トランプ政権発足から未だ100日弱しか経過してないけど、おそらく史上まれにみる激しい政権発足100日になるだろう。メキシコとの国境はほぼ完全に封鎖されバイデン時代に一千万強の移民が流入してたのが噓のよう。その他カルチャー系の問題やエネジー政策その他公約をほぼ全て強硬に実行中。これらの政策はトランプに投票した有権者は評価してるだろうけど経済政策はどうだろうか。
規制緩和
経済的にはまず規制緩和。特に金融やクリプトに関しては規制緩和路線が明確だし、税法に関してもバイデン時代末期に滑り込みで規則策定され、行政府の権限逸脱という反論が多かったパートナーシップを使用したBasis Shifting対抗規則の撤廃が発表された。パートナーシップのBasis Shiftingって言うと洗練された、または阿漕なプラニングに聞こえるかもしれないけど、結構な部分は法的に強制される資産簿価に対して普通にやらされてる調整の適用。例えばsection 732とか734、確かに思わぬEconomicsになることがある分配時の743とかをターゲットにし、通常領域の簿価調整も含めて広範に「Transaction of Interest(「TOI」)」に指定し報告義務が課せられてた。TOI(トイって言います)は玩具じゃないからね。Basis Shift規則は対象取引、報告対象期間双方の面でOverbroadで面食らってたパートナーシップは多く、撤廃はWelcome。743とか条文に基づく取り扱いの変更は行政府じゃなく、議会が法律で策定するべき。特にLoper Bright後の世界では。実際に上院ではBasis Shiftに関係する法案が提出されたりしてる。思いつく範囲でも見直して欲しい規則は結構ある。スピンオフ、特にSecuritiesのDebt for Debtの取り扱い、自社株買いのFunding Rule規則案、DC REIT判断時のC CorpのLook-throughとか。1.385‐3のFunding規定もそろそろ何とかならないかなって思い続けて既に10年近い月日がたったね。
規制緩和でイマイチ予想を下回ってるのはLina Khanが去った後のFTC(公正取引委員会)。Andrew Ferguson傘下で一気にLiberationされるかと思ってたけど、Capital OneとDiscoveryとか金融系はスムースにSailingしているのに対し、Big TechやPharmaには引き続き厳し目。Big Techはバイデン政権傘下で言論統制や世論操作させられてた危険な存在っていう見方がトランプ政権に根強く残っている点はひとつの理由だろう。
関税で税制改正の早期可決がMustに
で、公約だった関税が現実になり、しかも関税はオンだったりオフだったり。不確実性が高いのはビジネスにとってプラニングができず一番困るだろうから一層のことUniversalに10%なんだったらそう決めてMove Onした方が分かり易かった気がするんだけどね。また、以前に何回か触れた今のままではいずれ米国は過去の大国同様に滅び行くって言う危惧に対処するためのGlobal Reorderだけど、これが狙い通りにプラス効果をもたらし、米国市民、特に製造業が多い中西部の有権者がそのメリットをいつ「体感」できるのかはもちろん不明。そんな状況で経済に不確実性が増してるんで、少なくとも短期的なショック緩和策として規制緩和に加えて国内経済「成長志向」の税制改正の早急な可決がますますMustになったっていう点は前回チラッと触れた。
税制改正の具体的な大枠はTCJAの恒久化(上院)または時限延長(下院)、そしてトランプが選挙活動中から言ってるチップ、残業代、公的年金受給非課税、米国内製造に帰する所得に対する15%減税とかのパッケージのできるだけ多くを盛り込むっていうもの。これだけでも超大型法案だけど、それに国境警備、国防、エネジー関係を盛り込むOne Packeageなんで規模は巨大で、それだけに党内調整には多くのチャレンジがある。
TCJAの延長に関しては、TCJAそのものが2017年に同じトランプ大統領下の共和党Trifectaで可決された税制だから、2025年も同じくトランプ下で共和党Trifectaっていう点からTCJAを延長したり恒久化するっていう動きはごく自然に見える。でもチョッと落ち着いて考えてみると2017年の共和党と2025年の共和党では異なるベースの党で別の党みたいだから、2017年の税法をそのまま延長しようっていうこと自体、何となく不思議な部分はあるんだけど、まあTCJA自体が元からAmerica First Policy的なトランプ1.0のSignature法案で、結果多くの所得層に恩典があったことを考えると自然な流れって整理しておくべきなんだろうね。
S. CON. RES. 7/H.Con.Res.14 Concurrent Resolution
そんな中、上院は以前に可決していた2-TrackのBudget Resolutionの代わりに下院同様に税制改正、国境警備、軍事やエネルギーの全てをOne Packageで対処する「Big Beautiful Bill」、または「Too Big to Fail」って呼ぶ人もいるけど、に変更してBudget Resolutionを可決。その後、下院が新上院バージョンをギリギリ可決させてようやく正式に両院(Concurrent)のBudget Resolutionが誕生した。
Budget Resolutionを含むReconciliationのプロセスはthe Congressional Budget Act of 1974に基づくもので、Reconciliationルール枠内の法案を審議すると上院でFillibusterっていう議事進行妨害の除去に必要な60議席ではなく、単純多数決の50議席超で予算案を可決できるっていう制度。その際、法案に盛り込まれる内容は歳入・歳出に関係ないといけないとか、Reconciliationの手続き自体超複雑で僕の専門分野とは言えないけど、ベーシックなところで理解してる範囲でプロセスに触れておくと、まず両院各々が2025年の予算の大枠(具体的な法案内容ではなく)をBudget Resolutionとして可決し、最終的には一つのBudget Resolutionとする必要がある。
具体的には2025年の予算に関して上院が4月5日に以前の2‐Trackバージョンではなく、一括法案を想定したBudget Resolution(これがS.Con.Res.7)を可決。下院は既に一括法案を想定して先の3月20日に独自のBudget Resolution(H.Res.258・H.Con.Res.14)を可決してたけど、4月10日に下院は上院のS.Con.Res.7に元々の下院のポリシーを加味して採択。このプロセスを経て上院のS.Con.Res.7が両院合意の最終Budget Resolutionになった。元々下院のDeficit Hawksの意向を反映するために$1.5~$2Tの歳出カットが反映されてたけど、これらの歳出カットはそのまま下院向けには残る形で最終化されている。
上院・下院で異なるInstructions
このようにBudget ResolutionがConcurrentで両院一致バージョンになったものの、面白いことに上院バージョンに元々の下院バージョンを合体させてることから上院と下院で各委員会に与えられた予算指示内容は異なるっていう複雑な構成に仕上がっている。上院と下院には各々委員会があって、個々の委員会が管轄権を持つ分野はミラーイメージじゃないけど、トータルでは結局同じ分野を取り扱うことになる。下院はEnergy & Commerceっていう委員会があると思えば上院はEnergyっていうのがあり、下院のFinancial Services委員会もどきが上院Banking委員会だったりするけど、特定分野に関して両院でどこかの委員会が予算を作成する立場にあって最終的な法律は同一じゃないといけない。税制に関してはもちろんだけど下院はWays and Means Committeeだし、上院だったらFinance Committeeだ。
歳出カット
ConcurrentのBudget Resolutionに反映されている予算指示で、上院と下院で大きく異なるのは歳出カット規模。下院ではWays and Means以外の各委員会に合計で$1.5Tの最低歳出カットが指示され、Ways and Meansには$4.5Tまでの歳入減、すなわちTCJA延長他の税制改正による減税の財源が手当てされている。歳出カットは$1.5Tが最低ラインで$2Tに届かない場合、不足額はWays and Meansの$4.5Tを減額する。逆にもし歳出カットが$2Tを超える場合には、Ways and Meansの$4.5Tを増額することができる。
一方の上院側にはこの手の歳出カットの指示はない。正確に言うと全委員会合計でナンと「$4B」(この「B」は「T」のタイポではなく本当に「B」)という実質ゼロと言ってもいいような無意味な歳出カットを指示してる。これは共和党はMedicaidをカットするつもりって民主党・メディアが市民の恐怖を煽ってるんでその対策なんだろうか。Medicaidを正当に受給しているケースはカットはしないってトランプ政権は再三にわたり強調してるけど、Medicaidの不正受給や濫用による歳出は巨額だっていう話しだからトランプ政権が着手してる政府によるWaste、Abuse、Fraud支出をなくす努力をして歳出を管理するのは当然で不正の排除はMedicaid恩典カットには当たらないはず。この辺りのメッセージングはレガシーメディアが不安を煽ってるんで一般には伝わり難いところ。
米国の仕組みって日本と違い過ぎて分かり難いと思うけど、医療保険に関して国の皆保険制度はない。Privateの保険に加入しないとなかなか病院にも行けない。医療保険にかかわる連邦政府の関与は主に2つで一つは65歳以上の高齢者および身体障碍者に対するMedicareで、もう一つは低所得者に対するMedicaid。Medicaidの方は制度導入1965年当時の趣旨は生活保護を受けてる低所得層に対する医療費援助で、州が運営し連邦がかなりのポーションのコストを負担するっていうもの。1965年から制度は拡大し、特にオバマケアで連邦の負担は増額の一途。また不正の温床のようで、DOGEが実態調査する以前にも会計検査院(GAO)がMedicaidの不正は$100B規模って指摘してるから凄い。$100Bって一年のコストだからBudget Windowの10年に置き換えると$1Tだ。
Medicaidってチョッと不思議に思うかもしれないけど、下院ではEnergy & Commerce委員会の管轄化。当委員会は憲法批准直後に憲法のInterstate Commerce条項にかかわる法的管轄権を持ったことから、連邦が司る医療プログラムは必然的にInterstateとなることが理由で当委員会が管轄権を持つ。で、上述の通りConcurrentにも反映されてる下院のBudget Resolutionは計$1.5Tの歳出カットを指示してるんだけど、そのうち半分以上の$880BがこのEnergy & Commerceに割り当てられている。もちろんこれは偶然ではなくMedicaidの正当な給付ではなく、不正をカットすることで相当な歳出カットが可能だろうっていうのが背景。
一方、上述の通り上院でMedicaidを管轄しているFinance委員会には歳出カットの指示が出てない。この点から上院がどれだけ真剣に下院委員会が可決する歳出カットを法案に取り込むかがBudget Reconciliation法案可決に向けての大きな関心になっている。下院のDeficit Hawk派が上院のBudget Resolutionに賛成票を投じたのは、上院による「歳出カットはResolutionに盛り込んではないものの、下院の$1.5Tカットには賛成で同様の努力を惜しまない」っていう口約束が理由なんで火種を先送り(英語で言うところの「Kicking the can down the road」)した感は否めず、下院法案が目標のMemorial Day(5月26日)に完成したとしても、その後の上院法案や両院共通の法案とする際の交渉がどんな風に展開するか目が離せないね。
Saturday, April 26, 2025
Saturday, April 12, 2025
関税「Morning After」と両院一致Budget Resolution可決
Section 899法案の話しに戻りたいけど、世間は当然のことながら関税の話しでもちきりで、米国で言うところの「wall-to-wall」。そんな状況なんで、もう一回、Liberation Dayから一夜(数夜?)明けた「Morning After」特集。
Morning Afterっていうと映画ポセイドンアドベンチャーのサントラを思い出すね(そんな古い映画知らないって?)。原曲はMaureen McGovernの郷愁感ある名曲。ポセイドンアドベンチャーって言えばGene Hackmanだけど、先日のSanta Feでの出来事はビックリでした。
映画ポセイドンアドベンチャーでは「Nonnie」っていうチョッとJoni MitchellみたいなArtisticな女の子がMorning Afterを船内のラウンジみたなところでリハっぽく歌ってるシーンがあるけど(バンドメンバーのLooksが70年台前半丸出し(笑))、あれはリップシンクで声はCarol Lynleyだったということ。Maureen、Nonnie(Renee Armand)、Carolって三つ巴で結構ヤヤコシイね。
Liberation DayとGlobal Tax Deal対抗策
で、あんまり脱線しないうちに本題に戻ると、まずLiberation Dayの声明で気づいた点はReciprocalの対象となる貿易相手国の関税、VAT、非関税障壁の話しに「Global Tax Deal」が含まれてなかったこと。そもそもReciprocalの計算は、貿易相手国のエントリーコストではなく米国との貿易収支の均等に基づくRicardianモデルって言われてるんで、計算方法からも相手国がGlobal Tax Dealを導入しているかどうかは検討要素に入ってないことが分かる。関税の話しなんだけど、通商は専門外で、どうしてもまずは法人税関係に気を取られてしまう悪い癖だね。
Global Tax Dealに関しては以前のポスティング(「Global Tax Deal大統領令」と「America First Trade Policy大統領令」)で触れた通り大統領令は大別して2つ。まず一つ目のGlobal Tax Deal大統領令はピラー2を含む域外・差別的課税を可決したり、可決しようとしている国をリストアップして、行政府として法的に取ることができる対抗策オプションを3月21日までに財務長官が大統領に報告するっていうもの。この報告書は公開されてないけど、歳入委員会のポスティングに、財務長官がタイムリーに報告を終えた点を評価しているコメントが掲載されてたんでBessent長官は期日に報告を終えてるって推測される。報告書そのもののコピーは海賊版でも流出してないんで見ることはできず内容はベールに包まれたままだ。う~ん、魔法の鏡で見てみたい。もしもブルーにしてたら偶然そうに電話する?
この手の局面で行政府として法的に取ることができる対抗策の代表って言えば他でもない関税だから、Liberation Dayの公表にこの点が加味される可能性もあるのかなって思ってたんだけど、実際には特に言及はなかった。別枠で検討中かもね。トランプ政権は「やるぞ」って言ってたことはどれだけ物議を醸しても基本やってきてるんで何らかの対処は取るんだろう。OECD加盟国やIFが近々に協議するとかいう話しは聞くけど具体的には公表されてない感じ。いずれにしても仮に現時点で集まったとしても関税の話しが充満しているんでGlobal Tax Dealどころの話しじゃないしね。
もう一つのAmerica First Trade Policy大統領令でもGlobal Tax Dealに触れてるけど、こちらは他でもないsection 891の対象となり得る国を4月1日を期限に財務長官にリストアップするよう求めているもの。以前から触れている通り、section 891の認定は単に域外課税や差別的課税を制度として持っているっていう以上のものが求められるんでどんなリストになってるかこちらも魔法の鏡の世界だけど、内容はともかくこちらもリストも提出済みって考えていいだろう。ポスティング中のsection 899案はsection 891をModernizeしてるものだから、もしかしたらsection 899の立法動向、例えばScoring可否の観点からBudget Reconciliationに入るのかどうか、を見てそちらでいけそうだったらsection 899に注力するのかもね。Section 891は既に法律にあるんで、America First Trade Policyで問題国のリストアップが完了してるとすりば、直ぐにでも発動可能でバックストップ的に取ってあるのかもしれない。
税制改正動向
関税があったりなかったりして米国経済に不確実性が増している中、少なくとも短期的な関税ショックを中和するため国内経済「成長志向」の税制改正の早急な可決がますますMustになった。そんな中、上院は以前に可決していたBudget Resolutionの代わりに新たな下院のResolutionを改訂した新上院Resolutionを通している。その後、下院が新上院バージョンをギリギリ可決させてようやく正式にBudget Resolutionに基づく立法プロセスがキックオフ。両院Budget Resolutionの内容に関しては、今後予想される動向や関税との関係も含めて次回ポスティングで別特集してみたい。
僕の専門分野は60年台後半から80年台までのギタリストのテクニック分析と米国のIncome Taxなんで、関税の話しは専門外。なんで関税に関するコメントは米国で一般市民と暮らしている中で見えるポリティクスや、投資銀行や法曹界の集まりで聞いた話しをベースにしてるんで、総合的な分析を提供するような大それた意図はないからねって予め断っておく。ただ、日本で米国の話しを聞く限り、米国の一般トレンドの実態が伝わってないことが多いとは感じるんで肌感覚の観測として参考になればなによりです。
トランプと米国関税の歴史
トランプを語る際に、彼の意見に賛成するかどうかは別として、トランプが思ってることややりたいことをそのまま普通に(延々と)語るっていう、政局やオーディエンスを見て話しを変えたり(カマラハリスみたいにアクセントまで変えたり…)するポリティシャンとは別のAuthenticityを一つの特徴として挙げることができる。
この一貫した信念は、通商面で米国が他国にいいように利用されてて米国政府の無策も手伝い、結果として米国が凋落しているんでどこかで方向転換しないといけない、っていうスタンスも同じ。トランプ1.0の2016年どころか今から遡ること40年近く昔の1988年には当時不動産業で一躍有名になっていたヤング(って言っても40歳くらい)のトランプがthe Oprah Winfreyのショーで米国の不均衡な貿易収支を大きな問題としている。凄い若いけど言ってることは基本、Liberation DayのRose Gardenの趣旨と同じだ。トランプの通商ポリシーはRobert LighthizerやPeter Navarroに影響されて形成されたって思われてるかもしれないけど、そうじゃないのが分かる。トランプはOprahのショーでのやり取り以外にも当時から既に大手新聞に公開書簡を送りつけて米国の通商・国防ポリシーに警鐘を鳴らしていた。Oprahのショーのやり取りは最近YouTubeで多く閲覧されてるんで興味あったら見てみると面白い。
トランプの一貫性を見ることができる40年前の出来事。当時の問題国はもちろん日本。米国にあれだけ経済的に恐れられるってなんか懐かしいね。Super 301が連日新聞の一面で報道され、お茶の間に米国通商代表(USTR)っていう機能とかカーラ・ヒルズの姿が定着していたあの頃。
当時、米国と交渉したノウハウ(プラス恐怖?)は日本政府や産業界に継承されてるはずで、以前のポスティングでも触れた通り対米通商交渉に日本は「一日の長」があるって言えるかもね。そのお陰かどうか分かんないけど、Reciprocal関税に対して真っ先にトランプ政権に交渉を提案し、米国側はそれに応じてBessent財務長官とUSTRのGreer自らが交渉に関与するってことで、ここ数日、米国では同盟国の模範(?)みたいに報道されたりしてる。「中国とは違って…」っていう切り口。ただ、国家間の同盟は国家の自己利益に基づくんで相手国による称賛には要注意かもね。イスラエルのNatanyahu大統領は既にトランプ、Bessent、Greerを訪問してイスラエル側の米国製品に対する関税撤廃を提案。
ちなみに日本が当時直面してた米国側の対抗措置は上述の通りSuper 301っていう措置だったけど、Liberation Dayを含む今回のトランプ関税の根拠条文とは異なる。関税も歳入法なんで連邦憲法下では三権分立上、議会に制定の権利がある。1913年に憲法修正(16th Amendment、Mooreの世界だね)があるまで連邦政府は所得税(Income Tax)を課す権利はなかったんで(正確にはそのような税金は州の人口で負担を按分しないといけないっていうことで実質制定不可能だったんで)、それまでの連邦の歳入は主に関税、酒税、タバコ税とかだった。そのままにしておけば連邦政府の肥大化もなかったはずなんだけど、戦費の関係で1913年に憲法が修正され、その後、連邦の歳入に占める関税の比率は急激に低下した。それで議会が興味を失った訳じゃないんだろうけど、議会は複数の法律で徐々に大統領に関税策定権を委譲している。
具体的にはまず1962年の「Trade Expansion Act」。このTrade Expansion Actのsection 232は国家安全保障の視点から「特定品目」を取り締まるもの。品目単位での締め付けが特徴で、トランプの鉄鋼、アルミ、自動車に対する25%っていう関税(Liberation Dayより前に発表されてたもの)がこれだ。最近section 232っていう条文を良く耳にするけど、税法のInternal Revenue Codeでは200番台っていうとSubchapter BのPart VIIからXIまでをカバーしてて大概Deductionできる費用そうでない費用とかCapitalizationの世界だけど幸いにも今日のIRCにsection 232は存在しない。
で次は1974年の「Trade Act」。不公正な通商政策を取り締まるもので有名なのがsection 301。USTRが広範な調査権を持つ。そして1977年の「International Emergency Economic Powers Act」。国家安全保障に対する重大な脅威への対処で「IEEPA」っていう用語はまさにこれ。Liberation Dayに公表された10%のUniversalベースラインTariffも(中国以外には)90日間施行が中断されているReciprocal関税も、双方ともこのIEEPAに基づく。
日本がその昔苦しんだSuper 301っていうのは実はTrade Actのsection 301そのものではなく、 1988年のOmnibus Trade and Competitiveness Actで時限的にsection 301を強化したもの。Superっていうのは強化版っていう意味の俗語じゃないかな。
Section 232と異なりsection 301は「もちろん」IRCにも存在する。Subchapter Cのトップバッターだ。Distributionがいつ配当になるかとかを規定しているDay-to-dayに適用がある条文だけど、302との関係とかJohnsonの考え方とか実はDeep。Johnsonと言えば先日のPTEP財務省規則案でPTEPアカウントはUS Shareholderベース(しかも連結納税グループはグループ単位。これは驚き)だけど、株式簿価(961(a))はJohnsonベースなんで、異なるブロック、例えば後から追加出資とか、のCFC株式を所有するUS ShareholderはPTEPのDistributionがあると思わぬ結果になる。いつかPTEP規則案も話したいけどいつになることでしょうか。
なぜ関税?(Reprise)
インフレや米国企業のサプライチェーンに影響があるにもかかわらず、なぜここまでして関税?っていう点は以前3月9日の「トランプJoint Sessionスピーチ・税制改正・関税」の「なぜ関税?」っていう部分でチラッと米国ドルのReserve Currencyが結果「Resource Curseになり」国家として取り返しがつかないところに来てしまい、相当な無理を覚悟に大きく舵を切らないと米国は滅びるからかなって憶測的に触れたけど、Liberation Day前後の関税を取り巻く政権重鎮、特に辛抱強く背景を語る財務長官Bessent、もう少しAggressiveな商務長官Lutnickらの話しから、まさにそこに理由があるって確信が持てた気がする。
Vance副大統領が2023年に発言していた内容と同様、米国のResource Curse、すなわちドルがReserve Currencyっていうとてつもない特権に胡坐をかいてるうちに既に取り返しがつかないレベルの国家財政悪化に陥り、またその副産物として米国の製造業が空洞化してしまったっていうトレンドをどこかで反転させないと大変なことになる、っていう危機感だ。株価や物価は少なくとも短期的に未知の影響を受けるだろうから短期サイクルで動く米国ポリティクス的に通常の政権では手を付けることはできないし実行する気概はないだろう。また現状のシステムに既得権を持つ者も多いから強力なプッシュバックがある。
そんな環境で通常の政権であれば、長期的に国のためにならないって分かってても大きな混乱を伴いかねない経済政策は取れないんで、どうしてもBusiness as usualで続行となる。賃金が低く労働環境も怪しい国の製品を安いという理由で活用。Global Tradeだ。そして米国は国債を発行し続け、その間、連邦政府はどんどん大きくなり更に巨額の歳出を繰り返す。ドルがReserve Currencyでなくなるまでパーティーが続いていくような状況。財政の極端な悪化と同時に中国との比較で軍事力の低下、技術に関してはコストを掛けて先端を行っても直ぐに中国に盗まれる。物を製造できない国は国ではない(?)状態。こちらもGlobal Tradeだ。結果、ミドルクラスが縮小しアメリカンドリームは消える。このトレンドは米国企業もシステムを利用してきたっていう側面は十分にある。また政府による不干渉を好む従来の共和党プラットフォームとも相いれない。元上院リーダーのMcConnell等が関税に反対しているのはこの点を考えれば納得がいく。
Global Tradeの弊害は米国の視点からは2000年のWTO加盟以来好き勝手してる中国が主たる犯人。最初から中国対応にフォーカスして他国は一律10%とかすれば分かり易かったとは思うんだけどね。ただ、常に中国は別格扱いなんでReciprocal関税90日の中断もなく中国にはそのまま145%。
関税で時間を稼いでる間にトランプ政権が実現したいって強調しているポイントの製造業回帰は実現可能なんだろうか。製造業回帰って言っても単にアセンブリーを米国が取り返すってことじゃなくて、R&Dや技術革新は製造業に従事していないと徐々に衰退していくっていう危惧に基づきFull Fledgeな機能を米国に置くのが目標。Global Trade初期にはR&Dやエンジニアリングのハイマージンな機能は米国に残し、一方で中国の安い労働力を利用して製造するっていうモデルを想定してたかもしれないけど、いつの間にか技術も取られてしまったって言う反省。実際にどれだけ早く製造業を戻すことができるのかのひとつの問題に、長期に亘る空洞化で製造業回帰に求められるスキルがそもそも米国労働市場に存在するのかっていう問題もある。またオートメーションが徹底してる今日の工場では製造業が米国に多額の投資をしたとしても多くのポーションがロボットに費やされる。この点は国家安全保障の観点からは懸念は少ないかもしれないけど、一般市民の雇用の観点からは製造業回帰イコール爆発的な雇用っていう狙った図式にならないリスクもある。
また、国別のReciprocal関税は米国製造業回帰に必要な機械設備も対象になるリスクもあるんで関税除外品目リストは流動的なものだろう。現になかなかポスティングに至らない中、さっきPCや携帯は中国からの輸入でもReciprocal関税免除みたいな報道が流れていた。
関税はオンだったりオフになったりが激しいんで政権が目指す姿との関係がイマイチ分かり難いけど、結局10%は恒久的な財源に近く、一方Reciprocal部分は交渉材料。ただし国家安全保障の観点から中国は別枠扱いっていうのが大枠だろうか。
Global Reorderは時間との戦い
上述の通り、Global Tradeの不味いトレンドはどこかでリバースさせないと事態は悪化の一途なのは分かってるんで「どこかでリバース」させてGlobal Reorderに持ち込もうとしててそれが「今」!Van Halenいうところの「Right Now. Not tomorrow」?
今回の政策が吉とでるか凶とでるか、は前代未聞なんで誰にも分からないだろう。ただ、この20年~30年のトレンドで米国の視点から弊害が累積しているにもかかわらず、チョイスとしては大胆な施策を講じることができず、同じトレンドに乗ったまま徐々に国家として衰退していくか、前代未聞の策で一気にトレンドをリバースするよう試みるか、って2つの分かれ道。通常はポリティカルに前者になる。結果過去の大国は徐々に衰退している。英国、オランダとかが思い浮かぶけどスペインやオットマンもその部類。古くはローマ帝国もあるしね。各々異なる事情はあったにせよ、巨額の国家財政赤字、国家安全保障の低下、社会政策失敗、は共通している。
後者は…、誰もトライしたことがないんでDestination Unknown。個人的にはもちろん何が起こるか分かる術もないけど、マーケットが期待しているって思われるのは現政権の財務長官Scott Bessentのマクロヘッジファンドで為替や国債の動きを熟知している手腕。Bessentなら市場が混乱し、ヘッジファンドがマージンコールに応じるため手持ちの米国債を多額に手放すであろう点や中国所有の米国債をどう取り扱うか、等は複数のシナリオを想定しているはず。学者っぽいエコノミストはあれこれコメントが多いけど、コロナになった頃やその直後のMMTに基づく巨額の歳出に対するコメント等から見る限り、結局のところ先のことは分かってないケースが多かったんで、今回もレガシーメディアとかで報道されるコメントは確証の得られない眉唾かもしれない情報として処理しておくのがベターかもね。Scott Bessentやトランプおよびその取り巻きは、未だかつて見たことがない大国凋落のトレンドをリバースするっていう離れ業を奇想天外なGlobal Re-orderで実現する掛けで出てるってことになる。
問題は短期的混乱を政権が受け入れるとしても、それがどれほどの規模でどれだけ続くかっていう誰にも分からない問題。中間選挙とかの理由で米国ポリティクスは超短期視野に基づくんで2026年前半には一般市民が経済はTake-offしてるねっていう実感を持たないといけない。レガシーメディアはトランプ政権には統計的に90%超ネガティブ報道(民主党には逆)なんで、米国のレガシーメディアが2016年以降一般市民の多くからニュースソースとしては見捨てられつつあるとは言え、Wall-to-wallのネガティブカバレッジは耳に入るんでこれらのキャンペーンも克服しないといけない。トランプ政権はルビコン川を渡ってしまったのかもって考えると歴史に残るHigh Stakeな状況に居るんだね。
今日は余り専門じゃない通商やGlobal Reorderの話しだったんで私的なひとつのObservationとして軽く読んでおいて下さい。米国ってダイナミックなんでもっと書きたいところだったけどきりがないんでこの辺で。次回は両院一致のBudget Resolution。
Morning Afterっていうと映画ポセイドンアドベンチャーのサントラを思い出すね(そんな古い映画知らないって?)。原曲はMaureen McGovernの郷愁感ある名曲。ポセイドンアドベンチャーって言えばGene Hackmanだけど、先日のSanta Feでの出来事はビックリでした。
映画ポセイドンアドベンチャーでは「Nonnie」っていうチョッとJoni MitchellみたいなArtisticな女の子がMorning Afterを船内のラウンジみたなところでリハっぽく歌ってるシーンがあるけど(バンドメンバーのLooksが70年台前半丸出し(笑))、あれはリップシンクで声はCarol Lynleyだったということ。Maureen、Nonnie(Renee Armand)、Carolって三つ巴で結構ヤヤコシイね。
Liberation DayとGlobal Tax Deal対抗策
で、あんまり脱線しないうちに本題に戻ると、まずLiberation Dayの声明で気づいた点はReciprocalの対象となる貿易相手国の関税、VAT、非関税障壁の話しに「Global Tax Deal」が含まれてなかったこと。そもそもReciprocalの計算は、貿易相手国のエントリーコストではなく米国との貿易収支の均等に基づくRicardianモデルって言われてるんで、計算方法からも相手国がGlobal Tax Dealを導入しているかどうかは検討要素に入ってないことが分かる。関税の話しなんだけど、通商は専門外で、どうしてもまずは法人税関係に気を取られてしまう悪い癖だね。
Global Tax Dealに関しては以前のポスティング(「Global Tax Deal大統領令」と「America First Trade Policy大統領令」)で触れた通り大統領令は大別して2つ。まず一つ目のGlobal Tax Deal大統領令はピラー2を含む域外・差別的課税を可決したり、可決しようとしている国をリストアップして、行政府として法的に取ることができる対抗策オプションを3月21日までに財務長官が大統領に報告するっていうもの。この報告書は公開されてないけど、歳入委員会のポスティングに、財務長官がタイムリーに報告を終えた点を評価しているコメントが掲載されてたんでBessent長官は期日に報告を終えてるって推測される。報告書そのもののコピーは海賊版でも流出してないんで見ることはできず内容はベールに包まれたままだ。う~ん、魔法の鏡で見てみたい。もしもブルーにしてたら偶然そうに電話する?
この手の局面で行政府として法的に取ることができる対抗策の代表って言えば他でもない関税だから、Liberation Dayの公表にこの点が加味される可能性もあるのかなって思ってたんだけど、実際には特に言及はなかった。別枠で検討中かもね。トランプ政権は「やるぞ」って言ってたことはどれだけ物議を醸しても基本やってきてるんで何らかの対処は取るんだろう。OECD加盟国やIFが近々に協議するとかいう話しは聞くけど具体的には公表されてない感じ。いずれにしても仮に現時点で集まったとしても関税の話しが充満しているんでGlobal Tax Dealどころの話しじゃないしね。
もう一つのAmerica First Trade Policy大統領令でもGlobal Tax Dealに触れてるけど、こちらは他でもないsection 891の対象となり得る国を4月1日を期限に財務長官にリストアップするよう求めているもの。以前から触れている通り、section 891の認定は単に域外課税や差別的課税を制度として持っているっていう以上のものが求められるんでどんなリストになってるかこちらも魔法の鏡の世界だけど、内容はともかくこちらもリストも提出済みって考えていいだろう。ポスティング中のsection 899案はsection 891をModernizeしてるものだから、もしかしたらsection 899の立法動向、例えばScoring可否の観点からBudget Reconciliationに入るのかどうか、を見てそちらでいけそうだったらsection 899に注力するのかもね。Section 891は既に法律にあるんで、America First Trade Policyで問題国のリストアップが完了してるとすりば、直ぐにでも発動可能でバックストップ的に取ってあるのかもしれない。
税制改正動向
関税があったりなかったりして米国経済に不確実性が増している中、少なくとも短期的な関税ショックを中和するため国内経済「成長志向」の税制改正の早急な可決がますますMustになった。そんな中、上院は以前に可決していたBudget Resolutionの代わりに新たな下院のResolutionを改訂した新上院Resolutionを通している。その後、下院が新上院バージョンをギリギリ可決させてようやく正式にBudget Resolutionに基づく立法プロセスがキックオフ。両院Budget Resolutionの内容に関しては、今後予想される動向や関税との関係も含めて次回ポスティングで別特集してみたい。
僕の専門分野は60年台後半から80年台までのギタリストのテクニック分析と米国のIncome Taxなんで、関税の話しは専門外。なんで関税に関するコメントは米国で一般市民と暮らしている中で見えるポリティクスや、投資銀行や法曹界の集まりで聞いた話しをベースにしてるんで、総合的な分析を提供するような大それた意図はないからねって予め断っておく。ただ、日本で米国の話しを聞く限り、米国の一般トレンドの実態が伝わってないことが多いとは感じるんで肌感覚の観測として参考になればなによりです。
トランプと米国関税の歴史
トランプを語る際に、彼の意見に賛成するかどうかは別として、トランプが思ってることややりたいことをそのまま普通に(延々と)語るっていう、政局やオーディエンスを見て話しを変えたり(カマラハリスみたいにアクセントまで変えたり…)するポリティシャンとは別のAuthenticityを一つの特徴として挙げることができる。
この一貫した信念は、通商面で米国が他国にいいように利用されてて米国政府の無策も手伝い、結果として米国が凋落しているんでどこかで方向転換しないといけない、っていうスタンスも同じ。トランプ1.0の2016年どころか今から遡ること40年近く昔の1988年には当時不動産業で一躍有名になっていたヤング(って言っても40歳くらい)のトランプがthe Oprah Winfreyのショーで米国の不均衡な貿易収支を大きな問題としている。凄い若いけど言ってることは基本、Liberation DayのRose Gardenの趣旨と同じだ。トランプの通商ポリシーはRobert LighthizerやPeter Navarroに影響されて形成されたって思われてるかもしれないけど、そうじゃないのが分かる。トランプはOprahのショーでのやり取り以外にも当時から既に大手新聞に公開書簡を送りつけて米国の通商・国防ポリシーに警鐘を鳴らしていた。Oprahのショーのやり取りは最近YouTubeで多く閲覧されてるんで興味あったら見てみると面白い。
トランプの一貫性を見ることができる40年前の出来事。当時の問題国はもちろん日本。米国にあれだけ経済的に恐れられるってなんか懐かしいね。Super 301が連日新聞の一面で報道され、お茶の間に米国通商代表(USTR)っていう機能とかカーラ・ヒルズの姿が定着していたあの頃。
当時、米国と交渉したノウハウ(プラス恐怖?)は日本政府や産業界に継承されてるはずで、以前のポスティングでも触れた通り対米通商交渉に日本は「一日の長」があるって言えるかもね。そのお陰かどうか分かんないけど、Reciprocal関税に対して真っ先にトランプ政権に交渉を提案し、米国側はそれに応じてBessent財務長官とUSTRのGreer自らが交渉に関与するってことで、ここ数日、米国では同盟国の模範(?)みたいに報道されたりしてる。「中国とは違って…」っていう切り口。ただ、国家間の同盟は国家の自己利益に基づくんで相手国による称賛には要注意かもね。イスラエルのNatanyahu大統領は既にトランプ、Bessent、Greerを訪問してイスラエル側の米国製品に対する関税撤廃を提案。
ちなみに日本が当時直面してた米国側の対抗措置は上述の通りSuper 301っていう措置だったけど、Liberation Dayを含む今回のトランプ関税の根拠条文とは異なる。関税も歳入法なんで連邦憲法下では三権分立上、議会に制定の権利がある。1913年に憲法修正(16th Amendment、Mooreの世界だね)があるまで連邦政府は所得税(Income Tax)を課す権利はなかったんで(正確にはそのような税金は州の人口で負担を按分しないといけないっていうことで実質制定不可能だったんで)、それまでの連邦の歳入は主に関税、酒税、タバコ税とかだった。そのままにしておけば連邦政府の肥大化もなかったはずなんだけど、戦費の関係で1913年に憲法が修正され、その後、連邦の歳入に占める関税の比率は急激に低下した。それで議会が興味を失った訳じゃないんだろうけど、議会は複数の法律で徐々に大統領に関税策定権を委譲している。
具体的にはまず1962年の「Trade Expansion Act」。このTrade Expansion Actのsection 232は国家安全保障の視点から「特定品目」を取り締まるもの。品目単位での締め付けが特徴で、トランプの鉄鋼、アルミ、自動車に対する25%っていう関税(Liberation Dayより前に発表されてたもの)がこれだ。最近section 232っていう条文を良く耳にするけど、税法のInternal Revenue Codeでは200番台っていうとSubchapter BのPart VIIからXIまでをカバーしてて大概Deductionできる費用そうでない費用とかCapitalizationの世界だけど幸いにも今日のIRCにsection 232は存在しない。
で次は1974年の「Trade Act」。不公正な通商政策を取り締まるもので有名なのがsection 301。USTRが広範な調査権を持つ。そして1977年の「International Emergency Economic Powers Act」。国家安全保障に対する重大な脅威への対処で「IEEPA」っていう用語はまさにこれ。Liberation Dayに公表された10%のUniversalベースラインTariffも(中国以外には)90日間施行が中断されているReciprocal関税も、双方ともこのIEEPAに基づく。
日本がその昔苦しんだSuper 301っていうのは実はTrade Actのsection 301そのものではなく、 1988年のOmnibus Trade and Competitiveness Actで時限的にsection 301を強化したもの。Superっていうのは強化版っていう意味の俗語じゃないかな。
Section 232と異なりsection 301は「もちろん」IRCにも存在する。Subchapter Cのトップバッターだ。Distributionがいつ配当になるかとかを規定しているDay-to-dayに適用がある条文だけど、302との関係とかJohnsonの考え方とか実はDeep。Johnsonと言えば先日のPTEP財務省規則案でPTEPアカウントはUS Shareholderベース(しかも連結納税グループはグループ単位。これは驚き)だけど、株式簿価(961(a))はJohnsonベースなんで、異なるブロック、例えば後から追加出資とか、のCFC株式を所有するUS ShareholderはPTEPのDistributionがあると思わぬ結果になる。いつかPTEP規則案も話したいけどいつになることでしょうか。
なぜ関税?(Reprise)
インフレや米国企業のサプライチェーンに影響があるにもかかわらず、なぜここまでして関税?っていう点は以前3月9日の「トランプJoint Sessionスピーチ・税制改正・関税」の「なぜ関税?」っていう部分でチラッと米国ドルのReserve Currencyが結果「Resource Curseになり」国家として取り返しがつかないところに来てしまい、相当な無理を覚悟に大きく舵を切らないと米国は滅びるからかなって憶測的に触れたけど、Liberation Day前後の関税を取り巻く政権重鎮、特に辛抱強く背景を語る財務長官Bessent、もう少しAggressiveな商務長官Lutnickらの話しから、まさにそこに理由があるって確信が持てた気がする。
Vance副大統領が2023年に発言していた内容と同様、米国のResource Curse、すなわちドルがReserve Currencyっていうとてつもない特権に胡坐をかいてるうちに既に取り返しがつかないレベルの国家財政悪化に陥り、またその副産物として米国の製造業が空洞化してしまったっていうトレンドをどこかで反転させないと大変なことになる、っていう危機感だ。株価や物価は少なくとも短期的に未知の影響を受けるだろうから短期サイクルで動く米国ポリティクス的に通常の政権では手を付けることはできないし実行する気概はないだろう。また現状のシステムに既得権を持つ者も多いから強力なプッシュバックがある。
そんな環境で通常の政権であれば、長期的に国のためにならないって分かってても大きな混乱を伴いかねない経済政策は取れないんで、どうしてもBusiness as usualで続行となる。賃金が低く労働環境も怪しい国の製品を安いという理由で活用。Global Tradeだ。そして米国は国債を発行し続け、その間、連邦政府はどんどん大きくなり更に巨額の歳出を繰り返す。ドルがReserve Currencyでなくなるまでパーティーが続いていくような状況。財政の極端な悪化と同時に中国との比較で軍事力の低下、技術に関してはコストを掛けて先端を行っても直ぐに中国に盗まれる。物を製造できない国は国ではない(?)状態。こちらもGlobal Tradeだ。結果、ミドルクラスが縮小しアメリカンドリームは消える。このトレンドは米国企業もシステムを利用してきたっていう側面は十分にある。また政府による不干渉を好む従来の共和党プラットフォームとも相いれない。元上院リーダーのMcConnell等が関税に反対しているのはこの点を考えれば納得がいく。
Global Tradeの弊害は米国の視点からは2000年のWTO加盟以来好き勝手してる中国が主たる犯人。最初から中国対応にフォーカスして他国は一律10%とかすれば分かり易かったとは思うんだけどね。ただ、常に中国は別格扱いなんでReciprocal関税90日の中断もなく中国にはそのまま145%。
関税で時間を稼いでる間にトランプ政権が実現したいって強調しているポイントの製造業回帰は実現可能なんだろうか。製造業回帰って言っても単にアセンブリーを米国が取り返すってことじゃなくて、R&Dや技術革新は製造業に従事していないと徐々に衰退していくっていう危惧に基づきFull Fledgeな機能を米国に置くのが目標。Global Trade初期にはR&Dやエンジニアリングのハイマージンな機能は米国に残し、一方で中国の安い労働力を利用して製造するっていうモデルを想定してたかもしれないけど、いつの間にか技術も取られてしまったって言う反省。実際にどれだけ早く製造業を戻すことができるのかのひとつの問題に、長期に亘る空洞化で製造業回帰に求められるスキルがそもそも米国労働市場に存在するのかっていう問題もある。またオートメーションが徹底してる今日の工場では製造業が米国に多額の投資をしたとしても多くのポーションがロボットに費やされる。この点は国家安全保障の観点からは懸念は少ないかもしれないけど、一般市民の雇用の観点からは製造業回帰イコール爆発的な雇用っていう狙った図式にならないリスクもある。
また、国別のReciprocal関税は米国製造業回帰に必要な機械設備も対象になるリスクもあるんで関税除外品目リストは流動的なものだろう。現になかなかポスティングに至らない中、さっきPCや携帯は中国からの輸入でもReciprocal関税免除みたいな報道が流れていた。
関税はオンだったりオフになったりが激しいんで政権が目指す姿との関係がイマイチ分かり難いけど、結局10%は恒久的な財源に近く、一方Reciprocal部分は交渉材料。ただし国家安全保障の観点から中国は別枠扱いっていうのが大枠だろうか。
Global Reorderは時間との戦い
上述の通り、Global Tradeの不味いトレンドはどこかでリバースさせないと事態は悪化の一途なのは分かってるんで「どこかでリバース」させてGlobal Reorderに持ち込もうとしててそれが「今」!Van Halenいうところの「Right Now. Not tomorrow」?
今回の政策が吉とでるか凶とでるか、は前代未聞なんで誰にも分からないだろう。ただ、この20年~30年のトレンドで米国の視点から弊害が累積しているにもかかわらず、チョイスとしては大胆な施策を講じることができず、同じトレンドに乗ったまま徐々に国家として衰退していくか、前代未聞の策で一気にトレンドをリバースするよう試みるか、って2つの分かれ道。通常はポリティカルに前者になる。結果過去の大国は徐々に衰退している。英国、オランダとかが思い浮かぶけどスペインやオットマンもその部類。古くはローマ帝国もあるしね。各々異なる事情はあったにせよ、巨額の国家財政赤字、国家安全保障の低下、社会政策失敗、は共通している。
後者は…、誰もトライしたことがないんでDestination Unknown。個人的にはもちろん何が起こるか分かる術もないけど、マーケットが期待しているって思われるのは現政権の財務長官Scott Bessentのマクロヘッジファンドで為替や国債の動きを熟知している手腕。Bessentなら市場が混乱し、ヘッジファンドがマージンコールに応じるため手持ちの米国債を多額に手放すであろう点や中国所有の米国債をどう取り扱うか、等は複数のシナリオを想定しているはず。学者っぽいエコノミストはあれこれコメントが多いけど、コロナになった頃やその直後のMMTに基づく巨額の歳出に対するコメント等から見る限り、結局のところ先のことは分かってないケースが多かったんで、今回もレガシーメディアとかで報道されるコメントは確証の得られない眉唾かもしれない情報として処理しておくのがベターかもね。Scott Bessentやトランプおよびその取り巻きは、未だかつて見たことがない大国凋落のトレンドをリバースするっていう離れ業を奇想天外なGlobal Re-orderで実現する掛けで出てるってことになる。
問題は短期的混乱を政権が受け入れるとしても、それがどれほどの規模でどれだけ続くかっていう誰にも分からない問題。中間選挙とかの理由で米国ポリティクスは超短期視野に基づくんで2026年前半には一般市民が経済はTake-offしてるねっていう実感を持たないといけない。レガシーメディアはトランプ政権には統計的に90%超ネガティブ報道(民主党には逆)なんで、米国のレガシーメディアが2016年以降一般市民の多くからニュースソースとしては見捨てられつつあるとは言え、Wall-to-wallのネガティブカバレッジは耳に入るんでこれらのキャンペーンも克服しないといけない。トランプ政権はルビコン川を渡ってしまったのかもって考えると歴史に残るHigh Stakeな状況に居るんだね。
今日は余り専門じゃない通商やGlobal Reorderの話しだったんで私的なひとつのObservationとして軽く読んでおいて下さい。米国ってダイナミックなんでもっと書きたいところだったけどきりがないんでこの辺で。次回は両院一致のBudget Resolution。
Wednesday, April 2, 2025
(号外♯2) 「Liberation Day」の関税大統領令
またしてもsection 899案の進展を妨たげるかのようなニュースがあるんで短いけど特番。今日、4月2日は輸入関税強化に基づき米国製造業が復活するのを記念する「Liberation Day」ってことで午後4時のホワイトハウスの発表を聞いた。発表を聞いたり大統領令を読むまでは、なんだかんだ言って今回もセコ目の関税でお茶を濁す、なんてことはないよねって半信半疑だったんだけど蓋を開けてみたらナンと今度こそ本当に10%のUniversal関税および国別の報復関税が公表された。
大統領令出たばっかりで結構長くてチラッとななめ読みしただけなんだけど、間違い覚悟で速報しておくとまず4月5日から全世界10%一律関税。4月9日からは各国の関税・非関税障壁を加味して国別の報復関税適用開始。日本は24%。ちなみにEUは20%で中国は34%だ。ただし、既に2月10日に公表され、3月12日から25%の関税が適用されている鉄鋼・アルミは25%のまま。自動車も同様に3月26日に公表され、明日の4月3日から25%の関税が適用されるんでそちらの関税が敢行され、Liberation Dayの税率適用はない。また結構な品目が免除されている。目立つところでは製薬は免除みたい。他にも銅、セミコン、木材、重要な鉱物、資源等が免除されているように見える。Harmonized Tariff Schedule of the United States (HTSUS)に基づく免除品目リストは37ページに渡るんで結構長いね。
超取り急ぎ、でした。
大統領令出たばっかりで結構長くてチラッとななめ読みしただけなんだけど、間違い覚悟で速報しておくとまず4月5日から全世界10%一律関税。4月9日からは各国の関税・非関税障壁を加味して国別の報復関税適用開始。日本は24%。ちなみにEUは20%で中国は34%だ。ただし、既に2月10日に公表され、3月12日から25%の関税が適用されている鉄鋼・アルミは25%のまま。自動車も同様に3月26日に公表され、明日の4月3日から25%の関税が適用されるんでそちらの関税が敢行され、Liberation Dayの税率適用はない。また結構な品目が免除されている。目立つところでは製薬は免除みたい。他にも銅、セミコン、木材、重要な鉱物、資源等が免除されているように見える。Harmonized Tariff Schedule of the United States (HTSUS)に基づく免除品目リストは37ページに渡るんで結構長いね。
超取り急ぎ、でした。
Saturday, March 29, 2025
(号外)ナントUTPR追加対抗法案「The Unfair Tax Prevention Act」も下院再提出
Section 899法案の話しもそろそろ大詰めで、終わったら税制改正が本格化する前の隙間を縫ってインバウンドPracticeとしては欠かすことができないYA Globalの話しでもとか思ってワクワクしてたら、ナントSection 899法案(「the Defending American Jobs and Investment Act」)に加えて、さらなるGlobal Tax Deal対抗法案「The Unfair Tax Prevention Act」が下院に再提出された。この法案はどうなっちゃうんだろうって注意はしてたけど急な再提出でビックリ。
このthe Unfair Tax Prevention Actは先の899法案同様に2023年7月に一度H.R.4695 (118th)として提出されて、提出当時はその厳しい内容に驚きだったけど、それが昨日3月27日に下院に今度はH.R. 2423 (119th)として再提出された。法案のスポンサーは以前も今回も下院歳入委員の一人Ron Estes(R-KA)だけど、下院歳入委員会共和党議員全員が賛同している。ちょうど899法案が元々提出されたのも2023年5月だから2か月空けて時間差攻撃するフォーメーションなのかな。
2023年バージョンと同様の内容って想定されるけど、899法案がsection 899を新設するのに対し、the Unfair Tax Prevention ActはBEATをSuper-chargeする規定。したがって新たなSectionが生まれるんじゃなくて、既存のBEAT、すなわちsection 59Aに追加Subsectionが加えられる形で規定される。そのSuper-chargeぶりがなかなか激しい。従来のBEATをChargePointやblinkとかの「Destination Charger」だとするとthe Unfair Tax Prevention Actは純正のTesla Supercharger級。
899法案のポスティングが終わったら、続いてこのSuper-chargeのBEATに関しては詳細に触れたいけど、チラッと頭出ししておくとUTPRを含むExtraterritorial Taxを導入している国の主体に支配される主体は「Foreign-Owned Extraterritorial Tax Regime Entities(「FETR Entities」)って認定される。国際紛争時の制裁対象国やバッテリー製造時の鉱物輸入時に指定される懸念国(FCOC)、またはテロリスト団体みたいな勢い。で、このFETR EntitiesにはBase Erosion Benefitが3%かどうかとか売上高が$500MかにかかわらずBEATを適用し、従来のBEAT法で免除されてる支払い、例えばSCM適格のサービスFeeその他もBase Erosion Benefitと取り扱うっていうもの。ここからが凄いけど、ナント禁じ手のCOGSの50%もBase Erosion Benefit扱い。COGSの否認は憲法的に問題があり得る点は「バイデン政権「グリーンブック」で増税案詳細公表(4) COGSとSHIELD」で以前触れたけど(SHIELDとか存在自体忘れてました)、実は現状のBEATもInversionした法人にはCOGSもBase Erosion Benefitとするっていう懲罰規定がある。って考えると半分で済んで御の字なのかな?
再提出に共催している下院歳入委員メンバーには委員長でsection 899法案のスポンサーのJason Smithも当然入ってることから、section 899と相互排他的な関係にあるのではなく、補完関係にあり両方一気に立法化を目指すっていうアプローチに見える。Section 891や899と大きく異なるのはUTPRを導入した国に所有される「米国法人」がFETR EntitiesとしてSuper-charge BEATの対象になる点。ついに本丸に攻め入られた感じだ。金利、ロイヤルティ、配当の源泉税が50%で、仕入れに25%関税かかってその上仕入れ半分がBEAT目的で損金不算入じゃ商売にならないよね。
という訳でProvocativeな展開だったんで取り急ぎ号外でポスティングしておきます。
このthe Unfair Tax Prevention Actは先の899法案同様に2023年7月に一度H.R.4695 (118th)として提出されて、提出当時はその厳しい内容に驚きだったけど、それが昨日3月27日に下院に今度はH.R. 2423 (119th)として再提出された。法案のスポンサーは以前も今回も下院歳入委員の一人Ron Estes(R-KA)だけど、下院歳入委員会共和党議員全員が賛同している。ちょうど899法案が元々提出されたのも2023年5月だから2か月空けて時間差攻撃するフォーメーションなのかな。
2023年バージョンと同様の内容って想定されるけど、899法案がsection 899を新設するのに対し、the Unfair Tax Prevention ActはBEATをSuper-chargeする規定。したがって新たなSectionが生まれるんじゃなくて、既存のBEAT、すなわちsection 59Aに追加Subsectionが加えられる形で規定される。そのSuper-chargeぶりがなかなか激しい。従来のBEATをChargePointやblinkとかの「Destination Charger」だとするとthe Unfair Tax Prevention Actは純正のTesla Supercharger級。
899法案のポスティングが終わったら、続いてこのSuper-chargeのBEATに関しては詳細に触れたいけど、チラッと頭出ししておくとUTPRを含むExtraterritorial Taxを導入している国の主体に支配される主体は「Foreign-Owned Extraterritorial Tax Regime Entities(「FETR Entities」)って認定される。国際紛争時の制裁対象国やバッテリー製造時の鉱物輸入時に指定される懸念国(FCOC)、またはテロリスト団体みたいな勢い。で、このFETR EntitiesにはBase Erosion Benefitが3%かどうかとか売上高が$500MかにかかわらずBEATを適用し、従来のBEAT法で免除されてる支払い、例えばSCM適格のサービスFeeその他もBase Erosion Benefitと取り扱うっていうもの。ここからが凄いけど、ナント禁じ手のCOGSの50%もBase Erosion Benefit扱い。COGSの否認は憲法的に問題があり得る点は「バイデン政権「グリーンブック」で増税案詳細公表(4) COGSとSHIELD」で以前触れたけど(SHIELDとか存在自体忘れてました)、実は現状のBEATもInversionした法人にはCOGSもBase Erosion Benefitとするっていう懲罰規定がある。って考えると半分で済んで御の字なのかな?
再提出に共催している下院歳入委員メンバーには委員長でsection 899法案のスポンサーのJason Smithも当然入ってることから、section 899と相互排他的な関係にあるのではなく、補完関係にあり両方一気に立法化を目指すっていうアプローチに見える。Section 891や899と大きく異なるのはUTPRを導入した国に所有される「米国法人」がFETR EntitiesとしてSuper-charge BEATの対象になる点。ついに本丸に攻め入られた感じだ。金利、ロイヤルティ、配当の源泉税が50%で、仕入れに25%関税かかってその上仕入れ半分がBEAT目的で損金不算入じゃ商売にならないよね。
という訳でProvocativeな展開だったんで取り急ぎ号外でポスティングしておきます。
Friday, March 28, 2025
Global Tax Deal対抗・報復措置「Section 899」法案 (8)
前回のポスティングでは、Section 899法案に規定される域外課税や差別的課税のうち「Extraterritorial Tax」の定義に触れた。その定義はGlobal Tax DealのUTPRをReverse Engineeringしたと思われるほどUTPRにピッタリくるもの。域外課税「または」差別的課税のいずれかの税法があるとSection 899の対抗措置の適用対象国になるんで、結果としてUTPRを持ってるとほぼ自動的に域外課税制度を持っていると取り扱われてGame Over。
で、今日はもう一方の差別的課税の定義に行くけど、その前に例によってVan HalenのSecond Albumに収録されているギターの凄さ、じゃなくて税制改正動向について。
Budget Resolutionアップデート
相変わらず下院・上院間で意見調整On-Going。でも、さすがにいつまでも意見調整ばかりじゃ不味いっていうプレッシャーが日に日に強くなる中、3月25日に「Big 6」首脳会談が行われた。Bix 6って一昔前(相当前?)の会計事務所みたい。僕が初めてGlobal Accounting Firmの存在を知ったころはBig 8って言われててどこもFirm名がExoticで「どんなとこなんだろう~」って思ったりしてた。Waterhouseは水槽の家か…とか。その後、確かToucheとDHSが合併してDT(日本で「デトロイト・タッチ」とか読み間違えられたり(苦笑))になり、EWとAYが合併してBig 6になったんだよね。さらにPWとCoopersが合併してBig 5時代が訪れ、AAが消滅して今日のBig 4になってる。これ以上減ると独禁法とかで問題なるって言われててBig 1になることはない。
で、米国議会・大統領府のBig 6では従来から下院が希望している1‐Trackの「One Big Beautiful Bill」(会計事務所と違ってBig 1)の早期可決に向けての党内戦略が話し合われたらしい。ちなみにこのBig 6って下院議長(Mike Johnson)、上院リーダー(John Thune)、下院Ways and Means Committee委員長(Jason Smith)、上院Finance Committee委員長(Mike Crapo)、そして行政府から財務長官(Scott Bessent)、National Economic Council Director(Kevin Hassett)っていう陣容。タイムラインとしてはここ3週間以内に両院一致のBudget Resolutionを可決しその後は速攻で税制改正そのものも可決するっていうもの。
両院で意見調整しないといけない重要ポイントは複数あるけど、代表的もののひとつはTCJAの失効規定延長を恒久化するのか(上院)、基本10年のBudget Window内の時限延長とするのか(下院)っていう争点。そのサブセットの議論として失効前のTCJA規定の延長はコストと数えない「Current Policy Baseline」の適用がBudget Reconciliationルールに違反しないかどうかっていう検討がある。これは過半数で予算案を通す上院側の問題で、どんな法律をBudget Reconciliationの枠内で通すことができるかを判断する「Parliamentary」っていう者と意見調整してる最中。これが可能になると少なくとも「見た目」はTCJA失効規定恒久延長にBudget Reconciliation目的でコストが掛からないことになり、恒久化に加えてトランプが言っている米国製造業15%税率、チップ、残業代、公的年金受給非課税とかの追加Goodiesを盛り込む道が開ける。ただ、実際に歳入が減る点はCurrent Policy Baselineでも従来のCurrent Law Baseline(Budget Reconciliation目的で延長コストを歳入減として加算する考え方)でも変わらないんで下院のDeficit Hawk派には当然受けが悪い。
これってまだBudget Resolutionの話しなんで、個別の法案以前の問題で両院一致のBudget Resolutionが可決できても、それで調整は終わりじゃないし、むしろそれから本番の調整が始まるって言う方が正しい。逆に言えばBudget Resolutionも両院一致のものがでないようじゃスタートラインにも立ってないってことになる。ということでまだまだDestination Unknown(Missing Persons!)
差別的課税(Discriminatory Tax)
前回チラッと頭出しした通り、section 899法案のDiscriminatory Taxは4タイプあって、それに5つの例外が規定されている。Extraterritorial Tax同様、条文の定義なんで英語で説明する。 まず一つ目は「if such tax applies to items of income that would not be considered to be from sources within the foreign country under the rules of part I of this subchapter if such part were applied by treating such foreign country as though it were the United States」というもの。この条文はsection 899の一部なんで「this subchapter」っていうのは899が属するSubchapterのこと。Internal Revenue Codeは連邦法のTitle 26だけど、その傘下にSubtitle、Chapter、Subchapter、Part、Subpart…って続いていく構成。で、section 899はSubtitle A、Chapter 1のSubchapter Nに属する。IRCのストラクチャーに明るい読者は分かると思うけど、Subchapter NはIRCの中でもクロスボーダー系の法律が規定されている部分。Sub F、GILTI、FTC全てSubchapter N傘下の規則だ。このSubchapter NはPart IからPart Vで構成されsection番号で言うと861~1,000までをカバーしてる。で、上の定義の「Part I」っていうのはsection 861から865まで。つまりSourcing(所得の源泉地)規定だ。クロスボーダータックスやっている人はsection 865(e)(2)とか大好きなのでは…?。え~大嫌いって?かもね。
これらのことから上の定義が言おうとしてるのは「仮に米国のSourcing規定を適用してみて、所得の源泉地が課税国でないにもかかわらず課税を行使する税制」はDiscriminatoryというもの。したがってこの定義を正確に理解するには米国税法のSubchapter NのPart I、すなわちSourcing規定を知る必要があるよね。実はこの定義、2022年に一旦最終化されてその後実質撤回されたFTC規則の「Jurisdictional Nexus」(これは規則案時の名称で後に「Attribution Rule」って改名されてるけどJurisdictional Nexusの方が分かり易い)に似てる。どちらもDSTを念頭に置いたもの。DSTって名前がついてなくても類似する税制はこれに属する。インドのEqualizationタックスとか。
で、2つ目は「if such tax is imposed on a base other than net income and is not computed by permitting recovery of costs and expenses」。これもクラシックなFTCの対象として認められる「Income Tax」の定義そのもの。昔から「US senseでincome taxか?」っていう概念があったけど、2022年のFTC最終規則ではそれをRefineして「Net Gain」要件って言ってて、まさにそれ。グロス所得に課税するのはNGってことで、これもDSTがターゲット。
3つ目は「if such tax is exclusively or predominantly applicable, in practice or by its terms, to nonresident individuals and foreign corporations or partnerships (as determined under rules similar to paragraphs (4) and (5) of section 7701(a) by treating the foreign country as though it were the United States) because of the application of revenue thresholds, exemptions or exclusions for taxpayers subject to such foreign country’s corporate income tax, or restrictions of scope that ensure that substantially all residents (other than foreign corporations and partnerships (as so determined)) supplying comparable goods or services are excluded from the application of such tax」。結構長いけど、法的に外国人・外国法人のみに適用があったり、売上基準や自国の法人税対象者は免除とかの条件で大概において自国の納税者には課税が及ばないよう意図されている税制のこと。米国のテックをターゲットにしてるような税制が典型になる。つまりこれもDSTがターゲットだろう。
そして最後の4つ目は「if such tax is not treated as an income tax under the laws of such foreign country or is otherwise treated by such foreign country as outside the scope of any agreements that are in force between such foreign country and one or more other jurisdictions for the avoidance of double taxation with respect to taxes on income」。これは課税国が「この税金はIncome Taxではないんで条約でカバーされるタイプの税金ではないんで条約違反ではありません」っていうような税金が対象。 これら4つのうち一つにでも抵触すると(後述の例外にならなければ)Discriminatory Taxになる。で、例外だけど長くなってきたんでここから次回。
で、今日はもう一方の差別的課税の定義に行くけど、その前に例によってVan HalenのSecond Albumに収録されているギターの凄さ、じゃなくて税制改正動向について。
Budget Resolutionアップデート
相変わらず下院・上院間で意見調整On-Going。でも、さすがにいつまでも意見調整ばかりじゃ不味いっていうプレッシャーが日に日に強くなる中、3月25日に「Big 6」首脳会談が行われた。Bix 6って一昔前(相当前?)の会計事務所みたい。僕が初めてGlobal Accounting Firmの存在を知ったころはBig 8って言われててどこもFirm名がExoticで「どんなとこなんだろう~」って思ったりしてた。Waterhouseは水槽の家か…とか。その後、確かToucheとDHSが合併してDT(日本で「デトロイト・タッチ」とか読み間違えられたり(苦笑))になり、EWとAYが合併してBig 6になったんだよね。さらにPWとCoopersが合併してBig 5時代が訪れ、AAが消滅して今日のBig 4になってる。これ以上減ると独禁法とかで問題なるって言われててBig 1になることはない。
で、米国議会・大統領府のBig 6では従来から下院が希望している1‐Trackの「One Big Beautiful Bill」(会計事務所と違ってBig 1)の早期可決に向けての党内戦略が話し合われたらしい。ちなみにこのBig 6って下院議長(Mike Johnson)、上院リーダー(John Thune)、下院Ways and Means Committee委員長(Jason Smith)、上院Finance Committee委員長(Mike Crapo)、そして行政府から財務長官(Scott Bessent)、National Economic Council Director(Kevin Hassett)っていう陣容。タイムラインとしてはここ3週間以内に両院一致のBudget Resolutionを可決しその後は速攻で税制改正そのものも可決するっていうもの。
両院で意見調整しないといけない重要ポイントは複数あるけど、代表的もののひとつはTCJAの失効規定延長を恒久化するのか(上院)、基本10年のBudget Window内の時限延長とするのか(下院)っていう争点。そのサブセットの議論として失効前のTCJA規定の延長はコストと数えない「Current Policy Baseline」の適用がBudget Reconciliationルールに違反しないかどうかっていう検討がある。これは過半数で予算案を通す上院側の問題で、どんな法律をBudget Reconciliationの枠内で通すことができるかを判断する「Parliamentary」っていう者と意見調整してる最中。これが可能になると少なくとも「見た目」はTCJA失効規定恒久延長にBudget Reconciliation目的でコストが掛からないことになり、恒久化に加えてトランプが言っている米国製造業15%税率、チップ、残業代、公的年金受給非課税とかの追加Goodiesを盛り込む道が開ける。ただ、実際に歳入が減る点はCurrent Policy Baselineでも従来のCurrent Law Baseline(Budget Reconciliation目的で延長コストを歳入減として加算する考え方)でも変わらないんで下院のDeficit Hawk派には当然受けが悪い。
これってまだBudget Resolutionの話しなんで、個別の法案以前の問題で両院一致のBudget Resolutionが可決できても、それで調整は終わりじゃないし、むしろそれから本番の調整が始まるって言う方が正しい。逆に言えばBudget Resolutionも両院一致のものがでないようじゃスタートラインにも立ってないってことになる。ということでまだまだDestination Unknown(Missing Persons!)
差別的課税(Discriminatory Tax)
前回チラッと頭出しした通り、section 899法案のDiscriminatory Taxは4タイプあって、それに5つの例外が規定されている。Extraterritorial Tax同様、条文の定義なんで英語で説明する。 まず一つ目は「if such tax applies to items of income that would not be considered to be from sources within the foreign country under the rules of part I of this subchapter if such part were applied by treating such foreign country as though it were the United States」というもの。この条文はsection 899の一部なんで「this subchapter」っていうのは899が属するSubchapterのこと。Internal Revenue Codeは連邦法のTitle 26だけど、その傘下にSubtitle、Chapter、Subchapter、Part、Subpart…って続いていく構成。で、section 899はSubtitle A、Chapter 1のSubchapter Nに属する。IRCのストラクチャーに明るい読者は分かると思うけど、Subchapter NはIRCの中でもクロスボーダー系の法律が規定されている部分。Sub F、GILTI、FTC全てSubchapter N傘下の規則だ。このSubchapter NはPart IからPart Vで構成されsection番号で言うと861~1,000までをカバーしてる。で、上の定義の「Part I」っていうのはsection 861から865まで。つまりSourcing(所得の源泉地)規定だ。クロスボーダータックスやっている人はsection 865(e)(2)とか大好きなのでは…?。え~大嫌いって?かもね。
これらのことから上の定義が言おうとしてるのは「仮に米国のSourcing規定を適用してみて、所得の源泉地が課税国でないにもかかわらず課税を行使する税制」はDiscriminatoryというもの。したがってこの定義を正確に理解するには米国税法のSubchapter NのPart I、すなわちSourcing規定を知る必要があるよね。実はこの定義、2022年に一旦最終化されてその後実質撤回されたFTC規則の「Jurisdictional Nexus」(これは規則案時の名称で後に「Attribution Rule」って改名されてるけどJurisdictional Nexusの方が分かり易い)に似てる。どちらもDSTを念頭に置いたもの。DSTって名前がついてなくても類似する税制はこれに属する。インドのEqualizationタックスとか。
で、2つ目は「if such tax is imposed on a base other than net income and is not computed by permitting recovery of costs and expenses」。これもクラシックなFTCの対象として認められる「Income Tax」の定義そのもの。昔から「US senseでincome taxか?」っていう概念があったけど、2022年のFTC最終規則ではそれをRefineして「Net Gain」要件って言ってて、まさにそれ。グロス所得に課税するのはNGってことで、これもDSTがターゲット。
3つ目は「if such tax is exclusively or predominantly applicable, in practice or by its terms, to nonresident individuals and foreign corporations or partnerships (as determined under rules similar to paragraphs (4) and (5) of section 7701(a) by treating the foreign country as though it were the United States) because of the application of revenue thresholds, exemptions or exclusions for taxpayers subject to such foreign country’s corporate income tax, or restrictions of scope that ensure that substantially all residents (other than foreign corporations and partnerships (as so determined)) supplying comparable goods or services are excluded from the application of such tax」。結構長いけど、法的に外国人・外国法人のみに適用があったり、売上基準や自国の法人税対象者は免除とかの条件で大概において自国の納税者には課税が及ばないよう意図されている税制のこと。米国のテックをターゲットにしてるような税制が典型になる。つまりこれもDSTがターゲットだろう。
そして最後の4つ目は「if such tax is not treated as an income tax under the laws of such foreign country or is otherwise treated by such foreign country as outside the scope of any agreements that are in force between such foreign country and one or more other jurisdictions for the avoidance of double taxation with respect to taxes on income」。これは課税国が「この税金はIncome Taxではないんで条約でカバーされるタイプの税金ではないんで条約違反ではありません」っていうような税金が対象。 これら4つのうち一つにでも抵触すると(後述の例外にならなければ)Discriminatory Taxになる。で、例外だけど長くなってきたんでここから次回。
Tuesday, March 25, 2025
Global Tax Deal対抗・報復措置「Section 899」法案 (7)
前回は寄り道もなく真面目に(?)CRのドタバタ劇とsection 899の適用対象者および適用日に触れた。適用日は当然ながら適用開始タイミングが主たるフォーカスだけど、一応適用終了タイミングも規定されているんで付け加えておく。終了タイミングは予想通りで驚きはない。Section 899の趣旨的にいつまでも懲罰課税を続けるよりも問題税制を是正してもらって適用終了に至ればそれがベストだから重要なタイミングだけどね。で、最初の頃のポスティングで触れた通り、section 899は財務長官に定期的に問題税制を持つ国を特定し議会への報告を義務付けている。義務付けられる報告内容には特定の国による域外課税や差別的課税の導入と並び、問題税制の恒久的撤廃の有無が含まる。Section 899の懲罰課税は、恒久的撤廃が盛り込まれた議会報告の翌日以降に開始する課税年度(所得税・法人税)や支払い(源泉税)に関して停止されることになる。法文では「以前の報告(すなわち域外課税や差別的課税制度を持っているって言う報告)はなかったものと取り扱う」って意味ありげに回りくどい表現を使用してるけど要は適用停止ってことだろう。
で、ここから今回の本題に当たる域外課税や差別的課税の定義。Section 899法案の元祖に当たる1934年から存在するsection 891も同様に差別的課税や域外課税(この順序の違いに関しては以前触れたね)への対抗規則だけど、section 891にはどんな税制が差別的または域外課税に当たるかっていう定義はなかった。一方のsection 899法案はこれらを結構詳細に定義している。90年を経て何のことだったのか分かるって感無量。90年ってほぼ一世紀だもんね。Internal Revenue Codeの上にも3年どころか100年級だ!
域外課税(Extraterritorial Tax)
まずは域外課税。条文の定義なんで訳しても意味がないんでまずは原文で行くけど、Extraterritorial Taxは「any tax imposed by a foreign country on a corporation (including any trade or business of such corporation) which is determined by reference to any income or profits received by any person (including any trade or business of any person) by reason of such person being connected to such corporation through any chain of ownership, determined without regard to the ownership interests of any individual, and other than by reason of such corporation having a direct or indirect ownership interest in such person.」って規定される。
チョッと難しいけど、この定義のキーは「any chain…other than by reason of such corporation having a direct or indirect ownership interest in such person」ってところかになるのかな。つまり特定の国が法人課税する際に、対象法人そのものや、その法人が直接・間接に持分を持つ傘下の主体ではなく、直接・間接傘下にあるかどうかにかかわらず何らかの資本関係で結ばれているっている主体の所得を、そんな資本関係にあるっていう点のみを理由に課税するっていう制度。これってUTPRそのもの?
しかもご丁寧に「Extraterritorial Tax」に関しては「Tax」っていう用語も「any increase in tax whether effectuated by an increase in the rate or base of a tax, by a denial of deductions or credits, or otherwise」ってしっかり特別に定義されてる。OECDのモデルルールにあるUTPRは「a denial of deductions」で達成されることが多いだろうからこの点もピッタリ!
っていうことはUTPRを法制化している国はほぼ自動的にsection 899目的で「Extraterritorial Tax」を持っていることになる。上述の通り、元祖section 891には何を持って域外課税や差別的課税かは定義されてないけど、同じ用語なんでsection 891目的でもUTPRはExtraterritorial Taxに当たると解釈されるだろう。Section 899は税制改正の一環で審議されるはずだから未だ実際に配当やロイヤルティの源泉税が35%になる訳じゃないけど、section 891目的でExtraterritorial Taxありっていう認定を受け、米国法人が差別的な課税に晒されると自動的に税率が倍。クイズダービーの最後の問題みたい(古~。だけど実は結構な読者が知ってるはず?)。Section 891に言及してる大統領令、America First Trade Policyに基づく報告義務は一応4月1日だ。
で、次に差別的課税(Discriminatory Tax)。こちらはExtraterritorial Taxと違って4つのタイプのどれかに当たるとDiscriminatory Taxになる。またDiscriminatory Taxの定義には例外が規定されている。4つもあるんでここからは次回。
で、ここから今回の本題に当たる域外課税や差別的課税の定義。Section 899法案の元祖に当たる1934年から存在するsection 891も同様に差別的課税や域外課税(この順序の違いに関しては以前触れたね)への対抗規則だけど、section 891にはどんな税制が差別的または域外課税に当たるかっていう定義はなかった。一方のsection 899法案はこれらを結構詳細に定義している。90年を経て何のことだったのか分かるって感無量。90年ってほぼ一世紀だもんね。Internal Revenue Codeの上にも3年どころか100年級だ!
域外課税(Extraterritorial Tax)
まずは域外課税。条文の定義なんで訳しても意味がないんでまずは原文で行くけど、Extraterritorial Taxは「any tax imposed by a foreign country on a corporation (including any trade or business of such corporation) which is determined by reference to any income or profits received by any person (including any trade or business of any person) by reason of such person being connected to such corporation through any chain of ownership, determined without regard to the ownership interests of any individual, and other than by reason of such corporation having a direct or indirect ownership interest in such person.」って規定される。
チョッと難しいけど、この定義のキーは「any chain…other than by reason of such corporation having a direct or indirect ownership interest in such person」ってところかになるのかな。つまり特定の国が法人課税する際に、対象法人そのものや、その法人が直接・間接に持分を持つ傘下の主体ではなく、直接・間接傘下にあるかどうかにかかわらず何らかの資本関係で結ばれているっている主体の所得を、そんな資本関係にあるっていう点のみを理由に課税するっていう制度。これってUTPRそのもの?
しかもご丁寧に「Extraterritorial Tax」に関しては「Tax」っていう用語も「any increase in tax whether effectuated by an increase in the rate or base of a tax, by a denial of deductions or credits, or otherwise」ってしっかり特別に定義されてる。OECDのモデルルールにあるUTPRは「a denial of deductions」で達成されることが多いだろうからこの点もピッタリ!
っていうことはUTPRを法制化している国はほぼ自動的にsection 899目的で「Extraterritorial Tax」を持っていることになる。上述の通り、元祖section 891には何を持って域外課税や差別的課税かは定義されてないけど、同じ用語なんでsection 891目的でもUTPRはExtraterritorial Taxに当たると解釈されるだろう。Section 899は税制改正の一環で審議されるはずだから未だ実際に配当やロイヤルティの源泉税が35%になる訳じゃないけど、section 891目的でExtraterritorial Taxありっていう認定を受け、米国法人が差別的な課税に晒されると自動的に税率が倍。クイズダービーの最後の問題みたい(古~。だけど実は結構な読者が知ってるはず?)。Section 891に言及してる大統領令、America First Trade Policyに基づく報告義務は一応4月1日だ。
で、次に差別的課税(Discriminatory Tax)。こちらはExtraterritorial Taxと違って4つのタイプのどれかに当たるとDiscriminatory Taxになる。またDiscriminatory Taxの定義には例外が規定されている。4つもあるんでここからは次回。
Sunday, March 16, 2025
Global Tax Deal対抗・報復措置「Section 899」法案 (6)
前回はJoint Session等だったけどチョッと(大分?)話しが逸れてモーツァルトとかアウトバーンとかで盛り上がり過ぎて反省中。今回は余計な話題が頭を過る前に議会動向にチラッと触れて即座に(?)本題のsection 899に戻りたい。
Continuing Resolutionドラマ
2025年国家会計年度(2025年9月期)の予算(Annual Appropriation)が未だ可決していないんで連邦政府を活動を支えるため、付焼刃的に短期間、予算なしで歳出を認める法律が必要になる。これができないと連邦政府は「Shutdown」され、Annual Appropriationが不要な強制歳出(例、SSN)、軍とか空港管制塔を含む「Essential」な歳出、を除き機能不全となる。
この短期付け焼刃法をContinuing Resolution(「CR」)っていうけど、ここ何年も予算がタイムリーに可決されることはないんで、本来バックストップ的な存在であるべきCRが年間数回単位で乱発される。さらにCRにチャッカリとプラスの歳出を盛り込んで結局のところCRという名を借りた実質Omnibus Billに仕上がるケースが後を絶たない。「2025年謹賀新年「119会期米国議会」」で触れた通り、2024年9月に可決されたCRが12月20日に期限切れになる直前に2回目のCRが可決され3月14日まで歳出が認められてた。で、3月14日になったんで3回目のCRが必要になった。
で、結局のところ滑り込みセーフで可決されたんだけど(CRは上院60票必要)、その内容や細かい動向はさておき、注目するべき点は2つ。まず共和党が珍しく下院内および両院で一枚岩になれた点。そしてもう一点は民主党が党内調整できないまま上院でChuck Schumerの指示で10議員がCR賛成に回り党内の亀裂を露呈した点。共和党としてはトランプ傘下CRで一体になれたっていうモメンタムで税制改正も一気に対処したいところだろう。下院のWays and Means Committeeは既に法案ドラフトを開始してるって話しなんで今後数週間の動きが見もの。下院が税制改正可決目標日としてるMemorial Day(5月26日)に間に合わせるにはそろそろ具体化させないとね。タイミング的に上院は「Memorial Dayね…。夏が現実的じゃない?」っていうのが本音だと思うけどね。タイミングの政局的なインパクト、両院の温度差に関しては昨年末の「予算調整法2回どう使い分ける?」で触れてるんで忘れちゃってたら日本ではなかなか伝わり難いポイントになるんでぜひもう一回読んでみて欲しい。
Section 899適用納税者
Section 899法案に関して前回までのポスティングでは、その大枠、財務省長官による継続的な問題税制を持つ国の特定・アップデート義務、それらの国と行うべき交渉内容、そしてsection 899適用者に課せられる付加税率、等をまとめてきた。
で、section 899の対抗規定が適用される納税者の特定は、もちろんだけど財務長官が認定する「域外課税や差別的課税制度を持つ国」が基となる。説明を分かり易くするため、財務長官にそう認定された国をここでは「問題税制を持つ国」って言っとくね。
適用納税者は大別して3つのカテゴリーで構成される。まず問題税制を持つ国の市民(Citizen)。ただし米国市民および米国税法上の米国居住者(グリーンカード所有者およびSubstantial Presence Testを満たす者)は除外される。Section 899法案には明記されてないけど、Substantial Presence Testを満たす米国Non-Citizen(税法で言うところの「Alien Individual」)が外国の法令でも当該国の居住者になってて(=Dual Resident)、租税条約にTie-Breaker条項が存在し、条約ポジションとして外国の居住者を選択している場合は、除外対象にはならず適用納税者になるって考えるのが自然だろう。グリーンカード所有者はテクニカルにはTie-Breakerの適用は可能だけど、Tie-Breaker適用は米国継続居住はしない意思表示になりグリーンカード没収の理由のひとつになり兼ねないんでグリーンカードStatusを維持したい者による適用は稀だと思う。
次は問題税制を持つ国の法令で組成されているまたはそんな国の法人税が適用される米国外法人。米国法人、すなわちDelawareやTexas州等の米国州会社法で組成される法人は米国外法人じゃないんで定義的に対象外。また米国外法人でも外国源泉配当が米国株主側で100%所得控除の対象になる「a specified 10-percent owned foreign corporation」は除外される。具体的には、Sub FやGILTI適用時の定義で「United States Shareholder」に当たる米国法人、すなわち米国外法人の議決権または価値に関して10%以上の株式を持つ米国法人、が一社でも存在する米国外法人は対象外になる。その際、PFICにかかわる例外がどんな風にInteractするかは法案からは必ずしも明確じゃない。
最後に源泉税に関しては、財務省規則が規定する範囲で、問題税制を持つ国の個人パートナーが存在する米国税法上パートナーシップに区分される米国外主体も含むとされる。そもそも源泉税率判断時に条約の適用は無視されるっていうルールになってることから、Foreign Reverse Hybridを含むパートナーの所在国の法律で主体がFiscally Transparentになってるかどうかはsection 899目的では関係ないって考えられる。
Section 899適用日
付加税率に関するポスティング「Global Tax Deal対抗・報復措置「Section 899」法案 (3)」およびその後のポスティングでは、どの課税年度またはどの支払いから付加税率が適用されるのか、またその後、どんな風に5%~20%徐々に税率アップになるかっていうタイミングはsection 899の「適用日」を軸に考えるっていう点に触れた。すなわち、法人・所得税に関しては「適用日」の後に開始する課税年度、源泉税に関しては、適用日後の源泉税対象支払いが付加税率の対象になるっていう点だ。
適用日は財務長官が特定の国が問題税制を持つ国に当たるっていうレポートを議会に提出した日から数えて180日経過した次の日(つまり181日後)と規定される。適用日は各納税者に個別に決められるんじゃなくて、問題税制を持つ国単位で決まる。これを付加税率がトリガーされるタイミングに当てはめてみると、財務長官が議会に「この国は弊害税制を持つ国です」ってレポートを提出すると、まずその国に関してそこから181日数える(「181経過日」)。所得税や法人税に関してはこの181経過日の後に始まる課税年度から付加税率が課せられる。ちなみに米国税法目的では個人の所得税課税年度は常に暦年。源泉税に関しては課税年度単位じゃなくて、181経過日後に行われる源泉税対象との支払いから付加税率の対象になる。以前のポスティング「Global Tax Deal対抗・報復措置「Section 899」法案 (2)」でチラッと触れたけど、問題税制を持つ国は、そんな税制が可決された日または効力が生じる日のいずれか「早い方」から税制が撤廃された日または失効した日のいずれか「遅い方」までの期間、問題税制を有しているって取り扱われる。このルールと適用日は異なるんで、仮に問題税制を持っている期間が早く開始していても、付加税率の適用開始は「適用日」ベースになる。
例えば予算調整法に基づく税制改正が2025年5月末に可決され、そこにsection 899が盛り込まれるとする。5月31日から90日以内に財務長官は問題税制を持つ国のリストを議会に提出する法的義務が生じる。仮に90日まるまる掛けてリストを提出したとすると8月29日になる(合ってる?)。でその最初の財務長官レポートで問題税制を持つと認定された国に関しては181日経過日は2026年2月26日となり、翌日の2月27日以降に開始する課税年度の所得税・法人税、また2月27日以降に支払われる配当、利子、ロイヤルティーが付加税率の対象になる。
で、次はいよいよ域外課税や差別的課税の定義。ここからは次回。
Continuing Resolutionドラマ
2025年国家会計年度(2025年9月期)の予算(Annual Appropriation)が未だ可決していないんで連邦政府を活動を支えるため、付焼刃的に短期間、予算なしで歳出を認める法律が必要になる。これができないと連邦政府は「Shutdown」され、Annual Appropriationが不要な強制歳出(例、SSN)、軍とか空港管制塔を含む「Essential」な歳出、を除き機能不全となる。
この短期付け焼刃法をContinuing Resolution(「CR」)っていうけど、ここ何年も予算がタイムリーに可決されることはないんで、本来バックストップ的な存在であるべきCRが年間数回単位で乱発される。さらにCRにチャッカリとプラスの歳出を盛り込んで結局のところCRという名を借りた実質Omnibus Billに仕上がるケースが後を絶たない。「2025年謹賀新年「119会期米国議会」」で触れた通り、2024年9月に可決されたCRが12月20日に期限切れになる直前に2回目のCRが可決され3月14日まで歳出が認められてた。で、3月14日になったんで3回目のCRが必要になった。
で、結局のところ滑り込みセーフで可決されたんだけど(CRは上院60票必要)、その内容や細かい動向はさておき、注目するべき点は2つ。まず共和党が珍しく下院内および両院で一枚岩になれた点。そしてもう一点は民主党が党内調整できないまま上院でChuck Schumerの指示で10議員がCR賛成に回り党内の亀裂を露呈した点。共和党としてはトランプ傘下CRで一体になれたっていうモメンタムで税制改正も一気に対処したいところだろう。下院のWays and Means Committeeは既に法案ドラフトを開始してるって話しなんで今後数週間の動きが見もの。下院が税制改正可決目標日としてるMemorial Day(5月26日)に間に合わせるにはそろそろ具体化させないとね。タイミング的に上院は「Memorial Dayね…。夏が現実的じゃない?」っていうのが本音だと思うけどね。タイミングの政局的なインパクト、両院の温度差に関しては昨年末の「予算調整法2回どう使い分ける?」で触れてるんで忘れちゃってたら日本ではなかなか伝わり難いポイントになるんでぜひもう一回読んでみて欲しい。
Section 899適用納税者
Section 899法案に関して前回までのポスティングでは、その大枠、財務省長官による継続的な問題税制を持つ国の特定・アップデート義務、それらの国と行うべき交渉内容、そしてsection 899適用者に課せられる付加税率、等をまとめてきた。
で、section 899の対抗規定が適用される納税者の特定は、もちろんだけど財務長官が認定する「域外課税や差別的課税制度を持つ国」が基となる。説明を分かり易くするため、財務長官にそう認定された国をここでは「問題税制を持つ国」って言っとくね。
適用納税者は大別して3つのカテゴリーで構成される。まず問題税制を持つ国の市民(Citizen)。ただし米国市民および米国税法上の米国居住者(グリーンカード所有者およびSubstantial Presence Testを満たす者)は除外される。Section 899法案には明記されてないけど、Substantial Presence Testを満たす米国Non-Citizen(税法で言うところの「Alien Individual」)が外国の法令でも当該国の居住者になってて(=Dual Resident)、租税条約にTie-Breaker条項が存在し、条約ポジションとして外国の居住者を選択している場合は、除外対象にはならず適用納税者になるって考えるのが自然だろう。グリーンカード所有者はテクニカルにはTie-Breakerの適用は可能だけど、Tie-Breaker適用は米国継続居住はしない意思表示になりグリーンカード没収の理由のひとつになり兼ねないんでグリーンカードStatusを維持したい者による適用は稀だと思う。
次は問題税制を持つ国の法令で組成されているまたはそんな国の法人税が適用される米国外法人。米国法人、すなわちDelawareやTexas州等の米国州会社法で組成される法人は米国外法人じゃないんで定義的に対象外。また米国外法人でも外国源泉配当が米国株主側で100%所得控除の対象になる「a specified 10-percent owned foreign corporation」は除外される。具体的には、Sub FやGILTI適用時の定義で「United States Shareholder」に当たる米国法人、すなわち米国外法人の議決権または価値に関して10%以上の株式を持つ米国法人、が一社でも存在する米国外法人は対象外になる。その際、PFICにかかわる例外がどんな風にInteractするかは法案からは必ずしも明確じゃない。
最後に源泉税に関しては、財務省規則が規定する範囲で、問題税制を持つ国の個人パートナーが存在する米国税法上パートナーシップに区分される米国外主体も含むとされる。そもそも源泉税率判断時に条約の適用は無視されるっていうルールになってることから、Foreign Reverse Hybridを含むパートナーの所在国の法律で主体がFiscally Transparentになってるかどうかはsection 899目的では関係ないって考えられる。
Section 899適用日
付加税率に関するポスティング「Global Tax Deal対抗・報復措置「Section 899」法案 (3)」およびその後のポスティングでは、どの課税年度またはどの支払いから付加税率が適用されるのか、またその後、どんな風に5%~20%徐々に税率アップになるかっていうタイミングはsection 899の「適用日」を軸に考えるっていう点に触れた。すなわち、法人・所得税に関しては「適用日」の後に開始する課税年度、源泉税に関しては、適用日後の源泉税対象支払いが付加税率の対象になるっていう点だ。
適用日は財務長官が特定の国が問題税制を持つ国に当たるっていうレポートを議会に提出した日から数えて180日経過した次の日(つまり181日後)と規定される。適用日は各納税者に個別に決められるんじゃなくて、問題税制を持つ国単位で決まる。これを付加税率がトリガーされるタイミングに当てはめてみると、財務長官が議会に「この国は弊害税制を持つ国です」ってレポートを提出すると、まずその国に関してそこから181日数える(「181経過日」)。所得税や法人税に関してはこの181経過日の後に始まる課税年度から付加税率が課せられる。ちなみに米国税法目的では個人の所得税課税年度は常に暦年。源泉税に関しては課税年度単位じゃなくて、181経過日後に行われる源泉税対象との支払いから付加税率の対象になる。以前のポスティング「Global Tax Deal対抗・報復措置「Section 899」法案 (2)」でチラッと触れたけど、問題税制を持つ国は、そんな税制が可決された日または効力が生じる日のいずれか「早い方」から税制が撤廃された日または失効した日のいずれか「遅い方」までの期間、問題税制を有しているって取り扱われる。このルールと適用日は異なるんで、仮に問題税制を持っている期間が早く開始していても、付加税率の適用開始は「適用日」ベースになる。
例えば予算調整法に基づく税制改正が2025年5月末に可決され、そこにsection 899が盛り込まれるとする。5月31日から90日以内に財務長官は問題税制を持つ国のリストを議会に提出する法的義務が生じる。仮に90日まるまる掛けてリストを提出したとすると8月29日になる(合ってる?)。でその最初の財務長官レポートで問題税制を持つと認定された国に関しては181日経過日は2026年2月26日となり、翌日の2月27日以降に開始する課税年度の所得税・法人税、また2月27日以降に支払われる配当、利子、ロイヤルティーが付加税率の対象になる。
で、次はいよいよ域外課税や差別的課税の定義。ここからは次回。
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