Saturday, March 14, 2020

新型コロナウイルスの感染拡大で2008年のTARP再来?

ここ数回、OECDピラー1で提案されているAmount A、B、Cを解析してたんだけど、そんなオタクな話しをしている間も、コロナウイルスの感染拡大は激しく、その影響で株式市場はメルトダウンして、2008年のFinancial Crisisや1987年のブラックマンデーの再来のような最悪の雰囲気になってきた。ちょうど、木曜日にLower ManhattanのFinancial Districtに行く用事があったんだけど、Wall Streetの証券取引所の辺りはメインストリームメディア系のレポーターでごった返していた。DOWの乱高下を震源地からレポートっていう雰囲気を出すためなんだろうか。スタジオからでも十分に報道可能なニュースだと思うんだけど、チョッと不思議。

ピラー1のSafe Harbor化提案で有名なMnuchin財務長官がトランプ大統領のProxyとなり、下院議長のNancy Pelosiとコロナウイルス対策法第二弾の制定を調整中。木曜日と金曜日だけでもこの2人、20回以上の打ち合わせを持っていたと言われていて、Deal MakerとしてのMnuchin株が上がっている。元々、投資銀行の人でイデオロギー的に凝り固まってなく、フレキシブルなので、亀裂の激しい民主党多数の下院と大統領府の関係を調整するには打ってつけの存在。そんな調整の甲斐もあり、下院は抜本的対策法案を可決し、来週明けに上院審議となる。上院多数党院内総務、要は上院のトップ、を務めるMcConnellは法案指示を表明にしているので、週明け早々に両院通過、大統領署名に至るんだろう。可決すれば、10日前に既に法制化されている9千億円規模の第一弾に続く二つ目の救済策となる。

政府の対応が今ひとつスローでは?って感じられる一方、米国Privateセクターに目を向けると、自己管理能力の高さを実感させられる一週間だった。Social Distancingを標語に米国における生活全般が一瞬にしてTransformされた感じ。先週後半には、MLB、NHL、MLS、NCAAがNBAに続き全てのゲームの当面中止することを決定し、ディズニーランド、ブロードウェイ、コンサート、パレード、公園、動物園、博物館、等も全て閉鎖となった。Appleも全店Close。大学で既に始まっていた全ての授業・テストのオンライン対応は、小学校レベルにまで広がり、企業も原則「Work Form Home」がデフォルトになっている。同じWork Form HomeでもFifth Harmonyみたいに「I ain't worried 'bout nothin'」って感じではないけどね。これら一連のアクションは、多くのケースで政府とかに指示されて実行している訳ではなく、あくまで自主的に敢行しているもの。この期に及んで一見当たり前のことをしているだけかもしれないけど、経営者その他、リーダーシップのリスク感度の高さを物語っているように感じた。

後は景気を支えるクッションを政府が迅速に提供する必要がある。ということは2008年のTARPような措置の再来?2008年を思い出すと、税法的には、まずCFCの資金を米国に還流し易くするためSection 956制限の緩和措置が施された。Section 956はCFCが米国に貸付をしたり、ローン保証を差し入れたりすると、米国株主が合算課税させられる税法。Notice 2008-91、覚えてる?僕がちょうどEYに移籍した直後の話しだ。その後もクレジットマーケットが十分に機能しないケースに備えて、2009-10、2010-12、とシリーズでSection 956には緩和策が講じられていた。M&A後にターゲットが持ち込むNOLに関して、年間使用制限枠が設定されるSection 382に関しても、金融機関買収時には緩和が規定されていた。また、一般企業等のNOLの繰り戻しが急に2年から5年に延長されたり、それはそれで結構いろいろあった。今回も何らかの救済措置が規定されるんだろうけど、Section 956にしてもNOLにしてもTCJAでその姿が大きく変わっているから、別の切り口で攻めるしかないね。

そんな中、先週から早くもDaylight Savings(サマータイム)。11月1日の日曜日まで1時間時計が早まるんだけど、このDaylight Savings、僅か1時間の差異だから、シカゴからNYCにトラベルする際の軽い時差同様くらいにしか考えていなかった。Central TimeとNYC間の出張時の1時間くらいの時差だったら、体で感じるほどのインパクトはないんだけど、なぜかDaylight Savingsに突入した数日は例年、体が直ぐに新しい時間に馴染まない気がして不思議だった。そしたらWSJに、専門家が、場所を移動する際の時差は、太陽とか周りの環境が実際に変わるんで体が自動的に自分を調整する一方、周りはそのままなのに人間だけ勝手に1時間ズラすというDaylight Savingsは別次元のインパクトがあり、実は体に掛かる負担が重く、撤廃するか年間を通じてDaylight Savingsにするべき、という提案をしている記事が記載されていた。やっぱり・・・。

ってことで、チョッとコロナウィルスの話しを避けて通れないご時世なので、脇道に逸れたけど、次回からまたOECDピラー1のAmount A、B、CとALPに関して。