トランプ最初の戦い
昨日のポスティングで触れた通り、1月3日に昨年11月選挙で当選した議員たちが宣誓就任し、議会の119会期が正式に始まった。注目の下院議長は何とか共和党がJohnsonをサポートするっていうことで、Thomas Massie(R-Ky)一名を除き一枚岩になり、Johnsonが多数票を獲得して議長に就任した。ただ、最初、Massieと並んで、Ralph Norman (R-SC)とKeith Self (R-Fla)の2名も抗議投票でJohnsonではない者に票を投じるっていうドラマがあり、トランプ自らがその場で2名に電話をして直接説得に当たり、修正投票で選出が確定している。
この経緯にはプラスとマイナスの双方の見方がある。プラスはトランプの影響力もあり「市民が望んでいる国境警備や減税延長、等の法案を早期に可決するため党内でいがみ合ってる場合ではない」っていう共通の目的を認識できた点。一方マイナスは僅差でハラハラし続ける実態や少数の議員のレバレッジが大きく、今後の予算調整法可決、Two-Trackなのかどうかも含め予断を許さないっていう現実が露呈された点。いずれにしても119会期の新議会におけるトランプ「最初の戦い」になった。
バイデン最後の戦い
一方のバイデンは最後の戦い。最後の戦いって言うとどうしてもLed Zeppelinの「アキレス最後の戦い」を思い出すよね。っていうかZeppelinのアキレス最後の戦いをしってるからこんなフレーズが直ぐに出てくるって言った方が正確。Zeppelinの「Achilles Last Stand」はJimmy Pageのアルペジオで始まり、直後に入るバックのリズムが恰好いい。 Headley Grangのくら~い雰囲気がZeppelinぽくていいね。前も書いたけど、個人的にZeppelinのアルバムは名前がないI~IVまでの方が出来がいいと思ってるけど、Achilles Last Standは7枚目の「Presence」の一曲目。アルバムとしてはまあまあってレベルだけどこの曲はいいよね。
で、存在感が薄くなって久しいバイデンはアキレスとはかけ離れてるけど、この期に及んでNippon SteelによるUS Steel買収を「国家安全保障」懸念からブロックすると公表。数日前からそうなるだろうって報道されてたけど本当にそうなった。CFIUSが自分たちでは決められないんでバイデンの判断に委ねてたけど、バイデン本人が判断してるっていうよりは周りの取り巻きが決めたんだろう。WSJの記事によると、国務長官のBlinkenや国家安全保障担当補佐官(漢字10文字以上連なると厳しいんで「National Security Advisor」の方が分かり易いね)のSullivanは買収に反対しなかったそう。すなわち国家安全保障面の懸念は実際には少ないことが分かる。一方で国内政策っていうか、バイデンが後世に残す遺物のひとつとして労組に慮っての対処とすべきっていう最後までいかにもバイデン政権らしい国内派のアドバイザーの意見が通ったとのこと。
法的にアピールする機会はあるんでDeal自体は未だTBCかもしれない。ただ、結構な条件を飲んだにもかかわらず「Dealの条件に安全保障面の配慮が見られない」って。ポリティカルにしょうがなかったっていう状況は分かるけど、US Steelの買収も認めてくれないとなると例えば日本有事の対処とか、米国政府としてもっと大きな決断が迫られる際、どれだけ頼りにしていいやら「同盟国」日本としてはチョッと心配だよね。
また選挙結果にもかかわらず、新政権のエネジー政策にできるだけ支障があるような大統領令を出すっていう報道もある。1953年の「the Outer Continental Shelf Lands Act (OCSLA)」に基づき連邦管轄下のオフショア海域におけるエネジー開発を禁じ、こちらもバイデンが後世に残す遺物のひとつとする。そう言えばオバマも政権末期に同じようにOCSLAに基づく大統領令を出してたね。
このOCSLAっていう法律、大統領にエネジー開発を禁じる権限を与えている一方、禁止を解除する権限は付与されていないって解釈したアラスカ地裁の判例(League of Conservation Voters v. Trump, 363 F. Supp. 3d 1013 (D. Alaska 2019))があり、新政権が行政府として、議会のOCSLA改正なしでバイデン大統領令を撤回できるかどうかは法的に疑問が残る。
ということで今日はZeppelinの話しに深く入り込まないよう我慢しながらトランプとバイデン各々の最初と最後の戦いでした。