前回のポスティングでは4月26日のトランプ大統領・行政府による税法改正プラン初の公式発表のQ&Aの様子に関して書き始めた。会見が始まって13分強経過しているが、MnuchinもCohnも質問が細部に亘り始めたせいか、会見冒頭の低姿勢から一転し、徐々に本領発揮というか、面目躍如というか、本性が出てきたというか、語尾も強くなってくる。投資銀行で部下を叱責するのには慣れているに違いないCohnは人差指を下に指しながら「細かいことは今後詰めると言っているのが分からないのか」に近い感じで迫力十分。さすが6.3フィートの圧迫感。そう言えば全然関係ないけど、リアリティショーのアプレンティスに近いノリで急に「Fired‼」となった元FBI長官のComeyに至っては6.8フィート(207cm)だからワシントンの重鎮は結構ガタイがいい方が多い。トランプだって6フィートは超えてるし。
税率区分について質問した記者が「控除項目は住宅ローン金利と寄付金と言うことだが、州税および地方税の控除もなくなるんでしょうか?」と追加質問する。Cohnは「そうだ」と言って次に質問に移るが、税率区分の記者は「医療費は・・?」のような質問を未だしていた。回答はなかったけど、住宅ローン金利と寄付金のみと言っているのだから医療費の個別控除はなくなるんだろう。ただ、医療費は年収(正確にはAGI)の10%超の自己負担分のみが控除対象だから元々余り使い勝手がよくない。大病して保険が効かないとか、そもそも保険の対象でないLasikとかで大きな支出がある場合には利用していた納税者もいるのかな、位のどちらかと言うと目立たない控除項目。ちなみにWSJによると州税控除を取っている申告書の数は4,300万件、住宅ローン金利を取っているのは3,400万件という規模に対して、医療費控除は700万件だそうだ。
4月26日の会見当日には未だ下院のオバマケア廃案が通ってなかったけど、数日後に下院を通過した医療保険改革案には、実は医療費控除を取りやすくする規定が盛り込まれている。上述の10%超でないと取れないとされていた制限が5.8%超なら取れると緩和されている。トランプ大統領プランと整合性に欠けるが、この点に関しては下院と大統領府で調整中とのこと。
次の質問はオバマケアで導入された3.8%のNet Investment Income Taxの廃案に関して。このNTTIはキャピタルゲインとか配当の投資所得に追加で課せられるもの。「3.8%のNTTI廃止はオバマケア廃案の第一歩となるんでしょうか?それともビジネス目的ですか?」のような何とも言えない質問。どんどん迫力が増してくるCohnが「この税法改正は経済成長と雇用促進が目的だ。なのでビジネス目的に尽きる。3.8%の投資、キャピタルゲインに対する追加の税金は経済成長を促進する資本投資に対する足かせとなっているので撤廃する。全ては経済と雇用のためだ」と力強い。ちなみに4月26日の会見時にはまだオバマケア廃案が下院を通過していなかったが、その後の下院案で他のオバマケア増税と並んでこのNIITも廃止されている(上院は現時点で未通過)。
次はなかなかいい質問。「このプランに十分な歳入源は確保されているんでしょうか?すなわち財政均衡プランですか?また、今日発表されているプラン内容で絶対に譲れない点はありますか?例えば議会が法人税20%の税法改正を通したとして大統領は法律に署名されますか?」というもの。この質問にはMnuchinが登場。Cohn同様に投資銀行幹部の迫力が出てきている。「そうだね。何回でも言いが、議会とは原理原則100%合意している。つまりビジネスに対する税率を下げ、何兆ドルという資金を海外から米国に戻し(テリトリアル課税の部分)、雇用を創出し、個人所得税を簡素化、ミドルクラスに対する減税を行うという原則だ。これらの原理原則は譲れないし議会とも一枚岩の団結を誇っていると言える。」
注目の財源、財政均衡の部分は「さっきから言っている通り、詳細はこれからで、財務省だけでも100人以上のスタッフがスコアリングその他の分析に従事しているが、今回の税法改正プランは経済成長加速、コマゴマとした控除の撤廃、そして脱法的な行為を禁ずることで、十分に収支均衡する」そうだ。
このMnuchinの回答に会場は騒然となり、一気に指名されてもいない記者が複数独自に追加質問を始める。その中で幸運にも指名を受けた記者は「でも立法化の過程でスコアリングした結果、経済成長加速等では歳入が不十分と推計されたらどうするんですか?財政赤字を増額しますが、大統領はそれでも懸念を持たずに法案に署名するんでしょうか?」
Mnuchinは大分いらいらしてきているのを抑えながら「さっきから言っている通り(口癖?)、オバマ政権下で財政赤字は10兆ドルから20兆ドルに膨れ上がっている。これが大統領が何とかしないといけないと感じている諸悪の根源だ。今回のプランでは債務残高の対GDP比が下がり、経済成長が加速し、巨額、おそらく何兆ドル単位で歳入が増えるというものだ」と基本的に前の質問への回答と同様の線で押し通す。
引き続き会場は熱くなっているが、前列に陣取る記者の質問が多かったせいか、Mnuchinは「後ろの方の質問も受け付けましょう」みたいな感じで後列を指す。ただ、後ろに座っているからと言って質問が手ぬるい訳ではない。「Border Adjustment(The BlueprintのDBCFT下で消費地課税を実行するためのメカニズム)を導入しないとどう考えてもそんな低税率(ビジネスに対する15%を指している)は困難に思えますが・・」という至極最もなコメント。Mnuchinの回答はどんな質問にもほぼ同じになっている。「さっきから言っている通り、詳細はこれからで、今日は原理原則を述べているに過ぎない。今後議会と詳細を詰めて最終的には原理原則を大統領が署名できる法案に仕上げる。その過程で、ご質問の点を含む多数の詳細を詰め、経済成長に基づく税率低減を実現させる」とのこと。
その後、メディアでは、トランプ大統領プランにBorder Adjustmentが明記されていないことから、Border Adjustmentは検討されることはないという趣旨の報道もあるが、決してそうではなく、未だ何も決まっていないだけだと思う。今後の成り行き次第で、全く導入されないかもしれないし、部分的または段階的に導入されるかもしれないし不明だ。ただ、Border AdjustmentはDBCFTというしっかりした概念の税法の一部のメカニズムでしかないので、この部分だけにフォーカスして導入するのかどうかを議論しているのは不思議。Border AdjustmentおよびDBCFTが一般に全然理解されていない証しのように感じる。この点に関しては後のポスティングで詳細に触れたい。
と、Q&Aも白熱して形で最終局面に入る。ここからは次回。
Sunday, May 14, 2017
Tuesday, May 9, 2017
トランプ大統領税法改正プラン(5)
前回のポスティングでは4月26日のトランプ大統領・行政府による税法改正プラン初の公式発表を最後までカバーし、ここからは当日のQ&Aの様子。質問内容は専門性に欠けるものが多く税法の見地からは面白いものは少なかったけど、会見内容の確認、メインストリームメディアがどの程度内容をきちんと理解していてどのような点に興味を持っているのか、を図り知る上では興味深い。
最初の質問はもう既にCohnが話した内容そのものなので余り面白くないが、この受け答えを基に401(k)とかの適格退職金への税引前拠出が撤廃されるのでは、と大騒ぎになった。Cohnは明確に退職金関係の拠出は維持すると言っていたので、人の話しをよく聞いていない質問で時間を無駄にするばかりでなく、余計な混乱を招くパターンはいつの会見でも付き物だ。質問は「個人所得税の控除項目として何を残すのですか?」というもの。会見本体ではCohnの担当だった部分だが、Mnuchinが「住宅ローンの金利と慈善団体への寄付金を除いて撤廃する。これは全面的な税法改正だ」と回答している。MnuchinはおそらくSchedule AとかのBelow-the-Line的な所得控除を想定して回答しているものと推測され、Gross Incomeにそもそも入らない401(k)の従業員による拠出額とか、KeoghプランのようにAbove-the-Lineの控除は回答時に頭になかったんではないかと思う。
次も余り意味のないどちらかと言うと嫌がらせっぽい質問。「配当とかキャピタルゲインに対する減税に関して、ミドルクラスを救うというコメントと整合性がないように思いますが、裕福な一部の層の抜け道になるんではないでしょうか?」というもの。
Mnuchinは「ミドルクラスを救う」という部分に過剰反応したのか、こだわり過ぎたのか、チョッとムキになった感じで回答の最初の部分は質問とは関係ない部分でミドルクラス救済を訴えている。すなわち「何と言ったら分かって頂けるか分かりませんが・・」みたいなニュアンスで始まり、「ビジネスに対する15%は中小企業にもそのまま適用されますし、富裕層がこの仕組みを悪用してパススルー経由で低税率の恩典を享受できないよう対策も講じることにしている」と宣言した。で、さすが頭脳明晰の財務長官なので質問に回答していないことには直ぐに気付いたのだろうか、付け足すように「配当所得に適用するキャピタルゲイン税率を20%に戻すことは米国の投資環境を整えるために不可欠だ」とした。
次の質問は最前列に踏ん反り返る形で座っている記者から。「私もパススルーにかかわる同じような質問があります」と切り出した。何と同じよう(=Similar)なのか不明だったがまあいいとしよう。「大統領が選挙運動中に話していた内容では15%の低税率に適格となるビジネスにはフリーランサーとか契約社員も含まれると思っていましたが、それであってますか?テリトリアル制度に変更時の一時課税の税率は?そしてGary Cohn(Directorとかではなく呼び捨て)、既婚者に対する(税率が独身者2人の合算と比べて税金が不利となることがある)婚姻ペナルティーの問題は解決しますか?」と3つ相互関連性のない質問だ。
海外子会社の留保金の一時課税の税率は会見本体発表中気になっていたのでいい質問。トランプは選挙運動中10%と言っていたが、The Blueprintでは留保金が現金で所有されている場合には8.75%、他の資産として海外で再投資されているケースでは3.5%となっている。果たして10%という大統領プランは変わらないのか?この点は米国企業の下にCFC(海外子会社)を持つことが少ない(というか基本的に持つべきでない)日本企業と異なり、Inversionしない限り、全てのCFCを米国傘下に持たざるを得ない米国多国籍企業にとって最重要マターとなる。日本企業は国境調整に興味が集中しているように見えるけど、米国企業はテリトリアル制度への移行に大きな関心を持っており、特に経過措置の一括課税の対象となるCFCのE&P(=米国税法上の配当原資)をどう減額させるかとか、等、詳細なモデリングを基にプラニングを実施している。
多額の現預金を海外に埋蔵している米国企業が多いのでこの手のプラニングは最重要課題だろう。アップルに至ってはナンと2,500億ドル(円ではない)の現預金相当を持っており、9割が米国外にある。EYの監査クライアントなので公共情報のみを基に話しておくけど、2,500億ドルと言えば100円換算でも25兆円だ。WJSによるとこの金額は英国とカナダの外貨準備高の合計より、またWalmartのマーケットキャップより大きいというから凄まじい。この現金をどのように戦略的に使うべきかに関しては外野からいろんなコメントがあるけど、歴史的にアップルは余り大きなM&Aをしていない。Netflixを買収するべきという話しもあるし、いやテスラでしょう、という話しもある。ただ、これだけの現金があるとNetflixとテスラの双方を同時に買収してもまだお釣りがくるそうだ。その昔は破産の危機に瀕していたこともあるのにやっぱり元祖iPhoneをこの世に送り出してくれたSteve Jobsの才能は凄い!
で、Q&Aに戻るけど、質問に対してMnuchinは「経過措置の一時課税の税率だが、下院、上院と今後詳細を詰めてから最終化するべき問題だ。ただひとつ言えるのは極めて低い税率(通常の35%と比べてという意味のはず)となる。契約社員云々という細かい定義は今後の議会との調整を得て条文草案が出てくる時点で確認するべき問題だ」とした。婚姻ペナルティーの部分の回答に登場したと見られるCohnも続けて「Mnuchin財務長官の言う通り、現在詳細は下院と上院とこつこつと詰めている。質問は余りに細部にかかわるもので・・・」とまで言ったところで質問している側の記者が「とても重要なことだ」と口を挟む。Cohnも「確かに重要なのはそうだが、税率を下げ、税法をシンプルにし、フェアなシステムを構築するという基本的な原則を基に細部に亘る詳細は今後明らかになっていく」とした。
次の質問はCohnの個人所得税プラン発表のポスティングの際にチラッと触れたもの。すなわち「所得税率区分を10、25、35%にするという話しだが、累進税率区分のドル額を教えてもらいますか?」。これは当然Cohnの出番だが、「繰り返しになるが、下院、上院と方向性は合意されているものの、現在、膨大な資料、多方面からのインプットを基に詳細をこつこつと詰めているところだ。質問されているような細部にかかわるものは詳細明らかになり次第公表することになる。今日は原則部分を皆様にお伝えしているまでだ」みたいな回答だった。う~ん、税率はそのドルベースの区分が分からないと余り意味ないけどね。 Q&Aとは言え結構説明が長くなってきたので、続きは次回。
最初の質問はもう既にCohnが話した内容そのものなので余り面白くないが、この受け答えを基に401(k)とかの適格退職金への税引前拠出が撤廃されるのでは、と大騒ぎになった。Cohnは明確に退職金関係の拠出は維持すると言っていたので、人の話しをよく聞いていない質問で時間を無駄にするばかりでなく、余計な混乱を招くパターンはいつの会見でも付き物だ。質問は「個人所得税の控除項目として何を残すのですか?」というもの。会見本体ではCohnの担当だった部分だが、Mnuchinが「住宅ローンの金利と慈善団体への寄付金を除いて撤廃する。これは全面的な税法改正だ」と回答している。MnuchinはおそらくSchedule AとかのBelow-the-Line的な所得控除を想定して回答しているものと推測され、Gross Incomeにそもそも入らない401(k)の従業員による拠出額とか、KeoghプランのようにAbove-the-Lineの控除は回答時に頭になかったんではないかと思う。
次も余り意味のないどちらかと言うと嫌がらせっぽい質問。「配当とかキャピタルゲインに対する減税に関して、ミドルクラスを救うというコメントと整合性がないように思いますが、裕福な一部の層の抜け道になるんではないでしょうか?」というもの。
Mnuchinは「ミドルクラスを救う」という部分に過剰反応したのか、こだわり過ぎたのか、チョッとムキになった感じで回答の最初の部分は質問とは関係ない部分でミドルクラス救済を訴えている。すなわち「何と言ったら分かって頂けるか分かりませんが・・」みたいなニュアンスで始まり、「ビジネスに対する15%は中小企業にもそのまま適用されますし、富裕層がこの仕組みを悪用してパススルー経由で低税率の恩典を享受できないよう対策も講じることにしている」と宣言した。で、さすが頭脳明晰の財務長官なので質問に回答していないことには直ぐに気付いたのだろうか、付け足すように「配当所得に適用するキャピタルゲイン税率を20%に戻すことは米国の投資環境を整えるために不可欠だ」とした。
次の質問は最前列に踏ん反り返る形で座っている記者から。「私もパススルーにかかわる同じような質問があります」と切り出した。何と同じよう(=Similar)なのか不明だったがまあいいとしよう。「大統領が選挙運動中に話していた内容では15%の低税率に適格となるビジネスにはフリーランサーとか契約社員も含まれると思っていましたが、それであってますか?テリトリアル制度に変更時の一時課税の税率は?そしてGary Cohn(Directorとかではなく呼び捨て)、既婚者に対する(税率が独身者2人の合算と比べて税金が不利となることがある)婚姻ペナルティーの問題は解決しますか?」と3つ相互関連性のない質問だ。
海外子会社の留保金の一時課税の税率は会見本体発表中気になっていたのでいい質問。トランプは選挙運動中10%と言っていたが、The Blueprintでは留保金が現金で所有されている場合には8.75%、他の資産として海外で再投資されているケースでは3.5%となっている。果たして10%という大統領プランは変わらないのか?この点は米国企業の下にCFC(海外子会社)を持つことが少ない(というか基本的に持つべきでない)日本企業と異なり、Inversionしない限り、全てのCFCを米国傘下に持たざるを得ない米国多国籍企業にとって最重要マターとなる。日本企業は国境調整に興味が集中しているように見えるけど、米国企業はテリトリアル制度への移行に大きな関心を持っており、特に経過措置の一括課税の対象となるCFCのE&P(=米国税法上の配当原資)をどう減額させるかとか、等、詳細なモデリングを基にプラニングを実施している。
多額の現預金を海外に埋蔵している米国企業が多いのでこの手のプラニングは最重要課題だろう。アップルに至ってはナンと2,500億ドル(円ではない)の現預金相当を持っており、9割が米国外にある。EYの監査クライアントなので公共情報のみを基に話しておくけど、2,500億ドルと言えば100円換算でも25兆円だ。WJSによるとこの金額は英国とカナダの外貨準備高の合計より、またWalmartのマーケットキャップより大きいというから凄まじい。この現金をどのように戦略的に使うべきかに関しては外野からいろんなコメントがあるけど、歴史的にアップルは余り大きなM&Aをしていない。Netflixを買収するべきという話しもあるし、いやテスラでしょう、という話しもある。ただ、これだけの現金があるとNetflixとテスラの双方を同時に買収してもまだお釣りがくるそうだ。その昔は破産の危機に瀕していたこともあるのにやっぱり元祖iPhoneをこの世に送り出してくれたSteve Jobsの才能は凄い!
で、Q&Aに戻るけど、質問に対してMnuchinは「経過措置の一時課税の税率だが、下院、上院と今後詳細を詰めてから最終化するべき問題だ。ただひとつ言えるのは極めて低い税率(通常の35%と比べてという意味のはず)となる。契約社員云々という細かい定義は今後の議会との調整を得て条文草案が出てくる時点で確認するべき問題だ」とした。婚姻ペナルティーの部分の回答に登場したと見られるCohnも続けて「Mnuchin財務長官の言う通り、現在詳細は下院と上院とこつこつと詰めている。質問は余りに細部にかかわるもので・・・」とまで言ったところで質問している側の記者が「とても重要なことだ」と口を挟む。Cohnも「確かに重要なのはそうだが、税率を下げ、税法をシンプルにし、フェアなシステムを構築するという基本的な原則を基に細部に亘る詳細は今後明らかになっていく」とした。
次の質問はCohnの個人所得税プラン発表のポスティングの際にチラッと触れたもの。すなわち「所得税率区分を10、25、35%にするという話しだが、累進税率区分のドル額を教えてもらいますか?」。これは当然Cohnの出番だが、「繰り返しになるが、下院、上院と方向性は合意されているものの、現在、膨大な資料、多方面からのインプットを基に詳細をこつこつと詰めているところだ。質問されているような細部にかかわるものは詳細明らかになり次第公表することになる。今日は原則部分を皆様にお伝えしているまでだ」みたいな回答だった。う~ん、税率はそのドルベースの区分が分からないと余り意味ないけどね。 Q&Aとは言え結構説明が長くなってきたので、続きは次回。
Saturday, May 6, 2017
トランプ大統領税法改正プラン(4)
前回のポスティングでは4月26日のトランプ大統領・行政府による税法改正プラン初の公式発表の話しから少し逸れて(とは言っても大いに全体の流れとしては関連深い)、下院がオバマケア廃案そして代替案のAHCAを通したので、急遽、税法改正との関連に関して触れてみた。
今回は前々回からの続きに戻り、国家経済会議委員長Cohnが個人所得税減税プランを説明し終わり、ビジネスおよび法人税の発表のため財務長官Mnuchinが登場したところから再開したい。
Cohnに紹介され壇上に登場したMnuchinも「今回の税法改正プランの目的は米国ビジネスを世界で最も競争力が高いものにするために他なりません」とハイレベルなところから入る。そして「現状を見ると、法人税35%で未だに全世界課税と、世界で最も複雑な規則でかつ競争力に欠ける税率です。このような状況では多くの米国企業がオフショアに何兆ドルという資金をため込んで米国に還流させないのも驚きではありません」と海外子会社に眠る巨額の埋蔵金の存在に触れ、早速テリトリアル課税(海外子会社からの配当非課税制度)を匂わせる展開となる。
そして「トランプ大統領は、ビジネスに巨額の減税、そして驚くような税法の簡素化をプランしています。ビジネス課税は15%に低減し、テリトリアル課税に移行します。テリトリアル化への移行時には制度変更時点で溜まっている海外の剰余金に一括課税を実施し、それらの資金が米国で資本投資、雇用創出等、有効活用される環境を整えます」と早速話しの真髄に入った。20%ではなくやっぱり今でも選挙運動中に言ってた15%に固執するんだ・・?でもビジネス課税って何?法人税、それとも前夜にWSJがすっぱ抜いたようにパススルー課税のこと?テリトリアル課税への制度変更時の一括みなし配当課税は何%なんだろう?選挙運動中にトランプ候補が言っていた10%か、それともThe Blueprintの下院通り3.5%または8.75%なんだろうか?とかなり基本的な点に関して興味が沸く展開になっている。
でも、これらの肝心な詳細には余り触れない。代わりに「トランプ大統領は米国ビジネスのため経済成長パワーを解き放す断固とした決意を持って税法改正に臨んでおり、減税は大手法人ばかりでなく、中小企業にも同様に適用があるのでご安心を」みたいな話しとなっている。ここの部分の表現は分かり難かったが、要は法人税率を15%にするばかりでなく、多くの中小企業が事業形態として採択しているパススルー(LP、LLC等)やSchedule Cで報告する個人商店(Sole Proprietorship)にも15%を拡充するという意味のことのようだ。パススルーという用語を全く使用しないところが面白い。何か深い訳があるんだろうか?
で、法人税だのパススルー課税だのはただでさえ難解な分野なので、ここから若干掘り下げた内容になるのかと思いきや全然で、結局、税法改正に関してはこれだけで、その後は経済成長がどうのとかまたハイレベルな発表に戻ってしまった。Cohnが言っていたことを繰り返す形で「下院、上院とは毎週プロダクティブなミーティングを持っており、今後も話し合いを続け、2017年中のできるだけ早期に税法改正を実現させます」ということ。以前にMnuchinが触れていた8月の議会散会の前に法制化という話しはもちろん蜃気楼のように消えて無くなり、2017年中という実現可能な(それでもかなりアグレッシブな)期限設定を表明している。一応、未だ2017年中を目標にしていることが確認できただけでも収穫と考えないとね。
下院、上院との会議だけではなく「Listening Sessions」も持ち続けるとのこと。このListening Sessionsはどのように訳すと一番雰囲気が伝わるか分からないけど、各業界首脳との情報交換、ヒアリングの機会を引き続き設けていくということらしい。そしてMnuchinは表情一つ変えず「トランプ大統領の優れている点のひとつに人の話しにじっくり耳を傾けること」を挙げた。ワンマン社長だったのに本当(?)って思うところだけど、既に何百というビジネスリーダーと会い、インプットをもらっているという。確かに就任前からソフトバンクの孫さんにも会っていたし、いろんな人に会っているのは本当だ。製造業、小売業、航空、地銀、大手金融、多くの業種からインプットをもらっていて、今後もそれを続けるようだ。でも余りに各業界のフィードバックをいちいち真に受けていると、税法改正には勝者・敗者の双方が存在するだけに何も実行できなくなってしまうのでは、とチョッと心配になったけど、話しを物理的に聞くのとそれを受け入れるのは別の話しなのでトランプ大統領だったら大丈夫かもね。
そして最後にMnuchinは「大統領の目標は経済成長です」と繰り返した。「以前にも主張した通り、我々は米国で3%以上のGDP成長が持続可能だと信じています」と巨額減税の財源の多くを経済成長に頼る伏線とも取れる発言に至った。「経済成長戦略は巨額減税、税法改正、規制緩和、そして通商条約の見直し、から成ります」とし「これらの戦略で長らく抑圧されてきた経済成長に本領を発揮させることができるのです」と超ハイレベルな結論で発表を締めくくった。う~ん早い。Mnuchin登場から僅か2分20秒だ。米国法人税を2分で語ることができる大物は余りいないだろう。で、ここでCohnとMnuchinの2人は「A few questions」に答えると言う。早速プレスから多くの手が挙がる。Q&Aは結構面白いので次回はQ&A部分に触れてみたい。
今回は前々回からの続きに戻り、国家経済会議委員長Cohnが個人所得税減税プランを説明し終わり、ビジネスおよび法人税の発表のため財務長官Mnuchinが登場したところから再開したい。
Cohnに紹介され壇上に登場したMnuchinも「今回の税法改正プランの目的は米国ビジネスを世界で最も競争力が高いものにするために他なりません」とハイレベルなところから入る。そして「現状を見ると、法人税35%で未だに全世界課税と、世界で最も複雑な規則でかつ競争力に欠ける税率です。このような状況では多くの米国企業がオフショアに何兆ドルという資金をため込んで米国に還流させないのも驚きではありません」と海外子会社に眠る巨額の埋蔵金の存在に触れ、早速テリトリアル課税(海外子会社からの配当非課税制度)を匂わせる展開となる。
そして「トランプ大統領は、ビジネスに巨額の減税、そして驚くような税法の簡素化をプランしています。ビジネス課税は15%に低減し、テリトリアル課税に移行します。テリトリアル化への移行時には制度変更時点で溜まっている海外の剰余金に一括課税を実施し、それらの資金が米国で資本投資、雇用創出等、有効活用される環境を整えます」と早速話しの真髄に入った。20%ではなくやっぱり今でも選挙運動中に言ってた15%に固執するんだ・・?でもビジネス課税って何?法人税、それとも前夜にWSJがすっぱ抜いたようにパススルー課税のこと?テリトリアル課税への制度変更時の一括みなし配当課税は何%なんだろう?選挙運動中にトランプ候補が言っていた10%か、それともThe Blueprintの下院通り3.5%または8.75%なんだろうか?とかなり基本的な点に関して興味が沸く展開になっている。
でも、これらの肝心な詳細には余り触れない。代わりに「トランプ大統領は米国ビジネスのため経済成長パワーを解き放す断固とした決意を持って税法改正に臨んでおり、減税は大手法人ばかりでなく、中小企業にも同様に適用があるのでご安心を」みたいな話しとなっている。ここの部分の表現は分かり難かったが、要は法人税率を15%にするばかりでなく、多くの中小企業が事業形態として採択しているパススルー(LP、LLC等)やSchedule Cで報告する個人商店(Sole Proprietorship)にも15%を拡充するという意味のことのようだ。パススルーという用語を全く使用しないところが面白い。何か深い訳があるんだろうか?
で、法人税だのパススルー課税だのはただでさえ難解な分野なので、ここから若干掘り下げた内容になるのかと思いきや全然で、結局、税法改正に関してはこれだけで、その後は経済成長がどうのとかまたハイレベルな発表に戻ってしまった。Cohnが言っていたことを繰り返す形で「下院、上院とは毎週プロダクティブなミーティングを持っており、今後も話し合いを続け、2017年中のできるだけ早期に税法改正を実現させます」ということ。以前にMnuchinが触れていた8月の議会散会の前に法制化という話しはもちろん蜃気楼のように消えて無くなり、2017年中という実現可能な(それでもかなりアグレッシブな)期限設定を表明している。一応、未だ2017年中を目標にしていることが確認できただけでも収穫と考えないとね。
下院、上院との会議だけではなく「Listening Sessions」も持ち続けるとのこと。このListening Sessionsはどのように訳すと一番雰囲気が伝わるか分からないけど、各業界首脳との情報交換、ヒアリングの機会を引き続き設けていくということらしい。そしてMnuchinは表情一つ変えず「トランプ大統領の優れている点のひとつに人の話しにじっくり耳を傾けること」を挙げた。ワンマン社長だったのに本当(?)って思うところだけど、既に何百というビジネスリーダーと会い、インプットをもらっているという。確かに就任前からソフトバンクの孫さんにも会っていたし、いろんな人に会っているのは本当だ。製造業、小売業、航空、地銀、大手金融、多くの業種からインプットをもらっていて、今後もそれを続けるようだ。でも余りに各業界のフィードバックをいちいち真に受けていると、税法改正には勝者・敗者の双方が存在するだけに何も実行できなくなってしまうのでは、とチョッと心配になったけど、話しを物理的に聞くのとそれを受け入れるのは別の話しなのでトランプ大統領だったら大丈夫かもね。
そして最後にMnuchinは「大統領の目標は経済成長です」と繰り返した。「以前にも主張した通り、我々は米国で3%以上のGDP成長が持続可能だと信じています」と巨額減税の財源の多くを経済成長に頼る伏線とも取れる発言に至った。「経済成長戦略は巨額減税、税法改正、規制緩和、そして通商条約の見直し、から成ります」とし「これらの戦略で長らく抑圧されてきた経済成長に本領を発揮させることができるのです」と超ハイレベルな結論で発表を締めくくった。う~ん早い。Mnuchin登場から僅か2分20秒だ。米国法人税を2分で語ることができる大物は余りいないだろう。で、ここでCohnとMnuchinの2人は「A few questions」に答えると言う。早速プレスから多くの手が挙がる。Q&Aは結構面白いので次回はQ&A部分に触れてみたい。
トランプ大統領税法改正プラン(3) – オバマケア廃案下院通過の影響
前回のポスティングでは4月26日のトランプ大統領・行政府による税法改正プラン初の公式発表のうち、国家経済会議委員長Cohnが個人所得税減税プランを説明し終わり、トランプ大統領(aka Doctor Robert?)がどんな難題でも米国市民のために全力投球して乗り切ってくれると発表を締めくくった部分まで触れた。そして早くも会見終盤となるビジネスおよび法人税の発表のため財務長官Mnuchinが登場した。
このMnuchinの法人税部分の発表も前半のCohnの所得税に負けず劣らず素早く瞬時に終わってしまう。正味2分程度の発表だっただろうか。で、本来であればここでMnuchinの発表内容をカバーするところなんだけど、その前に昨日急に下院がオバマケア廃案そして代替案のAHCAを通したので、その税法改正との関連に関してチラッと触れておきたい。
ご存知の通り、オバマケア廃案はオバマケア誕生以来の共和党の政策の最重要課題であり、オバマ政権時代ですら何回も廃案の法律が通っている。もちろんそんな法律を通したところでオバマ大統領が自らのSignature法であるオバマケア廃案に署名するはずはなく、ことごとく拒否権を発動されて日の目を見なかったという経緯がある。また最高裁でその合憲性が争われ、5-4で際どく違憲判決を免れている。選挙期間中には1月20日の大統領就任と同時に廃案という勢いで議論されていたものの、その後単なる廃案ではなく、それに代わる共和党として受け入れ可能な法律に置き換えるという方向となり、それが一つの理由で調整が難航していた。一旦何らかの恩典、すなわちEntitlementが付与されるとそれを削るのがどれだけ大変か、ということを物語っている。
保守派でLibetarianに近い議員で構成されるFreedom Caucusと共和党としては中道寄りのTuesday Groupとの調整は困難を極め3月23日には一旦撤廃の投票取りやめに追い込まれている。委員会審議を通った法案の本会議での投票取りやめは異例であり、下院議長Paul Ryanにとっては不名誉な結果となっている。その後、2017年中の下院通過は困難と思われていただけに、あれから一月を要したとは言え、実際に廃案を通したのはかなりの偉業。特にトランプ大統領とPaul Ryan下院議長はかなりホッとしただろう。トランプ大統領府による議員説得は熾烈かつピンポイントだったと報道されている。
国民皆保険が当然の日本から見るとオバマケアの議論はなかなか分かり難いと思うけど、米国という国の成り立ち、Federalism(すなわち州が国家主権)等の理由で米国の建国趣旨に馴染まない点も多い。オバマケアはほぼ憲法違反に近い部分があったり、また歴史に残る増税、歳出増のプランでもありそれらの点でも問題が多い。また個人的な実体験からも従来からの医療保険の保険料が上がったり、免責が増えたり、従来から医療保険に入っている人にとっては被害も大きい。さらに事業主に多くの報告義務を強いたり、ビジネスに対する冷却効果も大きい。
米国では個人の「Free Will」を重んじ、大きな政府は信用できないと考える人も多く、医療保険などは連邦政府が口を出すようなマターではそもそもない、また巨大な連邦政府が効率よく保険制度を管理できる訳がないというタイプの拒絶反応も多い。今回下院を通過した代替案AHCAも方向としては、連邦から州政府、個人に選択権を戻すという立て付けになっている。
オバマケア廃案と代替案のAHCAの主たるフォーカスはもちろん医療保険制度だけど、税効果も結構凄まじい。オバマケアで導入された多くの増税規定の廃案で何と10年間で10兆ドルにおよぶ減税効果があると言うからこれだけでも立派な税法改正だ。逆に言えばオバマケアで10兆ドルの増税がされていたことになる。これは下院歳入委員会のThe Blueprintで提唱されているDBCFTでBorder Adjustmentをフルに導入して得られる税収に匹敵するので、オバマケアがどれだけ凄い法律だったか今更ながらに驚いてしまう。ちなみに0.9%のMedicare Surchargeが2023年まで無くならないのはガッカリだったけど。
前回のポスティングの個人所得税絡みの話しでNet Investment Income Tax(NIIT)と呼ばれるキャピタルゲインタックス3.8%を税法改正の枠で撤廃するとCohnが言っていたが、オバマケア廃案でそれをやってくれれば、税法改正では他の減税に原資を回せることとなる。これが、税法改正の前にまずオバマケア廃案を通したかったひとつの背景だ。10兆ドルの減税を税法改正の枠外で実行できれば税法改正そのものにより弾力的に臨むことが可能となる。
オバマケア廃案のプロセスを通じて、大統領府、共和党議会は、税法改正に対するアプローチを構築する上で多くのことを学んだだろう。学習能力は高いと言える。例えば、いきなり下院が詳細な法案を一方的に提案しても、Freedom CaucusとかTuesday Groupとかの反対に合い立法化が難しいというレッスンから、税法改正案は下院、上院、大統領府間である程度のコンセンサスを得るまでは条文案その他の詳細は一切公表しないと決め込んでいるように見える。そのスタンスが如実に表れているのが4月26日のトランプ大統領税法改正プランの公式発表プレスカンファレンスだ。徹底的に原理原則に議論を集中させ、詳細は一切明かしていない。これをもって意味のない会見とバッサリ切り捨てるメインストリームメディアも多いが、これは強かに学習効果が表れていると考えた方がいい。
また、オバマケア廃案の詳細で強いスタンスを取ったFreedom CaucusとかTuesday Groupは自らの一派の影響力の強さに味を占め、税法改正にも同様の影響力を行使できると期待しているだろう。実際に独自の税法改正案を提唱していくという話しもメディアで報道されている。これらの複数の影響力が複雑に絡み合うと、究極的に税法改正をどこまで歳入歳出ニュートラルにするのかという根本的な方向性等にも大きなインパクトを与え、調整がより困難になるだろう。
AHCAは下院を通過した後、上院での審議に入るが、上院でどれだけ時間を掛けてどのような議論になるのか、またそれで税法改正のタイミングがどう影響を受けるかも興味深い。上院にも、租税条約批准ブロッカーのRandy Paulとか一家言持っていて譲らない先生もおり、下院同様に調整には時間が掛かる可能性もある。
という訳で電光石火のオバマケア廃案下院可決があったので脱線してしまったけど、次回はMnuchin担当のビジネス、法人税減税にかかわるプレスカンファレンスの内容に戻る。
このMnuchinの法人税部分の発表も前半のCohnの所得税に負けず劣らず素早く瞬時に終わってしまう。正味2分程度の発表だっただろうか。で、本来であればここでMnuchinの発表内容をカバーするところなんだけど、その前に昨日急に下院がオバマケア廃案そして代替案のAHCAを通したので、その税法改正との関連に関してチラッと触れておきたい。
ご存知の通り、オバマケア廃案はオバマケア誕生以来の共和党の政策の最重要課題であり、オバマ政権時代ですら何回も廃案の法律が通っている。もちろんそんな法律を通したところでオバマ大統領が自らのSignature法であるオバマケア廃案に署名するはずはなく、ことごとく拒否権を発動されて日の目を見なかったという経緯がある。また最高裁でその合憲性が争われ、5-4で際どく違憲判決を免れている。選挙期間中には1月20日の大統領就任と同時に廃案という勢いで議論されていたものの、その後単なる廃案ではなく、それに代わる共和党として受け入れ可能な法律に置き換えるという方向となり、それが一つの理由で調整が難航していた。一旦何らかの恩典、すなわちEntitlementが付与されるとそれを削るのがどれだけ大変か、ということを物語っている。
保守派でLibetarianに近い議員で構成されるFreedom Caucusと共和党としては中道寄りのTuesday Groupとの調整は困難を極め3月23日には一旦撤廃の投票取りやめに追い込まれている。委員会審議を通った法案の本会議での投票取りやめは異例であり、下院議長Paul Ryanにとっては不名誉な結果となっている。その後、2017年中の下院通過は困難と思われていただけに、あれから一月を要したとは言え、実際に廃案を通したのはかなりの偉業。特にトランプ大統領とPaul Ryan下院議長はかなりホッとしただろう。トランプ大統領府による議員説得は熾烈かつピンポイントだったと報道されている。
国民皆保険が当然の日本から見るとオバマケアの議論はなかなか分かり難いと思うけど、米国という国の成り立ち、Federalism(すなわち州が国家主権)等の理由で米国の建国趣旨に馴染まない点も多い。オバマケアはほぼ憲法違反に近い部分があったり、また歴史に残る増税、歳出増のプランでもありそれらの点でも問題が多い。また個人的な実体験からも従来からの医療保険の保険料が上がったり、免責が増えたり、従来から医療保険に入っている人にとっては被害も大きい。さらに事業主に多くの報告義務を強いたり、ビジネスに対する冷却効果も大きい。
米国では個人の「Free Will」を重んじ、大きな政府は信用できないと考える人も多く、医療保険などは連邦政府が口を出すようなマターではそもそもない、また巨大な連邦政府が効率よく保険制度を管理できる訳がないというタイプの拒絶反応も多い。今回下院を通過した代替案AHCAも方向としては、連邦から州政府、個人に選択権を戻すという立て付けになっている。
オバマケア廃案と代替案のAHCAの主たるフォーカスはもちろん医療保険制度だけど、税効果も結構凄まじい。オバマケアで導入された多くの増税規定の廃案で何と10年間で10兆ドルにおよぶ減税効果があると言うからこれだけでも立派な税法改正だ。逆に言えばオバマケアで10兆ドルの増税がされていたことになる。これは下院歳入委員会のThe Blueprintで提唱されているDBCFTでBorder Adjustmentをフルに導入して得られる税収に匹敵するので、オバマケアがどれだけ凄い法律だったか今更ながらに驚いてしまう。ちなみに0.9%のMedicare Surchargeが2023年まで無くならないのはガッカリだったけど。
前回のポスティングの個人所得税絡みの話しでNet Investment Income Tax(NIIT)と呼ばれるキャピタルゲインタックス3.8%を税法改正の枠で撤廃するとCohnが言っていたが、オバマケア廃案でそれをやってくれれば、税法改正では他の減税に原資を回せることとなる。これが、税法改正の前にまずオバマケア廃案を通したかったひとつの背景だ。10兆ドルの減税を税法改正の枠外で実行できれば税法改正そのものにより弾力的に臨むことが可能となる。
オバマケア廃案のプロセスを通じて、大統領府、共和党議会は、税法改正に対するアプローチを構築する上で多くのことを学んだだろう。学習能力は高いと言える。例えば、いきなり下院が詳細な法案を一方的に提案しても、Freedom CaucusとかTuesday Groupとかの反対に合い立法化が難しいというレッスンから、税法改正案は下院、上院、大統領府間である程度のコンセンサスを得るまでは条文案その他の詳細は一切公表しないと決め込んでいるように見える。そのスタンスが如実に表れているのが4月26日のトランプ大統領税法改正プランの公式発表プレスカンファレンスだ。徹底的に原理原則に議論を集中させ、詳細は一切明かしていない。これをもって意味のない会見とバッサリ切り捨てるメインストリームメディアも多いが、これは強かに学習効果が表れていると考えた方がいい。
また、オバマケア廃案の詳細で強いスタンスを取ったFreedom CaucusとかTuesday Groupは自らの一派の影響力の強さに味を占め、税法改正にも同様の影響力を行使できると期待しているだろう。実際に独自の税法改正案を提唱していくという話しもメディアで報道されている。これらの複数の影響力が複雑に絡み合うと、究極的に税法改正をどこまで歳入歳出ニュートラルにするのかという根本的な方向性等にも大きなインパクトを与え、調整がより困難になるだろう。
AHCAは下院を通過した後、上院での審議に入るが、上院でどれだけ時間を掛けてどのような議論になるのか、またそれで税法改正のタイミングがどう影響を受けるかも興味深い。上院にも、租税条約批准ブロッカーのRandy Paulとか一家言持っていて譲らない先生もおり、下院同様に調整には時間が掛かる可能性もある。
という訳で電光石火のオバマケア廃案下院可決があったので脱線してしまったけど、次回はMnuchin担当のビジネス、法人税減税にかかわるプレスカンファレンスの内容に戻る。
Tuesday, May 2, 2017
トランプ大統領税法改正プラン(2)
前回のポスティングでは4月26日のトランプ大統領・行政府による税法改正プラン初の公式発表のうち、Spicerによる面白い遺跡保存法のジョークから国家経済会議委員長Cohnがプラン大枠の原則を説明し、個人所得税減税プランに入るところまでカバーした。ちなみにこの国家経済会議はNational Economic Council(「NEC」、電機メーカーではない)のことで、大統領府が経済政策を検討する主たる場となっており、1993年にクリントン大統領により正式に設置されている。
Cohnが個人所得税の話しに移るこのタイミングまで、Spicerの遺跡保存法のジョークから僅か4分チョット。さすがに原則のみカバーということで結構なスピードで話しが進んでいる。
ここでもまず歴史のおさらいというか、基本的な統計から入っている。さかのぼること1935年、所得税申告書は1ページ、34行で構成されており、記入要領の説明書は僅か2ページだったそうだ。それが現在では申告書の最初の2ページだけで79行、記入要領はナンと211ページ(会計事務所のスタッフ以外で読む人居るのかな?)、そして申告書をサポートする別表も199様式と膨れ上がっている。納税者が申告書作成に必要とする時間は年間のべ70億時間!で90%の納税者が外部のサービス業者に作成を依頼している状況だ。10%の納税者は自分で作成しているんだね。偉い。ちなみにこれは会社の法人税の話しではなく、米国では雇用者年末調整とか存在しないので、所得が一定以上あるものは老若男女問わず一人一枚(夫婦のみ合算申告可能)全員が申告する所得税の話しなので複雑さがどれだけ常軌を逸しているか分かる。
そこで大統領プランではまず、現在39.5%まで7つ存在する税率区分を10%、25%、35%の3つに簡素化する。アレ~、最高税率区分は33%じゃないの?って一瞬愕然とせざるを得なかったけど、まあブッシュ減税当時に戻ると思えば、オバマ政権下の大増税時代よりは少しはマシってことだろうか。しかし、ここで大きなキャッチがある。税率区分というのは何ドルから何ドルまでが25%とか分からないと%そのものだけ聞いても余り意味がないんだけど、その肝心の部分が未定なようで、後のQ&Aでその点を突っ込まれた際に「そのような詳細はここで発表する原理原則の域を超えており、今後の議会との調整で決める」とのこと。詳細という程の詳細でもないように思うけど。
更に「基礎控除(Standard Deduction)」、すなわち個別控除をしないでも必ず取れる(NRとかDual Status納税者は除いて)所得控除を2倍にするとCohnは披露した。既婚者で現状約$12Kの基礎控除が$24Kになるそうだ。これは最初の$24Kはゼロ%の税率ということだから大きな減税効果を持つ。これをもってしても民主党議員は今回の減税は富裕層にのみ恩典があると言い張っているのは不思議。また基礎控除が大きくなると個別控除を取る納税者が減るので、面倒なSchedule Aとかを記入する必要が少なくなり、申告手続きの簡素化に繋がる。すなわち、1935年にタイムトリップして1ページの申告書にGet Back。また、トランプ大統領がイバンカから提言されて盛り込まれたとも言われる子女託児費用、扶養家族介護費用に対する控除の充実というどちらかと言うと民主党っぽいノリの低中所得者対策も盛り込むとしている。また、実質2通りの課税所得を算定しないと計算できない代替ミニマム税(AMT)も申告をいたずらに複雑にしているとして撤廃される。「税法はひとつで充分」ということだ。
投資関係の減税として、Capital Gainおよび適格配当に関してはシンプルに20%に戻すとしている。トランプ政権の最優先課題の雇用促進と経済成長にとって資本投資は不可欠だが、資本投資に冷却効果となっていたオバマケア増税3.8%の上乗せさを撤廃するという。Cohnは3.8%のオバマケア増税は「小規模事業主」に重荷であったと、今回のテーマである小中規模ビジネスへの配慮をしっかり強調している。
遺産税も撤廃となる。ここの部分は歳入への影響は最小限だが、控除が約$5Mあるだけに、ネット資産が$5Mの比較的裕福な納税者だけの問題ということで、民主党はむしろ遺産税は拡充したいところ。一方の共和党は党是として許せない税金のひとつで、下院、上院、大統領府と各論に関して一枚岩ではない中、遺産税の撤廃は異論のないところだろう。Cohnは地道に築いたファミリービジネスを子供が遺産税のために泣く泣く売らないといけないような状況は嘆かわしい、とまたしても小中規模ビジネスへの配慮をスピンしている。
富裕層に一矢というか、課税ベースの拡張の一環で、所得税算定時の諸々の控除は基本撤廃するとしている。例外として、持家促進のための住宅ローン支払利息、退職金制度、慈善団体への寄付、の3つのみは温存される。ここで不思議なのは、その後のQ&Aで住宅ローン利息と寄付のことしか回答しなかったせいか、せっかくCohnが退職金制度に言及しているのに、401(k)が撤廃になるのではないかとか翌日の新聞やTVの解説で大騒ぎになっていた点だ。適格退職金制度が全廃されることはないだろう。制度の変更、例えば、Roth IRAと呼ばれる拠出は税引後だけどその後のプラン資産価値の増加に課税されない制度があるが、税引前控除の従来からの401(k)に代わりRothに一本化される「Rothification」(新しい造語!)になるとか、はあり得るかもしれない。ただ、それは前々から話しがあった点で、後半のQ&Aで住宅ローン利息と寄付金のみが言及されていたのは個別控除っていう文脈での話しと考えるべきだと個人的には思っている。ここでもCohnは撤廃対象となる控除は富裕層に主たる恩典があったものだとして、低中所得者に対する配慮のスピンを忘れていない。でもこれはスピンというよりは実際にその通りと言えるだろう。
ここでもう一つ大騒ぎになったのが州税の控除が認められなくなる点。この大騒ぎを予知してか、Cohnは「このようなこと(=控除の撤廃)を実行するのは容易なことではありません。何か大胆なことをしようとすると、保守派からもリベラルからも執拗に攻撃されるのが常です。しかし、ひとつだけ言えることは、トランプ大統領は米国市民のためには厳しいことでも必ず成し遂げてくれるということです。」とトランプ大統領がまるで手品師か、はたまたDoctor Robertかのような描写で美しく前半を締めくくり、財務長官Mnuchinにバドンタッチとなった。Mnuchinがビジネス、法人税セクションをカバーした後、2人がQ&Aに応じるとのこと。ここまでトータル僅か8分弱。で、ここからは次回。
Cohnが個人所得税の話しに移るこのタイミングまで、Spicerの遺跡保存法のジョークから僅か4分チョット。さすがに原則のみカバーということで結構なスピードで話しが進んでいる。
ここでもまず歴史のおさらいというか、基本的な統計から入っている。さかのぼること1935年、所得税申告書は1ページ、34行で構成されており、記入要領の説明書は僅か2ページだったそうだ。それが現在では申告書の最初の2ページだけで79行、記入要領はナンと211ページ(会計事務所のスタッフ以外で読む人居るのかな?)、そして申告書をサポートする別表も199様式と膨れ上がっている。納税者が申告書作成に必要とする時間は年間のべ70億時間!で90%の納税者が外部のサービス業者に作成を依頼している状況だ。10%の納税者は自分で作成しているんだね。偉い。ちなみにこれは会社の法人税の話しではなく、米国では雇用者年末調整とか存在しないので、所得が一定以上あるものは老若男女問わず一人一枚(夫婦のみ合算申告可能)全員が申告する所得税の話しなので複雑さがどれだけ常軌を逸しているか分かる。
そこで大統領プランではまず、現在39.5%まで7つ存在する税率区分を10%、25%、35%の3つに簡素化する。アレ~、最高税率区分は33%じゃないの?って一瞬愕然とせざるを得なかったけど、まあブッシュ減税当時に戻ると思えば、オバマ政権下の大増税時代よりは少しはマシってことだろうか。しかし、ここで大きなキャッチがある。税率区分というのは何ドルから何ドルまでが25%とか分からないと%そのものだけ聞いても余り意味がないんだけど、その肝心の部分が未定なようで、後のQ&Aでその点を突っ込まれた際に「そのような詳細はここで発表する原理原則の域を超えており、今後の議会との調整で決める」とのこと。詳細という程の詳細でもないように思うけど。
更に「基礎控除(Standard Deduction)」、すなわち個別控除をしないでも必ず取れる(NRとかDual Status納税者は除いて)所得控除を2倍にするとCohnは披露した。既婚者で現状約$12Kの基礎控除が$24Kになるそうだ。これは最初の$24Kはゼロ%の税率ということだから大きな減税効果を持つ。これをもってしても民主党議員は今回の減税は富裕層にのみ恩典があると言い張っているのは不思議。また基礎控除が大きくなると個別控除を取る納税者が減るので、面倒なSchedule Aとかを記入する必要が少なくなり、申告手続きの簡素化に繋がる。すなわち、1935年にタイムトリップして1ページの申告書にGet Back。また、トランプ大統領がイバンカから提言されて盛り込まれたとも言われる子女託児費用、扶養家族介護費用に対する控除の充実というどちらかと言うと民主党っぽいノリの低中所得者対策も盛り込むとしている。また、実質2通りの課税所得を算定しないと計算できない代替ミニマム税(AMT)も申告をいたずらに複雑にしているとして撤廃される。「税法はひとつで充分」ということだ。
投資関係の減税として、Capital Gainおよび適格配当に関してはシンプルに20%に戻すとしている。トランプ政権の最優先課題の雇用促進と経済成長にとって資本投資は不可欠だが、資本投資に冷却効果となっていたオバマケア増税3.8%の上乗せさを撤廃するという。Cohnは3.8%のオバマケア増税は「小規模事業主」に重荷であったと、今回のテーマである小中規模ビジネスへの配慮をしっかり強調している。
遺産税も撤廃となる。ここの部分は歳入への影響は最小限だが、控除が約$5Mあるだけに、ネット資産が$5Mの比較的裕福な納税者だけの問題ということで、民主党はむしろ遺産税は拡充したいところ。一方の共和党は党是として許せない税金のひとつで、下院、上院、大統領府と各論に関して一枚岩ではない中、遺産税の撤廃は異論のないところだろう。Cohnは地道に築いたファミリービジネスを子供が遺産税のために泣く泣く売らないといけないような状況は嘆かわしい、とまたしても小中規模ビジネスへの配慮をスピンしている。
富裕層に一矢というか、課税ベースの拡張の一環で、所得税算定時の諸々の控除は基本撤廃するとしている。例外として、持家促進のための住宅ローン支払利息、退職金制度、慈善団体への寄付、の3つのみは温存される。ここで不思議なのは、その後のQ&Aで住宅ローン利息と寄付のことしか回答しなかったせいか、せっかくCohnが退職金制度に言及しているのに、401(k)が撤廃になるのではないかとか翌日の新聞やTVの解説で大騒ぎになっていた点だ。適格退職金制度が全廃されることはないだろう。制度の変更、例えば、Roth IRAと呼ばれる拠出は税引後だけどその後のプラン資産価値の増加に課税されない制度があるが、税引前控除の従来からの401(k)に代わりRothに一本化される「Rothification」(新しい造語!)になるとか、はあり得るかもしれない。ただ、それは前々から話しがあった点で、後半のQ&Aで住宅ローン利息と寄付金のみが言及されていたのは個別控除っていう文脈での話しと考えるべきだと個人的には思っている。ここでもCohnは撤廃対象となる控除は富裕層に主たる恩典があったものだとして、低中所得者に対する配慮のスピンを忘れていない。でもこれはスピンというよりは実際にその通りと言えるだろう。
ここでもう一つ大騒ぎになったのが州税の控除が認められなくなる点。この大騒ぎを予知してか、Cohnは「このようなこと(=控除の撤廃)を実行するのは容易なことではありません。何か大胆なことをしようとすると、保守派からもリベラルからも執拗に攻撃されるのが常です。しかし、ひとつだけ言えることは、トランプ大統領は米国市民のためには厳しいことでも必ず成し遂げてくれるということです。」とトランプ大統領がまるで手品師か、はたまたDoctor Robertかのような描写で美しく前半を締めくくり、財務長官Mnuchinにバドンタッチとなった。Mnuchinがビジネス、法人税セクションをカバーした後、2人がQ&Aに応じるとのこと。ここまでトータル僅か8分弱。で、ここからは次回。
Sunday, April 30, 2017
トランプ大統領税法改正プラン
前回のポスティングでは新政権誕生から4月26日のトランプ大統領・行政府による税法改正プラン初の公式発表までの経緯が「Hot n Cold」そのものだった点を簡単におさらいした。
4月26日のプレスカンファレンスは、発表するすると言って全然出てこなかった大統領側の税法改正に対する指針がようやく満を持して登場するはずだっただけに注目度はかなり高かった。そんな期待が高まる中、東海岸Day-Light Saving時間午後1時38分、会見はほぼ時間通りに始まった。
「「遺跡保存法(Antiquities Act)」の話しにこんなに沢山のプレスが集まるなんてチョッと意外ですね・・」というホワイトハウス報道官Spicerのジョークの後、「今日はもちろん、雇用を創出する法人そしてミドルクラスの双方に税負担の軽減を実現するため大統領の努力の結晶であるプランを披露するための会見に他なりません」という感じで本題に入った。最初の遺跡保存法のところのジョークは面白かったけど(特にSpicerが言うと)個人的にその心は完全には分からなかった。遺跡保存法という単なる地味なイメージの法律を持ち出して沢山の人が集まっている状況を冗談にしただけなのか、税法を遺跡保存法と同じほど古くて固いイメージで表現しようとしたのか・・。つまり現状の税法は今では過去の遺物、すなわちAntiquitiesというところまで意図してのジョークだったのか。後者だったら中々鋭い。
そして国家経済会議委員長Cohnがプラン全体の背景および個人所得税を、財務長官Mnuchinがビジネスおよび法人税を説明すると紹介された。会場参加者にはレターサイズ1枚の簡単なサマリーが配布されている。この配布サマリーの内容は後述するが、アウトラインだとしても余りに簡素なものだ。この「極端な簡素さおよび詳細の欠如」が今回の公表の大きな特徴のひとつと言えるだろう。
紹介に応じてCohnが登場するが、さすが6.3フィート(192㎝!)だけあってデカい。ちなみに後ろに仁王立ちしているMnuchinも負けてない。彼も6.1フィート(186㎝)だから2人とも大きい。僕らと同じ普通の身長のSpicer(7.3フィートで173㎝)が子供のように見える。CohnもMnuchinも2人とも著名なバンカーだけど、Cohnは普通にNYCに住んでいる一方で、MnuchinはBel Air(ロサンゼルスのUCLAの裏の高級住宅地)が主たる居住地だそうだ。もちろんNYCのMidtown辺りにペントハウスの一つ位は軽く持ってるんだろうけど。
そしてCohnは「今日は歴史に残るエキサイティングな一日で、この日が来るのを長い間心待ちにしていました」と始めた。生き馬の目を抜く米国投資銀行で幹部に上り詰め、時に怖かったと評されるイメージとは異なり、国民のための公僕っぽい雰囲気すら漂わせる語り口だ。2月前半から長い間発表を待っていたので、この日を心待ちにしていた点は確かに誰にも異論はないだろう。共和党主導の議会と共に「一世代に一度あるかないか」の画期的な税法改正を実行するチャンスとのこと。チャンスがあったのにオバマケアを廃案にできなかったのはどう説明するのか分からないけど、税法改正は米国民にとって喜ばしい話しなので民主党も一緒に賛成してくれることを願っているという。極左派の影響でトランプとか共和党の法案には内容にかかわらず大反対せざるを得ない民主党を口説くのは至難の業だろう。というかそんなことはCohnも百も承知なので、なんでも反対の野党民主党の大人げなさをハイライトするために敢えて言及しているように思えた。
Cohnは今回の税法改正プランの目的を「雇用創出」「経済成長」「低中所得者層の救済」の3つと位置づけている。この3つは会見を通じて何回も協調されるテーマだった。3つとも全て素晴らしいテーマだと思うけど、 特に小中小企業主、ミドルクラスを救うというミッションは会見中しつこく繰り返された。共和党案が富裕層向けという攻撃をかわすために乱発されている観はあるけど、富裕層が一番多額の税金を支払っているケースが多いのだからドルベースでは富裕層の減税が大きくなるのは当然なはず。ここ8年でトップマージンレートの上昇はオバマケアタックスを加味すると8~9%だから、その際にどれだけの追加負担を強いたかを理解せずに、減税の時だけ富裕層に手厚いと言って攻撃するのは筋違いな感じ。でもそのような攻撃は必ずあるので、そのための伏線として何回もミドルクラスに言及があった。
で、Cohn曰く前日の夜まで下院、上院とすり合わせをし、素晴らしいリーダー間で「Principle(原理原則?)」に合意することができているそうだ。会見を通じてこの「Principle」とか更に「Core principle」という用語が多用された。つまり原理原則は発表できるが、裏を返せば詳細は何も決まっていないということだろう。下院と上院とも要は原理原則は合意しているが、詳細、例えばBorder Adjustmentをどうするか、とか肝心の具体案はまだ合意を見ていないということのようだ。それを裏付けるように、これから数週間「Closeに下院、上院と議論を重ねて行く」とのこと。なんだ未だ重ねてなかったんだ・・という気がしないでもないけど、まあ「Never too late」かな。でも本当のところはCloseに議論を重ねたけど合意に達していないという方が正確な気がする。
また税法が複雑過ぎて誰も自分の申告書すら自分で用意できない状況に国民は不満をもっており、制度簡素化により簡単に自分で申告書が作成できるような状況に戻すという目標も明示した。これもその通りで、僕も米国タックスの専門だけど、毎年10月15日(延長するので・・)が近づくと自分の申告書を作成するのがとても難しく苦痛だ。専門でなければとてもできるものではないだろう。
税法改正の必要性をサポートするための歴史の勉強も登場した。1960年前半にケネディー大統領が減税を実施した頃の所得税最高税率は90%で、租税回避紛いの行為が蔓延していた。1980年台にレーガン大統領が所得税最高税率を28%にまで下げたが、その後また39.5%に戻ってしまい相変わらず節税対策に多くの時間が費やされている。法人税は1988年の34%から大きく変わっていないが、その間に世界の他国は大きく法人税率を下げ、テリトリアル課税(外国子会社からの配当非課税制度)に移管したにもかかわらず、米国のみ1988年の状態で2017年を迎えているという遅れぶりを指摘している。要は概して思い切った税法改正の気が熟しているということだ。
このようなフレームワークの中で、次にCohnは個人所得税の減税プランの解説に入る。ここからは次回。
4月26日のプレスカンファレンスは、発表するすると言って全然出てこなかった大統領側の税法改正に対する指針がようやく満を持して登場するはずだっただけに注目度はかなり高かった。そんな期待が高まる中、東海岸Day-Light Saving時間午後1時38分、会見はほぼ時間通りに始まった。
「「遺跡保存法(Antiquities Act)」の話しにこんなに沢山のプレスが集まるなんてチョッと意外ですね・・」というホワイトハウス報道官Spicerのジョークの後、「今日はもちろん、雇用を創出する法人そしてミドルクラスの双方に税負担の軽減を実現するため大統領の努力の結晶であるプランを披露するための会見に他なりません」という感じで本題に入った。最初の遺跡保存法のところのジョークは面白かったけど(特にSpicerが言うと)個人的にその心は完全には分からなかった。遺跡保存法という単なる地味なイメージの法律を持ち出して沢山の人が集まっている状況を冗談にしただけなのか、税法を遺跡保存法と同じほど古くて固いイメージで表現しようとしたのか・・。つまり現状の税法は今では過去の遺物、すなわちAntiquitiesというところまで意図してのジョークだったのか。後者だったら中々鋭い。
そして国家経済会議委員長Cohnがプラン全体の背景および個人所得税を、財務長官Mnuchinがビジネスおよび法人税を説明すると紹介された。会場参加者にはレターサイズ1枚の簡単なサマリーが配布されている。この配布サマリーの内容は後述するが、アウトラインだとしても余りに簡素なものだ。この「極端な簡素さおよび詳細の欠如」が今回の公表の大きな特徴のひとつと言えるだろう。
紹介に応じてCohnが登場するが、さすが6.3フィート(192㎝!)だけあってデカい。ちなみに後ろに仁王立ちしているMnuchinも負けてない。彼も6.1フィート(186㎝)だから2人とも大きい。僕らと同じ普通の身長のSpicer(7.3フィートで173㎝)が子供のように見える。CohnもMnuchinも2人とも著名なバンカーだけど、Cohnは普通にNYCに住んでいる一方で、MnuchinはBel Air(ロサンゼルスのUCLAの裏の高級住宅地)が主たる居住地だそうだ。もちろんNYCのMidtown辺りにペントハウスの一つ位は軽く持ってるんだろうけど。
そしてCohnは「今日は歴史に残るエキサイティングな一日で、この日が来るのを長い間心待ちにしていました」と始めた。生き馬の目を抜く米国投資銀行で幹部に上り詰め、時に怖かったと評されるイメージとは異なり、国民のための公僕っぽい雰囲気すら漂わせる語り口だ。2月前半から長い間発表を待っていたので、この日を心待ちにしていた点は確かに誰にも異論はないだろう。共和党主導の議会と共に「一世代に一度あるかないか」の画期的な税法改正を実行するチャンスとのこと。チャンスがあったのにオバマケアを廃案にできなかったのはどう説明するのか分からないけど、税法改正は米国民にとって喜ばしい話しなので民主党も一緒に賛成してくれることを願っているという。極左派の影響でトランプとか共和党の法案には内容にかかわらず大反対せざるを得ない民主党を口説くのは至難の業だろう。というかそんなことはCohnも百も承知なので、なんでも反対の野党民主党の大人げなさをハイライトするために敢えて言及しているように思えた。
Cohnは今回の税法改正プランの目的を「雇用創出」「経済成長」「低中所得者層の救済」の3つと位置づけている。この3つは会見を通じて何回も協調されるテーマだった。3つとも全て素晴らしいテーマだと思うけど、 特に小中小企業主、ミドルクラスを救うというミッションは会見中しつこく繰り返された。共和党案が富裕層向けという攻撃をかわすために乱発されている観はあるけど、富裕層が一番多額の税金を支払っているケースが多いのだからドルベースでは富裕層の減税が大きくなるのは当然なはず。ここ8年でトップマージンレートの上昇はオバマケアタックスを加味すると8~9%だから、その際にどれだけの追加負担を強いたかを理解せずに、減税の時だけ富裕層に手厚いと言って攻撃するのは筋違いな感じ。でもそのような攻撃は必ずあるので、そのための伏線として何回もミドルクラスに言及があった。
で、Cohn曰く前日の夜まで下院、上院とすり合わせをし、素晴らしいリーダー間で「Principle(原理原則?)」に合意することができているそうだ。会見を通じてこの「Principle」とか更に「Core principle」という用語が多用された。つまり原理原則は発表できるが、裏を返せば詳細は何も決まっていないということだろう。下院と上院とも要は原理原則は合意しているが、詳細、例えばBorder Adjustmentをどうするか、とか肝心の具体案はまだ合意を見ていないということのようだ。それを裏付けるように、これから数週間「Closeに下院、上院と議論を重ねて行く」とのこと。なんだ未だ重ねてなかったんだ・・という気がしないでもないけど、まあ「Never too late」かな。でも本当のところはCloseに議論を重ねたけど合意に達していないという方が正確な気がする。
また税法が複雑過ぎて誰も自分の申告書すら自分で用意できない状況に国民は不満をもっており、制度簡素化により簡単に自分で申告書が作成できるような状況に戻すという目標も明示した。これもその通りで、僕も米国タックスの専門だけど、毎年10月15日(延長するので・・)が近づくと自分の申告書を作成するのがとても難しく苦痛だ。専門でなければとてもできるものではないだろう。
税法改正の必要性をサポートするための歴史の勉強も登場した。1960年前半にケネディー大統領が減税を実施した頃の所得税最高税率は90%で、租税回避紛いの行為が蔓延していた。1980年台にレーガン大統領が所得税最高税率を28%にまで下げたが、その後また39.5%に戻ってしまい相変わらず節税対策に多くの時間が費やされている。法人税は1988年の34%から大きく変わっていないが、その間に世界の他国は大きく法人税率を下げ、テリトリアル課税(外国子会社からの配当非課税制度)に移管したにもかかわらず、米国のみ1988年の状態で2017年を迎えているという遅れぶりを指摘している。要は概して思い切った税法改正の気が熟しているということだ。
このようなフレームワークの中で、次にCohnは個人所得税の減税プランの解説に入る。ここからは次回。
Saturday, April 29, 2017
米国税法改正とKaty Perry(ブログ開始10年!)
2017年4月でブログを書き始めてナンと10年という歳月が経ちました。いつ書くことがなくなってしまうだろう、と思ってたけど、米国税法はいろんな話題を際限なく次々に提供してくれる頼もしい世界なので、書けば書くほど、もっと書かなければいけないことが増えるという、その昔、渋谷の福ちゃんラーメンで替え玉5個(10個だっけ?)を平らげると代金タダになるということでチャレンジした時の後半の苦闘に似た状況。分からない方ように解説すると、ラーメンも替え玉3つめ以降になると、食べるスピードが落ち、食べても食べても麺が伸びる速度に追いつけず、食べると逆にどんどん量が増えていくように錯覚する現象のことだ(誰も分かんないよね、こんな現象)。途中長期ブレークがあったりしたけど、皆様のサポートがなければ当然こんなに長く続けることはできず、各方面からのサポートには深謝しています。
さて、今年前半のポスティングで、トランプ政権の誕生に伴い30年ぶりの立法が現実的になったかのように見えた米国税法の抜本的改正の方向性、特に改正のスタートポイントとなるはずの下院歳入委員会のThe Blueprintに関してかなり深く触れた。
その後、政権誕生後は矢継ぎ早にTPP脱退を実行したり、入国禁止関係の大統領令を出したり、出だしは勢い良い感じだったけど、リベラル寄りの判事に大統領令のInjunctionを食らったり(未だにどうして州が原告になれるのか、Standingすなわち当事者適格の観点から不思議)、オバマケア廃案にも少なくとも第一弾は内部調整に失敗したり、失速感は否めない感じだろう。その後、最高裁判所判事の空席にScaliaの身上である憲法原意主義と同様の法的アプローチで知られるGorsuch任命に成功したり、シリアへのミサイル攻撃でそれなりの評価はあったとは言え、Big Itemではインパクトに欠ける。
オバマケア廃案失敗のドタバタで共和党も一枚岩にはほど遠い状態を露呈して以来、税法改正もなかなか方向性が定まらない状態が続いている。有権者の中には(自分?)、もう抜本的な改正とかいいから、さっさと個人所得税の税率下げて、パススルー課税を低減し、オバマケア導入時にどさくさに紛れて増税となったMedicareのSurchargeとか、3.8%のNIITとか、それらの悪法を廃案にする位まで持っていってくれて、若干小さい政府になれば上出来、と期待レベルをアジャストしている状況ではないだろうか。
それにしても税法改正もあるのか、ないのか、オバマケア廃案とどっちを優先するのか、Border Adjustmentに大統領は賛成なのか反対なのか、上院は何を考えているのか、毎日のように方向性が変わる3カ月だっと言える。こんな状況を見ていてると、いつも一つの曲が頭の中でプレーバックされる。Katy Perryの「Hot n Cold」だ。歌詞を知っている方は直ぐにわかるだろうけど、もし知らなければ聞いてみるか読んでみて欲しい。米国議会と大統領を頭に思い描きながら。
そんな混沌とした状況にある米国税法改正だけど、プレーヤーは大きく分けて下院、上院、そして行政府の3つだ。行政府は当然さらに大統領、財務省、国家経済委員会、等複数のプレーヤーから成る。法律を通すのはもちろん下院と上院から成る議会。行政はあくまでも議会に対するインプットと、後、大統領には法律にサインしないという拒否権(Veto)がある。ちなみにこのVeto、法案パッケージそのもの全体に対してのみ行使することが許されているので、部分的に気に入らない条文とかが入っていてもその部分だけVetoする、いわゆる「Line Item Veto」は連邦法には認められないと1998年に最高裁判所が判断している。三権分立の観点からそうあるべきだろう。したがって、大枠方向性が合っていれば共和党が通した法律をトランプがVetoすることは考えらえないだろう。
下院は2016年に歳入委員会が既にThe Blueprintを公表しているので、Head Startというか一番方向性がはっきりしいている。上院はIntegrationとか何となく場当たり的なアイディアは出しているものの、結局は様子見という感じ。そこでレーガン以来のリーダーシップを発揮して全体を力強く取りまとめて欲しいのが行政府、特に大統領自身なんだけど、実はかなり狼少年。2月9日には「2~3週間のタイミングで「Phenomenal」な税法改正の発表をする」と言ったきり、何もなく2~3週間は過ぎてしまったし、その後の2月末には両院を前にしたジョイントセッションで再び「近々に「Massive」な減税を伴う「Historic」な税法改正を公表する」とぶち上げていた。その後、3月にも何の発表もなく、「Phenomenal」「Massive」「Historic」と言った大袈裟な形容詞はどこに行ってしまったんだろう、と狐につままれたような日々が続いていた。
そんな中、ようやく4月後半になり、4月26日に大統領府による税法改正案が公表されると発表され、3カ月寝かして議論を重ねた訳なので、いよいよ満を持して登場か、と期待はイヤでも盛り上がらざるを得ない状況となった。もちろん、トランプ大統領や行政府が何を発表してもそれがそのまま法律になる訳ではないので最終的な姿は全く不明だが、少なくとも行政府としてどのように考えているのか、に関しては興味のあるところだ。
そして4月26日東海岸時間午後1時半、例によって見ているだけで笑える感じの報道官のSpicer先生が、アシスタントがレターサイズたった(?)1枚の(日本で言うところのA4サイズみないなもの)Brief Paperをペラペラ配る中、財務長官Mnuchinと国家経済会議委員長のCohnを伴って現れた。あれ?トランプ本人は来ないんだとチョッと期待外れだったけど、まあ財務長官が居れば内容説明には充分かな、と思って会見のスタートを見守った。
さて、3カ月間熟考したその内容はいかに?この点は次のポスティングで。
さて、今年前半のポスティングで、トランプ政権の誕生に伴い30年ぶりの立法が現実的になったかのように見えた米国税法の抜本的改正の方向性、特に改正のスタートポイントとなるはずの下院歳入委員会のThe Blueprintに関してかなり深く触れた。
その後、政権誕生後は矢継ぎ早にTPP脱退を実行したり、入国禁止関係の大統領令を出したり、出だしは勢い良い感じだったけど、リベラル寄りの判事に大統領令のInjunctionを食らったり(未だにどうして州が原告になれるのか、Standingすなわち当事者適格の観点から不思議)、オバマケア廃案にも少なくとも第一弾は内部調整に失敗したり、失速感は否めない感じだろう。その後、最高裁判所判事の空席にScaliaの身上である憲法原意主義と同様の法的アプローチで知られるGorsuch任命に成功したり、シリアへのミサイル攻撃でそれなりの評価はあったとは言え、Big Itemではインパクトに欠ける。
オバマケア廃案失敗のドタバタで共和党も一枚岩にはほど遠い状態を露呈して以来、税法改正もなかなか方向性が定まらない状態が続いている。有権者の中には(自分?)、もう抜本的な改正とかいいから、さっさと個人所得税の税率下げて、パススルー課税を低減し、オバマケア導入時にどさくさに紛れて増税となったMedicareのSurchargeとか、3.8%のNIITとか、それらの悪法を廃案にする位まで持っていってくれて、若干小さい政府になれば上出来、と期待レベルをアジャストしている状況ではないだろうか。
それにしても税法改正もあるのか、ないのか、オバマケア廃案とどっちを優先するのか、Border Adjustmentに大統領は賛成なのか反対なのか、上院は何を考えているのか、毎日のように方向性が変わる3カ月だっと言える。こんな状況を見ていてると、いつも一つの曲が頭の中でプレーバックされる。Katy Perryの「Hot n Cold」だ。歌詞を知っている方は直ぐにわかるだろうけど、もし知らなければ聞いてみるか読んでみて欲しい。米国議会と大統領を頭に思い描きながら。
そんな混沌とした状況にある米国税法改正だけど、プレーヤーは大きく分けて下院、上院、そして行政府の3つだ。行政府は当然さらに大統領、財務省、国家経済委員会、等複数のプレーヤーから成る。法律を通すのはもちろん下院と上院から成る議会。行政はあくまでも議会に対するインプットと、後、大統領には法律にサインしないという拒否権(Veto)がある。ちなみにこのVeto、法案パッケージそのもの全体に対してのみ行使することが許されているので、部分的に気に入らない条文とかが入っていてもその部分だけVetoする、いわゆる「Line Item Veto」は連邦法には認められないと1998年に最高裁判所が判断している。三権分立の観点からそうあるべきだろう。したがって、大枠方向性が合っていれば共和党が通した法律をトランプがVetoすることは考えらえないだろう。
下院は2016年に歳入委員会が既にThe Blueprintを公表しているので、Head Startというか一番方向性がはっきりしいている。上院はIntegrationとか何となく場当たり的なアイディアは出しているものの、結局は様子見という感じ。そこでレーガン以来のリーダーシップを発揮して全体を力強く取りまとめて欲しいのが行政府、特に大統領自身なんだけど、実はかなり狼少年。2月9日には「2~3週間のタイミングで「Phenomenal」な税法改正の発表をする」と言ったきり、何もなく2~3週間は過ぎてしまったし、その後の2月末には両院を前にしたジョイントセッションで再び「近々に「Massive」な減税を伴う「Historic」な税法改正を公表する」とぶち上げていた。その後、3月にも何の発表もなく、「Phenomenal」「Massive」「Historic」と言った大袈裟な形容詞はどこに行ってしまったんだろう、と狐につままれたような日々が続いていた。
そんな中、ようやく4月後半になり、4月26日に大統領府による税法改正案が公表されると発表され、3カ月寝かして議論を重ねた訳なので、いよいよ満を持して登場か、と期待はイヤでも盛り上がらざるを得ない状況となった。もちろん、トランプ大統領や行政府が何を発表してもそれがそのまま法律になる訳ではないので最終的な姿は全く不明だが、少なくとも行政府としてどのように考えているのか、に関しては興味のあるところだ。
そして4月26日東海岸時間午後1時半、例によって見ているだけで笑える感じの報道官のSpicer先生が、アシスタントがレターサイズたった(?)1枚の(日本で言うところのA4サイズみないなもの)Brief Paperをペラペラ配る中、財務長官Mnuchinと国家経済会議委員長のCohnを伴って現れた。あれ?トランプ本人は来ないんだとチョッと期待外れだったけど、まあ財務長官が居れば内容説明には充分かな、と思って会見のスタートを見守った。
さて、3カ月間熟考したその内容はいかに?この点は次のポスティングで。
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