Wednesday, June 23, 2021

バイデン政権「グリーンブック」で増税案詳細公表(4) COGSとSHIELD(続)

前回は合衆国憲法とCOGSの複雑な間柄を100年以上の歴史を紐解いて解説した。議会がCOGSを否認する税法を可決できないことから、BEAT適用時には重要な検討になってるけど、今回はそんな制限下、財務省がどんな裏技でSHIELDをCOGSに適用しようとしているかに関して。

って、週末にアップさせる予定だったんだけど、ここまで書いたところでショッキングなニュースを聞いて考え込んでしまってて、チョッと遅くなってしまった。そのニュースとは他でもない、Peter Jacksonの新Let It Beこと「Get Back」の映画の話し。Seville Rowのアップルビル屋上の40分に上るフルライブを含む新映像が8月末に劇場公開ということで2年以上前にこの企画の話しを聞いた時は、生きててよかった!ってブログに書いた位、僕がず~っと待ち焦がれているアレだ。

もともと2020年に劇場公開されるはずだったんだけど、Peter Jackson本人がロックダウン制約が激しい国の一つニュージーランドに居たので、おそらく本人身動きが取れず、公開は2021年8月に延期になっていた。まあ、2020年はどこも映画館クローズしてたんで、まあいいか、って思ってとりあえず、ロビンソン・クルーソーのように日記を付けて日にちを数えて待っていた(何それ?)。ところが週末のニュースでは、結局8月の公開が11月に遅れるばかりでなく、公開は劇場ではなくディズニープラスでストリーミングされるってことになったらしい。大きなスクリーン、しかも今日日の質の高い音響でアップルビル屋上のフルライブというイメージだっただけに大ショック。唯一グッドニュースと言えば、3日間使って計6時間の映像を見せてくれるそうだ。6時間のExtended Versionはディズニープラスでもなんでもいいんだけど、希望としては平行して劇場版も用意して欲しかった。プラス・マイナスで考えるとどうしてもネットマイナス。それにしてもPeter JacksonのGet Back、紆余曲折あり過ぎ。同時に公開されるって言ってた元祖Let It Beのリマスター・バージョンの話しもどうなっちゃたんだろうね。酷い話し。

酷い話しと言えば、今日の本題のSHIELD。前回のポスティングで触れた通り、合衆国憲法上、連邦政府はCOGSを否認することは認められないと考えられている。それでは、ってことでSHIELDはこの点に関して、大胆な迂回策を提案している。

グリーンブックの説明によると、米国法人、米国事業に従事する支店、の米国外関連者への支出は全額SHIELDの対象にする!って力強く宣言し、そのような支出が税法上、DeductionとなるケースではDeductionは当然全額否認するとし、他のケース、例えばCOGS、に関しては、他のDeductionを代わりに否認するとしている。しかも、代わりに生贄となるDeductionは必ずしも関連者に対して支払うものに限定しないそうだ。

何それ?って感じだけど、グリーンブックの説明を鵜呑みにするのであれば、米国外関連者への支出が税務上、COGSに区分される場合、そのCOGSでGross Incomeを算定する課税年度において、同額のDeductionを代わりに否認する、ってことのよう。COGSに入って来るんで対象となる可能性のある支出は、仕入ればかりでなく、製造ノウハウ等のロイヤルティとか他の間接費用のうち税法上、Section 471で、COGSに区分されるものを含む。

代わりにDeductionを差し出しなさい、って言われても、たくさんのDeductionがある中、何を否認するんだろうか。クロスボーダー支出である必要はないように見え、国内で普通に大家さんに払ってるオフィスの賃貸とかがSHIELDで否認されてしまうのかな。それともPro-Rataで全項目に配賦するのかな、それともコントラDeductionとして一本で加算調整とか。どんな方法にしても妙な話しだ。実態はCOGSを否認しているんで、こんな子供だましみたいな迂回策で本来違憲な行為を合憲にすり替えられるのかな。実に不思議。

このSHIELD、15%とか21%のミニマム税を課していない国に対する懲罰的な規定なんで、SHIELD(盾)とは名ばかりでSWORD(矛)という名前にした方がいいんじゃない、って揶揄されている。

ちなみについさっき(NYC時間23日夕方)、両党議員の中庸路線の超党派議員が調整していたインフラ法案の大枠にホワイトアルバム、じゃなくてホワイトハウスが合意したっていうニュースを聞いた。それが本当だったら増税はないはず。または、あっても最小限で済むはず。となると、違憲紛いのCOGS否認SHIELDもお蔵入りかもね。米国にそそのかされてOECDとかG7も21%だの15%だのと散々かき回され、結局、米国議会が何もしなかったらピラー2とかどうなっちゃんだろうね。

次回はインバージョン!楽しみにしててね。