Thursday, September 28, 2023

FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (9))

最近朝6時半になっても薄暗いし、夕方も暗くなるの早くてめっきり秋っぽいな~って思ったらなんと今日は秋分の日。アメリカで言うところの「the First Day of Fall」だ。格好良く言うと「the Autumnal Equinox」なんだけど、Fitness Clubみたい。

で、夏休み終了直後のこの時期、毎年NYCではUnited Nationsの年次総会(正式な名前は違うかもしれないけど)がUN本部で開催されて、その期間はMidtown EastのTrafficが大混乱。世界中からたくさんの関係者が一堂に会して、世界に山積みの問題を解決に導くべく話し合うはずなんだろうだけ、チョッと無力な感じだよね。Security CouncilにピンクフロイドのRoger Watersがロシアのゲストとして登場して話したり(ピンクフロイドは昔から好きだけどね。The Dark Side of the Moonとか、後、曲としてはShine On You Crazy Diamondとか)、去年は北朝鮮が国連機関の軍縮会議の議長に就任したり、一般Peopleの感覚からすると何それ~、みたいなことが多い。何か解決できるのでしょうか。

多国主義は、各国が世界全体の善や正を追求する崇高な神々しい存在だったら機能するかもしれないけど、どれだけナイーブにそんなフリを信じようとしても実際にはそうじゃないもんね。「Historic」なピラー2のGlobal Minimum Tax見ても、世界の善をマスカレードしながら結局は大国のPowerプレー。タックス程度の話しだったらまだ「大人の世界ちゅうのは汚いの~」で済ませることができるかもしれないけど、一般Peopleの人権とか平和に関してはそうはいかないもんね。League of Nations(国際連盟で米国は不参加)、Kellogg-Briand、Bretton Woods、とかの歴史を見ると多国主義の限界が浮き彫り。ハーバード大学の経済学者でグローバライゼーションに造詣が深いDani Rodrikが「世界基準やグローバルベースの規則っていうのは機能しないばかりでなく非現実的で好ましくない」って書いてたのを思い出す。

その昔200年続いたPax Romana、第二次世界大戦後のPax Americanaとか見ると、軍事力やテクノロジーにバックアップされる強力なリーダー国が自己都合で力をもって平和やCommerceを維持しようとする時代の方が結局もめ事が少なくて結局平和な時代になるように見える。リーダー国は基本、自己の利にならないことはしないから、その間にも当然、各国の観点からは理不尽なことはあるんだけど、世界はユートピアにはなり得ないっていう現実・制約の中、バランスとして何がベターかを考えていかないとね。

UNや軍縮会議が機能してない、って言ってもUNが悪い訳じゃなくて、ストラクチャーとか世界の成り立ち的に如何ともし難いってことだろう。機能しないと言えばアメリカも他人事ではなく、ポリティシャンたちが議論してることは庶民の感覚からどんどんOut-of-touch化していくし、We the peopleのためのGovernmentっていう観点から見ると、建国時のPrincipleとは遠い状態。米国メディアの報道をそのまま伝える傾向にある日本のメインストリームメディア情報を基に、日本から今のアメリカがどう見えてるか分かんないけど、インフレやTribalismの蔓延はローマ帝国崩壊前と通じるものがあるし、言論の自由や三権分立も弱体化し文化大革命って言う人もいるくらい全体主義的な変なトレンド。立派な憲法があっても国としてのGovernanceが脆弱になってしまったらそれで終わり。諸行無常。

歴史を振り返って、ローマとか何で崩壊の過程でトレンドをReverseできなかったんだろう、って単純に不思議に思うよね。塩野七生大先生の大作で歴史を参考に人間のサガを紐解こうとしたり。けど、恐ろしいことに今のアメリカを見てると偉大な国がPrincipleを忘れて滅びるって「なるほど、こんな風だったのかもね~」なんて感じてしまうことがある。う~ん、でも問題はアメリカがFallしたら、他に行く場所がないであろう点。チョッと大げさ?だといいけどね。まあ、まだまだなんだかんだ言って相対的にはいい国なんで、行方を憂いながらよりいい方向に転換させていかないとね。

Pax AmericanaがPax Romanaよりも短期間で終焉してしまったら、次のリーダー国が誰で、その国が自分の利益をどんな風に世界平和にマスカレードさせるか、またはさせないか、でNext GenerationのPeopleの生活は大きな影響を受ける。そんなになったらチョッと怪しいんで、アメリカに頑張ってもらいたい。

外国政府とFIRPTA(Reprise)

って、国連総会の一週間は毎年、Midtown EastのTurtle Bayがまるで年一回のお祭りみたいに盛り上がって混み合うんで、ついついこんな余計なこを考え過ぎちゃうけど、まあ交通規制もこの週末を境に一段落するだろうから、そんな想いを巡らせるのはまた一年後、として目先のタックスの話しに戻る。

で、前回のポスティングでは外国政府に特別に認められているSection 892の恩典とCommercial Activity(CA)の関係に触れた。特にControlled Entityとして外国政府に適格となっている主体は世界のどこかにCAと取り扱われる活動があると、主体レベルでSection 892の恩典が全てなくなってしまうんでセンシティブ、っていう点は読者の皆さんにもお分かり頂けたと思う。そんな中、肝心のCAの定義がはっきりしないんで困ること、特にFIRPTAのUSRPIとのかかわりに関しては悩ましい、っていう話しで終わってた。

Section 892の既存の暫定規則(Temporary)によると、USRPHCはCAに従事していると取り扱うと規定される。USRPHCは50%以上の資産をUSRPIが占める法人で米国内外を問わない(詳しい定義は「FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (3))」のUSRPHC神話でで触れているので参照して欲しい)。ということは外国政府が50%以上所有する主体がUSRPHCだとこの主体はCCEになる。

FIRPTAって元々のルールが複雑だけど、多くの例外、例外の例外、みたいなのがあってよりややこしい。その一つがQualified Foreign Pension Funds(QFPF)のFIRPTA課税除外規定。もともと2015 年のPATH Actで導入された恩典で、僕たちも日本のペンションファンドに話しを持ってたりして思ったほどCatch-Onしなくてアレ~?って感じだったけど、現在の規定はその後2018年のTechnical Corrections Actで改正されたバージョンで、QFPF(QFPFの子会社含む)はFIRPTA規定目的(for purposes of section 897)では、外国法人にも米国非居住者個人(NRA)にも当たらない、というフレームワークで恩典が達成されるように設計されている。外国法人やNRAが認識するUSRPI譲渡損益は強制的にECIとみなす、っていうのがFIRPTAだから、外国法人でもNRAでもなければ当然FIRPTAの適用はない。

QFPFが政府職員のためのペンションファンドだったら、Section 892で外国政府になる。そんなペンションファンドがIntegral Partとしてか、またはControlled Entityとしてか、いずれの立場で外国政府と位置付けられるかっていうのはDeepな検討だけど、仮にControlled Entityだとして、投資内容の関係でUSRPHCになると、CCEになってしまう。CCEになるとペンションファンドが認識する所得には一切Section 892の恩典はなくなるんで、米国株式や債券投資からの投資所得が通常の外国法人同様に課税されることになる。ちなみにペンションだけど、米国のSocial Securityとか日本の公的年金のように国民一般が受益者となるペンションは外国政府には当たらない、っていう考え方があるけど、この辺はポリティカルな側面があるんで例えば日本の公的年金を運用している行政法人や他の同盟国の公的年金運用の信託や法人は米国政府が敢えて外国政府扱いを認めるって話しもある。なんで、ここでいう外国政府に当たるペンションファンドっていうのはあくまでも政府の職員を受益者とするペンションファンド、または他の理由で外国政府と取り扱われる主体ってことになる。

Controlled EntityがUSRPHCになってしまってCCEになるっていうのは、QFPFや外国政府による米国不動産投資を容易にするっていうポリシーと逆行するのでは、っていう意見が多かったけど、今回の規則案ではそれらの意見を取り入れる形で、外国政府のペンションファンドがControlled Entityで、これがたまたまUSRPHCになっても、QFPFとしてFIRPTAの対象にはならない、って規定している。また、規則案ではCAに関して、外国政府のControlled Entityが、USRPHCにポートフォリオ投資しているだけな場合、Controlled Entity自体がUSRPHCになっても、CCEとは取り扱わないって規定している。例えば、外国政府のControlled Entityが複数REITの少数持分を所有してる、っていう理由でUSRPHCになってもCCEではないことになる。これで安心してREITに投資できるね。ただ、注意点としては今回の規則案はUSRPHCになることで外国政府のControlled EntityがCCEになるかどうかにかかわる規則を緩和しているに過ぎず、REITを含む投資の収益の取り扱いは従来のまま。例えば、不動産そのものの譲渡益を認識したREITからの分配が課税になる点とかはそのまま。

規則案の修正で面白かったのは、元々Section 892の暫定規則でUSRPHCに言及している部分に「USRPHCまたは米国法人だったらUSRPHCだったであろう外国法人」っていう下りがあるんだけど、USRPHC神話を呼んでくれた読者だったら、そんな表現は不要だしおかしい、って気づいてくれたよね。だって、USRPIとなる株式の定義と異なり、もともとからUSRPHCは米国法人、外国法人を問わないんで、「米国法人だったらUSRPHCになった外国法人」っていう表現はIllogicalだからだ。で、今回の規則案ではこの部分を単にUSRPHCって修正してる。それだけ混乱し易いってことなんだろう。

QFPFはどこの人?

次に規則案が格闘してるのがQFPFの国籍。2018年のTechnical Corrections ActでQFPFはFIRPTA規定目的(for purposes of section 897)では、外国法人にも米国非居住者個人(NRA)にも当たらない、って条文で規定されている点は上述の通り。ってことはFIRPTA目的では米国法人または米国人扱いってことになるよね。だって外国人じゃなければ米国人だし、米国人だったら外国人じゃないし、どっちにもなるとか、宇宙人でもない限りどっちでもない、っていう人や法人は存在しない前提のはずだから。

ところが・・・。なんだよね規則案は。この点はDC REITの話しに直結するんで次回。国連総会で興奮しすぎてごめん。

Thursday, September 21, 2023

FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (8))

年初からCAMTのNoticeに始まり、クロスボーダー米国不動産投資周りの規則を語り続けてきたけど、って言うか断続的に語ってきたけど、早くも9月中旬。IRAでいきなり導入されて待ったなし本番のCAMTは、議会がほとんどの制度設計を行政府の財務省に丸投げしているんで、さすがの財務省も規則策定キャパを超えてる感が否めない。特にCAMTって、Tax Lawyerの世界では終わらなくてGAAPの理解が求められるんで、より負荷が高い。

同じくIRAで導入された再エネ系投資に対する実質政府助成金と言える多額のクレジットも、Section 38のGeneral Business Creditの一部を構成してる(自家用車部分の30DのClean Vehicleクレジットとかは除いて)っていう意味では税法だけど、技術的要件、賃金要件、懸念国特定、等、環境省、労働省、国家安全保障、にかかわる領域も多く、通常の税法、例えばSub CやSub Kとかクロスボーダー課税等の規則策定とは雰囲気が相当異なる。この点もCAMTのGAAP対応と並び、財務省の苦労が計り知れる。

そんな中、2022年暦年法人の法人税申告期限に当たる10月15日が目の前に迫り、待ったなしのR&D支出の資産計上・償却にかかわるNoticeが先週ようやく公開された。プラスAFSIやFTCにフォーカスしたCAMT第二弾Noticeも公表された。CAMTはそれでもまだまだ不明点多いけどね。再エネクレジットに関してもTransferとかElective Payその他、かなり頑張って2023年を通じて規則案が公開されている。

逆にそのせいで、2018年当時からみんなが待ってて、毎年「今年こそ出します!」って言われ続けて今に至るPTEP規則は2023年も公表に漕ぎつけないみたい。ここで言うPTEPは「Previously Taxed E&P」のことでピーテップっていう。僕たちの世代では長らくPTI(「Previously Taxed Income」)って言ってたものだ。こちらはアルファベット通りピーティーアイ。2017年の税制改正後にPTEPって呼ばれ始めて、最初はチョッと変な感じだったんだけど、いつも間にかPTEPになり、PTIっていうのは死語になってしまった。中身は同じ。シリコンバレーのVCやスタートアップ系にアドバイスしている方はテック不況で「Post Termination Exercise Period」絡みのPTEPアドバイスも増えてると思うけど、ここで触れてる規則はそのPTEPに関してじゃないからね。

で、PTEP規則は2部で構成される大作と言われてて、だったらまずは大概において整理がついてるLow Hangingで出せる部分だけでも第一弾公表して欲しいものだ。例えば、3月にIRS内部の法務メモで確認されたPTEPの期中分配とCFC株式簿価減額のタイミングとか、正式に規則案、できればReliance権付きで公表して欲しい。GAAP絡みのCAMT規則とか再エネクレジットの規則よりも、Tax Technical的にFascinatingな分野なんで、こっちを心待ちにしてるクロスボーダーやSub C系のPractitionerは多いと思うんだけどね。もちろん僕もその一人。さらに言えばSub KのPractitionerも、USパートナーシップ経由でCFC投資があって、USパートナーがInclusion株主になってSub FやGILTIを所得認識する場合、パートナーシップ持分に対する簿価は条文で増額するけど、パートナーシップが所有するCFC株式の簿価は上がるのかどうか、なんとなくはっきりしないけど、これどうすんの?、とか楽しみにしてると思うんだけどね~。こっちは第二弾かもね。第一弾が仮に2024年にずれ込むとすると、第二弾は一体いつになるんでしょうか。

他にもKiller B規則とか一旦適用延期になったとは言えその運命が気になる厳しいFTC新規則、二転三転して大混乱の歴史と言える304が302(d)で301になる際のフィクション351に対する367の取り扱い、また今日のテーマに直結してるFIRPTA系の規則案の最終化、とかTechnical面で興味津々だ。

FIRPTA系規則案

さて、もともとなんでECIやFIRPTA、果てはREITとかの話しに至ったか、っていうと全て2022年大晦日直前の12月29日に公表された財務省規則案のせいだ。Good day sunshineのフロリダ・ブルーでときめいてコットン気分の最中に他のNoticeと共に不意を付くタイミングで飛び込んできたんで、つい興奮して語り始めてしまった。コットン気分、って言えば杏里だけど、杏里ってギタリストのLee Ritenourと婚約発表したことがあって、あのキャプテン・フィンガーズと杏里とは意外な組み合わせだよね、ってビックリしたけど結局一緒にはならなかったんだね。Lee Ritenourってもともとカリフォルニアのジャズギタリストだけど、70年代後半~80年代前半のAOR、クロスボーダー、フュージョン、メロウみたいな音の代表的な存在。吉祥寺のカフェバー(笑)みたいなところでGeorge BensonとBack-to-Backでかかってたり、六本木ピットインで渡辺香津美見た後に先輩が運転する車で聴いて帰る、みたいなプレゼンス。懐かし過ぎ。

で、話しを戻してFIRPTA規則案(脱線が短くて安心した?それともガッカリ?そんな訳ないよね)。この規則案、FIRPTAなんで当然section 897をカバーしてるけど、プラスで外国政府に対する特別な恩典を規定しているsection 892も対象としている。

外国政府とFIRPTA

米国税務の世界では国家主権の一部を占める「Integral Part」と国家が支配する主体、「Controlled Entity」の2つが「外国政府」と認められる。どこまでがIntegral PartでどこからControlled Entityか、っていう区分は時として必ずしも明確じゃないことがあるけどね。外国政府と認められるControlled Entityは国家主権と同じ国に設立され国家に100%所有されている主体。

で、外国政府として取り扱われる代表的なプレゼンスがファンドに巨額の資金を投資するSWFだけど、外国政府になると通常の外国企業にはないプラスの恩典がある。通常の外国法人との比較において、この恩典って詰まるところ、配当に対する源泉税が条約とは関係なく0%になる、ってことと、50%未満の持分っていう前提でUSRPIに当たる米国法人株式の譲渡益がFIRPTA課税から免除される、っていう2点に集約される。Section 892にこの2点が明記されている訳じゃないけど、Section 892の恩典と通常のクロスボーダー課税を丁寧に比較するとそんな結論になるってこと。

で、外国政府が享受するこの手の恩典には制限がある。すなわち、「Commercial Activity(CA)」と呼ばれる活動から生じる所得、および「Controlled Commercial Entity(CCE)」が受け取る、またはCCEから受け取る所得、CCE持分の譲渡益、はSection 892の恩典の対象外となる。CAはUSTOBとなる事業活動より広範と言われていて、また活動が米国内外を問わない、という点以外に明確な定義はない。CCEっていうのは国家主権・外国政府に直接・間接に50%以上の持分を所有され、米国内外を問わずCAに従事している主体。主権国外で組成される主体はControlled Entityとして外国政府に区分されることはないけど、CAに従事していると世界のどこにあってもCCEになる。

ちなみに、このCA、たまに外国政府はCommercial Activity Incomeに課税される、っていう説明を聞くことがあるけどそれは間違い。Commercial Activity Income神話だ。そうではなくて、外国政府に特別に認められる恩典、主に株式・債券投資所得・譲渡益は非課税です、っていう恩典だけど、この恩典対象の所得がCAから生じてる、またはCCEが受け取ってたり、CCEのオーナーである外国政府がCCEから受け取っている、またはCCE持分そのものの譲渡益、に当たると恩典の対象にならない、ってこと。外国政府がCAから生じる所得に課税されるっていう規定ではない。じゃあ、CAやCCE絡みで外国政府に認められる恩典がなかったら、どうなっちゃうの?っていうと、別に世の中終わっちゃたり全世界課税になったりする訳ではなく、単に通常の外国法人のように課税されるってこと。つまり、外国政府だったらゼロだったであろう配当源泉税が息を吹き返したり、USRPI扱いされる米国法人株式譲渡益が持分50%未満の場合に非課税になっているのが普通にFIRPTA課税の対象になる、ってこと。Commercial Activity Incomeそのものに課税される規則ではなく、外国政府は少なくとも外国法人より不利になることはない。

CAが外国政府に与える影響は、外国政府がIntegral PartなのかControlled Entityなのかで大きく異なる。Integral Partの場合、配当その他の適格所得がCAから生じている場合、その所得に対してSection 892の恩典がなくなる。ただ、しつこいかもしれないけど、その所得に関して米国内法や租税条約で外国法人に対する課税に戻るだけの話し。一方、Controlled Entityには厳しくて、所得とは直接関係があってもなくてもCAがあると、Controlled Entityが受け取る全ての所得がTaintされて、主体レベルでSection 892の恩典は全てなくなってしまう。これは外国政府に適格なControlled EntityでもCAがあるとCCEになってしまい、結果、CCEが受け取る所得にはSection 892の恩典がないから、ということ。その場合は、普通の外国法人と同じ課税関係になる。

CAは米国内外を問わないから、例えば外国政府100%所有で同じ国に設立されているControlled Entityが米国の上場株式に投資している場合、たまたまこのControlled Entityが投資しているヨーロッパの主体にCAがあり、CAという活動がControlled EntityにAttributeされると(CAから所得があってもなくても)、ヨーロッパ投資とは何の関係もない米国上場株式投資収益にかかわるSection 892の恩典がなくなってしまう。って言っても外国人にとって上場(Regularly Tradedの前提で)株式は5%持分まで譲渡益非課税だし、配当も条約レートで10%にはなるはずなんで、世の中終わってしまう訳ではないから落ち着くように。Controlled Entityではなく国家主権のIntegral Partが同一の状況に置かれる場合、米国上場株式投資収益はヨーロッパのCAから生じている訳ではないので、引き続きSection 892の恩典が認められ、配当に対する源泉税がゼロになる。

また、ヨーロッパのCAに所得があったとしても、ECIでも米国源泉FDAPでもないだろうから、米国の課税はなく、Integral Partの視点からは米国投資でSection 892の恩典が受けられる所得がCAから生じてなければそれで十分。Controlled Entityの視点からは米国投資でSection 892の恩典が見込まれる所得がある場合、全世界でCAに関与してはいけない、っていう厳しいプレッシャーがある。SWFは大概においてControlled Entityとして外国政府適格になってるだろうから、SWFをLPに持つファンドのスポンサーはCAをAttributeさせるような大失態を演じることがないようMad-Sensitiveになる。でないと将来のFund Raiseに大きな問題となるし、SWFに怒られるのは怖いもんね。巨額のチェックを切ってくれるLPなんで、次号のファンドにも投資してもらわないといけないし、Add-Onとかする際にCo-Investmentにも短期Noticeで応じてくれたりするしね。SWFにCAなんかフローアップさせたら即Tax Lawyer辞めてSouth Dakotaで牧師さんになって余生を送るしかないかもね。実はそっちの方が充実したLifeかもしれないけど。

CAはその定義が明確でないんで気持ち悪い存在だけど、中でも不動産ファンド投資系の話しで株式がUSRPIだった際にCAをどう考えるのか、っているのがなんとなく分かっているようで確証レベルがWillとは言い難かった。そこで規則案。チョッとCA系のBuild-upが長かったんでここから次回。

Tuesday, September 5, 2023

FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (7))

前回は行政府によるRegulatoryが憲法に規定される三権分立の観点から越権行為かどうか、っていうディープな話に続きREITの100人株主要件とかに触れて、今日の予定はClosely Held禁止要件、分配要件をカバーして遂に待望のDC REITに至る、っていう例によってアグレッシブというか楽観的なもの。このアグレッシブな予定って、午後LGAからDallas Forth Worth空港(DFW)に飛んで、定時ベースでDFWでの乗り継ぎ時間が40分で最終目的地に向かう旅程、みたい。LGAから午後の出発便はキャンセルされなければラッキー的な低いExpectationでほぼ間違いなく(?)遅延するし、DFWの乗り継ぎが別のターミナルだったりすると相当厳しい。ってことは最初からダメもと?

で、行政府による過剰な規制が裁判所によりStrike Downされる流れに加え、税法じゃないけど最近の裁判所の判例で、議会が行政府にルール策定権を付与する際に、業界の民間団体が実質ルール策定権を握ってるような状況が違憲行為とされたものがある。それはそうだよね。法律はWe the peopleに選挙で選ばれた議員が議会で策定するもので、行政府どころかその先の民間団体に規則策定の権利が移譲されるのはおかしい。CAMTって、議会から財務省に広範な規則策定権は付与されているものの、課税所得(と言えるのかな?)に当たるAFSIのスターティングポイントはGAAP利益。GAAPって財務省やSECが規定しているのではなく、FASBが策定。FASBは民間団体。って考えると課税所得の定義を民間団体に決めさせてる、っていう見方もあり得て、これは違憲行為では、って疑問を呈する有識者もいる。FASBだったら民間団体とは言えまだ米国の団体だけど、ピラー2みたいにOECDって米国の団体ですらない、もちろんWe the peopleが選挙を通じて選んだ訳でもない団体が実質ルール策定しそこから逸脱するとUTPRで懲罰、みたいなストラクチャーはCAMTにも増して同様の憲法的な問題があり得る、かもね。どんなShow Downとなるんでしょうか。CAMTに関する違憲論はAt the best学術的な議論な気はするけど、AFSIの基となるGAAPの利益っていう金額が、税法上のTaxable Incomeの定義と比較するとソフトというか、会計原則の解釈次第のような部分が多分にあって、GAAP自体の数字の作り方が一定じゃないとと当然AFSIに同様のインパクトがある。

とか、いろいろ考えてる間に7月どころか、8月も終わりLabor Day。Miami Beachは相変わらず夏だけど、今年のNYCはまるでSan Diegoみたいな気候・気温がズ~っと続いてて快適。一週間ほど暑い週があった以外は冷夏だ。それでも7月とかは日も長いしついつい屋外テラスがあるPizzeriaとかで至福の時を過ごしたくなったりしてたけど、8月後半から目に見えて日も短くなり既に秋の気配。またあの寒~い冬が到来か、と考えると自然とMiami Beachで過ごす日々が増えそう。でも数か月も先のことは考えててもしょうがなんで、今はカフェの歩道にせり出したテラスで街行く人々を見ながらDay DreamingでもしてOutdoorを満喫。BlondieじゃないけどDreamingはFree。タックスもかかんないし(笑)。もちろん若い女性じゃないんでdebutanteにはなり得ないし、ステータス的にも歳的にもdebutantにもなんないんで、Blondieの言う通りCup of Teaの代わりにCoffeeでDreaming。そんなDreamにも米国税務やREITが登場する(なにそれ?)っていう展開になる。

同族持分(Closely Held)禁止要件

前回のポスティングでREITには100人の株主が必要、っていう要件に触れた。ファンドがLower TierのREITを100%所有していると信じてた投資家の読者はビックリしたかもしれないけど、そのカラクリは分かってもらえたと思う。

で、100人株主要件にチョッと通じるものがある別の組織的な要件にClosely Held禁止っていうのがある。つまり「REITはClosely Heldではいけない」ってことなんで、何をもってClosely Heldってレッテル貼られるか、の検討が重要。この判断は、米国税法の別の規定となる「Personal Holding Company」の定義を参照して行う、とされる。すなわち、REIT課税年度の下半期に、一度でもREIT株式価値の50%超を直接、間接、みなしで5人以下の個人が所有しているとClosely Heldになる。俗にいう5/50テストだ。株式のみなし所有っていうと米国税務の関与している人だったら、すぐにsection 318を連想すると思うけど、section 318のみなし持分規定は「Sub C、すなわちsection 301から385、の条文」のうち、318の適用があるって明記してある条文目的のみに関係するのが原則。REITはsection 856から859、Sub Cからチョッと遠いSub MのPart IIで規定されているんで、section 318の影響は及ばない。代わりにSub GのPersonal Holding Company判断時に適用されるみなし持分規定を適用する。

で、100人株主の判断時に適用される40年投資法と異なり、Personal Holding Company規則のClosely Held判断時にはパートナーシップとかをLook-throughする。Look-throughする、しない、は常に悩ましいところだけど、Closely Held規定の適用時にLook-throughするっていうのは実はGood News。Look-throughすればより多くの個人の少数持分をカウントすることになるんで、特定の個人5人が株式50%超を所有してる、っていう結論に至り難いことになる。実務的に5/50テストを検証する方法は、みなし持分規定やLook-throughを加味した後、上からトップ5人の個人株主を特定し、持分合計が50%超になるかどうかを見る、っていうもの。トップ5人の持分合計が50%以下だったら5/50テストOKっていうのが一番容易な検証法だ。実際には株主にTrustが居たりすることも珍しくないんで誰を株主として取り扱うべきか、っていう検討だけでも結構な作業になることが多い。

また、株主による株式譲渡等でREITが期せずしてClosely Heldにならないように、多くのREITで「Excess Share」っていう譲渡制限があり、株式譲渡により特定%を超える株式が取得されると、超過部分は自動的にCharityを受益者とするTrustに所有されると取り扱われたり、または単純に超過部分の株式は無効、っていうような制限が定款に規定される。

Closely Heldはかなり面倒な規定だけど、雰囲気程度は分かってもらえたんではないでしょうか。

分配要件

ここまでREITになるための要件のうち、Corporate、100人株主、Closely Held禁止、そしてAssetテストとIncomeテストに触れた。他にも細かい要件がいろいろあるけど、ここでは最後にRICやREITを語る際に避けては通れない分配要件に触れておきたい。

REITはCorporationなんで当然だけどパートナーシップ税制の適用対象ではない。パススルーじゃないんで主体レベルの損失が投資家にAllocationされたりすることはない。その代わりにっていうか、REITにはDividends-Paid Deduction(DPD)、日本で言うところの「ペイスル―」が適用されて、支払配当をREIT側で損金算入することが認められる。結果として、税引後の所得から配当を支払う通常のCorporateと異なり、投資家が受取配当に課税されても二重課税にならない。

DPDで配当すると損金算入できます、って言うと任意に配当できるみたいに聞こえるかもしれないけど、そうではない。REIT適格となるためには毎期、DPD前のTaxable Income(DPD適格の金額)の90%を分配しないといけない。これが分配要件だ。分配要件を満たさないとそもそもREITにならないけど、DPDはREITの優位点なのでこの要件はREIT形態のメリットとなる。90%分配要件の計算の拠り所になるTaxable IncomeからネットCapital Gainは除外される。ということは、REITの分配要件のことだけを考えれば通常所得の10%やNet Capital Gainを留保すること自体に問題はない。だけど、分配しないとペイスルーにならないんでその分だけREITレベルで法人税対象になる。

じゃあ、毎期、Taxable Income全額分配したらいいじゃん、って思うかもしれないけど、事は必ずしも単純ではない。例えば、分配要件はTaxable Incomeベースだけど、多くのケースでその年のNet Cash Flowとは一致しない、っていうか絶対ピッタリは合わないし、乖離が大きいケースも珍しくない。ボーナス償却とかあればCash Flowの方が大きくなるから分配の原資には困らない。そんなケースではTaxable Incomeの90%どころか、Net Capital Gainの分配や、さらにそれらを超えてCurrentやAccumulated E&Pを超える「Return of capital」分配を行うこともできる。Return of capitalは通常のCorporate Taxの301(c)(2)の取り扱いと同じで、株主側の株式簿価を減額させる。キャッシュフローが潤沢な年にどれだけ分配するかは、税務っていうよりCommercial Decision。

逆に借り入れの返済が大きかったり、投資資金が必要な年はキャッシュフローがTaxable Incomeに及ばない。「Excess noncash income」例外規定っていうのがあるけど、結構セコくて余り役に立たないことが多い。仮にExcess noncash income例外で辛うじて90%要件を満たすことができたとしても、REITが留保するTaxable IncomeはDPDを取れないんで、REITレベルで法人税の対象になる。

国内株主側の取り扱いに関しては、Net Capital Gainを分配せずにREITが法人税を支払い、だけど、みなし分配と取り扱い、法人税を株主側でクレジットしたりする手法があったり、10月~12月の第4四半期に分配を宣言して、実際には翌期1月末までに支払って宣言課税年度の分配と取り扱ったりとか、細かいテクニックが数多く存在する。

外国人投資家

日本企業のファンド経由REIT投資みたいに、外国人投資家が受け取る分配の課税関係はこれはこれで複雑。詳細は投資毎にアドバイザーに聞いて欲しいけど、いくつかある重要ポイントのまず第一はUSRPIの譲渡に帰する分配の取り扱い。REIT株式そのものがUSRPIかどうかとは別の次元の話しとして(多くのケースでREIT株式はUSRPIだけど、必ずしもそうじゃない点は以前触れた。よね?)、REITがUSRPIを譲渡した課税年度の分配は、USRPI譲渡益に帰する範囲で、外国人投資家自らがUSRPIを譲渡したかのようにFIRPTA課税の対象になる。ここで要注意なのは、ここでいうUSRPI譲渡に帰する分配は、Net Capital Gain分配とは限らない、っていう点。「REIT Net Capital Gain分配神話」だ。この神話、外国人投資家側の取り扱いだけでも取り扱いは難関極まりないけど、これらの分配に対する源泉徴収時には必ずしもUSRPIではなく通常のNet長期キャピタルゲインを見て判断するんで、両者は金額、タイミング共にマッチングしないケースが多く、何らかのConventionやTie-Breaker的な規則が出て欲しいところ。この部分は深堀りするとかなり面白くて5つくらいのポスティングになるんでそのうちね~(いつになることやら)。

REITの分配要件で触れた通り、REITがNet Capital Gainを分配しないといけないという要件はない。仮にUSRPI譲渡からNet Capital Gainが生じて、Net Capital Gain以外のTaxable Incomeを分配し、REIT自身が分配をNet Capital Gain分配と指定しないとする。それでもUSRPI譲渡がある限り、通常の分配のうちUSRPI譲渡益に帰する金額はFIRPTA課税対象となる。さらに、Short-Term Capital Gainは通常所得なので通常分配に混ざってる可能性があるけど、FIRPTA課税にはUSRPI譲渡がShort-Termだったら免除という規定はないんで、こちらもNet Capital Gain分配に含まれないけどFIRPTA課税対象となる。一方でNet Capital GainにはUSRPI譲渡でない取引も含まれている可能性もある。代表的な例はモーゲージ債権の譲渡、米国外の不動産譲渡など。その場合にはREITからNet Capital Gain分配があってもFIRPTA課税の対象となる分配はない。

USRPI譲渡益に帰さない分配はE&Pの範囲で通常の配当として30%源泉税対象。LOBを満たす条約適格の外国株主は条約低減レートの適用可能性はあるけど、REITの配当は、通常法人の配当と比較して、条約低減レートの恩典は少ない。日米租税条約で言うと、6か月所有期間・50%以上の議決権所有の法人株主に通常認められる0%源泉、また10%以上の議決権を持つ法人株主に認められる5%源泉、の適用はない。そんな中30%からの低減が認められる例外は次の3通り。株主が年金基金のケースを除き全て源泉税は10%に低減。年金基金だけは0%。まず個人および年金基金のREIT持分が10%以下のケース。次に上場REITで株式が「Traded」(単に上場されているだけじゃダメ。例えば償還型はPublic OfferされてSECに登録されててもTradeされていることにはならない)されてて持分が5%以下のケース。最後は、持分10%以下の分散型REITから受け取る配当。

REIT持分譲渡

ここまでどんな法人がREIT適格で、REITがDPDの恩典を受ける分配が外国株主側でどんな風に課税されるか、って話しだったけど、じゃあREIT適格の法人株式の譲渡に対する課税関係は、っていうのが次の話。REIT株式がUSRPIのケースでは、他のUSRPI譲渡と同様、譲渡益はFIRPTA課税でみなしECIとして申告課税になる。ただREIT株式譲渡にはいくつか例外がある。以前触れたDC REIT、QFPF、外国政府、とかだ。う~ん、ようやくメインテーマの挑戦的な財務省規則案の内容に辿り着いた。って言っても規則草案の内容そのものは次回だね。

Sunday, June 4, 2023

FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (6))

前回は期せずして抜き打ちで公表されたFIRPTA関係のIRSのLegal Memoに結構な紙面を割いた。上場株式に適用される5%(REITは10%)持分のFIRPTA課税例外規定の適用時に、マスターファンド等のパートナーシップが上場株式を所有する際、どのレベルで5%を判断するのか、っていう不確実性をクラリして欲しい、って言う希望は長年に亘りヘッジファンドとかがIRSに要請してた。念願叶って(?)Legal Memoっていう法源としては微妙な位置づけのクラリらしきものが公表されたことになるけど、もちろんヘッジファンドスポンサーにしてみたら単にクラリして欲しかったんじゃなくて、Look-throughしてブロッカーのケイマンフィーダーとかパートナーレベルの判断していいですよ、っていう点をクラリして欲しかった、ってことなんで同じクラリでもチョッと英語で言うところのMixed Feelingかもね。

FIRPTA自由化急ブレーキ

モビリティの高い世界のお金を米国不動産に投資してもらうため、ここ何年も自由化のトレンドが続いてたFIRPTAだけど、ここに来て急に締め付け方向に振れてる感はあるよね。後述する本題のDC REITの件にも関係する興味深いトレンド。不動産業界的にはFIRPTA自由化ではなくFIRPTA全面廃案が長年の悲願。REITに複数の特別な恩典が付与されている点からも計り知れる通り、不動産業界は議会には結構な影響力を持ってるんでPATH Actとかで立法的には連勝だったけど、行政府によるRegulatory対応でTKO、とまではいかないまでも軽いジャブを打たれてる感じ。

行政府のRegulatory規定の合法性

Regulatoryでどこまで法律を補完、場合によっては一部実質Overrideできるか、っていう争点は税法に限らず、全ての法律に関して常に存在する。民主党政権になると党是的に当然DCの省庁による規制強化台頭が激しい。バイデン政権も例外ではなく、というかおそらく史上最もアクティブにSEC、FTC、EPAその他、時には法の限界を試すような規制強化策を乱発している。結果として当然、訴訟が増えるし、最近は最高裁判所がRegulatory規制の違憲・違法行為としてStrike Downするケースが増えてる。

そんな判決を読む際の最重要ポイントは、最高裁判所は決して行政府のRegulatory行為の内容がポリシーとして好ましいかどうか、という判断している訳ではないという点。その手のポリシーマターはPeopleに選挙で選ばれた立法府、議会の責任。じゃあ、最高裁判所は何してんの?、って言うと憲法に規定される三権分立、議会が可決した行政府への権限付与、等に照らし合わせて行政府によるRegulatory規制が越権行為かどうか、っていう点の「Check of Balance」を司る役割。

最高裁判所の判決が出るたびに、多くのメディアが判決の対象となるポリシーに対して最高裁判所が賛成・反対を表明したと位置付けて大騒ぎになったり、最高裁判所の役割を無視したほぼ中傷に近い報道を繰り返すんで、判決の意味や意図が歪曲される傾向にあるんで注意。もちろん自分が好むポリシーを推し進めてるRegulatory規制が違憲、となったら嬉しくはないだろうけど、米国が法的支配の国、民主主義の国であり続けるには、三権分立は言論の自由と並んで守らないといけない最重要な憲法の規定だ。Regulatory規制に関してChevron原則っていう行政府に多くの裁量を認めている1984年の最高裁判所判例があるけど、時に行き過ぎるRegulatory規制に反応する形でChevron原則はここ数年徐々に浸食されてきてる感がある。近々に全面Overturnされる可能性もあるという噂だし。三権分立の今後の動向からは目を離せない状況だ。

IRSのLegal Memoやこの手の三権分立の話しはLed Zeppelinの話しじゃないんで個人的には本題からの脱線じゃないよね、って納得してるんだけど、とは言えそろそろDC REITに漕ぎつけたいのは事実。何と言ってももうMemorial Day Weekendも終わってしまったし。NYCはMemorial Dayの前から異例に過ごしやすい日々が続いてて、そのままMemorial Day前後のBreakもNYCでも良かったんだけど、またしてもマイアミビーチにGetawayする予定を入れてたんで、後ろ髪を引かれる感じ(?)でLGAから繰り出した。着いたら当然もっと熱くてよかったけどね。Vibrantなマイアミでキューバサンドイッチやキューバコーヒーを片手にタックスの勉強も捗ったし。Memorial DayってことでSouth BeachでAir Showやってて、その昔福生の米軍基地がカーニバルという基地をオープンするイベントに行ったりした頃を思い出したりしてたけど、マイアミのAir ShowはFighter JetsだけでなくStealthとかも飛んでて迫力満点だった。ただ、最初の一時間くらいは良かったんだけど、その後はBeachでリラックスするにはジェットの凄い音が鳴り響き過ぎだった感じ。まあしょうがないね。

REITはブロッカー

で、REITの話しに戻るけど、REITは米国税務上Corporation扱いされる主体じゃないといけない、っていう条件だけに触れてたと思う。この点は当たり前なんだけど重要。以前にも触れた通りCorporationなんで、それ自体がブロッカーになり得る。ただ、REIT自体が米国不動産持分を譲渡する場合、その年度のREIT分配は譲渡益に帰する部分がFIRPTA課税の対象になる。じゃあ、申告しないといけないから本当のブロッカーじゃないじゃん、って思うかもしれないけど、SWFとか大手のLPだったらExitは「REITによる米国不動産持分の譲渡じゃなくて、REITの持分譲渡で実行するように」ってSide LetterとかでREITやファンドに確約させたりすることは珍しくない。でもREIT持分の譲渡自体、FIRPTA課税の対象じゃん、って直ぐに反応できた方には座布団5枚。そんな弊害をオーバーカムできるのがDC REITの存在で、今回の特集と深い関係がある。DC REITは後述するから待っててね。でもそんな交渉レバレッジがない場合は確かにREITに直刀、またはよくあるストラクチャーだけどREITを所有するファンドにに直刀すると課税年度によっては申告義務が生じるんで、Upper Tierに自分のブロッカーを組成するか、またはファンドが用意してくれるフィーダーとかAIVがあれば、そこ経由での投資になる。とにかくLP側で申告義務が生じないようにストラクチャーするのがベター。

で、REITの他の要件は複雑で、各々の要件にDeepな検討がつきまとうんで他の要件は代表的なものを限定的にザックリ触れておく。REIT適格かどうかは組成時に必ずLegal Opinionを取るようにね。REIT持分を後年譲渡したり、M&Aに関与する場合、買い手から必ずREITのStatusにかかわるLegal LetterやRepの提出が求められるんで、その時点で「あれ、あの要件ミスしてるじゃん」とかならないように。

IncomeテストとAssetテスト

REITは不動産関係の投資Vehicleなんで、その活動は言うまでもなく不動産関連でないといけない。これを検証するのがIncomeテストとAssetテスト。Incomeテストは大別して2つあって、まず賃貸等の不動産所得に加えて配当や金利等のPassiveな所得がGross Income全体の95%を占めないといけない、っていう95%テスト。2つ目は不動産関係の所得、これにはモーゲージ債権からの利子所得も含まれるけど、がGross Incomeの75%を占めてること、っていう75%テストだ。

でAssetサイドに関しては、毎四半期末で全資産時価に占める不動産、現預金、国債が75%以上っていうテスト。この75%テストには、TRS(REITが直接従事できない取引を行う課税主体、例えばREITに所有されるアパートの管理サービス業務)の持分が時価ベースで20%超を占めてはいけないとか複数の追加要件がある。その中に一人のIssuerが交付するSecuritiesが全体の5%を超えてはいけない、っていう5%テストがある。ここでいうSecuritiesの定義はTitle 26の税法ではなくTitle 15の「Investment Company Act of 1940」 を参照するように規定されている。40年投資法だ。40年投資法に関しては泣く子も黙る(?)複雑な検討を強いられることが多い。UP-Cのパススルー主体Opcoの経営権をPubcoに与え、PubcoがHigh Vote株式で旧Opcoのオーナーに実質間接的に経営権を与えたりする複雑なストラクチャーも証券法専門の友人の話しだと40年投資法と関係があるらしい。AssetテストのSubsetの5%テストの対象となる40年投資法のSecuritiesの定義は極めて広範。

ザックリとか言ってて、なんで複数の追加要件のうちこの5%テストだけやたら深堀りしてんの?って釈然としない読者もいると思うけど、最近の金利急上昇でこのテストに抵触リスクが増えてるからだ。金利と5%テストとどう関係あんの?って、まるで風が吹いて桶屋が儲かるみたいな話しに聞こえるかもしれないけど、そこには深い訳がある。不動産投資に当然レバレッジはつきもの。で借り入れコストのリスク管理としてデリバティブとかでヘッジするのは以前から当然なんだけど、金利急上昇でヘッジサイドの価値が急上昇しているケースが多い。借り入れサイドと相殺が認められれば結局全体としては得したことにはならないんだけど、AssetテストはあくまでもAssetサイドだけで行う。そうするとDerivativeに結構な価値が出てしまい、しかもCounter-Partyが一社だったりするケースも多い。これってSecurities?って投資法専門家に照会すると「Securitiesです」っていう見解が返ってくる。え~、ヘッジ目的のDerivativeの価値が高くなって5%テストにFailしてAssetテストに抵触?っていう状況が散見される。ヘッジに関してはIncomeテストにも潜在的に同じような問題があり得るけど、こちらは一定要件下でヘッジされる取引との相殺が認められる条文が足されているんでOK。Assetテストに関してはなぜか同様の規定がないんだよね。思い当たる方は必ずアドバイザーと相談するようにね。きっとクリエーティブに解決を図ってくれるだろう。

株主100人要件

前回触れた通り、REITはリスク分散・プロのマネージメントに基づく不動産投資を広く一般にオファーしよう、っていうのが趣旨。SWFとかHNW個人のファミリーオフィスとかだったら独自でできるからね。だけどREITの優位性、特にブロッカーだけど分配控除で二重課税にならない、っていう特殊なフィーチャー、しかもRIC(BDC含む)みたいに40年投資法(また出たね)登録主体じゃないといけないっていう要件もないんで所謂Private REITもOK、とか弾力的なんで、不動産ファンド投資時のストラクチャリングに組み入れられるようになって久しい。

とは言え元々のREIT制度の導入背景から、REITには最低100人の株主が居ること、っていう要件がある。え~、米国のファンド経由でREIT投資してて、てっきりファンドがREITを100%所有してると思ってたけどファンドの他に99人も株主がいたの~、ってことはREITから受け取る分配はまさか1/100~???、ってビックリする読者もいるかもしれない。そうなんだよね。ビックリだよね。

だけど実はこの100人株主要件はチョッと骨抜きで、各株主の持分大小にかかわる制限もなければ、Common StockでなくPreferred Stockだけ所有してても株主としてカウントされる。ただ、当然だけど株主は株式の「Beneficial Owner」じゃなくてはいけない。Beneficial Ownerっていう概念は条約適用時にも頻繁に出てくるけど、Beneficial Ownerが誰かっていう判断は米国税務の原則に基づいて行われる。ハイブリッド主体にかかわる条約の恩典有無、特に源泉税低減条項の適用時には米国税務原則のBeneficial Ownerがオーバーライドされることがあるけど、これは超例外。この部分は決め事で、Beneficial Ownerのオーバーライドって考えるか、条約の文言の誰が所得を「Derive」してるか、っていう部分を条約居住者側の法令で判断する、って考えるか、言い回し的っていうか、学術的には双方の見方があり得る。REIT株主100人規定は条約とか関係ないんで、誰がBeneficial Ownerは米国税務の原則で判断され、結果としてNominee、Custodian、Conduit、等の名義人は無視される。パートナーシップとかはパススルーだけど名義人じゃなくて立派なBeneficial Ownerだからね。

で、面白いのは株主をどこで判断するか、っていう点。REIT税法の構成的にREITを定義しているSection 856で定義されていない用語は40年投資法(また登場)で判断するように、って規定されてて株主の定義もSection 856にはないんで40年投資法に基づくことになる。40年投資法や33年や34年の証券法ってザックリと大枠は理解しているものの、もちろん僕たちが専門に取り扱う法律じゃないんで、腰が引けるんだけど40年投資法の株主の単位となる「者」は単純に個人と団体と定義されてて、団体にはCorporationばかりでなく、パートナーシップ、信託、ファンドその他が広範に含まれるとされる。実際、40年投資法のこの定義に基づきIRSも100人株主の判断時には信託は一人と数えて受益者の数でカウントしないというルーリングをその昔出したりしてる。え~、じゃあファンド(=デラウェア州LPS)に100人LPが居ても株主は一人なの~?ってことになる。Look-throughしないということ。前回のIRSのLegal Memo、Portfolio Exemption、これから話すDC REIT、いろんな局面でいつパススルー主体をLook-throughして、いつしないのか、っていう点は複雑。パートナーシップ税制下、パートナーシップをいつAggregateと取り扱い、いつEntityとみるか、っていう概念的な基本構造に見られるテンションの一環だ。

で、ファンドが投資したり組成するPrivate REITは、実はファンドがCommon Stockの100%を持つことが多い。え~、じゃ100人どころか1人だからREITじゃないじゃん、って思うかもしれないけど、そこは心配無用。金額の大小は問われないし優先株でもいいんで、少額の優先株式を99人に交付して、Common Stock株主のファンドと足して100人になる。優先株式の金額がいくらならいいか、っていう点は法律に安全ガイドラインとかないんで、さすがに1ドルとか憚れて、マーケット標準は$1,000じゃないかな。しかもスポンサーが個別に99人探してくる、っていうよりも「REIT preferred investor service provider」っていう業者が居て、そこが99人ピッタリでは心もとないんで、大概125人とかの適格株主を提供してくれる。優先株だから固定配当で、マーケット標準は12%のリターン。何事も分業が確立されてて効率よくできてるよね。

同族持分(Closely Held)禁止要件

100人株主要件とチョッと似てるけど、別の要件にClosely Heldを禁止する要件もある。チョッと長くなってきたんで、ここからは次回。

Wednesday, May 24, 2023

FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (5))

今回もREITの話しを続けて最終的にはDC REITにかかわる規則案にたどり着きたいんだけど、その前に一点FIRPTA課税目的の米国不動産持分の定義に関してInterstate 29ドライブ中に思い出したことがあるんでチョッとだけ再度FIRPTAの米国不動産持分にフラッシュバック。広大な自然、またはOmahaで賢人の知恵に触れたせいか、FIRPTAの想いが果てしなく広がる(なにそれ?)

日米租税条約とFIRPTA

今の日米租税条約は2003年バージョンだけど、日本居住者(LOB満たす者)が米国不動産譲渡益を認識する際に米国に課税権を認めている13条(もちろん条約なんで逆方向のケースにも同様に適用があるけど、FIRPTAの話しなんで米国不動産にかかわる方向にフォーカス)のもともとの文言は、米国法人の株式譲渡にかかわる米国課税権を「資産価値の50%以上が米国不動産により直接・間接に構成される法人に限る」という趣旨のものだった。え~、何コレって当時はビックリ。この定義はFIRPTA課税の適用を受ける米国法人の株式と微妙に異なるからだ。

すなわち前回のポスティングで延々と話したように、米国不動産持分の定義に見られる過去5年間のLook-Backがないし、また条約の50%以上計算時に分母として使う資産、英語では「Its assets」だけど、に特に事業資産に限定するっていう文言はない。つまり2003年の条約は米国法人株式の譲渡に対するFIRPTA課税を、米国不動産持分ではなく神話のひとつだった米国不動産所有法人に似てるけどそれとも違う第三の変な定義に基づいて適用してた。なんで、前日まで法人資産の50%以上を米国不動産持分が占めてても、翌日目が覚めて49%になってたら、そんな米国法人の株式譲渡益は条約ポジションでFIRPTA課税免除になってた。しかも、これは決してCarelessなドラフティング結果じゃなくて、当時の条約批准時の上院ヒアリングで問題が指摘されたりした上で特別に認められている。米国の多くの条約でも日米租税条約以外にはほぼなくて、他には言葉は変だけどマイナーな条約に1~2あるだけだったと記憶している。

っていう訳で余り注目されてなかったものの、かなりの特典だった。でもこの定義は2013年の議定書で改定され、今では米国内法の米国不動産持分の定義を参照する形にアップデートされてしまった。2013年の議定書っていうとあたかも2013年から発効しているような錯覚を覚えるかもしれないけど、米国側の批准に長年かかって2019年8月末からようやく発効した。つまりそれまでは日本居住者に対するFIRPTA課税はかなり緩かったってことになるね。タイムマシーンで戻りたい?

衝撃のIRS内部Legal Memo

で、Interstate 29でふと思い出した2019年までの日米租税条約の特典に触れることもできたんで、いよいよ満を持してREIT続行って思った矢先に、絶妙のタイミングでIRS内法務部に当たるChief Counsel OfficeがFIRPTA関係の衝撃的な内部Legal Memoを公表したんで急遽そっちにも触れざるを得なくなった。余りにExcitingな毎日だ。

前回のポスティングで触れた通り、米国法人の株式(正確には持分だけど分かりやすい株式って言っておく)は納税者側で反証できない限り、自動的に米国不動産持分になる。まさかこんなタイミングでLegal Memoが出るとはつゆ知らずだんたんで、その時点では「株式市場で流通している株式に関しては5%以下の株式は米国不動産持分にならない」っていう有利な例外があるってサラッと触れただけだった。この例外がないとリテール投資家を含むNRAや外国法人が米国株式市場で僅かな%の株式を売るたびに反証するのは非現実的だから、全て申告書提出して譲渡損益を報告しないといけなくなる。なんでまあ当然の例外規定。ちなみに株式市場で流通しているREIT持分に関しては5%の代わりに10%まで例外条件が引き上げられている。複数あるREITのみに認められる特典の一つだ。

5%ルールや10%ルールの例外が適用されるのは普通の法人株式にしても、REITにしても公認株式市場(「Established Market」)で流通(「regularly traded」)している株式。なんで、証券法や投資法に基づいて持分がSECに登録されてても「RegularlyにTrade」されてないと当例外の適用はない。例えばExitが償還(Redemption)っていう形で想定されてて持分譲渡が自由にできないタイプのREITとかは、持分がSECに登録されててもTradeされてることにならないんでこの例外は使えない。またTradeが可能でも「Regularly」にTradeされてないといけない。何をもってTradeがRegularかっていう点に関しては1980年代から財務省規則に紆余曲折があって、規則に定義が現れたり、それが撤回されて最終規則(Final Regulations)では「Reserved」、すなわち今後の規則策定に期待、みたいな状況になったと同時に暫定規則(Temporary Regulations)に定義が移動して現在に至る。暫定規則は規則案(Proposed Regulations)と異なり法的効果を持つ点はFinal Regulationsと同等。定義そのものを詳解するスペースはとてもないけど、四半期毎のテストとか本気でやると結構大変、とだけ言っとくね。

で、株式市場で流通している米国法人の株式(チョッと面倒なんで誤解覚悟でここでは上場株式って言っておく)をパートナーシップが所有してるケースで、この5%をどのレベルで判断するべきか、っていう点は長年明確じゃなかった。例えばケイマンフィーダー(当然CTBで法人課税選択)とデラウェア州LPSが各々50%づつマスターファンドを所有するストラクチャーのヘッジファンドがあるとする。で、そんなマスターファンドが上場株式を8%所有してるとする。デラウェア州LPSのDomesticフィーダーに投資するLPは米国個人、米国法人、または州のペンションファンドとかのSuper-Exemptとすると、FIRPTA課税の検討が必要となるのは外国法人のケイマンフィーダーのみで、Domestic Feeder経由で投資してるLPの視点からは、持分が5%以下かどうか、すなわち株式が米国不動産持分になるかっていう検討は一切課税関係に影響がない。じゃ、ケイマンフィーダーが上場株式の何%を持っているのか、って部分だけど、マスターファンドが8%持ってて、マスターファンドに対するケイマンフィーダーの持分が50%だから4%と違うの?ってなるところ。パートナーシップは法人と違ってLook-throughだし、別の規定だけど利子所得の源泉税が免除されるPortfolio Exemption適用時の10%制限もパートナーレベルで判断って明確な規則もあるし、上場株式の例外もパートナーレベルで判断するべきって密かに確信してるアドバイザーは多かっただろう(既に「過去形」になってて怖い?)。でも間違ってFIRPTA課税になったりすると面倒なんで、君子危うきに近寄らずだから保守的に5%や10%をパートナーシップレベルで判断せざるを得ない状況が続いていた。

ちなみにマスターファンドを使わずにピュアにパラレルファンドにすればこの問題は少ない。今でもたまにパラレルのヘッジファンドとか見ることがあるけど、ケイマンフィーダーに当たる外国人LPおよびDebt-Finance UBTIを嫌う普通の(つまりSuper-Exemptじゃない)Tax-Exemptが投資する側のファンドと米国LPサイドのファンドが各々別々に4%づつ株式を持ってて、変なAttribution規定とかに抵触しなければ、ケイマンフィーダー側の4%上場株式譲渡はFIRPTA課税免除なはず。マスターファンドのストラクチャーでも一部のヘッジファンドがやってるみたいにマスターとケイマンフィーダーの間にもう一つサブパートナーシップがあるようなケースとかでうまくマネージできることもあるかもしれないけど、Tradeを別のVehicleでパラレルでやってバランスさせるのは実務的に大変だろうし、また各Vehicleが全てのサービスプロバイダー、例えばPrime Brokerとか、と各々契約しないといけないんでやっぱりマスターファンドの活用が便利だよね。

で、ここまで書いたらIRSのLegal Memoがどんな見解かだいたい予想が付いたと思うけど、なんとパートナーシップレベルで判断するべき、とのこと。え~、パートナーシップだからLook-throughじゃないの?って思うけど、パートナーシップは「Person」であり(それは本当にそう)、パートナーがUSTOBに従事してるかどうかもパートナーシップレベルで決めるんで云々、とかいくつかパートナーシップそのものをEntityとして取り扱う正当性が記載されてた。で、何をいつLook-throughするのかって論点は本題のDC REITの規則案の神髄部分なんで、DC REITにかかわるルールを後述する際、Legal Memoの上場株式の取り扱いと対比してみて欲しい。

ちなみにLegal Memoって法律じゃないんで拘束力とかないけど、Private Letter Rulingとか個別の納税者に対する見解との比較で、一般的なコメントなんで反って怖い。もちろん納税者有利なLegal Memoだったら喜んで活用するんだけどね。

という訳で今回は結局REITそのものの話しに至らなかったけど、FIRPTA課税にかかわる面白い話しだったんでお許しを。

Saturday, May 20, 2023

FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (4))

前回まで、新たに公表されたFIRPTA課税系の規則草案の話しをするためのお膳立てとして、インバウンド課税およびFIRPTA課税の大基本に触れた。5月はNebraska州滞在で始まったんだけど早くも月後半に突入。5月前半にNebraskaって言えば何しに行ったかすぐに分かるね(特に5大商社の方がいらしたら)?米国MidwestでもシカゴやPeoriaがあるIllinoisより西に行くのは実は久しぶり。なんだかんだ結局1年ぶりだったんでたまたま気候も良くて大満喫。Destinationは他でもないOmahaだからNebraskaとは言え実際にはほとんどIowa州。Interstate 29で北に向かうとSioux Cityを超えてSioux Falls。憧れのSouth Dakotaだ。Interstateの大きな横断標識に北に行くと「Sioux City」とか出てくるとそれだけで盛り上がる。大きなSUVでのんびりドライブ、って言ってもトラフィックないんで気が付くと90マイルくらいのスピードでそれでもバックしているとまでは言わないけど止まっているみたいな感覚で、普段の喧騒を忘れさせてくれた。地平線見ながらFIRPTA課税の基本を考えたりしてたけど(せっかくのドライブが台無し?)、基本部分だけでもまだまだ触れたいトピックは多い。でも既に5月も後半に差し掛かってきてるっていうこのタイミングだし、ここは断腸の思いで(大げさ~)規則案に移る。

2022年末公表のFIRPTA課税規則パッケージ

2022年末ギリギリにいきなり公表されたFIRPTA課税関係の規則のうち、QFPFに関しては2019年に規則案が出てたんでそれを最終化したもの。QFPFの規則最終化はタイミングやその内容は別として、最終化自体は近々起こるだろう、って予測されてたんパッケージにこれが含まれてたこと自体に驚きはない。ただ、CAMTとか自社株買いのルールとか2023年が始まる前に何とかして押し込んでおきたかったガイダンスとの対比で、QFPFの規則最終化を敢えてにみんながマイアミビーチでリラックスしてる12月29日に公表しないといけなかったどうかは評価の割れるところ。おかげで年末年始のReading Assignmentが増えたよね。

で、そんなFIRPTA課税パッケージに含まれてた規則で一番唐突っていうか意外だったのがDC REITの持分に関するもの。DCは以前のポスティングで定義してるんで、またスペルアウトしたりするのは個人哲学的に容認し難いところなんだけど、時間が経ってるんで禁じ手で再度言っておくと、DCは米国の首都で州政府ではなく連邦政府が直轄する唯一の領土(正確には内務省その他が管理するNational Parkを含む「Federal Land」に加えて)「District of Columbia」のこと。じゃもちろんなくて「Domestically Controlled」のこと。何をもってDCになるか、っていう点に触れ始めると規則案の神髄をいきなく直撃することになるんで、そんな衝動はグッと抑えてまずはDC REITを理解するのに最低限必要なREITとインバウンド課税基本編。基本編って言っても、2~3回のポスティングでは到底カバーできる内容じゃないんで必ず個別のケース毎にFee払って(?)アドバイスを受けるように。

REIT

REITは、プロによる管理・リスク分散が可能な不動産投資にリテール投資家がアクセスできるように、っていう趣旨で1960年に誕生したありがたい制度。

REIT適格になるには多くの条件があるけど、まず、REITは米国税務上、米国Corporationと取り扱われる主体でないといけない。米国の憲法というか、米国税務を語る際の大基本だけど、主体というのは常にデラウェア州等の州法で組成される。一方、連邦税務上これらの主体をどのように区分するか、は州法に束縛されることなく、連邦税法の視点から自由に判断・決定する。なんで、法的な主体が州や外国法で認知されているにもかかわらず支店扱い(Disregard)されたり、法的な主体を組成したつもりがないJV契約やCollaboration契約がそのTerms次第でパートナーシップという「主体」になったりする。また州の会社法上、GP, LP, LLP, LLCとかいろんなタイプの主体が存在しても、税務上はCorporationとして組成されていない限り、Corporationとして課税されるかパススルーとして課税されるかを納税者側で任意に選択することができる。LLC税法とか存在しないからね。

なんでREITも州法上の区分は必ずしもCorporationである必要はなく、LLCでもLPでも税務上Corporation課税を選択してればいい。実際、REIT、特に上場REITの大多数はMaryland州のTrustっていう形で組成される。上場企業がDelaware州で設立される点との対比で面白い。DelawareがCorporateマターに明るくCutting Edgeなのと同様、MarylandはREITに関するトップの座を維持するため継続して州法をアップデートしてるし、REITにかかわる州の造詣が深い。MarylandにはREITに特化したTrust法があり、多くはガバナンス系の観点だけど、対価を受け取ることなくREIT持分を交付できたりする。REITの持分要件の充足に便利でREITフレンドリー。

もちろんだけど、MarylandのTrustがREITになるには、税務上、Corporationとして取り扱われる必要がある。ということはTrustがCheck-the-Boxすることになるけど、どんな時にTrustがCheck-the-Boxできるか、すなわち信託に対する課税を規定しているSub Jの対象でなくなるか、Massachusettsの信託や最高裁判所判例とかそれはそれは深淵な世界なんで機会があればそのうちね。TrustがLLCみたいにいつでもCheck-the-Boxできるって誤解をしてるケースや、日本の信託の米国税務上の区分を検討することなくいきなり米国投資ストラクチャーを語ったりするケースを見ることがあるけど、他の主体と違ってTrustは特別だからね。TrustのCheck-the-Box神話とでも言っておこうか。

でも、REITが不動産を税務上パートナーシップに区分される主体を介して所有しているのを見ることがあるけど、って言う方が居たら、それはある程度REITに関与したことがある読者だろう。REIT自体はCorporation課税される主体である必要があるけど、その下のいわゆるOp-Coはパートナーシップでもいい。特に後から不動産ポートフォリオをREITに出資するケースでは、Corporation扱いされているREITそのものに出資すると大概のケースで課税取引になるんで、傘下のパートナーシップに入れてREIT持分と等価交換できるオプション付きのパートナーシップ持分を対価として受け取るストラクチャーを取るのが一般的。UP-REITだ。このUP-REIT、もともとその名の通りREITに関してパートナーシップ税制のAnti-Abuse規定には抵触しません、っていうお墨付きをもらってるけど、これがもとでUP-Cが発展したんだね。UP-Cに関してAnti-Abuseに引っかからないていう規則はないって理解しているけど、ひとつのテクノロジーが徐々に他のストラクチャーに展開していくいい例。米国の専門家や投資銀行のクリエイティビティにはいつも感心させられる。

また、REITはCorporation扱いなんでクロスボーダー局面では原則ブロッカーとして機能し得る。そんなこと言うと、え~、REIT投資するためにケイマンとかのブロッカー経由にしたけどダブルだったの~?、ってショックを受ける方もいるかもね。まあ、REITは損失とかパススルーしないんでパートナーシップみたいなパススルーじゃないけど、所得を分配すると課税所得から除外されるんで、二重課税がないっていう点ではパススルーもどき。REITのパススルー神話。また、この点は次回以降に深く触れるけど、分配の原資がREITによる米国不動産持分譲渡に帰す部分は、分配とは言え通常の配当所得ではなく、FIRPTA課税目的で国外投資家は譲渡損益の性格がそのまま温存されるんで、REITが米国不動産持分を譲渡するような投資戦略を取る場合には、Upper Tierのブロッカーが必要になる。この点はDC REITの話しとも深い関係にあるんで次回以降に再度触れたい。

で、米国Corporation扱いってことは、前回のFIRPTA課税基本編で触れた通り、REIT持分の譲渡はFIRPTA課税の対象となる。もちろん米国不動産持分じゃない、っていう反証ができればFIRPTA課税対象じゃなくなる。でも、REITだから米国不動産所有法人になるに決まってて反証できる訳ないじゃん、って思う人はあわてんぼうのサンタクロースさんだ。FIRPTA課税基本で触れたけど、ピュアに債権者として所有している持分や債権は米国不動産持分にはならない。一方、REITの適格資産には不動産を担保としたモーゲージ債権が含まれるんでモーゲージREITはREITだけどFIRPTA課税目的では不動産持分にはならない。さらにREITが所有する不動産は必ずしも米国に所在する不動産とは限んないんで、米国外不動産投資を戦略としているようなREITがあれば、それでもREITだけど米国不動産持分にはならない。

REITの適格要件、それも米国Corporation扱いされること、っていう大基本ステップで早くも時間を使い過ぎたんでここからは次回。Led Zeppelinの話しとかしてないのに長くなったね。

Saturday, May 13, 2023

FIRPTAアップデート(DC REIT、外国政府、外国ペンションファンド規則案 (3))

さて、前回は米国のインバウンド課税の大基本をおさらいして、FIRPTAがそのフレームワークの中でどのように機能してるか、ってとこまで触れることができた。この2つの検討も、本来は個々の事実関係に基づく詳細検討がMustな点はお忘れなく。

FIRPTAイコール源泉徴収神話

FIRPTAってNRAや外国法人に対する申告課税だけど、そうなるとその定義から言ってNRAや外国法人に申告書を出してもらわないといけない。でも、NRAや外国法人、特に個人のNRAや米国外のアドバイザーは、悪意はなくても米国税法の要件を良く理解してなかったりして、申告書を出し忘れたり、納税しないことも十分に想定される。米国内だったら資産差し押さえ等の法的措置に訴えることが可能でも、国外の納税者相手だとそうもいかない。

もともとFIRPTAが制定された1980年当時は、この点を米国不動産持分所有や外国人による譲渡にかかわる詳細かつ非実務的(?)なレポーティングシステムで捕捉・対応しようとしていた。元祖Section 6039Cレポーティング要件だ。このSection、今ではすっかり文言も変わり果ててDefunct状態。想像に難くないと思うけど、NRAや外国法人相手に6039Cレポーティングに基づくFIRPTA課税システムを強制しようとしても思ったように機能せず、最終的にはFIRPTAそのものの制定から遅れること4年、1984年にSection 1445が制定され、今の譲受人による源泉徴収システムで申告や納税を担保する手法に転換された。米国不動産持分をNRAや外国法人から取得する、すなわち対価を支払う譲受人側に多額の前納にかかわる責任を持たせ、資金がNRAや外国法人の手にわたる前に、グロス対価15%を源泉徴収してIRSに納付させる人質作戦。源泉徴収システム導入と同時にSection 6039Cは大幅に改正されて実質お蔵入りになってる。今のSection 6039Cは「財務省規則が出たら報告義務が…」って感じの文言で辛うじてCode上にその姿(残骸?)が残ってるけど、源泉徴収システムに転換してしまった後、もちろん財務省規則は出てないし、これからも出ることもないだろう。一層のこと条文をRepealしてしまえば良かったのにね。

外国人に対する米国課税は源泉システムの適用が他にも一般的だけど、源泉される金額そのものが最終税額となる「源泉税」と、最終税額は外国人が申告書を出してネット所得に対して計算するけど、予定納税同様、仮の金額で前納させる「源泉徴収」に大別される。前者はNon-ECI FDAP、配当、利子、ロイヤルティー等に対する30%源泉で、後者はECIにかかわるパートナーシップによる源泉や今回のテーマのFIRPTA等が典型的な例。

FIRPTAの源泉徴収額は「グロス」対価の15%だから、最終的な税額となるネット譲渡益の23.8%(NRA)や21%(外国法人)と余り関係がない。大げさに前納させることで、申告書を提出して還付申請する方向に持ち込むための人質だ。譲受人が源泉徴収義務を怠ると、本来FIRPTAは譲渡人側に課せられる税金にもかかわらず、譲受人が要徴収額に関して法的に納付義務を負い、IRSによる徴収対象となる。したがって、本来は譲渡人側の課税だけど、譲受人の方がセンシティブになる。それはそうだよね。不動産を100で買っただけで何の譲渡益もないのに、追加で15取られたんじゃ投資になんないもんね。

で、この源泉徴収部分こそがFIRPTAって勘違いされてるケースもあるんで、源泉徴収はFIRPTA課税による税金徴収、申告書提出を実質強要するために後から規定されたっていう点と、譲受人側の源泉義務や源泉からの免除規定は、必ずしも譲渡人側のFIRPTA課税またはFIRPTA免除ときれいにシンクロしていないので、密接な関係にあるとは言え、原則異なる規定と考える必要がある。FIRPTAイコール源泉徴収神話だ。もちろんだけど源泉徴収されてても、または源泉徴収漏れでも、譲渡人側のFIRPTA課税は変わらない。源泉徴収義務まわり、またその免除のためのペーパーワークは難を極める規定。米国法人がE&Pを超える分配を外国親会社や、他のNRAや外国法人株主に行う際にも源泉徴収義務が適用されたりして直観的にピンとこないケースも多く頭が痛い。FIRPTA源泉徴収に関しては、それだけで一年間は特集できるんで、この辺にしとくね。

米国不動産所有法人神話

REITその他にかかわる財務省規則案の話しに入る前のお膳立てのフェーズで多くの神話が登場し過ぎて、ギリシャで不死の神々を伝承する吟遊詩人になったような気分なんで、最後に米国不動産所有法人関係の神話で一旦ラップアップしてREIT等の話しに移るね。

前回のポスティングで触れた通り、FIRPTAは「NRAや外国法人による米国不動産持分の譲渡(Disposition)」に対する課税を規定する法律。NRAと外国法人が何かっていう点にはザックリだけど既に触れてるんで、後は何が米国不動産持分の譲渡に当たるか、っていう点がFIRPTAに抵触するかどうかの重要な判断基準になる。その際、どんな取引が「譲渡」か、っていう点にフォーカスしても別の本が書けそうだけど、ここでは譲渡は広範に定義されていて、課税・非課税にかかわらず所有権の移転を意味するとだけ言っておく。

で、何が「米国不動産持分」かっていう点だけど、大別して2つ。まずは実際の米国不動産に対する持分、すなわちFee Simple等の財産権は当然のことながら米国不動産持分となる。この点に関して驚きはないんだけど、この定義には伐採前の森林や、地下に眠る天然資源等が含まれる点に加え、通常は動産と考えられる資産が不動産使用に関連する際に不動産とみなされる等、FIRPTA独特のルールがあるんで注意が必要。動産がFIRPTA目的で不動産持分に含まれる教科書的な例はホテルなどの宿泊施設の家具だ。どこまでが不動産で、どこからは動産かっていう境界線に不変の真理はなく、線引きをする目的、例えば州の不動産税とか、毎に各法律の規定や定義に準じて決めるべきことで、FIRPTA目的と他の目的で不動産の定義が異なるのは不思議なことではない。「この資産はカリフォルニア州の不動産税の対象ではなく動産税対象なんでFIRPTA対象ではないのでは…」みたいな話しは「ふ~ん、で?」ってなるだけで的外れ。用語の字面に惑わされないように。

米国不動産持分となる2つ目のタイプの資産は米国法人に対する持分。すなわちFIRPTA目的では、原則、「米国法人」の株式に代表される持分は米国不動産持分になる。したがってNRAや外国法人が米国法人株式を譲渡する場合、FIRPTA課税および姉妹規定の譲受人側の源泉徴収規定に抵触することになる。グループ内再編やM&Aの際に面倒な議論になった経験をお持ちの読者も多いんでは?株式市場で流通している株式に関しては5%以下の株式は米国不動産持分にならないとか例外はいくつかあるけど、今日は一般論として何が米国不動産持分か、っていう点だけにフォーカスしておく。個々のケースで必ずアドバイザーの意見を入手するように。

で、全ての米国法人株式は米国不動産持分っていうのは推定事実認定で、この認定が嫌なら納税者は「そうではありません」って反証する必要がある。この反証義務を全うできない場合、実際に米国法人がどんな状況にあるかどうかにかかわらず、法的には株式が米国不動産持分になる。これは法執行の観点からは合理的な規定で、株式が不動産持分かどうか不明のままではFIRPTAどころではないんで、Presumption、すなわち推定事実認定をして、デフォルトの取り扱いを規定しているもの。

じゃあどうやって反証するの?っていう点が最重要課題になる。この判断は大別して米国法人に対する権利や持分を持っている側で判断できるケースと、米国法人そのものが判断して持分を所有している者、すなわち株主等に告知するべきケースの2通りがある。前者に属するものは、持分がピュアに債権者としての立場として財産権を有している場合。平たく言うとモーゲージを含む貸し付けにかかわる債権者が所有する貸付債権は債務者が米国法人でも米国不動産持分にはならない、ってこと。貸し付けにEquity Kickerみたいな部分があったり転換社債だったりするとピュアな債権者でなくなるので注意。この例外は正確には推定事実認定以前にテストされるんで、この段階で債権が米国不動産持分でなくなれば、法人側に反証義務は課されない。

ピュアな債権者以外の法的身分で米国法人の持分を所有する場合、最たる例は株式を所有してる例だけど、そのまま放っておくと持分はデフォルト的に米国不動産持分だから、納税者側で反証できるのであればしないといけない。株式等の持分が米国不動産持分ではなくなるのは、納税者側が「米国法人は過去5年間に一度も「米国不動産所有法人」ではなかった」と証明できるケース。米国不動産所有法人っていうのは法人が所有する資産のうち、「事業資産+米国不動産持分+米国外不動産持分」に占める「米国不動産持分」が「時価ベース」で50%以上(超ではない)の法人のこと。このテスト自体思ったほど単純ではなく、例えば現預金とか投資有価証券などが事業資産に当たるかどうかも含め争点は多い。単純にバランスシートで決められるものではない。時価ベースだしね。時価ではなくUS GAAPの簿価で代用するテストもあるけど、その場合は50%以上ではなく25%超ってより厳しい条件になる。

で、このテスト、過去5年に一度も米国不動産所有法人だったらいけません、っていう基準。分母の事業資産の時価とか毎日刻一刻と変化するから、5年間におよぶテストって、毎日計算し直して1825回テストすんの~?とか、いやいや流動資産は一日の中でも変化するから毎時間、仮に営業時間8時間に限定するとしても15,000回弱テスト?、とか、一時間内にも流動資産は変化するんで毎分ベースで90万回弱テスト?いやいや分の中でも動くでしょ、って毎秒ベースで5千2百万回テスト?とか、え~そんな~、みたいな状況になる。5千2百万回!さすがにこれはWorkableじゃないんで、「Determination Date」っていう概念があって、最低でも毎期末には計算することっていう規定になってる。フ~、これだと5回だから5千2百万回の5千万分の1で済むね。ただ、プラス、米国不動産持分の取得時点(分子増額)、米国外不動産持分の譲渡時点(分母減額)、また通常業務の範囲外の事業資産の譲渡時点(同じく分母減額)には毎回テストすること、ってされている。これらのテストは分数の結果が高くなるケースにフォーカスがある。

ここでまた吟遊詩人にならないといけないんで辛いところだけど、FIRPTA課税が適用されるのはあくまでも米国不動産持分(United States Real Property InterestすなわちUSRPI)を譲渡した場合。最重要ポイントは米国不動産持分イコール米国不動産所有法人(United States Real Property Holding CorporationすなわちUSRPHC)じゃないっていう点で、米国不動産所有法人を譲渡してもそれ自体をもってFIRPTA課税はトリガーされない。米国不動産所有法人神話だ。結構プロっぽい文献でも米国不動産所有法人の譲渡がFIRPTA課税対象、って表現されてて不幸なんだけど、それは普通のオーディエンスにはその区分を説明するのが面倒だから簡便的に不正確と知りつつ書いてるんだろう。

この差異を具体的な例で示すと、米国不動産持分は「米国法人」のみに適用される定義となる一方、米国不動産所有法人は法人の設立場所は問われない。例えばケイマン法人が米国不動産に投資している場合、当ケイマン法人は資産比率的に米国不動産所有法人になるとしても、米国法人じゃないから米国不動産持分にはなり得ない。NRAや外国法人が米国不動産持分を所有するケイマン法人を何百社と譲渡したところで株式を長期投資保有している限りにおいて米国で1ドルも課税は発生しない。

また、法人の「事業資産+米国不動産持分+米国外不動産持分」に占める「米国不動産持分」が「時価ベース」で50%未満になる場合、その時点で法人は米国不動産所有法人ではなくなる。でも、過去5年に一度でも米国不動産所有法人だった経緯がある米国法人の株式は、仮に法人が米国不動産所有法人でなくなったとしても引き続き米国不動産持分だから、NRAや外国法人による当株式の譲渡は5年待たない限り、そして5年間の待期期間において一度も再度米国不動産所有法人にならない前提で、ようやくFIRPTA課税の呪縛から解放されることになる。

じゃあ、なんで外国法人でもなり得る、そんな面倒な米国不動産所有法人っていう別の定義があるかっていうと、米国法人の株式が米国不動産持分になるかどうかの5年間テストの分数を算定する際に、分子・分母の双方に加味される「米国不動産持分」は、この分数テスト目的のみ米国内外を問わずに米国不動産所有法人の株式時価を合算する必要があるから。ただ、50%超の持分を持つ法人に関しては、下層法人内の資産をLook-throughする特別ルールがあるから注意が必要。

浄化(Cleansing)規定

上述の通り、米国法人株式が米国不動産持分かどうかは米国法人が過去5年に一度でも米国不動産所有法人だったかどうかで判断するのが原則だけど、有益な例外として浄化規定がある。この規定に基づくと、現時点で米国法人が米国不動産持分を全く所有しておらず(分子ゼロ)、過去5年間に米国不動産持分を少しでも所有してた経緯がある場合には、当持分は全て「課税取引」で譲渡された場合、そのような米国法人の株式は米国不動産持分には当たらないとされる。ただし、この例外はREITやRICには適用がない。

FIRPTAは実に複雑な規定なんできりがないんだけど、この辺でFIRPTA課税の一般編は終了し、次はいよいよ問題の財務省規則案に触れたい。