火曜日の米国中間選挙から一夜明けて、開票結果に基づく今後の勢力図が明らかになった。大方の予想通り、下院は民主党にフリップする一方、上院は共和党が差を広げたようだ。中間選挙は歴史的に大統領が属する政党は不利な立場にあるけど、上院が民主党の支配に降らなかった点はトランプ政権的には及第点と言えるだろう。上院が共和党寄りで安定したということは控訴審とかに保守派の判事を引き続き任命することができる立場を確立し続けたことになる。判事は基本終身制なので長期的なインパクトは大きい。一方、立法プロセスを考えると、下院と上院が異なる政党なので大きな法案可決は不可能に近い状態になってしまったと言える。下院が左寄りの法案を通し、上院がそれを反故にするというのが、恒常的パターンとなりそう。当然、ここ2年に亘る共和党によるオバマケア廃案努力はこれでおしまい。税制改正のテクニカルコレクションとか、既存の議員のまま構成されるLame-Duck期間にどこまで何ができるのかが注目の的。また、下院の歳入委員会の力関係が大きく変わるが、税制改正は一応終わっているので、Kevin BradyもPaul Ryanも一応任務は遂行したと言えるだろう。
され、2回ほどSection 956財務省規則案の突然の公表で、GILTIから離れてしまったけど、今回はGILTI復活。GILTIの概要は3回に亘るポスティングで紹介しているので、今回は財務省規則案に規定されるルールの中から、条文からは分からない詳細、条文から逸脱的な部分、また、クリエイティブな処理法を提言している部分にフォーカスしてみたい。ちなみに、どの規則案もそうだけど、規則案は所詮「案」なので、その公表を受けて納税者側が出す様々なコメントに基づき、最終規則となる際には、異なる姿となる部分が結構あり得る点は理解しておいて欲しい。
で、GILTIだけど、米国株主側のGILTIの算定は、各CFCのTested Income(Loss)を把握するところから始まる。でも、CFCってもちろん外国法人。ってことは多くのケース、というかほぼ常にCFC側の機能通貨は米ドルではないことになる。各CFCのTested Income(Loss)は各社の機能通貨で算定することになるから、それを米ドルに換算する必要がある。この点に関して、規則案はCFC課税年度の平均為替レートで米ドルに換算するよう規定している。平均為替レートの適用は、Tested Income(Loss)の米ドル換算に加え、有形償却資産ネット簿価を米国株主が吸い上げる際も同じ。すなわち、各CFCの有形償却資産の四半期毎のネット簿価を基に年間平均簿価を算定するまでは現地機能通貨を使い、米国株主側で米国の属性としてQBAIを算定する際にCFC課税年度の平均為替レートを用いる。さらに、米国株主側で算定した最終GILTI合算額はドルベースになるけど、これを各CFCに配賦する必要がある。主に、CFCの課税済所得やCFC株式の簿価算定の目的だけど、その際もCFC課税年度の平均為替レートで換算し、逆に米ドルから現地機能通貨に換算する。
また、CFCレベルのTested Income(Loss)の算定そのものだけど、各CFCを米国法人であるかのように取り扱い、既存のSubpart F所得算定法に準じて行うとしている。Subpart F所得ってCFCの特定の項目だけを抜き出して算定するし、最終的には当期E&Pが上限になるので、CFCレベルで米国の税法に準じた総合的な課税所得の算定なんて、従来誰も経験したことがないだろうから、これは大変なコンプライアンス負荷。Tested Income(Loss)って基本的に全ての総収入からそれに適切に配賦される費用を差し引いた金額だけど、このTested Income(Loss)算定時の総収入から免除される項目のひとつに従来からの「Subpart F所得」がある。その免除額を決定する際、Subpart F所得が課税年度の当期E&Pの上限に抵触して合算額が減額されている場合、Subpart F所得全額をTested Incomeから免除するとしている。その逆に、翌年以降、過去にE&P上限枠規定の影響により合算されていないSubpart F所得をRecaptureして合算する際には、当該合算額はTested Incomeからの免除額とはならない。それはそうだよね。既に過年度にTested Income(Loss)から除外してしまってるんだから。
Tested Incomeから免除されている「高税率課税を理由にSubpart F所得とならない金額」は、本来Subpart F所得となる項目に関して、納税者が高税率の例外選択を実際に行っている金額のみを対象とするって規則案はダメ押ししてるけど、この点は法文そのものからもクリア。多分、勘違いして、高税率国にあるCFCはGILTI対象じゃない、とか勘違いする輩に釘を刺す目的だろう。
以前のポスティングで、米国株主が所得として認識するGILTIは、CFCのTested Income(基本的には所得全額と考えるべき)合算額から「ルーティン所得」、すなわち「「ネットみなし有形資産リターン(Net Deemed Tangible Income Return = NDTIR」を差し引いた金額という点に触てるけど、この「NDTIR」は米国株主側の属性で2つの数字で構成される。
まず、各CFCレベルのQBAIと略される有形償却資産のネット簿価を算定し、米国株主が保有するCFCのうち、プラスのTested Incomeを計上しているCFCのQBAIのPro-Rata Shareを通算し、それに10%を掛ける。これが米国株主が保有するQBAIからのみなしルーティンリターンとなる。有形償却資産ネット簿価は、「Alternative Depreciation System(ADS)」と呼ばれる、通常より長期の耐用年数に基づく定額法定償却法で決定される必要があるが、CFCがGILTI規定の適用以前から保有している有形償却資産に関しても、取得日に遡ってADSを適用し、今後の簿価算定を行う必要があるそうだ。大変な作業となる。
で、QBAI x 10%の金額が出たら、そこからCFC側の支払利息のうち、Tested Income(Loss)の算定時に取り込まれている金額を差し引いてNDTIRがようやく確定するが、その際に同じ米国株主が保有する他のCFCがTested Income算定時に受取利息として認識している部分があれば、その支払利息はNDTIR算定時の減額額に加味しないと法文では規定されている。
この支払利息の部分に関して、規則案が公表されるまでは、米国株主がNDTIRを計算をする際、各CFCの支払利息が自分が保有する他のCFCで受取利息となっているかどうか、を各CFCに対するPro-Rata持分ベースも加味してトレーシングする必要があると考えられていた。この点に関して規則案は緩和策を規定し、「Netting」アプローチを採択している。このアプローチでは、CFCが支払う個々の利息の受け手をトレースする必要はなく、米国株主側で全CFCの支払利息および受取利息(Tested Income(またはLoss)の算定に加味されている範囲で)を一旦Pro-Rata持分に準じて取り込み、米国株主側でネットしてマイナスとなれば、同額をQBAI x 10% から差し引いてNDTIRを計算する。
何が支払利息なのか、っていう単純な問題は他の局面、特に新Section 163(j)でも大きな検討となるが、NDTIR算定時に加味される利息は、米国税法上、利息と取り扱われる項目全てを含むとされている。
今回の財務省規則案はいい意味でも悪い意味でもメカニカルな計算法に特化しているけど、それだけでも相当難しい規定が続いていく。チョッと長くなりそうなので、次回はパートナーシップが米国株主の場合とかの難しい計算法に関して。
Wednesday, November 7, 2018
Saturday, November 3, 2018
米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)Section 956温存と財務省規則案(2)
前回、完全に不意打ちを喰らったSection 956の財務省規則案に関して、主にその背景を中心に書き始めた。Section 956の温存とHopscotch対抗規定の消滅の組み合わせがもたらす果てしないプラニング可能性の探求に意気込んでいた矢先だっただけに、規則案には冷や水を浴びた格好だ。Hopscotch対抗規定の消滅は、議会が熟考の上、判断したというよりも、Section960を大幅に構造改革している時点では、Section 956自体撤廃という前提で進んでいて、最後の最後にSection 956を復活させてみたものの、Hopscotch対抗規定を無くしていたことなどすっかり忘れて法律を最終化してしまった、としか思えない。急いては事を仕損じる、だったのだろうか。
で、今回の規則案では、Section 956に抵触する取引があり、本来、米国株主が合算課税の対象となりそうな際、Section 956取引を実質的に配当同様と位置付け、もし仮に実際に配当されていたら100%配当控除の対象となったであろう金額に関しては、Section 956合算課税対象とはしないと規定している。
Section 956合算課税を説明する際に、どうしても「みなし配当」と言ってしまうのが一番分かり易いので、そう表現することが多いけど、税法上、Section 956合算は「配当」として取り扱われないので、この表現はかなり誤解を招くというか、「配当ではないぞ」って言い聞かせながら「みなし配当」と言う表現を用いる必要がある。Imagineじゃないけど、I wonder if you can的に難しいよね。配当扱いであれば、最初から実際の配当と同じように、要件を充足していれば100%配当控除が認められるだろう。しかし、実際にはそうでないところが、まさしく今回の規則案が必要になる一番の理由となる。
ここで、Section 956規定そのものに関してもう少し触れてみる。例によって詳細は恐ろしく複雑なのでほんのサワリ、すなわち要点だけ。
CFCの米国株主はSection 956合算額を課税所得として認識することになるけど、この合算額はCFCが保有する「米国資産」の四半期残高の年平均額が、過去に既にSection 956で合算されているCFCの留保所得を超過する金額、となる。ただし、このSection 956 合算額は、Section 956適用所得額を上限とする。Section 956適用所得額とは、基本的に米国の配当原資額と同様で、前年度末の累積E&Pと当年単年E&Pの合計額となる。ただし、前年度末の累積E&Pがマイナスで、かつ当年単年E&Pがプラスのケースは当年E&Pのみを参照する。これらのE&Pから当期内の実際の分配および過去にSection 956で課税済みとなっているE&Pを差し引いた金額がSection 956適用所得額だ。なお、CFCを100%保有していない場合には、各米国株主のPro-Rata持分を合算することになる。このPro-Rata持分という概念は、Section 956ばかりでなく、Subpart F、そして今後はGILTI計算の鍵となるもの。100%保有している場合も、CFCを期中に譲渡するようなケースでは売り手および買い手の合算額を検討する上で、最重要コンセプトとなる。これが、Section 956の一番ベーシックな部分だけど、いきなり難しいね。
Section 956の趣旨、すなわち、CFCから配当を受け取ると米国株主が課税されるので、それを回避するため、配当以外の名目、特にCFCが米国株主に貸付をするパターンで、資金を米国に還流させて、米国で課税されずにCFC側の資金にアクセスしよう、っていうプラニングに網を掛けるため、っていう背景を忘れずに考えてみると理解が容易に進むだろう。すなわち、いろんな言い訳でCFCが米国にお金を持ってくると(=米国資産に投資すると)、同額を配当していたら配当課税される範囲で(なので実際に配当されていないE&Pが上限)課税するけど、既に過去に課税されている留保所得を毎期毎期課税しないよう、過年度にSection 956で課税されている留保所得は、合算対象額および課税上限額となるSection 956適用所得額の双方から差し引いて当期の合算額を計算するという仕組みだ。過年度より残高が高くなれば課税されるけど、低くなっても控除は認められない。
米国資産の四半期毎の残高計算をする際には、米国税務簿価を用いる。また外国法人が途中からCFCになったり、CFCでなくなったりするケースの特別処理法も規定されている。ちなみに、米国株主やCFC認定時にDownward Attributionの不適用が撤廃されているので、内部再編とかを実行した後も、CFCがCFCであり続けるケースは以前より爆発的に増えるだろう。
で、Section 956目的の「米国資産」って言うと、まずはCFCによる米国株主および関連者への貸付が直ぐに思い浮かぶけど、それだけが対象ではない。米国内の有形資産、米国法人株式、無形資産の米国内使用権、などが基本的に対象だが、この原則対象資産に多くの例外が規定されている。法文に明記されている例外だけでもAからLまで12項目あり、銀行預金、米国から輸出される資産、とか細々と規定されるが、最重要な例外項目は、直接間接に25%以上の資本関係を持たない米国非関連者に対する貸付、資本投資、だろう。
米国への貸付は広義に解釈され、CFCによる保証や、米国株主がCFC株式を担保に差し入れるような取引もカバーされる。これが理由で、米国多国籍企業が米国で融資を受ける際の契約書は、Section 956合算を誘発するリスクを回避するようなTermが必ず入っている。LSTAによるサンプル契約書もこの点はしっかり網羅されているが、今回の規則案で若干、借入時のSection 956懸念は緩和されるだろうか。資金調達の契約条項の若干の自由化が期待できるかも。
で、このような規定のSection 956なんだけど、このまま放っておくと、Section 956は配当原資となるE&PがCFCに存在する範囲で、合算課税となり、それに伴い、外国税額控除が認められることになる。一方で、配当原資(もし、あればだけど)があり、それをCFCが実際に配当すると、100%配当控除が受けられる代わりに外国税額控除が認められない。
ここからが今回の規則案による取り扱いのオーバーライドで、財務省は執拗に「Section 956の立法趣旨は、実際の配当とSection 956取引間の取り扱いに整合性を持たせるため」と、規則案の取り扱いを正当化し、Section 956に抵触する取引があり、本来、米国株主が合算課税の対象となりそうな際、Section 956取引を実質的に配当同様と位置付け、もし仮に実際に配当されていたら100%配当控除の対象となったであろう金額に関しては、Section 956合算課税対象とはしないと規定している。そんなんだったら、Section 956なんてさっさと撤廃したらよかったのに、と思えるような大胆なオーバーライドぶりだけど、ただ、Section 956取引を常に非課税としている訳ではなく、仮に同額を配当して100%所得控除対象となる部分のみ、Section 956合算額ではないように処理しているところは注意に値する。
例えば、E&Pの中にECIや下層米国法人(サンドイッチ形態)から受け取った配当を原資とするE&Pが含まれている場合、100%配当控除は外国源泉E&Pにかかわる部分のみだけだから、米国内源泉E&Pに対応するSection 956取引金額は従来通りSection 956合算となる。CFCから国内源泉配当を実際に受け取る場合には、内国法人から受け取る際に認められる従来からの配当控除が認められるんだけど、米国内源泉E&PをSection 956で合算させられる場合には、この控除は認められないようだ。この部分は「実際に配当ではないから」ってことなんだろうか。規則を正当化するために散々「配当とSection 956取引間の取り扱いに整合性を持たせる」と伝家の宝刀を抜きまくっている割に、いざ都合が悪くなると、異なる取り扱いとしている点、二枚舌?って観は否めない。
また、CFC側にSubpart Fで過去に課税済みの留保所得が存在する場合には、Section 956取引額が実際に分配されたとしても、「配当」にならないので、100%配当控除対象外だから、この額も減額はされずにSection 956合算額となる。もちろん、その場合には、課税済所得に対する規定がそのまま適用されるので、CFC株式の簿価を割り込まない限り課税はない。税制改正時に1987年以降の留保所得は一括課税されているし、今後はGILTIで毎年課税済留保所得は増える一方だから、実際の配当にしても、Section 956合算にしても、課税済留保所得を超える金額に至ることは実務上かなり限定的。このことから、100%配当控除そのものも、Section 956合算に対する同様の減額も余り意味がないとも言える。
さらに、100%配当控除の保有期間要件を充たせないCFCからのSection 956取引も、実際に配当があったとしても、配当控除適格とならないから、Section 956合算はそのまま。ただ、100%配当控除適格かどうかの保有期間は配当権利確定365日前から731日間に、365日超というものだから、配当後に1年間持っていれば充足できるわけで、なかなかこれに不足するケースはないように思われる。
間接的に保有する、下層CFCにSection 956取引がある場合、米国株主はあたかも下層CFCから直接みなし配当を受けたかのように考えて、100%配当控除適用有無を判断する。また100%配当控除はハイブリッド配当には認められないため、Section 956取引額が仮に実際に配当された場合に、CFCの所在国で損金算入できるようなケースではSection 956合算に減額はない。
最後に、Section 956が温存されている理由として一点考え得るのは、CFCの個人株主。個人株主は今回の税制改正後のクロスボーダー課税では散々な目にあっていると言える。留保所得の一括課税の対象となる割には、100%配当控除はないし、GILTI合算の対象となる割にGILTI控除もGILTI外国税額控除もない。なので、配当でなく、借入等でCFC保有の資金にアクセスしたいという動機は存在し続ける。となると以前同様にSection 956で監視し続けないといけない、ということになり、その点を加味しての温存だったんだろうか。
で、今回の規則案では、Section 956に抵触する取引があり、本来、米国株主が合算課税の対象となりそうな際、Section 956取引を実質的に配当同様と位置付け、もし仮に実際に配当されていたら100%配当控除の対象となったであろう金額に関しては、Section 956合算課税対象とはしないと規定している。
Section 956合算課税を説明する際に、どうしても「みなし配当」と言ってしまうのが一番分かり易いので、そう表現することが多いけど、税法上、Section 956合算は「配当」として取り扱われないので、この表現はかなり誤解を招くというか、「配当ではないぞ」って言い聞かせながら「みなし配当」と言う表現を用いる必要がある。Imagineじゃないけど、I wonder if you can的に難しいよね。配当扱いであれば、最初から実際の配当と同じように、要件を充足していれば100%配当控除が認められるだろう。しかし、実際にはそうでないところが、まさしく今回の規則案が必要になる一番の理由となる。
ここで、Section 956規定そのものに関してもう少し触れてみる。例によって詳細は恐ろしく複雑なのでほんのサワリ、すなわち要点だけ。
CFCの米国株主はSection 956合算額を課税所得として認識することになるけど、この合算額はCFCが保有する「米国資産」の四半期残高の年平均額が、過去に既にSection 956で合算されているCFCの留保所得を超過する金額、となる。ただし、このSection 956 合算額は、Section 956適用所得額を上限とする。Section 956適用所得額とは、基本的に米国の配当原資額と同様で、前年度末の累積E&Pと当年単年E&Pの合計額となる。ただし、前年度末の累積E&Pがマイナスで、かつ当年単年E&Pがプラスのケースは当年E&Pのみを参照する。これらのE&Pから当期内の実際の分配および過去にSection 956で課税済みとなっているE&Pを差し引いた金額がSection 956適用所得額だ。なお、CFCを100%保有していない場合には、各米国株主のPro-Rata持分を合算することになる。このPro-Rata持分という概念は、Section 956ばかりでなく、Subpart F、そして今後はGILTI計算の鍵となるもの。100%保有している場合も、CFCを期中に譲渡するようなケースでは売り手および買い手の合算額を検討する上で、最重要コンセプトとなる。これが、Section 956の一番ベーシックな部分だけど、いきなり難しいね。
Section 956の趣旨、すなわち、CFCから配当を受け取ると米国株主が課税されるので、それを回避するため、配当以外の名目、特にCFCが米国株主に貸付をするパターンで、資金を米国に還流させて、米国で課税されずにCFC側の資金にアクセスしよう、っていうプラニングに網を掛けるため、っていう背景を忘れずに考えてみると理解が容易に進むだろう。すなわち、いろんな言い訳でCFCが米国にお金を持ってくると(=米国資産に投資すると)、同額を配当していたら配当課税される範囲で(なので実際に配当されていないE&Pが上限)課税するけど、既に過去に課税されている留保所得を毎期毎期課税しないよう、過年度にSection 956で課税されている留保所得は、合算対象額および課税上限額となるSection 956適用所得額の双方から差し引いて当期の合算額を計算するという仕組みだ。過年度より残高が高くなれば課税されるけど、低くなっても控除は認められない。
米国資産の四半期毎の残高計算をする際には、米国税務簿価を用いる。また外国法人が途中からCFCになったり、CFCでなくなったりするケースの特別処理法も規定されている。ちなみに、米国株主やCFC認定時にDownward Attributionの不適用が撤廃されているので、内部再編とかを実行した後も、CFCがCFCであり続けるケースは以前より爆発的に増えるだろう。
で、Section 956目的の「米国資産」って言うと、まずはCFCによる米国株主および関連者への貸付が直ぐに思い浮かぶけど、それだけが対象ではない。米国内の有形資産、米国法人株式、無形資産の米国内使用権、などが基本的に対象だが、この原則対象資産に多くの例外が規定されている。法文に明記されている例外だけでもAからLまで12項目あり、銀行預金、米国から輸出される資産、とか細々と規定されるが、最重要な例外項目は、直接間接に25%以上の資本関係を持たない米国非関連者に対する貸付、資本投資、だろう。
米国への貸付は広義に解釈され、CFCによる保証や、米国株主がCFC株式を担保に差し入れるような取引もカバーされる。これが理由で、米国多国籍企業が米国で融資を受ける際の契約書は、Section 956合算を誘発するリスクを回避するようなTermが必ず入っている。LSTAによるサンプル契約書もこの点はしっかり網羅されているが、今回の規則案で若干、借入時のSection 956懸念は緩和されるだろうか。資金調達の契約条項の若干の自由化が期待できるかも。
で、このような規定のSection 956なんだけど、このまま放っておくと、Section 956は配当原資となるE&PがCFCに存在する範囲で、合算課税となり、それに伴い、外国税額控除が認められることになる。一方で、配当原資(もし、あればだけど)があり、それをCFCが実際に配当すると、100%配当控除が受けられる代わりに外国税額控除が認められない。
ここからが今回の規則案による取り扱いのオーバーライドで、財務省は執拗に「Section 956の立法趣旨は、実際の配当とSection 956取引間の取り扱いに整合性を持たせるため」と、規則案の取り扱いを正当化し、Section 956に抵触する取引があり、本来、米国株主が合算課税の対象となりそうな際、Section 956取引を実質的に配当同様と位置付け、もし仮に実際に配当されていたら100%配当控除の対象となったであろう金額に関しては、Section 956合算課税対象とはしないと規定している。そんなんだったら、Section 956なんてさっさと撤廃したらよかったのに、と思えるような大胆なオーバーライドぶりだけど、ただ、Section 956取引を常に非課税としている訳ではなく、仮に同額を配当して100%所得控除対象となる部分のみ、Section 956合算額ではないように処理しているところは注意に値する。
例えば、E&Pの中にECIや下層米国法人(サンドイッチ形態)から受け取った配当を原資とするE&Pが含まれている場合、100%配当控除は外国源泉E&Pにかかわる部分のみだけだから、米国内源泉E&Pに対応するSection 956取引金額は従来通りSection 956合算となる。CFCから国内源泉配当を実際に受け取る場合には、内国法人から受け取る際に認められる従来からの配当控除が認められるんだけど、米国内源泉E&PをSection 956で合算させられる場合には、この控除は認められないようだ。この部分は「実際に配当ではないから」ってことなんだろうか。規則を正当化するために散々「配当とSection 956取引間の取り扱いに整合性を持たせる」と伝家の宝刀を抜きまくっている割に、いざ都合が悪くなると、異なる取り扱いとしている点、二枚舌?って観は否めない。
また、CFC側にSubpart Fで過去に課税済みの留保所得が存在する場合には、Section 956取引額が実際に分配されたとしても、「配当」にならないので、100%配当控除対象外だから、この額も減額はされずにSection 956合算額となる。もちろん、その場合には、課税済所得に対する規定がそのまま適用されるので、CFC株式の簿価を割り込まない限り課税はない。税制改正時に1987年以降の留保所得は一括課税されているし、今後はGILTIで毎年課税済留保所得は増える一方だから、実際の配当にしても、Section 956合算にしても、課税済留保所得を超える金額に至ることは実務上かなり限定的。このことから、100%配当控除そのものも、Section 956合算に対する同様の減額も余り意味がないとも言える。
さらに、100%配当控除の保有期間要件を充たせないCFCからのSection 956取引も、実際に配当があったとしても、配当控除適格とならないから、Section 956合算はそのまま。ただ、100%配当控除適格かどうかの保有期間は配当権利確定365日前から731日間に、365日超というものだから、配当後に1年間持っていれば充足できるわけで、なかなかこれに不足するケースはないように思われる。
間接的に保有する、下層CFCにSection 956取引がある場合、米国株主はあたかも下層CFCから直接みなし配当を受けたかのように考えて、100%配当控除適用有無を判断する。また100%配当控除はハイブリッド配当には認められないため、Section 956取引額が仮に実際に配当された場合に、CFCの所在国で損金算入できるようなケースではSection 956合算に減額はない。
最後に、Section 956が温存されている理由として一点考え得るのは、CFCの個人株主。個人株主は今回の税制改正後のクロスボーダー課税では散々な目にあっていると言える。留保所得の一括課税の対象となる割には、100%配当控除はないし、GILTI合算の対象となる割にGILTI控除もGILTI外国税額控除もない。なので、配当でなく、借入等でCFC保有の資金にアクセスしたいという動機は存在し続ける。となると以前同様にSection 956で監視し続けないといけない、ということになり、その点を加味しての温存だったんだろうか。
Friday, November 2, 2018
米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)Section 956温存と財務省規則案
次の大型規則案パッケージが公表される前にGILTI関連のポスティングを終わらせなくては、と夢に出てきそうな位チョッと焦りかけた今日この頃。そんな矢先の昨日(2018年10月31日)、寝耳に水っぽく、米国財務省はSection 956にかかわる規則案を突然公表した。GILTIに続く国際課税の規則案公表は、Section 163(j)の支払利息損金算入制限(これは国際課税関係ではないけど、GILTIやクロスボーダーM&Aとかに影響大)、そして1962年以降の外国税額控除の概念を一から書き換える「新」Section 960関係、というシナリオのはずだったのに急にSection 956 という変化球が飛んできてビックリ。
Section 956の規則案だけ列に途中から割り込むようにさっさの公表された背景には、どうも、他の規定に対する「大型」規則案と異なり、956条規則案はその経済的なインパクトが低いと位置付け、大統領府のOMB内にあるOffice of Information and Regulatory Affairs 「OIRA」のレビューを端折って発表できたっていう事情があるらしい。ちなみに、このOIRA、「オイラ」って言うと日本語的にチョッとカッコ悪いし何か自分のこと言ってるみたいで変。その理由とは全然関係ないけど、こっちでは「オアイラ」って呼ぶことが多いように思う。なので皆さんも米国各省庁が策定する規則の大統領府によるレビューの話しをする時は「今、オイラがレビューしてます」とか言うと、聴き手は「この人がレビューしてるって、チョッとおかしいんじゃない?しかも「おいら」だなんて」とか勘違いしてしまう可能性大。なので、、「オアイラ」と言って、笑われたりするリスクを軽減しないとね(?)。
と、またどうでもいい話しに逸れ過ぎないうちに本題に戻るけど、税制改正でトリガーされる大量のガイダンス策定で超忙しいと思われる財務省が、敢えてこのタイミングで慌ててSection 956にかかわるガイダンスを公表している点はとても興味深い。というのも、Section 956そのものは、今回の税制改正で付け加えられたとか、変更が加えられた規定かと言うと、そうではなく、税制改正では全くタッチされていない条文だからだ。逆に、Section 956が撤廃されずに、そのまま温存されている点そのものが米国国際税務に関与している者にとっては税制改正時の一番の驚きだった。
実際、上院と下院のすり合わせ最終バージョンができるまでは、Section 956は撤廃される運びだった。なぜ撤廃されるのが自然で、温存されてビックリだったかというと、Section 956 って言う規定は、CFCから配当すると米国株主が課税されるので、それを回避するため、配当以外の名目、特にCFCが米国株主に貸付をするパターンで、資金を米国に還流させて、米国で課税されずにCFC側の資金にアクセスしよう、っていうプラニングに網を掛ける趣旨だったからだ。すなわち、Section 956は、CFCによる米国株主またはその米国関連者への貸付、またはその他Section 956に規定される特定の取引形態に基づく米国への資金還流を、実質、分配同様に取り扱い、CFCのE&Pの範囲で米国株主側でみなし配当として合算課税するという規定だ。
税制改正により、CFCからの配当が100%の所得控除の対象なった今日、Section 956 は取り締まる相手がいなくなってしまったお巡りさんみたいな存在で、存在意義がなく、当然、撤廃が順当と思われていたものだ。ところが、2017年12月、税制改正の法案を両院すり合わせしている最後の最後に、ナンと息を吹き返して、皆、不意を突かれた、というものだ。実際にはこの100%配当控除制度は、その対象となる留保所得がほぼ存在しないと言ってもいい程だから、結果として米国国際課税は低税率グローバル課税に移行してしまった点は、以前から散々触れているので、ここでは繰り返さないけど、超根本的なところなので必ず忘れないで欲しい。
税制改正下のSection 956の温存と並行して、さらにビックリさせられたのが「Hopscotch対抗規則」の廃案。Hopscotchって知っている人も多いと思うけど、iPhoneで無数のAppやゲームをダウンロードして遊び始める以前の時代に米国の子供たちが、道にチョークで箱と番号を書いて、石とかを投げてそこにジャンプしながら辿り着く外遊びのこと。日本語に訳すとすると「石けり遊び」とか「けんけん」とかだろうか。チョッと話しが逸れるけど、Los Angelesのバンド、Missing Personsのデビュー12インチシングルの「B面」2曲目に「Mental Hopscotch」っていう格好良すぎの曲があるので知らない人はぜひ聴いてみて欲しい。Terry Bozziのツインバスのドラムと歪んだElectronic Guitarの組み合わせが絶妙。Missing Personsとして有名な曲じゃないかもしれないけど、その昔、L.A.の郊外でMissing Personsのライブ見た時、この曲がOpeningだったんで、本人たちも気に入ってる曲に違いない。ツインバスというと当時はCozy Powellを連想する人が多かったと思うけど、Terry Bozzioは更に無数のシンセタムを多用して芸術的。Missing Personsを脱退した後は更に多くのタム、シンバルを備えて、「要塞」ドラムセットがトレードマーク化している。今でもL.A.とかでドラムクリニックとかやってるドラムオタクだ。2008年の日本公演時に知り合った日本人女性と再婚して現在に至っているはず。その相方の氏名が僕の友人と同姓同名なので、当時は「まさか・・・」と思ったんだけど、やっぱり別人のようでした。
で、Hopscotchはこの遊びの意味から転じて、不規則にジャンプする様の例えに使われる用語になってるんだけど、「それが国際課税にどう関係あんの?」っていうと、実にテクニカルな関係にある。
通常の配当は、当たり前だけど、米国株主が持分を保有するCFCからしか受け取ることができない。下層に位置するCFCから配当を受け取るには、米国株主が直接持分を保有する上層のCFC経由とせざるを得ない。となると、配当は課税されてたけど外国税額控除が計上できた従来、不利な形でしか米国から資金を還流することができないこともある。従来の国際税務システム下では、米国で追加の法人税支払いが発生するような形で資金を米国に還流するのは米国企業的にはタブーに近かった。例えばせっかく下層のCFCがHigh Tax Pool(すなわち米国の法人税をフルに外国税額控除で消去できる状態)でも、上層CFCがLow Tax Poolだったりすると、米国株主はHigh Tax Poolに基づく外国税額控除の最大限化が達成できないことになる。
そこで登場するのがHopscotchを利用したSection 956合算。子供たちが脈絡なくジャンプするように、 どんなに下層に位置するCFCからでも、米国に貸付とかすることで、思うがままに自由にジャンプして目的地に向かって配当を引いてくるようなフィクションを演出してくれるSection 956合算課税 は賢い納税者にとって、またとない弾力的な外国税額控除プラニング手法となっていく。例えば、さっきの例で、下層CFCが米国株主に貸付をすると、下層CFCのE&Pの範囲で、あたかも配当があったかのように米国株主が課税され、その際に、下層CFCのみのTax Poolを基に外国税額控除を計算でき、実際に上層CFC経由で配当を受け取るより有利な計算となる。議会がCFCからの配当課税迂回に網を掛けるために制定した条文を、合法的に自ら有利なプラニング手法として逆手に取るのが得意な米国多国籍企業のお家芸だ。まさに面目躍如状態。
またも「してやられた」形の議会は対抗規定を制定する。これが2010年のHopscotch対抗条文として新設されたSection 960(c)だ。この対抗策は、Section 956で直接下層CFCの所得を合算させられるにもかかわらず、外国税額控除の計算目的では、実際の配当同様に米国株主が保有する持分チェーンを通じてE&Pがフローアップしてきたかのように考えるというものだ。
対抗策は旧Section 960の一部を構成していたけど、この旧Section 960全体の従来の機能はSubpart FやSection 956で米国株主が実際に配当を受け取ることなく課税される場合には、実際に配当を受け取ったかの如く、外国税額控除を認めましょう、というもので、それにかかわる諸々の複雑な規定が盛り込まれていた。税制改正で、実際の配当にかかわる外国税額控除が撤廃されてしまったので、Section 960はその存在感を増し、Section960の構成に大幅にメスが入る。旧Section 960(b)が(c)になったりして以前のSection 960を少しでも知っている者にとっては超分かり難い状態に生まれ変わってしまった。そのプロセスでHopscotch対抗規定だったSection 旧Section 960(c)はなくなってしまい、結果として、Section 956 は温存される一方、Hopscotchは復活OKというチョッと信じられない状況となっていた。
昔から、このSection 956って、知らないうちに間違えて抵触しちゃうか、逆に良く知っている納税者(の起用する法律事務所やBig 4の国際税務部門)がアクティブにプラニングに利用しているか、のどちらかの局面で登場することが多かった。Section 304と並んで、取引形態と税務上の取り扱いが大きく乖離しているので、直感的に分かり難い規定の代表だろう。税法改正により、Hopscotchが復活の上、Section 956 は温存と言う思いもよらない結果となり、CFCの実際の配当を基とする外国税額控除のGeneral Basket枠が無くなってしまった今日、Section 956こそがGeneral Basket対策の有効な対策の決め手となり得るのでは、と模索を開始していた。
そんな淡い期待は急に登場したSection 956の規則案で振り出しに戻ることとなった。次回は簡単に規則案の内容そのものについて。
Section 956の規則案だけ列に途中から割り込むようにさっさの公表された背景には、どうも、他の規定に対する「大型」規則案と異なり、956条規則案はその経済的なインパクトが低いと位置付け、大統領府のOMB内にあるOffice of Information and Regulatory Affairs 「OIRA」のレビューを端折って発表できたっていう事情があるらしい。ちなみに、このOIRA、「オイラ」って言うと日本語的にチョッとカッコ悪いし何か自分のこと言ってるみたいで変。その理由とは全然関係ないけど、こっちでは「オアイラ」って呼ぶことが多いように思う。なので皆さんも米国各省庁が策定する規則の大統領府によるレビューの話しをする時は「今、オイラがレビューしてます」とか言うと、聴き手は「この人がレビューしてるって、チョッとおかしいんじゃない?しかも「おいら」だなんて」とか勘違いしてしまう可能性大。なので、、「オアイラ」と言って、笑われたりするリスクを軽減しないとね(?)。
と、またどうでもいい話しに逸れ過ぎないうちに本題に戻るけど、税制改正でトリガーされる大量のガイダンス策定で超忙しいと思われる財務省が、敢えてこのタイミングで慌ててSection 956にかかわるガイダンスを公表している点はとても興味深い。というのも、Section 956そのものは、今回の税制改正で付け加えられたとか、変更が加えられた規定かと言うと、そうではなく、税制改正では全くタッチされていない条文だからだ。逆に、Section 956が撤廃されずに、そのまま温存されている点そのものが米国国際税務に関与している者にとっては税制改正時の一番の驚きだった。
実際、上院と下院のすり合わせ最終バージョンができるまでは、Section 956は撤廃される運びだった。なぜ撤廃されるのが自然で、温存されてビックリだったかというと、Section 956 って言う規定は、CFCから配当すると米国株主が課税されるので、それを回避するため、配当以外の名目、特にCFCが米国株主に貸付をするパターンで、資金を米国に還流させて、米国で課税されずにCFC側の資金にアクセスしよう、っていうプラニングに網を掛ける趣旨だったからだ。すなわち、Section 956は、CFCによる米国株主またはその米国関連者への貸付、またはその他Section 956に規定される特定の取引形態に基づく米国への資金還流を、実質、分配同様に取り扱い、CFCのE&Pの範囲で米国株主側でみなし配当として合算課税するという規定だ。
税制改正により、CFCからの配当が100%の所得控除の対象なった今日、Section 956 は取り締まる相手がいなくなってしまったお巡りさんみたいな存在で、存在意義がなく、当然、撤廃が順当と思われていたものだ。ところが、2017年12月、税制改正の法案を両院すり合わせしている最後の最後に、ナンと息を吹き返して、皆、不意を突かれた、というものだ。実際にはこの100%配当控除制度は、その対象となる留保所得がほぼ存在しないと言ってもいい程だから、結果として米国国際課税は低税率グローバル課税に移行してしまった点は、以前から散々触れているので、ここでは繰り返さないけど、超根本的なところなので必ず忘れないで欲しい。
税制改正下のSection 956の温存と並行して、さらにビックリさせられたのが「Hopscotch対抗規則」の廃案。Hopscotchって知っている人も多いと思うけど、iPhoneで無数のAppやゲームをダウンロードして遊び始める以前の時代に米国の子供たちが、道にチョークで箱と番号を書いて、石とかを投げてそこにジャンプしながら辿り着く外遊びのこと。日本語に訳すとすると「石けり遊び」とか「けんけん」とかだろうか。チョッと話しが逸れるけど、Los Angelesのバンド、Missing Personsのデビュー12インチシングルの「B面」2曲目に「Mental Hopscotch」っていう格好良すぎの曲があるので知らない人はぜひ聴いてみて欲しい。Terry Bozziのツインバスのドラムと歪んだElectronic Guitarの組み合わせが絶妙。Missing Personsとして有名な曲じゃないかもしれないけど、その昔、L.A.の郊外でMissing Personsのライブ見た時、この曲がOpeningだったんで、本人たちも気に入ってる曲に違いない。ツインバスというと当時はCozy Powellを連想する人が多かったと思うけど、Terry Bozzioは更に無数のシンセタムを多用して芸術的。Missing Personsを脱退した後は更に多くのタム、シンバルを備えて、「要塞」ドラムセットがトレードマーク化している。今でもL.A.とかでドラムクリニックとかやってるドラムオタクだ。2008年の日本公演時に知り合った日本人女性と再婚して現在に至っているはず。その相方の氏名が僕の友人と同姓同名なので、当時は「まさか・・・」と思ったんだけど、やっぱり別人のようでした。
で、Hopscotchはこの遊びの意味から転じて、不規則にジャンプする様の例えに使われる用語になってるんだけど、「それが国際課税にどう関係あんの?」っていうと、実にテクニカルな関係にある。
通常の配当は、当たり前だけど、米国株主が持分を保有するCFCからしか受け取ることができない。下層に位置するCFCから配当を受け取るには、米国株主が直接持分を保有する上層のCFC経由とせざるを得ない。となると、配当は課税されてたけど外国税額控除が計上できた従来、不利な形でしか米国から資金を還流することができないこともある。従来の国際税務システム下では、米国で追加の法人税支払いが発生するような形で資金を米国に還流するのは米国企業的にはタブーに近かった。例えばせっかく下層のCFCがHigh Tax Pool(すなわち米国の法人税をフルに外国税額控除で消去できる状態)でも、上層CFCがLow Tax Poolだったりすると、米国株主はHigh Tax Poolに基づく外国税額控除の最大限化が達成できないことになる。
そこで登場するのがHopscotchを利用したSection 956合算。子供たちが脈絡なくジャンプするように、 どんなに下層に位置するCFCからでも、米国に貸付とかすることで、思うがままに自由にジャンプして目的地に向かって配当を引いてくるようなフィクションを演出してくれるSection 956合算課税 は賢い納税者にとって、またとない弾力的な外国税額控除プラニング手法となっていく。例えば、さっきの例で、下層CFCが米国株主に貸付をすると、下層CFCのE&Pの範囲で、あたかも配当があったかのように米国株主が課税され、その際に、下層CFCのみのTax Poolを基に外国税額控除を計算でき、実際に上層CFC経由で配当を受け取るより有利な計算となる。議会がCFCからの配当課税迂回に網を掛けるために制定した条文を、合法的に自ら有利なプラニング手法として逆手に取るのが得意な米国多国籍企業のお家芸だ。まさに面目躍如状態。
またも「してやられた」形の議会は対抗規定を制定する。これが2010年のHopscotch対抗条文として新設されたSection 960(c)だ。この対抗策は、Section 956で直接下層CFCの所得を合算させられるにもかかわらず、外国税額控除の計算目的では、実際の配当同様に米国株主が保有する持分チェーンを通じてE&Pがフローアップしてきたかのように考えるというものだ。
対抗策は旧Section 960の一部を構成していたけど、この旧Section 960全体の従来の機能はSubpart FやSection 956で米国株主が実際に配当を受け取ることなく課税される場合には、実際に配当を受け取ったかの如く、外国税額控除を認めましょう、というもので、それにかかわる諸々の複雑な規定が盛り込まれていた。税制改正で、実際の配当にかかわる外国税額控除が撤廃されてしまったので、Section 960はその存在感を増し、Section960の構成に大幅にメスが入る。旧Section 960(b)が(c)になったりして以前のSection 960を少しでも知っている者にとっては超分かり難い状態に生まれ変わってしまった。そのプロセスでHopscotch対抗規定だったSection 旧Section 960(c)はなくなってしまい、結果として、Section 956 は温存される一方、Hopscotchは復活OKというチョッと信じられない状況となっていた。
昔から、このSection 956って、知らないうちに間違えて抵触しちゃうか、逆に良く知っている納税者(の起用する法律事務所やBig 4の国際税務部門)がアクティブにプラニングに利用しているか、のどちらかの局面で登場することが多かった。Section 304と並んで、取引形態と税務上の取り扱いが大きく乖離しているので、直感的に分かり難い規定の代表だろう。税法改正により、Hopscotchが復活の上、Section 956 は温存と言う思いもよらない結果となり、CFCの実際の配当を基とする外国税額控除のGeneral Basket枠が無くなってしまった今日、Section 956こそがGeneral Basket対策の有効な対策の決め手となり得るのでは、と模索を開始していた。
そんな淡い期待は急に登場したSection 956の規則案で振り出しに戻ることとなった。次回は簡単に規則案の内容そのものについて。
Tuesday, September 25, 2018
米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)「Unplugged」(3) – GILTI (3)
前回、GILTI合算課税の概念的な部分に触れたけど、じゃあ、それを実際にどんなストラクチャーで実現しようとしているのか、っていうのが今日からの話し。
しつこくて、皆さん(特にEY NYCのタックスチームのみんな(苦笑))耳にタコができちゃんじゃないかと心配だけど、GILTIは米国株主の属性だ。だけど、その算定をする過程でCFC側の複数の数字を利用する。何がCFCレベルで、何が米国株主レベルの算定なのか、っていう点をよ~く考えてアプローチしないと何の話しをしてるんだか分からなくなるし、また、従来のクロスボーダー課税システム下で規定されている項目との整合性とか不整合性が分からなくなる。ここは新しいコンセプトなんで面食らう感じはあるけど、絶対に押さえておかないといけないポイントだ。財務省も同じように感じているようで、GILTI規則案は、算定式を構成する各項目に関して、いちいち「これはCFC側の計算です」とか「これは米国株主側の計算となります」としつこく解説している。さすが従来のクロスボーダー課税を知り尽くしている財務省、IRSの重鎮弁護士チームの執筆だけのことはあり、説明は分かり易い。
まず、GILTI合算課税の対象となる納税者は「CFC」の「米国株主」となる。双方とも税法上で規定されている用語で、ここは従来からのCFC課税であるSubpart F所得合算の定義をそのまま適用することになる。すなわち、米国株主とは米国人(パートナーシップとかTrustを含む)で、外国法人の10%以上の持分を保有する者だ。税制改正以前は、10%保有かどうかの判断は、議決権のみを基に行ってたけど、税制改正後は議決権に加え、価値ベースに基づく判断も必要となった。また、米国株主かどうかの判断時に、以前は適用が敢えてTurn Offされていた「Downward Attribution」もTurn Onされ、加味されることとなった。このDownward Attributionは、外国に居る50%以上の株主が保有する他法人の株式はあたかも自分が全て保有していると取り扱うという厳しい規定だ。これらのことから、米国株主の数、そして間接的にCFCの数、は以前よりも大きく増えることになる。米国株主とかCFCの新定義は、GILTI目的だけではなく、従来のSubpart F所得の今後の合算時にも同様に適用される。
GILTIは米国株主側で算定される「一つ」の所得だけど、その計算は各CFCで始まる。
具体的には、2018年1月1日以降に開始するCFCの事業年度から、各CFCがCFCレベルで「Tested Income(Loss)」という米国税法ベースの金額を算定する。これは各CFCで米国税法ベースの課税所得を算定し、そこから当所得に適切に対応する外国法人税をマイナスした税引後所得を意味する。え~、ってことは200社CFCがあったら、200の米国申告書を作成するようなもの。かなりのコンプライアンス負荷だ。で、このTested Income(Loss)はCFCレベルの算定だけど、これを米国株主が保有する全CFCのTested IncomeとLossの持分相当(Pro-Rata Share)を通算し、ひとつの「Net Tested Income」という金額を算定する。Tested Income(Loss)がCFCの属性なのと対照的に、Net Tested Income(Loss)は米国株主側の属性となる。
このNet Tested Incomeからルーティン所得となる「ネットみなし有形資産リターン(Net Deemed Tangible Income Return = Net DTIR」を差し引いた金額がGILTIだ。このみなし有形資産リターンを差し引いた残りの金額は、事実関係としてどのような所得であってもみなしで無形資産所得と認定される。GILTIという用語の2番目の「I」が無形資産となる理由だ。
で、このNet DTIRという金額は米国株主側の属性だけど、これもその算定は各CFCレベルのQBAIと略される有形償却資産のネット簿価から始まる。これをNet Tested Incomeの算定時にそうしたように、米国株主が保有する全CFCのQBAIのPro-Rata Shareを通算し、それに10%を掛ける。これが米国株主が保有する全CFCのみなしルーティン所得となる。Net DTIRはここからCFC側の支払利息のうち、Tested Income(Loss)の算定時に取り込まれている金額を差し引いて確定する。Net DTIRはGILTIからシェルターされる金額なので、大きい方が納税者としては有利。なので、支払利息で減額させられるのは不利な結果となる。減額に使用される支払利息の例外に、同じ米国株主が保有する他のCFCがTested Income算定時に受取利息として認識している部分があり、この部分は減額は含まないとされる。この部分の計算法に関しては、規則案で簡便法が規定されたので、詳細は後日。
ちなみにQBAIは、プラスのTested Incomeを計上しているCFCが保有する有形償却資産のネット簿価を米国株主側で合算し10%を乗じた金額から特定支払利息を差し引いた金額となる。ここで注意が必要なのは、プラスのTested Incomeを持つCFCの有形償却資産のネット簿価のみが加味される点。一方で、マイナス要因となる支払利息は全てのCFCからのPro-Rata Shareを取り込まなくてはいけない。う~ん、算式としてはチョッと不公平(?)。
で、Net Tested IncomeからNet DTIRを差し引いた金額がGILTIとなり、米国株主はこの金額を課税所得として自分の申告時に取り込むことが求められる。GILTIは一旦全額合算された後、GILTI50%相当額の所得控除が認められる。いきなり50%を合算するのではなく、合算は100%した上で控除を計上する。この想定控除は、GILTIを通常の法人税率21%の半分、10.5%で課税するためのものだけど、課税所得制限があり、常に控除が取れるとは限らない。控除が取れなかったり、制限されてしまうと、CFCの所得はGILTI合算する範囲で、二重課税となり、現地の法人税に加えて、実質、米国で最高21%の税コストが発生することとなる。そんなことになると、現地での税率次第では、今時珍しい50%近い実効税率になったりして恐ろしい。
仮に控除が取れると、概念的にはGILTIには10.5%の米国法人税が課せられることになる。そこから「Tested Incomeに適切に対応していると認められる(「Properly attributable」)外国法人税に、GILTI合算%を掛け、さらにそこに80%を掛けた金額がようやく制限枠前の外国税額控除の対象となる。Properly attributableって概念的には聞こえはいいけど、実際どうやって計算すんの?って感じ。従来の間接税額控除は「Tax Pool」と言って、留保所得も外国法人税も全て累積(=Pool)させておいて、配当があったり、合算課税があったりすると、留保所得に占める課税額の%を機械的にTax Poolから取り崩して控除対象としていた。僕たちはこの方法に慣れている、というかTax Poolの計算しか知らないので、急にPoolingシステムが撤廃されて「Properly attributable」とか言われても面食らうばかり。米国から見たCFCの所得認識は、外国現地の税法と額もタイミングも異なるだろうし、場合によっては課税年度も異なることもある。Poolingはその手の「ミスマッチ」を自然解消させてくれる効果を持ってた素晴らしい仕組みだった。でも「Properly attributable」ではそうは行かない。GILTIバスケットの外国税額控除は法人税が超過となるExcess Creditの場合、繰り戻しも繰り越しも認められないことから、このダメージは潜在的に大きい。頭をTax Poolから切り替えるのに時間が掛かりそうだ。2018年中に公表が予想される外国税額控除に特化した財務省規則案パッケージが待ち遠しい。外国税額控除パッケージはもしかしたら多くの規則案パッケージでも最重要ガイダンスと言ってもいい。
外国法人税のうちGILTIにかかわる部分の80%が税額控除の対象となることから、理論的には、GILTIが合算課税されても「CFCが国外で13.125%(10.5%÷80%)の法人税を支払っていれば、米国では追加法人税が発生しないので安心して下さい」というようにも聞こえるが、それは外国税額控除を大学のクラス初日にモデルケースで学習するようなもの。実際には外国税額控除の算定時には、米国株主側の費用、支払利息、R&D、株主によるスチュワードシップ費用、その他をGILTIバスケットに配賦する必要があるはずで、どんなにCFCが高税率で外国法人税を支払ってても、米国株主側の制限枠の関係で、外国税額控除が10.5全額完全に取り切れず、米国で何らかの追加法人税を負担することになるケースがほとんどだろう。
で、ここからは各項目の算定にかかわる考え方を規則案の規定を中心にもう少し掘り下げて行きたい。
しつこくて、皆さん(特にEY NYCのタックスチームのみんな(苦笑))耳にタコができちゃんじゃないかと心配だけど、GILTIは米国株主の属性だ。だけど、その算定をする過程でCFC側の複数の数字を利用する。何がCFCレベルで、何が米国株主レベルの算定なのか、っていう点をよ~く考えてアプローチしないと何の話しをしてるんだか分からなくなるし、また、従来のクロスボーダー課税システム下で規定されている項目との整合性とか不整合性が分からなくなる。ここは新しいコンセプトなんで面食らう感じはあるけど、絶対に押さえておかないといけないポイントだ。財務省も同じように感じているようで、GILTI規則案は、算定式を構成する各項目に関して、いちいち「これはCFC側の計算です」とか「これは米国株主側の計算となります」としつこく解説している。さすが従来のクロスボーダー課税を知り尽くしている財務省、IRSの重鎮弁護士チームの執筆だけのことはあり、説明は分かり易い。
まず、GILTI合算課税の対象となる納税者は「CFC」の「米国株主」となる。双方とも税法上で規定されている用語で、ここは従来からのCFC課税であるSubpart F所得合算の定義をそのまま適用することになる。すなわち、米国株主とは米国人(パートナーシップとかTrustを含む)で、外国法人の10%以上の持分を保有する者だ。税制改正以前は、10%保有かどうかの判断は、議決権のみを基に行ってたけど、税制改正後は議決権に加え、価値ベースに基づく判断も必要となった。また、米国株主かどうかの判断時に、以前は適用が敢えてTurn Offされていた「Downward Attribution」もTurn Onされ、加味されることとなった。このDownward Attributionは、外国に居る50%以上の株主が保有する他法人の株式はあたかも自分が全て保有していると取り扱うという厳しい規定だ。これらのことから、米国株主の数、そして間接的にCFCの数、は以前よりも大きく増えることになる。米国株主とかCFCの新定義は、GILTI目的だけではなく、従来のSubpart F所得の今後の合算時にも同様に適用される。
GILTIは米国株主側で算定される「一つ」の所得だけど、その計算は各CFCで始まる。
具体的には、2018年1月1日以降に開始するCFCの事業年度から、各CFCがCFCレベルで「Tested Income(Loss)」という米国税法ベースの金額を算定する。これは各CFCで米国税法ベースの課税所得を算定し、そこから当所得に適切に対応する外国法人税をマイナスした税引後所得を意味する。え~、ってことは200社CFCがあったら、200の米国申告書を作成するようなもの。かなりのコンプライアンス負荷だ。で、このTested Income(Loss)はCFCレベルの算定だけど、これを米国株主が保有する全CFCのTested IncomeとLossの持分相当(Pro-Rata Share)を通算し、ひとつの「Net Tested Income」という金額を算定する。Tested Income(Loss)がCFCの属性なのと対照的に、Net Tested Income(Loss)は米国株主側の属性となる。
このNet Tested Incomeからルーティン所得となる「ネットみなし有形資産リターン(Net Deemed Tangible Income Return = Net DTIR」を差し引いた金額がGILTIだ。このみなし有形資産リターンを差し引いた残りの金額は、事実関係としてどのような所得であってもみなしで無形資産所得と認定される。GILTIという用語の2番目の「I」が無形資産となる理由だ。
で、このNet DTIRという金額は米国株主側の属性だけど、これもその算定は各CFCレベルのQBAIと略される有形償却資産のネット簿価から始まる。これをNet Tested Incomeの算定時にそうしたように、米国株主が保有する全CFCのQBAIのPro-Rata Shareを通算し、それに10%を掛ける。これが米国株主が保有する全CFCのみなしルーティン所得となる。Net DTIRはここからCFC側の支払利息のうち、Tested Income(Loss)の算定時に取り込まれている金額を差し引いて確定する。Net DTIRはGILTIからシェルターされる金額なので、大きい方が納税者としては有利。なので、支払利息で減額させられるのは不利な結果となる。減額に使用される支払利息の例外に、同じ米国株主が保有する他のCFCがTested Income算定時に受取利息として認識している部分があり、この部分は減額は含まないとされる。この部分の計算法に関しては、規則案で簡便法が規定されたので、詳細は後日。
ちなみにQBAIは、プラスのTested Incomeを計上しているCFCが保有する有形償却資産のネット簿価を米国株主側で合算し10%を乗じた金額から特定支払利息を差し引いた金額となる。ここで注意が必要なのは、プラスのTested Incomeを持つCFCの有形償却資産のネット簿価のみが加味される点。一方で、マイナス要因となる支払利息は全てのCFCからのPro-Rata Shareを取り込まなくてはいけない。う~ん、算式としてはチョッと不公平(?)。
で、Net Tested IncomeからNet DTIRを差し引いた金額がGILTIとなり、米国株主はこの金額を課税所得として自分の申告時に取り込むことが求められる。GILTIは一旦全額合算された後、GILTI50%相当額の所得控除が認められる。いきなり50%を合算するのではなく、合算は100%した上で控除を計上する。この想定控除は、GILTIを通常の法人税率21%の半分、10.5%で課税するためのものだけど、課税所得制限があり、常に控除が取れるとは限らない。控除が取れなかったり、制限されてしまうと、CFCの所得はGILTI合算する範囲で、二重課税となり、現地の法人税に加えて、実質、米国で最高21%の税コストが発生することとなる。そんなことになると、現地での税率次第では、今時珍しい50%近い実効税率になったりして恐ろしい。
仮に控除が取れると、概念的にはGILTIには10.5%の米国法人税が課せられることになる。そこから「Tested Incomeに適切に対応していると認められる(「Properly attributable」)外国法人税に、GILTI合算%を掛け、さらにそこに80%を掛けた金額がようやく制限枠前の外国税額控除の対象となる。Properly attributableって概念的には聞こえはいいけど、実際どうやって計算すんの?って感じ。従来の間接税額控除は「Tax Pool」と言って、留保所得も外国法人税も全て累積(=Pool)させておいて、配当があったり、合算課税があったりすると、留保所得に占める課税額の%を機械的にTax Poolから取り崩して控除対象としていた。僕たちはこの方法に慣れている、というかTax Poolの計算しか知らないので、急にPoolingシステムが撤廃されて「Properly attributable」とか言われても面食らうばかり。米国から見たCFCの所得認識は、外国現地の税法と額もタイミングも異なるだろうし、場合によっては課税年度も異なることもある。Poolingはその手の「ミスマッチ」を自然解消させてくれる効果を持ってた素晴らしい仕組みだった。でも「Properly attributable」ではそうは行かない。GILTIバスケットの外国税額控除は法人税が超過となるExcess Creditの場合、繰り戻しも繰り越しも認められないことから、このダメージは潜在的に大きい。頭をTax Poolから切り替えるのに時間が掛かりそうだ。2018年中に公表が予想される外国税額控除に特化した財務省規則案パッケージが待ち遠しい。外国税額控除パッケージはもしかしたら多くの規則案パッケージでも最重要ガイダンスと言ってもいい。
外国法人税のうちGILTIにかかわる部分の80%が税額控除の対象となることから、理論的には、GILTIが合算課税されても「CFCが国外で13.125%(10.5%÷80%)の法人税を支払っていれば、米国では追加法人税が発生しないので安心して下さい」というようにも聞こえるが、それは外国税額控除を大学のクラス初日にモデルケースで学習するようなもの。実際には外国税額控除の算定時には、米国株主側の費用、支払利息、R&D、株主によるスチュワードシップ費用、その他をGILTIバスケットに配賦する必要があるはずで、どんなにCFCが高税率で外国法人税を支払ってても、米国株主側の制限枠の関係で、外国税額控除が10.5全額完全に取り切れず、米国で何らかの追加法人税を負担することになるケースがほとんどだろう。
で、ここからは各項目の算定にかかわる考え方を規則案の規定を中心にもう少し掘り下げて行きたい。
Monday, September 24, 2018
過少資本税制最終規則「文書化要件」ようやく撤廃
オバマ政権末期の2016年10月21日に駆け込みセーフ的に最終化されて大きな議論を呼んだ「Debt/Equity Classification」(俗にいう「過少資本税制」)の財務省最終規則。
トランプ政権発足の暁には、TPP脱退と同じ勢いで即撤廃かと期待していたんだけど、意外にしぶとくて、ようやく2017年10月になって、税制改正を待って対処するようなNoticeが発行されていた。その際のコメントから、BEAT、163(j)、Anti-Hybrid、GILTIと、これでもかという位Base Erosion対策が充実した今、満を持して全章撤廃か、と思いきや、先週の金曜日(2018年9月21日)、財務省は新たな規則案を公表し、最終規則の一部となる「文書化要件」を撤廃するに留まった。
関連者間ローンに関して、文書化の存在が問われるのは当然といえば当然なんだけど、最終規則の文書化要件は、通常の関連者間ローンばかりでなく、チョッとした未払金とか場合によっては買掛金とかが対象になり得たり、グループ内キャッシュプーリングのような反復して取引が行われるものにも厳しい要件が突きつけられていて実務的な対応が困難と言うか、納税者側の負荷が高いものとなっていた。
また、文書化するべき内容も、返済可能性にかかわる詳細なサポートとか、債務不履行時に契約通りに法的措置を実行している実績記録など、必ずしも従来の関連者間ローンでは網羅されていないであろう条項にも突っ込んで要求していた。また、恐ろしいことに、最終規則の要件に準じる文書化が整備されていない場合には、どんなに安全かつ返済間違いないローンでも、文書化がないというその事実のみをもって借入を自動的に資本とみなすという「反証不可」の事実認定が規定されていて、チョッといくらなんでも行き過ぎでは、と思われていた。規則発表時には、2018年1月1日以降の関連者間ローンに適用とされてたけど、その後、それが2019年1月1日に延期され、今回とうとう廃案となっている。
今後、財務省は新たな文書化要件を規則化するかもしれない、というようなことが規則案の前文に記載されているけど、その際には、納税者の負荷を考えてよりシンプルなものにしてくれるそうだ。
ただ、油断大敵なのは、上で触れたような最終規則下での厳し過ぎる文書化要件は撤廃されたけど、判例ベースの過少資本税制下で従来から必要とされている文書化要件はそのまま存在する。なんで、普通の関連者間ローンは今まで通り、文書化はMustと考えておいた方が無難。特に過剰なレバレッジを利かせるようなケースでは、返済可能性もCash Flowのモデリングその他の文書化でサポートしておかないと判例ベースで資本とみなされるリスクは充分に存在し続ける。
ちなみに、文書化要件と並び、最終規則には、実はもっと複雑で恐ろしい「Funding規定」っていうのがある。これは一定額以上の配当、グループ内株式譲渡、資産取得型適格組織再編、という取引が関連者からの借り入れ前後3年、計6年以内に存在すると、借入を税務上、資本同様と取り扱うというもの。これは今でも現存しており、さらに適用開始は2016年だったので、既に法的な効果を有している。こっちは撤廃されてないことから、こちらのコンプライアンスは皆さん大丈夫でしょうか。
トランプ政権発足の暁には、TPP脱退と同じ勢いで即撤廃かと期待していたんだけど、意外にしぶとくて、ようやく2017年10月になって、税制改正を待って対処するようなNoticeが発行されていた。その際のコメントから、BEAT、163(j)、Anti-Hybrid、GILTIと、これでもかという位Base Erosion対策が充実した今、満を持して全章撤廃か、と思いきや、先週の金曜日(2018年9月21日)、財務省は新たな規則案を公表し、最終規則の一部となる「文書化要件」を撤廃するに留まった。
関連者間ローンに関して、文書化の存在が問われるのは当然といえば当然なんだけど、最終規則の文書化要件は、通常の関連者間ローンばかりでなく、チョッとした未払金とか場合によっては買掛金とかが対象になり得たり、グループ内キャッシュプーリングのような反復して取引が行われるものにも厳しい要件が突きつけられていて実務的な対応が困難と言うか、納税者側の負荷が高いものとなっていた。
また、文書化するべき内容も、返済可能性にかかわる詳細なサポートとか、債務不履行時に契約通りに法的措置を実行している実績記録など、必ずしも従来の関連者間ローンでは網羅されていないであろう条項にも突っ込んで要求していた。また、恐ろしいことに、最終規則の要件に準じる文書化が整備されていない場合には、どんなに安全かつ返済間違いないローンでも、文書化がないというその事実のみをもって借入を自動的に資本とみなすという「反証不可」の事実認定が規定されていて、チョッといくらなんでも行き過ぎでは、と思われていた。規則発表時には、2018年1月1日以降の関連者間ローンに適用とされてたけど、その後、それが2019年1月1日に延期され、今回とうとう廃案となっている。
今後、財務省は新たな文書化要件を規則化するかもしれない、というようなことが規則案の前文に記載されているけど、その際には、納税者の負荷を考えてよりシンプルなものにしてくれるそうだ。
ただ、油断大敵なのは、上で触れたような最終規則下での厳し過ぎる文書化要件は撤廃されたけど、判例ベースの過少資本税制下で従来から必要とされている文書化要件はそのまま存在する。なんで、普通の関連者間ローンは今まで通り、文書化はMustと考えておいた方が無難。特に過剰なレバレッジを利かせるようなケースでは、返済可能性もCash Flowのモデリングその他の文書化でサポートしておかないと判例ベースで資本とみなされるリスクは充分に存在し続ける。
ちなみに、文書化要件と並び、最終規則には、実はもっと複雑で恐ろしい「Funding規定」っていうのがある。これは一定額以上の配当、グループ内株式譲渡、資産取得型適格組織再編、という取引が関連者からの借り入れ前後3年、計6年以内に存在すると、借入を税務上、資本同様と取り扱うというもの。これは今でも現存しており、さらに適用開始は2016年だったので、既に法的な効果を有している。こっちは撤廃されてないことから、こちらのコンプライアンスは皆さん大丈夫でしょうか。
Saturday, September 15, 2018
米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)「Unplugged」(3) – GILTI (2)
さて、GILTI財務省規則案の公表から一夜明けて、落ち着いて考えてみたけど、やっぱり、そんなに大きな驚きはない規則内容っていう印象は変わらなかった。どうしても腑に落ちないのは米国パートナーシップが持つCFCの扱い。ポリシー的な議論はとても良く分かるけど、規則案で提案されている解決策は法文解釈上、無理がある気がしてならない。ここは引き続き考えてみるけど、この部分の困難さも、前から言ってる弊害のひとつで、つまり、元々CFCレベルの属性となるSubpart F所得合算課税のインフラを流用して、米国株主側の属性として規定されているGILTI課税を実行しようとして無理というか、矛盾が生じているひとつの代表例だろう。他にも、この不整合を理由に余計な規則を決めないといけない点は多くみられる。留保所得の一括課税システムにも同様の問題が存在する。なので、留保所得の仕組みを良く理解することが、今後の米国のクロスボーダー課税の理解の一助となる。
GILTI合算課税のメカニズムの全容は、GILTI合算、50%控除、外国税額控除、と「3本立て」で構成されるけど、今回のGILT規則案は最初の「GILTI合算」という基本的にメカニカルな部分のみにフォーカスしているので、比較的、挑発的(?)なものになり難かったんだろう。「3本立て」って言うと、その昔、まだ小学生から中学生になる頃、ビートルスの映画を見に行くと間違いなく「A Hard Day’s Night」、「Help」、「Let it Be」の3本立てだった。要はロードショー落ちしていたってことなんだろうけど、新宿武蔵野館とか有楽町のスバル座とかでたま~に思い出したように上映されてたものだ。もちろん未だYouTubeとかない時代だったし、「動いてる」外国のアーティストの演奏姿を見るには、ライブに行くか、記録映画みたいなのを見るか、ファンクラブ(!)主催のフィルムフェスティバルっていう今ではないかもしれない企画に行くか、位のチョイスしかなかった。
ビートルズのフィルム、特に本当のライブを収録しているLet it Beとか見た時は感動したし、勉強(?)にもなった。耳でコピーしていると分からない微妙なコードの押さえ方とか。ピアノのような鍵盤楽器と異なり、ギターは同じ音程のAでも、押さえるフレットのチョイスが3つくらいある。そのうち、どこを押さえているのかは、各アーティストの癖(これは絶対にある)、その音の伸びとか、Distortionの掛かり具合、さらにビブラートの掛かり方で解放弦かフレット押さえているか、次のコードに移る時にどれだけ難なく指を動かせるか、等を総合的に判断して耳で推測するけど、必ずしも当らない。目で見れば直ぐに分かることなんだけどね。Led ZeppelinのマディソンスクエアガーデンでのNYCライブ映画「The Song Remains the Same」を見た時にJimmy Pageがリフを構築する際に、どれだけうまく解放弦を利用しているのかを知って、かなりショックを受けたこともある。Heartbreakerのリフも、プラス、ソロの部分も解放弦が多用されていて、チョーキングの代わりにギターのヘッドの弦を巻く部分にピックを差し込んで、音を上げたり、一度目で見ると、簡単に本人と同じ感じの音が出せるようになる。
ビートルズも、特にJohn Lennonのコードの押さえ方って、何となく独特で、Dとか、フレット2を人差し指でバシっと全部押さえて、2弦は3フレット、4弦は4フレット、5弦は5フレットでやってることが多いし、またAは、普通に2弦、3弦、4弦は2フレットを押さえるんだけと、プラスで1弦の5フレットを小指で押さえるんだよね。更にそのまま、2弦と4弦の3フレットと4フレット(1弦の5フレットは押さえたまま)を乗せるとDになり(5弦の解放弦まで音を出すとD on A)何ともビートルズっぽい響きとなる。ロンドンのSeville Rowのビル(あそこは最近はA+Fのお店になってるけど、何回言ってもビートルズの香りがするビル)のRooftopのI’ve Got a Feelingなんて、その2つの押さえ方でほぼ曲ができちゃってるしね。Gも基本の1弦3フレット、5弦2フレット、6弦3フレットに加え、大概のケースで2弦の3フレットも押さえている。
Jimi Hendrixも最初に「動いてる」の見たのは、新宿の厚生年金ホールでBiography的な記録映画を3日限定で(しかも日によって中野サンプラだったり場所が違って)公開した時。学校を「早引き」して新宿でチケットを買ってドキドキしてた頃だ。こちらも、レコード(CDとかMP3ではない)で聴いて想像してたのと全然違って、文字通り腰が抜けそうに感動したのを覚えてる。OpeningのモントレーポップフェスティバルのRock Me Baby。今ではYouTubeで毎日見れるけど、いつ見ても格好いい。このRock Me Baby、曲とかリフは同じだけど、歌詞だけ変えてLover Manっていう別名でライブで演奏しているバージョンもある。でも、やっぱりデビュー当時の未だクリーンな感じの時期のライブとなるモントレーのRock Me Babyの方が断然切れ味がいい。最初のリフのところで唸ってる部分は親指を駆使してたのか~、とか目で見ないと計り知れない発見があった(ギター弾かない人のために言っとくけど、普通親指で弦を押さえたりしない)。ちなみにLover Manは Hendrix in the Westっていうライブアルバムに入ってる。このアルバムは中学の頃、Red Houseとか含めて「まるごと」ギターでコピーしたアルバム。なんで、音のすみずみまで頭に叩き込まれているけど、近年、同じアルバムをiTuneでダウンロードしてみてビックリ。何と、Voodoo ChileとLittle WingのライブTakeが昔のビニール版(すなわちレコード)と異なるTakeになってた。どっちの曲も間違いなく、レコードに収録されていた過去のバージョンの方が出来がいい。で、気になったのでいろいろ調べたところ、昔レコードに入ってたバージョンは著作権絡みの問題が発生して、公にできないバージョンとなったそう。ということは、MDRの倉庫に眠っている僕の12インチのプラスティックは超貴重品ってことか。でも、今頃カビが生えてもう音出ないかもね。
と、またしても別の話しで盛り上がり過ぎないように、この辺でGILTIに戻るけど、つまり、今回の規則案は、3本立ての映画見に行ったつもりが、「A Hard Day's Night」だけ見て、「Help」と「Let it Be」は各々、秋と冬に後日上映と言われているような感じ。
規則案では、冒頭にGILTIの基本的なストラクチャー的な規定をしているけど、仕組みの話に入る前に、まずはGILTIの概念について個人的にお説教(?)させて頂きたく。
1962年のケネディー政権時から米国にも長く存在するSubpart F所得合算規定とか、他国の所謂CFC課税とかは既にそれなりも歴史もあり、各国のアプローチも多かれ少なかれ似てて、国際税務に関与している者にとってはその既成概念から脱するのは難しく、GILTIも一瞬、それらと同類に見えるかもしれない。でもGILTIの背景や趣旨は全然異なる。CFC課税っていうのは、簡単に外国に移転できるタイプの特定の所得をターゲットにして、本当は米国とか本国の株主が直接認識するべきだから、不当に外国に流出しているので合算してしまうというもの。配当課税が普通だった以前は基本Anti-Deferralの機能を果たしてたけど、多くの国がテリトリアル課税になってからはAnti-Deferralではなく、本来は本国で最初から課税されるべき所得っていう趣旨に変わって行ってたと言える。
GILTIはそうではない。GILTI導入の背景は、米国外のCFCが相対的に大きな利益を上げ過ぎている、それも価値のある無形資産の利用を含む比較的、付加価値の高い活動が合法的に海外に配置されてしまっていることで海外の利益が最大限化されているという懸念に基づくものと言える。なので、Anti-Deferralとか、本来は米国の所得なので米国でその分は課税というアプローチではなく、外国で認識するべき所得というのは、そうなんだけど、それはそうと認めた上、それに対しても米国でミニマム税を課そうというもの。すなわち、所得のタイプを問わず単純に米国課税ネットを全世界に拡大している法律だ。
GILTIの正式名称は「Global Intangible Low-Taxed Income」だけど、敢えて日本語に訳すと、「米国外軽課税無形資産所得」とでもなるだろうか。ただ、GILTIという名称はかなりMisleading。CFCが高税率で課税されていても、無形資産を見ためは保有していなくても、機械的な算定式に基づきGILTI合算課が発生する。
ここからはGILTIの仕組みに移るので次回。
GILTI合算課税のメカニズムの全容は、GILTI合算、50%控除、外国税額控除、と「3本立て」で構成されるけど、今回のGILT規則案は最初の「GILTI合算」という基本的にメカニカルな部分のみにフォーカスしているので、比較的、挑発的(?)なものになり難かったんだろう。「3本立て」って言うと、その昔、まだ小学生から中学生になる頃、ビートルスの映画を見に行くと間違いなく「A Hard Day’s Night」、「Help」、「Let it Be」の3本立てだった。要はロードショー落ちしていたってことなんだろうけど、新宿武蔵野館とか有楽町のスバル座とかでたま~に思い出したように上映されてたものだ。もちろん未だYouTubeとかない時代だったし、「動いてる」外国のアーティストの演奏姿を見るには、ライブに行くか、記録映画みたいなのを見るか、ファンクラブ(!)主催のフィルムフェスティバルっていう今ではないかもしれない企画に行くか、位のチョイスしかなかった。
ビートルズのフィルム、特に本当のライブを収録しているLet it Beとか見た時は感動したし、勉強(?)にもなった。耳でコピーしていると分からない微妙なコードの押さえ方とか。ピアノのような鍵盤楽器と異なり、ギターは同じ音程のAでも、押さえるフレットのチョイスが3つくらいある。そのうち、どこを押さえているのかは、各アーティストの癖(これは絶対にある)、その音の伸びとか、Distortionの掛かり具合、さらにビブラートの掛かり方で解放弦かフレット押さえているか、次のコードに移る時にどれだけ難なく指を動かせるか、等を総合的に判断して耳で推測するけど、必ずしも当らない。目で見れば直ぐに分かることなんだけどね。Led ZeppelinのマディソンスクエアガーデンでのNYCライブ映画「The Song Remains the Same」を見た時にJimmy Pageがリフを構築する際に、どれだけうまく解放弦を利用しているのかを知って、かなりショックを受けたこともある。Heartbreakerのリフも、プラス、ソロの部分も解放弦が多用されていて、チョーキングの代わりにギターのヘッドの弦を巻く部分にピックを差し込んで、音を上げたり、一度目で見ると、簡単に本人と同じ感じの音が出せるようになる。
ビートルズも、特にJohn Lennonのコードの押さえ方って、何となく独特で、Dとか、フレット2を人差し指でバシっと全部押さえて、2弦は3フレット、4弦は4フレット、5弦は5フレットでやってることが多いし、またAは、普通に2弦、3弦、4弦は2フレットを押さえるんだけと、プラスで1弦の5フレットを小指で押さえるんだよね。更にそのまま、2弦と4弦の3フレットと4フレット(1弦の5フレットは押さえたまま)を乗せるとDになり(5弦の解放弦まで音を出すとD on A)何ともビートルズっぽい響きとなる。ロンドンのSeville Rowのビル(あそこは最近はA+Fのお店になってるけど、何回言ってもビートルズの香りがするビル)のRooftopのI’ve Got a Feelingなんて、その2つの押さえ方でほぼ曲ができちゃってるしね。Gも基本の1弦3フレット、5弦2フレット、6弦3フレットに加え、大概のケースで2弦の3フレットも押さえている。
Jimi Hendrixも最初に「動いてる」の見たのは、新宿の厚生年金ホールでBiography的な記録映画を3日限定で(しかも日によって中野サンプラだったり場所が違って)公開した時。学校を「早引き」して新宿でチケットを買ってドキドキしてた頃だ。こちらも、レコード(CDとかMP3ではない)で聴いて想像してたのと全然違って、文字通り腰が抜けそうに感動したのを覚えてる。OpeningのモントレーポップフェスティバルのRock Me Baby。今ではYouTubeで毎日見れるけど、いつ見ても格好いい。このRock Me Baby、曲とかリフは同じだけど、歌詞だけ変えてLover Manっていう別名でライブで演奏しているバージョンもある。でも、やっぱりデビュー当時の未だクリーンな感じの時期のライブとなるモントレーのRock Me Babyの方が断然切れ味がいい。最初のリフのところで唸ってる部分は親指を駆使してたのか~、とか目で見ないと計り知れない発見があった(ギター弾かない人のために言っとくけど、普通親指で弦を押さえたりしない)。ちなみにLover Manは Hendrix in the Westっていうライブアルバムに入ってる。このアルバムは中学の頃、Red Houseとか含めて「まるごと」ギターでコピーしたアルバム。なんで、音のすみずみまで頭に叩き込まれているけど、近年、同じアルバムをiTuneでダウンロードしてみてビックリ。何と、Voodoo ChileとLittle WingのライブTakeが昔のビニール版(すなわちレコード)と異なるTakeになってた。どっちの曲も間違いなく、レコードに収録されていた過去のバージョンの方が出来がいい。で、気になったのでいろいろ調べたところ、昔レコードに入ってたバージョンは著作権絡みの問題が発生して、公にできないバージョンとなったそう。ということは、MDRの倉庫に眠っている僕の12インチのプラスティックは超貴重品ってことか。でも、今頃カビが生えてもう音出ないかもね。
と、またしても別の話しで盛り上がり過ぎないように、この辺でGILTIに戻るけど、つまり、今回の規則案は、3本立ての映画見に行ったつもりが、「A Hard Day's Night」だけ見て、「Help」と「Let it Be」は各々、秋と冬に後日上映と言われているような感じ。
規則案では、冒頭にGILTIの基本的なストラクチャー的な規定をしているけど、仕組みの話に入る前に、まずはGILTIの概念について個人的にお説教(?)させて頂きたく。
1962年のケネディー政権時から米国にも長く存在するSubpart F所得合算規定とか、他国の所謂CFC課税とかは既にそれなりも歴史もあり、各国のアプローチも多かれ少なかれ似てて、国際税務に関与している者にとってはその既成概念から脱するのは難しく、GILTIも一瞬、それらと同類に見えるかもしれない。でもGILTIの背景や趣旨は全然異なる。CFC課税っていうのは、簡単に外国に移転できるタイプの特定の所得をターゲットにして、本当は米国とか本国の株主が直接認識するべきだから、不当に外国に流出しているので合算してしまうというもの。配当課税が普通だった以前は基本Anti-Deferralの機能を果たしてたけど、多くの国がテリトリアル課税になってからはAnti-Deferralではなく、本来は本国で最初から課税されるべき所得っていう趣旨に変わって行ってたと言える。
GILTIはそうではない。GILTI導入の背景は、米国外のCFCが相対的に大きな利益を上げ過ぎている、それも価値のある無形資産の利用を含む比較的、付加価値の高い活動が合法的に海外に配置されてしまっていることで海外の利益が最大限化されているという懸念に基づくものと言える。なので、Anti-Deferralとか、本来は米国の所得なので米国でその分は課税というアプローチではなく、外国で認識するべき所得というのは、そうなんだけど、それはそうと認めた上、それに対しても米国でミニマム税を課そうというもの。すなわち、所得のタイプを問わず単純に米国課税ネットを全世界に拡大している法律だ。
GILTIの正式名称は「Global Intangible Low-Taxed Income」だけど、敢えて日本語に訳すと、「米国外軽課税無形資産所得」とでもなるだろうか。ただ、GILTIという名称はかなりMisleading。CFCが高税率で課税されていても、無形資産を見ためは保有していなくても、機械的な算定式に基づきGILTI合算課が発生する。
ここからはGILTIの仕組みに移るので次回。
Friday, September 14, 2018
米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)「Unplugged」(3) – GILTI 財務省規則案ついに公表
先週からいつ公表されてもおかしくないと言われていたGILTIの規則案だけど、今日(2018年9 月13 日)、ようやく公表された。今回は157ページっていうことで比較的リーズナブル。昔だったら規則が100ページ超えてるとビックリしたけど、385とか965で感覚が麻痺しているのかも。あと、「前文(Preamble)」がやたら長いのも最近の傾向。前文って法的な位置づけが微妙だけど、規則の背景を知るには便利。
規則案の内容そのものの詳細は、今後何回か分けて追って行くとして、まず第一印象として、今回はGiLTIそのものの計算法を規定したに留まっているので、余り大きな驚きはなかった。あくまでも今のところ、だけど。議論を呼びそうなSection 78のグロスアップがどのバスケットに行くかとかの外国税額控除関係は別パッケージということだし、Section 163(j)に基づく支払利息損金算入制限の適用がCFCレベルでのTested Income算定時に適用されるのか、とかもSection 163(j)のパッケージを待たないといけない。
今回のGILTI規則案で面白かったのは、米国内パートナーシップがCFCを持っている場合の取り扱いとか、QBAI算定する際の有形償却資産の保有期間が12カ月に至らないと無視されてしまうとか、後、GILTIからシェルターされているみなしルーティング所得、Net Deemed Tangible Income Returnの算定時にマイナスが求められる支払利息の米国株主側での確定法、とかかな。
ということで、次回からGILTIの詳細。
規則案の内容そのものの詳細は、今後何回か分けて追って行くとして、まず第一印象として、今回はGiLTIそのものの計算法を規定したに留まっているので、余り大きな驚きはなかった。あくまでも今のところ、だけど。議論を呼びそうなSection 78のグロスアップがどのバスケットに行くかとかの外国税額控除関係は別パッケージということだし、Section 163(j)に基づく支払利息損金算入制限の適用がCFCレベルでのTested Income算定時に適用されるのか、とかもSection 163(j)のパッケージを待たないといけない。
今回のGILTI規則案で面白かったのは、米国内パートナーシップがCFCを持っている場合の取り扱いとか、QBAI算定する際の有形償却資産の保有期間が12カ月に至らないと無視されてしまうとか、後、GILTIからシェルターされているみなしルーティング所得、Net Deemed Tangible Income Returnの算定時にマイナスが求められる支払利息の米国株主側での確定法、とかかな。
ということで、次回からGILTIの詳細。
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