週間ではなく、結局2年近く続いた挙句にこのまま定着しそう。まあ、ビジネストリップ、ミーティング、会食とかが普通にできるようになってるんで、普段の時間の多くをWork from Homeで使えるのは効率的でWelcome。以前からLocation Freeだった僕的には大きな違いはないけど、そんなワークスタイルがよりオフィシャルになった感じ。オフィスに行きたい人は行ってもいいのでこのスタイルが暫く続くんだろう。
米国社会全体を見ていても、South Dakota、Florida、Texasみたいな比較的個人の判断や自由を尊重する州知事下では当初から州政府や官僚による強制的、かつ気まぐれとも言える制限は最小限だったけど、州政府や官僚が州民の箸の上げ下ろしにまで介入するCaliforniaやNew Yorkのような左翼州でも、さすがに以前よりバランス感覚のある現実的な政策にシフトしつつあり好感が持てる。あのファウチですらCDCの自主検疫期間短縮に関して、ロックダウンや長期にわたる隔離措置の弊害、すなわち経済・雇用面、国民のメンタルヘルス、コロナ以外の疾病対策、ドラッグやアルコール依存、子供たちの教育、とかへの影響も考えないといけない、と発言してた。2020年にそんな発言しようもんなら「Disinformation」として徹底糾弾されたんだろうけど、まあNever too lateだから一応評価してあげないとね。
なんだかんだ言って複数の効果的なワクチンを超スピードで開発し、なし崩し的に街もオープンし、世界の他の国との比較で行くと米国はまだ自由だったんだろうね。それもこれも「Privateセクター」の頑張りのお陰で、政府やポリティシャン、官僚が役に立っている例は少ない。ワクチン開発を後押ししたオペレーション・ワープ・スピード位だろうか。治療薬も徐々にマーケットに出てきてるし、2022年はコロナのVariantとかが次々出現してもそれほど大きなニュースにはならない世界になっているだろう。
それにしても個人の自由を尊重するFloridaの成功は、以前から民主党左翼議員、メインストリームメディア、ソーシャルメディアにとっては目の上のタンコブみたいな存在で中傷が絶えないけど、そんな左翼議員も散会になると真っ先にFloridaに飛んで(カーボン使って?)、普段糾弾しているその自由を謳歌したりするんだから、ポリティシャンたちの偽善ぶりは相変わらずで笑える。厚顔無恥じゃないと務まらないよね。
2021~22年のタックスワールド
さてさて肝心の(?)タックスはどんな感じでしょうか。半分予想通り、財政規律のないバイデン・アジェンダは暗礁に乗り上げ、Built Back Better(「BBB」)は少なくともオリジナル案は頓挫。15%の会計利益ベースのAMTとかコンプライアンス負荷は凄まじいものがあっただろうから、一回落ち着いてリセットするのがいいだろう。
BBBは、Leveragedスピン規制、無価値の株式損計上を含むGranite Trust的なプランに対する規制、Inversion規制、株式Buyback規制、とかCorporate Transactionにも結構な影響があっただろうから、これらの法制化がとりあえず一旦消えたのは複雑な検討が減って一安心。特にLeveragedスピンは、スピンする資産の税務簿価の制限を気にすることなく、スピンされる法人の長期負債を使用してスピンする側がLeverageを低下させることができるので、キャピタルストラクチャーのAlignmentには有益な手法。スピンする側が非課税で法人資産を時価現金相当を対価に法人外に出しているように見えるので、General Utilities撤廃原則に反するってことで目の敵にされることがあるけど、別の見方をすれば、もともと一つの法人内またはグループ内だった2つの事業やDivisionに関して各々の最適なキャピタルストラクチャーを採択したり、正確にDebtを配賦しているケースは少なく、単純に親会社にDebtやNoteが集中しているケースが大半だろう。
スピンの際には、各々の事業にかかわるキャピタルストラクチャーを最適化する必要があるので、スピンされる側の長期Noteでスピンする側の負債を返済したりする。IRSのルーリング・ポリシー的にも、基本的にはスピンする側とされる側のトータルでDebtが増加していなければ、スピンする側が実際にDebtをExchangeしても、投資銀行が仲介したとしても、非課税スピンの枠の中で達成できる、としていたのもまさしくキャピタルストラクチャーの最適化なのか、実質資産譲渡なのかの区別をするため。BBBではこれを禁止することになっていた。
TCJA系の財務省規則は、出る出るっていう前触ればかりで、政権の交代を機にかなり滞ってたけど、BBBの沈没でリソースに余裕が出たせいか、FTCの大型最終規則が年末ぎりぎりに公表された。ず~と待ってて今年中に最初のトランチが出ると言われてたPTEPの規則はどうなったんでしょうか。PTEP超楽しみにしてんだけどね。FTC最終規則は、規則草案でDSTを想定ターゲットとしていたJurisdictional Nexus要件をAttribution要件と名を変えて採択。
OECDもようやくピラー2のIIRとUTPRの詳細を公表するに至った。こんな複雑かつ新たな制度、どれだけの国が実際に施行できるのか不思議だけどね。その結果想定される歳入増の金額と企業側の負荷が不均衡。BBBが暗礁に乗り上げてGILTIの国別計算とかも一旦白紙撤回になっているけど、どうするんでしょうか。
ということで2022年のタックス・ワールドも目を離せない。今年もよろしくお願いします。
一応、お正月は自分でお雑煮とか作るんだけど、海外に居ると日本だったら当たり前の食材が手に入り難かったりして困ることがある。三つ葉は何とか手に入るけど、今年はユズの調達に出遅れてしまった。この2つなしではお雑煮にならない。例年、個別にラップされた若干色の悪いユズを12月後半に日系スーパーで調達していたけど、今年はVermont修行から戻ったら既にどこも売り切れ。そこでLexと47にあるマーケットの野菜売り場の方の貴重な助言で見つけることができたのが、冷凍のきざみ生ユズ皮。既にお雑煮にのせるサイズに刻んであって香りもまあまあで合格。しおれ気味の本当のユズより良かったかもね。日本って、ユズだけでなく、かぼす、すだち、とか柑橘系が充実してる。こっちだとレモンかライムだもんね。
2020年3月にコロナ感染の増加に伴う医療機関への負荷を抑える(「Flatten the curve」)みたいな趣旨で数週間だけ、っていう話しで始まった米国のWork from Home。突然「明日からしばらくオフィスは立ち入り禁止」ってなった日を境に、時の流れに対する感覚が麻痺して、2021年も一体全体長かったんだか、あっという間だったんだか、よく分からないSurrealな時を過ごす結果となった。Work from Homeの環境は数週間ではなく、結局2年近く続いた挙句にこのまま定着しそう。まあ、ビジネストリップ、ミーティング、会食とかが普通にできるようになってるんで、普段の時間の多くをWork from Homeで使えるのは効率的でWelcome。以前からLocation Freeだった僕的には大きな違いはないけど、そんなワークスタイルがよりオフィシャルになった感じ。オフィスに行きたい人は行ってもいいのでこのスタイルが暫く続くんだろう。
米国社会全体を見ていても、South Dakota、Florida、Texasみたいな比較的個人の判断や自由を尊重する州知事下では当初から州政府や官僚による強制的、かつ気まぐれとも言える制限は最小限だったけど、州政府や官僚が州民の箸の上げ下ろしにまで介入するCaliforniaやNew Yorkのような左翼州でも、さすがに以前よりバランス感覚のある現実的な政策にシフトしつつあり好感が持てる。あのファウチですらCDCの自主検疫期間短縮に関して、ロックダウンや長期にわたる隔離措置の弊害、すなわち経済・雇用面、国民のメンタルヘルス、コロナ以外の疾病対策、ドラッグやアルコール依存、子供たちの教育、とかへの影響も考えないといけない、と発言してた。2020年にそんな発言しようもんなら「Disinformation」として徹底糾弾されたんだろうけど、まあNever too lateだから一応評価してあげないとね。
なんだかんだ言って複数の効果的なワクチンを超スピードで開発し、なし崩し的に街もオープンし、世界の他の国との比較で行くと米国はまだ自由だったんだろうね。それもこれも「Privateセクター」の頑張りのお陰で、政府やポリティシャン、官僚が役に立っている例は少ない。ワクチン開発を後押ししたオペレーション・ワープ・スピード位だろうか。治療薬も徐々にマーケットに出てきてるし、2022年はコロナのVariantとかが次々出現してもそれほど大きなニュースにはならない世界になっているだろう。
それにしても個人の自由を尊重するFloridaの成功は、以前から民主党左翼議員、メインストリームメディア、ソーシャルメディアにとっては目の上のタンコブみたいな存在で中傷が絶えないけど、そんな左翼議員も散会になると真っ先にFloridaに飛んで(カーボン使って?)、普段糾弾しているその自由を謳歌したりするんだから、ポリティシャンたちの偽善ぶりは相変わらずで笑える。厚顔無恥じゃないと務まらないよね。
2021~22年のタックスワールド
さてさて肝心の(?)タックスはどんな感じでしょうか。半分予想通り、財政規律のないバイデン・アジェンダは暗礁に乗り上げ、Built Back Better(「BBB」)は少なくともオリジナル案は頓挫。15%の会計利益ベースのAMTとかコンプライアンス負荷は凄まじいものがあっただろうから、一回落ち着いてリセットするのがいいだろう。
BBBは、Leveragedスピン規制、無価値の株式損計上を含むGranite Trust的なプランに対する規制、Inversion規制、株式Buyback規制、とかCorporate Transactionにも結構な影響があっただろうから、これらの法制化がとりあえず一旦消えたのは複雑な検討が減って一安心。特にLeveragedスピンは、スピンする資産の税務簿価の制限を気にすることなく、スピンされる法人の長期負債を使用してスピンする側がLeverageを低下させることができるので、キャピタルストラクチャーのAlignmentには有益な手法。スピンする側が非課税で法人資産を時価現金相当を対価に法人外に出しているように見えるので、General Utilities撤廃原則に反するってことで目の敵にされることがあるけど、別の見方をすれば、もともと一つの法人内またはグループ内だった2つの事業やDivisionに関して各々の最適なキャピタルストラクチャーを採択したり、正確にDebtを配賦しているケースは少なく、単純に親会社にDebtやNoteが集中しているケースが大半だろう。
スピンの際には、各々の事業にかかわるキャピタルストラクチャーを最適化する必要があるので、スピンされる側の長期Noteでスピンする側の負債を返済したりする。IRSのルーリング・ポリシー的にも、基本的にはスピンする側とされる側のトータルでDebtが増加していなければ、スピンする側が実際にDebtをExchangeしても、投資銀行が仲介したとしても、非課税スピンの枠の中で達成できる、としていたのもまさしくキャピタルストラクチャーの最適化なのか、実質資産譲渡なのかの区別をするため。BBBではこれを禁止することになっていた。
TCJA系の財務省規則は、出る出るっていう前触ればかりで、政権の交代を機にかなり滞ってたけど、BBBの沈没でリソースに余裕が出たせいか、FTCの大型最終規則が年末ぎりぎりに公表された。ず~と待ってて今年中に最初のトランチが出ると言われてたPTEPの規則はどうなったんでしょうか。PTEP超楽しみにしてんだけどね。FTC最終規則は、規則草案でDSTを想定ターゲットとしていたJurisdictional Nexus要件をAttribution要件と名を変えて採択。
OECDもようやくピラー2のIIRとUTPRの詳細を公表するに至った。こんな複雑かつ新たな制度、どれだけの国が実際に施行できるのか不思議だけどね。その結果想定される歳入増の金額と企業側の負荷が不均衡。BBBが暗礁に乗り上げてGILTIの国別計算とかも一旦白紙撤回になっているけど、どうするんでしょうか。
ということで2022年のタックス・ワールドも目を離せない。今年もよろしくお願いします。
Thursday, November 4, 2021
バイデン増税案大幅縮小「法人税率据え置き」(3) 代わりに税引前利益に15%AMT?
15%AMTの適用を検討する際には、どの財務諸表のどんな数字をみて会計上の利益と考えるのか、っていう点が当然重要になるけど、この検討、主に2つのステップで登場してくる。まず最初は15%AMTの対象法人がどうかっていう判断時。で、次は対象法人となった場合の実際の15%AMT計算時。この2つのステップに適用される会計上の利益は概念的には共通だけど、双方で取り込む対象主体の範囲が大きく異なるんで、別々に考えないといけない。この前書いたかどうか忘れたけど、課税年度や会計年度が異なる場合には、最終的に15%AMTの計算対象となる米国法人の課税年度に数字を調整する必要がある。
前回は使用が認められる適用財務諸表、そしてそれをテスト対象の主体にかかわる部分だけにシンクロさせる点に触れた。また、各主体の財務諸表の利益にどんな調整をして使用するのか、っていう点に関して関連会社の所得に対する取り扱いの考え方を米国の目から見たCFCとそうでない主体に分けて整理してみた。
Disregarded Entity
米国外の人が米国税法の取り扱いを検討する際に、何それ?って思うだろうなっていうポイントは沢山あるけど、Check-the-Box規定に基づく主体区分もその一つだろう。普通に考えると主体があればあるし、なければないけど、米国税法上は必ずしもそうじゃない。Check-the-Boxを含む主体区分を軽く考えている人が居るかもしれないけど、とんでもない話しで、世界中の様々な法的主体、会社法的に存在しないコラボ系のアレンジ、信託とか組合とかを米国税務上、どう位置付けるのかはそれだけで複数のボリュームの本になるようなテーマ。主体区分の分析結果次第で課税関係は180度異なるんで多少コストが掛かってもきちんと検討して、リスクがあるんだったらリスク度合い、最悪起こり得るシナリオ(BBAとかPTPとか含む)とかを納税者が把握しておく必要がある。
で、今回の15%AMTの適用時に、法人がDisregarded Entityを所有している場合、財務諸表も当Disregarded Entityを含む形に調整することと規定されてる。これは当然。
会計上の利益は税引前?
15%AMTに使用する会計上の利益は、税金を計算する数字だから税引前のものと考えるのが大自然なんだけど、ここの規定は分かり難い。法案では、米国連邦法人税、米国税法の視点から税額控除の対象とすることが認められるタイプの属領を含む米国外の法人税(用語としては「Income, war profits, or excess profits taxes」)は直接・間接に財務諸表に取り込まれている範囲で調整することとしている。ここで言うIncome, war云々の法人税は費用控除が認められるネット課税所得に対する法人税、または源泉税が対象になると考えれば大概において間違いない。DST等の横行で財務省が慌てて規則草案を公表し、FTC目的で外国法人税となるための新要件(または既存要件だけど明文化されていなかった?)「Jurisdictional Nexus」という概念を導入しようとしてるけど、規則が最終化する暁にはこの点も加味して何が法人税なのか判断する必要がある。
また、直接・間接という部分は財務諸表で認識される会計のみのコンセプトになる繰延税金費用とかも戻すってことなんだろうか。もう少し詳しく書いてもらわないと良く分からない。後は財務省に一任して500ページとかの規則が出てくるのかな。多分ね。
FTCとの関係
で、この法人税額の調整に関して、「ただしFTCを選択しない課税年度は調整は不要」としている。これは単純に考えれば何の不思議もない。
間接FTC、すなわちGILTIやSub Fを合算する場合のFTC(それ以外の間接FTCは2017年税制改正で撤廃)を計算する「本当の」法人税の世界でも、FTCを取る場合にはSub FやGILTIの基となるTested Incomeは税引き後だけど、それらの所得に帰属すると取り扱われる法人税はグロスアップする。一方、FTCを取らない場合には、グロスアップの必要はなく、結果として法人税はSub FやGILTI計算時に所得控除されていることになる。これを15%AMTにそのまま当てはめると、上のようなルールになるんだろうけど、15%AMTの対象になるかどうか判断しようとしている時点では、実際に15%AMTを計算するかどうかも分かんないし、その先、FTCが有利なのかどうかも分からない。または15%AMTの対象になるかどうかも加味してFTCが有利かどうか決める必要があるということなんだろうか。
実際に事業経営で苦労した経験がない議員さんや職員室で議論を続けるアカデミックな世界ではワークするかもしれないけど、実際にこれらのルールを適用しないといけない法人側のコンプライアンス負荷上昇はNever Ending Story。Never Ending Storyって言えばリマールが歌ってたテーマソング良かったよね。リマールね。元カジャグーグーのボーカル。Duran Duranがプロデュースした「You are too shy shy, Hush hush, Eye-to-eye」ってやつ、ちょっとPet Shop BoysのWest End Girlsみたいで格好良かった。West End Girlsはいきなり「Sometimes you're better off dead...」ってなんとも言えないダークな感じで始まってた。覚えてる?っていうか生まれてた?80年台のロンドンにタイムトリップしたいね。
次回は15%AMT NOLとFTCについて。
前回は使用が認められる適用財務諸表、そしてそれをテスト対象の主体にかかわる部分だけにシンクロさせる点に触れた。また、各主体の財務諸表の利益にどんな調整をして使用するのか、っていう点に関して関連会社の所得に対する取り扱いの考え方を米国の目から見たCFCとそうでない主体に分けて整理してみた。
Disregarded Entity
米国外の人が米国税法の取り扱いを検討する際に、何それ?って思うだろうなっていうポイントは沢山あるけど、Check-the-Box規定に基づく主体区分もその一つだろう。普通に考えると主体があればあるし、なければないけど、米国税法上は必ずしもそうじゃない。Check-the-Boxを含む主体区分を軽く考えている人が居るかもしれないけど、とんでもない話しで、世界中の様々な法的主体、会社法的に存在しないコラボ系のアレンジ、信託とか組合とかを米国税務上、どう位置付けるのかはそれだけで複数のボリュームの本になるようなテーマ。主体区分の分析結果次第で課税関係は180度異なるんで多少コストが掛かってもきちんと検討して、リスクがあるんだったらリスク度合い、最悪起こり得るシナリオ(BBAとかPTPとか含む)とかを納税者が把握しておく必要がある。
で、今回の15%AMTの適用時に、法人がDisregarded Entityを所有している場合、財務諸表も当Disregarded Entityを含む形に調整することと規定されてる。これは当然。
会計上の利益は税引前?
15%AMTに使用する会計上の利益は、税金を計算する数字だから税引前のものと考えるのが大自然なんだけど、ここの規定は分かり難い。法案では、米国連邦法人税、米国税法の視点から税額控除の対象とすることが認められるタイプの属領を含む米国外の法人税(用語としては「Income, war profits, or excess profits taxes」)は直接・間接に財務諸表に取り込まれている範囲で調整することとしている。ここで言うIncome, war云々の法人税は費用控除が認められるネット課税所得に対する法人税、または源泉税が対象になると考えれば大概において間違いない。DST等の横行で財務省が慌てて規則草案を公表し、FTC目的で外国法人税となるための新要件(または既存要件だけど明文化されていなかった?)「Jurisdictional Nexus」という概念を導入しようとしてるけど、規則が最終化する暁にはこの点も加味して何が法人税なのか判断する必要がある。
また、直接・間接という部分は財務諸表で認識される会計のみのコンセプトになる繰延税金費用とかも戻すってことなんだろうか。もう少し詳しく書いてもらわないと良く分からない。後は財務省に一任して500ページとかの規則が出てくるのかな。多分ね。
FTCとの関係
で、この法人税額の調整に関して、「ただしFTCを選択しない課税年度は調整は不要」としている。これは単純に考えれば何の不思議もない。
間接FTC、すなわちGILTIやSub Fを合算する場合のFTC(それ以外の間接FTCは2017年税制改正で撤廃)を計算する「本当の」法人税の世界でも、FTCを取る場合にはSub FやGILTIの基となるTested Incomeは税引き後だけど、それらの所得に帰属すると取り扱われる法人税はグロスアップする。一方、FTCを取らない場合には、グロスアップの必要はなく、結果として法人税はSub FやGILTI計算時に所得控除されていることになる。これを15%AMTにそのまま当てはめると、上のようなルールになるんだろうけど、15%AMTの対象になるかどうか判断しようとしている時点では、実際に15%AMTを計算するかどうかも分かんないし、その先、FTCが有利なのかどうかも分からない。または15%AMTの対象になるかどうかも加味してFTCが有利かどうか決める必要があるということなんだろうか。
実際に事業経営で苦労した経験がない議員さんや職員室で議論を続けるアカデミックな世界ではワークするかもしれないけど、実際にこれらのルールを適用しないといけない法人側のコンプライアンス負荷上昇はNever Ending Story。Never Ending Storyって言えばリマールが歌ってたテーマソング良かったよね。リマールね。元カジャグーグーのボーカル。Duran Duranがプロデュースした「You are too shy shy, Hush hush, Eye-to-eye」ってやつ、ちょっとPet Shop BoysのWest End Girlsみたいで格好良かった。West End Girlsはいきなり「Sometimes you're better off dead...」ってなんとも言えないダークな感じで始まってた。覚えてる?っていうか生まれてた?80年台のロンドンにタイムトリップしたいね。
次回は15%AMT NOLとFTCについて。
Tuesday, November 2, 2021
バイデン増税案大幅縮小「法人税率据え置き」(2) 代わりに税引前利益に15%AMT?
前回のポスティングでは、法人税率が21%据え置きとなる可能性が高いっていう意外な展開となる代わりに、会計利益15%AMT法案が急に浮上してきた進展に触れた。ついでに調子に乗って政治家の偽善ぶりや市民感覚のなさ、何年も米国に住んでるけど最近余りに目に余るので、にもチラッと触れたんだけど、ちょうど同じような記事がウォールストリートジャーナルの社説に記載されてたんで笑ってしまった。カーボンの話しや外食禁止に触れながらエリートたちの偽善ぶりが指摘されてて全く同じ切り口。市民や地球のことを本当に考えてくれる政治家が増えてくれますように。
テスト対象合算主体の特定
さてさて、前回のポスティングでは、どの法人が15%AMT対象になり得るか、って話しを始めた。最終的に15%AMTは米国で申告している米国法人、連結納税グループ、PEやUSTOBに関して申告している米国外法人、が計算をするんだけど、そもそも計算をする必要があるのかどうかの判断は関連者グループ全体で判断する。お馴染みのAggregation(合算)ルールだ。古くは、累進税率の低税率区分を利用するため、事業を複数の法人に分けて行うような作戦に網を掛けるような概念だったけど、売上やBase Erosion%とか、規模的な判断時にお約束のように登場してくる概念。ただ、必ずしも納税者にとって不利な結果となるとは限らない。自社だけだとBase Erosion%が3%行くようなケースでも合算してみると2.9%だったりすることもあり、その場合にはラッキーな結果となる。
前回も触れた通り、15%AMTの適用判断テストは、会計利益$1Bっていう原則テストとインバウンド企業のみに適用される会計利益$100Mの変形インバウンド企業テストがあり、インバウンド企業に当たる日本企業の米国子会社や支店は双方のテストを充たして初めて15%AMT対象になる。ここは最重要ポイント。
適用判断時には、まず50%超の資本関係で結ばれるグローバルグループのメンバーを正確に特定する必要がある。それらのメンバーが一人の納税者かのように取り扱われるからだ。これは直接・間接・みなし持分規定等を加味して決定する米国税法ベースだ。
メンバーを正確に特定したら、米国企業、インバウンド企業を問わずまずは全員に適用される原則テストで引っ掛かるかどうかテストする。簡単に言えば特定されたメンバーの会計上の利益を合算してみて3年間平均が$1B超えてるか、って話し。ザックリと単純に財務諸表ベースだと日本企業もグローバルベースで利益が$1B超えてるところは結構あるはず。
適用財務諸表
3年間平均会計利益を特定するには、まずどんな財務諸表の使用が認められるのか、っていうベーシックな検討から入る必要がある。使用可能な財務諸表には優先順位があり、GAAPベースで作成された監査済み財務諸表のうち10‐KをSECに提出しているケースは10‐K、10‐Kの提出義務がない場合には債権者・株主・パートナー・受益人その他の所有者向け、または税務以外の目的で作成されたもの、それもない場合には、SEC以外の連邦省庁に提出しているものを使用する必要がある。これらのGAAPベースの財務諸表が存在しない場合は、IFRSに準じて作成されたものでSECに準じる基準を持つ他国の証券取引委員会に提出されているものを使う。日本企業の多くはこれを使うことになるんだろう。さらにこれもない場合は、他国の省庁に提出する財務諸表を使用することになる。$1Bの利益があるかないかの話しだから、これらのうちなんかはあるはず。
で、財務諸表がカバーする主体と、税務目的で判断対象となる主体がピッタリ一致してたら苦労は少ないんだけど、通常はそうじゃないんで、そこをシンクロさせる必要がある。例えば、最終的に15%AMTを計算する際には米国子会社に限定された財務諸表が必要になるんだけど、使用が認められる日本で証券取引委員会に提出しているグローバルベースの連結財務諸表があるとすると、そこから対象となる米国子会社にかかわる部分の金額のみを抽出する必要がある。連結納税グループに関しても同じで、連結納税グループに属するメンバーにかかわる部分の金額のみを抽出することになる。
15%AMT対象法人となるかどうかの判断時は話が若干異なって、50%超ベースのControlled Groupメンバーを一人の納税者として取り扱うことから、まずは最初のステップで特定したControlled Groupメンバーに属する主体にかかわる利益を取り出す必要がある。一人の納税者とみなさられる複数の主体と、財務諸表がカバーしている主体は若干異なったりするだろうから、そこは調整が必要で、グローバルベースで50%超のControlled Groupメンバーとなる主体群に帰属する部分の金額を把握しないといけないからだ。
調整財務諸表利益(Adjusted Financial Statement Income)
で、調整はまだ終わらない。っていうか未だ調整は始まってなくて、この段階ではようやく適用財務諸表からControlled Groupメンバーに帰属するRaw Dataを抽出したに過ぎない。最初の調整は配当所得。他主体の所得は後述するCFCは除き、配当があるまで合算しないとされる。すなわち、最終的に15%AMTを算定する単位となる法人は自己帰属部分の利益として、投資先の所得を持分法とかで取り込むことなく、配当ベースで利益を認識しなさい、ってことみたいだ。もちろん連結納税グループのケースは、連結納税グループは一人の納税者同様なので、メンバーに帰属する利益は全て取り込まれるけど、それ以外の投資先の所得は配当ベース。15%AMT対象法人かどうかの判断時には、50%超Controlled Groupメンバーは一人の納税者なのでそこに属するメンバーの所得は原則まるまる加算され、それ以外の投資先の所得は配当ベースってことになる。面倒くさそう。
で、CFCに対して議決権または価値ベースで10%持分を所有する米国株主に関しては、配当ベースではなく特別に毎期、CFCの利益の持分相当を合算する。ここで言う持分はSub Fの取り込みやGILTI計算時のTested IncomeやLossの取り込み%を適用するそう。これはクロスボーダー課税では「Pro-Rata Share」と呼ばれる%なんだけど、優先株とか複数のクラスの株式が存在する場合はそれだけでも大変な検討。GILTIの財務省規則でもかなりの紙面を割いて苦労していた部分だ。Tested IncomeやLossだけでなく、みなしルーティン所得の計算根拠となるQBAIの取り込みとか。これを財務諸表に適用するってことだけど、優先株式とかあって特定のCFCに関して会計上損失だったらどうするんだろうか。Tested Lossに対するコンセプトを流用するのかな。税法と会計を混合して適用する事務的な負荷は高い。また持分に準じてCFCから合算額を計算してみてネットでマイナスとなる場合、マイナス額はその期に認識することはできない。マイナス額を繰り越し、将来的にCFCからの合算額合計がプラスとなる課税年度に繰り越しマイナス額を差し引くことができる。Sub FのQualified Deficit規定みたいだけどこんな面倒な計算・トラッキング誰がするの?って感じ。
ただ、CFCは大概において50%超Controlled Groupメンバーになるだろうから、最終的に15%AMTを計算する際にはこのルールは重要だとしても、15%AMTの対象法人となるかどうかの判断時にはCFCを含むグループ法人の利益は自動的に合算される。ただし、15%AMT対象法人となるかどうかの判断を行う際に、Controlled Groupメンバーとして一人の納税者の一部に取り込まれる外国法人の利益に関しては、ECI(おそらく財務省規則で条約国に関してはPE帰属所得)または上述の米国株主に合算が求められる金額のみを加味するよう規定されている。
ここで面白いのは、このままこのルールを単純に適用してしまうと、インバウンド企業のControlled Groupメンバーの多くは親会社を始め、米国傘下にはない主体だから、それらの法人の利益はECIがない限り(普通はない)、すっかり抜け落ちてしまう。そこでインバウンド企業には特別な規定があり、$1Bの原則テストを適用する際には、インバウンド企業は米国傘下のCFCでなくても米国外法人の全ての利益を加味させられる。その上で$1Bを超えるかどうかの判断をすることになるんで、米国企業同様、グローバルの利益を合算して同じレベルでテストされることになる。その際、自分の持分相当だけ合算すればいいのか、それとも持分にかかわりなく利益の全額を取り込むのか法文の書き方が曖昧。概念的には当然前者だろうけど、どうもそう読み難い。例えば、日本親会社がオランダに80%子会社を持っている場合、オランダ法人の80%の利益を合算するのか100%入れさせられるのか、っていう点。財務省規則が出て80%って明確化されるんだろうか。
インバウンド企業$100M変形テスト
で、$1Bを超えてしまった場合、米国企業は適用が決定。インバウンド企業はもう一回敗者復活戦みたいなセカンド・チャンスがある。すなわち$1Bテストに抵触しても、変形の$100Mテストに抵触しなければ15%AMTから逃れることができる。この$100Mテスト時には、さっき触れたインバウンド企業は米国傘下のCFCでなくても米国外法人の全てを合算しなさい、っていう特別ルールの適用が停止される。すなわち、米国法人とその下のCFCの持分相当額の利益だけを基にテストする。その結果が$100M以下だったら15%AMTの対象にはならない。
BEATもそうだったけど、実際の計算する前に、そもそも対象になるのかどうかのテストがややこし過ぎて本番間違いそうだよね。次回は財務諸表の利益に対する調整の続き。
テスト対象合算主体の特定
さてさて、前回のポスティングでは、どの法人が15%AMT対象になり得るか、って話しを始めた。最終的に15%AMTは米国で申告している米国法人、連結納税グループ、PEやUSTOBに関して申告している米国外法人、が計算をするんだけど、そもそも計算をする必要があるのかどうかの判断は関連者グループ全体で判断する。お馴染みのAggregation(合算)ルールだ。古くは、累進税率の低税率区分を利用するため、事業を複数の法人に分けて行うような作戦に網を掛けるような概念だったけど、売上やBase Erosion%とか、規模的な判断時にお約束のように登場してくる概念。ただ、必ずしも納税者にとって不利な結果となるとは限らない。自社だけだとBase Erosion%が3%行くようなケースでも合算してみると2.9%だったりすることもあり、その場合にはラッキーな結果となる。
前回も触れた通り、15%AMTの適用判断テストは、会計利益$1Bっていう原則テストとインバウンド企業のみに適用される会計利益$100Mの変形インバウンド企業テストがあり、インバウンド企業に当たる日本企業の米国子会社や支店は双方のテストを充たして初めて15%AMT対象になる。ここは最重要ポイント。
適用判断時には、まず50%超の資本関係で結ばれるグローバルグループのメンバーを正確に特定する必要がある。それらのメンバーが一人の納税者かのように取り扱われるからだ。これは直接・間接・みなし持分規定等を加味して決定する米国税法ベースだ。
メンバーを正確に特定したら、米国企業、インバウンド企業を問わずまずは全員に適用される原則テストで引っ掛かるかどうかテストする。簡単に言えば特定されたメンバーの会計上の利益を合算してみて3年間平均が$1B超えてるか、って話し。ザックリと単純に財務諸表ベースだと日本企業もグローバルベースで利益が$1B超えてるところは結構あるはず。
適用財務諸表
3年間平均会計利益を特定するには、まずどんな財務諸表の使用が認められるのか、っていうベーシックな検討から入る必要がある。使用可能な財務諸表には優先順位があり、GAAPベースで作成された監査済み財務諸表のうち10‐KをSECに提出しているケースは10‐K、10‐Kの提出義務がない場合には債権者・株主・パートナー・受益人その他の所有者向け、または税務以外の目的で作成されたもの、それもない場合には、SEC以外の連邦省庁に提出しているものを使用する必要がある。これらのGAAPベースの財務諸表が存在しない場合は、IFRSに準じて作成されたものでSECに準じる基準を持つ他国の証券取引委員会に提出されているものを使う。日本企業の多くはこれを使うことになるんだろう。さらにこれもない場合は、他国の省庁に提出する財務諸表を使用することになる。$1Bの利益があるかないかの話しだから、これらのうちなんかはあるはず。
で、財務諸表がカバーする主体と、税務目的で判断対象となる主体がピッタリ一致してたら苦労は少ないんだけど、通常はそうじゃないんで、そこをシンクロさせる必要がある。例えば、最終的に15%AMTを計算する際には米国子会社に限定された財務諸表が必要になるんだけど、使用が認められる日本で証券取引委員会に提出しているグローバルベースの連結財務諸表があるとすると、そこから対象となる米国子会社にかかわる部分の金額のみを抽出する必要がある。連結納税グループに関しても同じで、連結納税グループに属するメンバーにかかわる部分の金額のみを抽出することになる。
15%AMT対象法人となるかどうかの判断時は話が若干異なって、50%超ベースのControlled Groupメンバーを一人の納税者として取り扱うことから、まずは最初のステップで特定したControlled Groupメンバーに属する主体にかかわる利益を取り出す必要がある。一人の納税者とみなさられる複数の主体と、財務諸表がカバーしている主体は若干異なったりするだろうから、そこは調整が必要で、グローバルベースで50%超のControlled Groupメンバーとなる主体群に帰属する部分の金額を把握しないといけないからだ。
調整財務諸表利益(Adjusted Financial Statement Income)
で、調整はまだ終わらない。っていうか未だ調整は始まってなくて、この段階ではようやく適用財務諸表からControlled Groupメンバーに帰属するRaw Dataを抽出したに過ぎない。最初の調整は配当所得。他主体の所得は後述するCFCは除き、配当があるまで合算しないとされる。すなわち、最終的に15%AMTを算定する単位となる法人は自己帰属部分の利益として、投資先の所得を持分法とかで取り込むことなく、配当ベースで利益を認識しなさい、ってことみたいだ。もちろん連結納税グループのケースは、連結納税グループは一人の納税者同様なので、メンバーに帰属する利益は全て取り込まれるけど、それ以外の投資先の所得は配当ベース。15%AMT対象法人かどうかの判断時には、50%超Controlled Groupメンバーは一人の納税者なのでそこに属するメンバーの所得は原則まるまる加算され、それ以外の投資先の所得は配当ベースってことになる。面倒くさそう。
で、CFCに対して議決権または価値ベースで10%持分を所有する米国株主に関しては、配当ベースではなく特別に毎期、CFCの利益の持分相当を合算する。ここで言う持分はSub Fの取り込みやGILTI計算時のTested IncomeやLossの取り込み%を適用するそう。これはクロスボーダー課税では「Pro-Rata Share」と呼ばれる%なんだけど、優先株とか複数のクラスの株式が存在する場合はそれだけでも大変な検討。GILTIの財務省規則でもかなりの紙面を割いて苦労していた部分だ。Tested IncomeやLossだけでなく、みなしルーティン所得の計算根拠となるQBAIの取り込みとか。これを財務諸表に適用するってことだけど、優先株式とかあって特定のCFCに関して会計上損失だったらどうするんだろうか。Tested Lossに対するコンセプトを流用するのかな。税法と会計を混合して適用する事務的な負荷は高い。また持分に準じてCFCから合算額を計算してみてネットでマイナスとなる場合、マイナス額はその期に認識することはできない。マイナス額を繰り越し、将来的にCFCからの合算額合計がプラスとなる課税年度に繰り越しマイナス額を差し引くことができる。Sub FのQualified Deficit規定みたいだけどこんな面倒な計算・トラッキング誰がするの?って感じ。
ただ、CFCは大概において50%超Controlled Groupメンバーになるだろうから、最終的に15%AMTを計算する際にはこのルールは重要だとしても、15%AMTの対象法人となるかどうかの判断時にはCFCを含むグループ法人の利益は自動的に合算される。ただし、15%AMT対象法人となるかどうかの判断を行う際に、Controlled Groupメンバーとして一人の納税者の一部に取り込まれる外国法人の利益に関しては、ECI(おそらく財務省規則で条約国に関してはPE帰属所得)または上述の米国株主に合算が求められる金額のみを加味するよう規定されている。
ここで面白いのは、このままこのルールを単純に適用してしまうと、インバウンド企業のControlled Groupメンバーの多くは親会社を始め、米国傘下にはない主体だから、それらの法人の利益はECIがない限り(普通はない)、すっかり抜け落ちてしまう。そこでインバウンド企業には特別な規定があり、$1Bの原則テストを適用する際には、インバウンド企業は米国傘下のCFCでなくても米国外法人の全ての利益を加味させられる。その上で$1Bを超えるかどうかの判断をすることになるんで、米国企業同様、グローバルの利益を合算して同じレベルでテストされることになる。その際、自分の持分相当だけ合算すればいいのか、それとも持分にかかわりなく利益の全額を取り込むのか法文の書き方が曖昧。概念的には当然前者だろうけど、どうもそう読み難い。例えば、日本親会社がオランダに80%子会社を持っている場合、オランダ法人の80%の利益を合算するのか100%入れさせられるのか、っていう点。財務省規則が出て80%って明確化されるんだろうか。
インバウンド企業$100M変形テスト
で、$1Bを超えてしまった場合、米国企業は適用が決定。インバウンド企業はもう一回敗者復活戦みたいなセカンド・チャンスがある。すなわち$1Bテストに抵触しても、変形の$100Mテストに抵触しなければ15%AMTから逃れることができる。この$100Mテスト時には、さっき触れたインバウンド企業は米国傘下のCFCでなくても米国外法人の全てを合算しなさい、っていう特別ルールの適用が停止される。すなわち、米国法人とその下のCFCの持分相当額の利益だけを基にテストする。その結果が$100M以下だったら15%AMTの対象にはならない。
BEATもそうだったけど、実際の計算する前に、そもそも対象になるのかどうかのテストがややこし過ぎて本番間違いそうだよね。次回は財務諸表の利益に対する調整の続き。
Monday, November 1, 2021
バイデン増税案大幅縮小「法人税率据え置き」(1) 代わりに会計利益に15%AMT?
下院歳入委員会が9月中旬に公表した法文ドラフトの読解がようやく一段落して、Let it Beの新譜デラックスバージョンのOuttrack(この話しはいつかどこかでね。長くなりそうなんで今回は我慢します)も暗記するほど聴きまくったこの期に及んで、結局、民主党内の調整難航の末、増税案は暗礁に乗り上げ、大幅縮小を余儀なくされた新法案が公表された。前回のポスティングまで何回かに亘って触れた「Downward Attribution禁止撤廃」は何とか新法案にも反映されてて、生き延びてるんだけど、さすがにオリジナル下院案のように2017年に過去遡及して修正という無謀な規定ではなく、法改正が施行された後に変更となっている。修正申告とか大量にしなくていいんで良かったです。いまさら965のTransition Taxの再計算とか士気が低下しちゃうもんね。Downward Attributionの話しはまだ続くからね。今日はチョッと余興で15%のAMT。
法人税率21%据え置き
28%それとも25%、はたまた26.5%?ってここ何か月も冷や冷やさせられてきた法人税率だけど、ナンと結局21%に据え置きの気配。今週公表された新たな下院法案には法人も個人も税率引き上げには言及されてない。意外などんでん返しだけど納税者にとっては吉報。GILTIも結局ピラー2を無理やり押し付けた張本人国としての自覚に目覚めたのか15%程度に終焉する見込み。グリーンブックとかの今までの勢いは何だったの?って感はあるけど、DTAの洗い替えで会計上のペーパー利益を期待していたようなところは別として、まずはホッとした方も多いだろう。
それにしても紆余曲折あり過ぎ。そもそも2020年から既にお金をバラマキ過ぎて急激なインフレになり、国内のオイル・ガス産業を徹底冷遇した結果燃料費高騰してOPECに泣きつく始末だし、コロナ系の潤沢な失業手当その他で労働力の確保が思うようにいかなかったり、サプライチェーンも大混乱。飛行機だってSouthwestの大量キャンセルの時はWN(SouthwestのTwo Letter CodeはSWじゃなくてWN。SWは既に取られてたんで最初はOEとかだったけど、せめてWが入るようにってWNになったという経緯)に乗る機会少ないから気にしてなかったけど、Americanまで多くのフライトが客室乗務員がタイムリーに手当てできず大量キャンセルされたりとか、スーパーの品薄や食材の価格高騰とか身の回りで直接感じる実害が多い。
経済にそんな向かい風が吹き荒れる中、この期に及んで十分な政策議論もないまま慌てて200兆円に「減額」した歳出を敢行しようとする無理やりさや歪が露呈して審議も暗礁に乗り上げているのでは。オリジナルの350兆円よりマシとは言え、それでもまだ国家予算的には身の丈に余る計画。バージニア州の知事選やバイデンがヨーロッパに発つ前に大きな法案を通して白星を獲得しないと、って逸る気持ちは分かるけど、成果をアピールするためにっていうエゴだけではなく、未来の世代に大きな負債を残すとてつもない歳出になる訳だから一般市民にも納得が行くよう十分に議論を尽くしてほしいところ。ワシントンって市民感覚からかけ離れがちだけど、ますますOut-of-touchさ加減が加速しているような感じ。
バイデンもヨーロッパに発ち、気候変動対策とか話すんで、今後も地球が住み易いところであり続けるために世界で力を合わせてもらいたいところだけど、世界の重鎮が専用ジェットで集まったり、ローマでは80台以上のセキュリティ自動車を引き連れて動き回ったりして、それで「カーボンをゼロにしましょう」とか話し合っても、自分自身が実行できていない善行を他人に勧める偽善の代表みたいで説得力に欠ける。州民には外食を禁じて自分だけは高級レストランで200万円のディナーをエンジョイするカリフォルニア州知事のニューサムとか、政治家の偽善ぶりが過ぎるけど、まあ、人の世なんてそんなものなんでしょうか。
気候変動大使のジョンケリーに至っては別に行ってもプラスにならない気候変動賞みたいな授賞式に自家用ジェットでカーボンを散らしながらアイスランドに登場し、「趣旨的におかしいのでは?」という現地記者の質問に「自分のような世界を股に掛ける重要人物にとっては(原文は「somebody like me who is traveling the world」)には当然かつ唯一の移動法」と断じている。一般庶民と自分は異なる、と言わんばかりで、国民の公僕たる政治家とは思えぬ横柄さ、というか政治家ならではの横柄さで笑わせてくれる。本当に地球のこと考えてんの、って疑いたくなってしまいます。そんな政治家たちに200兆円もの巨額の使途を決めさせる訳だから見ものだよね。既にコロナで軽く6~700兆円近く使った上に。単位が豪快過ぎて感覚が麻痺する規模だ。
財務諸表利益15%AMT
で、法人税率は据え置きの可能性大とは言え、代わって今までの審議では求心力に欠けていたというか、取り沙汰されることもなかった「財務諸表利益15%AMT(代替ミニマム税)」がここに来て息を吹き返してきた動きは、バイデン増税案の影響をモデリング化して試算してきた米国多国籍企業にとっては不意打ち。実はこの15%AMTは結構痛い。法人得税の表面税率そのものよりも、GILTIのCbC化、支払利息損金算入の新たな制限と並び、嫌な規定と密かに恐れられていた案だからだ。
15%AMTの基本的な設計は、2017年の税制改正で撤廃された旧AMTに似ている。財務諸表で認識される会計上の利益のうち各法人に帰属する部分を取り出し、15%AMT用に新たに規定されるAMT繰り越しNOLをマイナスしたネット利益に15%掛け、そこからこちらも新たに規定される15%AMT用のFTCをマイナスして暫定15%AMTを計算する。この暫定15%AMTが通常の法人税を上回る場合、超過額を15%AMTとして支払いなさい、というものだ。ここで言う通常の法人税はBEATミニマム税も含む。BEATミニマム税と異なり15%AMTは将来、状況が逆転して通常の法人税が暫定15%AMTを超える課税年度において、その差額を上限に15%AMTクレジットとして使用することができる、というもの。連結納税しているケースは同じ算定を連結納税単位で行うことになる。
15%AMT対象法人
で、15%AMTの計算自体はあくまでも納税者単位、すなわち米国で申告している法人、または連結納税してるんだったら連結納税グループ単位でするんだけど、そもそもどの法人が15%AMTの対象法人かっている判断時にはまた例によってグループの「Aggregate(合算)」規定がキックインしてくる。合算が求められるのは、あくまでも15%AMT適用対象とかどうかに適用されるテスト基準値を満たしているかどうかの判断時だけ。BEATの適用対象テストと同じだ。ちなみに15%AMTが導入されたとしても旧AMTの代わりと言われていたBEATはなくならず共存するようだ。
BEAT同様、合算対象の複数の主体は「一人の納税者」としてテストするという規定なんだけど、この一人の納税者っていう概念を、実際には一人ではない複数の主体相手に正確に適用するのは結構難しい。BEATの時も2018年12月の規則草案、2019年12月の最終規則、と財務省が苦労してどうやって合算対象を特定するか、とか計算法を規定しようとしてたけど、それでも未だ争点が残ってて、2019年12月の最終規則と同時にこの点にかかわる新たな規則草案が公表されている。一筋縄ではいかない様子が分かる。
合算規定
対象テストの分析だけで数回のポスティングを要しそうだけど、日本企業にとっても他人ごとではないんでサワリというか真髄部分には触れておきたい。
まず、15%AMTの対象はS Corp、REIT、RIC以外の法人のうち過去3年間平均調整財務諸表利益(「Average Annual Adjusted Financial Statement Income」(略して「3年平均会計利益」って言っとくからね)が$1B超の法人とされる。法人の設立地や居住地は問わない。仮にグループ法人とか持たないStand-Aloneの米国法人が一社っていうなかなか実際にはあり得ないSituationがあったとすると、その法人の財務諸表を基に判断することになる。
で、さらに日本企業の米国子会社とかインバウンド企業に関しては、追加の要件があり、計算に取り込む対象グループの範囲を小さくする一方、テスト基準値となる3年平均会計利益も10分の1の$100Mに減額する別テストがある。インバウンド企業は、上の$1B原則テストとこのインバウンド企業$100Mテストの「双方」を充たして初めて15%AMT対象になると読める。「利益が$1Bあるんだったら$100Mもあるに決まってるじゃん」って思うかもしれないけど、計算法が異なるんで、「$1Bあるけど$100Mはない」っていう結果も十分に想定される。
BEATの計算時に登場する「Gross Receipt」は税法上定義のある数字だけど、会計利益って当然だけど会計原則に基づく数字なんで、3年平均会計利益は税引前なのか税引後なのか、とか新たに定義を規定しないといけなくてウルトラ面倒。このあたりの定義は合算の話しの過程等で必要に応じて順々に触れたい。
で、$1B原則テストもインバウンド企業$100Mテストも、申告単位になる各法人または連結納税グループだけで判断するんじゃなくて、上述の通り、関連者が存在する場合にはグループ合算ベース。具体的には、BEATの合算規定同様、Section 52っていうWork Opportunity Creditの計算時に一人の雇用者(Single Employer)と取り扱われる複数の主体は、15%AMT適用対象テスト時にも単体の納税者として取り扱う必要がある。Section 52はCorporationでない主体も対象とするんで注意が必要だけど、Corporationの世界での適用は「Controlled Group」のメンバーの話し。ただし、通常のControlled Groupメンバーは80%以上の資本関係を持つ面々だけど、Section 52目的では50%超の資本関係が基準になる。
ちなみにBEAT法文(Section 59A(e)(3))もそうなんだけど、合算テストの対象法人の定義には誤りとしか思えない部分がある。今回の15%AMTの適用対象テストにかかわる合算の法文も同じ誤りがあって、おそらくいつも同じ文言をコピペして使いまわしてるんだろう。
どこがおかしいかっていうと、Section 52はControlled Groupメンバーを規定しているSection 1563(a)を参照していて、このメンバーには資本関係があれば外国法人も自ずと含まれる。Section 1563には別の規定があって、Controlled Groupメンバーの中でも、米国で法人税申告するようなメンバーを特別に「Component」メンバーとして定義している。これがSection 1563(b)だ。Section 1563(b)は(a)とは異なる目的で使われるので、ECIのない米国外法人は含まれないとか、複数の追加要件がある。ところが、15%AMTの合算対象メンバーを規定している法文では、Section 52、すなわちCorporationの世界では50%超ベースに置き換えたSection 1563(a)のメンバーを参照しておきながら、Section 1563(b)(2)の(C)と(D)は無視するように、と規定している。(C)はECIのない外国法人は除外するって規定だけど、そもそもSection 1563(b)は元々見てないんで全く不要というか混乱の基。Section 1563(b)の世界に突入すると、課税年度に何日メンバーだったらComponentメンバーになるとか他にも追加要件があるんで、間違えてそっちも見始めたりして混乱の温床だ。何とか法文最終化する前に直してほしいところ。
次回は$1Bと$100Mの計算法。
法人税率21%据え置き
28%それとも25%、はたまた26.5%?ってここ何か月も冷や冷やさせられてきた法人税率だけど、ナンと結局21%に据え置きの気配。今週公表された新たな下院法案には法人も個人も税率引き上げには言及されてない。意外などんでん返しだけど納税者にとっては吉報。GILTIも結局ピラー2を無理やり押し付けた張本人国としての自覚に目覚めたのか15%程度に終焉する見込み。グリーンブックとかの今までの勢いは何だったの?って感はあるけど、DTAの洗い替えで会計上のペーパー利益を期待していたようなところは別として、まずはホッとした方も多いだろう。
それにしても紆余曲折あり過ぎ。そもそも2020年から既にお金をバラマキ過ぎて急激なインフレになり、国内のオイル・ガス産業を徹底冷遇した結果燃料費高騰してOPECに泣きつく始末だし、コロナ系の潤沢な失業手当その他で労働力の確保が思うようにいかなかったり、サプライチェーンも大混乱。飛行機だってSouthwestの大量キャンセルの時はWN(SouthwestのTwo Letter CodeはSWじゃなくてWN。SWは既に取られてたんで最初はOEとかだったけど、せめてWが入るようにってWNになったという経緯)に乗る機会少ないから気にしてなかったけど、Americanまで多くのフライトが客室乗務員がタイムリーに手当てできず大量キャンセルされたりとか、スーパーの品薄や食材の価格高騰とか身の回りで直接感じる実害が多い。
経済にそんな向かい風が吹き荒れる中、この期に及んで十分な政策議論もないまま慌てて200兆円に「減額」した歳出を敢行しようとする無理やりさや歪が露呈して審議も暗礁に乗り上げているのでは。オリジナルの350兆円よりマシとは言え、それでもまだ国家予算的には身の丈に余る計画。バージニア州の知事選やバイデンがヨーロッパに発つ前に大きな法案を通して白星を獲得しないと、って逸る気持ちは分かるけど、成果をアピールするためにっていうエゴだけではなく、未来の世代に大きな負債を残すとてつもない歳出になる訳だから一般市民にも納得が行くよう十分に議論を尽くしてほしいところ。ワシントンって市民感覚からかけ離れがちだけど、ますますOut-of-touchさ加減が加速しているような感じ。
バイデンもヨーロッパに発ち、気候変動対策とか話すんで、今後も地球が住み易いところであり続けるために世界で力を合わせてもらいたいところだけど、世界の重鎮が専用ジェットで集まったり、ローマでは80台以上のセキュリティ自動車を引き連れて動き回ったりして、それで「カーボンをゼロにしましょう」とか話し合っても、自分自身が実行できていない善行を他人に勧める偽善の代表みたいで説得力に欠ける。州民には外食を禁じて自分だけは高級レストランで200万円のディナーをエンジョイするカリフォルニア州知事のニューサムとか、政治家の偽善ぶりが過ぎるけど、まあ、人の世なんてそんなものなんでしょうか。
気候変動大使のジョンケリーに至っては別に行ってもプラスにならない気候変動賞みたいな授賞式に自家用ジェットでカーボンを散らしながらアイスランドに登場し、「趣旨的におかしいのでは?」という現地記者の質問に「自分のような世界を股に掛ける重要人物にとっては(原文は「somebody like me who is traveling the world」)には当然かつ唯一の移動法」と断じている。一般庶民と自分は異なる、と言わんばかりで、国民の公僕たる政治家とは思えぬ横柄さ、というか政治家ならではの横柄さで笑わせてくれる。本当に地球のこと考えてんの、って疑いたくなってしまいます。そんな政治家たちに200兆円もの巨額の使途を決めさせる訳だから見ものだよね。既にコロナで軽く6~700兆円近く使った上に。単位が豪快過ぎて感覚が麻痺する規模だ。
財務諸表利益15%AMT
で、法人税率は据え置きの可能性大とは言え、代わって今までの審議では求心力に欠けていたというか、取り沙汰されることもなかった「財務諸表利益15%AMT(代替ミニマム税)」がここに来て息を吹き返してきた動きは、バイデン増税案の影響をモデリング化して試算してきた米国多国籍企業にとっては不意打ち。実はこの15%AMTは結構痛い。法人得税の表面税率そのものよりも、GILTIのCbC化、支払利息損金算入の新たな制限と並び、嫌な規定と密かに恐れられていた案だからだ。
15%AMTの基本的な設計は、2017年の税制改正で撤廃された旧AMTに似ている。財務諸表で認識される会計上の利益のうち各法人に帰属する部分を取り出し、15%AMT用に新たに規定されるAMT繰り越しNOLをマイナスしたネット利益に15%掛け、そこからこちらも新たに規定される15%AMT用のFTCをマイナスして暫定15%AMTを計算する。この暫定15%AMTが通常の法人税を上回る場合、超過額を15%AMTとして支払いなさい、というものだ。ここで言う通常の法人税はBEATミニマム税も含む。BEATミニマム税と異なり15%AMTは将来、状況が逆転して通常の法人税が暫定15%AMTを超える課税年度において、その差額を上限に15%AMTクレジットとして使用することができる、というもの。連結納税しているケースは同じ算定を連結納税単位で行うことになる。
15%AMT対象法人
で、15%AMTの計算自体はあくまでも納税者単位、すなわち米国で申告している法人、または連結納税してるんだったら連結納税グループ単位でするんだけど、そもそもどの法人が15%AMTの対象法人かっている判断時にはまた例によってグループの「Aggregate(合算)」規定がキックインしてくる。合算が求められるのは、あくまでも15%AMT適用対象とかどうかに適用されるテスト基準値を満たしているかどうかの判断時だけ。BEATの適用対象テストと同じだ。ちなみに15%AMTが導入されたとしても旧AMTの代わりと言われていたBEATはなくならず共存するようだ。
BEAT同様、合算対象の複数の主体は「一人の納税者」としてテストするという規定なんだけど、この一人の納税者っていう概念を、実際には一人ではない複数の主体相手に正確に適用するのは結構難しい。BEATの時も2018年12月の規則草案、2019年12月の最終規則、と財務省が苦労してどうやって合算対象を特定するか、とか計算法を規定しようとしてたけど、それでも未だ争点が残ってて、2019年12月の最終規則と同時にこの点にかかわる新たな規則草案が公表されている。一筋縄ではいかない様子が分かる。
合算規定
対象テストの分析だけで数回のポスティングを要しそうだけど、日本企業にとっても他人ごとではないんでサワリというか真髄部分には触れておきたい。
まず、15%AMTの対象はS Corp、REIT、RIC以外の法人のうち過去3年間平均調整財務諸表利益(「Average Annual Adjusted Financial Statement Income」(略して「3年平均会計利益」って言っとくからね)が$1B超の法人とされる。法人の設立地や居住地は問わない。仮にグループ法人とか持たないStand-Aloneの米国法人が一社っていうなかなか実際にはあり得ないSituationがあったとすると、その法人の財務諸表を基に判断することになる。
で、さらに日本企業の米国子会社とかインバウンド企業に関しては、追加の要件があり、計算に取り込む対象グループの範囲を小さくする一方、テスト基準値となる3年平均会計利益も10分の1の$100Mに減額する別テストがある。インバウンド企業は、上の$1B原則テストとこのインバウンド企業$100Mテストの「双方」を充たして初めて15%AMT対象になると読める。「利益が$1Bあるんだったら$100Mもあるに決まってるじゃん」って思うかもしれないけど、計算法が異なるんで、「$1Bあるけど$100Mはない」っていう結果も十分に想定される。
BEATの計算時に登場する「Gross Receipt」は税法上定義のある数字だけど、会計利益って当然だけど会計原則に基づく数字なんで、3年平均会計利益は税引前なのか税引後なのか、とか新たに定義を規定しないといけなくてウルトラ面倒。このあたりの定義は合算の話しの過程等で必要に応じて順々に触れたい。
で、$1B原則テストもインバウンド企業$100Mテストも、申告単位になる各法人または連結納税グループだけで判断するんじゃなくて、上述の通り、関連者が存在する場合にはグループ合算ベース。具体的には、BEATの合算規定同様、Section 52っていうWork Opportunity Creditの計算時に一人の雇用者(Single Employer)と取り扱われる複数の主体は、15%AMT適用対象テスト時にも単体の納税者として取り扱う必要がある。Section 52はCorporationでない主体も対象とするんで注意が必要だけど、Corporationの世界での適用は「Controlled Group」のメンバーの話し。ただし、通常のControlled Groupメンバーは80%以上の資本関係を持つ面々だけど、Section 52目的では50%超の資本関係が基準になる。
ちなみにBEAT法文(Section 59A(e)(3))もそうなんだけど、合算テストの対象法人の定義には誤りとしか思えない部分がある。今回の15%AMTの適用対象テストにかかわる合算の法文も同じ誤りがあって、おそらくいつも同じ文言をコピペして使いまわしてるんだろう。
どこがおかしいかっていうと、Section 52はControlled Groupメンバーを規定しているSection 1563(a)を参照していて、このメンバーには資本関係があれば外国法人も自ずと含まれる。Section 1563には別の規定があって、Controlled Groupメンバーの中でも、米国で法人税申告するようなメンバーを特別に「Component」メンバーとして定義している。これがSection 1563(b)だ。Section 1563(b)は(a)とは異なる目的で使われるので、ECIのない米国外法人は含まれないとか、複数の追加要件がある。ところが、15%AMTの合算対象メンバーを規定している法文では、Section 52、すなわちCorporationの世界では50%超ベースに置き換えたSection 1563(a)のメンバーを参照しておきながら、Section 1563(b)(2)の(C)と(D)は無視するように、と規定している。(C)はECIのない外国法人は除外するって規定だけど、そもそもSection 1563(b)は元々見てないんで全く不要というか混乱の基。Section 1563(b)の世界に突入すると、課税年度に何日メンバーだったらComponentメンバーになるとか他にも追加要件があるんで、間違えてそっちも見始めたりして混乱の温床だ。何とか法文最終化する前に直してほしいところ。
次回は$1Bと$100Mの計算法。
Subscribe to:
Posts (Atom)