Thursday, February 7, 2008

減税小切手ついに可決

先行きがますます怪しい景気への緊急対策となる減税が今日可決された。前もって減税分の小切手が送付されてくる「戻し減税」に関しては2008年1月20日のポスティング「減税「還付小切手」の悪夢(?)が再び」で触れているが、その通りの結果となってしまった。減税法には他に設備投資減税が盛り込まれており、2001年の景気刺激策と類似するものとなっている。

*減税額

減税額の算定は法律そのものを読むと結構ややこしいが次のような感じだろう。基本的に普通に税金を支払っている独身者・夫婦別申告者は$600、夫婦合算申告者は$1,200となる。これに子女控除の対象となる子供が居る場合には子供一人当たり$300が追加される。しかし、年間の総所得(正確にはAGI)が独身者・夫婦別申告者で$75,000、夫婦合算申告者$150,000を超える場合には減額(Phaseout)がある。具体的には、AGIがこれら規定額の超過する金額の5%相当が減税から差し引かれる。したがって、夫婦合算ベースで子供がいない場合、$174,000のAGIがあると小切手はこない。基本的にはミドルクラス以下に対する減税となる。

上の$600であるとか$1,200は、もし年間の最終税金(減税前)がそれよりも少ない場合には税額が上限とされる。しかし、税金を支払っていない低所得者層でも少なくとも$3,000の社会保障受給額または稼働所得がある場合、または少しでも税金を支払っている場合には最低でも独身者・夫婦別申告者で$300、夫婦合算申告者で$600の減税がある。したがって、一定の条件を満たす場合にはネットで還付が認められる「Refundable Credit」であることが分かる。

*2008年の減税を今先払いするメカニズム

減税そのものの法律は2008年に対する税額控除(クレジット)として規定されている。しかし、誰が2008年に上の条件を満たすのか(2008年のAGIはいくらか、子供は何人いるか、最低でも$3,000の所得があるか、等)は2008年が終了して申告書を作成しないと分からない。

にも係らず、景気対策としての効果を最大限とするため、減税の効果は「前払い小切手」で国民に送付する必要がある。そこで減税規定はますます複雑となる。具体的には法律を読むと、もし今回の減税規定が2007年に適用されたとすると2007年にクレジットされたであろう金額と同額の金額を各納税者が実際に2007年にIRSに支払った金額にプラスでIRSに支払ったものと取り扱われる。この回りくどいメカニズムに基づき、2007年の申告書であたかもクレジット金額相当分の還付が発生するような取り扱いとなり、結果として2008年の早いうちにクレジット相当額が納税者に「還付小切手」として送付される。

このように一応2007年の還付かのような体裁は整えているものの、実態としては2008年の減税である。したがって、2008年の確定申告書を作成し、上述のクレジットが2008年の状況に応じて最終計算されることなる。この2008年のクレジットから実際に2007年に前もって発行された小切手の金額を差し引いた金額が2008年の申告書上でクレジットとなる。ただし、法律には2007年に基づく還付小切手の金額で2008年のクレジットを減額した金額はゼロを下回らないとされていることから、還付小切手を一旦受け取ってしまえばそれを返却することはない。結果として、2007年、2008年の双方の年に減税規定を適用し、どちらか高い減税額が最終的に懐に入ることになる。

*非居住者は対象外

今回の減税の対象となるのは「米国居住者」である。ただし、上のメカニズムに基づくと、2007年に居住者で申告している場合には、2008年非居住者でも小切手が送付されてくる。これは返却する必要はない。逆に2007年非居住者の場合には、前払いの小切手は送付されてこないが、2008年に居住者であれば2008年の確定申告時に税額控除の恩典を受けることができる(所得上限に引っかからない場合)。

*ITINの配偶者、子供は対象外?

法律には減税の対象となるのはSSNを持っている者と規定され、敢えて「ITIN(納税者番号)ではダメだ」と明記されている。となると日本人派遣員の場合には、例え夫婦合算申告して子供がたくさんいても、多くのケースで配偶者・子供はSSNではなく、ITINを使用していることから対象外となるように読める。その場合、法律を文字通り読むと派遣員本人分の$600も含めて減税不適格となるようにも読めIRSの具体的な対応がどのようになるのか興味深い。

*他の減税

今回の景気刺激策には上述の還付小切手の他に、2008年に事業用途に供される機械類に対する取得時50%の特別償却、小規模事業主による資産取得年の一括償却($250,000まで)等の投資減税が盛り込まれる。なお、一部で期待されていた欠損金の繰り戻し期限(通常2年)の特別延長措置は見送られている。