1月20日の正午の就任式でトランプが正式に大統領に就任して新政権が発足した。下院・上院は先行して119会期が開始してるんでこれで正式に共和党のTrifectaが正式に整ったことになる。
就任式はラリー(集会)とは異なるんでスピーチのトーンは比較的穏やか(?)だったけど、その内容はバイデン、オバマ、クリントンが背後に見守る中、ストレートなものだった。政府や社会にCommon Senseを取り戻しAmerica Firstポリシーを徹底し米国を未だかつて見たことない程の繁栄に導くっていうもの。少なくとも就任式ではスピーチが過激になり過ぎないように周りの取り巻きがControlしたんだろうね。Susie Wilesとか?彼女は裏方に徹してたけど選挙活動中から沈着冷静にチームを管理していたからね。
就任式前日の日曜日は東海岸は雪だったけど当日は青空。とは言え気温は低かったんで急遽、屋外からCapitol(議事堂)内の屋内イベントに転換。屋内の就任式は1909年、1985年(こちらはレーガン)以降歴史上3回目っていうことなんで結構珍しいんだね。Secret Serviceは屋内の方が断然警備が容易なんで喜んでたらしいけど外で歴史的なComebackを一目見ようとDCに集まっていた一般市民はガッカリ。でもNYCでも摂氏で言うとマイナス10度とかだからDCも似たような感じだろうから屋外イベントは厳しいよね。就任式後にバイデンとJillがヘリコプターで去っていく恒例の別れは外で寒そう。ヘリコプターって風を巻き起こすからなおさらね。特にMelaniaとJillは寒そう。
ちなみにJill Bidenの装いはパープルのコート。パープルっていうのは赤(共和党)と青(民主党)を混ぜるとできる色。Jillは11月5日の選挙には赤いコートで投票所に登場し、トランプに投票したに違いないって話題になったけど、今回はどちらでもないパープルだった。中立ってこと?ハリスや元下院議長のペロシとの確執が伝えられる中、苦渋の選択結果でパープルだったのかもね。
大統領令(Executive Order)
就任式後に数多くの大統領令が署名された。就任と同時に大統領府のウェブサイトも更新され、「White House President Donald J. Trump」の名の下に大きく「AMERICA IS BACK」のバナー。トランプは就任式からおそらくランチ前に一旦ホワイトハウスに戻り、政府機能を問題なく継続させるため各省の仮長官等を任命。これらの者は正式な長官が上院承認を得るまでの期間、省庁を司ることになる。
Capital One Arena DCラリー
で、その足でまるでLed Zeppelinが熱狂的ファンが待つMadison Square Gardenに登場したみたいに、Capital One Arena DCに到着。そこでは就任式とはうって変わっていつものトランプは毒舌乱発。選挙運動中のラリーのノリで絶好調のスピーチ後は複数の大統領令に署名。ライブ・ストリーミングで見れた範囲で次のような大統領令が含まれてた。
パリ協定脱退およびその旨のUNへの通知。この大統領令にはUNの「Framework Convention on Climate Change」関係に米国の不関与、資金拠出停止、米国の「International Climate Finance Plan」廃案が含まれる。
連邦政府の機能や目的が明確になるまで連邦政府の雇用フリーズ(軍は除く)。 連邦職員の週5日オフィス出勤命令(リモートワーク禁止)。バイデンによる大統領令78を弊害として無効化・撤回。不法移民の米国誕生子女に対する市民権付与停止(これは訴訟で実効性未定)。DEIポリシー撤廃・禁止、能力主義の徹底。 生物学に基づく男女2つの性別のみ認知。 国外カルテル・ギャングのテロリスト認定、など広範な領域に亘る。
で署名する大統領令各々に関して簡単な説明があるんだけど、その度に群衆から大喝さいを浴び、署名っていうRock Showになった。
熱狂するファンに昔、Rod Stewartがコンサートのアンコールでサッカーボールをステージから観客にキックしてたみたいに、Capital One Arena DCのイベントでは大統領令に署名したペンを観客に投げ込んで終了。おそらくトランプのサインと「47th President」が刻まれた「Commemorative Pen」だったんだろう。こんな大統領令署名式は歴史始まって以来に違いない。芸人のトランプに好都合なことに、今後4年間はハイプロファイルなイベントが満載。2026年は米国建国250周年祭、1994年以降2度目のFIFA World Cup、そして2028年には1932年、1984年以降3度目のLos Angelesオリンピックがある。Showmanshipに最適な4年間でトランプShowはRock On。
Back to Oval Office
Capital One Arenaのラリー後はまたホワイトハウスに戻り、夜に控える3つの祝賀会ディナーイベント前にさらに大統領令に署名。ここでは記者団に囲まれ、質問に答えながらの署名となった。
正確にここでいくつの大統領令に署名したかはYouTubeの映像からは確実じゃないけど、ホワイトハウスのウェブサイトに記載されているもので先のホワイトハウスおよびCapital One Arenaで署名されたもの以外のはずなんで、次のような内容のはず。形容は非公式に意訳してるんで正式な名称や内容は原文を見てみて欲しい。Capital One Arenaで署名されたものも含め大統領令をカテゴリー分けすると、「国境警備」、「America First」、「エネジー政策」、「規制緩和」、「社会・カルチャー問題」。
国境警備周りはメキシコとの国境Southern Borderのオープンボーダーを撤回、Southern Borderからの移民流入を国家侵略と位置付け国家安全保障対応、国外テロリスト対抗策、難民受け入れポリシー見直し、軍機能再評価、など。
America First系は国務長官にAmerica First実行命令、OECDのGlobal Tax交渉打ち切り・不適用・対抗措置、National Security Councilの機能定義、外国援助の見直し、WHO脱退。
エネジー政策はアラスカ資源開発、連邦管轄の領海外大陸棚の風力発電目的の使用禁止、エネジー国家危機宣言、米国内エネジー生産最大限化。
規制緩和・行政府の肥大化措置系はDOGE設立、上級官僚の説明責任復活、新規則策定フリーズ、規則草案の最終化禁止、各省庁による国民生活費の高騰対策検討。
社会問題・カルチャー系は米国歴史上人物の名前を冠した地名の復活。連邦建設物の美化、公共安全の徹底と死刑復活、カリフォルニア州の火災防止措置徹底、大統領就任日は国旗の半旗禁止、TikTok禁止令にかかわる措置、J6関係者恩赦、連邦省庁の兵器化(政敵を狙って法律を悪用すること)禁止、言論の自由復活、連邦政府によるセンサーシップ禁止。
Pillar 2にトドメ?
上述の通り、OECDのGlobal Tax交渉打ち切り・不適用・対抗措置が初日に明確にされた。その内容は以前から共和党がTrifectaになったらこんなことになるかもって言ってたものなんで、それ自体に驚きはないはず。この部分は次回もう少し詳しく触れる。
関税は?
う~ん沢山の大統領で選挙活動中に言っていたことは網羅してるね~って思ってもう一度落ち着いて見てみると「あれ関税がないじゃん」って気づく。Oval Officeで署名しながら記者とやり取りしている映像があるけど、その中でFoxのPeter Doocyと思われる声の記者が「関税はどうなっちゃたの?」みたいな質問をした際、トランプは「2月1日に披露する」って回答してたと思うんで2月1日までお預け。え~一番のトリのはずだったのにね。
という訳で目が回りそうな初日の大統領令だったけど、その中でもタックスに関係するOECD Global Taxからの完全撤退宣言に関しては次回もう少し。