Thursday, September 4, 2008

久しぶりにSec. 367(a)(5)

前回のポスティングから随分と日数がたってしまった。この間、夏休みその他でバタバタしていたというのもあるが、実は個人的に面白い話しがありそちらに時間を取られ、ブログを書いている場合ではなかったことが大きい。この辺りの真相に関しては1~2週間以内に別途触れたいと思う。

サボっている間にタックスの世界でも相変わらずいろいろとあった。個人的に一番インパクトが強かったのはSec.367(a)(5)の財務省規則が遂に発表されたことであろう。この規則は今年こそ出ると予想されていたものではあったが実際に手にする感動は一入(ひとしお)だ。

*待望のSec.367(a)(5)財務省規則(暫定)

復活第一弾がいきなりSec.367(a)(5)というのも何となくオタク過ぎて気が引けるが、この条項の規則は長らく待たれていたものだ。規則そのものはかなり多岐に亘り、Sec.67(a)(5)ばかりでなく、Inboundを専門とする者にも「Must」なSec.367(b)、Sec.1248等にも影響がある規定が連発されている。

*Sec.367(a)

Sec.367(a)(5)の理解には当然Sec.367(a)一般の理解が必要だ。Sec.367(a)は、非課税再編(Sec.368のTax-Free Reorgばかりでなく、出資に係るSec.351、清算のSec.332を含む)に基づき米国人が米国外法人に含み益を持つ資産を移転する際には、非課税再編の恩典を与えずにゲインを認識させるという規定だ。

したがって、Sec.367を考えなければ「非課税再編」の条件を満たしてる場合にのみSec.367(a)は関連してくる。非課税再編の条件を満たさない取引はもともと課税取引となることから、Sec.367(a)の適用は意味がない。なお、非課税再編に基づく資産移転がSec.367に抵触する場合にはゲインは認識されるが、含み損を持つ資産を移転しても損失は認められない。

Sec.367(a)は「ゲインの課税関係を決める目的では、外国法人(Foreign Corporation)は法人(Corporation)とは取り扱わない」というロジックを用いて非課税措置を不適用とする。言うまでもないが、Sec.368、Sec.351、Sec.332のいずれの規定も再編対象となる事業主体が法人でないと適用がない。したがって、法人ではない事業主体に対する資産の移転は通常の課税取引となってしまう。

Sec.367はとても長い財務省規則がありかなり複雑だ。したがって、全貌をここに記すことは不可能だが、「International Tax」と「Subchapter C」の橋渡しとなる極めて重要な規定となる。

*Sec.367(a)の例外規定

上述の「ゲインを認識する必要がある」という一般規定には例外がある。まず「再編対象となる外国法人の株式または債券」が移転の対象となる場合には一定の手続きを経ることにより、Sec.367(a)下で課税されることはない。また、移転される資産が外国でアクティブな事業に供される場合もSec.367(a)下で課税されることはない。

*例外規定の例外規定

税法にありがちなことであるが、上の例外規定(すなわちSec.367(a)の適用がないケース)にはさらに例外規定がある。そのひとつが今回の財務省規則のメインテーマとなるSec. 367(a)(5)だ。Sec.367(a)(5)がSec.367(a)規定の「例外の例外」であるというのは重要なポイントだ。

ちなみに、この「例外の例外」を更に正確に記すと実はSec.367(a)(5)は資産の移転に対する通常の税法上の取り扱いに対する「例外の例外の例外の例外」ということになる。すなわち、本来は課税対象である資産移転に対して非課税取引を容認している非課税再編規定(例外#1=非課税)に対する例外であるSec.367(例外#2=課税)に例外を設けて(例外#3=非課税)いるが、更にその例外がSec.367(a)(5)(例外#4課税)となるからだ。

Sec.367(a)(5)に関しては次回以降に詳しく。