Sunday, February 25, 2018

ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイは税制改正で「3兆円」の資産増

金曜日の証券取引所の立ち合いが終了した後に公表されるバークシャー・ハサウェイの財務諸表。意味のない会計原則に騙されて真の会社の価値が分からないままにバークシャーの株価が大きく変動しないようにという株主への心配りだ。金曜の夜から月曜日の立ち合い開始まで、出来のいいアナリストや投資家が紛らわしい会計原則を解読して、本当の会社の姿を理解するための時間を使って欲しいということらしい。格好良すぎ。

で、例年通り2月最終金曜日の夜に2017年次報告書が公開された。財務諸表と並んで、またはもしかしたらそれ以上に注目されるのが、年次報告書の冒頭に記載されるウォーレン・バフェット会長から株主への「手紙」だ。ウォーレン・バフェット会長の一語一句と同時に、記載が定着しているバークシャー・ハサウェイとS&P500の1965年からの成長率比較を楽しみにしている世界の投資家も多数居るだろう。今年の手紙によると、2017年までの年間平均成長率(CAGR)はS&P500が9.9%なのに対し、バークシャー・ハサウェイは20.9%となっている。う~ん、さすが「オマハの賢人」。凄い。

今年の手紙はウォーレン・バフェット会長の次の言葉で始まっている。

「バークシャーの純資産は2017年だけで653億ドル(100円換算で6兆530億円!)増加し、一株当り純資産はクラスA、クラスB共に23%増額しました。現経営陣がバークシャーの経営を担当するようになってからの53年間で一株当り純資産は19ドルから211,705ドルと、年間平均で実に19.1%の成長率を達成したことになります。

純資産増加のデータを提示して手紙を書き始めるのは過去30年続いた伝統と言えますが、2017年は過去の伝統とは全く異なる年となりました。というのも、資産増加の大きな部分はバークシャー自らの努力で達成したものではないからです。もちろん650億ドルの増加は真の増加なので、その点の心配はご無用ですが、バークシャーの業績を理由とした純資産増額は360億ドルに過ぎません。残りの290億ドルに上る増額は12月後半に米国議会が米国税制改正を可決して届けてくれた贈り物なのです。」

税法が変わっただけで純資産が3兆円近く増えるのも凄いけど、WSJはウォーレン・バフェット会長は、3兆円もの「棚ぼた」をもらったのだから他でもないトランプ大統領の感謝しないといけませんね、と、2016年の大統領選挙時にはクリントン支持で知られていたウォーレン・バフェットを皮肉っている。他のメインストリームメディアよりはマシかもしれないけどWSJも口が悪い。

バークシャーの純資産増加の主たる理由は税率の引き下げにより繰延税金負債(DTL)が減少した点だ。日本企業の米国子会社でも加速度償却とかでDTLの残高が大きかったところは同じような恩典を享受している。反対に繰延税金資産(DTA)の残高が大きかったところは被害にあってるけど。ここは明暗が分かれるところ。

この点に関してWSJはAT&TやComcastも同じような「Paper Gain」の恩典を享受していると報道しているが、Paper Gainと言う表現が適切かどうかは若干疑問。確かにDTLの評価替えをしても、その段階で現金が入ってくる訳ではない。バークシャーの財務諸表の開示を見ると、税制改正を理由とする290億ドルの純資産増加のうち、税務上の加速度償却やボーナス償却に基づく資産償却のDTLだけでも130億ドル減額(すなわち資産増加)している。これは実際に税率が35%だった年に償却100ドル当たり35ドルの法人税を既に減額したという実績に基づく。この前倒し償却メリットが2018年以降に反転して、会計の利益に当メリット額を上乗せした結果支払うこととなる追加法人税は35ドルではなく急に21ドルに減ってしまったこととなる。これは実際の恩典だ。ウォーレン・バフェットが手紙の冒頭で敢えて「真の(Real)」資産増加と宣言しているのも、このような報道を先取りしているような気がしてならない。

ウォーレン・バフェットと言えば、バフェット・タックスという富裕層に対する増税を提唱したりしているので、バークシャーも法人税を保守的に支払っているのでは、というようなナイーブな錯覚があるかもしれないが、それは全くの勘違い。弁護士協会のような集まりでM&A法人税プラニングで革新的な手法を検討する際には必ずと言っていいほどバークシャーの節税プラニング例が出てくる。WSJにもバークシャーは税率引き下げを見越して、含み損を抱える資産を税率が35%と未だ高い2017年内に売り急いでいたという事実が記載されている。全然悪いことでもないどころか、企業経営者として当然かつ基本的な戦略だ。

税務業界ではウォーレン・バフェットは法人税を繰延できるのであればできるだけ繰り延べるのが有利と言う当たり前のことを良く理解している投資家として知られている。いつか触れたバーガーキングのInversionでSection 367 の抵触がないSection 721を利用したような画期的な手法を実際に利用しているのはそのいい例だろう。法人税を繰り延べて、将来支払う法人税を35%で負債計上していたところ、税率が下がって21%で済むんだったらそれは「本当の」資産増だ。法人税はとにかく保守的に支払う、というようなポリシーでは53年間のCAGRが20%超えるようなことはあり得ないということかもね。

Wednesday, February 14, 2018

米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)「Unplugged」(1) – BEAT(6)

過去2回、速報みたいな感じで税制改正法文の不明点に対するガイダンス系のアップデートをしたけど、ここでまたBEAT復活。「BEAT」と「復活」って2つの用語を並べると、どうしてもその昔「Beatlesはいつ再結成して復活するんだろう?」って期待してた頃を思い出してしまう。

B面(古いね)が素晴らしいAbbey Roadをバンドして最後に録音し、その後、危うくお蔵入りとなりそうだった過去のGet Backセッションの膨大なテープにWall of SoundのPhil Spectorが派手なオーバーダブを施してリリースに漕ぎ付けたLet It Beを発売し、解散してしまったBeatles。解散のショックも未だ冷めやらぬ1970年代の頃は未だ再結成の期待は大きかった。

それにしても、Phil SpectorプロデュースのLet It Beはオーバーダブが過ぎて原型をとどめてないような曲もあるけど、2003年に発売されたLet It BeのNakedと聞き比べて最終的にどっちがいいかは難しいところ。Nakedの発売を待つまでもなく映画やBootlegで既にNakedバージョンは聞いていたので驚きはなかったけど、好むと好まざるにかかわらず30年近くWall of Soundプロダクションに基づく重厚なオーケストラサウンドを公式バージョンとして聞いてきただけにNakedは何となく逆に物足りなさを感じてしまった。

Beatles再結成に一番近かったのはRingo Starrの(意外な?)名作「Ringo」の頃かな。1973年にロサンゼルスのSunset StudioとロンドンのApple Studioで録音され、Apple Recordから発売されたこのアルバム。解散後のPost-Beatleの作品の中でも3本の指に入ると言ってもいい名作だろう。Photographとかいい曲だし、Ringo Starrって歌が下手なようで上手い。John Lennonはいい曲もあるけど、解散後のアルバム完成度は今一つな観は否めない。敢えて言えば、Yokoが許さなかっただろうけど、Double FantasyをLennonの曲だけでSingle Fantasyにしてくらたらどんなだったかな、もしかするとベストだったかも。Paul McCartneyはMy LoveとかAnother Dayとかそれなりにいい曲も多く、アルバムもBand on the Runとかまあまあ。George HarrisonはGive Me LoveとかMy Sweet Lordとか良かったけど盗作問題でケチがついてしまったね。

で、アルバムRingoではGeorge HarrisonとJohn LennonがSunset Studioに揃って現れLennonぽい名曲「I am the Greatest」を一緒に録音したそうだし、数日後にはRingo Starrはロンドンに飛び、麻薬不法所持の関係で当時、米国入国ができなかったというPaul McCartneyと「Six O’clock」をApple Studioで録音している。Six O’clockは実にPaul McCartneyっぽい名バラードで、シンセサイザーのソロがBeatlesのRevolverとかの時代を彷彿とさせる。4人が一堂に会すことはなかったとは言え、1つのアルバムで4人全員揃っているのは感動。アルバムの最後にRingo StarrがCredit代わりに参加メンバーの名前を言っていくところがあるけど、Beatlesの他の3人の名前を一気に言っていて迫力満点(?)。

それにしても、John LennonもSunsetでのレコーディングの後は直ぐにNYCに戻ったそうだし、Ringoもわざわざロンドンに行って直ぐにL.A.に戻ったりとなんかBig 4会計事務所で出張(?)してるみたいなスケジュールで結構みんな頑張ってたんだね。

で、アルバムRingoが発売されたこの頃はよくPlayboyとかの雑誌で「いよいよ再結成か」みたいなそれらしい記事が出ては消え、という時代だった。子供の頃だったからメディアの報道に一喜一憂したのを記憶している。John Lennonが1979年に殺されなければ再結成はあっただろうか。ない方がレジェンドとして残るにはよかったか気もする。Jimi Hendrixみたいに。

で、再結成がなさそうとなると、次にBeatlesの再来かという触れ込みのバンドが次々登場した。コーラスっぽいバンドでベーシストがリッケンバーガーとか使ってると特に、レコード会社が「Beatlesの再来」って売り込んで、実際には全然再来じゃなかったバンドがいくつもある。あんなバンドの再来がある訳ないじゃん、って思うけど。Bay City Rollersとか、チョッと作られた感じで足元にも及ばなかったし、KnackもMy SharonaとかGood Girls Don’tとかいいけど、結局ワンヒットワンダーっぽかった。余り知られてないかもしれないけど、スコットランドのPilotってバンドもコーラスがBeatlesっぽくて一瞬「再来」組の一人だった。結局MagicとJanuaryの2曲くらいしか記憶に残ってないけどね。でもMagicはいい曲だった。2008年に意外にもナンと「あの」Selena GomezがWizards of WaverlyでPilotのMagicをリメークしてて結構カッコ良かったのでビックリ。どこからあんな古い曲見つけて来たんだろう。

で、BEAT復活で大きく脱線してしまったけど、タックスのBEAT。前回までBase Erosion PaymentとBase Erosion Benefitsはカバーしたので、今回はBase Erosion %について。最初の大枠のところで触れているけど、Base Erosion%は2つの目的で使用される。

まずは納税者がBEAT適用対象となるかどうかを判断するテスト目的。すなわち、Base Erosion %が3%に満たない課税年度はBEATの適用がないというテスト。この3%基準、機械的なテストだから2.999%だったらBEAT適用外となる一方、3.00%ピッタリだったら適用対象となる。この%が際どいと予想される場合には、分母を増やすか、分子を減らすかして何とかここを3%未満とするよう試みるのがBEAT防御の最前線と言えるだろう。

そしてもう一つの用途は修正課税所得を算定する際にNOLのどの部分を加算調整するかの算定目的。こちらはその適用法が法文では明確でないが、その点は後で触れる。

Base Erosion %は課税年度に申告書に計上される費用(「Deduction」)全額のうち外国関連者への支払いを基としている費用、すなわちBase Erosion Benefitが占める割合となる。分母は費用全額なので当然、Base Erosion Benefitも含む金額。BEAT全体を通してそうなように、税法上Reduction(Gross Incomeを算定する際にマイナスされる金額)と規定されるCOGSのような金額はBase Erosion %算定時にも分母にも分子にも加味されない。例外はInversionで、Inversionした法人に対しては懲罰的にReduction項目もBase Erosion Benefitなので、その場合は分母と分子の双方にCOGSを含むReductionを加算することになる。日系多国籍企業は生まれながらにInboundなのでこの点は心配ないのが通常。

税法上、Deductionに区分されるけど、分母・分子に加算しない項目が複数規定されている。まず、欠損金が繰り越されたり、繰り戻されたりしてくるケースでも%算定時には繰越欠損金は無視して考える。次に10%以上の持分を保有する外国法人からの配当を非課税とするための100%配当控除も加算しない。外国法人からの配当非課税は一旦全額益金に算入したものを100%Deductionを取る形で非課税とする仕組みなので、このような規定が必要となる。そしてFDIIおよびGILTI控除。FDIIとGILTIは面白いのでいつか詳解してみたいが、FDIIは米国から外国に販売、役務提供、ライセンシングなどをしているケースで、それらの取引に関して動産からのルーティン利益を超える超過利益部分に37.5%の所得控除を認めて税金を算定してよろしいというオンショア促進策。37.5%差し引いたネット所得に21%の税率を掛けるので実質13.125%の実効税率となる。かなりグローバル的にCompetitive。GILTIは逆にCFCが米国外で超過利益を認識すると米国で毎期課税所得とするグローバルミニマム税的なコンセプト。その際に一旦超過利益を全額益金として、その50%を所得控除することで実質10.5%で課税するというもの。FTCが80%まで認められるので、理論的には(実際には金利の配賦とかでそうでないことも多いけど)米国外で13.125%で課税されていればGILTIに基づく米国株主側の追加税負担はないこととなる。どっちも13.125%がベンチマークなのでオンショア、オフショアでレベルセッティングがされていることとなる。で、この37.5%とか50%のFDII控除、GILTI控除はDeductionだけれどもBase Erosion %算定目的では分母には入らない。

そして外国関連者に支払うマークアップなしで請求可能なサービス費用(SCM)と適格デリバティブ。このSCMと適格デリバティブは以前のポスティングで触れた通り、外国関連者に対して支払っていてもBase Erosion Paymentから免除されており、したがって分子となるBase Erosion Benefitに入らない。この理由で分母への加算も認められない。

で、このBase Erosion %の算定時には「Aggregation」規定が適用されるので、特定のグループの数字は合算して検討しないといけない。チョッと話しが逸れたせいで長くなってしまったので、Aggregation規定とNOLにBase Erosion %を適用する際の不明点は次回。

Saturday, February 10, 2018

米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)財務省のガイダンスプラン

なんだかんだとバタバタしている間に、始まったばかりと思っていた2018年も早くも2月前半になってしまった。その間、可決から僅か1月半とは思えない程、新しい税法三昧で、「これって本当にできて1カ月チョッと?」って不思議に思うくらい、59A、245A、250、951Aとか馴染んできた感じもある一方、条文は読めば読むほど理解が進むと言うよりも不明点が浮き彫りになってきている。

結構基本的な部分で、読む者により解釈が異なったり、適用のポジションが大手法律事務所、Big 4会計事務所の間でも意見が割れたりしていて面白い。今後、Noticeとか財務省規則でガイダンスが出されるまでは、立法趣旨も加味した条文解釈に基づいて各々の納税者がポジションを取っていくことになる。その意味では都合の悪いガイダンスが出る位だったらSubstantial Authorityに至るポジションがある前提で法文解釈していた方が有利かもね。

日本的な感覚だと、これだけの不確実性を伴ったまま既に大量の新税法が法的な効果を持っているという状況はチョッと不思議に思えるかもしれない。ここは日本と米国の立法プロセスの差異に因るところが大きい。憲法の三権分立の概念が実際に確立している米国では、立法は議会が行い、その時点で財務省を含む行政府が省令を検討するようなことはない。法律はあくまで立法府である議会で完結し、その後、条文そのものに「この部分はSecretary(ここで言うSecretaryは秘書ではなく財務省長官のこと!)に細部を規定する権利を委譲する」とされている部分のみ、そのスコープ内で財務省が規則を策定する権利を与えられる。で、必ずしも直ぐに財務省から規則が出てくる訳ではない。何年か経って忘れた頃に出てくる規則も多いし、法的な拘束力を持たない規則草案が公表されたまま塩漬けになっていることもある。今では懐かしくすら思える旧163(j)のアーニングス・ストリッピング規定も結局、30年近く規則は最終化の日の目を見ることなく、挙句の果てに法律そのものが撤廃されてしまった。この辺りは毎年同じタイミングが大綱が出て、その時点で省令まで落とされている日本のプロセスとは全然違う。

となると、そんな状況で納税者はどんな税務処理をすればいいのか、っていう質問を良く受けるんだけど、法文は文字通り読んで、また立法趣旨が分かればその範囲で合理的な解釈をして処理すればいいだけの話し。何でもかんでも法律を施行する側の財務省の意向を待つ必要はない。でも、後で税務調査の時点でIRSが納税者の取ったポジションに合意しないかもしれないじゃん、って思うかもしれないけど、それはもちろんその通り。その際に肝心となるのが納税者側の解釈に「Substantial Authority」レベルの確証度合いがあるかどうかという判断。

Substantial AuthorityっていうのはMore Likely Than Not(50%超)よりも低く、定量的に数値で図るのは容易ではないけど40%程度の確証度合いとなる。Substantial Authorityのあるポジションに関して税務調査でIRSが追徴をする場合、ペナルティーの適用がなく税額と金利を支払えば終わりとなる。なので仮に追徴という結果になってしまっても最初からコンサバな申告をして税金を自ら納めていたのと同じ状況に戻るだけと言える。ここの感覚も日本とは随分異なると思う。日本的には、社内評価も、外部アドバイザーの評価も、最初からコンサバにしていれば罰点はないけど、ポジションを取って後から追徴となると仮にペナルティーがなくても減点のイメージが強い。経済的には同じことなんだけど、これらの点でも結果としてポジションがあるのにそれを取らずに企業として損してるようなケースも多い。米国企業のTax Directorは税務調査で追徴があること自体でBlack Eyeとなることはないだろう(もちろん内容次第だけど)。また、法文が財務省に規則策定権を与えている場合も、その点に関して規則が実際に効果を持つまでは他の法文と同じように解釈をして臨むことに問題はない。財務省規則の策定権に言及されているからと言って、そのポジションに関して他との比較で異なる法文解釈アプローチを取る必要はない。

そんな背景なんだけど、先日水曜日(2月7日)に財務省が、ガイダンス公表必要性の面から優先順位が高いと思われる18項目を特定した「ガイダンスプラン」を公表した。これらの項目に関しては近々に、と言っても6カ月とかのスパンなんだと思うけど、順次優先的に財務省規則が策定されるようだ。優先順位の甲乙は個人を含む広範な納税者の関心を反映しているので、必ずしも日本企業のニーズに合っている訳ではないけど、一般の納税者がどの条項に関心を持っているのを図り知る上で興味深い。多国籍企業に対してBase Erosion対策を規定しているBEATは、全体から見ると若干特殊な規定という理由なのかもしれないけど、リストに特定されていない。国際課税一般という文言があるのでそこに含まれるのかもしれないけど。いずれにしてもBEAT適用時の不明点、特に過去から繰越NOLがあるケースの修正課税所得の算定法に不明点があるのは既に財務省側にも認識があるので、仮に優先リストから漏れたとしても、18カ月程度のタイムラインで比較的包括的なガイダンスが出てくるだろう。例題(Example)とか沢山載ってると助かるんだけどね。

18カ月とか随分気の長い話しに聞こえるかもしれないけど、BEATは2018年から適用なので、カレンダー課税年度の納税者でもBEATを反映した初めての申告書提出期限は2019年10月。なんで、申告書を出す頃までには大概の様子は分かるはず。やはり早急にガイダンスが必要なのは、2017年課税年度の申告書に既に影響がある特定外国子会社の留保所得一括課税だろう。まさしくその理由で12月末からNoticeというライトタッチでIRSが確認事項を公表している。既に2つのNoticeが出ているが、最低後1回はNoticeを出すようだ。

で、ガイダンスプランによると、法人税、事業課税に直接的に関連する条項で優先順位が高いとされているものは必ずしも多くない。支払利息損金算入制限の(新)Section 163(j)、動産の即時償却を規定したSection 168(k)、個人オーナーが自営業またはパススルーから認識する事業所得に対する20%の所得控除を規定したSection 199A、そして留保所得一括課税のSection 965。この965の部分に「その他の国際課税に関する税法改正」とあるので、これにBEAT、Anti-Hybrid、GILTI、FDIIなんかが入ってくるのだろうか。更にインバウンド系ではECIに従事するパススルー持分を外国人が譲渡した際の源泉徴収を規定しているSection 1446(f)も含まれている。

という訳で、次回こそBEATの話しに戻りたい。