Saturday, April 27, 2024

Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (最終回)

前回のポスティングでは「Ever changing mood」のKiller B変遷の新規則案の前座としては最後になる2016年Noticeに触れて今日は大トリ。 前々回(だっけ?)Van Halenのギターの話しをしたけど、そんな話しをしたんで急にいろいろと記憶がフラッシュバックしてて、あの後、ポスティングでも触れた「Unchained」とかBlastさせたりしてた。あの曲、Manhattanだとチョッと気分でないんでもちろんフロリダブルーのときめきで。

デビュー直後の絶頂期1979年に武道館で見たVan Halen。あのコンサートは要所要所今でも目に焼き付いてるけど、2016年Noticeが規則草案の前座だったように、P-MODEL(確か。子供バンドじゃなかったよね。チョッと記憶があいまい)っていう日本のバンドが前座で登場したはず。ジャンルが違うんで観客は結構「?」って感じだったけど、ようやく暗くなってDave Lee Rothが結構うまい日本語で「コンニチワ~」「マタキマシタ~」「Mighty Van Halen~」(笑)とかなんとか絶叫して登場。武道館は天井が爆発して落ちそうなくらいの大興奮に包まれた。もちろんEddie Van HalenがPicking HarmonicsプラスTremolo Armで「キュイ~ン」(分かるね?あの音)とか大音量のGuitarをランダムに弾いてて最初の30秒でオーディエンス全員完全に行っちゃってたね。

Electric Guitar弾いてた人は分かると思うけど、例えMarshallフルボリュームでやってもあの「キュイ~ン」って感じはEddie Van Halenにしか出せないんだよね。で、武道館のコンサートではその直後、いきなりOpeningの「Light Up the Sky」だったはず。まだUnchainedって曲は当時出てなかったからね。う~ん。あんな格好いいOpeningは後にも先にも見たことない。Van Halenより少し前に見たCozy Powellが入ったばかりのRainbowの「Kill the King」のOpeningも良かったけど、個人的にはVan HalenのLight Up the Skyが上を行ってた。Light Up the SkyのOpeningのリフ、EとB(もちろんTuningが半音下がってるんで絶対音感的にはEフラットとBフラット)で半音ずつ上がってくやつ。ベースが逆に下降してくんだけど、あれをあのリズムで正確に弾くって結構難しい。Guitarが半音上昇し切った後に本番のリフだけど、何気なく聴いてると単純に格好いいけど例によってテクニカルにはトリッキーな技が満載だ。Guitar Solo直前に急にペンタトニックっぽくなるBridgeでフランジャーじゃなくてPhase Shifter使ってるよね。Phase Shifterとか使いすぎると嫌味だけど、Eddie Van Halenは十分かつ必要な使い方してて流石。EVH 90とかEddie Van Halenの名前が付いたんで後から知ったんだけど、あれはMXRのPhase 90ペダルだったんだね。Unchainedで触れたフランジャーもMXR製でもちろんこちらもEVH 117 Flanger。Light Up the SkyのBridgeも当時動画とかなかったからレコード(プラスチックのやつね)からコピーしようと思ったんだけど聞こえてる以上に難しいんだよね。4回同じBridge繰り返すんだけど毎回チョッとだけ違う音がはいってたり基本8フラットから12フラットみたいな上の方で弾いてるんだけど、途中効果的に開放弦が使われる。しかも「お~開放弦混ぜたね!」とか全く分かんないんだよね、弾いてみるまで。でその直後のSoloはレコードよりさらにスピード感満載でカッコよすぎだった。

Light Up the Skyで完全にPass Out寸前になったところで2曲目は間髪入れずにナント「Somebody Get Me a Doctor」!!。Helter Skelter じゃないけど一回Pass Outして帰ってきてまたPass Out寸前。めちゃカッコいいリフで始まって、ああやって弾くんだ~みたいな程度にチョッと冷静に見れるようにはなってきてた。あの曲のソロってめちゃくちゃカッコよくてコピーしないと分かんないんだけど超難しいんだよね。特に途中でハーモニクスになる辺りのリズム超複雑でライブで見たらフラットの上下に動く手の速さとその正確さに愕然。で、Soloが終わってまたリフに戻るんだけど、レコード通り、4回目のリフの次に「どうやってこんな音出してんの~?」っていう「ペキペキペキペキ…」って下降してく部分があって(知っている人はすぐ分かるだろうけど、知らない人には何それ?ってなるよね)、ライブでもその通りにそれを再現してた。あれって左手で開放弦と多分2フレットと5フレットとかをZeppelinのHeartbreakerのソロみたいにPull Offしながら、右手は手の甲でミュートしてハーモニクス効果を出しながら下降させてあんな音出すんだよね。Eddie Van Halenが登場してくるまで存在しなかったRight Hand奏法はその頃にはすっかり知れ渡ってたけど、あのハーモニクスを使ったPull Offも今まで聞いたことがなかった。しかもカッコいいよね、あの音。同じSecond Album(伝説の爆撃機(笑))の1曲目の「You’re No Good」のSoloの前半でも同じ音が聞こえてて個人的にGuitar音色七不思議の一つだったんだけど、弾き方が分かって大収穫だった。今だったらYouTubeみれば直ぐに分かって夢がないんだろうけどね。

う~ん、あんなライブをこの目で見れて体感できたっていうのはラッキーで光栄で一生の思い出だけど、実際起こってる時ってそれがどれだけ貴重なMomentかって意識がないんだよね。今考えたらあんなにカジュアルに武道館行って、Van Halen見て、また飯田橋まで歩いて半チャンラーメン食べて国鉄(JRじゃないです)で家に帰る、って何ていう贅沢。タイムマシーンで戻って最初の2曲でいいからもう一回体験し直したい。歴史の凄い出来事ってそうなんだろうね。後から考えたらあの時凄かったね、とか。または実はあんな時がHappyだったんだな、とかね。そんな後から考えてHappyなMomentって必ずしもMiamiのBeachで横になってたりしてリラックスしてる時じゃないから不思議だよね。人によってもちろん違うんだろうけど、みんなにもあるんじゃないかな、そう言う感じ。例えば、前夜めちゃ忙しくて寝るの超遅くなって、でも翌日早朝に起きて家族のBreakfastとかLunch Boxとか用意してバタバタしながらコールに出て、ついでに犬の散歩、下のジムに慌てて寄るけどTreadmillは時間がなくていつもの半分しかできなかった~とか。そんななのにプロジェクト遅れ気味で怒られるとか。やってるときは「なんとかして~ヘルプ!」みたいなそんなMomentが実は後から考えると至福(?)のMomentだったりね。ということで皆さんもMinute by Minute(Doobie!)大切にして下さい。

で、最終回をいいことに冒頭から思い切り脱線してしまったけどKiller Bに戻りるね。じゃないと最終回じゃなくなるリスクがあるんで。

2016年Noticeによる規則改定案

2014年Notice以降に進化したKiller Bは以前にも増してテクニカルなものなんで、それに網を掛けようとしている2016年Noticeまたそれを基に実際に規則案化された2023年規則案の規定も必然的に高度にテクニカルなものになる。

まず、Priority規定で出し抜かれた点への対抗策アップデート。前回触れた通り、2014年Notice以降のKiller B+ではUSSが所有するT株式をFSがFP株式とTriangular Reorganizationで交換し、その際にGRA規定下、超少額のsection 367(a)所得を敢えて認識する。一方Killer B規則を見るとFSによる外国法人FPに対するみなし分配に源泉税はないし、FPを所有するUSPはLook-through例外規定でSub Fの認識がない。となるとKiller B規則の所得はゼロなんでSection 367(a)に軍配が上がる。さらにその後のFPのUSPへの統合時にFPのE&Pを全額USPの課税所得とするっていうsection 367(b)の規定もPriority規定でKiller B規則が適用されなければFPはFSから配当を受け取ってないんでFPにはE&Pはないってことで課税所得がない。またしても不適切にも程があるってことでPriority規定はターゲットTが米国法人の時だけ適用するって変更するとしている。ということはTが外国法人のケースはPriority規定にかかわらずKiller B規則が適用されるってことになる。上の例で言うとFSがFP株式取得対価としてFPに移管する現金やNoteはKiller B規則でみなし分配になり、FSのE&Pの範囲で配当所得となり、FPのE&Pが増える。Look-throughでSub Fから逃れたとしても、そんな状態でFPがUSPに統合されるとSection 367(b)に基づきUSPはFPのE&Pを所得として認識することになる。この所得認識によりUSPが受け取るFP資産の簿価継承は辻褄が合うことになる。この点は「Killer B (Triangular Reorganizationを利用したRepatプラン) 財務省規則案 (12) 」も読んでみてね。

一方、上の例ではUSSがT株式をFP株式と交換する取引がIndirect stock transferになるんで原則section 367(a)に抵触するはずだけど、2016年NoticeではKiller B規則に抵触するTriangular Reorganizationで米国株主が外国法人株式を外国法人に移管したと取り扱われる場合にはsection 367(a)の適用は停止するとしている。ただし、section 367(a)が適用されない代わりに、Tの株主はTのE&Pをみなし配当所得認識することになる。通常のsection 1248に準じてPTEPや米国源泉E&Pは対象外。で、こちらも通常のsection 367(b)のルール通り、みなし配当所得額に関する株式簿価の増額が認められ、簿価増額後に株式譲渡益の計算をする。Section 1248に似てるけど、チョッと違っててこのみなし配当や譲渡益認識は米国人株主やsection 1248株主でなくても適用がある。

これらのルールをKiller B+の上の例に適用するとTのE&PはT株式を移管するUSS等の手で課税され、FSのE&PはFP経由でUSPの手で課税されることになる。TにE&P以上の含み益があると超過分は譲渡益課税。Killer Bと最初に出会った頃はこんなじゃなかったのにこの頃はチョッと冷たいね、じゃなくて厳しいね。

Excess Asset Basis(「EAB」)

外国法人の資産が米国に適格清算や組織再編で移管されてくる際にE&P課税する主たる動機は、米国のタックスシステムに初めて登場する資産簿価に資本金、負債、課税済みのE&Pの総計でサポートされていない部分があると、そんな超過額は資産簿価のタダ乗りになるっていう点は以前に触れたし、上のFPの資産がUSPに移管されるKiller B+の例でも触れた。資本金も負債返済も税引き後の現金を利用しているって考えると米国で非課税の状態にある外国法人のE&Pさえ課税すれば、米国に移管される資産の簿価は適切に購入されていることになる。

Killer B+を見てこの点がとても気になったみたいで2016年のNoticeでは外国法人の資産が米国に適格清算や組織再編で移管されてくる際にE&P課税するルールを強化し、EABが存在する場合、一定要件下でEABを「Specified earnings」と指定しE&PにプラスでEABにも課税するとしている。このEABルールは必ずしもKiller B取引の後に実行される資産移管、すなわちKiller B+の「プラス」部分の取引、かどうかにかかわらずTraditionalなInbound資産移管全てが対象となるらしい。EABルール自体複雑だけど、上述の超過額が不適切っていう理論に基づいてて、EABは外国法人の「内部資産簿価」が「外国法人株式簿価合計額(ここは本来資本金になるはずだけどその代わりに簿価を適用)」、「外国法人の負債」、そして「E&P(PTEPや米国源泉E&Pは除外)」の合計を超える額。財務省も納税者に負けずに資産簿価に神経をとがらせてるね。

で、どんな金額がSpecified earningsになるかっていうと、いろいろ実際には細かいんだけどエッセンス的には、「米国に資産移管する外国法人が所有する外国子会社のE&P(PTEPや米国源泉は除く)」、「EAB」、米国に資産移管する外国法人株式の含み益」のうち一番小さい金額になる。

2023年Killer B規則案

前座P-MODELの演奏が終わり一回武道館が明るくなってワクワクして待ってたら会場が暗くなって凄い歓声の中、Dave Lee Rothの「コンニチワ~。マタキマシタ~」とEddie Van Halenの「キュイ~ン」でオオトリVan Halenが登場したように、ここで2023年Killer B規則案に至る。本当に「マタキマシタ~」って言うのがピッタリ。

2023年Killer B規則案は基本的に2016年Noticeを踏襲している。2016年Noticeに寄せられたコメントに基づき、EABルールは原則、Inboundの資産移管の前にSがTriangular Reorganizationに使用する対価となるP株式・債権をPから現金で取得しているにもかかわらずKiller B規則が適用されていないケースへの適用に限定。2016年NoticeはSpecified earnings算定時に「米国に資産移管する外国法人が所有する外国子会社のE&P」がEABと比較する対象の一つだったけど、その際にPTEPは除外されてた。2016年Notice後に留保所得一括課税(section 965)およびGILTIの導入でPTEPが爆発的に増額したため、この点に関して微調整があり、米国に資産移管する外国法人が子会社からPTEPを含む全E&Pを分配したと仮定し、この分配の課税関係を加味して計算をするっていう方法に変更されてる。

他にも細かいポイントはいくつかあるけどメジャーなのはこんなところかな。まだ規則案なんで最終化の際に更なる微調整があるかもしれないしね。ってことで長らくKiller Bにお付き合い頂きありがとうございました。次の物語は何にしようかな、って思ってたら昨年触れたDC REITの規則案がいきなり最終化された。他にもSWFっていうか外国政府系の話しも最終化されてるんで速報でひとまずそれをカバーして、その後にNew themeにしましょう。