Mega-Bill上院バージョン
Mega-Billのタックス部分を上院で担当するFinance Committeeが税制改正上院バージョンドラフトを今日(米国金曜日)にも公表するかもって噂されてたんでソワソワ・ワクワク (?)してたんだけど未だ出てないんで、結局来週になるのかもね。13日の金曜日は縁起悪いって考えた?なんてことはないと思うけど、DCの常識的に、この手のドラフトをあんまり前もって白日の下に晒すと、様々な利権を持つ者が精査してLast minuteのロビー活動に繋がるんで、来週奇襲攻撃的に公開するっていう戦術に出てるのかもね。
Medicaidは別の管轄なんで置いておいて税制面で、上院バージョンが公開される際の関心は下院・上院間で温度差が浮き彫りになってる項目にどんな風に対処するかっていう点。すなわちSALT控除枠が$40Kのままか、チップ・残業代非課税がSurviveするか、163(j)/174/168(k)の時限救済を恒久化できるか、エネジークレジットの撤廃タイミングを緩和するか、が主たる関心事になる。これは上院がポリシーとしてどう考えるかっていう角度からの興味もなくはないけど、以前も増れた通り下院バージョンからの乖離が大きくなると両院一致バージョンを早期に可決するゴールに影響があるっていうポリティクスの問題が大きい。
これら争点となっている政策は各々Mega-Billの財政コスト面でプレッシャーが高くなるんでこれらを取り込むとDeficit Hawk派と最後の線で保ってるバランス調整が更に複雑になる。コップのウォッカがこぼれ落ちる寸前までコインを沈め合ってる感じ。そんなかけひきも近頃はもどかしくなっていっそ倒しちゃうようなことがないようにね。メレンゲはホイップし過ぎたらしぼむんでちょうど良い頃合いに止めないとね。う~ん、Voyager良く聴いたな~。この前一瞬触れたRubber SoulからPepperじゃないけど、Pearl Pierce、Reincarnation、Voyager、No Sideって続くあの4枚は個人的にはMark II (?)のGolden Ageで今聴いても素晴らしい。それよりもっと前の子供の頃に聴いてた、ひこうき雲やMisllim、そしてその後のCOBALT HOUR(卒業写真!)、14番目の月(中央フリーウェイ!)なんかのMark Iもいいよね!
で、上院サイドのDeficit Hawk派はトランプが説得に回り徐々にRand Paul以外は歩み寄りの気配があるっていう報道(Rand Paulは結局ホワイトハウスのピクニックに招待してもらえたそう!)。え~Ron Johnsonも歩み寄り~?って思うかもしれないけど、Mega-Billとは別ルートで大統領府と赤字削減プランを協議するっていう約束になったっていう報道もある。ただSALTの控除枠に関して$30Kか$40Kかとか喧喧囂囂の駆け引きが続く中、上院Deficit Hawk派の一人のRick Scott (R-FL)がどれ位の控除枠だったら受け入れ可能かって質問された際に「ゼロがいいんじゃないかな」とコメントしたそうだ。けんもほろろだね。
Section 899の行方は?
これらが主たる大物ポイントだけど、最近頻繁に「section 899は上院でも可決しますか?」っていう質問を受けるようになった。テクニカルに正しい回答は「僕は占い師じゃないんで分かりません。トランプもJohn Thuneも定かじゃないと思います」ってものだけど、Bootleg的な回答は「section 899は若干のTweakはあり得てもそのまま可決される可能性大」って考えるのが合理的。最終法案に盛り込まれる確率は個人的には95%超レベルって考えている。ポリティクスに絶対はないんでその範囲では最高得点に属する。
その理由はいくつかあるけど、まず上院以外の2府、下院と行政府(大統領・財務省)は120%法案指示で一枚岩になってる点。1月20日の政権発足と同時に公表された「Global Tax Deal大統領令」と翌日の下院section 899 Take 2のコーディネートぶりは当時のポスティング「「Global Tax Deal」大統領令」で触れてるんでそっちも読んで欲しい。昨日から議会で財務長官のBessentが質疑応答してたけど、その中でsection 899に関しては「Revenge Tax」とか俗称が付いてるけど誤解を招くとした上で他国の暴走を止め米国議業が他国企業とフェアに競争するため必要と100%ディフェンドしていた。反対意見は主に問題国の納税者からのものとも発言してた。上院と下院で意見が割れる大物争点が他にある中、加えてsection 899を喧嘩に加えるインセンティブが上院にあるとは考え難い。
次に、以前も触れたけど、section 899の主たる米国内の反対はWall Streetからに限定されてるって思われる点。国債を含む米国資産への国外からの投資意欲に悪影響があるっていう理由。この点も投資銀行のアナリストによっては「影響はほぼない(Budget Committeeが後からFootnoteでPortfolio Interest Exemptionに影響はなくsection 899付加税の対象ではないってコメント付けたんで特に)」「影響あるとしたら既に織り込み済み」っていう見方をする者も居る。いずれにして審議過程で目立ったマーケットインパクトは見られない。
一方で一般企業はOECDのGlobal Tax Dealにコンプライアンスしたり、米国で合法的に税金払ってるのに、OECDの計算で(例、R&Dクレジット取って)たまたまLow-Taxedになったっていう理由で米国の利益に子会社所在国で課税されることに何の得もないんで、政権によるプッシュバックの評価は高い。噂によるとカナダや欧州の企業も、これで少しでもコンプライアンス負荷が軽減されて欲しいって実は「こっそり」応援してるところも少なくないっていう話しも聞いた(苦笑)。
ビジネス界からのプッシュバックがWall Streetからに限定されてる点と関連するけど、議員は何よりも次の選挙に備えて地元の有権者にいいところを見せないといけない。有権者の視点からから「みなさんのために高い州税の控除枠を拡大しました」とか「みなさんが欲しい太陽光発電の助成金(クレジット)廃止を2年遅らせました」とか「コメ不足をこうして解消します(ゴメン、これは日本か)」は分かり易い。一方で「OECDが世界に働きかけて導入を図っている不公平税制を取り入れている外国の企業に対する懲罰課税を撤廃しました」って言っても「OECD?石油の輸出国の団体だっけ?」とか「撤廃して自分たち(選挙区の一般People)になんか好影響あんの?」「何で外国企業のために時間使ってんの?」みたいな世界だろうから、そこに限られたPolitical Capitalを費やす議員が多いとは思えない。
また、Mega-Billの一つの大きな争点はBudget Windowの今後10年の財政赤字に対するインパクト。昨日のFinance CommitteeのヒアリングでBessent財務長官はCBOのScoreは関税による歳入を無視してる点、Dynamic scoreじゃない点も加味して「Budget Window内で財政は均衡する」っていう見解をシェアしていた。で、ただでさえ歳出減が徹底できず、歳入源は限られている中、$116Bっていう比較的大きな歳入がScoreされてる規則を敢えて撤廃するようなことは考え難い。
Section 899上院バージョン?
大概において上院での可決が見込まれるとして、じゃあ下院法案バージョンの法文に何らかの変更が加えられる可能性はどうだろうか。こちらも「Heaven Knows」(Donna Summer!)の世界だけど、付加税やSuper-BEATにかかわるSubstantiveな変更はないんじゃないかな~。もしかしたらThom Tillis (R-NC)がDiscriminatory Foreign CountryがUTPRを取り下げたりする時間的な猶予をもう少し与えた方がいいとか言ったそうなんで、例えばApplicable Date(常に暦年で国単位でひとつの日。覚えてる?)やFiscal Year納税者の適用開始年度判断時に使用する日にちのひとつ「section 899の可決90日後」っていうのを「180日」に変えたり(可決日次第だけどおそらく180日にすれば暦年ベースのApplicable Dateは早くて2026年の代わりに2027年1月1日になる)っていう感じのマイナーチェンジは考え得る。またWall Streetの懸念を一部払拭した「Portfolio interest exemption」適格の利子所得はsection 899の付加税対象外っていうBudget CommitteeのFootnoteコメントは法文からは明らかじゃないんで、法文自体をテクニカルアップデートして明確化を図るとかもあり得るかもね。
Recission Bill下院可決
数回前のポスティング「ついにOECD資金拠出撤回法案+Section 899等審議動向」で触れたOECDに対する拠出金撤回を含むって報道されている法案(Recission Bill)は昨日下院で可決された。法案そのものには対象国際機関の個々の名称は記載されてないけど下院の資料にOECDやUNの名前が出てたんで内務省管轄のCIO accountからの拠出取り消しに含まれてるって推測される。次は上院だけど、面白いことにRecission Billは通常の上院60票ではなくReconciliationパッケージ同様に50票超の単純多数決で可決される。この辺の話しは専門外なんで理解している範囲での話しだけど、Recission Billを規定している「the Impoundment Control Act of 1974」では予算撤回を迅速に可能にするためRecission Billは「privileged」っていう位置づけにあるからっていうこと。ただ、共和党上院議員にも歳出減に躊躇しがちな議員は結構いるんで単純多数欠だからって可決が保証されてる訳じゃない。タイミング的にも上院の優先順位は当然Mega-Bill可決の方が高いんでJohn ThuneによるとRecission Billの審議はMega-Bill可決後の7月にずれ込むっていうことだ。
う~ん、$9B(Billion)のRecission Billの可決が定かじゃないってというこの厳しい現実。これじゃ米国の債務$36T(こちらはTrillion)はいつまでたっても解消できないよね。
Section 899 下院法案「Specified rate of tax」
Super-BEAT以外の元祖Section 899部分の下院法案の規則は3つの定義される用語で構成される。すなわち「Applicable Person」に関して各「Specified rate of tax」に「Applicable number of percentage points」を足すっていうもの。「Applicable Person」に関しては前回「Section 899下院法案バージョン (3)」で触れたし、「Applicable number of percentage points」は付加税%って勝手に命名して「Section 899下院法案バージョン (2)」で触れた。
で、最後に残るのが「Specified rate of tax」だけど、tax rateって表現されているものの要は付加税を足す対象となる税金タイプのことって考えると分かり易い。ただ、税金タイプに%を足すっていうのは表現としてパラレルじゃないんで、付加税%を足す対象として「定義される特定の税率」っていう意味でこんな規定になってる。付加税対象の税金タイプは下院法案(Track 3)になる前の1月21日のTrack 2に当たるH.R.591とほぼ同じなんで当時のポスティング「Global Tax Deal対抗・報復措置「Section 899」法案 (3)」を読んでみて欲しい。
マイナーだけど変更点としては下院法案では1月21日のH.R.591の付加税の対象税金タイプに「section 4948」(Private foundationに対するExcise tax)が加えられている。さらに前回触れた通り下院法案にはForeign Governmentに対する特別恩典はないってここ部分に追記がある。さらにH.R.591では条約レートは無視するって明記されてたけど、既に何回か触れた通り下院法案では条約を適用したレートがスターティングポイントになる。
また法文そのものじゃないけど、下院が上院に法案を送付した際に下院Budget Committeeが解説を加えてて、その中のsection 899の付加税に関してFootnoteがある。Footnoteによると付加税は特定税率(Specified tax rate)を上方修正する「だけ」の仕組みなので、そもそもSpecified taxの適用が明文的に免除されているケースには付加税の適用はないとしている。その例としてProfits interest exemptionが名指しされている。さらに条約で減免されているケースは結果として0%になってるとしても法的に課税が免除されている状況とは異なるとして区別している。
ということで次回のポスティングをドラフトする頃にはもしかしたら上院バージョンの話しができるような状況になってるかもね。