Monday, October 6, 2008

金融安定化法に盛り込まれた多数の「税法改正」(3)

金融安定化法に盛り込まれた多数の「税法改正」の3回目(最終)ポスティングだ。

*会計事務所のペナルティーは(ナント)一転緩和!

イラク戦費の予算化に係る「Small Business and Work Opportunity Tax Act of 2007」では「会計事務所等の申告書作成者は申告ポジションに少なくともMore Likely Than Notの基準が必要」という新たなペナルティー規定が「劇的かつ突然」登場した。この辺りの展開およびその後の混乱に関しては2007年6月の「申告書で取れるポジションのハードルは高くなったのか(その1)」「同(その2)」というポスティングで触れた

その後、会計事務所に対する規定と納税者そのものに対する規定に食い違いがあることから混乱のもとであり「More Likely Than Not」規定の見直し機運が早くも高まっている点は2008年4月11日の「申告書で取れるポジションの基準は一転緩和?」で触れている。この程、期待されていた緩和策が現実のものとなり、会計事務所も納税者同様に「Substantial Authority」があれば申告書にサインすることが可能となった。しかも、ナントこの変更は「Small Business and Work Opportunity Act of 2007」の施行日に過去遡及して適用とのことだ。

この「More Likely Than Not」規定に関して、ペナルティーを恐れる会計事務所では数多くの内部トレーニング等を展開して対応に苦慮していたし、税法の施行に責任を持つIRS側でもNoticeを作成したり多くのリソースを費やしてきた。また近々に「More Likely Than Not」に係る財務省施行規則の最終版が公表される予定にもなっていた。これら数々の努力は今回の法律で一瞬にして「水の泡」と化したことになり、この一年超の「大騒ぎ」は一体何だったの?という気持ちになる。結果は喜ばしいものであるが、議会の紆余曲折は多方面で無駄な努力を強いたのは間違いない。

*Fannie MaeとFreddie Mac株式の損失

当然といえば当然かもしれないが、Fannie MaeとFreddie Mac株式の損失は取り扱いが不利なキャピタルロスではなく、通常損失となる。それでも損失を被った者の被害は大きいだろう。

*R&Dクレジット延長

毎年延長されると全員が知っているにも係らず一応毎年失効するというどことなく空しいハラハラ劇を演じ続けていることで超お馴染みの「R&Dクレジット」も無事に2年分(2008年と2009年)まとめて延長されている。さらにここ2年ほど結構話題の「Alternative Simplified Credit」の計算が更に有利に変更されている。

他にもCFCの取り扱いその他盛り沢山だが、これくらいにしておく。11月の選挙の結果如何に係らず税法は大きく変わることは間違いないが、それを待たずにこれだけの変更が一気に法制化されてしまうとは・・・。それにしても一時盛り上がっていた税法の簡素化機運はどこに行ってしまったのか。