Saturday, June 7, 2025

Section 899最大の難関「Byrd Rule」Parliamentarianから合格通知

う~ん、section 899、Super-BEAT、OECD De-funding等の対抗策は2024年の選挙で共和党がTrifactaになったら現実的って2023年当時から警鐘を鳴らし続けたけど、世間では全然Catch-Onしなくて(苦笑)、今になってメインストリームメディアとかが「section 899が…」とか条文番号にまで言及して大騒ぎしてるんでなんだかな~って感じ。米国ではsection 899は「Revenge Tax」っていう俗称が一般化してる始末。

Section 899は予算調整法(Byrd Rule)の範囲内?

Mega-Billを上院共和党が可決できるかどうか以前にsection 899やMega-Billに盛り込まれている規則の一部にはテクニカルなチャレンジがある。予算調整法って言う特別な手続きで上院を可決させることができる内容の規定かどうかっていう点を取り締まるByrd Ruleだ。Byrd Ruleは上院60票の代わりに単純多数決の50票超(議員投票で50の場合はVPのバンスがCasting Vote)での可決が許されるための条件を規定してるルール。上院可決時のルールなんで、元々多数決で法案を通す下院には直接関係ない世界。ただ下院としても上院で予算調整法スコープ外でキックアウトされるような法案を可決しても時間の無駄なんで当然そうならないよう配慮する。

Section 899に関しては主に2つの論点があり得て、1つ目は条約をオーバーライドしてしまうことで税法の範疇よりも外交ポリシー達成を主たる目的としてるんで予算調整法では制定できないんではっていう点、もう1つは予算調整法は法律が歳入・歳出に影響する必要があり、また10年間のBudget Windowを超えて赤字を計上してはいけないっていう点。以前のポスティングで触れた通り、Section 899下院法案バージョンではこの辺りを十分に加味して、1月に提出されたバージョンと異なり付加%は条約レートからスタートさせるっていう配慮を見せ、歳入・歳出面に関しては長期間に亘る財務長官の交渉規定を撤廃、財務省の検討を待たずにUTPR、DST、DPTをUnfair Foreign Taxesと明記し歳入のScoreを容易にしている。それを受けてJoint Committee of Taxationは10年間のBudget Windowで$161Bの歳入があるってScoreしてる。ただ2034年には$8B程度のマイナスに転じるってJCTは言ってるんで、そのままマイナスが続くとBudget Windowを超える期間の赤字がBudget Window内の黒字$161Bを超えてしまってByrd Rule違反ではっていうリスクもある。ただ、161対8だからその後20年掛けて2055年にはネットで赤字転落…っていうようなほぼ意味のない数字を基にNGになるリスクは少ない。Budget Windowで$161Bプラスっていうのは他の規定との比較においてもかなり立派な歳入源。

Byrd Rule違反かどうか誰が判断?

法案のどの規定がByrd Rule違反で予算調整法内で可決不可かっていう判断は上院のParliamentarianって呼ばれる人物が行う。Parliamentarianは一人だけだから凄い権力で、Elizabeth MacDonoughが2012年から10年以上君臨している。このParliamentarianの判断はなかなか油断大敵で例えばInflation Reduction Act審議時点でもPrivate Insurance MarketのPrescription Drug Priceがインフレ率よりも高騰する点を規制する条項は「歳入インパクトは単に付随的で、主にポリシー設定が目的」っていう理由でキックアウトされている。Section 899も上述の通り外交ポリシー設定が主目的って位置付けられると同じようなうきめにあうリスクが存在する。週末を迎える段階では現時点でParliamentarianからsection 899に関してネガティブな話しは伝わっている形跡はなく、何か問題があるんだったら何らかの前触れがあるだろうから下院が可決したバージョンは工夫されてるんでセーフでは?っていうのが大概の見方だった。

そして結果は?

週末のプレスによるとParliamentarianは少なくとも条項そのものをキックアウトするような理由はないって判断したようでこのまま上院の審議対象OKっていう合格通知が届いたようだ。細部で修正が求められる可能性は残るものの手続き的に致命傷を負うことなく進むことになった。

大領領および財務省は完全にバックアップしているんでWall Street系の懸念がどの程度上院に響くかがキー。Wall Streetって言えば、メディアのWSJは「Revenge Tax」は理に適ってて解決策はいとも簡単、すなわち外国が米国を差別しているUTPRやDSTを撤回すればいいだけでシンプルだから可決すればいいとバッサリ。

上院Finance Committeeのマークアップの初版が早ければ週末または週明けには公開されるっていう噂があるんでsection 899ばかりじゃなくエネジークレジットの撤廃タイミングやSALTの対処も目が離せないね。