Friday, June 19, 2020

BEPS 2.0ピラー1の終焉

Safe Harbor提案の辺りから暗雲が立ち込めていたピラー1に米国が引導を渡した。

6月17日にUSTR(米通商代表部)はピラー1策定の交渉テーブルへの参加打ち切りを正式に表明した。交渉が行き詰まり、また想定外の新型コロナウイルス対策に各国財務省が追われる中、これ以上のデジタル課税のグローバルコンセンサス検討は現時点で不要不急と断じた。もともとどちらかと言うとタカ派のUSTRのライトハイザー代表の下院歳入委員会での発言だ。

6月に入り、ピラー1、およびピラー1で解決しようとしていたDSTを取り巻く環境は一気にあわただしくなっていた。6月2日にはOECDのFiscal Affairsの議長を務めるMartin Kreienbaumドイツ財務長官がBEPS 2.0の交渉はコロナ環境下でもオンタイムで進んでいる点を強調し、7月から10月に延期されたとは言え、ベルリン会議で野心的に広範なピラー1も含め、130か国のコンセンサスを取り付けると自信の程をのぞかせていた。同日、米国ではUSTRがDSTを導入したり、検討している10か国(EU含む)に通商法301条に基づく制裁措置発動の検討している旨を発表。絶妙のタイミングだ。

6月12日にはMnuchin米国財務長官が、フランス、イタリア、スペイン、英国の各財務省にピラー1の交渉は行き詰っているとコンセンサス作りに悲観的な見方を伝え、かと言って独自のDSTを導入しようものなら、報復措置を取ると通告している。

書簡を受け取った4か国が共同返信を検討していた矢先の17日にピラー1からの離脱をUSTRが確認した流れとなる。新型コロナウイルスの影響で、デジタル企業以外の多くの「Consumer Facing」企業が業績不振に見舞われる一方、大手デジタル企業はテレワーク等の影響で一般的に逆に好調なケースが目立つ。コロナ対策で歳出が増加する一方、景気低迷で税収減は必至。米国のデジタル企業の超過利益に課税しよう、という動機は以前にも増して高まり続けている。デジタル企業への課税はイコール米国ハイテク企業への課税となることから、米国としてはそんな動きに嫌気がさしていても不思議はない。

米国は新型コロナウイルス対策で各国忙しいのだからピラー1などに時間を費やしている場合ではないと主張する一方、欧州等は新型コロナウイルスでデジタル企業の優位性が更に高まっている今こそ、ピラー1の完成を急ぐべき、と同じ新型コロナウイルスを理由としているにもかかわらず、180度異なる結論に至っている。

Amount Aという名目で、各国が超過利益をPEの存在なく課税所得として吸い上げる相手は大概において米国ハイテク企業。そんな想定のピラー1に米国が参加しないのでは、ピラー1は終焉したに等しいけど、翌日、アンヘル・グリア OECD事務総長は「継続してフォーカスを失わないように」的なコメントをして今後のウルトラCに僅かな期待を残しているともとれる状況。また、フランス、イタリア、スペイン、英国の財務長官たちは共同声明を出し、米国のピラー1からの離脱は「Collective Failure」であり、欧州に対する「挑発的」な行動だと非難している。

ピラー1と米国は最初からこうなる運命だったと言ってもいい。先は見えてたよね。Consumer FacingだのとSugarcoatはしてたけど、ピラー1は敢えて言ってしまえば、米国の大手デジタル企業の超過利益に多くの国が課税したいがため、そのためのルール作りだから、米国が良く思うはずはない。しかもこの超過利益は本国である米国で課税できていないケースがほとんどだから、他の国に課税されるのはなんだかな~、という認識もあっただろう。米国でIFRS導入論が存在した際、ロードマップとか言って同調するフリをして最後に撤退したのと似てる。今回もSafe Harborとか難題を突き付けて、どこで梯子を外すのかな、と興味深く見てたけど、新型コロナウイルスの混乱を一つの理由にこんな形で実行するんだね。OECDってその昔はOEECという第二次世界大戦後の欧州振興のための存在。税務面でグローバルリーダーシップを発揮できていない国連に代わり、いつの間にか税務のグローバルスタンダード策定機関となり、Inclusive Frameworkをもって、本来、発展途上国の代弁者であるべき国連に完全に取って代わってしまった。米国からしてみると、欧州の回し者というか、代弁者的な存在という懐疑心は払拭できていないだろう。

そんな米国も、例によって、同じBEPS 2.0でもピラー2には寛容で、以前のMnuchin財務長官がOECDに宛てた公開書簡でもサラッと「ピラー2はご自由に」という感じで記載されていた通り、今回もそのスタンスは変わらず、ピラー2には反対しないそうだ。既にGILTIとBEATがあるからかもね。前から言ってる通り、GILTIとピラー2は全く異質だけどね。GILTIはFDIIと対で考えないといけない制度で、その意味でもグローバル通算が基本。もしピラー2が国別とか地域別のブレンディングになっても、FDIIとの対だったり、GILTI控除とかFTCのことを考えるとGILTIがそうなるとはチョッと想像し難い。ただ、GILTIにもHigh Tax Exceptionが18.9%で適用できる規則草案があり、ちょうど今週、最終規則がOIRAの審議を通ったという話しもあり、その観点からは国別の税率は把握して、国毎の実効税率プラニングは重要になる。

ピラー1の設計はテクニカル面で大いに興味があったので、最終回を見る前に途中で終わってしまったドラマのようで、チョッと残念。でもまた手を変え品を変え別者が登場するだろう。

Friday, May 29, 2020

新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (13) AMT NOLは強制的に「ゼロ」化

NOL Carrybackやその手続き、Carrybackでトリガーされる多くの追加検討事項に関してはCARES Act可決以降、何回かに分けて触れてきた。興味ある方はぜひ過去のポスティング「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 」(2)(4)(5)(6)(8)(9)を読んでみて欲しい。そこで何回も触れている通り、複雑な検討の多くは5年間のCarryback期間にTCJA前後の課税年度双方が含まれることに起因するケースが多い。

そんな複雑な取り扱いの一つにAMTがある。TCJAで、AMTの法人に対する適用は2018年以降撤廃されている一方、Carrybackする先の課税年度が2017年以前の場合、それらの過年度には法人にも未だAMTが適用される。NOLをCarrybackするってことは通常の課税所得を減額するってことだから、その当然の結果として、AMTに抵触したり、元々使用していたAMTクレジットが使えなくなるケースが続出することになる。AMTの算定時にもNOLの使用は認められるけど、計算は複雑で、NOL発生年度の数字を基に「AMTベースのNOL額」に計算し直さないといけないし、Carrybackする先の課税年度のAMT計算時には、NOLの使用可能額はAMT算定の基となる暫定AMT課税所得の90%が上限となる。う~ん、相変わらず面倒。しかも、複雑な計算をしてAMTが発生したり、過去に使用していたAMTクレジットが使えなくなったりする結果、それらがドミノ式にCarryback期間内の後年に繰り越され、使用し切れないクレジットは、CARES Actで加速還付が可能という最終的にはゼロサムゲームとなる。超面倒でなんかまどろこしい。

で、法的には、すなわちInternal Revenue Code的には、面倒だけどこれらのステップを踏まざるを得ない、っていう点は比較的明確で、テクニカルには余り異論の余地はない。2018年以降、AMTっていう制度自体が法人に不適用になっているとは言え、2017年以前にNOLをCarrybackして、過年度のAMTを算定し直す際には、その目的で使用するNOLは、通常のNOLではなく、AMTのルールを適用して算定するAMT NOLでなくてはいけない。Secton 56だね。でも、AMTのルール自体、2018年以降、法人には存在しないんだから、調整額はないのでは、って思うかもしれないし、それも一つの見識ではあると思うけど、たぶん厳密にはそうではない。というのは法人にAMTは課されないけど、AMT算定時に加減算が求められる「調整額」はそのまま法的に2018年以降も存在している。唯一例外はACE調整で、これは撤廃されている。結果として、通常のNOLにACEを除く調整を加えて、AMT NOLの金額を算出し、それをCarrybackして、Carryback期間の古い課税年度から順々にAMTを計算、後年にクレジット、そしてクレジットし切れなければ、2018年と2019年に開始する課税年度で還付、さらに選択をすれば2018年に開始する課税年度に全額還付となる。

っていうのが法律なんだけど、昨日(2020年5月28日)、CARES Act下で禁じ手乱発的になりつつあるIRSのFAQがまた公表され、簡易措置が規定された。IRSが公表した当FAQによると2020年6月1日以降にファックス(覚えてる?デジタル送信!)するForm 1139では、AMT NOLはナンと「ゼロ」と取り扱う、って言い切っている。え~、そんな法律どこにあるの、って感じではあるけど、まあ便利だから文句言う納税者はいないよね。

FAQに基づく構想は、2018年以降の課税年度にはAMT NOLはない、という大胆なもの。法人納税者にしてみると、2018年以降のNOL発生年度に関して、適用のないAMTを想定算定してCarrybackしたり、Carryback対象年度に90%制限を加えて2017年以前のAMTを計算したりする手間が省けるので、ゼロサムゲームってことを考えると、単純に作業が若干簡素化され、ありがたい助け舟なのは確か。AMT NOLをゼロってみなすことから、より多くのケースでCarrybackする先の課税年度でAMTが発生することになり、それらは結局はAMTクレジットとして還付される。FAQって法的効果がない点が気になるけどね。

で、FAQでは、ついでにゼロサムゲームを一枚のForm 1139で完結できるよう、Carrybackを理由にAMTが増えたり、過去に使用していたAMTクレジットが使えなくなって後年に繰り越されたりする処理も同じForm 1139内で処理できる点を再確認している。さらに、クレジットを使えきれなくて、CARES Actで規定される「2018年に開始する課税年度で全額残りを還付申請」する選択を行う際も同じForm 1139上で処理するできる、って規定してくれている。Form 1139に記載するべき選択にかかわる文言も公表してくれている。ただし、同じForm 1139上でクレジットを処理できるのは、クレジットをCarryback期間内に使用する、または2018年に開始する課税年度で残高全額を還付請求するケースのみ、とも言っている。まあ、敢えて選択しない理由も余り見当たらないので、多くの法人納税者がこの処理をすることになるんだろう。超法規的措置って言うと大げさだけど、IRSもなかなかやるよね。

Saturday, May 16, 2020

新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (12) 「QIP Glitch」(適格内装資産とボーナス償却(2))

チョッと間が開いてしまったけど、前回のポスティングでは、CARES Actに盛り込まれたTCJAのTechnical Correctionのうち、適格内装資産の償却法に関して話し始めた。結果として2018年1月1日以降に事業用途に供された適格内装資産は過去遡及する形で償却方法が変わってしまったことになるけど、そんな調整をどうやってすんの?っていうのが今回のメインテーマ。

過去遡及して償却法を変更する面倒な手続きの話しに行く前に、一点超細かい点だけど、サワリだけ触れておきたい点がある。2018年1月1日以降に事業用途に供される内装でも、2017年9月27日以前に取得されているものは、TCJA以前のボーナス償却規定が適用になるので要注意という点。また2017年9月28日以降に取得され、2017年12月31日までに事業用途に供された内装は、特別に独自のクラスを構成している点も注意。通常、償却の話しは事業用途に供された日が気になるけど、取得日も重要なことがあるんで気を抜かないように。この組み合わせの話しは面倒な割に多分適用件数は低いと思われるので、こんなパターンで取得や事業用途に供されている内装があったら専門家に相談するようにね。

Section 163(j)もそうだけど、適格内装資産にかかわる過去遡及手続きを複雑にしているのが、適格内装資産を含む税務上の償却を取り巻く複数の選択。まず、原則に戻って即時償却なんていうものが存在しなかった時代には、有形資産は大概においてMACRSっていう加速償却を適用して税務上の償却費用を計算するのが普通の姿。MACRSは、前回のポスティングでチラッと触れたConvention制度があったり、多くの動産が200%定率だったり、経済耐用年数とは直接関係ない政策的に規定される法廷償却年数や方法に基づいてCapex、資本的支出の費用化を規定する税法の世界だけに存在する償却法だ。なんで、MACRSの「CR」は「Cost Recovery」ではあるけど、MACRSにDepreciationを表す「D」は入っていない。このことからも、MACRSはいわゆるDepreciationではなく、あくまでも資本的支出の費用化という概念。米国税法の構成的には、Section 167で事業所得を算定する際に償却費用すなわちDepreciationの計上を認め、その上で、金額は有形資産に関しては大概においてSection 168のMACRSを適用して決める、っていうもの。

で、このMACRSが嫌な場合、特別な選択をすることで、その課税年度に事業用途に供されたMACRS対象資産をMACRSではなく、ADSというMACRSより長い償却期間で定額償却する不利な方法を選択することができる。元々ADSっていうのは資産の使用場所が米国外だったり、非課税団体にリースしてたり、加速償却を規定するMACRSの適用が政策的に適切でない状況に適用が義務付けられるものだけど、AMTのSubsetだったACE(覚えてる?)の算定時に使われたり、今でもE&Pの計算時に適用されることから、結構頻繁に登場し侮れない存在。さらに、TCJA後の世界ではFDIIやGILTIのみなし超過利益算定時のみなしルーティングリターンをADSベースの税務簿価に10%を掛けて算定することから、各社、ますますMACRSと共にADSベースの資産管理が求められる。もちろんこれらMACRS、ADS共に会計上の償却とは異なるので、一つの資産でも複数の簿価が存在することになる。で、ADS選択っていう制度は、ADSの適用が義務付けられるケースとは関係なく、通常の課税所得算定時にMACRSを適用できるにもかかわらず、課税年度内に事業用途に供されたMACRSの資産クラス別に自らADSを選択すること。ADSは一度選択すると取り消し不可能。One way streetだ。

で、そんなMACRSに加え、設備投資減税として、歴史的に時限立法でいろんなパターンの即時償却が規定されてきてるけど、TCJAでも100%即時償却が規定されている。で、100%の即時償却が嫌な場合には、課税年度に事業用途に供された資産に関して自ら即時償却を適用しないという選択がある。これも税法に規定される資産クラス毎に選択できる。当選択をすると、普通にMACRSで加速償却することになるけど、これに更に上述のADS選択を組み合わせることも可能。また2017年9月27日を含む課税年度に限定された話しだけど、TCJAの100%即時償却ではなく、それ以前の50%ボーナス償却を選択することもできる。確かこの選択だけは資産クラス毎ではなく、その課税年度に事業用途に供された資産全てに関して選択が必要だったはず。

もうひとつ、即時償却の対象となるフルーツやナッツの実がなる植物が、既に栽培されているケースにも特別な選択があるけど、余りにオタクなのでこの部分は割愛。何がフルーツで何が野菜かってよく議論になるよね。ロビイストが暗躍してフィルムとかナッツとかが即時償却の対象となっているのは面白いけどややこしいね。

で、過去遡及にかかわる手続きだけど、適格内装資産の償却は以前のポスティングで触れた不動産業や農業にかかわる支払利息の損金算入制限、Section 163(j)、の適用除外選択と密接に関係する。したがって、不動産業や農業がSection 163(j)の適用に関して新たな選択をしたり、過去に行った選択を取り消したりする結果として変更される適格内装資産の償却は、Section 163(j)に関して別途公表されている選択手続きの枠の中で処理する必要がある。これらに関しては「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (7) Section 163(j)各種選択手続ガイダンス」を参照して欲しい。また、Section 179等で即時償却規定とは別の形で事業用途に供された課税年度に既に費用化されている適格内装資産に関しては、CARES Actの影響はなく、そのままの取り扱いとなる。Section 179は、個人的な感覚では、どちらかと言うと個人事業主っぽいノリのオタクな規定だった。それがTCJAで即時償却が中古資産にも認められるようになり、資産取得型のM&Aのモデリングに大きな影響を与えてるけど、中古資産でも即時償却の対象となるかどうかの判断時にSection 179が引き合いに出され、急に脚光を浴びた観のある条文。

で、法的に過去遡及をどのように整理するか、っていうアプローチだけど、まず忘れていけないポイントは、CARES ActでTCJAの法文が修正される前の状態では、適格内装資産の償却は法的に39年定額、または納税者のADS選択で40年定額しか認められなかったという点。この点に関して納税者側に何の裁量も存在しなかった。それが、CARES Actによる法文修正で2018年1月1日に遡り、逆に原則、即時償却、納税者が即時償却の不適用を選択すればMACRSの15年定額、さらにその上でADS選択する場合には20年定額しか法的に認められなくなったという点。したがって、当時は法的に仕方なく39年や40年で償却し始めているケースでも、これをそのまま継続するっていうオプションは存在しないことになる。つまり、償却にかかわる処理変更が「強制」されることになる。過去に法的に適用が強制されていた39年や40年の償却は現時点で「法的に容認不可処理法」となり、即時償却等が急に「容認処理法」に生まれ変わる。面倒~。。

法文修正に伴い、容認不可処理法から容認処理法に変更する方法は、二通りあり、修正申告(BBA適用パートナーシップに関してはAARを含む点は以前からのポスティングで触れている通り)をする、またはこれから提出する2019年等の申告書で税務処理変更願い、Form 3115、を出し、修正申告することなく累積影響額を一気に調整する方法、のいずれでも可としている。処理変更の道を選択する場合、通常だと容認不可処理法は2年続けて適用していないと処理法として確立したことにならないけど、今回は特別に1年だけ法文修正前の方法で処理していても処理変更対象にするとしている。最初、財務省のガイダンスを読んだ際、「1-Year QIP」だけ別途規定があり、修正申告と同時に処理変更でもOKと、他の状況と同じ扱いを敢えて別に規定しているのが不思議だったんだけど、2年間適用していないことにかかわる手当なんだろう。いろいろとよく考えてあるね。

次に過去遡及の選択だけど、2017年9月27日を含む課税年度に限定の50%ボーナス償却選択やフルーツとかナッツの償却の話しは割愛して、ADS選択や即時償却の不適用選択にフォーカスしておくと、2020年4月16日以前に提出されている申告書に関して、今から不適用選択を希望する際には、こちらも法文修正後の強制処理法をそのまま適用するケース同様に、修正申告を提出するか、今後提出する申告書にForm 3115、処理法変更願い、を添付するか、いずれの方法で、不適用を選択することが認められる。

逆に過去にこれらの選択をしてたけど、選択を取り消したいケースだけど、即時償却の不適用を選択していたケースは、新規に過去遡及して選択するケース同様、修正申告または処理法変更願いのいずれかの方法で取り消しが認められる。通常のMARCSの代わりにADSの適用を選択してたケースで、やっぱり普通のMACRSに戻りたいケースの選択取り消しは修正申告を通じてのみ可能。これらの選択は、通常だったら一旦選択すると取り消し禁止だけど、今回は例外。う~ん、複雑。申告書作成大変そう。

Saturday, May 2, 2020

新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (11) 「QIP Glitch」(適格内装資産とボーナス償却)

米国の大概の州で強制されていたロックダウンも一カ月半を超え、その間、多くの米国市民が、自由を奪われるとどんなことになってしまうのか、っていう怖さを垣間見て、日ごろ当たり前のように享受してきた自由やさまざまな経済活動の恩典、の有難さを再認識してることだろう。個人の自由は米国憲法で保障されていて、米国では当たり前の権利のように勘違いしがちだけど、実は日頃から大切にし、感謝し、市民個々の努力で守っていかないといけないPriviledgeだということ。

SBAローンにしても、IRSの給付金手当にしても、最後は人間が規則を決めて司る訳で、$3Tのお金をこれだけ無理やり短期間に拠出し、管理しようとすれば、予期せぬ不具合、Glitch、がいろいろと起こるのは不可避。IRSだって、自分たちもロックダウンしてる最中に、大慌てで給付金を銀行に振り込んだり、小切手を発行したりしている。当然その過程ではいろんなGlitchが発生することになる。既に亡くなっている方の口座に入金されたり、逆に待っててもなかなか来なかったり、金額が予想と違ったり、公的年金受給者が扶養家族をオンラインで登録する時間が短すぎたり、とかいろんな不具合をメディアが報道している。

IRSや財務省は、彼らの手元に存在する情報、既存のシステム(相当古そう・・)を使って最大限の努力に基づき、半狂乱というか我を忘れて給付金を交付しているって言ってもいいような状況じゃないかな。給付金の受給者を正確に特定した後に交付するシステムを構築しないといけないんだったら、交付までに長い時間が掛かる。年間換算でQ2のGDPは下手したら40%ダウン、失業保険申請者はわずか4~5週間で3千万人と言われている現状、何をするにしても完璧な対策はない訳だから、バランスのいい施策をスピーディーに展開するしかない。

どんな策を取っても反対派はいて、今の米国におけるイデオロギー的な二極化を考えると、結局は何をしても約半数の反対意見があると想定され、そんな中での意思決定は、医学、科学、経済、有権者の意見は当然よく聞くとしても、最後はリーダーがそれらを総合的に検討した上で最終決定して、Move Onするしかない。全会一致の決定にはなり得ないので、リーダーとして、なぜそのような施策を取ったのか明確に説明し、異論がある場合には法の支配下で、市民が議論すればいい。ヘルスケアの受け入れ体制がとりあえず確保されたと言われている今、次なる課題は経済活動の再始動に移りつつあるけど、今後の施策にも思わぬリスクやGlitchは必ず存在する、っていう不可避の前提をリーダーが認め、市民も受け入れる必要がある。でないと何もできないので。新型コロナウイルスは、もちろんウイルス自体が恐ろしいのはそうなんだけど、9・11とか過去の危機との比較で、際立って異なる環境下での危機だなと感じるは、広範なインターネットアクセスやソーシャルメディアの存在。こういう環境下で迎える初めての大ピンチという点で、対応がより複雑、場合によっては困難になっている気がする。

で、Glitchといえば、「QIP Glitch」。何がGlitchだったかというと、Qalifiied Improvement Property、すなわち適格内装資産は、TCJA時の意図的には15年の耐用年数資産となり、かつ100%即時償却の対象となるっていう予定だったにもかかわらず、TCJAの法文ストラクチャーの単純ミスで、他の構造物同様、39年の定額償却のみの対象となってしまっていたという点。昔、小学校の頃、算数のテスト対策時に、せっかく本当は分かってるのに、単純ミスで点を落とすのは一番バカバカしい、って教わったのを思い出す。

TCJA可決直後から認識されているエラーだったんだけど、法文は法文。解釈の余地はなく、2018年1月1日以降に事業用途に供された内装は39年で粛々と償却することになり、小学校の算数のテスト対策じゃないけど、本当に一番バカバカしい結果となっていた。この手の法文エラーは、本来、比較的速やかにTechnical Correctionと呼ばれる法文修正法を可決してさっさと手当するのがベストなんだけど、TCJA自体、予算調整法という特別な手続きを経て共和党のみで可決した経緯があることから、通常の可決法で通過させないといけないTechnical Correctionに民主党が一切手を貸さず今日に至っていた。で、2年3カ月経った今、新型コロナウイルスという共通の敵が現れ、ようやくこの部分のTechnical CorrectionをCARES Actに忍ばせることができたという沿革。

Cares ActにはNOL Carrybackとか他にもTCJAに対するTechnical Correctionが含まれてるけど、Technical Correctionというのは法文があたかも元からCorrectionされた文言で制定されていた、という効果を持つ。したがって、適格内装資産は、既に39年で粛々と2年超定額償却してきたものが、実は2年前に即時償却が可能だったという変なポジションとなる。しかも、即時償却の不適用を選択する場合も、法律上39年資産ではない訳だから、39年で償却し続ける訳にはいかず、過去2年の取り扱いは間違いだったということになり、税務処理変更に基づく再計算が求められる。しかも、CARES ActはNOLのCarrybackや、Section 163(j)の計算を過去遡及して変更していて、多くのケースで各変更の適用に納税者による選択権が規定されているので、各規定の選択法の組み合わせは無数(?)っていうと大げさだけど結構あって、納税者側の検討は複雑怪奇となる。

特に、適格内装資産が多額になりがちな不動産業者は、Section 163(j)の支払利息損金算入制限の不適用を選択する際、内装を含む一定の資産に関してMACRSや即時償却を放棄するっていう代償があった。その場合、内装はADSと呼ばれる40年償却となる。普通でも39年だったら別に40年になってもあんまり大差ないから、だったらSection 163(j)の適用がない方がいいじゃん、って思ってたら今となってこの始末。しかもTechnical CorrectionによりADS自体も40年ではなく20年になっている。不動産業者に特化した話は「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (7) Section 163(j)各種選択手続ガイダンス」で若干詳しめに話しいるんで、興味ある方は覗いてみて欲しい。

で、QIP GlitchがCARES Actで修正されたことにより、上述の通り、適格内装資産は通常のMACRS目的では15年資産、ADS目的では20年資産となる。双方とも定額償却。また15年資産となるので、Mid-Month Conventionではなく、Half-Year Conventionとなる。最終四半期に40%超の資産がRear-loadedされる形で事業用途に供されるとQuarter Conventionになるのは通常通り。Conventionは米国で申告書作成したことあれば誰でも知っているルールだし、やったことなければ知らないだろうし、知っててもしょうがない類の話し。さらに通常の耐用年数が15年となることから、即時償却の対象となる。

何が適格内装資産に当たるかって言う肝心の定義だけど、CARES Actによる法文修正前の段階では、「商業用建物内装のうち、建物自体が事業用途に供された後に加えられる造作」とされていた。チョッと日本語ぎこちないかもしれないので誤解ないように原文付け加えておくと「any improvement to an interior portion of a building which is nonresidential real property if such improvement is placed in service after the date such building was first placed in service」。CARES Actはこの定義の「improvement」の直後に「made by the taxpayer」という重要な一言を加えている。すなわち、納税者自らが行うリフォーム等でないと適格にはならなくなってしまった。っていうことは、例えばNYCでオフィスビルを$500Mで購入して、そのコストのうち、$50Mを内装に振り分けても、バイヤーは自分で内装を造作した訳ではないので適格内装資産には当たらないことになる。納税者自ら造作というのは、言うまでもないけど、納税者が実際に腕まくりして梯子に上ってペンキ塗ったり、ダクトをセットアップしないといけないという意味ではなく、実際の作業は業者等に発注するんだろうけど、納税者の支出でリフォームする必要があるってこと。言い換えれば、既に内装が造作されている商業施設を後から取得して、取得コストの一部が内装に帰属するだけでは適格内装資産にはならない、ってこと。

そんな訳で、2018年1月1日以降に事業用途に供された適格内装資産は過去遡及する形で償却方法が変わってしまったので、この調整をどのように行うかっていう面倒な課題が生じる。この点は次回。

Sunday, April 26, 2020

新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (10) Section 163(j)改定にかかわる選択

少し前に「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (7) Section 163(j)各種選択手続ガイダンス」で、CARES Actで緊急に規定されたSection 163(j)の緩和措置 のうち、不動産事業に認められている免除の新たな選択、取り消し等の手続きに触れた。今日は肝心のSection 163(j)そのものにかかわるCARES Act絡みの3つの選択に関して。

まず、CARES ActによるSection 163(j)の緩和措置をサラッとおさらいしておく。

詳しくは「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (3) Section 163(j)」を参照して欲しいけど、暦年2019年中または暦年2020年中に開始する課税年度のネット支払利息は、修正後課税所得(ATI)の30%の代わりに50%を使用して損金算入額を計算することが認められる。納税者が50%ではなく、引き続き30%の使用を希望する場合には「30%使用選択」が可能。当選択は2019年、2020年に開始する課税年度の各々別々に認められる。

パートナーシップに関して、2019年中に開始するパートナーシップ課税年度には、緩和措置の50%の制限緩和規定は適用がない代わり、パートナーシップからパートナーに配賦された損金不算入支払利息の50%は、パートナー側の暦年2020年中に開始する課税年度の支払利息として取り扱われ、Section 163(j)の制限対象から除外される。残りの50%は通常の規定通り、パートナーシップから配賦されるETIに基づく通常のベンチ待機ルールに基づき損金算入の判断を行う。このパートナー側で2020年に50%を問答無用に使用できるという措置が気にいらない場合には、「パートナー2020年50%損金算入不適用選択」が認められる。2020年中に開始するパートナーシップ課税年度に関しては、法人同様にATIの50%に基づく損金算入制限枠を計算することになるけど、法人同様、2020年に関してはパートナーシップにも「30%使用選択」が規定されている。

また、2020年に開始する課税年度は、当年度のATIの代わりに前年、すなわち2019年中に開始する課税年度、のATIを使用する選択が認められる。

組み合わせがなかなか複雑なので選択の部分だけ再度整理すると、30%使用選択、前年ATI使用選択、そしてパートナー2020年50%損金算入不適用選択、となる。

まず、せっかくCARES Actで、2019年と2020年の支払利息はATIの50%まで損金算入していいです、って言ってくれているにもかかわらず、「うちはATIの30%を適用して損金不算入額を決めます」っていう「30%使用選択」。なぜこんな天邪鬼な選択があり得るかってというと、特定の条文適用時には有利に見える取り扱いも、他の条文との複合的な絡みで総合的に必ずしも有利でないケースがあるから。TCJAは複数条文のインターアクションに基づく検討の重要性に拍車を掛けている。30%でも50%でもどっちにしても制限に抵触しない納税者はムキになってこんな選択をする必要はないので、基本的には30%を選択して本来損金不算入としなくてもいい金額を損金不算入にしたり、50%でも制限に抵触する納税者がより多くの金額を不算入にする際に使う選択となるはず。そんな選択をしたい納税者は2019年または2020年の申告書、またはこれらの課税年度にかかわる修正申告書で、30%ATIを適用することで選択をしたことになる。特定の選択を宣言するStatementは不要。パートナーシップに関しては2019年は30%使用が強制されるので、当選択は2020年のみに関係する。また以前もチラッと触れたけど、パートナーシップもForm 1065を修正することができ、そこで30%使用選択ができるけど、BBAっていうパートナーシップレベル税務調査にかかわる特別な規定に抵触するパートナーシップで、一定の要件下で修正申告ではなく、Administrative Adjustment Requests (AARs)と呼ばれる別手続に基づき、実質修正同様の手続きを済ます必要がある場合には、AARsを通じて実質修正をする。今後、パートナーシップの修正申告に触れる際、基本的に全てこのBBA下のAARsの適用があるって覚えておいて欲しい。毎回いちいち「BBAの場合は・・・」って注意書きしないのでよろしく。

優柔不断というか、後から課税関係が変わってしまって、やっぱり素直に50%で計算しとけばよかったな、って気が変わった場合には修正申告を提出すれば、選択取り消しにかかわるIRSの承認を自動的に受けた形となる。簡単に言えば、時効が成立するまでは気が変わったら修正するばいいということ。また、今のところSection 163(j)の規則草案に基づき、Section 163(j)はCFCにも適用があるけど、CFCに30%使用選択をする場合には、支配米国株主全員で行う必要がある。

次に、2020年に2019年のATIを使用して損金算入額を決める前年ATI使用選択だけど、これも2020年の申告書、または修正申告書で2019年のATIを使用すれば良く、選択を宣言する特別なStatementを添付したりする必要はない。30%使用選択同様、優柔不断というか、後から課税関係が変わってしまって、やっぱり2020年のATIベースにしとけばよかったな、って気が変わった場合には時効成立前に修正申告を提出すれば、2020年ATIベースとすることができる。CFCにかかわる手続きも30%使用選択同様。

最後に、パートナー2020年50%損金算入不適用選択だけど、こちらもパートナーが提出する申告書で、不適用とすれば、すなわち、通常のルール通りにETIに基づく処理をすれば、不適用選択をしたと認められる。上述の2つの選択同様、後から気が変わったら時効成立前に修正をすればいい。

ということで、Section 163(j)にかかわるCARES Act系の選択はこんな感じなんで、次回は話題の適格内装かな。それにしてもGoogle/AppleのContact Tracing使ってでも何でもいいから、そろそろ経済活動開始のタイムラインを具体化してもらわないとね。民主党大統領候補に実質決まっているJoe Biden曰く、次のCARES Act 2.0では「hell of a lot more」の公的資金をつぎ込む!ってことだけど、既に$2.5T使ってしまったのに、これから「hell of a lot more」って言われても、最後は誰かが支払う訳で、次世代にそんな多額の負の遺産を残すべきではないと思うんだけど。そもそも、州知事の権限で経済活動を止め続けて、その代償を連邦政府が公的資金で補填し続けるモデルにはSustainabilityがない。大統領のアップデートとか見てても日によって言うことが全然違うし、州政府も結局、元々はヘルスケアシステムの受け入れに余裕が生じるまでの臨時措置のはずだったロックダウンから抜け出す切り札がないまま無暗にロックダウンを延期したいりしていて、一部ロックダウンを解除したジョージア州知事をみんなで叩いたり、なんか米国政府の無策ぶりを世界に露呈している感じ。個人の自由を保障する立派な憲法があっても、第二次大戦時のKorematsuケースとか、9・11直後の動きとか、有事の際には結局あまり機能しないのかな、って今後いろんなことがある毎にロックダウンとなるような変な前例にならないといいけど、って考えるのは大げさなんだろうか。何年待ってもワクチンができる保証はない中、まさかワクチンできるまでロックダウンしている訳にはいかないし。そんなことしたら2021年のGDPは2019年比較で25%行くかな~。そうなったら米国のGDP、今の日本と同じ。中国も減速するとは言え、グリーンのQRコードを駆使して復活気味なので、そこまでGDP下がりそうにないよね。まあ、過去の歴史振り返っても今回も最後はApocalypse的な話しにはならないと信じてるけどね。

Sunday, April 19, 2020

新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (9) IRSもWFHで「デジタル送信」その後

最近MidtownのWhole Foodsは品揃えに疑問があったのと、多くの買い物を一気にする際、必ずしも店の真ん前に路駐できないリスクもあって面倒なので、普段だったらなかなか行くことがないRidge Hill店までドライブすることが何回かあった。Shelter-in-Placeで道はガラガラなので、普段だったらインターセクションの設計が悪すぎて恒常的にボトルネックになっているFDRから87に乗り換えるRandall’s Islandのオーバーブリッジ辺りも気味悪いほど空いていて、家からRidge Hillsまで20分程度。着いてしまえば、NYCを一歩外に出れば当たり前の「普通に」大きなWhole Foodsの店舗目の前にIndoorの駐車場もあるし、駐車場のストラクチャー内にマンハッタンにはないSuperchargerもあるし、大量の買い出しにはとても便利。

CaliforniaのMDR近くのPlaya Vista店では早々にSocial Distancingで入場制限してたけど、NYCでも最近は入場制限がだんだん徹底してきてる。入場できる客の人数をどうやって決めてるんだか知らないけど、Per SQFT等で計算していると仮定すると、Midtownの店はCaliforniaのPlaya Vistaとか同じNYでもRidge Hillなんかと比較するとSQFTが少ないので、一回に入れる人数が少なそう。また、いくら人数制限してもMidtownの店はアイルというかLaneが狭いので、「Distancing」すること自体不可能なんだけど、昨日、久しぶりにMidtownの店に行ってみてビックリ。店内のLaneが全て「一方通行」化され、1メートル向こうに並んでるレモン買おうかな、と思っても、グルっと他の野菜が積んであるアイランドを一周しないと辿り着かないとか、Seafoodセクションに入るには一旦、野菜のセクションに戻らないといけない、とか複雑。駒沢公園辺りから西郷山公園経由、旧山手通りの下くぐって南平台の裏道経由で渋谷にドライブしてるみたいだ。知ってれば何てことないけど、知らないと中々辿り着かない、ってこと。

いつもだったら野菜やフルーツセクションを終えて、チーズとかパスタセクション経由、逆行して肉やSeafoodセクションに戻るところ、コロナ後の世界ではその方向は侵入禁止なので、なかなか買えなかったりチョッと面食らうこともあるけど、お陰で、一旦並んで中に入ってしまえば、店舗内で買い物している客の人数は少ないし、一方通行なのでカートがすれ違えないとか言うMidtownの店独特のフラストレーションもないし、なんといってもCashierというかレジで並ばないのがいい。普段だったら色別のLaneで、どの色が早いかな、とか殺気だってみんな並んでたけど、Social Distancingでレジ自体は待たずに終わらせることができる。レジも店員と客の間に銀行の防弾ガラスみたいな、Dividerが設置されたりして、これこのままにしておけば冬のインフルエンザ防止にも役立ちそう。幸いにも今の季節、気候が悪くないので店の前で30分とか待たされても、携帯使って財務省規則とか読んでたら(苦笑)余り苦にならないけど、真冬とかまで続くんだったら結構厳しそう。ディズニーランドのFASTPASSみたいに携帯で「あなたは何時から何時の間に戻ってきて下さい」みたいなLaneができるかもね。FASTPASSってチョッと使い勝手が悪いので、できたらLEGOLANDのReserve ’N’ Rideとか、Universal StudioのExpress Passとか、ローカルだけどKnott’sのFast Lane Passみたいな問答無用的に一番に入れるパスがあるといいけどね。まあ、FASTPASSは他のパスと違って無料だからね。Whole Foodsの対応見ても分かるけど、結構やろうと思えばいろんな手が打てるんだなって感心。ワクチンがいきわたるまでは、こういう地道な努力でリスクを軽減しながら経済活動を少しづつ再始動するしかないだろうね。

やろうと思えばいろんな手が打てると言えば、IRSのForm 1139のファックス受付。普段はペーパー提出しか認められない簡易手続き還付請求がファックスでも認められることになった点は前回の「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (8) IRSもWFHで「デジタル送信」OK」で触れた。ファックスって言うとチョッと原始的に聞こえるけど、IRSとしては法的に確実に処理できるバックエンドの体制を整えないといけないし、様式提出にかかわる証明義務とか、Identity Theftの観点とか、我々が考える以上の周到な準備が必要なんだろう。IRSの各サービスセンターにはペーパー提出された様式やレターが何台ものトレーラーに保管してあるってことだから、ペーパー提出された書類が処理されるまでには相当な時間を要しそう。

で、この金曜日、4月17日から満を持してファックス受付開始されているので、次々とForm 1139が送信されているんだろう。そんなタイミングでIRSは追加のFAQを出している。Cares Act絡みで納税者には有利な規則や手続きが次々と発表されていて財務省の実力を見せつけてるけど、中には法的権限はどこに、って思うことがある。ただ、実務的に言って納税者に有利な規則に関して法的権限が司法の場で問われるケースはないだろう。

IRSが追加で公表しているFAQによると、ファックスでの受付はあくまでもForm 1139と法人以外の納税者が使用するForm 1045に限定されてて、同じ流動性確保のために使用される場合でもForm 1120XとかForm 4466はファックスでの受付はしないと明言している。Form 4466は予定納税が過多だった際、申告書の延長期限前に提出し、支払過多の予定納税額を素早く取り戻すための様式。同様に流動性の話しで登場することがあるForm 1138は、今から提出しようとする申告書では税額があるけど、翌期にNOLが予想され、それをCarrybackすることで、結果として税額が減額できるケースで、支払いをNOLが発生する課税年度の申告書提出時点まで待ってもらう措置。Form 1138は還付請求ではないので慌ててファックスして処理してもらう必要はない。トレーラーに眠らせておいて、IRSサービスセンターが通常オペレーションに戻った暁にゆっくり処理してもらえばいいタイプの様式だ。

Form 1139って言うのは簡易手続きなので、その内容に関して精査されず、様式に記載されている数字が表面的に合っていれば法的に90日以内に還付を受け取ることができる仕組み。IRSは90日以内に還付を行う義務がある。Form 1139が表面的に合っているかどうか、っていう点だけど、数字的にはForm 1139も修正申告に類するので、オリジナル申告書の数字とCarrybackした後の数字を比較表示する必要がある。または既に何らかの理由でCarrybackする先の課税年度に関して修正申告を提出しているケースは、修正後の数字と今回Carrybackした後の数字を比較表示する。オリジナル申告書の数字を使うケースや、修正申告が相当前に提出されているケースでは心配ないかもしれないけど、結構最近修正申告をしたケースでは、そもそも修正申告の方がトレーラーに眠っていて、IRSのシステムに反映されていないリスクがある。その場合には、IRS側でForm 1139上の数字が表面的にも合っているという確認が取れないことなる。ただ、修正申告書を提出している以上、そちらの数字を使用してForm 1139を作成する必要があるので、実務的には面倒なことになり兼ねない。不整合が見つかったり、IRSで質問がある場合には、IRSから電話があるそうなので、君のテレフォンナンバー6700(凄い古~)かJennyの867-5309(チョッと古~)か分かんないけど、とにかく連絡が取れる番号をForm 1139に記載して、電話があったら逃さないように、電話に張り付いとく必要があるね。

また、既存のForm 1139は過年度のAMTクレジットを還付請求するデザインになっていない。そこでFAQでは、AMTクレジットを還付請求する際にはForm 1139にForm 8827の修正を添付し、2018年時点のAMTクレジット残高をCARES Actに基づき還付請求できる手法を編み出している。NOLのCarrybackとAMTクレジットの双方を利用して還付請求する場合も、一枚の1139で双方を手当できるような指示が公開されている。NOLのCarrybackがあると、AMTそのものの金額にも影響があるけど、一応、ここは律義にNOLをCarrybackして、AMTを計算し直し、それを翌期以降にクレジットしていって、2018年課税年度時点で取り返していない金額が残ってれば、Form 1139で還付請求することになる。AMTなんて真面目に計算してもしなくてもどうせ還付できて帳尻合わせることできるんだから適当でいいじゃん、って思うかもしないけど、ここは法的に古い課税年度から順々に律義に計算しないといけないと匂わせる記載がFAQ11に記載されている。Section 199とかFTCとかドミノ効果が多いから何だかんだCarryback計算も大変そうだ。ただ、AMTに関しては、CarrybackするNOLの金額そのものをAMT目的でAMTのNOLに換算し直さないといけないかどうかは明確じゃないけど、TCJA後の2018年~2020年にはもうAMTという制度が存在しないことから、以前AMTIを計算する際に使用していた「Preferences」とか「Adjustments」は2018年以降存在しない。となると、通常のNOLをCarrybackして、Carrybackした先の課税年度のAMTを再計算するばいいって考えられる。ここは異論があるかもしれないけどね。

金曜日には適格内装の100%償却絡みのRevenue Procedureも公表されて益々CARES Actのインプリメンテーションに気合が入ってるけど、次回は、その前に「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (7) Section 163(j)各種選択手続ガイダンス」で話し掛けになってるSection 163(j)のCARES Act絡みの3つの選択に関して。

Monday, April 13, 2020

新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (8) IRSもWFHで「デジタル送信」受付開始

前々回のポスティング「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (6) NOL Carryback手続等ガイダンス」で、NOLのCarryback手続きに関して財務省が迅速かつ有益なガイダンスを公表してくれた点に触れた。でもせっかガイダンスは出揃ったものの、IRSもWFH状態にある中、実際にどれくらいのスピードで肝心の還付が返ってくるのかは興味深いて、って話しもした。というのも、法人がNOLをCarrybackして簡易手続きで還付請求する際に使用するForm 1139は電子ファイルできなくて、ペーパー提出しか認められないのが通常だからだ。IRSの各サービスセンターもShelter-in-Place措置でCloseされていて、対応してくれるのは「Mission-Critical Operations」のみ。通常の市民生活的には各州が認める「Essential Business」のみオープンだけど、IRSでは「Mission-Critical Operations」のみオープンなんだね。トムクルーズの映画みたいで、普通より言い回しが格好いい。NYCとか他の街でオープンして頑張ってくれているWhole FoodsとかCVSとか「あそこはMission-Critical Operationsだからな・・・」ってこと(?)。

で、Form 1139の提出なんだけど、せっかくCARES Actで流動性を確保させるために規定してくれたNOL Carrybackに基づく還付が、肝心のタイミングでIRSが閉店していて「プロセスは世界が普通に戻るまで待ってて下さい」っていうんでは話しにならない。そこで今日、IRSはウェブサイトで「Temporary Procedures」、すなわち一時的な特別手続きを公表し、NOLのCarrybackおよびAMTクレジットの簡易還付手続きを行うために提出するForm 1139を「Digital Transmission」(デジタル送信)で一時的に受け付けるとした。法人以外が使用するForm 1045も同様で、各々異なる送信先が記載されている。デジタル送信というと、ハイテクな感じだけど、要はファックス。

指定のファックス番号は2020年4月17日より機能し始め、通常オペレーションに戻るまで、ファックスを受信順に処理するそうだ。4月17日より前に勇んでペーパー提出してしまった納税者も、再度ファックスでデジタル送信し直すよう促している。送信は最高100ページが限度で、100ページ超の必要添付書類が存在する場合も、まずは100ページだけ送っておいて、後はIRSが還付手続きを進める過程で必要に応じて納税者に連絡を取るそうだ。デジタル送信されたForm 1139もIRS内部処理は従来のペーパー提出と同じということ。またデジタル送信の対象はあくまでもNOLのCarrybackとAMTクレジットの還付用途に限定され、その他の目的でFormをデジタル送信しても、その時点では処理されず、IRSのサービスセンターが通常のオペレーションに戻った時点で処理をするそうだ。

さらに面白いのは、Transition Taxを計算している課税年度を含む年度へのCarrybackに基づく還付請求時にも一定要件下でForm 1139の使用を認めている点。今までの一般手続きではTransition Taxを計算している課税年度へのCarrybackにはForm 1139の使用は認められなかったのでチョッとビックリ。ただ、現時点ではTransition Taxを全額納付済み、すなわち8年間の分割払いを選択していないケースのみが対象とされている。8年分割払いは無金利バルーン型だから、分割を選択していないケースは珍しいというか、他の超過額と相殺してしまったケースが大半じゃないかな。その意味では実務的には適用可能性が高いわけではないけど、スピリット的にウェルカム。さらに、分割払いでまだ完済していないケースに関して今後追加アップデートを公表するとしているので、可能性としてはより多くの状況でTransition Taxを計算している課税年度を含む年度へのCarryback還付請求をForm 1139を使用して、しかもデジタル送信で、行うことが可能となるのかもしれない。

ちなみに予定納税を最終申告前に加速暫定還付請求するQuick RefundのForm 4466はデジタル送信の対象ではなく、通常の手続きを経ること、としている。また、デジタル送信はあくまでも一時的な措置であり、恒久的な制度ではない、とも念を押している。なんでだろうね?今回の新型コロナウイルス騒ぎで、議会もリモートで審議したり、票を投じたりするシステムを認めるべきだっている議論があるけど、WFHが解けたからって便利なシステムを必ずしも律義に元に戻さないでもいいのに、っていう気もするけど。