Sec.382の適用除外と崩壊する(?)モラル (1)
イラク戦争の決行により米国の世界におけるモラル・オーソリティーとしてのスタンディングが低くなってしまったことは今となっては明らかであり、米国が好きでここに住んでいる僕としてはとても残念だ。
そのせいという訳では全然ないだろうけど、長い間キャピタル・マーケットで最高のスタンダードとして君臨してきた米国会計原則「U.S. GAAP」もとうとう国際会計基準「IFRS」にその席を明け渡す日が近づいている。
ドルの崩壊とか、やはりいろいろな面で落ち目なのかな~と漠然と考えていたが、ここに来てまた「ここまでやるか?・・」と個人的にショックを感じる出来事が二つ程あった。
*時価会計見直し?
日本でも導入時に大変評判が悪かった時価会計が本家米国で今更ながら槍玉に上がっている。これは簡単に言うと、金融機関が保有しているCDOとかの有毒資産(Toxic Asset)等を従来の会計原則に基づき時価評価するとバランスシートがとんでもなく棄損してしまい、銀行業務等に差し障りがあり、時価会計が諸悪の根源である、というのが理由のようだ。
Bailout法である緊急金融安定化法でも金融機関の時価評価を見直すべきかどうかの検討をSECに求めている。Toxic Asset系の資産には買い手が付かないこともあるので時価会計は機能しないのかもしれないが、今まで一般企業がさんざん時価会計で苦しんできたのに、金融機関の損失が巨額になりそうになった途端に見直しというのも「何だかちょっと・・・」という感じは否めない。
キャピタル・マーケットが機能不全に陥っているのはもちろんだが、投資化としてはそんな時こそ真の価値が反映されたバランスシートで投資判断をしたいだろう。
*Sec.382の適用中止
とは言え、まあ時価会計の話しは会計原則の話しなので、タックスおたくの僕としては「そんなものか・・・」という感じで毎日を過ごしていたが、「Sec.382適用の一旦停止」措置がIRSから発表されてこちらはエ~っと目を疑ってしまった。この点は次のポスティングで詳しく。