前回のポスティングは年末年始スペシャルだったんで専門外のGeopoliticsや米ドルの運命で調子でなかったけど、今日からまた米国税務。って思ったらトランプがダボスに行くって知ってチョッとビックリ。しかもダボス行きのAir Force Oneの電気系統がおかしくなって(オフィシャルには「Minor Electrical Issue」)離陸後に引き返すっていうハプニングも。僕らが普段から利用してるコマーシャルエアーだったら整備その他でキャンセル・遅延は珍しくないけどAir Force Oneの整備は鉄壁なはずだからこの話し額面通りに受け取っていいのかどうかチョッと怪しいよね。しかも離陸した後のUターンだからね。
トランプがダボスに行くのは既に半死のグローバリズムに総本山でとどめの一撃を加えに行くつもりだっただろうから(実際にそうなったけど…)、最高度の要人セキュリティで臨んでるんだろうけど去年2度の暗殺未遂に見るように常に危ない状況。そんな状況でのAir Force One引き返し事件は怪し過ぎ。石橋を叩いて渡る的な対応だった可能性もあるけどどこか釈然としない。もしかして最初の747型Air Force Oneはオトリで本当のトランプは最初から代替で急遽登用されバックアップAir Force Oneの一機に当たるC-32(空軍特別仕様のボーイング757)に居たとかね。考え過ぎじゃんって?かもね。まあ、一般市民の僕には知る術もない。ちなみにこの手の話しに詳しい人によると正確にはAir Force Oneっていうのは特定の機体の名称じゃなくて、大統領が搭乗しているAir Force機体のコールサインで、必ずしもいつもの747に限定されて使用される訳じゃないそうだ。C-32も国内移動で小さな空港に着陸する際に日頃から使用されることはあるとのこと。
う~ん、何があったんでしょうか。あくまで架空の世界で何らかの理由で大統領が交代するような事態になったらヤングMAGAの副大統領JDバンスがステップインするんで方向的に余り変わりはないっていうのは良く語られるところで、米国ではJDバンスはトランプの生命保険って言う人もいるほどだ。
で、ダボスでのトランプのスピーチは大方の予想よりソフトタッチだった感がある以外に大きな驚きはなかったけど(グリーンランドに関しては例によってTACOぶりが否めなかったけどこれも想定通りなのかな?)、欧州委員会首脳のアルセラの公演は面白いというかチョッと不思議だった。トランプにボロクソ言われたんで何らの形で米国の過去に触れなければって思ったのか、文脈的にチョッと唐突な感じでアルセラ曰く「1971年のニクソンショックでBretton Woods体制が終わり、その地殻変動によりグローバリズムが実現した」とし「そして今、また(今度はグローバリズムが終わる)次の時代の変革に際し過去の教訓から学び欧州は強くなくてはいけない…。独自の通貨も云々」とか。
あんまり深く聞いてなかったけどFiat Currency化して久しい米政府の無責任なMonetary政策や米ドル運営に釘を刺してたってことなのかな。Euroclearにあるロシア中央銀行の米ドル資産没収をちらつかせて米ドル基軸通貨Statusにみんなで引導を渡しておいて面白いね(SWIFTもEuroclearもせっかくDCとかNYCじゃなくてベルギーに設立したのにね)。ニクソンショックでBretton Woodsが終わった点はそうだし、また今日のような地殻変動時に各国が(Survivalモードの?)戦略策定待ったナシっていうのもそうだろうけど、今日直面しているグローバルリオーダーとニクソンショックをパラレルに描写している点、またニクソンショックでグローバリズムに至ったっていう演説内容は誰がスクリプトしたにしてもDeepな考察に基づくんだろう。そう解されてるんだね。ニクソンショックで米ドルが正式に金本位性じゃなくなって、既にFiat化してた欧州通貨等の他国通貨に仲間入りし、その後はFiat通貨の歴史の必然とでもいうべき身の丈に合わない量の紙幣を刷り続け今日の米ドルに至るけど、それがグローバリズム導入の助けっていう因果関係部分が個人的にはピンと来なかったんでもう少し勉強します。国家間や市民と国家の間の信用や信頼が揺らぐ中、何の資産にもバックアップされないFiatは各国がLegal Tender(この紙切れを使って税金を納めることができる)って約束しているんでその価値が認められる。米ドル紙幣には一枚一枚丁寧に「This note is legal tender for all debts, public and private」って印字してあるよね。そこが人生ゲーム(古い?)の100,000ドル紙幣とは違うところ。昔、僕たちの世代の人生ゲームだと白い100,000ドル紙幣が溜まるとうれしかった。薄いピンク色(だっけ?もしかして薄い黄色?)の1,000ドルは結婚祝いとかの時は便利だったけどね。
こんなFiat通貨の米ドルを基軸にSWIFT、Euroclear、西の金融機関が支配する現状のMonetaryシステムはGeopoliticsや通商と密接な関係にあるんで切り離して考えることはできないけど、このシステムもここに来て変革間近なのかもね。米国的には独立250周年近辺に何か大きな発表や動きがあるのかな。それが金の再起用(とは言ってもPhysicalな金の量は足りないよね)なのかGENIUS Actに基づくStable Coinの活用なのか分かんないけど2026年のVolatilityは激しそう。NYCのJFK空港にあるCOMEXでは前代未聞のGoldの現物デリバリーがあるって専門の方が言ってた。誰がStand for delieveryかは分からないけど財務省のExchange Stabilization Fund (ESF) だとしてもおかしくないってことらしい。
Volatilityが高くなるとAlpha Returnを求める資産家やヘッジファンドの暗躍・活躍の時代がまたしても到来。そんな時代の財務長官が「あの」Scott Bessentっていうのも全てシナリオ通りなんでしょうか。イロンマスクがダボスで「(テクノロジー的に)人類は今までかつてない時代に生きてる」ってポジティブなトーンだったけど、あらゆる意味でかつてない時代に生きてるのかな。ローマ帝国の崩壊時の世界ってどんなだっただろうね。当時はグローバリズムとかもちろん存在しなかったから例えばヤマト政権はローマ帝国が崩壊しつつあること自体知らなかっただろうけど、今日の変動は瞬時にグローバル動向に影響を与えるんで世界的なインパクトはもちろん比較にならない。これってグローバリズムの弊害のひとつ?かもね。とは言っても鎖国にはもどれないよね。余談だけど、イロンマスクをダボスでホストしてたブラックロックのラリーフィンクが「テクノロジーで不老不死になれるか」って熱心に聞いてて「右腕と左腕が同じように老化する点に注目すれば人間のどこかに老化をトリガーする指令があるだろうからその辺を把握すれば可能性あり」(記憶に基づく相当な意訳です)ってマスクが言ってた。フィンクは「それはうれしい」って無邪気に喜んでて面白かった。フィンクや秦の始皇帝は同じように考えるんだね。いつの時代も変わんないね。マスクは「死にもメリットはある」とか返してた。そんなやり取りは、ふと宮崎監督のスタジオジブリ映画のセリフ数々の重みを再認識させてくれた。日本はDeepだ。
そして税法
税務以外の専門外の話しは前回で終わったんじゃないのって思った?反省してここで本当に終わりにします(次に何か起こるまでは)。凄い時代に生きてるってことなんでつい…。で、税法の世界も昨年後半触れた通りOB3関係やDe-Regulation・規制緩和系でトピックは多い。そんな中まずはDe-Regulation系から攻めることにして、前回、前々回で自社株買い1%懲罰課税のFunding規則撤廃とDC REITの定義緩和措置をカバーした。今日はInbound FとFIRPTAについて。
Notice 2025-45
チョッと前になるけど、財務省は2025年8月19日にNoticeで、米国外法人が米国法人に生まれ変わるDomestication・Redomicile取引をFIRPTA面から援護する規則を公表した。Redomicile実行ストラクチャリングはひとつじゃないけど、Noticeでは米国外の上場企業がF型インバウンド資産移管組織再編(Inbound F)を利用する際のFIRPTA適用緩和を規定している。今後、当Noticeの内容にて規則草案を公表するとのこと。具体的には一定要件を満たすInbound Fを「対象Inbound F」とし、Inbound Fのステップに内包されるUSRPI(米国法人株式を含む米国不動産持分)移管に対するFIRPTA課税適用を緩和している。当規則はNotice公表日の2025年8月19日以降の分配、資産移管、資産交換に適用可能。
分配や非課税取引とFIRPTA
FIRPTA課税のベーシックに関しては2023年の「FIRPTAアップデート」で結構詳しく触れてるんでそちらを見て欲しい。FIRPTA課税はいろんな取引に適用があり得るけど、今回のNoticeが触れているInbound Fに関係が深いのは外国法人による分配資産に米国法人株式等のUSRPIが含まれるケース、また組織再編を含む非課税資産移管に対するFIRPTA課税になる。この辺りの取り扱いは条文だけでなく、暫定規則(Temporary Regulations)や過去のNoticeに基づくんで元々かなり複雑。規則は暫定なんだ…って不思議に思うかもしれないけど、結構な数の財務省規則が暫定Statusのまま生き残っている。
暫定のまま規則が長期にわたり放置される傾向があったんで、1988年11月21日以降に公表された暫定規則は3年後に自動的に法的効果を持たなくなるっている所謂Sunset規定が条文化されてる。Sunset規定ができてから財務省・IRSは通常、暫定規則と同時に同じ内容の規則草案(NPRM)を公表する。暫定規則は存在している間、最終規則と同じ法的効果がある一方、規則草案には法的効果はない。ただ、暫定規則がSunsetしてしまっても一応、法的効果はないけど規則草案はそのまま生きてるんで、その後、草案を最終化することができる。FIRPTA課税の複数の規則(-5T、-6T、-7T、-9T)は長らく暫定のままだけど、強制Subsetで3年間制限が導入される前のものなんで今日でも暫定のまま法的効果を持っている。分配の規則は1988年5月4日に公表されているんで滑り込みセーフでSubset前だ。その後、一部修正やNoticeでのオーバーライドはあるけど、Subset目的ではあくまでオリジナル公表日をみるんで40年近くもSurviveしてる。
外国法人による分配とFIRPTA
清算分配、Redemption(この用語を聞くと嫌でも自社株買いExcise Taxを思いだすね!(苦笑))を含む外国法人による資産分配は含み益を持つ資産でも多くのケースで米国では非課税。含み益を持つ資産の分配は清算分配以外の局面ではみなし資産譲渡として課税が原則だけど、外国法人の話しなんでECIでない限り(ECIじゃないケースがほとんど)課税対象じゃないし、子会社清算だと潜在的にsection 332取引になってsection 337の適用もあり得る。これらの取り扱いはFIRPTA課税で原則オーバーライドされ、分配資産にUSRPIが含まれる場合、USRPIの含み益は米国で課税対象になる。
外国法人の分配に対するこのFIRPTA課税には例外がある。USRPI分配を受け取る者がその後のUSRPI譲渡に米国で課税される、そして分配で受け取るUSRPIに関して受け手が認識する簿価が分配する側の外国法人が認識していた簿価を上回らない場合には分配にはFIRPTA課税は不適用となる。通常分配資産に関して受け手が認識する資産簿価は時価だから、含み益を持つUSRPI分配に関して2つ目の要件は満たさず、通常分配にこの例外規定の適用は難しい。この例外は条文そのものに規定されてるんで「Statutory Exception」っていうけど、条文では財務省に更なる例外規則の策定権を認めていて、財務省は暫定規則で清算分配およびスピンオフに対して例外を規定してる。組織再編に関してはC、D、F型組織再編の一環で外国法人が別の法人に株式対価で資産移管し、受け取り対価の株式がUSRPIの場合、直後に譲渡法人が自分の株主に対価で受け取ったUSRPI(存続法人の株式)を精算分配する際には原則、含み益にFIRPTA課税があるとしている。ただしこの分配も上述のStatutory Exception条件を満たす場合には分配そのものに課税はない。この組織再編の(みなしを含む)清算分配で受け取る資産(適格組織再編の話しなんで多くのケースで存続法人の株式)の簿価は、原則、株主が消滅法人株式に対して認識していた簿価になるんでStatutory Exception適用のチャンスは上がる。組織再編時の分配に対するこのFIRPTA課税はチョッと直観的に分かり難いかもしれないんでベーシックな点を乱暴なほど簡素化して触れておくと、資産移管型の組織再編は資産を移管をする法人が、存続する移管先法人から移管対価として移管先法人株式(プラスあればBoot)を受け取り、直後に受け取った対価(およびあれば手元に残ってる資産)を自分の株主に清算分配(みなし清算分配含む)する。今はその清算分配にかかわる話しをしてる。
1989年に公表されたNotice 89-85では、組織再編の一環で行われる清算分配に対するStatutory Exceptionの代わりに別の例外を規定している。すなわち、清算分配をする外国法人の株主が1980年以降に当外国法人の持分を課税取引で譲渡し、仮にその時点で当外国法人が米国法人でその持分がUSRPIだったとしたらそれらの株主が支払ったであろう税額を外国法人が支払えば、分配そのものにはFIRPTA課税はないとしている。ただし、この例外の適用条件として組織再編で消滅法人の株主が実際に分配(株主の視点からは消滅法人株式と交換)で受け取る存続米国法人株式の将来譲渡時に米国で(FIRPTA課税を含む)課税の対象になること、また分配法人が分配の課税年度に申告・報告義務に準拠することって規定されている。ただしNotice 89-57っていう別のNoticeは申告・報告義務を一定条件下で緩和している。なぜ1980年以降かって言うとFIRPTA課税っていう法律ができたのが1980年だから。この規則に関してUnpackしないといけない検討は多い。
更にややこしいことに1989年のNoticeから20年弱経過したこともあり、2006年には別のNotice(2006-46)が公表され、89-85に規定される例外を修正している。修正では上述のNotice 89-85で加味しないといけない株主による外国法人株式譲渡を1980年以降ではなく組織再編前の10年間に限定している。ただし再編前に存続米国法人(または関連者)が外国法人を支配(価値または議決権50%以上ベース)している場合には支配開始日から遡ること10年から再編日までの期間となる。
非課税取引とFIRPTA
非課税取引(nonrecognition transaction)は主に組織再編または適格現物出資に基づく資産交換でFIRPTAがなければ非課税(簿価のステップアップがないから正確にはDeferralだけど用語として「Tax-Free」って言われます)になる取引のことだけど、USRPIの移管・交換に関して通常通り非課税と認められるのは交換対象となる資産もUSRPIの場合。交換する資産は当然USRPIの想定。でないとFIRPTA課税の対象じゃないから組織再編や適格現物出資を含む通常のルールで課税関係が決まる。
Inbound F
次はいよいよInbound Fだけど、ダボスで脱線してしまってチョッと長くなってきたんで今日はこの辺で。今日・明日は相当冷え込むんで(摂氏だとマイナス15度!)明日またCoffee片手に頑張ります。