Wednesday, March 25, 2020

200兆円新型コロナウイルス対策法フェーズ3合意

議会とMnuchinが代表するトランプ大統領府は$2Tに上るパッケージに合意した様子。先日のポスティング「新型コロナウイルス対策法フェーズ3法案に潜むTCJAテクニカル修正規定 – Downward Attribution例外復活その他」で触れたTechnical Correctionは生き残ったでしょうか?まだ原文見てないので何とも言えないけど、大企業への「Slush Money」と勘違いされて削除されてないといいんだけど。これから両院で投票、トランプ大統領の署名を経て法律化される予定。Technical Correctionの運命やいかに。

Sunday, March 22, 2020

新型コロナウイルス対策法フェーズ3法案、上院通過困難に

昨日のポスティングで触れたコロナウィルス対策法第三弾の共和党上院法案「Coronavirus Aid、Relief、and Economic Security Act」は両党およびMnuchinの精力的な交渉にもかかわらず上院民主党の支持を取り付けることができず白紙に戻る勢い。争点はいくつかあるらしいけど、代表的なのは例によって「Corporation」、大企業に甘すぎる、というもの。大企業は悪者になりがちだけど、機能不全の米国において、市民へのサポートの多くは大企業の努力によるもの。アマゾンがなかったら多くの人の生活に支障が出るだろうし、アマゾンは雇用環境が急激に劣化する中新規雇用中。ウォルマートだってフル回転だし、Googleもウィルス対策関係のサイトを立ち上げている。VerizonはWFHでみんなのインターネットが途絶えないように2カ月間、アクセスを保障してくれてるってことだし。製薬企業はワクチン、治療薬を開発をフルスピードで進めている。航空会社だって数人しか搭乗しない国内便を律義に飛ばしてくれているし。あれ、燃料代も出ないだろう。こんなに社会に貢献している有能な多くの米国企業。この期におよんで余りいじめ過ぎて、米国大企業をダメにしないようにね、って感じ。米国大企業が弱体化した状態で次の新型ウィルス来たら、これらのこと政府が管理できるとは思えず、感染者数がトラックできないどころか、毎日の生活も成り立たなそう。大変なことになるよね。

で、上院法案が通らないということは、Downward Attributionの撤廃、適格内装の即時償却未適用、もそのまま残るってことなのかな。Downward Attributionの例外復活も大企業へのGoodiesって勘違いされているのかもね。まあ、2年前に撤廃され、Transition TaxやGILTIに多大な影響を与えてきたTCJAの規定だから、今さらなかったことにするっていうのも、その間に再編とかしたケースもあるだろうし、それはそれで論争の的かもしれないけどね。憲法上の問題も出てきそう。

ということで、新しい法案はどんなものになるのでしょうか。それとも現法案の一部を手直ししてProcedural Voteに持ち込むのかな。TCJA Technical Correctionが気になるけど、月曜日の市場が開く前に吉報を届けないとマーケットの更なる暴落も。何とか両党力を合わせて有益な法律が可決されますように。

Saturday, March 21, 2020

新型コロナウイルス対策法フェーズ3法案に潜むTCJAテクニカル修正規定 – Downward Attribution例外復活その他

コロナウィルス対策法の第三弾が近日中に可決される予定だっていう点は前回のポスティング「新型コロナウイルス対策法第二弾可決で米国は次の「ピラー3」突入」で触れたけど、Mitch McConnell率いる上院共和党が第三弾法案を提出した。「Coronavirus Aid、Relief、and Economic Security Act」だ。略して「CARESA」かな?23ページの法案とは言え、コストは2Tドルに近づいていると言うことだから、1ページ当たり100Bドル(10兆円!)という高価な法案だ。

それにしても昨日まで$1Tと言われていたのに、各産業を代表するロビイストたちが暗躍し、より広範なセクターに高額の公的支援をすることになっているかもしれない。また民主党が譲らない失業保険の拡充も大きなコストとなる。州政府が、レストラン、バー、ジム、等の営業を禁止し、市民に外出しないよう促しているんだから、公的支援が必要な産業や失業保険が必要な個人も後を絶たないだろう。NewsomeにしてもCuomoにしても、経済的コストは覚悟の上、苦肉の策として究極のDraconian策を打ち出しているだろうけど、どこかで何とかしないとね。Q2はあきらめるとしてQ3には復活して欲しいものだ。

で、対策法第三弾、税務的には、「Recovery Rebate」と名付けられた適格納税者に対する1,200ドルの現金支給、申告書提出期限の7月15日への変更、慈善団体への寄付金一部のAbove-the-Line控除や控除枠の拡充、予定納税や給与税の支払い遅延、と並び、前回から触れているNOL使用時の80%所得制限の2020課税年度における適用一時停止、Section 163(j)の支払利息損金算入制限のEBITDA x 「30%」の枠を2019年および2020年課税年度に関して「50%」への引き上げ、等、予想された内容のGoodiesが並んでいる。

で、そんな中で法案を見てビックリだったのが、TCJA絡みの複数の規定にかかわる修正法案(Technical Correction)が盛り込まれている点。中でもナンとTCJAで撤廃されていたSection 958(b)(4)、すなわち外国法人がCFCに当たるか、また米国人が外国法人の「米国株主」に当たるかの決定時に外国人から米国人には持分がみなしでDownward Attributeされてこない、という従来の有益な例外規定が復活することになっている点。さらにその上、Section 951Bという条文を新設して、元々達成したかった立法趣旨をより厳密かつ狭義に規定した形でのDownward Attributionの適用を規定しているのだ。Technical Correnctionなので、TCJAの発効時に過去訴求して適用となる。2年半も経っているのに。

TCJAは、ご存知の通り2017年12月に電光石火の早業で可決されたことから、法文そのものが必ずしも立法趣旨を反映していない条文が存在する点が可決当時から指摘されており、可決後早々にTCJA立法立役者の張本人である下院歳入委員会長のBrady自らが修正法案(「Technical Correction」)を草稿していた。修正が必要と認識されている規定の代表的なものが、他でもない、従来存在していた「Downward Attribution例外規定」の全面撤廃にかかわるものだった。

チョッとおさらいしておくと、米国で法人に対する持分を論じる際、大別して、直接持分、間接持分、みなし持分を考えないといけないことが多い。みなし持分というのは実際には自分は所有していないけど、自分と何らかの関係にある者が所有している持分をあたかも自分が所有しているかのように取り扱うというものだ。その意味で間接持分、すなわち自分が所有している事業主体が所有する他の事業主体の持分を間接的に所有しているかのように取り扱う規定、はみなし持分とダブルけど、みなし持分はもっと広範で、特定の家族メンバーの所有している持分がAttributeされてきたりする。中でもチョッと直感的に分かり難いのがDownward Attribution。法人に関しては、50%以上の株主が所有する持分は自分が「全て」所有しているかのように取り扱われる。例えば50%ピッタリ自社Xを所有する株主が他社Yの100%株式を所有している場合、自社Xは他社Yの100%をみなしで所有しているように取り扱われる。パートナーシップに至っては、どんなに少数の持分でもパートナーが所有している株式は全てパートナーシップがみなし所有していることになる。例えば、5%しかパートナーシップXの持分を所有していないパートナーがY社株式100%を所有している場合、パートナーシップXはY社の100%をみなしで所有しているように取り扱われる。遺産や信託に関しても同様に受益者からの広範なDownward Attributionが規定されている。また、みなしで所有していると取り扱われる持分は、一定の例外を除きそこからさらにAttributeされていくのでたちが悪い。

このDownward Attributionそのものは、今も昔もそのまま存在し続けてるんだけど、クロスボーダー課税の検討局面、すなわち外国法人がCFCなのか、とか米国人が外国法人の10%持分を所有する米国株主なのか、とかの判断時には、従来は、外国人が所有している持分を米国人がDownward Attributionを通じてみなし所有しているとは取り扱わない、というとても有益かつ常識的な例外規定が存在していた。Section 958(b)(4)だ。TCJAはインバンド企業のCFCに対するDe-Controlling、例えば米国子会社が所有する100%CFCの51%持分を日本の親会社に譲渡して、外国法人をCFCでなくしてしまうような取引、等を阻止するため、Downward Attribution例外規定をまるまる撤廃していしまい、結果としてDownward Attributionがクロスボーダー課税の全ての局面で取り込まれることになってしまった。Sub Fに加えてGILTIが導入されたり、Transition Taxが規定されたりしたので、その適用はDe-Controlling取引等を取り締まる目的を大きく逸脱してしまったのだ。それに気づいた議会は早速、Technical Correctionドラフトを公表したが、後の祭り。TCJAそのものは予算調整法を利用して共和党だけで可決できたけど、Technical Correctionは通常の法律通り、上院にて単なる多数決ではなく60票の賛成が必要なので、民主党の賛同が不可欠。コロナウィルス感染という共通の敵が現れるまで、弾劾裁判だの何だのと党派の戦いに忙しかったので、とても可決の見込みはたってなかった。

今回、コロナウィルス対策法第三弾の法案で、この部分のTechnical Correctionをチャッカリ取り込んでいるのは賢い。この修正はもちろんコロナウィルス対策とは関連はないに等しいけど、Technical Correctionのみでの可決は不可能に近い政局の中、可決Mustとなるコロナウィルス対策法案に盛り込めば、修正が法制化できるからだ。

で、具体的には「Downward Attribution例外復活」とかなり直接的なタイトルで規定される修正規定は、従来のSection 958(b)(4)をそのまま甦らせている。一語一句そのまま。なつかしい~。夢のようだ。そして、更にSection 951Bという条文を新設している。Section 951っていうのは元々Sub F合算を規定している条文で、Section 951Aはお馴染みGILTI。この「A」とか「B」って意味深に聞こえるかもしれないけど、実は特に大きな意味はなく、951に準じる規定なんだけど、952とか953が既に取られているので、無理やり951と952の間に押し込んでいるだけの話し。

Section 951Bは、基本Downward Attributionは適用しないけど、特定の取引でDownward Attribution例外が濫用されていると思われる局面に限定して、Downward Attributionを適用していると同様の効果をもたらす面白い規定になっているように見え、BradyのTechnical Correctionドラフトに規定されていたSection 951Bと同様に見える。Downward Attributionを適用したとして、外国法人の50%超の持分を所有することになる米国人を「Foreign Controlled United States Shareholder」と定義して、通常の規定、すなわちDownward Attributionは不適用、で判断したらCFCにはならないけど、Foreign Controlled United States Shareholderを米国株主として取り扱うとするとCFCになる外国法人を「Foreign CFC」と定義している。その上で、Foreign CFCやForeign Controlled United States ShareholderにはSub FやGILTIを適用するっていうことみたいなんだけど、従来通り、直接・間接の持分がなければテクニカルにはSub FやGILTIの対象となるケースでも、実際の合算は生じない。

ちなみにSection 958(b)(4)と並び、法文エラーでSection 168(k)即時償却の対象外となっていた適格内装資産への即時償却適用、およびTransition Taxの支払いにかかわる還付制限の緩和もTechnical Correctionとしてしっかり含まれている。どさくさに紛れて結構見せてくれるね。このまま可決するのかな。

Friday, March 20, 2020

4月15日申告書提出期限の7月15日延期を公式発表

昨日のポスティング「新型コロナウイルス対策法第二弾可決で米国は次の「ピラー3」突入」で申告書提出期限が4月15日ではなく7月15日に延期される説に触れた。IRSは支払いの遅延にかかわる金利やペナルティは免除するものの、申告書の提出期限は4月15日って昨日まで言ってたけど、さっきMnuchinが7月15日に延期する方針を公式発表した。詳細はこれからだけど、個人所得税の申告期限となる4月15日って12月決算法人税申告書の申告期限(もちろん通常はそこから延長するんだけど)でもあるので、こちらも対象となる可能性大?3月決算の法人に関しては不明だけど、もともと7月15日なので一応そのままかもね。取り急ぎBreaking Newsでした。

新型コロナウイルス米国対策法第二弾可決で次は100兆円規模の「ピラー3」

マンハッタンの街角からこれだけ人影が消えるとは・・。Midtownは殺伐としていて、JFKもTSA Preだろうが一般のレーンだろうが列なし。普段はうっとうしいな~としか思えなかったあのごった返した人混みが今となっていは懐かしい。唯一混んでるのはWhole Foodsの冷凍食品売り場くらい?あと、なぜかどこ行っても結構ミルクとかパスタとかが売り切れてるんだよね。パスタは日持ちするしクックするの簡単だし、失敗の可能性も低いから何となく分かるけど、ミルクね。不思議。子供たちがHome Schoolなのでシリアルでも食べまくるのかな。

で、一瞬にしてWork From Home(WFH)とHome Schoolの同時進行っていうのが米国のNew Normになり、そんな中、OECDもWFHらしい。パスカロ氏も「デジタル課税の議論をデジタルでやるのも中々乙なもの」とか言って、今ではコロナウィルスのホットスポットになってしまった欧州からBEPS 2.0の順調な進捗ぶりをアピール。Home OfficeとHome Schoolの同時進行状態の日常は全てインターネット頼みで、デジタルの恩典の大きさを再認識させられる。あんまりみんなでDSTとか言って締め付けてイノベーションが低下しないようにしないとね。

NYC見てても思うけど、ここまで事業活動を制限されては一気に大不況になるのは当然。このままだと近々に米国労働者の半数がレイオフまたは賃金カット、航空会社は全社5月までには倒産、とか信じられないシナリオが報道されてる。Amount A、B、CとALPに関して書いてる途中だったけど、昨日の夜、米国議会でコロナウィルス対策法の「第二弾」が可決したので、チョッと速報しておく。コロナウィルス対策としては、既に10日程前に医薬研究・開発、公共衛生機関支援、小規模事業支援などにフォーカスした第一弾の法案が可決され、数日前にはトランプ大統領が「国家非常事態」を宣言し、当宣言をもって、従業員が負担する一定の費用を雇用者が非課税で補填できる制度のコロナウィルス絡みの費用への適用がトリガーされている。第一弾前後の様子は「新型コロナウイルスの感染拡大で2008年のTARP再来?」を参照して欲しい。

で、今回の第二弾。正式には「The Families First Coronavirus Response Act」と言われる。和訳は何になるんだろうね。コロナウィルス対策家族保護法、とかだろうか。ここではコロナウィルス「対策法第二弾」としておく。トランプ政権は繰り返し「中国ウィルス」とか言ってるけど、さすがに法律の名称は「コロナウィルス」。

で、対策法第二弾の目玉は、一定要件を充たす雇用者に対してコロナウィルスにかかわる有給休暇制度を強制する一方、そのような有給休暇のコストを税額控除として認め、実質、連邦政府がコスト負担する仕組み。有給休暇は最初の2週間がコロナウィルスに感染したまたはテスト待ち、等の状況に規定される治療休暇で通常の給与の100%。または同期間、家族を含む他人の介護を行う場合には2/3支給。その後の10週間は、17歳以下の子女が休校等の理由で家で面倒をみないといけない目的に限り2/3の報酬で家族休暇。この家族休暇は17歳以下の扶養子女が家にいないといけない。ただ、全国的に学校は閉鎖されているので、対象となる年齢の子女がいれば大概において適格可能性がある。本当に家にいるかどうかどうやってチェックするんだろうか。孫とかおばあちゃん、おじいちゃんとか面倒を見ても適格ではないように見える。

例外とか多くてあんまり自信ないけど、最初の2週間の治療休暇は、従業員が50人未満のおよび500人以上の雇用者は免除、と読める。ということは、500人以上の大手企業は有給制度があるところがほとんどだろうけど、コロナウィルス治療目的で有給休暇を与えてもコストを税額控除が認められないのでコスト自前となる。これって逆に言えば、対策法第二弾に規定される治療休暇制度の適用は50人~500人の従業員を持つ雇用者ということになる。ちなみに米国のプライベートセクターの従業員ほぼ半数が500人以上の従業員を有する雇用者に雇用されているらしい。4分の1は50人未満の雇用者の元で勤務しているということだから、適用対象となる従業員は全体の4分の1ってこと?なんか中途半端な感じもあるけど、500人以上の企業を対象外としている点に関してNancy Pelosi曰く「税金で大手企業を援助するようなことはできない」って民主党っぽい理由をあげ、大統領府代表のMnuchin長官も「大手企業は元々この手の恩典は自ら提供しているはずで政府の援助は不必要」とのこと。まあ、Mnuchin長官が以前属していたGSやOneWest Bankはもちろん手厚いベネフィットがあったんだろうから、自らの経験に基づいて言ってるのかもね。

有給コストを税額控除を通じて連邦政府が負担するっていうのは上述の通りだけど、更に有給相当額の支給額は社会保障税(FICA)の雇用者マッチが免除される。税額控除で減額が認められる連邦税は、雇用者が四半期毎に納付するFICAの雇用者マッチ額。フリーランサーって今はもう言わず、最近で言うところのギグワーカーとかの自営業者がコロナウィルス関係で欠勤(?)する場合には、FICAと同じだけど雇用者相当分も自分で払う自営業税(SECA)に対して税額控除を計上することが認められる。自営業ね。どうやって欠勤してるって判断するんだろうか。自分一人で「今日は病欠しますね」って宣言して税額控除もらえるのかな。何となく不思議な規定。公務員にも同様の権利が認められるらしいけど、税額控除はなし。気の毒なことにヘルスケアとか救急対応関係の職種は対策法第二弾の有給休暇の対象ではないらしい。休まれては困るってことなのかもしれないけど、最前線でリスクも高いと思うけどね。

税額控除には上限があり、治療休暇で給与の100%を支給しているケースは1日511ドル。治療休暇だけど、2/3を支給しているケース、また子女介護の家族休暇は一日200ドルまで、ということらしい。法律結構難しいんでHRとかPayroll部とか結構大変そう。ADPとかのプログラムも至急アップデートしないといけないし、みんなWFHで対応できるのかな。これらの措置は2020年末で失効する。

対策法第二弾が可決したので、次は来週早々にも「第三弾」と言われている。OECDはピラー1と2だけど、米国コロナウィルス対策はピラー3が間近ってことだね。OECDもピラー3でFDIIとか全世界に展開してくれるとピラー2とバランスがとれるんだけどね。で、米国対策法ピラー3では、航空会社、ホテル、ボーイングその他悪影響が激しい業界の巨額のBailoutが盛り込まれると予想され、プライスタグは1Tドルと言われている。9/11の直後でもここまで飛行機空いてなかった。Bailoutはいいけど、自己株式のBuybackに使わないように、って民主党は釘をさしてるみたい。共和党的には別にBuybackでも悪くないじゃん、みたいな感覚はありそうだけど。トランプ政権が押している社会保障税減税は賛否両論。また、各納税者に$1,000~1,200の現金支給も検討されている。

1Tドルといえば、100円単純換算で100兆円。2008年のTARPは500Bドルだったからその倍。対策法第二弾の10倍のコスト。トランプ政権としては再選をかけて100兆円いれるんだろうけど、これだけ経済活動をシャットダウンしてしまったら100兆注入しても、200兆注入しても焼け石に水じゃないのかな。なりふり構わない感じだけど、みんなに$1,000配給するより、どうしたら一日も早くみんなが社会復帰できるか考えた方がいい。もう感染を封じ込めるのは無理そうだから、何か代替案を検討しないと「Shelter-in-Place」策の経済的なツケは余りに大きい気がする。今後、未来永劫、基本的な社会システムが変わったり、もう立ち直れないようなレベルのダメージにならないようにって願うけどね。でも政策を策定している当事者たちが、今後どうなるか分かってないのが露呈されているので有効な対策を打てるのかチョッと不安というか疑問。そもそも感染者の数も全然分からないだろうから、致死率のデータとかも実際通常のインフルエンザとどう違うのかも不明。

まあこんな事態は想定外ってことで不意打ちされたように見えるけど、実は連邦政府はコロナウィルス感染のような事態は何年もシミュレーションを繰り返していたそうだ。特に昨年実施された「Crimson Contagion」というコード名のシミュレーションは中国で呼吸器系の新型ウィルスが発生し、シカゴ経由で全米に瞬く間に広がるっていう、コロナウィルスそのものの展開を想定して練習していたそう。その際に多くの体制不備が浮き彫りになっていたにもかかわらず対応策が十分に論じられることはなかったらしい。今となっては後の祭り。

対応策ピラー3絡みで、米国税務面では、TCJAで導入されたばかりのNOLの80%使用制限を適用停止する案が有力らしい。随分と短命だったね。ちなみにNOLが発生する年は単年でマイナスだからBEATになり難いけど、2020年に大きなNOLを計上すると、翌期以降にBEATになり易いんで最悪。まさかTCJAの効果がこんな形で反映されるとは。第二弾が小規模事業主に重荷になるっていう認識もあるので、第三弾では小規模事業主対策の拡充も想定される。個人所得税申告、延長時の支払いを4月15日ではなく7月15日に延期する説もある。IRSは4月15日って今日言ってたけど、行政府のAgencyの言うことだから、議会が申告日変えたらもちろん従わざるを得ない。

ちなみに議員さんにも当然、コロナウィルスに感染の疑いがあったり、感染した人と接触したので自己検疫したりしてるケースが増えてきてるけど、現状の法律では議会の投票はDCで実際に行わないといけない。定数行かずにピラー3可決できないとかなったら面倒だし、命かけてDCに来るのも大変そうだし、これを機にOnline投票が認められるように法改正されるべきだよね。

Sunday, March 15, 2020

OECDピラー1のAmount A、B、CとALP (4)

コロナウィルスの感染拡大で、米国のプライベートセクターが迅速に対応し、米国全体がシャットダウン状態にある点は前々回触れたけど、2008年金融危機への対応でも実証されているように、米国企業は人員削減等のコスト抑制の動きも同様に迅速。雇用環境はつい数週間まで絶好調だったけど、今後、どの程度、米国企業が「Draconian」な対応に出て雇用が悪化するかは、コロナウィルスが米国の実体経済、果ては大統領選挙に与える影響度合いを大きく左右することになる。

う~ん、この10年ごとのサイクル、嫌な感じ。Michael LewisのThe Big Short同様に2008年の金融危機を題材にした「Margin Call」っていうドラマ(映画?)があるけど、その冒頭のシーンで大手投資銀行のリスク管理部長(?)のEric DaleがHRと社内弁護士に急に呼ばれて、退職パッケージの説明を受けて、プライベートセキュリティにエスコートアウトされるシーンがある。あれって米国の大手企業ではリアルな世界なんで、米国エグゼクティブの人員整理の実態を垣間見てみたい方は、覗いてみるといい。ただ、実際にはガラス張りのオフィスであれをやられることはないだろうから、そこは唯一ハリウッドっぽい演出だけどね。ただ、あのような形での通告、そして同時にセキュリティエスコートは常套。Margin Callでもそうだけど、強面のプライベートセキュリティが見守る中、家族の写真とかを箱にしまうシーンは当人だけでなく、その周りにいる従業員に与える精神的ショックも大きい。何年にも亘り、いつHRから電話があるんだろう、電話があったら何カ月Surviveできるかな、みたいなリスクと裏腹の関係にあるキャリア、特にProfessional Service Firmのような環境で結果を出さなくては、って緊迫した毎日でみんな頑張ってるんで、あんなシーンを見ると背筋がゾクッとする。

で、元々ゾクッとしてたけど、物事は相対的なので、今となっては平和な議論に見えてきたOECDのBEPS 2.0。その中でもピラー1、特にそこに規定されるAmount A、B、Cと既存の国際課税システムの基盤として長年君臨しているALPとの関係の検討アレコレを続ける。

前回はAmount Aの主に重複解消法に関して触れけど、これには2つの切り口がある。まずは単純にALPで既にどこかの国で課税所得として認識されている所得の一部が、Amount Aという名で再度課税されることになるので、重複を避けるため、Amount A相当額に関して、どこの国のどの主体に課税所得を献上させるか、という検討。もう1つは、市場国に配賦されるみなし超過利益のAmount Aが、ALPに基づき既に当市場国に課税権がある金額、超過利益の話しなので主にAmount Cに相当する所得、と重複してるかどうかという検討。前者はグループ全体で帳尻を合わせなくては、っていう話しで、後者はそのサブセットと言えるけど、フォーカスは個々の市場国にピラー1の意図通りに市場に報いるレベル相当額の所得が配賦されているか、すなわち、Amount AとCを介して重複してラッキーしていないか、という話し。これらの点に関して、現状のピラー1提案では、重複は必ず避けなくてはいけない、と強調されているものの、具体的な解消策には踏み込んでいない。この検討、特に前者の検討、は現状のALPベースの国際課税システム下で、全ての超過利益を一国、例えば親会社、が独占している場合には分かり易い。

例えば、ピラー1適用の売上条件等を充たす「X」グループという日本の多国籍企業が、単独のセグメントで構成される「消費者向けビジネス」に従事していて、連結グループベースで高い利益率を誇っているとする。Xグループの親会社は日本法人JPで、JPはグループにおけるR&Dの成果、その他のグループ知財の全てを所有し、結果としてALPベースではグループの超過利益全額をJPが独占して認識しているとする。JPは当然、日本で販売にも従事している。USSはJPの米国販売子会社で米国における販売・マーケティング活動に従事している。さらにUSSはカナダに物理的な存在は持ってないけど、カナダの消費者向けに販売・マーケティングを米国から行っているとする。

まず既存の国際課税システムに基づく課税関係を整理してみると、米国にはUSSという物理的な存在があることから、従来より米国には課税権があり、ALPベースで米国をTested Partyと位置付け、CPM検証に基づき、USSの機能・リスクに基づくルーティン販売・マーケティング活動リターン、を米国課税所得として認識することになる。ただし、近年、米国税務当局から米国にMarket Intangibleがあり、それに見合う超過利益の一部を米国で認識するべきではないか、という議論が燻っているとすると、この議論はALPベースでの話しなので、ピラー1導入とは一切関係なく検討していかないといけない。一方、カナダには物理的な存在がないので、GST等のVAT的な外形課税は別として、法人税の観点からはカナダはJPにもUSSにも課税権はない。

で、もしピラー1が大枠現時点で提案されている内容のまま合意・実践されると、日本、米国およびカナダが市場国となるので、各国においてXグループが「Significant and Sustained Engagement」があり、売上高その他のThreshold条件も充たすとすると、3か国に新課税権が認められ、Amount Aにアクセスできる市場国となる。ソーシング国となる日本は市場としての位置づけと同時に、それ以外の位置づけのDual Capacityとなり、他の機能やリスク、例えば、R&D、開発、製造、サービス等が存在する。

グループXの連結財務諸表の税引前利益に基づき、例えば売上の20%超の部分をみなし超過利益と認定する。さらに当超過利益の「Upper Portion」、例えばさらにその20%部分が、市場国に新たな課税権を認める超過利益、すなわちAmount Aとなる。

ちなみに20%っていう数字はあくまで僕が例示目的で使用しているだけで、もちろん未定なのでくれぐれも誤解がないように。特に税引前利益の何%を超過利益とみなすか、っていう部分の最初の20%は諸説あり、OECDインパクト試算では10%の例も設けられていたし、口頭の説明では10かもしれないし、20かもしれないし、30かもしれないし、何も決まってないという点が強調されていた。なぜか日本では当初から10%というのが既定路線のように語られることが多いけど、米国では元々は20%だろうという推測が大概だった。現時点では未だ決まっていないということだけ理解しておけば十分。

ただ、10%を使用する方が、当然、みなし超過利益が大きくなり、結果としてそのUpper Portionで構成されるAmount Aも増えるので、市場国に再配賦される金額が大きくなる。Amount Aはグローバルのトータルで見ると、重複が適切に解消される前提でゼロサムゲームだ。すなわち、トータルでは課税所得は1ドルも増えず、既にどこかで認識されている所得を市場国に配賦し直すだけ。でも、日本以外の多国籍企業の超過利益は、多くのケースで税率の高い親会社所在地ではなく、タックスヘイブンで認識されているはずなので、課税される場所が変わるだけ、すなわちトータルの課税所得はそのままだけど、グローバルで見ると当然、税収は増えると予想されている。OECDのインパクト試算でもそういう結果になっているけど、その際に、タックスヘイブンを「Investment Hub」っていうLegitimateっぽい感じの名称で呼んでくれているのは、玉石混交のInclusive Frameworkならではの配慮なんだろうか。「うちの国、タックスヘイブンで・・」って言われるとチョッと悪者っぽいけど、代わりに「うちの国、実はInvestment Hubで・・・」って言われると「なんか凄いね!」って感じになるもんね。ならない?

で、Amount Aの総額を確定すると、次に新課税権を認められる国間の相対的な売上比率等の「Allocation Key」で各国の新課税所得が算定される。上の例を続けると、日本、米国、カナダの相対的な売上比率で、各国にAmount Aが配賦される。米国はさらにUSSが行っているルーティン販売・マーケティング活動のリターンに当たるAmount Bも課税対象とすることができる。このAmount Bは基本的に現状の国際課税システム、ALPでUSSに配賦されているであろうルーティンリターンと同じコンセプトの金額だけど、ALPでUSSの機能・リスクを基に個別に検証していたリターンの代わりに、グローバルで合意される固定%を基に算定する。結果、現状CPM等で検証しているリターンとの比較でマイナーな差異が生じることが予想される。Amount BやCは新課税権を生み出す訳ではなく、カナダでは、引き続き、Amount BやCが課税所得となることはない。

さらに、もし米国がUSSはルーティン販売・マーケティング活動以上の機能・リスクを持ってたり、Market Intangibleを所有していると認定する場合にはAmount Cも課税対象とすることができる。概念的にはこの金額は今でも既にALPベースで課税対象とできる金額。なのでピラー1有無にかかわらず要注意なんだけど、Amount Cって位置づけになると、係争を最小限とするため、強制仲裁等の強固な係争防止・回避策を適用することが義務付けられるのだろう。日米だったら既に議定書で強制仲裁が規定されてるので、余り何も変わらないけどね。

で、米国やカナダに配賦されるAmount Aだけど、この例では、 JPがALPベースで全ての超過利益を認識しているっていう例示に便利な定型としているので、全額、日本のJPが献上することになる。コンセプト的には米国やカナダが、自国に配賦されるAmount Aに関して、JPを直接課税することになる。日本では、重複を避けるため、ALPベースで認識する課税所得から米国、カナダに再配賦される金額を「献上」するため、非課税処理を認める措置を取らされることとなる。日本に配賦されるAmount Aは自らの超過利益を献上することになるので相殺されてネットでプラスマイナスゼロとなる。

また、米国でAmount Cの認識があると、超過利益の全額をJPが認識という例示の前提が成り立たなくなる。その場合、Amount Aを献上させられるのは、JPだけでなくUSSもなのか、どのように献上額の負担比率を決めるのか、という問題に加え、米国に配賦されるAmount AとAmount Cにどの程度重複があるのか、というとても複雑な検討が必要となる。

この例では、潜在的な米国のAmount Cの議論を除くと、ALPベースの超過利益は日本一国が独占しているので、Amount Aの献上元が分かり易い。日本企業的にはあり得るパターンなのかもしれないけど、多くの多国籍企業のビジネスモデルはこんな定型例とは比較にならないほど複雑なので、Amount Aをどのように献上させるか、どこの市場国でAmount A以外の市場国としての超過利益、すなわちAmount Cと重複しているのか、を整理するのは最終的に多くの部分でフォーミュラを使用することになるとしても、実務は困難を極めるだろう。

また超過利益って言うのはリスクマネーのリターンだから、マイナスになることもある。その場合、Amount Cはマイナスになり得るのか。Amount Aは少なくともセグメントベースでマイナスになっていれば、存在しようがないけど、OECDはAmount Aの認定に繰越欠損金的な概念を導入する予定だと提唱しているので、実際のデザインは難しそう。

ちなみにJPの単体所得計算時には、移転価格やグループ内所得配賦に影響を受けない金額とか市場国とは関係のない金額も加味されている。例えば、単純に日本国内で第三者に販売している取引からの所得とか、金融取引関係の損益とか、Amount Bには関係のない製造やサービスにかかわるルーティン所得、を認識しているけど、これらはピラー1の導入により影響を受けることはないはず。すなわち、日本的にはALPベースで認識している超過利益のうち、どれだけがAmount Aとして米国やカナダに配賦されてしまうか、が主たるネットの影響となるはずだ。

日本が超過利益独占、市場国は3つっていうこんな単純な例でも、検討は山積みなので、実際に多国籍企業がピラー1を適用する際のコンプライアンス負荷の増大は凄まじいように見えるけど、ピラー1では負荷はない、またはあっても「Bare Minimum」、すなわち最低限とするシステムを模索するとしている。「Wonder if you can」だけど「No possession」をImagineするよりは可能かもね(笑)。次回はもう少し現実的な込み入ったケースに関して考えてみたい。

Saturday, March 14, 2020

OECDピラー1のAmount A、B、CとALP (3)

前々回とその前のポスティングで、OECDピラー1で提案されているAmount A、B、Cを解析してきたので、これらの所得が何なのかは大体お分かり頂けたでしょうか。

キーポイントをおさらいしておくと、Amount Aというのは多国籍企業「グループ」の連結財務諸表の税引前利益を基にフォーミュラを掛けて算定する所得となることから、従来の国際課税システムのALPと異なり、機能やリスクベースじゃないし、さらにグループベースの会計上の利益のUpper Portionを取り出すのでグループ内のどの主体に属するという紐付きの関係がない金額。さらにALPベースで既にどこかの国、主体で何らかの形で課税所得として認識されている金額。

Amount Bはルーティン販売・マーケッティング活動に対するリターンで、既存のPEやALPに基づく課税。今までのピュアなALPと異なるのは、個々の活動を基に適正なリターンを算定するのではなく、リターン%を世界中で前以て合意してしまうっていう点。係争防止のため簡素化されたALPだ。Amount Cは市場国における販売・マーケティング活動が、ルーティンの域を超える場合に市場国が認識する超過利益。この金額はその性格から、係争の種になることが分かり切っているので、従来の二国間の係争対応策を強化し強制仲裁を条件としたり、Amount Cにかかわる移転価格更正は一定期間内にのみ容認するような方向を模索中。ただし、強制仲裁の採択に関してはインド等、根強い反対国が存在するので今後の係争防止・解決策の行方は不明。

で、最初のポスティングでも強調したけど、Amount A、B、Cって命名してピラー1が議論しているのは「市場国が市場として課税権を持つことになる所得」だけの話。多国籍企業の全ての活動から生じる所得の話しではない。多国籍企業は、市場国が市場として課税権を持つ所得以外にもいろんなタイプの所得を認識する。例えばルーティン製造活動、ルーティン・サービス活動、従来から認識している市場とは関係ない立場で認識している超過利益、とか。これらの所得は今後もALPベースで各主体、各国に配賦される。

で、物理的な存在の有無にかかわらず市場国に課税権を認め、課税権を得た市場国にフォーミュラで機械的に超過利益を分け与える、というピラー1のフォーカスはAmount Aのみをもって実現される。Amount BやCは原則今までのALPのG線上のアリア、じゃなくて延長線上にある同じ考え方。ピラー1のややこしいところは、ALPでないAmount AとALPベースで配賦されるその他の所得を共存させていること。すなわち従来の国際課税システムのALPで既に100%課税所得がどこかの国で認識されている上に、別途Amount Aが算定される点だ。Amount Aは完全に重複する金額なので、そのままにしておく訳にはいかず、誰かにAmount A相当の課税所得を差し出させる、というか献上させないといけなくなる。ここのデザインは最重要かつ不確実性が高い検討となる。

Amount Aの重複解消法としては、従来の国際課税システム的に考えると、ALPで既に課税されることになる主体にFTCを認めるか、またはそれらの主体のALPベースの課税所得の一部を非課税にする方法が考えられる。Amount Aは多ければ100か国以上の市場国に分配されること、またAmount A総額を献上させられる主体、国も多くのケースで複数となること、を考えると、FTCの計算は複雑過ぎるようにみえる。なので、ここでは重複の解消は、ALPベースで既に超過利益を認識している主体(単数または複数)に総額でAmount Aとなる金額を何らかのフォーミュラで「献上」させる方法を想定しておく。その際、忘れてはならないのは、Amount Aは通常の所得と異なり、主体に紐付きでないし、グループ内の特定の取引相手に認識されている所得ではないので、通常の移転価格調整にかかわる対応的調整のようなメカニズムは適用不可能という点だ。

そこで、Amount Aを多国籍企業グループ内のどの主体、すなわち最終的にはどの国、に献上させるのが合理的か、また、多くのケースで複数の主体に献上させることになるだろうけど、その場合、どのように各主体に負担額を配賦するか、っていう検討が重要となる。Amount Aは概念的には超過利益のUpper Portionなので、グループ内主体のうち、ALPベースで超過利益を認識している主体にAmount Aを献上させることになるんだろうけど、そもそもどのように超過利益を特定するか、っていう検討も必要となる。

さらに、市場国だけに目を向けても、Amount BやCに加えて常にフォーミュラで算定されて分け与えられるAmount Aがプラスで所得になるとは限らない。Amount Bはルーティン販売・マーケッティング活動に対するリターンなので、AとBが重複するってことは考え難い、というかピラー1のデザイン的にあり得ないと言っていい。すなわちALPベースでAmount Bだけを認識している市場国のグループ内主体やPEがAmount Aの一部を献上するかたちで課税所得の一部を非課税とすることはないし、またAmount BがあるからAmount Aの分け前が少なくなることもない。

Amount Cはそんなに簡単ではない。Amount Cは市場国における販売・マーケティング活動が、ルーティンの域を超える場合に市場国が認識する超過利益だから、主体やPEとして物理的な存在がある市場国にAmount Aが配賦され、既にAmount CがALPベースで認識されている場合には、ピラー1内のAmount AとCが既に重複を生み出す可能性がある。Amount CがMarket Intangibleに基づく場合、そこで認識される超過利益が、Amount Aを構成するグループの超過利益の一部に既になっている可能性があると考えられるからだ。現時点でのピラー1デザインでは、Aが他の金額と重複すること、AとC間の重複も認められない、と宣言しているだけで、どのように重複を解消するかに関しては、今後の重要検討事項であるとするに留まっている。

さらにALPベースのAmount Cに関して、またはAmount C以外の超過利益、すなわち市場とは関係のない原因で認識されている超過利益、に関して後年に移転価格調整が入ると、その都度、Amount Aを献上・負担する計算の基となっていたALPベースの主体毎の金額が変動することになる。これらの問題にどう対応するのか、っていう頭の痛い検討も必要となる。まるでTCJA後のSection 905に基づくFTCのRedeterminationみたいな問題だ。なんとかしないと毎年Amount Aの再計算が求められるようなとんでもない結果となり兼ねないね。大変そう。

次回は重複解消法の具体的な参考例等に関してもう少し深掘りしてみたい。