Thursday, November 4, 2021

バイデン増税案大幅縮小「法人税率据え置き」(3) 代わりに税引前利益に15%AMT?

15%AMTの適用を検討する際には、どの財務諸表のどんな数字をみて会計上の利益と考えるのか、っていう点が当然重要になるけど、この検討、主に2つのステップで登場してくる。まず最初は15%AMTの対象法人がどうかっていう判断時。で、次は対象法人となった場合の実際の15%AMT計算時。この2つのステップに適用される会計上の利益は概念的には共通だけど、双方で取り込む対象主体の範囲が大きく異なるんで、別々に考えないといけない。この前書いたかどうか忘れたけど、課税年度や会計年度が異なる場合には、最終的に15%AMTの計算対象となる米国法人の課税年度に数字を調整する必要がある。

前回は使用が認められる適用財務諸表、そしてそれをテスト対象の主体にかかわる部分だけにシンクロさせる点に触れた。また、各主体の財務諸表の利益にどんな調整をして使用するのか、っていう点に関して関連会社の所得に対する取り扱いの考え方を米国の目から見たCFCとそうでない主体に分けて整理してみた。

Disregarded Entity

米国外の人が米国税法の取り扱いを検討する際に、何それ?って思うだろうなっていうポイントは沢山あるけど、Check-the-Box規定に基づく主体区分もその一つだろう。普通に考えると主体があればあるし、なければないけど、米国税法上は必ずしもそうじゃない。Check-the-Boxを含む主体区分を軽く考えている人が居るかもしれないけど、とんでもない話しで、世界中の様々な法的主体、会社法的に存在しないコラボ系のアレンジ、信託とか組合とかを米国税務上、どう位置付けるのかはそれだけで複数のボリュームの本になるようなテーマ。主体区分の分析結果次第で課税関係は180度異なるんで多少コストが掛かってもきちんと検討して、リスクがあるんだったらリスク度合い、最悪起こり得るシナリオ(BBAとかPTPとか含む)とかを納税者が把握しておく必要がある。

で、今回の15%AMTの適用時に、法人がDisregarded Entityを所有している場合、財務諸表も当Disregarded Entityを含む形に調整することと規定されてる。これは当然。

会計上の利益は税引前?

15%AMTに使用する会計上の利益は、税金を計算する数字だから税引前のものと考えるのが大自然なんだけど、ここの規定は分かり難い。法案では、米国連邦法人税、米国税法の視点から税額控除の対象とすることが認められるタイプの属領を含む米国外の法人税(用語としては「Income, war profits, or excess profits taxes」)は直接・間接に財務諸表に取り込まれている範囲で調整することとしている。ここで言うIncome, war云々の法人税は費用控除が認められるネット課税所得に対する法人税、または源泉税が対象になると考えれば大概において間違いない。DST等の横行で財務省が慌てて規則草案を公表し、FTC目的で外国法人税となるための新要件(または既存要件だけど明文化されていなかった?)「Jurisdictional Nexus」という概念を導入しようとしてるけど、規則が最終化する暁にはこの点も加味して何が法人税なのか判断する必要がある。

また、直接・間接という部分は財務諸表で認識される会計のみのコンセプトになる繰延税金費用とかも戻すってことなんだろうか。もう少し詳しく書いてもらわないと良く分からない。後は財務省に一任して500ページとかの規則が出てくるのかな。多分ね。

FTCとの関係

で、この法人税額の調整に関して、「ただしFTCを選択しない課税年度は調整は不要」としている。これは単純に考えれば何の不思議もない。

間接FTC、すなわちGILTIやSub Fを合算する場合のFTC(それ以外の間接FTCは2017年税制改正で撤廃)を計算する「本当の」法人税の世界でも、FTCを取る場合にはSub FやGILTIの基となるTested Incomeは税引き後だけど、それらの所得に帰属すると取り扱われる法人税はグロスアップする。一方、FTCを取らない場合には、グロスアップの必要はなく、結果として法人税はSub FやGILTI計算時に所得控除されていることになる。これを15%AMTにそのまま当てはめると、上のようなルールになるんだろうけど、15%AMTの対象になるかどうか判断しようとしている時点では、実際に15%AMTを計算するかどうかも分かんないし、その先、FTCが有利なのかどうかも分からない。または15%AMTの対象になるかどうかも加味してFTCが有利かどうか決める必要があるということなんだろうか。

実際に事業経営で苦労した経験がない議員さんや職員室で議論を続けるアカデミックな世界ではワークするかもしれないけど、実際にこれらのルールを適用しないといけない法人側のコンプライアンス負荷上昇はNever Ending Story。Never Ending Storyって言えばリマールが歌ってたテーマソング良かったよね。リマールね。元カジャグーグーのボーカル。Duran Duranがプロデュースした「You are too shy shy, Hush hush, Eye-to-eye」ってやつ、ちょっとPet Shop BoysのWest End Girlsみたいで格好良かった。West End Girlsはいきなり「Sometimes you're better off dead...」ってなんとも言えないダークな感じで始まってた。覚えてる?っていうか生まれてた?80年台のロンドンにタイムトリップしたいね。

次回は15%AMT NOLとFTCについて。

Tuesday, November 2, 2021

バイデン増税案大幅縮小「法人税率据え置き」(2) 代わりに税引前利益に15%AMT?

前回のポスティングでは、法人税率が21%据え置きとなる可能性が高いっていう意外な展開となる代わりに、会計利益15%AMT法案が急に浮上してきた進展に触れた。ついでに調子に乗って政治家の偽善ぶりや市民感覚のなさ、何年も米国に住んでるけど最近余りに目に余るので、にもチラッと触れたんだけど、ちょうど同じような記事がウォールストリートジャーナルの社説に記載されてたんで笑ってしまった。カーボンの話しや外食禁止に触れながらエリートたちの偽善ぶりが指摘されてて全く同じ切り口。市民や地球のことを本当に考えてくれる政治家が増えてくれますように。

テスト対象合算主体の特定

さてさて、前回のポスティングでは、どの法人が15%AMT対象になり得るか、って話しを始めた。最終的に15%AMTは米国で申告している米国法人、連結納税グループ、PEやUSTOBに関して申告している米国外法人、が計算をするんだけど、そもそも計算をする必要があるのかどうかの判断は関連者グループ全体で判断する。お馴染みのAggregation(合算)ルールだ。古くは、累進税率の低税率区分を利用するため、事業を複数の法人に分けて行うような作戦に網を掛けるような概念だったけど、売上やBase Erosion%とか、規模的な判断時にお約束のように登場してくる概念。ただ、必ずしも納税者にとって不利な結果となるとは限らない。自社だけだとBase Erosion%が3%行くようなケースでも合算してみると2.9%だったりすることもあり、その場合にはラッキーな結果となる。

前回も触れた通り、15%AMTの適用判断テストは、会計利益$1Bっていう原則テストとインバウンド企業のみに適用される会計利益$100Mの変形インバウンド企業テストがあり、インバウンド企業に当たる日本企業の米国子会社や支店は双方のテストを充たして初めて15%AMT対象になる。ここは最重要ポイント。

適用判断時には、まず50%超の資本関係で結ばれるグローバルグループのメンバーを正確に特定する必要がある。それらのメンバーが一人の納税者かのように取り扱われるからだ。これは直接・間接・みなし持分規定等を加味して決定する米国税法ベースだ。

メンバーを正確に特定したら、米国企業、インバウンド企業を問わずまずは全員に適用される原則テストで引っ掛かるかどうかテストする。簡単に言えば特定されたメンバーの会計上の利益を合算してみて3年間平均が$1B超えてるか、って話し。ザックリと単純に財務諸表ベースだと日本企業もグローバルベースで利益が$1B超えてるところは結構あるはず。

適用財務諸表

3年間平均会計利益を特定するには、まずどんな財務諸表の使用が認められるのか、っていうベーシックな検討から入る必要がある。使用可能な財務諸表には優先順位があり、GAAPベースで作成された監査済み財務諸表のうち10‐KをSECに提出しているケースは10‐K、10‐Kの提出義務がない場合には債権者・株主・パートナー・受益人その他の所有者向け、または税務以外の目的で作成されたもの、それもない場合には、SEC以外の連邦省庁に提出しているものを使用する必要がある。これらのGAAPベースの財務諸表が存在しない場合は、IFRSに準じて作成されたものでSECに準じる基準を持つ他国の証券取引委員会に提出されているものを使う。日本企業の多くはこれを使うことになるんだろう。さらにこれもない場合は、他国の省庁に提出する財務諸表を使用することになる。$1Bの利益があるかないかの話しだから、これらのうちなんかはあるはず。

で、財務諸表がカバーする主体と、税務目的で判断対象となる主体がピッタリ一致してたら苦労は少ないんだけど、通常はそうじゃないんで、そこをシンクロさせる必要がある。例えば、最終的に15%AMTを計算する際には米国子会社に限定された財務諸表が必要になるんだけど、使用が認められる日本で証券取引委員会に提出しているグローバルベースの連結財務諸表があるとすると、そこから対象となる米国子会社にかかわる部分の金額のみを抽出する必要がある。連結納税グループに関しても同じで、連結納税グループに属するメンバーにかかわる部分の金額のみを抽出することになる。

15%AMT対象法人となるかどうかの判断時は話が若干異なって、50%超ベースのControlled Groupメンバーを一人の納税者として取り扱うことから、まずは最初のステップで特定したControlled Groupメンバーに属する主体にかかわる利益を取り出す必要がある。一人の納税者とみなさられる複数の主体と、財務諸表がカバーしている主体は若干異なったりするだろうから、そこは調整が必要で、グローバルベースで50%超のControlled Groupメンバーとなる主体群に帰属する部分の金額を把握しないといけないからだ。

調整財務諸表利益(Adjusted Financial Statement Income)

で、調整はまだ終わらない。っていうか未だ調整は始まってなくて、この段階ではようやく適用財務諸表からControlled Groupメンバーに帰属するRaw Dataを抽出したに過ぎない。最初の調整は配当所得。他主体の所得は後述するCFCは除き、配当があるまで合算しないとされる。すなわち、最終的に15%AMTを算定する単位となる法人は自己帰属部分の利益として、投資先の所得を持分法とかで取り込むことなく、配当ベースで利益を認識しなさい、ってことみたいだ。もちろん連結納税グループのケースは、連結納税グループは一人の納税者同様なので、メンバーに帰属する利益は全て取り込まれるけど、それ以外の投資先の所得は配当ベース。15%AMT対象法人かどうかの判断時には、50%超Controlled Groupメンバーは一人の納税者なのでそこに属するメンバーの所得は原則まるまる加算され、それ以外の投資先の所得は配当ベースってことになる。面倒くさそう。

で、CFCに対して議決権または価値ベースで10%持分を所有する米国株主に関しては、配当ベースではなく特別に毎期、CFCの利益の持分相当を合算する。ここで言う持分はSub Fの取り込みやGILTI計算時のTested IncomeやLossの取り込み%を適用するそう。これはクロスボーダー課税では「Pro-Rata Share」と呼ばれる%なんだけど、優先株とか複数のクラスの株式が存在する場合はそれだけでも大変な検討。GILTIの財務省規則でもかなりの紙面を割いて苦労していた部分だ。Tested IncomeやLossだけでなく、みなしルーティン所得の計算根拠となるQBAIの取り込みとか。これを財務諸表に適用するってことだけど、優先株式とかあって特定のCFCに関して会計上損失だったらどうするんだろうか。Tested Lossに対するコンセプトを流用するのかな。税法と会計を混合して適用する事務的な負荷は高い。また持分に準じてCFCから合算額を計算してみてネットでマイナスとなる場合、マイナス額はその期に認識することはできない。マイナス額を繰り越し、将来的にCFCからの合算額合計がプラスとなる課税年度に繰り越しマイナス額を差し引くことができる。Sub FのQualified Deficit規定みたいだけどこんな面倒な計算・トラッキング誰がするの?って感じ。

ただ、CFCは大概において50%超Controlled Groupメンバーになるだろうから、最終的に15%AMTを計算する際にはこのルールは重要だとしても、15%AMTの対象法人となるかどうかの判断時にはCFCを含むグループ法人の利益は自動的に合算される。ただし、15%AMT対象法人となるかどうかの判断を行う際に、Controlled Groupメンバーとして一人の納税者の一部に取り込まれる外国法人の利益に関しては、ECI(おそらく財務省規則で条約国に関してはPE帰属所得)または上述の米国株主に合算が求められる金額のみを加味するよう規定されている。

ここで面白いのは、このままこのルールを単純に適用してしまうと、インバウンド企業のControlled Groupメンバーの多くは親会社を始め、米国傘下にはない主体だから、それらの法人の利益はECIがない限り(普通はない)、すっかり抜け落ちてしまう。そこでインバウンド企業には特別な規定があり、$1Bの原則テストを適用する際には、インバウンド企業は米国傘下のCFCでなくても米国外法人の全ての利益を加味させられる。その上で$1Bを超えるかどうかの判断をすることになるんで、米国企業同様、グローバルの利益を合算して同じレベルでテストされることになる。その際、自分の持分相当だけ合算すればいいのか、それとも持分にかかわりなく利益の全額を取り込むのか法文の書き方が曖昧。概念的には当然前者だろうけど、どうもそう読み難い。例えば、日本親会社がオランダに80%子会社を持っている場合、オランダ法人の80%の利益を合算するのか100%入れさせられるのか、っていう点。財務省規則が出て80%って明確化されるんだろうか。

インバウンド企業$100M変形テスト

で、$1Bを超えてしまった場合、米国企業は適用が決定。インバウンド企業はもう一回敗者復活戦みたいなセカンド・チャンスがある。すなわち$1Bテストに抵触しても、変形の$100Mテストに抵触しなければ15%AMTから逃れることができる。この$100Mテスト時には、さっき触れたインバウンド企業は米国傘下のCFCでなくても米国外法人の全てを合算しなさい、っていう特別ルールの適用が停止される。すなわち、米国法人とその下のCFCの持分相当額の利益だけを基にテストする。その結果が$100M以下だったら15%AMTの対象にはならない。

BEATもそうだったけど、実際の計算する前に、そもそも対象になるのかどうかのテストがややこし過ぎて本番間違いそうだよね。次回は財務諸表の利益に対する調整の続き。

Monday, November 1, 2021

バイデン増税案大幅縮小「法人税率据え置き」(1) 代わりに会計利益に15%AMT?

下院歳入委員会が9月中旬に公表した法文ドラフトの読解がようやく一段落して、Let it Beの新譜デラックスバージョンのOuttrack(この話しはいつかどこかでね。長くなりそうなんで今回は我慢します)も暗記するほど聴きまくったこの期に及んで、結局、民主党内の調整難航の末、増税案は暗礁に乗り上げ、大幅縮小を余儀なくされた新法案が公表された。前回のポスティングまで何回かに亘って触れた「Downward Attribution禁止撤廃」は何とか新法案にも反映されてて、生き延びてるんだけど、さすがにオリジナル下院案のように2017年に過去遡及して修正という無謀な規定ではなく、法改正が施行された後に変更となっている。修正申告とか大量にしなくていいんで良かったです。いまさら965のTransition Taxの再計算とか士気が低下しちゃうもんね。Downward Attributionの話しはまだ続くからね。今日はチョッと余興で15%のAMT。

法人税率21%据え置き

28%それとも25%、はたまた26.5%?ってここ何か月も冷や冷やさせられてきた法人税率だけど、ナンと結局21%に据え置きの気配。今週公表された新たな下院法案には法人も個人も税率引き上げには言及されてない。意外などんでん返しだけど納税者にとっては吉報。GILTIも結局ピラー2を無理やり押し付けた張本人国としての自覚に目覚めたのか15%程度に終焉する見込み。グリーンブックとかの今までの勢いは何だったの?って感はあるけど、DTAの洗い替えで会計上のペーパー利益を期待していたようなところは別として、まずはホッとした方も多いだろう。

それにしても紆余曲折あり過ぎ。そもそも2020年から既にお金をバラマキ過ぎて急激なインフレになり、国内のオイル・ガス産業を徹底冷遇した結果燃料費高騰してOPECに泣きつく始末だし、コロナ系の潤沢な失業手当その他で労働力の確保が思うようにいかなかったり、サプライチェーンも大混乱。飛行機だってSouthwestの大量キャンセルの時はWN(SouthwestのTwo Letter CodeはSWじゃなくてWN。SWは既に取られてたんで最初はOEとかだったけど、せめてWが入るようにってWNになったという経緯)に乗る機会少ないから気にしてなかったけど、Americanまで多くのフライトが客室乗務員がタイムリーに手当てできず大量キャンセルされたりとか、スーパーの品薄や食材の価格高騰とか身の回りで直接感じる実害が多い。

経済にそんな向かい風が吹き荒れる中、この期に及んで十分な政策議論もないまま慌てて200兆円に「減額」した歳出を敢行しようとする無理やりさや歪が露呈して審議も暗礁に乗り上げているのでは。オリジナルの350兆円よりマシとは言え、それでもまだ国家予算的には身の丈に余る計画。バージニア州の知事選やバイデンがヨーロッパに発つ前に大きな法案を通して白星を獲得しないと、って逸る気持ちは分かるけど、成果をアピールするためにっていうエゴだけではなく、未来の世代に大きな負債を残すとてつもない歳出になる訳だから一般市民にも納得が行くよう十分に議論を尽くしてほしいところ。ワシントンって市民感覚からかけ離れがちだけど、ますますOut-of-touchさ加減が加速しているような感じ。

バイデンもヨーロッパに発ち、気候変動対策とか話すんで、今後も地球が住み易いところであり続けるために世界で力を合わせてもらいたいところだけど、世界の重鎮が専用ジェットで集まったり、ローマでは80台以上のセキュリティ自動車を引き連れて動き回ったりして、それで「カーボンをゼロにしましょう」とか話し合っても、自分自身が実行できていない善行を他人に勧める偽善の代表みたいで説得力に欠ける。州民には外食を禁じて自分だけは高級レストランで200万円のディナーをエンジョイするカリフォルニア州知事のニューサムとか、政治家の偽善ぶりが過ぎるけど、まあ、人の世なんてそんなものなんでしょうか。

気候変動大使のジョンケリーに至っては別に行ってもプラスにならない気候変動賞みたいな授賞式に自家用ジェットでカーボンを散らしながらアイスランドに登場し、「趣旨的におかしいのでは?」という現地記者の質問に「自分のような世界を股に掛ける重要人物にとっては(原文は「somebody like me who is traveling the world」)には当然かつ唯一の移動法」と断じている。一般庶民と自分は異なる、と言わんばかりで、国民の公僕たる政治家とは思えぬ横柄さ、というか政治家ならではの横柄さで笑わせてくれる。本当に地球のこと考えてんの、って疑いたくなってしまいます。そんな政治家たちに200兆円もの巨額の使途を決めさせる訳だから見ものだよね。既にコロナで軽く6~700兆円近く使った上に。単位が豪快過ぎて感覚が麻痺する規模だ。

財務諸表利益15%AMT

で、法人税率は据え置きの可能性大とは言え、代わって今までの審議では求心力に欠けていたというか、取り沙汰されることもなかった「財務諸表利益15%AMT(代替ミニマム税)」がここに来て息を吹き返してきた動きは、バイデン増税案の影響をモデリング化して試算してきた米国多国籍企業にとっては不意打ち。実はこの15%AMTは結構痛い。法人得税の表面税率そのものよりも、GILTIのCbC化、支払利息損金算入の新たな制限と並び、嫌な規定と密かに恐れられていた案だからだ。

15%AMTの基本的な設計は、2017年の税制改正で撤廃された旧AMTに似ている。財務諸表で認識される会計上の利益のうち各法人に帰属する部分を取り出し、15%AMT用に新たに規定されるAMT繰り越しNOLをマイナスしたネット利益に15%掛け、そこからこちらも新たに規定される15%AMT用のFTCをマイナスして暫定15%AMTを計算する。この暫定15%AMTが通常の法人税を上回る場合、超過額を15%AMTとして支払いなさい、というものだ。ここで言う通常の法人税はBEATミニマム税も含む。BEATミニマム税と異なり15%AMTは将来、状況が逆転して通常の法人税が暫定15%AMTを超える課税年度において、その差額を上限に15%AMTクレジットとして使用することができる、というもの。連結納税しているケースは同じ算定を連結納税単位で行うことになる。

15%AMT対象法人

で、15%AMTの計算自体はあくまでも納税者単位、すなわち米国で申告している法人、または連結納税してるんだったら連結納税グループ単位でするんだけど、そもそもどの法人が15%AMTの対象法人かっている判断時にはまた例によってグループの「Aggregate(合算)」規定がキックインしてくる。合算が求められるのは、あくまでも15%AMT適用対象とかどうかに適用されるテスト基準値を満たしているかどうかの判断時だけ。BEATの適用対象テストと同じだ。ちなみに15%AMTが導入されたとしても旧AMTの代わりと言われていたBEATはなくならず共存するようだ。

BEAT同様、合算対象の複数の主体は「一人の納税者」としてテストするという規定なんだけど、この一人の納税者っていう概念を、実際には一人ではない複数の主体相手に正確に適用するのは結構難しい。BEATの時も2018年12月の規則草案、2019年12月の最終規則、と財務省が苦労してどうやって合算対象を特定するか、とか計算法を規定しようとしてたけど、それでも未だ争点が残ってて、2019年12月の最終規則と同時にこの点にかかわる新たな規則草案が公表されている。一筋縄ではいかない様子が分かる。

合算規定

対象テストの分析だけで数回のポスティングを要しそうだけど、日本企業にとっても他人ごとではないんでサワリというか真髄部分には触れておきたい。

まず、15%AMTの対象はS Corp、REIT、RIC以外の法人のうち過去3年間平均調整財務諸表利益(「Average Annual Adjusted Financial Statement Income」(略して「3年平均会計利益」って言っとくからね)が$1B超の法人とされる。法人の設立地や居住地は問わない。仮にグループ法人とか持たないStand-Aloneの米国法人が一社っていうなかなか実際にはあり得ないSituationがあったとすると、その法人の財務諸表を基に判断することになる。

で、さらに日本企業の米国子会社とかインバウンド企業に関しては、追加の要件があり、計算に取り込む対象グループの範囲を小さくする一方、テスト基準値となる3年平均会計利益も10分の1の$100Mに減額する別テストがある。インバウンド企業は、上の$1B原則テストとこのインバウンド企業$100Mテストの「双方」を充たして初めて15%AMT対象になると読める。「利益が$1Bあるんだったら$100Mもあるに決まってるじゃん」って思うかもしれないけど、計算法が異なるんで、「$1Bあるけど$100Mはない」っていう結果も十分に想定される。

BEATの計算時に登場する「Gross Receipt」は税法上定義のある数字だけど、会計利益って当然だけど会計原則に基づく数字なんで、3年平均会計利益は税引前なのか税引後なのか、とか新たに定義を規定しないといけなくてウルトラ面倒。このあたりの定義は合算の話しの過程等で必要に応じて順々に触れたい。

で、$1B原則テストもインバウンド企業$100Mテストも、申告単位になる各法人または連結納税グループだけで判断するんじゃなくて、上述の通り、関連者が存在する場合にはグループ合算ベース。具体的には、BEATの合算規定同様、Section 52っていうWork Opportunity Creditの計算時に一人の雇用者(Single Employer)と取り扱われる複数の主体は、15%AMT適用対象テスト時にも単体の納税者として取り扱う必要がある。Section 52はCorporationでない主体も対象とするんで注意が必要だけど、Corporationの世界での適用は「Controlled Group」のメンバーの話し。ただし、通常のControlled Groupメンバーは80%以上の資本関係を持つ面々だけど、Section 52目的では50%超の資本関係が基準になる。

ちなみにBEAT法文(Section 59A(e)(3))もそうなんだけど、合算テストの対象法人の定義には誤りとしか思えない部分がある。今回の15%AMTの適用対象テストにかかわる合算の法文も同じ誤りがあって、おそらくいつも同じ文言をコピペして使いまわしてるんだろう。

どこがおかしいかっていうと、Section 52はControlled Groupメンバーを規定しているSection 1563(a)を参照していて、このメンバーには資本関係があれば外国法人も自ずと含まれる。Section 1563には別の規定があって、Controlled Groupメンバーの中でも、米国で法人税申告するようなメンバーを特別に「Component」メンバーとして定義している。これがSection 1563(b)だ。Section 1563(b)は(a)とは異なる目的で使われるので、ECIのない米国外法人は含まれないとか、複数の追加要件がある。ところが、15%AMTの合算対象メンバーを規定している法文では、Section 52、すなわちCorporationの世界では50%超ベースに置き換えたSection 1563(a)のメンバーを参照しておきながら、Section 1563(b)(2)の(C)と(D)は無視するように、と規定している。(C)はECIのない外国法人は除外するって規定だけど、そもそもSection 1563(b)は元々見てないんで全く不要というか混乱の基。Section 1563(b)の世界に突入すると、課税年度に何日メンバーだったらComponentメンバーになるとか他にも追加要件があるんで、間違えてそっちも見始めたりして混乱の温床だ。何とか法文最終化する前に直してほしいところ。

次回は$1Bと$100Mの計算法。

Wednesday, September 29, 2021

バイデン増税「下院歳入委員会」法文ドラフト(5)「Downward Attributionの再撤廃 (3)」

前回のポスティングでは、クロスボーダー課税を考える際にどんな目的で株式の直接・間接所有に加え、みなし所有も加味する必要があるか、に触れた。で、今日はクロスボーダー課税での具体的なAttributionに関して。

クロスボーダー課税とAttribution

前回のエンディングで触れたとおり、米国株主やCFCかどうかの判断時には、前々回紹介した国内の法人税扱いに関して規定される4つのAttributionをそのまま適用するのが原則。だけど、クロスボーダー課税用にいくつか重要な例外が規定されている。または一部に関しては規定されていた、と過去形になる。何回もしつこく書いておくけど、間接持分は米国外の法人その他の主体経由でしか認定されないけど、間接持分は米国の主体経由でも普通にAttributionされるから、くれぐれもこの2つの微妙な差をお忘れなく。

家族メンバーAttribution

まず家族メンバーAttributionに関して、非居住者の家族メンバーが所有する株式は米国市民や居住者家族メンバーにAttributionされない。この免除にはチョッとマイナーな例外があって、TCJA以降、米国法人が受け取る国外源泉配当の多くに100%DRDが認められることから存在していること自体不思議と言ってもいいくらいの(だけど撤廃されてないんで反って罠のようにややこしくなった)CFCから米国株主への貸付その他のみなし配当規定の適用除外を検討する際にはAttributionを加味する必要がある。

Upward Attribution

UpwardのAttributionっていうのは下から上に上ってくる方向なんで間接持分に類似しててDownward Attributionとの比較で直観的に分かり易い。前々回触れた通り、Upward Attributionは、パートナーシップ、遺産(Estate)、信託、法人が直接・間接・みなし所有している株式はそのオーナーが所有していると取り扱う規定。法人に関しては、50%以上の価値を直接・間接・みなし所有する株主のみに適用され、法人が直接・間接・みなし所有する株式の価値に基づく持分%に相当する株式がAttributionされるというのが原型。

で、このUpward Attributionをクロスボーダー課税目的で適用する際にはみなし所有の範囲が拡大されるので要注意。まず、法人からその株主に対するAttributionが拡大され、通常は50%以上の価値を所有する株主からAttributionしてくる、っていう規定に代わり「10%」以上の価値を所有する法人株主は法人からのAttributionがある。10%って結構低いよね。

さらに、パートナーシップ、遺産、信託、法人(つまり個人以外)が直接・間接に法人の50%超の議決権を所有する場合には、100%議決権を所有しているとみなされる、っていう変形というよりも新たなUpward Attribution規定が追加される。元々、法人が所有する株式は、50%「以上」の「価値」を持つ株主(個人を含む)に価値持分に準じてAttributionされるというもの。これを議決権に置き換え、また50%超とし、100%議決権のみなし所有としている。この変形はあくまで議決権のAttribution。

で、今の法律はここで不気味に終わっている。

Downward Attribution禁止撤廃

なぜ不気味かというと、2017年のTCJA前はその次にもうひとつ3番目の例外が存在したからだ。撤廃されたことで逆に有名になり、今では誰でも条文番号を知っているSection 958(b)(4) だ。

この(b)(4)は米国外信託、米国外遺産、米国外パートナーシップ、米国外法人から米国人にはDownward Attributionは適用されない、っていう賢明なルールだった。こんな重要な例外を、インバージョン後のCFCの非支配下取引に網を掛ける、っていうかなり狭義な目的を達成するために、単純に撤廃してしまったのだ。

撤廃された翌日には、そんなことをしてしまったら「こんな大変なことになります」って感じの副作用、っていうかほぼ本作用が続出して大パニック。しかも改正の施行日が「2017年12月31日以前に開始する最後のCFC課税年度から適用」となってたんで、CFCの課税年度が暦年のケースだと2017年から、3月決算の場合は、2018年3月期から適用となった。今まで米国株主じゃなかった者が急に米国株主に変身したり、CFCじゃなかった外国法人が急にCFCになってしまったのだ。で、この2017年はCFC留保所得一括課税、すなわちTransition Taxの年。Downward Attribution禁止の撤廃のせいでTransition Taxに抵触したケースも多い。救いだったのはTransition Taxの対象となる留保所得は、外国法人がTransition Taxに対象であるSpecified Foreign Corporation、SFC(キャンパスの名前じゃないから三田會の方は興奮しないように)の期間に留保された所得のみが対象だったんで、9か月分とかセコイ期間を「留保所得一括課税」されたものだ。

他にも禁止撤廃の影響は大だったんだけど、法律なんで一旦条文になってしまうと、真っ向から対立する解釈はできない。財務省が苦労して、行政府に権限があると思われる範囲でマイナーな部分は少しづつ規則で手当をしてきた。

そんな訳で、次回はDownward Attribution禁止撤廃後のクロスボーダー課税乱世(?)について。

Tuesday, September 28, 2021

バイデン増税「下院歳入委員会」法文ドラフト(4)「Downward Attributionの再撤廃 (2)」

前回のポスティングでは株式みなし所有のクロスボーダー課税への影響を語るプレリュードとして、米国内の「通常」のAttributionに触れた。中でもDownward Attributionは直観的に理解し難くて、意外な結果となることがあるんで油断大敵。今日はそんなAttributionがどんな風にクロスボーダー課税に取り込まれているかについて。

2017年の税制改正、TCJAでクロスボーダー課税にかかわるAttributionのルールが変わり、インバージョンなんかしてない日本企業のような本当のインバウンドやPEファンドの米国外ポートフォリオ法人とかに計り知れない影響を及ぼしてから早くも4年近い月日が経つ。TCJAによるクロスボーダー課税Attribution想定の変更は、ターゲットしている取引よりもかなり広範な納税者や取引に影響がある、っていう問題は文字通りTCJA可決翌日には理解されてた。Attributionルールの変更を逆手にとったプランニングも直ぐに出現した。慌ててKevin Bradyが2019年1月にテクニカルコレクションを提案し下院は通過したものの、上院では取り上げられず今に至る。それが同じ内容で歳入委員会の法案に盛り込まれてるんだけど、今更過去遡及してテクニカルコレクションって言っても時間たち過ぎでは?って思うよね。後出しじゃんけんにもほどがある感じ。修正申告とか大量に出そうだし、議会の怠慢なんだから今更過去遡及は許されない気もするけどね。テクニカルコレクションの憲法上の制約に関しては後日。

それにしてもTCJAから4年近いんだね。そうだよね。2021年もいつの間にか既に10月が目の前で残すところ3か月。米国税法やグローバルタックス的にはまだまだいろいろありそうな3か月だけどね。一年前の2020年夏は米国も州ごとに差異はあったとは言え、全体にシャットダウン気味で、WFHなのをいいことに全国津々浦々から仕事してたけど、Interstateは80、90、10とか基本ガラガラだったし、90でWyomingやMontanaからSouth Dakota方面ドライブしている時なんて地平線見渡す限り車いなかったり、今から思うとドライブには前代未聞的に最適な夏だったことになる。ホテルも予約ナシでiPhoneで当日好きなところ予約し放題だったし、Utah、Wyoming、MontanaのNational Parkも例年より格段に空いてた。Montanaと言えば昨日アムトラックが脱線してしまったけどかなりリモートな場所なんで救助とか心配。あの辺りもドライブには最高。昨年の夏は飛行機も空いてた。5月にJFKからLAXに飛んだ際は大きなジェットにほぼ数人。離陸する燃料代も出てないだろう。アメリカン航空の標語で搭乗した後「Thank you for flying American」ってアナウンスがあるけど、2020年5月~6月の頃は「Thank you for STILL flying American!」とかアナウンスしてくれるアテンダントが居た位だ。

今年2021年の夏は飛行機も道も混んでて、経済がバックしたのは嬉しいことなんだけど、MidtownからJFK行くのも平気で昔みたいに1時間以上掛かるし、CA州だって変な時間にMDRからオレンジカウンティなんかにドライブしようもんなら405はどこまで行っても混んでて2時間掛かったりする。ガラガラだった頃は渋滞が懐かしいとか思ったこともあったけど、今となってはガラガラだった去年の夏がチョッと懐かしい。まあ、トータルでは経済が戻った今年の夏の方が断然いいけどね、もちろん。

日本は14日間の自己検疫が10日に短縮されるとか聞いたけど、10日でもビジネスには使えない。夏に欧州行った際には、国によってワクチン接種の証明が要る国、72時間以内にテスト結果がネガティブな証明が要る国、米国からだったら何も要らない国、とか国毎に規則はマチマチだったけど、基本的に「出発前」に各国の厚生省みたいなところのウェブサイトにテスト結果等の必要情報や飛行機の席番号(これ各国にとって重要みたいだった)をアップロードしてQRコードが送られてきたり、何らかのConfirmationが来て、それがないとその国行の飛行機に搭乗できない仕組みになってた。JFKで出発するときにパスポート見せると同時に、登場する便の行先の国のQRコードを見せたりして、アメリカン航空とかのチェックインカウンターがボーディングパスを出す際に全てスクリーンしてた。その手続きが済んでしまえば、着陸後の入国審査は普通のイミグレ審査のみで、飛行機に搭乗できたことをもってコロナに関してそれ以上の不要となっていた。

米国に帰国する際も帰国72時間以内のネガティブ・テスト結果を取得する必要があるけど、欧州の街角のテントとかで簡単にテストやってくれて、20分後にメールで証明書が送付されてくるんで、それをVefiFlyとかにアップロードするとAI(?)が証明書を瞬時にレビューしてくれて問題なければ「Ready to Fly」という緑のチェックマークでお墨付きをもらうことができる。そのAppをカウンターで搭乗前に見せると帰国の便に乗ることができ、米国での入国時にはそれ以上、コロナ関係の手続きはない。パーフェクトではないんだろうけど、何事もリスクをゼロにすることは無理かまたは法外なコストが掛かるんで、これらの仕組みは全体にバランスが良く取れた合理的な仕組みに思えた。

日本もワクチン接種・ネガティブ証明(到着時+その後2日後とかでもいいし)とかを利用し、搭乗時にスクリーンして入国時やその後に時間を使わないでも入れるようにしてくれないといつまでもTeamsやZoomでAll Night Longだよね。

Attributionとクロスボーダー課税

で、Attributionだけど、前回触れた通り、国内の法人課税関係でも302、304に加え306、338、382、とかの適用時に広範な影響がある。

クロスボーダー課税的に考えると、誰が株式の何%を所有してるかって検討は、米国人がCFC課税目的で「米国株主」になるか、そしてそれに基づき外国法人がCFCと位置付けられるか、っていクロスボーダー課税検討時の根本とも言える最重要検討マターに直結した問題となる。CFCじゃなければSub FもGILTIも関係ないし、CFCでも自分が米国株主でなければSub FやGILTIの合算はない。PFICは別世界の検討課題として残るけどね。PFICもそのうちね。一回投資先がPFICになったらPurgingしたり特殊な選択しないと後年大変なことになるからね。

株式持分とCFC課税

で、クロスボーダー課税の局面でAttributionの重要性を理解するには、まずはクロスボーダー課税の検討をする際に株式持分がどのような役割を果たすか、っていう点を理解しないと始まらない。

CFCの課税関係を考える場合、2つのタイプの持分を区別する必要がある。すなわち「直接・間接持分」と「みなし持分」だ。前者は958(a)に規定されるんで、「(a)持分」、後者は958(b)に規定されるんで「(b)持分」とか参照されたりする。

で、(a)持分の直接・間接持分だけど、Sub FやGILTIの課税関係を決定する際、直接自分が本当に所有している株式に加え、外国法人、外国パートナーシップ、外国信託、外国遺産が直接・間接に所有している株式は、株主、パートナー、受益人が外国の主体に対して所有する持分%に準じて間接所有していると取り扱われる。このルールの適用で外国法人、外国パートナーシップ、外国信託、外国遺産が所有していると取り扱われる株式は、あたかも直接所有しているかのように、その上の株主、パートナー、受益人が当ルールを基に間接所有していることになる。米国人に行きつくまで繰り返し。

「間接持分が外国の主体からしか認定されないなんて変じゃん?米国人からの間接持分は・・?」って思った方はIssue Spotting合格。なんでかって言うと、米国主体が外国法人所有してたら、敢えてその上をみないでも、一番下層の米国主体が要件に応じてSub FやGILTIを認識するから、それ以上見る必要がない。外国の主体は米国株主になり得ないので、常にその上の間接持分を見ることになる。ただし、間接持分は米国外からのものに限定されてても、後述のみなし持分は米国の主体経由からもAttributionされるんで間違いのないように。

CFCの属性を取り扱うSub Fの世界ではその制度で問題なかったんだけど、米国株主側でTested IncomeやLossの合算その他の加工処理が求められるGILTIの世界だと、必ずしも合理的でない。パススルーの米国パートナーシップ経由認識するGILTIをどのように処理するか、っていう問題。結局、この点は財務省規則で合算計算目的ではパススルー(Aggregate)と考えることで決着がついた。合わせてSub Fも同様にしようという規則案(案だけど早期適用可)が出ている。GILTIとSub Fで取り扱いが異なるとプランニングの温床になるからね。

みなし所有はいつ登場

直接・間接持分はクロスボーダー課税を規定しているSub F+GILTI関連のほぼ全条文に適用がある一方、みなし持分は特定の規定目的のみに適用がある。この差異はクロスボーダー課税を理解する際の重要ポイントだ。

で、どんな目的でみなし持分を加味するか、っていうと、何と言っても外国法人がCFCかどうかを判断するため。この判断自体2ステップで行う。まずは米国人の誰がクロスボーダー課税目的で「米国株主」になるか、っていうテスト。米国人って言うのは「United States Person」で「Person」っていうのは法律上、個人、信託、遺産、パートナーシップや法人全てを含むから米国人は個人だけって勘違いしないようにね。最初に米国株主を特定するのは、これが分からないと外国法人がCFCかどうかの判断が付き兼ねるからだ。ここで米国株主になっても、必ずしもSub FやGILTIの合算が求められる訳ではないから注意。合算は上の「(a)株主」が直接・間接に所有していると取り扱われる持分%ベース(米国パートナーシップには特例あり)。米国株主とかCFCという法的なStatusを決めるステップと所得合算をごちゃごちゃにしないように。

米国株主は、特定の外国法人に関して、10%以上の議決権または価値を持つ株式を直接・間接・みなし所有している米国人のこと。このテストで米国株主の存在を正確に把握して初めて次に外国法人がCFCかどうかの判断が可能となる。すなわち、「米国株主」が50%超の議決権または価値を持つ株式を直接・間接・みなし所有している外国法人がCFCと取り扱われるからだ。Sub F一般にそうだけど保険会社には特殊なルールあり。

ちなみにTCJAでは今回のポスティングのテーマに当たるDownward Attributionの適用以外にも、CFCにかかわる定義をいくつか厳格化、つまりCFCになり易い規定に変更している。例えば、米国株主の定義はTCJA前は同じ10%基準でも議決権のみを基に判断していた。前々回だっけ、ポートフォリオ利子免除でも無議決の優先株式を利用したプランニングが存在しててそれに網を掛ける改正が提案されてるって触れたけど、米国株主認定時の似たようなプランニングに網を掛けるため。また、TCJA前は30日ルールって言って、外国法人が課税年度のうち連続して30日CFCの位置づけにない場合は、米国株主はSub Fとかの合算から免除されてた。趣旨としては多分、ヨーロッパの法人とか一気に買収するのが難しくて、まずは例えば60%でその後80%とか100%になるような所謂Creeping買収時、特に80%に至って338選択とかするようなケースでその時点で課税年度は一旦終了するけど、50%超の持分を取得した段階から338のみなし取引も含む所得をSub F合算しなくていいように、みたいなものだったのかな、と思うけど、これも悪用されてたんで廃止。

で、Attributionだけど、米国株主やCFCかどうかの判断時には基本的には、前回紹介した4つのAttributionが適用されるけど、いくつか重要な例外がある、または「あった」。なんか長くなってきたんでここからは次回。

Saturday, September 25, 2021

バイデン増税「下院歳入委員会」法文ドラフト(3)「Downward Attributionの再撤廃」

BEATにしようかDownward Attributionにしようか迷ってたけど、いつまで迷っててもしょうがないんでDownward Attributionを先に特集することに決定。

クロスボーダー課税の検討時のAttribution規定を理解するにはまずは国内の通常の局面におけるAttributionの基本を理解する必要がある。

みなし株式持分「Attribution」規定

株式を何%所有してるかで取引の課税関係が大きく異なることは多い。各規定毎に50%超とか80%以上とか異なるけど、さらに議決権の話しなのか価値の話しなのか、双方なのかどっちかなのか、とか複数のクラスがあったり、High Vote/Low Value株式を利用したスピンオフが珍しくない米国では、各規定で何を見るかきちんと把握しないと大変なFiascoになる。

更に、連結納税グループや適格清算みたいに本当にBeneficial Ownerとして所有している株式を見るのか、Sub FのInclusionみたいに直接・間接に所有している株式を見るのか、さらに自分は持ってないけど、自分に関係する者が持っていることをもってまるで自分が持っているかのように考えないといけない「Attribution」まで見るのか、これら全て規定毎に特定しないといけない。

通常の法人課税と「Attribution」規定の目的

分配、出資、清算、組織再編、等は300番台の条文で構成されるSub Cに規定されるけど、このSub C適用時に、みなし持分規定の適用が明文化されている範囲で、納税者は自分が所有していないにも関わらず、自分と関係の深い者が所有してるっていう理由で、それらの持分をあたかも直接所有しているかのように取り扱って課税関係を決める必要がある。これがみなし持分、Attributionだ。みなし持分は部分的に間接持分と重複することがあるけど、その際も所有していると取り扱われる%は必ずしも同額ではないので注意が必要だ。みなし持分のクラシックな適用は、株式が形式的に償還(Redemption)されるケースが税法上は分配扱いになるかどうかっていう検討時。

取引を会社法上の株式償還ってストラクチャーして、「償還なので「Exchange」として株主は簿価との差額を譲渡益としてキャピタルゲインとして認識します」って言うことがあるけど、税法上は償還後に株主の持分%に意味のある低下がみられないと実質分配と取り扱われる。機械的なものも含めていくつか代替テストがあるけど、一番分かり易いケースは100%子会社による親会社の株式一部償還。100株のうち30株「償還」したり、何株もAll-Day-Long償還したところで、結局は100%子会社のまま。実質分配と変わらないってことで、E&Pの範囲で配当所得となる。この手のストラクチャーはいろいろとあって、それに網を掛けるために304とか複雑な規定があるけどね。

で、その検討をする際に「私は持分を低下させました」って言っても例えば、配偶者と合わせると実は引き続き100%だったりするとプラニングの温床というか、悪用されがちなので、関連者が持っている株式は本人が持っているかのようにみなして取り扱うことになる。それ自体、簿価がどう動くのか、とかFamily AttributionのWaiver規定があったりそれはそれは複雑な規定だけど、趣旨は分かるね?

「Attribution」みなし持分認定メカニズム

で、通常のSub Cの世界におけるみなし持分は大別して「家族メンバー」「Upward」「Downward」の3つ。それにオプション規定があるので、3つ+Optionっていうのが正確かも。

家族メンバーAttribution

家族メンバーのAttributionはその名の通り、家族メンバーが直接・間接・(限定的に)みなし所有してる株式は自分が持っているものとみなして課税関係を決めなさいってもの。でも何でもかんでもAttributionしてくるわけではなく、法律で規定された関係にある者からのAttributionとなる。家族間の話しだから、他の2つのAttributionとは異なり、あくまで個人がどれだけの株式を所有してるかって話し。具体的には配偶者、子供、孫、そして両親が所有している株式がAttributionされる。

配偶者は別居していても法的に離別していないとAttributionがあり、法的に養子縁組された子供は実の子同様のAttributionがある。面白いのは孫からはAttributionされるけど、おじいちゃんやおばあちゃんからはAttributionがない点。必ずしも双方向とは限らない訳だ。おじいちゃんやおばあちゃんが孫に株式を持たせるプランニングはあり得ても、孫がおじいちゃんやおばあちゃんに株式を持たせる方向はあんまり想定されないってことなのかな。

Upward Attribution

で、次のUpwardのAttribution。これは下から上に行く方向なんで感覚的に一番分かり易いし、間接持分と重複することが多い。ただし結果として所有していると取り扱われる%は間接とみなしで同じとは限らないので要注意。家族メンバーAttributionと異なり、UpwardやDownward Attributionは個人および法人その他の主体や遺産の株式所有状況に影響がある。

具体的にはUpward Attributionは、その適用に基づき、パートナーシップ、遺産(Estate)、信託、法人が直接・間接・みなし所有している株式はそのオーナーが所有していると取り扱う規定。パートナーシップと遺産に関しては、パートナーや受益人が少数持分でも常に持分%相当がAttributionされる。信託も似てるけど、信託の場合、受益人はアクチュアリー計算に基づく持分%に相当する信託所有の株式がAttributionされる。計算面倒そうだよね。で、非課税の年金信託は適用対象外。また、税法上Grantor Trustと取り扱われる部分の信託資産に関しては、Attributionというより、元々税法上、Grantor等の資産として取り扱われるので、Grantor等が株式を所有していると取り扱われる。これはAttributionっていうよりもGrantor Trustにかかわる一般規定って考えてもいいだろう。

法人に関しては、50%以上の価値を直接・間接・みなし所有する株主に限定して、法人が同じく直接・間接・みなし所有する株式の価値に基づく持分%に相当する株式がAttributionされる。

Downward Attribution

3つ目のDownward Attributionだけど、これはその名の通り、上から降って来るんで感覚的に少し分かり難い。Upward同様に対象はパートナーシップ、遺産、信託、法人。

で、パートナーシップと遺産に関しては、パートナーや受益人のパートナーシップや遺産に対する持分%にかかわりなく、パートナーや受益人が直接・間接・みなし所有する株式は「全数」Attributionされる。似たように、信託の受益人が直接・間接・みなし所有する株式は信託にAttributionされるけど、受益人の信託に対する持分が「Remote Contingent」って認められるとAttributionはない。年金信託は適用対象外。で、受益人の信託にかかわるContingentな持分は、各信託契約に基づき認められる受託人の裁量内で最大限のアクチュアリー計算に基づく持分を計算し、それが5%以下の場合には「Remote」と認められる。信託資産のうち一部でもGrantor Trustに当たる場合、Grantor等、税務上資産のオーナーと取り扱われる者が直接・間接・みなし所有している株式は全数信託が所有していると取り扱われる。

法人に関しては、価値ベースで直接・間接・みなしに50%以上の持分を所有する株主が直接・間接・みなし所有する株式は全数法人にAttributionされる。50%超ではなく「以上」と規定される点、また仮に50%株主からDownward Attributionされる場合も、株主が所有する株式の50%ではなく全数Attributionされる点に注意。

オプションAttribution

株式を取得するオプションを所有している者は、行使したら取得される株式は既に所有していると取り扱われる。またオプションを取得するオプションとか、そのオプションとかも全て株式取得オプションとしてAttribution規定の適用を受ける。オプションAttributionと家族メンバーAttributionの双方で同じ株式がAttributionされるケースは、オプションAttributionの方でAttributionされるって取り扱われる。

Attributionに次ぐAttribution

ここまで読んで「結構広範じゃん・・・」って思うかもしれないけど、Attributionはまだ続く。適用ルールに基づくと、Attributionでみなしで所有しているって取り扱われる株式はDirectに所有していると同様、規定に抵触する限り、他の者に再度Attributionしていく。例外は家族メンバーのAttribution適用時。すなわち、家族メンバーが所有しているって理由で自分が持ってるって取り扱われる株式は、それが更に他の家族メンバーにAttributionされることはない。例えば、孫が実際に所有している株式はAttributionでおじいちゃんやおばあちゃんが所有してることになるけど、だからと言って、その株式がおじいちゃんやおばあちゃん当人のおじいちゃんやおばあちゃん(元々の孫から見ると高曽父母、ひいひいおじいちゃんやおばあちゃん)にはAttributionしない。おじいちゃんやおばあちゃんからその子供に再度Attributionしないけど、ただ、元々実際に株式を所有している孫の両親には別の家族Attributionがあるので、両親はみなし所有がAttributionされる。ただし、この家族メンバーの継続Attribution禁止は、家族メンバーのAttribution内の話しで、例えば、孫が実際に所有する株式をおじいちゃんやおばあちゃんが所有しているとみなしで取り扱われる場合、今度はその所有を基におじいちゃんやおばあちゃんが投資しているパートナーシップとかには再度Attributionしていく。

もう一つの継続Attributionの例外として、Downward Attributionを基にパートナーシップ、遺産、信託、法人が所有しているとみなされる株式は、そこから他の者に再度Attributionされることはない。例えば、マイノリティ持分のパートナーが実際に所有している株式はDownward Attributionで全数パートナーシップが所有しているように取り扱われるけど、その株式が別のパートナーにAttributionされることはない。

ちなみにS Corporationは原則パートナーシップ扱い。すなわち、S Corporationが所有している株式はS Corporationの株主がパートナーかのように持分に準じてAttributionされる。50%ルールの適用はない。ただ、S Corporationそのものの株式を他の者が所有している場合、S Corporationの株式は法人株式として、他の者の所有%が決まる。

国内のAttributionだけでも超込み入ってるけど、次回はクロスボーダー課税への影響に関して。

Thursday, September 23, 2021

バイデン増税「下院歳入委員会」法文ドラフト(2)

前回は下院歳入委員会が公表した増税案法文ドラフトの中から、いきなりオタクなポートフォリオ利子免除の条件をタイトにする法案に触れた。

研究開発費用の資産計上延期

もう一点地味目だけどインパクトがあるのは研究開発費用の資産計上の延期。2017年のTCJAで研究開発費用は2022年1月以降に開始する課税年度から、資産計上して5年償却(国外の研究開発は15年)っていう、本来、優遇されるべきと考えられていた研究開発活動相手に不躾な取り扱いが規定されてビックリだった。とは言え2022年前に議会が撤廃してくれるだろう、って一般的には楽観視されてきたけど、パンデミックや選挙とかでいつの間にか2022年が目の前に来てる。で、下院案では、これを先延ばしして2025年1月以降に開始する課税年度からとしている。またこれで2025年までには議会が撤廃してくれるだろう、って楽観視されるんだろうね。

累進税率復活

肝心の法人税ヘッドラインレートは基本26.5%って、25と28の中間値に着地させて提案されてるけど、課税所得$400Kまでは18%、$5Mまでは21%って4年ぶりに累進税率の復活。累進税率って、Controlled Groupで税率区分を配賦したり面倒なんだよね。コンプライアンス上。で、以前と同じように課税所得が$10Mを超えると低税率区分の恩典はフェイズアウト。国内法人からの配当にかかわるDRDは、DRD後の税率が現状維持されるようDRDレートが調整されるとのこと。米国企業の反応を見てると法人税率はどうでもいいから(?)、GILTIのCbC化や実効税率の引き上げはやめて欲しい、っていう感じだろう。

GILTIとFDII(Preview)

GILTIに関しては詳細を別途書かないといけないって感じだけど、歳入委員会のこのドラフトはバイデン政権の提案とチョッと違って少しマシ。国別計算になる限りマシになりようはないんだけど。具体的にはGILTI計算時に、バイデン政権は撤廃するぞ、って言ってたQBAIリターンを10%から5%に減額するとは言え温存してる。また、GILTIの実効税率がバイデン言うところの21%ではなく16.56%になったり、OECDピラー2に近づけようとする努力が見られる。ピラー2で採択されると噂される15%のグローバルミニマム税に結構近い。GILTIのピラー2化を世界に演出することで、各国を牽制してるように感じられる。

GILTIバスケットのFTC対象CFC法人税が80%から95%に増額されたんで、GILTI制度化のグローバルミニマム税率は実質、17.43%となる(16.56/95%)。

FDIIも控除額が引き下げされる、すなわちFDIIの恩典が減少する、とは言え制度はそのまま温存されて首の皮一枚で生き延びてる。GILTIのルーティン所得計算時の有形資産ルーティンリターンが5%に低減された一方、FDIIは10%のまま。今後の審議でFDII自体いつ廃案って方向になっても不思議はないけどね。GILTIのFTC対象法人税の95%化やQBAIリターンの%差異の関係で、GILTIミニマム税率とFDII実効税率が乖離してしまい、2017年のGILTI・FDIIを対で導入した際のLevel Playing Field化が壊れてしまっている。ということは「FDIIはGILTIの裏返しです」って言う理由でFDIIは輸出助成の悪法ではない、っていう主張がチョッと通り難くなるってことかもね。GILTI増税、特にGILTIのCbC化は米国多国籍企業にとって大問題なんで、別特集しないとね。

バイデン政権のグリーンブックでは、FDIIがあるから有形資産が国外に行ってしまうというような懸念が強調されてるけど、実務経験が乏しい職員室での議論みたいに聞こえ、無形資産が米国に戻って来ている一因だと思われるFDII温存はアメリカのため。実際に一旦国外に出したIPを米国に持ち帰る取引も発生していた。米国から国外にIPをMigrateさせて367(d)でみなしロイヤルティーストリームで譲渡益認識してた状況で、このIPをRe-Domesticationで米国に持ち帰ったりするとテクニカルなチャレンジが多い。みなしロイヤルティーはIPが米国に帰ってきたからって無くならない一方、対応する費用控除は米国に戻ってきたからって急に認められる仕組みにはなっていないんで、制度上の不備としか言いようがないけど、ドライ所得が出ておしまい。それはないでしょ、ってことで連結納税グループ内取引の規定に基づくIRSの裁量に訴えたり、苦労が多い。この点は367(d)のテクニカルな問題として改正、または財務省規則に基づく救済策が望まれる。その場合、Outboundさせた張本人の納税者そのものに戻ってこないといけないのかとか、同じグループだったらOKなのかとか、身元に関係なく米国に戻って来ればいいよってなるのかとか、結構面白そう。

で、具体的には、現在の37.5%のFDII控除が21.875%に引き下げられる。21.875%は元々TCJAでも2026年から自動的にそうなるはずだったので、増税と言ってもどうせそうなるものが4年前倒しになった、って考えれば諦めも付くかもね。ただし、法人税率自体が21%から26.5%に引き上げられるんで、FDIIの実効税率は13.125%から20.7%にアップ。

支払利息

GILTI増税と並んでショックをもって受け止められているのは、支払利息のグローバル・レバレッジに基づく制限。これは日本企業の視点からはなかなか想像できないほど痛い。米国多国籍企業はレバレッジをどこに国にどれだけ導入するか、っていうグループ管理を科学的に徹底してきた。2017年前は全額米国っていうのが常識で、それ以上考える必要はないくらいだったけど、2017年TCJAでモデリングに変動があった。956の意味が低下したりした点も含めて、まだまだ最適なレバレッジ場所を見直し中だった矢先の新規制。OECDアクション4に類似するグローバルEBITDAベースの平準化規制だ。でも、これ導入するんだったらATI(国内EBIT)ベースの既存Section 163(j)を撤廃すればいいのに。両方共存っていうのはやりすぎでは。

で、新規制だけど、連結財務諸表に米国外法人が含まれる多国籍企業に関して、グローバル・グループのレバレッジを基に米国における支払利息の損金算入が制限される。以前から提案され続けてる規定だけど、まず、連結財務諸表グループ全体のネット支払利息をEBITDAベースで米国に配賦。この配賦額を分子とし、米国主体が財務諸表上、計上しているネット支払利息額を分母として制限枠%を算定する。米国に配賦される金額が、実際に米国主体が計上しているネット支払利息を上回る場合には制限はない。

で、米国にレバレッジを集中させている米国企業は、分子が分母を大きく下回ると予想され、制限枠%は大概のケースで100%を大きく割り込むだろう。この制限枠%に110%を掛けた%が最終的な制限%となり、当制限前の申告書で認識される支払利息に最終制限%を掛けた金額が損金算入の上限額となる。この制限は過去3年間(当期含む)でネット支払利息が$12Mを超えるケースにのみ適用。で、損金不算入額は5年間の繰り越し可能。で、現状では繰り越し期限がなかったSection 163(j)にも同じく5年間の繰り越し期限制限が導入される。

M&A時にどこでレバレッジを認識させるかっていうのはディープな検討だけど、956が245Aの関係でなくなったようでなくなってないようでCFCによる保証とか結構今でも頭が痛い。モデリングが更に複雑化するね。

パートナーシップと163(j)

163(j)と言えば、ここからは吉報だけど、2017年の税制改正で導入された新Section 163(j)はパートナーシップそのものに適用されている。パススルー主体そのものに直接制限を加える、っていうことで、とてつもない複雑な適用規則を要してた。11ステップの計算とか。それをパートナーレベルへの適用に変更してくれるそうだ。可決されたらコンプライアンス的にはグッドニュース。5年間と繰り越し期間限定と引き換えだね。

次回はBEATまたはDownward Attribution再撤廃のどちらか。