Sunday, May 19, 2024

FIRPTAアップデート(QFPF規則最終化)

前回のポスティングではつい先日最終化されたFIRPTA関係の規則のうちREITがDC REITかどうかを判断する際の米国法人株主の取り扱いに触れた。規則では同じくDC REIT判断時のQFPFの取り扱いも一部最終化してるんで今回はQFPFの取り扱いに関してチラッと触れておきたい。

規則案のQFPF関係の規定に関しては「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (9))」および「(10)」で特集してるけど、そのうちDC REITの判断目的でQFPFはどこの国の人?っていう部分が最終化されている。一方、QFPFであると同時にsection 892の恩典を得ることができる外国政府に適格となる主体が、USRPHCになってもCCEにならないっていう有難い規則案は別途最終化するらしい。このルールの方がより早く最終化されるよう願ってるんだけどね。

QFPFの国籍

以前のポスティングで触れた通り、PATH Actを修正した2018年のTechnical Corrections Actにより、QFPFはFIRPTA規定目的(for purposes of section 897)では外国法人にも米国非居住者個人(NRA)にも当たらないって規定された。これは行政府が策定する財務省規則ではなくIRCの「条文」だ。IRCは憲法上のSubreme Lawのひとつ。ということは問答無用にFIRPTA目的ではQFPFは米国人扱いなんだよねって言うのが自然の解釈。すなわち米国内税法の定義的には米国人と外国人って互いに排他的な関係にあるんで、外国人じゃなかったら米国人、外国人だったら米国人じゃないし、両方ってことはないはず。

で、FIRPTA目的全体でQFPFは外国人ではないって条文を文字通りそのまま解釈すると、QFPFのREIT持分は米国人が所有しているって取り扱う以外の余地はないように見える。QFPFはもちろん実際にはDomestic Corporationじゃないんで限定Look-throughルールの適用もないだろうし。となるとDC REIT適格判定時には納税者有利な結果となる。

ところが規則案ではこの点に関してDC REIT判断目的ではQFPFは外国人と取り扱うと規定していた。すなわちREITがDC REITになり難くなるってことだ。ポリシー的に驚きはなかったんだけど、問題は条文にはそうは書いてない、って点で無理やり感が払拭し難かった。まあこじ付けられないこともないのかな~っていう理由は以前のポスティングを参照して欲しい。

最終規則のQFPF国籍

規則案には反対意見が多く寄せられた。財務省曰く一件だけ規則案に賛成という奇特なコメントがあったそうだ。反対意見は予想通り、条文の文言でクリスタルクリアな規定に関してポリシー的な見地から異なる解釈を規則という形で強制するのは行政府の規則策定権逸脱というもの。財務省はいろいろと理由を列挙して合意できないとし、結局規則案のQFPFはDC REIT判断時は米国人扱いっていうポジションで最終化された。QFPF自体はFIRPTA免除なんでDC REIT株式譲渡益免税の恩典有無に影響は受けないけど、QFPFが投資しているREITの他の外国人投資家にはバッドニュース。

ということでFIRPTA規則最終化速報でした。Van Halenの話しとかないから短かったね。次回は新トピック。何になるでしょうか。

Sunday, May 5, 2024

FIRPTAアップデート(DC REITのC CorporationのLook-throughルール最終化)

2023年の前半に「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案)」シリーズでFIRPTA、ECIやREITに関してかなり突っ込んで特集した。2023年がFIRPTA三昧になったキッカケは2022年12月末に公表されたDC REITやQFPFの規則案だったけど、その規則案がつい先日最終化されたんで簡単に触れておきたい。

DC REIT

今までの経緯を軽くおさらいしておくと、DC REITは「Domestically Controlled」REITのこと。REITがDC REITになるかどうかがなぜ重要かって言うと、REITそのものが所有する米国不動産持分が全資産の50%以上でも、すなわちREIT株式が通常であればUSRPIになる場合でも、「DC」REITになるとREIT株式自体はUSRPIにならないから。っていうことは外国人がPassiveにDC REIT株式に投資している場合、その譲渡益はFIRPTA課税の対象にならないことになる。外国人にとって米国でどんな所得が課税で、何が非課税かに関しては「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (2))」前後のポスティングで比較的詳しく書いてるんで見てみて欲しい。

DC REITは「直接・間接に「外国人」が50%未満の価値を所有しているREIT」って定義される。「Domestically Controlled」かどうかを判断する際に「米国人が支配しているか」ではなく、「外国人が支配していないか」っていう点が唯一の検討になる。「結局おんなじことじゃん」って思うかもしてないけど、米国人、外国人のどっちを引き合いにDC REITを定義するかで、間接持分にかかわるプレッシャーの方向が変わる。条文通り、「外国人」が直接「または」間接に50%未満の価値ベースでDC REITになるかどうかを判断する際、直接と間接を接続しているのは「Or」というDisjunctiveなんで、グラマー的にどっちでもOK。これが外国人にかかるっていうことは「外国人が直接持ってたらそれをもってその時点でアウト」、「米国人が直接持っててもそれを間接的に外国人がもってたらそれもアウト」、ってことになる。条文のこのさりげない表現、規則案や最終規則の限定Look-throughルールのお膳立てみたいで良くできてるね。

株式所有者は誰?

「直接・間接に「外国人」が50%未満の価値を所有しているREIT」をDC REITだとすると、当然のことながら誰が株式所有者かを正確に特定する必要がある。「そんなの持分が関係する規定ではいつもやってて当たり前で簡単じゃん」って思うかもしれないけど、米国税務上、株式所有者の特定は各適用条文や状況次第でルールが異なっていて、実は深淵な分析となる。DC REITの定義では「直接」持分と「間接」持分で見るけど、他の結構多くのケースで「みなし」持分も加味する必要があるんで込み入ってくる。みなし持分にはUpward Attributionに当たる間接持分が含まれるんで、みなし持分と間接持分双方のルールで同じ者を所有者にすることがあるけど、場合によっては各々のルールで当所有者が所有していると取り扱われる%が異なったりするんでややこしい。また大前提として所有者は「Beneficial Owner」のことで、Agent、Custodian、Nominee等が法的に名義人になっていてもPrincipalやBeneficiaryが所有者となる。

持分ルールの話し、さわりだけでも真面目に話し始めるとそれだけで「大」特集になるんでここでは超表面的に触れておく。例えば米国法人が連結納税グループに属すかどうかはsection 1504で「直接」持分のみ80%で判断する。同じくsection 332で非課税清算になるかどうかの親子間の80%持分も「直接」持分のみ。法人による株主への分配が税務上「Distribution」になるか「Redemption(Exchange)」になるかは会社法や会計の取り扱いにかかわらず税務上はsection 302で、分配前後の株主の株式持分の意味のある低下有無(Safe Harbor含む)で決まるけど、その際の持分は直接持分だけでなく広範な「みなし」持分も加味される。これが理由で日本企業グループの米国子会社がグループ内で株式償還、有償減資、優先株式償還、等を行うと米国子会社のE&Pの範囲で配当になる。Section 302のみなし持分は特定の要件下で家族メンバーにかかわるみなし持分は不適用とか例外もあるけどね。

Section 302と「Kissing Cousin」の関係にあるsection 304もみなし持分を適用して「Control」を図るけど、304には家族メンバーにかかわるみなし持分不適用のような除外規定はない。さらに法人の50%以上の持分を持つ株主は当法人が直接、間接、みなしで所有する株式の自己持分ポーションを所有しているって取り扱う一般的なUpward Attributionに関して、section 304目的では5%に引き下げられる。同様に法人の50%以上の持分を持つ株主が所有する株式は当法人が全て所有していると取り扱うDownward attributionもsection 304目的では同じく5%基準に引き下げられる。

クロスボーダー関係ではもちろんsection 958の持分規定!Section 958はCFC課税適用時に特定の米国人が「U.S. Shareholder」に当たるか、その結果、外国法人がCFCになるか、等の判断時に登場する持分規定。Section 958はその中に直接・間接だけ見る部分と、プラスでみなし持分も見る部分の2つで構成されてて慣れないと使い分けで混乱するかも。Section 958(a)と(b)だ。Section 958は複雑だけど、今回、section 958の特集をしている訳じゃないんで、敢えて簡便的に触れておくと、(a)は直接持分を見るのが原則で、米国人が「外国」主体(法人、パートナーシップ、信託、遺産)を所有している場合にはそれらの主体が所有している株式に関して間接持分も見るっていうルール。(a)はCFCからGILTIを計算するためTested Income/LossやSub Fをいくら取り込むか判断時に使う。従来、米国の主体は米国人なんでそれ以上Look-throughするっていう概念はなかったんだけど、2017年税制改正後に出た規則でTested Income/LossやSub Fの合算計算目的では米国パートナーシップもLook-throughすることになってる。(b)は直接・間接持分に加えてフルに「みなし」持分を加味するのが原則。(b)は特定の米国人が「U.S. Shareholder」か、US Shareholderが特定されたらそれに基づき外国法人がCFCか、の判断時に適用される。(b)のみなし持分の適用に関して2017年以前は「Downward attribution」は不適用とされていたけど、2017年税制改正で一転Downward attributionも加味されるようになり、世界中がCFCだらけになった。例えば、日本親会社が100%米国子会社を所有していると日本親会社が50%超所有する日本を含む米国外の法人は全てCFCになる。米国子会社がペーパーカンパニーでもルールは適用され、日本国内や欧州に大きな子会社を持ってたりするとそれらの子会社はCFCになる。

「ええ~じゃあうちの杤木の製造子会社は米国のCFCだったの~?」って驚くかもしれないけどその通りなんだよね。ただ外国法人がCFCになったところで、上述(a)の直接・間接持分がなければTested Income/LossやSub Fを合算する株主ではないんでCFC課税の対象になる者はいない。言い換えると、みなし持分のみ所有している株主は(a)の合算株主じゃないんで大きな実害はないことも多いけど、合算計算外の「CFCじゃダメ」っていう規定、例えばPortfolio Interest Exemptionとか、には思わぬ悪影響がある。ちなみに栃木って言うのは意外感を強調するために用いた一例で深い意味はなくて宮崎でも長野でも大連でもオランダのEindhovenでも全く変わんないからね。

所有者の特定に加え、ルール毎に株式所有%を価値で見るのか、議決権で見るのか、両方見るのか、Eitherなのか、がまちまちでこちらも要注意。また優先株式がどんな条件で加味されるか、云々も細かい規定があって例によって「たかが持分、されど…」の世界でした。

それでは本題のDC REITの所有者は誰になるんでしょうか?

規則「案」の限定Look-through

この点に関して2022年12月末に公表された規則案では「Non-Look-through所有者」だけをREIT株主として取り扱うとしている。すなわちREITがNon-Look-through所有者に「直接」所有されている場合はその時点で所有者の特定は最終で、Non-Look-through所有者が外国人か米国人かを判断する。 Non-Look-through所有者でない者、すなわち「Look-through所有者」がREIT株式を所有している場合、Look-through所有者の持分を所有する者の比率に準じて米国・外国を識別するとしている。すなわちLook-through所有者の場合はその上の所有者の間接持分を見るってことになる。当然だけど、Look-through所有者の所有者自身がLook-through所有者の場合、Non-Look-through所有者に辿り着くまで持分を紐解いていく必要がある。DC REIT所有者の判定にみなし所有者の概念はない。

で、Non-Look-through所有者は個人と一定条件を満たすC Corporation。この2つのタイプはパススルーじゃないんでそれはそうだよね、ってことなんだけど、C Corporationに関しては唐突な規定として外国人所有の米国法人(原文「Foreign-Owned Domestic Corporation」)に特別な取り扱いが規定されていた。すなわち、米国法人を含むC Corporationは原則Non-Look-through所有者だけど、濫用防止目的で外国人が「価値」ベースで25%以上所有する未上場(例によって正確にはRegularly Traded基準)の「米国」法人はLook-through所有者と取り扱うとしている。え~、C CorporationをLook-throughするって何それ~、って感じでビックリだったよね。さらに25%ってどっから来たのって感じで「何ですか、これは?」って感じの提案だった。C CorporationのLook-throughは外国法人には適用がないんで、例えばREITを直接所有する外国法人の株主が100%米国人でも、外国法人はNon-Look-throughなんでその時点でDC REITかどうかの判断目的ではPureに外国人が所有していると取り扱われる。DC REITになるのは米国人の所有者が必要なんでBad Newsだ。

規則案の「C CorporationをLook-through」するっていう財務省いうところの「限定」Look-throughに関しては「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (11))」および「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (12))」で詳細に触れたんで読んでみて欲しい。

最終規則の限定Look-through

米国C CorporationをLook-throughするっていう規則案には、多くの反論や疑問がパブコメとして財務省に寄せられた。立法趣旨に反する、条文の文言に反する、わざわざ他の外国人投資家がラッキーするためにフルに課税される米国法人を介してREITに投資するおめでたい外国人はいないんでLook-throughの適用は関連者のケースに限定すべき、等いろいろな反論が展開された。財務省はこれらの反論は何一つ受け入れない、ってバッサリ。

その上で「とは言え、規則案の限定Look-throughはチョッとやり過ぎでコンプライアンス負荷も高そうだから25%を50%に引き上げてあげましょう」って親切っぽく緩和策で最終化するとしている。結果として最終的な限定Look-throughは「外国人が「価値」ベースで50%以上所有する未上場(正確にはRegularly Traded基準)の「米国」法人はLook-through所有者」ってことになる。財務省は、この親切な改訂で「Significantly narrows the scope of look-through treatment…」と自負するけど、narrowはその通りだとしてもSignificantかどうかは各々の受け止め方次第だよね。自ら「significantly」っていう主観的な副詞を使わないといけなかった辺りに苦労というか、実際には大してSignificantな緩和ではない点が読み取れる。自分の行動を不要に大げさな形容詞や副詞を使って表現している場合、実際には本人も大したことないって認識しているケースが多い。「50%以上」っていう基準はDC REITそのものの定義や米国法人がUSRPHCかどうかの判断時に適用される%なのでFIRPTAにおける判断%として最適としている。それらの50%テストとC CorporationのLook-throughの50%は全然背景が違うと思うけどね~。そもそもじゃあ最適なじゃない25%テストは何だったの~って感じ。とは言え、50%以上テストで最終規則化されたんで法的な拘束力を持つことになる。不満がある場合、追徴を受けた者、すなわちStandingのある者、が裁判所に「規則は条文と不整合で行政府による規則策定越権行為」とかで訴訟に持ち込むくらいが考え得る対抗策だろうか。

DC REITのテスト期間と最終規則の効力開始日

最終規則は原則、規則が官報に記載された日から効力を持つとされている。ただし、DC REITにかかわる米国C CorporationのLook-throughルールには例外が規定された。

上述のDC REITの恩典、すなわち外国人が長期投資所有のDC REIT株式を譲渡してもFIRPTAの対象にならないんで米国で非課税になるっていう恩典、を得るにはDC REIT株式譲渡時点で過去5年間を通じてREITがDC REITの条件を満たしている必要がある。すなわち過去5年間を通じてREITは「直接・間接に「外国人」が50%未満の価値を所有している」必要がある。となると今まではC CorporationのLook-throughルールなんて誰も知らなかったにもかかわらず、この新ルールで「あなたは過去5年間を通じてDC REITではありませんでしたね」ってなってDC REITの恩典が否認されることになる。規則案はこの点に関して理解を示さず、規則が最終化された暁にはその後のDC REIT株式譲渡のFIRPTA恩典有無を判断する際の5年テスト期間が規則施行日以前の期間に属してても関係なく新ルールでDC REIT適格判断を行うと「つれない」宣言をしていた。

この点に関してはC CorporationのLook-throughルールそのものに対する反論以上に強い反対意見が殺到していた。大概「実質、過去遡及で到底認められない」っていう趣旨で「C CorporationのLook-through自体何の根拠もなく撤回するべきだが、百歩譲ってLook-throughルールを採択する場合には最終規則の施行日以降に開始するテスト期間のみを対象とするべき」というCollateral議論が多かった。また、コメントには制度移行措置の例が複数示唆されていた。

25%にしても5年のテスト期間の取り扱いにしても規則案で極端に挑戦的なポジションを提示していたのは、最終規則でこれらの点に譲歩して見せて元々落としどころって想定されてたポジションにソフトランディングさせる作戦?って思えてしまう。最初から50%って言われると25にしても50にしても80にしてもそんな%は条文には一切規定されてないんで「それはないでしょう~」ってなるところ、25%から始まってると「50%だったらいいね!」っていう感じになるからだ。

で、最終規則ではテスト期間に関して、従来のルール、すなわち米国C CorporationのLook-throughルールは加味しないルール、でDC REITだと思って投資していた外国人にLook-throughルールで予期せぬ課税が生じるのはさすがに気の毒なので既存のストラクチャーは今後10年に亘ってC CorporationのLook-throughルールの適用はお預けにするっていう制度移行措置を規定している。規則案のAggressiveな規定とは打って変わって最終規則は合理的だ。

この制度移行措置の適用を受けるには、多額のUSRPI新規取得または所有者の構成に大きな変更がない点が条件となる。何をもって多額のUSRPI新規取得になるかって言うと、最終規則施行日にREITが直接・間接に所有するUSRPI時価の20%を超える時価のUSRPIを取得する場合。

所有者の構成の大きな変更は、最終規則施行日後のREIT持分変動を見て、変動時点のNon-Look-through所有者各々が価値ベースで所有する直接・間接持分%が、当Non-Look-through所有者が最終規則施行日に所有していたREIT持分所有%からの増加%ポイント合計が50%超になるケース。この条文、section 382チックで難しいよね。Non-Look-through所有者のREITに対する持分%そのものの増加が合計でREIT持分の50%超になったかどうかをテストすると読めるんで(「increase by more than 50 percentage points…」)、Non-Look-through所有者の持分が最終規則施行日の1.5倍(50%増)になったかどうかっていうテストではない。また「…by such non-look-through persons」の部分は最終規則施行日以降にREIT持分を所有しているNon-Look-through所有者を意味すると思われ、その場合、最終規則施行日にREIT持分を所有していたかどうかにかかわらず、後日持分を取得したと取り扱われる者のREIT所有%を見て全体で50%ポイントの増加があったかどうかテストすることになる。最終規則施行日にREIT持分を所有していなければその時点の持分は0%で、その後取得した持分%分、REITに対する持分が増加したことになる。この持分50%テストの適用時には「米国C CorporationのLook-throughルール」をフルに加味する点も要注意。%テストなんで償還とかも影響がある。上場REITに関しては5%未満株主による譲渡はREITが譲渡詳細を実際に認識しているケースを除き無視。

で、多額のUSRPI新規取得や所有者構成に大きな変更がある場合、その時点からC CorporationのLook-throughルールが適用される。

FIRPTA系の話しではDC REITの定義と共にQFPFにかかわるルールも今回同時に最終化されてるんで次回はその辺りに触れてみたい。

Saturday, April 27, 2024

Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (最終回)

前回のポスティングでは「Ever changing mood」のKiller B変遷の新規則案の前座としては最後になる2016年Noticeに触れて今日は大トリ。 前々回(だっけ?)Van Halenのギターの話しをしたけど、そんな話しをしたんで急にいろいろと記憶がフラッシュバックしてて、あの後、ポスティングでも触れた「Unchained」とかBlastさせたりしてた。あの曲、Manhattanだとチョッと気分でないんでもちろんフロリダブルーのときめきで。

デビュー直後の絶頂期1979年に武道館で見たVan Halen。あのコンサートは要所要所今でも目に焼き付いてるけど、2016年Noticeが規則草案の前座だったように、P-MODEL(確か。子供バンドじゃなかったよね。チョッと記憶があいまい)っていう日本のバンドが前座で登場したはず。ジャンルが違うんで観客は結構「?」って感じだったけど、ようやく暗くなってDave Lee Rothが結構うまい日本語で「コンニチワ~」「マタキマシタ~」「Mighty Van Halen~」(笑)とかなんとか絶叫して登場。武道館は天井が爆発して落ちそうなくらいの大興奮に包まれた。もちろんEddie Van HalenがPicking HarmonicsプラスTremolo Armで「キュイ~ン」(分かるね?あの音)とか大音量のGuitarをランダムに弾いてて最初の30秒でオーディエンス全員完全に行っちゃってたね。

Electric Guitar弾いてた人は分かると思うけど、例えMarshallフルボリュームでやってもあの「キュイ~ン」って感じはEddie Van Halenにしか出せないんだよね。で、武道館のコンサートではその直後、いきなりOpeningの「Light Up the Sky」だったはず。まだUnchainedって曲は当時出てなかったからね。う~ん。あんな格好いいOpeningは後にも先にも見たことない。Van Halenより少し前に見たCozy Powellが入ったばかりのRainbowの「Kill the King」のOpeningも良かったけど、個人的にはVan HalenのLight Up the Skyが上を行ってた。Light Up the SkyのOpeningのリフ、EとB(もちろんTuningが半音下がってるんで絶対音感的にはEフラットとBフラット)で半音ずつ上がってくやつ。ベースが逆に下降してくんだけど、あれをあのリズムで正確に弾くって結構難しい。Guitarが半音上昇し切った後に本番のリフだけど、何気なく聴いてると単純に格好いいけど例によってテクニカルにはトリッキーな技が満載だ。Guitar Solo直前に急にペンタトニックっぽくなるBridgeでフランジャーじゃなくてPhase Shifter使ってるよね。Phase Shifterとか使いすぎると嫌味だけど、Eddie Van Halenは十分かつ必要な使い方してて流石。EVH 90とかEddie Van Halenの名前が付いたんで後から知ったんだけど、あれはMXRのPhase 90ペダルだったんだね。Unchainedで触れたフランジャーもMXR製でもちろんこちらもEVH 117 Flanger。Light Up the SkyのBridgeも当時動画とかなかったからレコード(プラスチックのやつね)からコピーしようと思ったんだけど聞こえてる以上に難しいんだよね。4回同じBridge繰り返すんだけど毎回チョッとだけ違う音がはいってたり基本8フラットから12フラットみたいな上の方で弾いてるんだけど、途中効果的に開放弦が使われる。しかも「お~開放弦混ぜたね!」とか全く分かんないんだよね、弾いてみるまで。でその直後のSoloはレコードよりさらにスピード感満載でカッコよすぎだった。

Light Up the Skyで完全にPass Out寸前になったところで2曲目は間髪入れずにナント「Somebody Get Me a Doctor」!!。Helter Skelter じゃないけど一回Pass Outして帰ってきてまたPass Out寸前。めちゃカッコいいリフで始まって、ああやって弾くんだ~みたいな程度にチョッと冷静に見れるようにはなってきてた。あの曲のソロってめちゃくちゃカッコよくてコピーしないと分かんないんだけど超難しいんだよね。特に途中でハーモニクスになる辺りのリズム超複雑でライブで見たらフラットの上下に動く手の速さとその正確さに愕然。で、Soloが終わってまたリフに戻るんだけど、レコード通り、4回目のリフの次に「どうやってこんな音出してんの~?」っていう「ペキペキペキペキ…」って下降してく部分があって(知っている人はすぐ分かるだろうけど、知らない人には何それ?ってなるよね)、ライブでもその通りにそれを再現してた。あれって左手で開放弦と多分2フレットと5フレットとかをZeppelinのHeartbreakerのソロみたいにPull Offしながら、右手は手の甲でミュートしてハーモニクス効果を出しながら下降させてあんな音出すんだよね。Eddie Van Halenが登場してくるまで存在しなかったRight Hand奏法はその頃にはすっかり知れ渡ってたけど、あのハーモニクスを使ったPull Offも今まで聞いたことがなかった。しかもカッコいいよね、あの音。同じSecond Album(伝説の爆撃機(笑))の1曲目の「You’re No Good」のSoloの前半でも同じ音が聞こえてて個人的にGuitar音色七不思議の一つだったんだけど、弾き方が分かって大収穫だった。今だったらYouTubeみれば直ぐに分かって夢がないんだろうけどね。

う~ん、あんなライブをこの目で見れて体感できたっていうのはラッキーで光栄で一生の思い出だけど、実際起こってる時ってそれがどれだけ貴重なMomentかって意識がないんだよね。今考えたらあんなにカジュアルに武道館行って、Van Halen見て、また飯田橋まで歩いて半チャンラーメン食べて国鉄(JRじゃないです)で家に帰る、って何ていう贅沢。タイムマシーンで戻って最初の2曲でいいからもう一回体験し直したい。歴史の凄い出来事ってそうなんだろうね。後から考えたらあの時凄かったね、とか。または実はあんな時がHappyだったんだな、とかね。そんな後から考えてHappyなMomentって必ずしもMiamiのBeachで横になってたりしてリラックスしてる時じゃないから不思議だよね。人によってもちろん違うんだろうけど、みんなにもあるんじゃないかな、そう言う感じ。例えば、前夜めちゃ忙しくて寝るの超遅くなって、でも翌日早朝に起きて家族のBreakfastとかLunch Boxとか用意してバタバタしながらコールに出て、ついでに犬の散歩、下のジムに慌てて寄るけどTreadmillは時間がなくていつもの半分しかできなかった~とか。そんななのにプロジェクト遅れ気味で怒られるとか。やってるときは「なんとかして~ヘルプ!」みたいなそんなMomentが実は後から考えると至福(?)のMomentだったりね。ということで皆さんもMinute by Minute(Doobie!)大切にして下さい。

で、最終回をいいことに冒頭から思い切り脱線してしまったけどKiller Bに戻りるね。じゃないと最終回じゃなくなるリスクがあるんで。

2016年Noticeによる規則改定案

2014年Notice以降に進化したKiller Bは以前にも増してテクニカルなものなんで、それに網を掛けようとしている2016年Noticeまたそれを基に実際に規則案化された2023年規則案の規定も必然的に高度にテクニカルなものになる。

まず、Priority規定で出し抜かれた点への対抗策アップデート。前回触れた通り、2014年Notice以降のKiller B+ではUSSが所有するT株式をFSがFP株式とTriangular Reorganizationで交換し、その際にGRA規定下、超少額のsection 367(a)所得を敢えて認識する。一方Killer B規則を見るとFSによる外国法人FPに対するみなし分配に源泉税はないし、FPを所有するUSPはLook-through例外規定でSub Fの認識がない。となるとKiller B規則の所得はゼロなんでSection 367(a)に軍配が上がる。さらにその後のFPのUSPへの統合時にFPのE&Pを全額USPの課税所得とするっていうsection 367(b)の規定もPriority規定でKiller B規則が適用されなければFPはFSから配当を受け取ってないんでFPにはE&Pはないってことで課税所得がない。またしても不適切にも程があるってことでPriority規定はターゲットTが米国法人の時だけ適用するって変更するとしている。ということはTが外国法人のケースはPriority規定にかかわらずKiller B規則が適用されるってことになる。上の例で言うとFSがFP株式取得対価としてFPに移管する現金やNoteはKiller B規則でみなし分配になり、FSのE&Pの範囲で配当所得となり、FPのE&Pが増える。Look-throughでSub Fから逃れたとしても、そんな状態でFPがUSPに統合されるとSection 367(b)に基づきUSPはFPのE&Pを所得として認識することになる。この所得認識によりUSPが受け取るFP資産の簿価継承は辻褄が合うことになる。この点は「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (12) 」も読んでみてね。

一方、上の例ではUSSがT株式をFP株式と交換する取引がIndirect stock transferになるんで原則section 367(a)に抵触するはずだけど、2016年NoticeではKiller B規則に抵触するTriangular Reorganizationで米国株主が外国法人株式を外国法人に移管したと取り扱われる場合にはsection 367(a)の適用は停止するとしている。ただし、section 367(a)が適用されない代わりに、Tの株主はTのE&Pをみなし配当所得認識することになる。通常のsection 1248に準じてPTEPや米国源泉E&Pは対象外。で、こちらも通常のsection 367(b)のルール通り、みなし配当所得額に関する株式簿価の増額が認められ、簿価増額後に株式譲渡益の計算をする。Section 1248に似てるけど、チョッと違っててこのみなし配当や譲渡益認識は米国人株主やsection 1248株主でなくても適用がある。

これらのルールをKiller B+の上の例に適用するとTのE&PはT株式を移管するUSS等の手で課税され、FSのE&PはFP経由でUSPの手で課税されることになる。TにE&P以上の含み益があると超過分は譲渡益課税。Killer Bと最初に出会った頃はこんなじゃなかったのにこの頃はチョッと冷たいね、じゃなくて厳しいね。

Excess Asset Basis(「EAB」)

外国法人の資産が米国に適格清算や組織再編で移管されてくる際にE&P課税する主たる動機は、米国のタックスシステムに初めて登場する資産簿価に資本金、負債、課税済みのE&Pの総計でサポートされていない部分があると、そんな超過額は資産簿価のタダ乗りになるっていう点は以前に触れたし、上のFPの資産がUSPに移管されるKiller B+の例でも触れた。資本金も負債返済も税引き後の現金を利用しているって考えると米国で非課税の状態にある外国法人のE&Pさえ課税すれば、米国に移管される資産の簿価は適切に購入されていることになる。

Killer B+を見てこの点がとても気になったみたいで2016年のNoticeでは外国法人の資産が米国に適格清算や組織再編で移管されてくる際にE&P課税するルールを強化し、EABが存在する場合、一定要件下でEABを「Specified earnings」と指定しE&PにプラスでEABにも課税するとしている。このEABルールは必ずしもKiller B取引の後に実行される資産移管、すなわちKiller B+の「プラス」部分の取引、かどうかにかかわらずTraditionalなInbound資産移管全てが対象となるらしい。EABルール自体複雑だけど、上述の超過額が不適切っていう理論に基づいてて、EABは外国法人の「内部資産簿価」が「外国法人株式簿価合計額(ここは本来資本金になるはずだけどその代わりに簿価を適用)」、「外国法人の負債」、そして「E&P(PTEPや米国源泉E&Pは除外)」の合計を超える額。財務省も納税者に負けずに資産簿価に神経をとがらせてるね。

で、どんな金額がSpecified earningsになるかっていうと、いろいろ実際には細かいんだけどエッセンス的には、「米国に資産移管する外国法人が所有する外国子会社のE&P(PTEPや米国源泉は除く)」、「EAB」、米国に資産移管する外国法人株式の含み益」のうち一番小さい金額になる。

2023年Killer B規則案

前座P-MODELの演奏が終わり一回武道館が明るくなってワクワクして待ってたら会場が暗くなって凄い歓声の中、Dave Lee Rothの「コンニチワ~。マタキマシタ~」とEddie Van Halenの「キュイ~ン」でオオトリVan Halenが登場したように、ここで2023年Killer B規則案に至る。本当に「マタキマシタ~」って言うのがピッタリ。

2023年Killer B規則案は基本的に2016年Noticeを踏襲している。2016年Noticeに寄せられたコメントに基づき、EABルールは原則、Inboundの資産移管の前にSがTriangular Reorganizationに使用する対価となるP株式・債権をPから現金で取得しているにもかかわらずKiller B規則が適用されていないケースへの適用に限定。2016年NoticeはSpecified earnings算定時に「米国に資産移管する外国法人が所有する外国子会社のE&P」がEABと比較する対象の一つだったけど、その際にPTEPは除外されてた。2016年Notice後に留保所得一括課税(section 965)およびGILTIの導入でPTEPが爆発的に増額したため、この点に関して微調整があり、米国に資産移管する外国法人が子会社からPTEPを含む全E&Pを分配したと仮定し、この分配の課税関係を加味して計算をするっていう方法に変更されてる。

他にも細かいポイントはいくつかあるけどメジャーなのはこんなところかな。まだ規則案なんで最終化の際に更なる微調整があるかもしれないしね。ってことで長らくKiller Bにお付き合い頂きありがとうございました。次の物語は何にしようかな、って思ってたら昨年触れたDC REITの規則案がいきなり最終化された。他にもSWFっていうか外国政府系の話しも最終化されてるんで速報でひとまずそれをカバーして、その後にNew themeにしましょう。

Saturday, April 13, 2024

Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (12)

前回のポスティングではKiller B規則の2014年Noticeをカバーした。去年の10月に公表されたKiller B新規則案にトリガーされて書き始めたKiller Bシリーズ。2006年Notice、2007年Notice、2008年暫定規則、2011年最終規則、2014年Noticeまでカバーしてついに今日は新規則案の前座としては最後になる2016年Notice。トリ寸前だ。Killer BシリーズもますますFinal Phaseになってて寂しいよね。この感じって読み始めたら止められないタイプの面白い物語読んでる間、完全にその世界に入りこんでて物語が終わると今まで登場人物と一緒に暮らしてたのに誰も居なくなっちゃったみたいなのと同じ。世界広しといえども、Killer Bの話しが終わって寂しくなる人は中々いないって?そうだよね。まあ、次の物語読み始めると次の世界が展開されるように、ポスティングも次のテーマに移ったら直ぐ今度はそっちにハマるからいいね。Killer Bの次はどんなテーマになるでしょうか。

2016年Notice

難攻不落でSection 367(b)の西を守ってたはずのKiller B最終規則城は米国MNCの城攻めに合って屈してしまい、2014年Noticeで補強されて今度こそって感じだったんだけど、相手は何といっても上杉謙信の上を行く米国MNC。またしても2014年Noticeの裏を書くストラクチャリングで圧倒され更なる改修工事が必要になった。そこで登場するのが2016年Noticeだ。2014年Notice後に散見されるようになった取引は単なる2014年Notice準拠のKiller Bってだけではなく、Killer Bの後にもうワンステップ追加された「Killer B+」とでも言うべきRepat戦略。

「Killer B+」

2014年Notice後に蔓延し始めたストラクチャリングの代表的なものは次の通り。米国企業USPが米国外100%子会社FPを所有し、FPはさらに100%子会社FSを所有しててFPにはE&PはないけどFSには潤沢なE&Pがあるとする。早速Killer Bチックな設定だね。米国外の埋蔵金E&Pを米国で課税されることなく還流させるための手法として進化してきたストラクチャリングがKiller Bだからね。2017年のTCJAで全ては変わってしまったけど、2016年Noticeなんでこの時点ではまさかクロスボーダー課税がGILTIとか245Aとか今の姿になるなど露知らずっていう時代だ。

ちなみに外国法人の(当時はSub Fで)課税されていない留保所得が課税されることなく米国に還流される取引を監視するっていうのがKiller B規則を含むsection 367(b)全体の立法趣旨・テーマっていう点は「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (3)」等で触れてるけど、その一環でCFCの事業資産が非課税組織再編や非課税清算を介して米国親会社に非課税で還流されてくる取引も当然section 367(b)の監視下にある取引。この手の取引では、CFCを非課税組織再編や非課税清算で米国株主に統合すると、CFCのE&Pは一度も課税されないにもかかわらず、そのE&PでファイナンスされたCFCの資産簿価がそのまま米国親会社にフローアップしてくる。そこで米国へのInbound資産移管に網を掛けるため、section 367(b)の規則の一つにInbound取引時には米国親会社がCFCを所有していた期間に生じた自己持分相当のE&Pを全額課税するっていうのがある。ここでは「Inbound資産移管E&P課税」って呼んでおく。

でも非課税清算等で受け取る資産はステップアップしないんだからいいじゃん、って思うかもしれないけどピュアな国内取引と異なり、CFCの資産簿価がCFCのE&Pにサポートされている限りにおいてその部分の簿価は米国で課税されていない所得を原資とした簿価。チョッと分かり難いかもしれないけど、B/S的に資産簿価は米国親会社による出資、CFCの負債、またはCFCが稼得した所得(イコールE&Pと仮定)のいずれかでサポートされているんでE&Pに課税できてれば全ての簿価はそのまま使ってOKってことになる。資産の簿価っていう属性は将来のNOLと同じっていう点は「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (10)」で触れた。NOLは資産簿価の化石って考えると双方の価値が理解し易い。NOLとの比較において簿価の有無や大小に比較的無頓着なケースを見ることがあるけど、これらの属性の価値は基本的に同じだ。結晶化(?)してるかどうかの違いだけ。米国MNCは資産簿価の大小、また株式、有形資産、無形資産その他、どんなタイプの資産に簿価が付くかに細心の注意を払う。結果ここで話しているKiller B+みたいな発想に至ることになる。

で、ポスト2014年NoticeのKiller B+の例を続けるけど、Killer B規則の考え方を適用するとFSによるFP株式取得はFSによるFPへの分配になって、FSのE&Pの範囲で配当になる。FPにはE&PはないけどFSには潤沢なE&Pがあるっていう設定だから覚えといてね。でもFSは外国法人なんで配当に対する米国源泉税は通常関係ない。また配当を受け取るFPは米国外法人なんでそれが間違ってECIなんてケースは100年に1回あるかないかくらい珍しいだろうから、FPには直接米国法人税が課されることはない。FPはCFCなんでFPが受け取る配当が元祖CFC合算課税のSub F所得になるとUSPはその時点で自己所得に合算しないといけない。Sub Fには複数の例外があってこの手のケースで一番適用可能性が高いのは配当原資がFS側でSub FでもECIでもない事業所得の場合、グループ全体で考えると配当の性格はPassiveなポートフォリオ投資のリターンではないんでSub Fの趣旨的にSub Fで網を掛ける必要はない。Look-through規定だ。CFC課税の「Look-through」って複数あってConfusingだけど、ここでいうLook-throughは関連者から受け取る配当の原資が阿漕な所得でなければOKっていうsection 954(c)(6)に基づくSub F免除だ。まだTriangular Reorganizationにも至ってないけど既に複雑になってきてるね。Killer B+だからね。

Triangular Reorganization

で、USPの米国外100%子会社USSがFPやFSとは別の持分チェーンで米国外100%子会社FTを所有してるとする。FTをFP/FSと同じ持分チェーンに取り込んでインティグレーションするっていう事業目的でTriangular Reorganizationを通じてFSはFT株式をUSSから取得する。取引ステップはKiller Bそのもので、FSは最初のステップでFPから現金対価(Noteかもしれないけどここでは現金で統一しておく)で取得したFP株式を対価にFTの100%株主であるUSSからFT株式を取得する。B型再編になり絵に描いたようなKiller Bだ。Killer BのBはB型再編って覚えてるね?でもKiller BはB型再編で実行される必要はなくて、AやCのTriangular Reorganizationバージョンでも全く同じことができる点はKiller Bシリーズをフォローしてくれてる読者の皆さんなら既にご存じの通り。

Inbound資産移管

で、Triangular Reorganizationの後、Killer B取引とは別プランでUSPはFPを吸収する。手法は大概においてUpstream Mergerなんだろうけど100%子会社のUpstream Mergerは税務上はLiquidationになる。80%以上の議決権・価値を所有する子会社のLiquidationは原則適格Liquidationで非課税だ。このInbound資産移管によりFPが所有する資産はUSPに移管されるけど、移管されるFPの資産にはKiller B取引下でFSがFP株式の取得対価としてFPに移管した現金が含まれる。ということは蓋を開けてみるとE&Pを潤沢に持つFSの現金がFP株式取得、FPの適格清算でUSPに還流している。

でも、Inbound資産移管は上で触れたsection 367(b)のInbound資産移管E&P課税でFPが課税されるんじゃないの~って思うよね。適格清算でも未だに米国で課税されていないE&PはInbound資産移管時に課税対象っていうのがルールだからね。さてどうなるでしょうか。

2014年Notice下のKiller B規則適用

上の取引例に2014年Notice時点で存在するKiller B規則を適用してみると次のような取り扱いになる。まずTriangular Reorganization部分だけど、これは今までのKiller Bのポスティングで触れてきた通りの取り扱い。USSがFT株式の対価としてFP株式を受け取る取引は2014年のPriority規定で触れた「Indirect stock transfer」に当たる。すなわちUSSはsection 367(a)目的でFT株式をFPに移管したと取り扱われる。移管対象となる株式がFT株式って言う米国外法人の株式なんで、通常はGain Recognition Agreement(GRA)をIRSと締結することで株式移管時点の課税を避けることができる。GRA自体ディープな話しだけどここでは敢えて超乱暴にまとめとくと、本来section 367(a)で課税される株式移管時に一旦IRSとGRAを締結し、移管から5年以内に移管された株式の移管先からの更なる譲渡、または移管対価で受け取った株式の譲渡等のトリガー取引がなければsection 367(a)課税から免除されるっていう有難い制度。トリガー取引で過去遡及して課税される場合、元々の株式移管の課税年度の申告書を修正して追加払いの法人税には金利も課せられる。

Section 367(a)に抵触する外国法人株式の移管でGRA締結可能なケースは通常であればGRAを締結する。じゃないと即、課税所得になっちゃうからね。したがってアドバイザーとしてはGRA締結に落ち度はないか、全ての移管株式をカバーしているよねとか、その後5年に不要に譲渡益をトリガーさせないための内部管理とかがフォーカスとなる。ところがKiller B+取引ではUSSもGRAを締結するにはするんだけど、その際にFT株式の全株式に関してGRAを締結しないで敢えて超少数のFT株式をGRA対象外とする。この部分は当プランニングのキーとなる部分。FT株式の僅かな部分にGRAを選択しないっていうことは当たり前だけど、その部分のFT株式含み益はsection 367(a)で課税所得になる。少額の課税所得を敢えて認識っていうエキセントリックな怪しい行動でPriority規定を巧みに使うための技なんじゃないの~って予感させてくれる。で、本当にその通りなんです。Killer B+では、この超少額のsection 367(a)所得をKiller B規則の所得と比較してFP株式取得にKiller B規則を適用するかどうか判断する。

Killer B+とPriority規定

じゃあ、section 367(a)下の僅かな所得の比較対象になるKiller B規則下の所得が何かっていうとここも面白い。ここで登場するのが2014年Noticeだ。Killer B規則ではFSによるFP株式取得対価の支払いをみなし分配と取り扱って課税関係を決める。その際、section 367(a) にも抵触する取引ステップがあると、Priority規定に基づきKiller B規則とsection 367(a)でどちらがより高い所得を生み出すかに基づきどちらの規則で課税関係が決まる。この比較算式に使用される所得額に関してはさんざん紆余曲折があり、Priority規定のIRSの視点からの悪用を封じ込めるため、2014年NoticeではPriority規定適用検討時にsection 367(a)所得と比較するべきKiller B規則下の所得は「源泉税対象となる配当」および「実際にPに課税される範囲のみなしキャピタルゲイン」、そして「PがCFCの場合でPが認識する配当やみなしキャピタルゲインがSub FとしてPの米国株主に合算される額」に限定した。

上述の通り、Killer B規則で分配と取り扱われるFP株式取得対価の支払いは、FSのE&Pの範囲で配当扱いになる。でもFSは米国外法人なんで配当に対する米国源泉税は通常関係ない。配当を受け取るFPも米国外法人なんでFPが受け取る配当や分配がみなしキャピタルゲインとなっても直接FPに米国法人税の適用はない。FPが受け取る配当やみなしキャピタルゲインが元祖CFC合算課税のSub F所得になるとUSPはその時点で自己所得に合算しないといけないけど、section 954(c)(6)のLook-throughでSub Fからも免除される。となると2014年Noticeが規定するPriority規定適用時のKiller B規則所得はゼロになる。一方のsection 367(a)を見ると僅かな所得があるんでこちらが勝つことになってKiller B規則の適用はナシとなる。USSは僅かな所得に法人税を支払う。

そして最後のステップ、すなわちKiller B+をKiller B+たらしめる最終ステップのUSPによるFP吸収合併(または類似取引)だ。このステップは上述の「Inbound資産移管E&P課税」で課税されるんで結局苦労してsection 367(a)で僅かな所得認識を演出してPriority規定でKiller B規則から逃れてもこれで万事休すじゃんって思った読者は上杉謙信。米国MNCは上杉謙信よりも強力な攻略でKiller Bを落城させる。

城攻めのカラクリは次の通り。まずFPにはそもそもE&Pはない。これはKiller B+実行時にFPを新設したりしてそのようなストラクチャーにしてるからでこのポスティングでもKiller B+取引の説明冒頭に前提条件としている。そしてPriority規定でKiller B規定が適用されないんでFSによるFP株式の取得対価は分配にも配当にもなってない。したがってFSにE&PがあってもFP株式取得を通じてFPのE&Pが増えることはない。となるとストラクチャー的にはInbound資産移管E&P課税の適用対象取引でも、肝心のE&PがないんでUSPに課税される金額は存在しないってことになる。

う~ん米国MNCっていうかMNCにアドバイスしてるBig 4の国際税務チームやメジャーなLaw Firmは凄いね。僕もEYの国際税務Nationalチームだっからこの辺の変遷は生で見てきたけどIRSの解釈は異なる部分はあるとしても当たり前だけど全て法的なApplicationは正しいからね。ということはBig 4とかは虎千代の教育係の天室光育だったってことか~(?)。2014年Noticeで網を掛けようとした取引は、Priority規定を適用してsection 367(a)をTurn-offするケースだったけど、Killer B+では少額のsection 367(a)でKiller B規則をTurn-offしてる。

他にも似たようなバリエーションとして、USPがFPとUSSを所有してて、USSがFTを所有してるっていう同じストラクチャーでFPにはE&Pはなく今度は上の例のFSではなくFTが潤沢なE&Pを持ってるとする。FPはプレーンバニラの優先株式(section 351(g)非適格優先株式)を対価としてUSP株式を取得、USP株式を対価にUSSからFT株式をTriangularのB型再編で取得する。で、後日FPは自社優先株式のUSSから償還する。このバリエーションのキーはFPの自社株式は2011年最終規則で「Property」にはならないんで(Sub CのPart I、すなわちsection 301~318の目的でも、特に304で自社株式はPropertyにならないのと同じ)、Killer B規則の適用範囲外となる。さらにUSPによるFPへのUSP株式移管の対価は非適格優先株式となることから、適格現物出資にはならずsection 1001の課税交換となり、USPが所有するFP株式の簿価は時価になる。Section 351の適格現物出資になってしまうと「例の」ゼロ簿価っていう不思議の国のアリスに出てくるウサギの穴に入り込んじゃうもんね。ゼロ簿価に関しては「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (6)」を参照のこと。FPによる自社株式の償還はFPにE&Pがないんで配当にならず、またUSPが持つ簿価が時価になってるんでみなしキャピタルゲインもないっていうポジション。経済的にはFTのE&Pを拠り所に償還してるって考えるとE&PのRepatになる。こちらもお見事。

壮絶な知恵比べで2000年台前半から2016年まで進化し続けたKiller Bと財務省規則。2016年Noticeが出た翌年2017年12月22日にクロスボーダー課税を根本的に変えたTCJAが可決される。TCJAでKiller Bを含むsection 367(b)の存在意義が大きく低下した点、およびそれでもsection 367(b)の一連の規則は引き続き必要という財務省見解に関しては特集前半の「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (3)」で触れた。次回はKiller Bシリーズ最終回として2016年Noticeの対抗策、それに準じて2023年に公表された規則案に触れてみたい。

Sunday, March 31, 2024

Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (11)

前回はEddie Van Halenのハーモニクスを多用した斬新なギターテクニックがどれだけショッキングだったか、じゃなくてKiller B規則が2011年に一旦最終化されてから僅か3年弱の2014年に公表された2014年Noticeの話しを始めた。中でもSがPからP株式を取得する際に支払う現金のみなし分配後のみなし現金出資に軽く触れるつもりが深みにはまり、2011年最終規則を適用するとPが所有するS株式の簿価にチョッと不思議なことが起こるねってところで終わっていた。

みなし現金出資とS株式簿価

みなし分配とその後のTriangular ReorganizationでPが持つS株式(Reverse Triangularの場合はT株式)の簿価がどんな風に動くかっていうところまでは前回のポスティングで詳細に触れた。Killer BのBに当たるB型再編を例に取ると、SにE&Pが十分にある範囲でみなし分配では簿価は動かず、その後のTriangular BでT株主がT株式に認識していた簿価がPの手のS株式の簿価に増額される。ちなみにこのルールはPが組織再編で調整するS株式簿価はsection 358じゃなくてsection 362の世界の話しなんで当然旧T株主の簿価がTranserされるのはそうなんだけど、旧T株主が認識してたT株式簿価とか実際には把握できないこともあるよね。Tに多くの株主が居たケースは特に。そこで80年代初頭からIRSは簡便法の使用をSafe Harbor的に容認している。旧株主にサーベイを送るのがベストだけど、ターゲットが上場企業だったりするとRetail投資家全員にサーベイ送る訳にはいかないし、仮に送付したとしても開封されない、または開封しても「何ですか、これは?」ってなってそのままゴミ箱、ってケースも少なくないだろう。そこでサンプル、概算計算その他の簡便法が認められている。Transfer Basisのサガだよね。

で、これにSがPからP株式を取得する取引に関して、Killer B規則でみなし分配された金額同額をみなし出資があると考えると、すなわち2011年最終規則を適用すると、Killer BでPがP株式移管対価として受け取っている金額分まるまるS株式の簿価が増額されることになる。Pは自社株をSに移管して、その対価として現金を受け取るとその額に関してS株式の簿価が増えるっていう不思議な現象だ。たかが簿価されど、っていう点は前回のポスティングでも触れた通り。すなわち資産の簿価っていうのは将来のNOLでNOLは資産簿価の化石だから簿価はNOLと同様に重要な属性だ。

そんな重要な属性が意味不明に増額するのはKiller B規則の趣旨に反するということで2014年Noticeは現金みなし出資の取り扱いは全面的に撤廃するって宣言している。この撤廃は単に2011年最終規則で追加されたPからP株式を直接取得するケースばかりでなく、2007年NoticeでデビューしたP以外からP株式を取得するケースにも適用される。みなし分配の後、どうやってP株式がSに移管したことになるんだろうね、っていうオリジナルの疑問が再発してせっかくUnchainedのリフ聴いて快適になったのにまたしてもスタートに逆戻り?って思ったんだけど、実は2014年Noticeはこの点に関して、形式的にはP株式をSが現金対価で取得してるけど、S株式簿価算定目的では単純にTriangular Reorganizationに適用されるルールを適用すると整理している。つまりP株式はPからみなし出資でSに移管されて、Sがそれを対価にT株式やT資産を取得するってことなんだね。ウ~んなるほど。となると結局、2006年の初回Killer B Noticeを読んだ際に第一印象的に考えた簿価算定法に落ち着いたってことなんで、だったらこれでまたチョッとスッキリ。でもUnchainedの域には達してないんで超トリッキーなテクニックでコピー不可領域のMean Streetのイントロでも聴いて「天才とはこういうことか…」って何回も繰り返し聞いたあの日を感慨深く思っておきます。

Priority規定

2014年Noticeが次に問題視しているのが2011年最終規則のPriority規定の濫用。Priority規定に関しては「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (9) 」で触れてるんで復習しておいて欲しい。Priority規定はsection 367(a)とKiller B規則の双方に抵触する取引に関して、どちらの規定を優先するか、すなわち双方では課税されないっていうルール。Killer B規則はsection 367(b)領域なんで、もう少し広範な(a)と(b)のオーバーラップ規定のサブセットみたいなもの。Killer B規則とsection 367(a)のどちらを適用するかは、各々の規則で「認識される所得」を比較して、金額が高い方の規定のみを適用して、他方はTurn-offするっていうもの。その際、Pが米国外法人でSが米国法人で、配当に対する源泉税が条約で免除されててS株式がUSRPIでない場合、すなわち苦労してKiller B規則でみなし分配を認定してもPに米国税負担がないケース、はKiller B規則の適用はなく、結果としてもし取引がsection 367(a) にも抵触するストラクチャーの場合、自動的にsection 367(a)のみを考えることになっていた。ここでは「No-US-Tax例外規定」って呼んでおく。

No-US-Tax例外規定とKiller B規則下の所得

で、IRSが問題視し、2014年Noticeで網を掛けようとした取引は、Priority規定を適用(悪用?)してsection 367(a)をTurn-offするケース。例えば、外国法人FPがFP株式を対価に米国株主に所有される米国USTの株式を買収するとする。その際、FPは米国子会社USSを新設し、USSに少額のE&Pを認識させる。で、ここからはKiller B取引で、USSがNote(Killer B分析上は現金と同じ。USSには十分な現金が存在しないという想定)を使ってFPからFP株式を取得。USSはFP株式を対価にUST株式を米国株主から取得する。Triangular B型再編だ。USTの米国株主がUST株式譲渡対価として受け取るFP株式は、FP株式の75%に当たるとする。

Killer B規則の適用でUSSのFP株式取得がみなし分配になるけど、USSのE&Pは少額なんで、配当も少額。源泉税対象になるのはこの少ない配当部分だ。USSが過去5年間、またはおそらくUSSは組成されて5年経ってないだろうから組成後一度もUSRPHCでなければUSS株式はUSRPIにならない。となるとE&Pを超える額がFPの持つUSS株式簿価を超えてみなしキャピタルゲインになってもFPには課税はない。USSに対するFPの株式簿価も低いって想定されるんで、Killer B規則のみなし分配はほぼまるまるみなし株式譲渡のキャピタルゲインとなる。しつこいけどこのキャピタルゲインはUSRPIではない株式の譲渡にかかわるもので、ECIでもないだろうからFPは米国で税金は支払わない。

これをPriority規定の視点からどう考えるかだけど、まず上で触れた2011年最終規則の「No-US-Tax例外規定」の適用があるかどうかを検討する。No-US-Tax例外規定の対象になるとKiller B規則の適用はなく、仮に取引がsection 367(a)対象でもKiller B規則とオーバーラップがなくなるんで、普通にsection 367(a)に抵触すればそのルールで課税されたりGRAを締結したりする。インバウンドのNo-US-Tax例外規定はPがSから受け取る配当が条約で源泉税から免除され、かつS株式がUSRPIでないケースに適用があるけど、上の例では少額のE&Pに対して30%源泉税が課せられるようなストラクチャーを敢えて演出してるんで、源泉税の大小にかかわらずNo-US-Tax例外規定対象取引にはならず、結果としてPriority規定で双方の所得を比較、Killer B規則かsection 367(a)で課税かを判断することになる。

分配がE&Pを超過すると、まず株式簿価を減額し、簿価がなくなると超過額はみなし株式譲渡キャピタルゲインが認識される。このキャピタルゲイン部分に関してUSS株式がUSRPIでなければ外国人であるFPに対する課税はない。一定のFIRPTAペーパーワークは付きまとうけどね。でもPriority規定は「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (9)」で触れた通り、税額ではなく所得額に基づく比較。これは2011年最終規則でPriority規定を最終化した際に敢えてそんな設計を選んでいた。さらに2011年最終規則では、比較時にKiller B規則側の所得として加味する金額にみなしキャピタルゲインも含むと明言している。

となると源泉税対象の配当所得は少額だけど、配当所得に加えてみなしキャピタルゲインもKiller B規則の所得額に加算され、これをsection 367(a)でトリガーされる所得額と比較して大きい方の規則を優先することになる。Priority規定の比較時にFPに課税がないにもかかわらずみなしキャピタルゲインも加味しちゃうっていう点は直観的に大丈夫?って思うかもしれないけど、2011年最終規則では敢えてそのような設計チョイスをしてしまってるんで規則解釈的には不合理ではない。

Section 367(a)下の所得

で、比較対象のもう一方の数字となるSection 367(a)下の所得だけど、Killer B特集の初版Early Beatles時代にKiller Bの予備知識としてSection 367全体を軽くおさらいした際に(a)に触れてるんで詳細はその時の「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (2)」を見て欲しい。簡単にsection 367(a)をおさらいしておくと、米国人が組織再編その他のSub Cの非課税規定を利用して外国法人に含み益を持つ資産を移管すると、移管先の外国法人はSub C非課税規定適用目的では法人格を否定され、結果、多くの非課税規定の適用が停止されてしまうっていう規定。その際、移管される資産は事業資産ばかりでなく含み益を持つ株式のケースもSub Cの非課税規定適用対象であればsection367(a)の対象となる。

株式移管に関してはInversion取り締まりの観点から特別なルールが規定されてて複雑。2004年にSection 7874が制定されてInversionの対象となる法人を罰するアプローチが導入されるまで、section 367(a)が米国におけるInversion対抗策だった。Section 7874とは異なり、Inversion的な取引に従事したと取り扱われる法人の米国株主が持つ株式の含み益に課税するアプローチ。このSection 367(a)下のInversion対策規則は財務省規則のsection 1.367(a)-3に規定されてて、1993年のHelen of Troy取引を基に規定されたことから我々の間では「Helen of Troy」規則って呼ばれている。ただ、このHelen of Troy規則はInversion対策としては余り効果がなかった、すなわちInversionは構わずに増えていった点は2016年に5か月23回大特集ボックスセットの「Inversion/インバージョン(プラスSpin-Off)(1)」で開始したシリーズで触れてるんで興味あったら読んでみて欲しい。Section 1.367(a)-3は移管対象となる株式が米国法人のものでも外国法人のものでも双方共に適用があり歴史的に異なる規則が規定されてるけど、当然、米国法人株式に対する規定の方が厳しい。

Section 367(a)とIndirect stock transfer

で、上の例に戻るとUSTの旧米国株主はUST株式をTriangular B型再編でUSSに移管してFP株式を対価として受け取っている。「だったら外国法人に資産移管してないからsection 367(a)は関係ないじゃん」って思った人はストラクチャーをフォローしてるんで座布団2枚。でも、ここで登場してくるのがsection 1.367(a)-3に規定される「Indirect stock transfer」だ。Indirect stock transferは前々回のポスティングでその存在には触れたものの、説明すると長くなるからって規定内容そのものには触れなかったんだけど、今回の例に関係する範囲に限定してここでチラッと触れておく。すなわち、外国法人FPに支配される法人S(米国内外を問わない)がTriangular B型再編でT株式を買収する場合、FP株式を(Sから)受け取るTの米国人株主はsection 367(a)目的でT株式をFPに移管したと取り扱われる。となると米国人株主はT株式を外国法人(FP)に移管してることになるんでSection 367(a)対象取引になる。

上の例だとUSTの米国人株主はUST株式を形式的にはUSSに移管してるけど、Section 367(a)目的ではFPに移管したことになる。しかも例ではFP株式の75%を受け取ってるんでUSTがInversionされたかのようになり(50%ルールに抵触するんで)UST株主を法人一社とするとHelen of Troy規則で課税される。場合によっては大きな課税となりかねない。

Priority規定の効能

そこで救世主として登場するのがPriority規定。Indirect stock transferでトリガーされるSection 367(a)対象所得額がKiller B規則の配当およびみなしキャピタルゲインの合計額より小さい場合、Section 367(a)はTurn-offされる。だけど、Killer B規則で確かに形式的に所得は認識はされるけど、少額の配当源泉税以外はFPには実際の課税はないから、Killer B規則下の見た目の所得額が大きい場合、Section 367(a)の潜在的に大きな課税負担を少額の配当に対する30%源泉税と交換することができる。

上の例ではUSSに少額のE&Pを認識させた上でのKiller Bなんで2011年最終規則のルールには表面的に合致しているけど、さらにもう一歩先を行く主張としてUSSにE&Pがないにもかかわらず、もしあったら条約で免除されずに課税されただろうからNo-US-Tax例外規定は当てはまらないっていうものもあった。概念的にはアグレッシブだけど、条文的には「P would not be subject…」という文言で「would」を本当は分配じゃないけどKiller B規則で分配とみなしてるっていう意味に加え「もし配当があれば」っていうニュアンスも含むんであれば可能な解釈のようにも見える。

2014年Notice新規則案

これは大変ということで2014年Noticeでは、これら不適切にも程がある(?)2011年最終規則の解釈・使用法に網を掛けようとした。上で既に触れたみなし現金出資全面撤廃に加えて、Priority規定を次のような改訂するとしている。まず、Priority規定適用検討時にsection 367(a)所得と比較するべきKiller B規則下の所得は「源泉税対象となる配当」および「実際にPに課税される範囲のみなしキャピタルゲイン」、そして「PがCFCの場合でPが認識する配当やみなしキャピタルゲインがSub FとしてPの米国株主の課税所得に合算される額」に限定するとしている。この改訂は2011年最終規則の税額ではなく所得で比較っていう概念は踏襲しつつも、所得が認識されても課税ない場合には比較時の所得に加味しないっていう税効果も考えるハイブリッド的なアプローチを取っている。

No-US-Tax例外規定に関してはKiller B規則のみなし分配に源泉税対象となる配当がなければNo-US-Tax例外規定が適用され、section 367(a)があればそちらで課税されることにするとしている。さらにPがCFCの場合にはNo-US-Tax例外規定の適用はない点を確認するとも提案している。すなわちTriangular ReorganizationでPがCFCの場合、Priority規定を含むKiller B規則の適用があるっていうことになる。2011年最終規則ではPとSが両社とも外国法人でどちらもCFCでなければNo-US-Tax例外規定が適用されるってなってたはずで、その内容とは合致してるけどダメ押し的な確認なんだろうか。

新規則適用開始日

2014年Noticeで提案されている新規則は原則、Notice公表日に当たる2014年4月25日以降にClosingするTriangular Reorganizationに適用があるとしている。とは言え、Noticeって法的な効果は持たないんで概念的にはNoticeの内容を反映した正式な財務省規則が最終化されて初めて過去遡及効果を通じて2014年から法的拘束力を持つことになる。何の前触れもない過去遡及はアンフェアなんで原則認められないと考えられるけど、Noticeが公表されている場合はその日に遡るのは珍しくない。最近、CAMT、自社株買い、IRA拡張再エネクレジット、R&D支出の資産計上とか多くの緊急課題に関して、正式な規則案を出して最終化っていう時間的な余裕がないためスピードの関係からNoticeが乱発されてるけど、納税者にとって有益なSafe Harbor的な規定を含むNoticeは、法的効果はないけど納税者による準拠が許される「Reliance」規定が含まれてることが多い。

2014年4月って文字通り10年前。規則公表をどれだけ待ってて、2023年末に案とは言え規則が公表されたときのExcitingな驚きはここまで読んでくれた読者には分かってもらえるね?現時点では規則案なんでNotice同様に法的な効果はない。ただ、2014年Noticeでは、Noticeで問題視している取引は既存の2011年最終規則に基づいてもIRSによるチャレンジの可能性ありと釘を刺している。

以上が2014年Noticeだったけど、Killer B物語はNever Ending Storyのようにまだ続いていく。2016年Noticeだ。次回は2023年の規則案が出る前の最後のNoticeとなるこの2016年Noticeに関して。

Friday, March 22, 2024

Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (10)

前回は遂に今日現在でもKiller Bに対する公式な規則としてSurviveしてる2011年最終規則に触れた。この時点でKiller Bサガの4分の3くらいはカバーした感じかも。今回のポスティングでKiller B特集はPokerに例えると「No more buy-in」で「Big blind is $1 million」みたいなFinal Phaseに突入する。Texas Hold’emを4人でプレーしてて、最初のプレーヤーがフラッシュ、次がフルハウス、その次がHigher Handのフルハウス、そして最後はストレートフラッシュ、とかハリウッドにしかあり得ない展開に近い迫力でKiller Bをフィニッシュさせたい。Killer Bは取引自体も対抗規則も共に高度に複雑な部類に属するんでなんだかんだ言って長編になってるけど、「We hope you have enjoyed the show」。ようやく「We're sorry but it's time to go」で「It’s getting very near the end…」だね。。

2014年Notice

Killer B規則最終化の2011年5月19日から僅か3年弱の2014年4月25日、IRSはNotice(「2014年Notice」)を公表し、またしても「子会社「S」が適格組織再編の一環で、P株式をS株式以外の資産を使って取得し、P株式をT株式またはTの資産取得対価とする取引で、PまたはSの少なくとも一社が外国法人のケース」に関して規則を策定するって宣言した。「え~、その取引って2006年Notice、2007年Notice、2008年規則案・暫定規則、2011年最終規則で取り締まるって言ってた取引そのもので規則は既に最終化されてるじゃん」って思ったかもしれないけど本当にその通り。最終規則まで出てんのにまた~?そうなんです。規則は2011年に最終化しては見たものの、納税者に出し抜かれて(?)規則を強化する必要が出てきたっていう展開。ここからKiller B物語のFinal Phaseが幕開ける。

難攻不落と思われた2011年最終規則だったけど…

2006年から5年の歳月を費やして最終化されたKiller B規則は大阪城級の難攻不落なものになってたはずだった。ちなみに難攻不落と言えば、一般には地味なイメージがあるかもしれないけど実は凄いのが小田原城。全国最長規模のお堀を駆使した城郭で他のお城に負けずに難攻不落。小田原って江戸の直ぐ西っていう戦略的ポジションに位置してるんで、もちろん江戸を西の敵から守るっていう重要機能を担ってたんだろうね。今日でも小田原散歩すると随所に当時の城郭の面影を見ることができる。復元だけど銅門とか迫力満点。お天気のいい日はわさび漬けとかまぼこだけ買って素通りしないように。

で、section 367(b)の西(?)を守ってたはずのKiller B城は米国MNCの城攻めに合って屈してしまった。ということは米国MNCって上杉謙信より強いってこと?

SがPからP株式を取得する際の現金みなし出資

またこの話し~?って思うよね。みなし分配された後に当現金がみなし出資で一旦Sに戻るのか戻らないのかは紆余曲折を経て2011年最終規則に至った点は以前のポスティングで触れた。この辺りのサガに関しては「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (9)」等を見て欲しい。簡単に変遷を復習しておくと、2006年の元祖NoticeではKiller B規則の神髄と言えるアプローチ、すなわち「外国法人が関与するTriangular Reorganizationの一環で、SがPからP株式を現金対価で取得する場合、現金対価の支払いは分配同様と取り扱います」っていうフレームワークが導入された。この2006年Notice段階ではみなし出資への言及はなかった。

2006年NoticeとS株式簿価

SからPへの現金移管が分配になるってことはSのE&Pの範囲でPは配当所得を認識する。E&Pを超えると最初にPのS株式簿価減額、次にS株式みなし譲渡益となる。2006年Notice時点では「みなし分配として取り扱われる場合、P株式はSにどうやって移管されたって取り扱われるんだろう?」って疑問は何となく残ってた。2006年NoticeのConstructとしては、みなし分配扱いは「PによるP株式のSへの移管」とは別取引って位置づけられてたんで、その場合、仮に会社法的にはPがT株主に合併等の買収対価として直接P株式を交付したとしても、少なくとも税務上はP株式はSの手にわたらないとTriangular Reorganizationにならないんで、PによるP株式のみなし現物出資になるのかな~程度に考えていた。これらの検討は単にP株式がどう移管されたってRecastするかっていう学術的な議論に留まらず、Recastの結果、取引にかかわる各資産の簿価がどのように変動するかっていう点も加味する必要がある。資産の簿価って将来のNOLだし、NOLは資産簿価の化石、って考えると双方の価値が理解し易い。NOLとの比較において簿価の有無や大小に比較的無頓着なケースを見ることがあるけど、これらの属性の価値は基本的に同じだ。結晶化(?)してるかどうかだけの違い。

2006年Notice風のアプローチに基づき、PのS株式に対する税務簿価を考えてみると、Sに潤沢なE&Pがある前提で、みなし分配をもってPのS株式簿価は減額されない。配当だからね。もしかしたら一部Sub Fに基づくPTEPがあり、簿価減額ポーションはあるかもしれないけど、Killer BはSのE&Pをsection 367(b)その他の障害物を潜り抜けて非課税で米国にRepatするのが主たる目的なんでSに潤沢なE&Pが存在してるって言う前提で考えておくべき。じゃなければわざわざこんなIntricateな取引に従事しないだろうからね。

じゃあ、Killer B規則のみなし分配後、PがP株式をSにみなし出資したってみなすとすると、Pの持つS株式簿価は例のゼロ簿価をどう考えるか次第なんで確固たるルールはないんだろうけど、おそらくゼロになるって考えられる。Section 1032とゼロ簿価の恐ろしい話は「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (6)」でまあまあ深堀りしたつもりなんで興味があったらそちらも読んでみて欲しい。ゼロ簿価だとすると、みなし分配とS株式みなし株式出資の時点でPのS株式簿価は取引前後で変動が見られないことになる。

Triangular Reorganizationと株式簿価

Triangular Reorganizationの世界では、次にSがP株式を対価にT株式やT資産を取得し、要件を満たせば各々Triangular B型再編/(a)(2)(E)のReverse Triangular MergerでA型再編、(a)(2)(D)のForward Triangular MergerのA再編になるけど、その際にPが持つS株式簿価調整はKiller Bの規則ではなくて通常のTriangular Reorganizationに適用される一般的な簿価算定ルールが以前から存在する。

まず、Forward triangular mergerの場合、実際にはT資産は合併でSに移管されるけど、Pが持つS株式の簿価調整目的では、あたかも一旦Pが直接ReorganizationでT資産を受け取り、T負債を継承したとみなされる。その場合、Pが受け取るT資産の簿価はTの簿価をそのまま継承する。で、もちろん実際にはPはT資産なんか受け取ってないんで次にT資産および継承負債をSに移管したとみなす。となるとPが持つS株式簿価はT資産の簿価マイナスT負債のネット額になる。このネット額が従来からのS株式簿価に加算される。

Reverse Triangular Mergerのケースも再編後にPが持つT株式の簿価調整に関しては、Forward Triangular Mergerと同様にアプローチする。すなわち本当はSがTに合併するんだけど、T株式簿価算定目的ではあたかもTがSに合併したかのようにみなして上のForward Triangular Mergerのステップを踏襲して計算する。もともとPが所有していたS株式の簿価はT株式の一部となる。米国でM&Aかじったことあるみなさんはご存じの通り、Reverse Triangular Mergerを活用して株式買収する取引は結構多くのケースでsection 351の適格現物出資、または後述のB型再編にも同時適格になる。その場合は上述のReverse Triangular Mergerに適用されるS株式簿価調整、またはsection 351やB型再編だったら行われるであろう簿価調整のどちらか好きな方で簿価を算定してOKとされてる。Reverse Triangular Mergerが条件を満たせばSection 351になるっていうのは多くの読者の皆さんが感じるであろう印象よりずっとパワフルかつInnovativeな取引を可能にする。Horizontal Double Dummyとか。Section 351にも支配要件はあるけど、組織再編と異なりContinuity of Interestはないんで英語でいうところの「nifty」なプラニングが可能になる。

次にTriangular B型再編時のS株式簿価調整。Killer Bの「B」はB型再編のBなんでB型再編時の簿価調整を語ることなくKiller Bの話しを継続する訳にはいかない。Forward Triangular MergerとかのRecastと似てるけど、まずTriangular BではPがT株主から直接B型再編でT株式を取得したとみなす。で、もちろん実際にはT株式はTriangularでSが取得してるんで、次にPがみなし取得したT株式をSに移管したと取り扱われる。これを簿価調整の視点から見てみると、最初のPによるみなしT株式取得時にはPが持つT株式簿価は原則、T株主の簿価を引き継ぐ。次に来るPによるT株式のSへの移管時には、SはPが一瞬認識したT株式を引き継ぎ、PはSに移管するT株式簿価と同額S株式簿価を増額させる。

2007年NoticeとS株式簿価

続く2007年のNoticeで初めてみなし出資に言及がある。2007年NoticeはP株式をPからではなく第三者やPの株主から取得するパターンにもKiller B規則を適用するって強調し始めたんで、それをきっかけにみなし出資の考え方が導入される。この時点ではSがP株式をPそのものから取得する取引にはみなし出資は適用されず、P以外の者からP株式を取得する際に適用があるって規定されていた。これは、でないとどうやってP株式がSの手元に移管され、また譲渡人にどのように対価が渡ったかの整理が難しかったからだろうか。すなわち、一旦Killer B規則に基づきSがPに現金をみなし分配する。でもP以外からP株式を取得してる場合、SはPには1ドルも支払ってないんで、PはKiller B規則のみなし分配で受け取った金額をSに即みなし出資して、Sはそれを原資にP株式を取得したっていう姿を演出することができるってことなのかな~って無理やり納得したもんだ。このポジションは翌年の2008年暫定規則でもそのままだったと思う。

2011年最終規則とS株式簿価

2011年最終規則ではみなし出資はP株式をPから取得した場合にも適用があるって規定した。このケースも要は現金分配だけではP株式はSの手元に渡らないんで、Sに一旦現金を出資したかのように取り扱い、その後に別取引としてSがP株式を時価取得したかのように取り扱うんだね、ってストラクチャー的に納得感十分でスッキリした感じで終わっていた。その時点の気持ちよさは超カッコいいロックのリフを大きなボリュームでブラストする、みたいな快感。カッコいいリフってPurpleのBurnとかZeppelinのWhole Lotta Love、古くはThe BeatlesのI Feel Fineとかたくさんあるけど、Top 20リストを個人的に作成する際に複数(結構たくさん)リスト入りするのはVan Halenだろう。Van Halenは「Somebody Get Me a Doctor」とかカッコいいリフやソロが多すぎてどれも甲乙つけ難いけど、敢えてここで一曲取り上げるとすると「Unchained」かな。Sus 4を多用したクラシックなリフだけど、今聴いても凄すぎ。開放弦E低音のフランジャー効果とかカッコよすぎ。Eddie Van HalenはギターTuningする際に全ての弦を半音下げてるんで絶対音感を持っているとEフラットに聞こえるのはそのため。Jimi Hendrixも同じことしてたよね。Bendingが派手かつ容易ってメリットはあるけど個人的には弦がベロベロするんで一長一短だな~って感じてて、Van HalenやHendrixコピーするときだけ半音下げてた。それにしてもEddie Van Halenってテクニカリティー的にも凄まじいVirtuosoだけどプラス抜群なセンスの良さが加わって向かうところ未だに敵なし。

Van Halenってデビューアルバムが出た直後に厚生年金会館、セカンドアルバムが出た後に武道館にライブ見に行ったけどEddie Van Halenのギターソロ的には一回目はEruption時代、2回目はSpanish Fly時代だった。ちなみに和文タイトルの件は前回のポスティングでも話題にしたけど、Van Halenのケースも当時のご多分に漏れずデビューアルバムは米国ではシンプルに「Van Halen」なんだけど日本ではなぜか「炎の導火線」(笑)。Eruptionに至っては歌詞もないのに「暗躍の爆撃」。他にも「お前は最高」とかムードぶち壊しな和文タイトルが炸裂してて懐かしい。セカンドアルバムでもこのTraditionは継続してて米国ではまたしてもシンプルに「Van Halen II」なんだけど日本でのパワーアップは止まるところを知らず「伝説の爆撃機」(大笑)。爆撃機ってなに~?って感じだけどね。セカンドアルバムに収録されているD.O.A(Dead or Alive)の和文タイトルが「生か死か」ってなってたけど、これチョッと感じ出てなくてフ~ンて思うよね。D.O.Aは19世紀の米国西部でならず者を指名手配する際にDeadになってもいいから捕まえて下さいっていう意味で、間接的におたずね者を殺しても罪には問われないっていうニュアンスだからね。歌詞も「Wanted~」(指名手配)ってDave Lee Rothが叫んでるしね。

あんなにアメリカンでギターカッコいいロックバンドはVan Halenが最初で最後だろうね。その後しばらく日本には来なかったけど、ロサンゼルスって言っても正確にはIrvineだったけど、ボーカルがSammy Hagerになってから見に行ったことがある。Sammy Hagerも凄いけどやっぱりDave Lee Rothの下品さが恋しかった。Eddie Van Halenのギターは相変わらず良かったから個人的にはそれが全てだったけどね。

で、2011年最終規則でみなし出資が常に適用ってことになってストラクチャー的にはスッキリしたんだけど、S株式の簿価を考えるとチョッと不思議な結果になる。Van Halenで興奮してチョッと長くなってきたんでここからは次回。

Saturday, March 9, 2024

Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (9)

前回は2006年および2007年のNoticeを受けて、2008年に遂に初のオフィシャルKiller B対抗規定が暫定規則および規則案(内容は双方同一)として公表されたところまで漕ぎつけたんだけど、深夜0時を回ってMozartの誕生日となったところで打ち止めになった。0時を回る前はEddie Van Halenの誕生日だったね。

2011年最終規則

2008年の暫定規則は2011年に最終化され、暫定規則そのものは撤回されている。暫定規則はsection 1.367(b)-14Tだったんで最終規則はTemporaryの「T」が外れてただの「-14」になると思いきや番号が代わりSection 1.367(b)-10に生まれ変わった。Killer B特集をトリガーすることになった2023年の規則案は未だ案なんで、この2011年最終規則は今日時点でもKiller B対抗策のオフィシャルバージョンだ。

Section 367(a) v Killer B規則の優先順位

2011年最終規則は原則2008年暫定規則の内容を踏襲しながら、いくつか注目に値する微調整が施されていた。

2008年の暫定規則にはKiller B規則の対象となる取引がSection 367(a)にも同時に抵触する場合の優先順位にかかわる規則が盛り込まれていた。いわゆる「Priority規定」だ。Section 367(a)に関しては「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (2)」で比較的詳細に触れてるんで興味があったらぜひ読んでみて欲しい。CFC課税が導入される30年も前の1932年に導入された米国人がSub Cの非課税規定を利用して資産を外国法人にアウトバウンド移管すると、含み益を課税するっていう趣旨の規定。課税は資産移管先の外国法人を非課税規定適用目的で法人とはみなさないっていう一見まわりくどい方法で譲渡益をトリガーする規則で、その基本的なアプローチは90年以上経った現在も変わらない。

どんなケースでKiller B規則とSection 367(a)が共存し得るかっていうと、例えばSがP株式を現金対価で取得して当P株式を対価にターゲット法人Tの株式を取得するとTriangularのB Reorganizationになる。その際、P、S、Tが全て外国法人でTの旧来株主が米国法人だとすると、取引全体はReorganizationだけどSection 367(a)でT株主はT株式の含み益に課税が生じる。正確に言うと課税は生じるけどTが外国法人なのでGain Recognition Agreement(「GRA」)をIRSと締結して、譲渡から5年以内にトリガーイベントがなければ実際に税金を支払うことにはならないはず。これはT株式を「Indirect transfer」したっていう特別な扱いになるんだけど、367(a)のIndirect transfer規定を語りだすとポスティング2~3回は費やすことになるんで含み益が課税対象になるっていうsection 367(a)下の結論だけ触れておく。一般的に米国人株主が外国法人株式を譲渡する際にsection 367(a)に抵触すると、外国法人のE&Pに対する合算課税は大丈夫~?っていう観点が付きまとうんで常に(a)と(b)のオーバーラップ懸念にかかわる検証が必要で、そのためにコーディネート的な規則がある。Killer B課税はsection 367(b)の一派だけど、2008年暫定規則のPriority規則では、section 367(a)で米国株主が認識する譲渡益が2008年暫定規則に基づきKiller B課税でみなし配当となる金額より低い場合、section 367(a)の課税はなく、Killer Bのみなし配当課税のみ適用があるとしていた。

実はこのPriority規定は呪われた夜と言え、2008年暫定規則から2011年最終規則で手が加えられたけど、2011年以降もKiller Bが絶えなかった理由の一つとなる。ちなみにイーグルスの「呪われた夜」って英語の原題は「One of These Nights」で、歌詞の内容的にこんな邦題を命名したっていうのは十分に理解できるんだけど、呪われた夜がリリースされた頃は僕たちまだ子供だったんで、友達と「One of these…」って英語で「呪われた」って意味だったんだね、とか話し合ってたInnocentな時代だった。最近はわかんないけど昔は結構なケースで英語の曲名に邦題が命名されてたよね。結構面白いのが多い。ビートルズのディラン風John Lennonの曲「You've Got to Hide Your Love Away」が「悲しみはぶっとばせ」(笑)だったり、Jimi Hendrixの名盤Bold As Loveに収録されてた「Ain’t No Telling」が完全に誤訳で「みんなおしゃべり」とか(正しくは「そんなことは分からない」的な意味のThere is no tellingの口語なんでさすがに後年この邦題は消滅)。

Priority規定は何と何を比較?

で、2008年暫定規則下のPriority規定はsection 367(a)にかかわる例外規定の適用は無視して米国株主がsection 367(a)下で認識するであろう譲渡益とKiller B規則に基づきみなし配当となる金額を単純に比較するものだった。すなわち、所得そのものを比較するんで、その結果生じる米国法人税の大小が比較される訳ではない。例えば、米国外法人Pの米国子会社Sが米国法人TをP株式を対価に買収する際、SがP株式をPから現金対価で取得するとKiller B規則で取得対価は分配となる。分配はE&Pの範囲で配当になって米国内法では30%源泉税対象だけど条約の適用が可能だと5%とか0%に減免される。したがって所得額ではなく最終的な税額で比較すると結果が逆転するケースもあるけど大丈夫?っていう問題が2008年から2011年の間に浮き彫りになりつつあった。

とは言え、最終的な米国税負担額を使うことになると、条約だけの影響に留まらず、P、S、Tという全ての登場人物の税務属性、例えばE&Pはいくらあるの~?とかを総合的に加味して考える必要が生じて実務面での運用が難しいという現実に直面する。そこで2011年最終規則では、原則、2008年暫定規則通りに所得額で比較するアプローチは温存しつつ、2つのタイプの取引はKiller B規則適用除外とする、という対応策を盛り込んだ。除外取引の一つ目はPとSが双方ともに外国法人でCFCではないケース。2つ目はPが外国法人でSが米国法人のケースだけど、PがSから受け取る配当はECIでなく源泉税が条約で免税になり、S株式がUSRPIでないケース。要は双方ともにSがPからP株式を取得する際の現金対価をKiller B規則で配当にしたところで米国で課税はない取引だ。これらのケースでTriangular Reorganizationに関してsection 367(a)の適用がある場合にはKiller B課税ではなくsection 367(a)に軍配が上がるということになる。

まあ、Killer Bって主に米国企業がCFCから米国側の課税なしでE&PをRepatする際のプラニングとして検討されてたと思うんで、2011年最終規則に設けられた2つの例外の適用対象となるKiller Bが実際にどれだけ存在したかは興味深いところ。

PのSecurities

2008年暫定規則やその前身のNoticeでは、Killer B規則はSが現金等の対価で「P株式」を取得する取引が適用対象だったけど、2011年最終規則ではこれを「P債券(Securities)」の取得にも適用を拡大してる。T株式、Securities、資産をTriangular Reorganizationで取得する際、対価にP株式に加えてSecuritiesを使用するケースがある。対価がSecuritiesだけだと通常は持分継続に問題があるって考えられるんでSecuritiesは株式に加えて使用される。株式適格組織再編やスピンオフ時に使用されるSecuritiesは7年等の長期債券で、T債権者と交換されないといけない。債権者は株式またはSecuritiesを適格対価として受け取ることが認められる一方、T株主はSecuritiesと株式を交換しても適格対価にはならない。適格ではない対価を組織再編を語る際には「Other property」って呼ぶんだけど、これは俗に言うBootのこと。また買収時にOutstandingだったT債券の元本を超える額のSecuritiesはBootと取り扱われる。OIDの場合、ここで言う元本が組織再編時の「Adjusted Issue Price」なのか、単純に「額面」なのかっていう結構ベーシックな適用に関して未だに明確なルールがなかったりして不思議。

で、2011年最終規則ではPのSecuritiesがT株主またはT債権者にとってBootになる範囲で、SによるPのSecurities取得をKiller B規則の対象にするって規定している。P株式はBootになるかならないかにかかわらずKiller B規則の対象だ。

PのSecuritiesがKiller B規則の対象になったんで、Priority規定にもその点が反映され、T株主およびT債権者がsection 367(a)下でsection 367(a)例外規定の適用を無視したら認識したであろう譲渡益が、Pが認識するKiller B規則下のみなし配当に加えてE&Pの金額および簿価を超えて認識されるみなし譲渡益の合計、より低い場合にはsection 367(a)の適用は停止される。逆に前者の金額をsection 367(a)の例外規定込みで算定し、そっちの金額が後者より高い場合には、Killer B規則の適用が停止され、section 367(a)のみ適用されることになる。Section 367(a)例外規定の適用有無が双方のテストで異なったりしてPriority規定も複雑。

SがPからP株式を取得する際のみなし出資

2008年暫定規則では、Killer B規則に基づくみなし分配後のみなし出資はSが「P以外」の者からP株式を取得するケースのみに認定されると規定されてた。これは個人的にはチョッと釈然としてなくて、もともと2007年のNoticeで初めてみなし出資に言及があった際には、P株式は実際にはSに移管されてるんで、SのPに対する現金分配っていうKiller B規則のRecastだけではP株式はSに移管された取り扱いにならないんで、SがPからP株式を取得した場合も、第三者からの取得同様、みなし出資が認定され、その後形式通りにP株式取得があったって取り扱うのが当然だろうって考えてたんだけど(「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (7)」)、2008年暫定規則ではそうなってなかったんで「う~ん、ということは普通にPからP株式を取得するKiller Bの場合は分配があったきり?」って不思議だった。つまり、じゃあP株式はどうやってSの手に移管されるんだろうね?っていう単純な疑問だ。2008年暫定規則は第三者からの取得のケースのみにみなし出資が認定されるって明言されてたんで、SがPからP株式を取得する場合、P株式譲渡にしても分配にしてもSから受け取る現金等の対価は実際にPの手元に残ってるんで、P株式の取得は実際に起こるとした上で対価の現金受け取り部分だけに分配同様の効果を持たせるってことなんでしょうか?とか「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (8)」で触れた通りモヤモヤした気持ちで3年間を過ごした。

2011年最終規則ではこの点に修正があり、SがPから直接P株式やSecuritiesを取得する際もみなし分配後にみなし出資があったって取り扱うって規定された。これで超スッキリ。

2011年最終規則その後のKiller Bサガ

ここまで完璧にKiller Bを封じこめたかに見えた2011年最終規則。それでストーリーが終わってたら、今回のKiller Bシリーズのポスティングはなかっただろう。2011年後、予想に反してKiller Bはさらに進化し、2014年のNotice、それを受けて変身を続けたKiller Bに対して2016年には更新Notice、そして遂に2023年10月には新規則案公表に至っている。2016年から7年間待ち焦がれてた規則案の思わぬタイミングでの公表に興奮して、まるでローマ帝国の歴史を紐解くかのように長編に着手っていう展開になってるのでした。ポスティングを読んでもらえればテクニカル面で魅せられざる得ないであろう点、IRSと納税者間の息を呑む知恵比べ、の両面から興奮せざるを得ない点は十分に分かってもらえるだろう。

ということで次回からKiller B物語はいよいよFinal Phase。Pokerだったら「No more buy-in」で「Big blind is $1 million」みたいなPhaseに突入だ。