Sunday, December 21, 2025

OB3と米国税法その後

とてつもなくお久しぶりです!公私ともにかなり忙しく、いつの間にかもう直ぐクリスマス。今日のNYCは朝から「12月の雨」。

なんでこんなに忙しいんだろう、ってチョッと立ち止まって振り返ってみると、まずUS Taxに関しては主にOB3可決後の詳細整理、現政権によるかなり徹底したDe-Regulation動向、そしてようやく活発になったM&A対応、とか満載でハイテンション。こんな風に過ぎ去っていく時間は二度と戻らないから一時も無駄にできない。このスピードって単に歳のせい?まあ毎日ハイテンションだったとしても、時はいつの日にも親切な友達だ。過ぎてゆく昨日を物語にかえてくれるからね!

OBBBA(OB3)

OB3関係ではSuper-chargeされたFDDEIの使い方、CFCの持分を期中に譲渡した際の買い手と売り手間Sub FやNCTI(旧GILT)のInclusion計算、CFCやUS Shareholder認定時のDownward Attribution禁止復活とその代わりに8年遅れで導入された新たなDe-Control対抗措置、各規定の導入タイミング、多くの規定の相互干渉にかかわるモデリング、とかいろいろと考えることが多い。

税法、特にクロスボーダー課税の基本構造を根本的に改革した2017年のTCJAとの比較で、OB3はTCJAのフレームワークはそのまま温存し、2025年末で改定がImbedされていたものの多くを恒久化してるんで目新しさに欠ける。だけど詳細を見ると結構Game Changerで、とにかく金額の規模的なインパクトは大きい。

また、TCJAの恒久化に加え、OB3には現政権およびMAGA政策の柱の一つ「America First」および「Parallel Prosperity」的な規則を重ね合わされている。Parallel ProsperityはScott Bessent財務長官が頻繁に口にする用語で、ニュアンス的にはGlobal経済で資本家クラスは潤った反面、取り残された観の強い一般Peopleにも再度、繁栄の機会を与えないといけないというもの。同時に国家安全保障の観点から最低限のものは自給可能にしないと…、という意図を反映している。グローバル経済のリセットは複雑で、また2年間の短期サイクルでManageされる米国ポリティクスの時間軸で達成するのは至難。意図はいいかもしれないけど実現可能性はどうでしょうか。経済学者や専門家による議論はいろいろあるけど、過去のコメントとその後実際に起こったことを比較してみるとまず当たらない。コロナ禍の頃、専門家が予想していたことを振り返ると笑ってしまう。結局AIで経済や雇用がどうなるか、等も含む先のことは誰にも分からないってことだね。

De-Regulations

De-Regulationは税法ばかりでなく、エネジー政策、独禁法、証券法、金融を含む広範な領域で実行されている。規則撤回や緩和のスピードは速く、徹底して実行されている。

税法面でも過剰な規則の撤回が徹底されている。バイデン政権末期に滑り込み的に最終化された財務省規則のうち、策定権限、条文との整合性、等に関して疑問が呈されていたものが次々撤廃された。これらの規則の考え方が政策として合理的かどうかって観点に加え、有権者に選ばれて法律を可決する唯一の府である議会の行政府側にそんなルールを策定する権利はないんじゃないかっていう点は以前のポスティングで複数の規則に関して触れたけど、それらが撤廃されたことになる。

例の自社株買いのFunding規定も撤廃。自社株買いに関してはM&Aに影響がある緩和も盛り込まれて「ええ、こんな取引も対象?」っていう驚きが少なくなった。他にも以前13回に亘る長編シリーズ「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案)」で触れた「DC REIT」判断時に米国C CorporationをLook-throughするっていう「え~C CorpをLook-throughしちゃうの??」っていう驚くべき規則もRollback。またDual Consolidated Loss(DCL)適用判断時にP2のQDMTTをForeign Use(特に15%以上の税率でQDMTTになってなくても)にするとか議会の立法趣旨とはかけ離れた規則、また新たにDCL規則に追加されていたDisregarded Payment Loss(DPL)ルールもDCL適用時の「本店とDRE間」の取引に対する考え方を逸脱してたんで「何コレ~?」って思われてたけど、DPLも廃案。パートナーシップ税制に基づいて強制的に簿価調整させられる取引に関する広範な報告義務や条文に規定されている簿価調整を政策的に認めないっていう規則も撤廃。他にもCAMTのパートナーシップのBottom-up法の撤廃とか、ここまでやってくれるとは…。

こちらはDe-Regulationsじゃないけど、SWFを含む外国政府の取り扱いで納税者にありがたい規則、特にControlled Entityとしてsection 892のForeign Governmentの恩典を受けている主権のExistential Issueとも言える世界中どこかで微塵のCommercial Activityがあってはいけないっていう厳しいルール適用時の規則、が最終化されている。また米国外上場企業がUS Parented Groupに転換されるDomestication取引(Inbound F再編)に適用されて実務的にDomestication実行の障害になり得るFIRPTA課税の緩和策が規則草案として公表される旨のNoticeが公表されている。US Parented GroupだとP2から免除されるSide-by-Sideを見て米国企業に転換したいっていう話しも聞くけど、それよりも資金調達アクセス面での動機が強いように感じる。取引所のルールは専門じゃないんでForeign Issuerのままだとどんな支障があるのか良く分かんないけど、投資銀行の人と話すと結構頻繁に出てくる理由が米国法人になることでIndexに入れてもらうことができるっていう理由。いろいろあるんだね。

M&A

マーケット動向としては、バイアウトファンドやVCのExitを含むM&Aが「ようやく」復活。Parallel Prosperityとは不整合かもしれないけどWall Streetはまたしても絶好調というか元気いっぱい。ここ何年も見なかった大型のHostile Takeoverも登場。Warnerのケースはチョッと経緯が特殊だけど、Hostile Bidって通常はDDできないし、ディフェンスとしてPoison Pillが採択されたり、Poison Pillがなくても結構な法人はClassified Boardって言って株主総会で改定できるBoardメンバーは一年当り3分の1が上限っていう定款になってる。Classified BoardだとBoardのMajorityを取るのに1年超掛かる。Hostile Bidする側でBidを1年もオープンにしてSurviveできるCEOはいない(?)だろうからClassified BoardはPoison Pillよりも有効なディフェンスとも言える。

話題のWarnerのケースだと、最新のProxyを見る限りClassified Boardは2025年に廃止されてる(つい最近)。またPoison Pillも正式に採択されてないみたい。ただPoison Pillって「Shelf化」って言ってHostile BidがRealになった場合には必要に応じて即採択できる準備をしている企業が多いからWarnerもそんな状態にあるのかもね。Hostile Bidって米国でもTOBって言って80年台は活発だったけど、Poison PillとかClassified Boardのせいかその後余り聞かなくなった。2008年のGFC以降、例外的に存在はしたけど実務的なチャレンジが多く、またHostileで始まっても結局Boardが折れて「Friendly」Dealにいやいや転換するケースが多い。

「Hostile Bid少ないって言うけど、Activist Hedge Fundは頻繁に上場企業の株式を買い占めてるじゃん」って思うかもしれないけど、Activist Hedge Fundが2~3%とか5%とかのポジションを取る際にWhole CompanyをTake-Overするっていうような意図を持っているケースはほぼないだろう。つい先日のLululemonのケースも、Starbucks、Texas Instrument、Southwest、これらは$1Bを超える巨額の投資ではあるけど、5%行かないケースも多い。ただ上場企業の持分を2~3%持てばBoardとの交渉には純分。ElliottとかStarboardとかがどれくらい自社の株式を持っているかっていうのはCEOとしては超気になるところだろう。Activist Hedge Fundの要求はCEOの首を挿げ替えるっていうのが多いからね。

M&Aじゃないけど、VCバックのスタートアップのExitとしては重要なIPOなんかも復活してきてる。一方でUnicornでもPublicにならない企業、または長期にPrivateのまま資金調達し続ける企業も多いよね。Open AIとかPublicになる日は来ないって言っているけどそうかもね。でもSpace Xが来年Publicになるかもって公表してビックリだった。スタートアップやUnicornのExitのタイミングに関しては、資金調達面ではVCや他の投資家がバックアップする限り支障はない。特に「AI」って付くといくらでもFundingが付く傾向があるように見える。何がAIかって言うのも特に決まりはないんでマーケティング戦略として何でもかんでもAIって付ける観はあるよね。10年前何でもかんでもCloudだったみたいに。

結構久しぶりだったんで現状の復習みたいなポスティングだったけど、次回からこれらの各点に関して具体的に触れていきたい。OB3からにしようか、ProvocativeなDe-Regulationsからにしようか…、甲乙つけがたいね。どうしようか~。今晩、ゆっくりElla and Bossa Beat聴きながら決めます。Ella and Bossa Beat、春に本拠地FloridaのBeachに見に行く予定にしていたけど、3月にNYCのLower Eastside、またチョッと北のTarrytownのイベントも追加されたんで近くだったらこっちの方がいいかな…。でもやっぱりFloridaのBeachが合うよね。