Sunday, May 19, 2024

FIRPTAアップデート(QFPF規則最終化)

前回のポスティングではつい先日最終化されたFIRPTA関係の規則のうちREITがDC REITかどうかを判断する際の米国法人株主の取り扱いに触れた。規則では同じくDC REIT判断時のQFPFの取り扱いも一部最終化してるんで今回はQFPFの取り扱いに関してチラッと触れておきたい。

規則案のQFPF関係の規定に関しては「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (9))」および「(10)」で特集してるけど、そのうちDC REITの判断目的でQFPFはどこの国の人?っていう部分が最終化されている。一方、QFPFであると同時にsection 892の恩典を得ることができる外国政府に適格となる主体が、USRPHCになってもCCEにならないっていう有難い規則案は別途最終化するらしい。このルールの方がより早く最終化されるよう願ってるんだけどね。

QFPFの国籍

以前のポスティングで触れた通り、PATH Actを修正した2018年のTechnical Corrections Actにより、QFPFはFIRPTA規定目的(for purposes of section 897)では外国法人にも米国非居住者個人(NRA)にも当たらないって規定された。これは行政府が策定する財務省規則ではなくIRCの「条文」だ。IRCは憲法上のSubreme Lawのひとつ。ということは問答無用にFIRPTA目的ではQFPFは米国人扱いなんだよねって言うのが自然の解釈。すなわち米国内税法の定義的には米国人と外国人って互いに排他的な関係にあるんで、外国人じゃなかったら米国人、外国人だったら米国人じゃないし、両方ってことはないはず。

で、FIRPTA目的全体でQFPFは外国人ではないって条文を文字通りそのまま解釈すると、QFPFのREIT持分は米国人が所有しているって取り扱う以外の余地はないように見える。QFPFはもちろん実際にはDomestic Corporationじゃないんで限定Look-throughルールの適用もないだろうし。となるとDC REIT適格判定時には納税者有利な結果となる。

ところが規則案ではこの点に関してDC REIT判断目的ではQFPFは外国人と取り扱うと規定していた。すなわちREITがDC REITになり難くなるってことだ。ポリシー的に驚きはなかったんだけど、問題は条文にはそうは書いてない、って点で無理やり感が払拭し難かった。まあこじ付けられないこともないのかな~っていう理由は以前のポスティングを参照して欲しい。

最終規則のQFPF国籍

規則案には反対意見が多く寄せられた。財務省曰く一件だけ規則案に賛成という奇特なコメントがあったそうだ。反対意見は予想通り、条文の文言でクリスタルクリアな規定に関してポリシー的な見地から異なる解釈を規則という形で強制するのは行政府の規則策定権逸脱というもの。財務省はいろいろと理由を列挙して合意できないとし、結局規則案のQFPFはDC REIT判断時は米国人扱いっていうポジションで最終化された。QFPF自体はFIRPTA免除なんでDC REIT株式譲渡益免税の恩典有無に影響は受けないけど、QFPFが投資しているREITの他の外国人投資家にはバッドニュース。

ということでFIRPTA規則最終化速報でした。Van Halenの話しとかないから短かったね。次回は新トピック。何になるでしょうか。