前回のポスティングは年末年始スペシャルだったんで専門外のGeopoliticsや米ドルの運命で調子でなかったけど、今日からまた米国税務。って思ったらトランプがダボスに行くって知ってチョッとビックリ。しかもダボス行きのAir Force Oneの電気系統がおかしくなって(オフィシャルには「Minor Electrical Issue」)離陸後に引き返すっていうハプニングも。僕らが普段から利用してるコマーシャルエアーだったら整備その他でキャンセル・遅延は珍しくないけどAir Force Oneの整備は鉄壁なはずだからこの話し額面通りに受け取っていいのかどうかチョッと怪しいよね。しかも離陸した後のUターンだからね。
トランプがダボスに行くのは既に半死のグローバリズムに総本山でとどめの一撃を加えに行くつもりだっただろうから(実際にそうなったけど…)、最高度の要人セキュリティで臨んでるんだろうけど去年2度の暗殺未遂に見るように常に危ない状況。そんな状況でのAir Force One引き返し事件は怪し過ぎ。石橋を叩いて渡る的な対応だった可能性もあるけどどこか釈然としない。もしかして最初の747型Air Force Oneはオトリで本当のトランプは最初から代替で急遽登用されバックアップAir Force Oneの一機に当たるC-32(空軍特別仕様のボーイング757)に居たとかね。考え過ぎじゃんって?かもね。まあ、一般市民の僕には知る術もない。ちなみにこの手の話しに詳しい人によると正確にはAir Force Oneっていうのは特定の機体の名称じゃなくて、大統領が搭乗しているAir Force機体のコールサインで、必ずしもいつもの747に限定されて使用される訳じゃないそうだ。C-32も国内移動で小さな空港に着陸する際に日頃から使用されることはあるとのこと。
う~ん、何があったんでしょうか。あくまで架空の世界で何らかの理由で大統領が交代するような事態になったらヤングMAGAの副大統領JDバンスがステップインするんで方向的に余り変わりはないっていうのは良く語られるところで、米国ではJDバンスはトランプの生命保険って言う人もいるほどだ。
で、ダボスでのトランプのスピーチは大方の予想よりソフトタッチだった感がある以外に大きな驚きはなかったけど(グリーンランドに関しては例によってTACOぶりが否めなかったけどこれも想定通りなのかな?)、欧州委員会首脳のアルセラの公演は面白いというかチョッと不思議だった。トランプにボロクソ言われたんで何らの形で米国の過去に触れなければって思ったのか、文脈的にチョッと唐突な感じでアルセラ曰く「1971年のニクソンショックでBretton Woods体制が終わり、その地殻変動によりグローバリズムが実現した」とし「そして今、また(今度はグローバリズムが終わる)次の時代の変革に際し過去の教訓から学び欧州は強くなくてはいけない…。独自の通貨も云々」とか。
あんまり深く聞いてなかったけどFiat Currency化して久しい米政府の無責任なMonetary政策や米ドル運営に釘を刺してたってことなのかな。Euroclearにあるロシア中央銀行の米ドル資産没収をちらつかせて米ドル基軸通貨Statusにみんなで引導を渡しておいて面白いね(SWIFTもEuroclearもせっかくDCとかNYCじゃなくてベルギーに設立したのにね)。ニクソンショックでBretton Woodsが終わった点はそうだし、また今日のような地殻変動時に各国が(Survivalモードの?)戦略策定待ったナシっていうのもそうだろうけど、今日直面しているグローバルリオーダーとニクソンショックをパラレルに描写している点、またニクソンショックでグローバリズムに至ったっていう演説内容は誰がスクリプトしたにしてもDeepな考察に基づくんだろう。そう解されてるんだね。ニクソンショックで米ドルが正式に金本位性じゃなくなって、既にFiat化してた欧州通貨等の他国通貨に仲間入りし、その後はFiat通貨の歴史の必然とでもいうべき身の丈に合わない量の紙幣を刷り続け今日の米ドルに至るけど、それがグローバリズム導入の助けっていう因果関係部分が個人的にはピンと来なかったんでもう少し勉強します。国家間や市民と国家の間の信用や信頼が揺らぐ中、何の資産にもバックアップされないFiatは各国がLegal Tender(この紙切れを使って税金を納めることができる)って約束しているんでその価値が認められる。米ドル紙幣には一枚一枚丁寧に「This note is legal tender for all debts, public and private」って印字してあるよね。そこが人生ゲーム(古い?)の100,000ドル紙幣とは違うところ。昔、僕たちの世代の人生ゲームだと白い100,000ドル紙幣が溜まるとうれしかった。薄いピンク色(だっけ?もしかして薄い黄色?)の1,000ドルは結婚祝いとかの時は便利だったけどね。
こんなFiat通貨の米ドルを基軸にSWIFT、Euroclear、西の金融機関が支配する現状のMonetaryシステムはGeopoliticsや通商と密接な関係にあるんで切り離して考えることはできないけど、このシステムもここに来て変革間近なのかもね。米国的には独立250周年近辺に何か大きな発表や動きがあるのかな。それが金の再起用(とは言ってもPhysicalな金の量は足りないよね)なのかGENIUS Actに基づくStable Coinの活用なのか分かんないけど2026年のVolatilityは激しそう。NYCのJFK空港にあるCOMEXでは前代未聞のGoldの現物デリバリーがあるって専門の方が言ってた。誰がStand for delieveryかは分からないけど財務省のExchange Stabilization Fund (ESF) だとしてもおかしくないってことらしい。
Volatilityが高くなるとAlpha Returnを求める資産家やヘッジファンドの暗躍・活躍の時代がまたしても到来。そんな時代の財務長官が「あの」Scott Bessentっていうのも全てシナリオ通りなんでしょうか。イロンマスクがダボスで「(テクノロジー的に)人類は今までかつてない時代に生きてる」ってポジティブなトーンだったけど、あらゆる意味でかつてない時代に生きてるのかな。ローマ帝国の崩壊時の世界ってどんなだっただろうね。当時はグローバリズムとかもちろん存在しなかったから例えばヤマト政権はローマ帝国が崩壊しつつあること自体知らなかっただろうけど、今日の変動は瞬時にグローバル動向に影響を与えるんで世界的なインパクトはもちろん比較にならない。これってグローバリズムの弊害のひとつ?かもね。とは言っても鎖国にはもどれないよね。余談だけど、イロンマスクをダボスでホストしてたブラックロックのラリーフィンクが「テクノロジーで不老不死になれるか」って熱心に聞いてて「右腕と左腕が同じように老化する点に注目すれば人間のどこかに老化をトリガーする指令があるだろうからその辺を把握すれば可能性あり」(記憶に基づく相当な意訳です)ってマスクが言ってた。フィンクは「それはうれしい」って無邪気に喜んでて面白かった。フィンクや秦の始皇帝は同じように考えるんだね。いつの時代も変わんないね。マスクは「死にもメリットはある」とか返してた。そんなやり取りは、ふと宮崎監督のスタジオジブリ映画のセリフ数々の重みを再認識させてくれた。日本はDeepだ。
そして税法
税務以外の専門外の話しは前回で終わったんじゃないのって思った?反省してここで本当に終わりにします(次に何か起こるまでは)。凄い時代に生きてるってことなんでつい…。で、税法の世界も昨年後半触れた通りOB3関係やDe-Regulation・規制緩和系でトピックは多い。そんな中まずはDe-Regulation系から攻めることにして、前回、前々回で自社株買い1%懲罰課税のFunding規則撤廃とDC REITの定義緩和措置をカバーした。今日はInbound FとFIRPTAについて。
Notice 2025-45
チョッと前になるけど、財務省は2025年8月19日にNoticeで、米国外法人が米国法人に生まれ変わるDomestication・Redomicile取引をFIRPTA面から援護する規則を公表した。Redomicile実行ストラクチャリングはひとつじゃないけど、Noticeでは米国外の上場企業がF型インバウンド資産移管組織再編(Inbound F)を利用する際のFIRPTA適用緩和を規定している。今後、当Noticeの内容にて規則草案を公表するとのこと。具体的には一定要件を満たすInbound Fを「対象Inbound F」とし、Inbound Fのステップに内包されるUSRPI(米国法人株式を含む米国不動産持分)移管に対するFIRPTA課税適用を緩和している。当規則はNotice公表日の2025年8月19日以降の分配、資産移管、資産交換に適用可能。
分配や非課税取引とFIRPTA
FIRPTA課税のベーシックに関しては2023年の「FIRPTAアップデート」で結構詳しく触れてるんでそちらを見て欲しい。FIRPTA課税はいろんな取引に適用があり得るけど、今回のNoticeが触れているInbound Fに関係が深いのは外国法人による分配資産に米国法人株式等のUSRPIが含まれるケース、また組織再編を含む非課税資産移管に対するFIRPTA課税になる。この辺りの取り扱いは条文だけでなく、暫定規則(Temporary Regulations)や過去のNoticeに基づくんで元々かなり複雑。規則は暫定なんだ…って不思議に思うかもしれないけど、結構な数の財務省規則が暫定Statusのまま生き残っている。
暫定のまま規則が長期にわたり放置される傾向があったんで、1988年11月21日以降に公表された暫定規則は3年後に自動的に法的効果を持たなくなるっている所謂Sunset規定が条文化されてる。Sunset規定ができてから財務省・IRSは通常、暫定規則と同時に同じ内容の規則草案(NPRM)を公表する。暫定規則は存在している間、最終規則と同じ法的効果がある一方、規則草案には法的効果はない。ただ、暫定規則がSunsetしてしまっても一応、法的効果はないけど規則草案はそのまま生きてるんで、その後、草案を最終化することができる。FIRPTA課税の複数の規則(-5T、-6T、-7T、-9T)は長らく暫定のままだけど、強制Subsetで3年間制限が導入される前のものなんで今日でも暫定のまま法的効果を持っている。分配の規則は1988年5月4日に公表されているんで滑り込みセーフでSubset前だ。その後、一部修正やNoticeでのオーバーライドはあるけど、Subset目的ではあくまでオリジナル公表日をみるんで40年近くもSurviveしてる。
外国法人による分配とFIRPTA
清算分配、Redemption(この用語を聞くと嫌でも自社株買いExcise Taxを思いだすね!(苦笑))を含む外国法人による資産分配は含み益を持つ資産でも多くのケースで米国では非課税。含み益を持つ資産の分配は清算分配以外の局面ではみなし資産譲渡として課税が原則だけど、外国法人の話しなんでECIでない限り(ECIじゃないケースがほとんど)課税対象じゃないし、子会社清算だと潜在的にsection 332取引になってsection 337の適用もあり得る。これらの取り扱いはFIRPTA課税で原則オーバーライドされ、分配資産にUSRPIが含まれる場合、USRPIの含み益は米国で課税対象になる。
外国法人の分配に対するこのFIRPTA課税には例外がある。USRPI分配を受け取る者がその後のUSRPI譲渡に米国で課税される、そして分配で受け取るUSRPIに関して受け手が認識する簿価が分配する側の外国法人が認識していた簿価を上回らない場合には分配にはFIRPTA課税は不適用となる。通常分配資産に関して受け手が認識する資産簿価は時価だから、含み益を持つUSRPI分配に関して2つ目の要件は満たさず、通常分配にこの例外規定の適用は難しい。この例外は条文そのものに規定されてるんで「Statutory Exception」っていうけど、条文では財務省に更なる例外規則の策定権を認めていて、財務省は暫定規則で清算分配およびスピンオフに対して例外を規定してる。組織再編に関してはC、D、F型組織再編の一環で外国法人が別の法人に株式対価で資産移管し、受け取り対価の株式がUSRPIの場合、直後に譲渡法人が自分の株主に対価で受け取ったUSRPI(存続法人の株式)を精算分配する際には原則、含み益にFIRPTA課税があるとしている。ただしこの分配も上述のStatutory Exception条件を満たす場合には分配そのものに課税はない。この組織再編の(みなしを含む)清算分配で受け取る資産(適格組織再編の話しなんで多くのケースで存続法人の株式)の簿価は、原則、株主が消滅法人株式に対して認識していた簿価になるんでStatutory Exception適用のチャンスは上がる。組織再編時の分配に対するこのFIRPTA課税はチョッと直観的に分かり難いかもしれないんでベーシックな点を乱暴なほど簡素化して触れておくと、資産移管型の組織再編は資産を移管をする法人が、存続する移管先法人から移管対価として移管先法人株式(プラスあればBoot)を受け取り、直後に受け取った対価(およびあれば手元に残ってる資産)を自分の株主に清算分配(みなし清算分配含む)する。今はその清算分配にかかわる話しをしてる。
1989年に公表されたNotice 89-85では、組織再編の一環で行われる清算分配に対するStatutory Exceptionの代わりに別の例外を規定している。すなわち、清算分配をする外国法人の株主が1980年以降に当外国法人の持分を課税取引で譲渡し、仮にその時点で当外国法人が米国法人でその持分がUSRPIだったとしたらそれらの株主が支払ったであろう税額を外国法人が支払えば、分配そのものにはFIRPTA課税はないとしている。ただし、この例外の適用条件として組織再編で消滅法人の株主が実際に分配(株主の視点からは消滅法人株式と交換)で受け取る存続米国法人株式の将来譲渡時に米国で(FIRPTA課税を含む)課税の対象になること、また分配法人が分配の課税年度に申告・報告義務に準拠することって規定されている。ただしNotice 89-57っていう別のNoticeは申告・報告義務を一定条件下で緩和している。なぜ1980年以降かって言うとFIRPTA課税っていう法律ができたのが1980年だから。この規則に関してUnpackしないといけない検討は多い。
更にややこしいことに1989年のNoticeから20年弱経過したこともあり、2006年には別のNotice(2006-46)が公表され、89-85に規定される例外を修正している。修正では上述のNotice 89-85で加味しないといけない株主による外国法人株式譲渡を1980年以降ではなく組織再編前の10年間に限定している。ただし再編前に存続米国法人(または関連者)が外国法人を支配(価値または議決権50%以上ベース)している場合には支配開始日から遡ること10年から再編日までの期間となる。
非課税取引とFIRPTA
非課税取引(nonrecognition transaction)は主に組織再編または適格現物出資に基づく資産交換でFIRPTAがなければ非課税(簿価のステップアップがないから正確にはDeferralだけど用語として「Tax-Free」って言われます)になる取引のことだけど、USRPIの移管・交換に関して通常通り非課税と認められるのは交換対象となる資産もUSRPIの場合。交換する資産は当然USRPIの想定。でないとFIRPTA課税の対象じゃないから組織再編や適格現物出資を含む通常のルールで課税関係が決まる。
Inbound F
次はいよいよInbound Fだけど、ダボスで脱線してしまってチョッと長くなってきたんで今日はこの辺で。今日・明日は相当冷え込むんで(摂氏だとマイナス15度!)明日またCoffee片手に頑張ります。
Saturday, January 24, 2026
Thursday, January 8, 2026
2026年明けましておめでとうございます!今年はどんな年?
2026年明けましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします。
このポスティング、ゆく年くる年のつもりで書き始めたんだけど、既に新年を迎えたんで「新春」ポスティングになりました。皆さんはどんな「New Year Resolution」を立てたでしょうか。初夢は富士山や鷹や茄子だった?それともBitcoin、AI、世界の平和とかだったかもね。
例年のことだけど2025年も始まったな~と思ったらアッと言う間に過ぎてしまった。とは言えトランプ政権が誕生してから未だ1年未満なんだよね。この1年の米国リセット、またその影響を受けてグローバルのリセットはコペルニクス的転回。それでも地球はまだ太陽の周り回ってるはずだけど。
米国税務(広義には米国の法体系)オタクの僕にとってGeopolitics、マクロ経済、特にMonetary Policy等は専門外だけど(したがって専門家の視点からはおかしいこと言ってることも多いかも)、それでも時代の大きな変遷は感じざるを得ない。Fiat Currencyの過多なプリンティング、Bitcoin派とGold派の戦い、AIや自動運転(これ凄く便利)を含むテクノロジーの進化、税務その他の法制度をとりまく様々な環境の変化は、法制度の理解に不可欠なことが多い。
今回は新春特集なのを良いことにオタクな米国税務テクニカルな話しは次回以降に泣く泣く譲り、2025年を振り返り2026年に備える、みたいなテーマとします。いつもそうだけどあくまで私見で無知さを露呈するかもしれないけど米国で感じる姿をのべつ幕無しに書いておくね
僕たちが現実って思ってることの多くは演出?
米国を語る際のひとつの副題として、肌感覚的に日本の一般市民には米国って言う国がほぼ理解されていない点っていう点がある。戦後80年経過していて堅固な同盟関係を築いている日米間でなぜ?って思うことは多いけど、考えてみると米国に住んでる僕たちでも米国っていう国を理解するのは難しいし知らぬが仏みたいな部分も多いから増してや対岸の火事とまでは行かなくても他国の米国の事情が日本で理解されていないのは当然かもね。
これって従来はニュースソースがレガシーメディアの報道に限られていた点は一因だろうけど、米国レガシーメディアは主に民主党側なので、例えば、オバマやバイデン政権は良く分かんないけど何となく善で、トランプ政権は逆に悪っていう銭形平次とかウルトラマン的な感覚の世論の形成に尽力する傾向がある。
その昔、Jim Carrey(彼のLiar Liarは面白かったね)主演の「トルーマン・ショー」って1998年の映画があって、トルーマンっていう主人公の人生は全て舞台装置上の演出でそれを知らないのは本人だけ、みたいなストーリーで当時話題だったんでLAの映画館で封切と同時に見たけど、その頃は単なるエンターテインメントとして見てた。でも、あのストーリーって結構怖くて、結局のところ僕たちが生きてる世界や現実っていうのはメディアを含むDeep Stateに完全に支配されている演出に過ぎず、大多数の一般市民は本当の現実を知らずに生涯を送っているっていう実態を大げさに描いてるとすると実に深淵。
1998年はGoogleが設立された年で、まだまだアナログの世界だったけど、全てがデジタルに移行し、トルーマンショー当時とは比較にならない監視社会に移行した今日、当時は単なる映画の非現実的なあらすじにしか見えなかった話しが、実は僕もトルーマンか…っていうような再認識をせざるを得ない。知らぬが仏でそれはそれで実害なければいいのかもしれないけどね。最後の一線は政府、企業、個人の道徳観だね。う~ん大丈夫かな。個人にしても企業にしてもメディアで報道されていることは演出の可能性ありっていう点を理解してリスク管理していくしかない。インターネット普及で1998年とは比較にならない量の代替ニュースソースがあるんで異なる視点を吸収できるチャンスは多いけど、どれが正しいってこともないんで難しいよね。
America Firstトランプ2.0の即実行で2025年はパラダイムシフト
180度転換とも言える米国の政策リセットは、大別してオープンボーダーの撤回・国境警備強化、バイデン政権下で1千万人以上と言われる不法移民流入に対する強制送還措置、エネジー・Climate関係、金融・税制・独禁法・その他の広範な分野における規制緩和(De-Regulation)、Re-shoringを目指す通商政策、カルチャー系(いわゆるWokeへのプッシュバック)などなど。これらは全て選挙前からの公約に基づくもので全て速攻で実行された。その意味で有権者への公約は守ったことになる。
このExecutionのスピードは2016年のトランプ1.0の失敗と対照的。すなわち2016年政権発足当時はDCの抵抗を過小評価していたかまたはそもそも部外者なんでDCのパワーストラクチャーを理解していなかったんだろうけど、当時は内部で足を引っ張られ、「匿名情報源」の真偽不明の諸々メディア報道、今では作り事だったって分かっているロシア疑惑、とかで政策どころじゃなかった感じだもんね。このトランプ1.0の教訓を活かし、2.0は相当用意周到だったけど、感覚的に2024年11月の選挙後に準備開始したんでは到底間に合わないレベル。となると、おそらく2020年の選挙結果を見て2024年はちゃんとやれば当選するっていう確信があり、4年間かけて相当な準備をしたとしか考えられないね。取り巻きもSusie Wilesとか実力者かつ忠臣で揃えてるし。Wilesが先日Vanity Fairにインタビュー許したのは意外だったけどね。
2024年の選挙結果予想とかもそうだけど、米国のレガシーメディアはトランプに対しては2016年から一貫して極端にネガティブ。ニュースを伝えるっていうよりもトランプを引きずりおろすっていうのが目的になってしまったんで、これらの表面的なニュースから情報を得ていると本当のトレンドは分かり難い。
メディアや民主党のメッセージはその時その時で流行フレーズ(Buzz Word)、例えば選挙中は「ファシスト」「ヒトラー」, Elon MuskがDOGEに居た頃は「President Musk」、政権発足後の諸々に政策実行時には「Chaos」、とか、を決めて徹底的に連呼して世論に浸透させる。それらだけ聞いてると大変な混乱が生じてるようなイメージを持つかもしれない。トランプっていう人物に予見可能性が低いのは確かだけど、上述の政策そのものは選挙運動中から一貫して提唱しているもので、それらが賢明なものか、または賛成できるかどうかは別として、2025年は尋常じゃないスピードと決意で着々とそれらをExecutionした一年って言える。
国外不干渉は?
ひとつ公約違反(?)があるとすると、米国外の戦争や他国の内政干渉、Nation Buildingしたりしないっていう原則。Nation BuildingのUSAIDは即廃止されたけど(もちろんだからってBlobがなくなったって思うナイーブな人はいないし、これらがゼロになると米国の国力や経済力にマイナス面もあるんだろう)、イランにミサイル打ち込んだり、ウクライナに関してもEUとかNATOが一向に戦争を終わらせる気配を見せないなか、議会のプレッシャーもあってか最後通牒を発することができず、なんだかんだ米国も中途半端な関与を続けてる。数日前はベネズエラのMaduroを米国の罪状に基づき逮捕の上、Brooklynに連れてくるっていう驚愕の出来事もあった。Maduroのような立場にある者は当然、どの国でも要塞のようなところで強力な警備で守られてるはずだけど、そんな他国のリーダーを国外から攻撃して数時間で(米国側の)犠牲者ゼロでNYCに連れて帰ってくるっていう諜報能力やオペレーション遂行能力にはビックリ。米国と馬の合わない他国のリーダーも戦々恐々だろう。ただ、MAGAの重要な信条のひとつ、米国外不干渉の原則からは逸脱してるよね。イランとかベネズエラは単発攻撃なんで湾岸戦争とかベトナム戦争とは比較可能性はないけど、だからってMAGAのサポートは得られるんでしょうか。
Donro主義
ベネズエラに関しては過去の米国石油会社の資産没収や米国への薬物流入、等の特別な背景があるかもしれないけど、そう言えば先日公表された米国の「National Security Strategy」でも従来の外交政策を一変、米国の国家主権を最重要視して、グローバルではなく「西半球」(Western Hemisphere)の反米勢力やそこからの不法移民や犯罪の排除にフォーカスするとしてる。西半球を米国のSphere of Influenceとしてフォーカスする外交はMonro 主義だけど、その復活がうたわれていた。Donald Trumpにもじって早速Donro主義っていう新用語が生まれてる。
そんな原則の下、西半球以外の地域への関与は徐々に控えると同時に、米国が自分の裏庭だと思っている西半球に属するベネズエラが反米勢力に支配されたり、中国やロシアの影響が強くなったり石油がそれらの国に渡るのは許せないっていうことなんだろうか。Maduroは米国に逮捕される直前、中国の代表と会っていたそうだから反米他国とは親密な関係にあったんだろう。National Security Strategyではロシアとは安定的な関係を築くとしたり、中国にもソフトタッチな一方、欧州やNATOには冷淡。EUとは言論統制の問題、また国家主権や選挙に基づかないグローバリストによるSuper Stateの統治形態、等の観点からMAGAの米国とは馬が合わない。
グリーンランドと火星
西半球って言えばグリーンランドが含まれててこれも意味深。ベネズエラの例から見るに、その気になれば数時間で占拠可能なのかもしれないけど、現時点では対価を支払って取得するとかって未だ言ってるけどね。グリーンランドに関しては米国の国家安全保障や資源の観点からの重要性が指摘されるけど、米国の自律神経的に新たなフロンティアを求める血が騒いでるっていう側面はないのかな。
以前のポスティングでも書いた記憶があるけど、今の米国って、個人のLibertyを重要視するリベタリアン派には独立時や憲法起草当時の精神・理想から掛け離れた国になってしまったって感じてる者が少なくないだろう。MAGAってグローバリストに取り残された一般市民を代表する面もあるけど、Tech Rightとかのリベタリアン的な側面もあるよね。Tech Rightやリベタリアンの人は未開の地で一から米国が目指した真の個人の自由を再度追及したい、みたいなドリームがあるんじゃないかな、って感じる。Techの重鎮やCypherpunkの人って結構な人がイデオロギー的に真逆の大きな政府・官僚主導のCaliforniaにも住んでる気がするんでチョッと不思議だけど、根はリベタリアンな人が多いように感じる。火星に文明を築きたいっていうドリームも、もう地球はトルーマンショーで自由はないから新天地を目指したいみたいな理想を追求してるのかもね。でもTechが原因でますますトルーマンショーになっているんでなんか矛盾があるけど。グリーンランドはその一歩?
Bitcoin
Cypherpunkと言えばBitcoin。取引の多くが現金ではなくカード等の電子決済に移行した中、インターネット普及初期から取引を中央銀行や銀行に頼らずに純粋にPrivateに行う仕組みを現実化したいっていう者が現れてた。シルクロードみたいなアングラマーケットを目指したっていうよりも単純にお金の動きを把握されたりする点を嫌うPrivacy面、トランプ政権が問題視している過去のDe-bankとかでも明らかなように急に自分のお金が使えなくなったりするリスクを恐れたりする制度そのものに対する不信感、に基づく動きだと理解してるけど、E-Goldとかの流れからBitcoinはそれを達成しようとするもの。
でも今のところBitcoinは商業の媒体・通貨っていう機能よりも、どこまで価値が維持できるのか不安なFiat CurrencyやDebasement対策で長期的な富の温存的な存在になってるけど、価値が安定したら通貨としての機能も持つようになるかもね。後述の米ドルの問題と直結してる。米国法制面で2025年に可決・署名済みのGENIUS Actや今議会で議論されているCrypto Market Structure法案、などトランプ政権下ではCryptoに関してより活発な議論が行われているんでこちらも2026年は注目に値する。
基軸通貨USドルとペニー(セント)硬貨廃止
ニクソンショックで金本位性を一方的に撤回してドルがFiat Currencyになって際限なくドルをプリントすることができるようになったけど、それ以前、1913年にFederal Reserveが通貨を国単位で管理するようになってからのドルの価値は実に96%下がっている。逆に言えばインフレが3,000%っていうこと。1913年は連邦憲法改正で連邦政府がIncome Taxを徴収することが初めて認められた年。この辺りから建国時の理想は崩れていくね。大国のサガだ。
戦争その他のクライシス毎に出費を重ね結果、到底返済不能な$38Tの国家負債。過剰なドル供給でにっちもさっちもいかなくる姿はローマ時代の銀貨(denarius)に含まれる銀の量がどんどん低下していったのと同じ。帝国初期には98%ってほぼ純銀硬貨だったものが、90%、80%、50%、20%、ついに300年AD頃には2%からゼロ%って銀貨とは名ばかりになってしまった。銀貨の価値が低減する訳だから、当然銀貨で表示される物品の価格は上がる。6,000%を超えるインフレになりリーダーの信用な地に落ちた。はは、6,000%のローマ帝国の話しは大昔で今は違うって思うかもしれないけど、米国は1913年から100年掛けて3,000%。どっちがマシだろうか。
ちなみに米国のPennyは製造コストが1セントより高いっていうことで製造停止になったけど、これもPenny自体の価値(すなわちPennyの購買力)が大きく低下してしまったっていうことでDenariusの運命、そしてローマ帝国の運命を連想させる象徴的な2025年の出来事。
返済できないって分かってる負債に対処するため歴史的に必ず起こるのがDebasement。すなわち意図的に自国通貨の価値を下げて返済を容易にするっていう作戦。これはイコール、高いインフレなんで賃金上昇が表面インフレ率を上回らない限り一般市民には受け入れ難い。利下げその他の動きでこのテンションをどうするかのかじ取りは難しそう。ドルがBebaseって言ってもドルの為替レートは悪くなってないじゃんって思うかもしれないけど、それは他のFiat Currencyとの比較での話し。どの通貨、EUも円もFiat Currencyで同じような状況にあるんで相対的な話しなんだと思う。
米国が巨額の債務でも大丈夫だったのはドルが基軸通貨だっていう理由が大きい。所謂Exorbitant Privilegeだ。Overnightでドル以外の通貨が基軸通貨になるとは思えないけど、Debasementとは別の観点で基軸通貨を持つ国としてどうなのかな、って思えたのはロシアに対する制裁でバイデン政権がEUと一緒に$300Bのロシア中央銀行が持つドル資産を凍結してしまった事件。主にEuroclearにある資産の話しだけど、その後、EUでは凍結だけではなく実質没収(国際法上許されないってことで結局腰が引けた?)みたいな話しも出てたって理解してる。これは相当な冷却効果で、過去にも凍結は限定的にあったけど、核保有軍事大国ロシアの資産も凍結されたり没収の話しに至るっていうことは、特に反米のレッテルを張られやすい国の中央銀行として米国債やドル資産はリスキーって当然考えてドル離脱が加速するだろう。BRICsでは一部金でバックアップされたバスケット通貨構想もある。国家ですら凍結対象となるとCypherpunkが恐れる個人の資産凍結などはいとも簡単。Bitcoinがレスキューできるでしょうか。
なぜリセット?
米国や世界のリセットだけど、トランプが出てきて急にリセットしてるっていうよりも、ここ何年も掛けて蓄積されてきた支配階級のグローバリストと米国一般市民間の「Disconnect」が作因というかAgentで、その反発がトランプやMAGAとして具現化されてるってことだろう。そんなタイミングで媒体としてトランプって言う変人が存在したのは時の悪戯。トランプの好き嫌いは両極端なんで意見が割れるところだけど、100件近い刑事訴訟、その他民事訴訟、徹底したメディア中傷、その他の困難を克服して再選っていう精神力は普通ではない。
米国外の一般市民と生活を共にしてないんで肌感覚はゼロだけど、もし同様のDisconnectや不満、失望を感じている一般市民が米国外でも多いとすると、戦後80年のグローバル秩序は大きな曲がり角差し掛かってるだろう。支配階級のグローバリストは各国の一般市民の意思で成り立つ国家主権ベースではなく、権威主義的にトップダウンで世界レベルで事を進めようとするから、自国の選挙で地道に議員を選んだりしても結局何も変わんないねっていう無力感の蓄積も激しい。
僕たちは戦後のグローバル秩序しか体験したことないし、それがあたも未来永劫続くような錯覚に陥ってるかもしれないけど、歴史を見ると必ず訪れる大きなリセット。たまたまそんな時代に生きてるってことなんだろうね。
タックスの世界でもOECDのグローバルタックスなんかはその例で、自国の選挙や主権国家レベルの統治とは直接関係なく、各国市民に説明責任のない欧州の専門家が税法を書き、その規則から逸脱すると村八分にすることで各国に適用を半強制するもので、各国市民の意思が反映されているように見えない。15%のミニマム税を課すっていう政策が世界の発展にプラスかどうかって視点は置いておいて、その意思決定プロセスに対する議論が(米国外では)思ったよりも少ない点は意外だった。なんかトルーマンショーみたい。
この従来の民主主義とは異なる新しい姿のコンセンサス民主主義、すなわち支配階級にあるグローバリストが超国家的なポリシーを一般市民からは手の届かないところで合意し、各国にトップダウンでその実行を求めるタイプの民主主義(それが民主主義って言えればだけど…)で、Brexitやトランプ1.0以降に加速した感じがする。ただ「Rule-based」の秩序っていうのは、Ruleを策定する側に説明責任がないとRuleされる側の納得感が低下するっていう致命的な欠点があるけどね。
トップダウンの新しい民主主義の許容レベルは各国の国民性や国家統治のあり方、国際舞台での発言力等の違いにより凹凸があるだろう。議会制度(Congress制度、Parliament制ではないという意味)で、国民性的にもなんだかんだ言って個人のLibertyを重要視するリベタリアンが比較的多い米国では衝突必至のCollision Course。グローバルタックスでも結局衝突。G7が12月末までに合意することに合意していた(?)Side-by-sideはどうしちゃったんでしょうかって思ってたらギリギリセーフでルールが公表されたね。これを受けて米国財務長官のScott Bessentは「the historic victory in preserving US sovereignty」って反応してた。この反応からもグローバリタックスの問題はテクニカルなタックス面に加えて一般市民・有権者への説明責任を伴う主権国家ベースのRule作り、と新民主主義との確執だったことが計り知れる。まあ、Side-by-sideルール公開があんまり遅くなると議会では例の(苦笑)section 899の復活も噂されてたもんね。
グローバルタックスは法人税の世界なんで戦争や個人のLibertyの観点から比較的Benignな世界かもしれないけど、根本的なテンションは同じ。グローバリストがやり過ぎると一般市民から信頼が低下し、コロナ禍のDraconianな対処で多くの米国市民が専門家、メディア、官僚機構に失望してすっかり信頼をなくしたように、国際合意や国際機関への信用も低下してしまって結局これらの制度のいい面も台無しになり兼ねない。
2026年 (and beyond)
2025年のリセット・トレンドは反転不可で2026年も加速し、人類の歴史的に100年単位で訪れる大きなリセットの流れに身を置くことになるんだろうね。この大きな流れは良くも悪くも逆らうことはできず、国、企業、個人単位でリスク管理して対処するしかないね。関税や通商問題を考える際にも、リセット渦中でのひとつの現象として広範なトレンドっている文脈で対処していく必要がある。
この世は無常で盛者必衰。138億年っていう長~い歴史の中で僕たちが知ってる文明はたかが2~3千年、今のグローバル秩序に至ってはたった80年っていうスパンの話しなんで、一瞬の出来事に過ぎず当然未来永劫続くものじゃない。
テクノロジーやAIとかで「自分たちはローマやオランダ時代の人とは違う」っていう錯覚に陥るかもしれないけど、人間の根本的な行動パターンはたかが2000年とかでは変わらない。テクノロジーの進化で変わることがあるとすると変化のスピードが加速することだろうけど、根本的なストラクチャーは前述のローマ帝国のDebasementを見ても結局あんまり変わんないんじゃないだろうか。
リセット時には新たな勝者や敗者が現れるけど、日本としてはかじ取りを間違わずに自国の伝統、美学、そして世界でもまれに見る質の高い民度・文化を大切に温存していって欲しい。Some kind of happiness is measured out in milesだけど、HappinessのMeasureは他にもあるんで資源やお金は限りがあるっていう前提で国としてどんなHappinessを目指すのかな。
ということで慣れない話しだったけど次回からはまたタックス三昧しましょう。
このポスティング、ゆく年くる年のつもりで書き始めたんだけど、既に新年を迎えたんで「新春」ポスティングになりました。皆さんはどんな「New Year Resolution」を立てたでしょうか。初夢は富士山や鷹や茄子だった?それともBitcoin、AI、世界の平和とかだったかもね。
例年のことだけど2025年も始まったな~と思ったらアッと言う間に過ぎてしまった。とは言えトランプ政権が誕生してから未だ1年未満なんだよね。この1年の米国リセット、またその影響を受けてグローバルのリセットはコペルニクス的転回。それでも地球はまだ太陽の周り回ってるはずだけど。
米国税務(広義には米国の法体系)オタクの僕にとってGeopolitics、マクロ経済、特にMonetary Policy等は専門外だけど(したがって専門家の視点からはおかしいこと言ってることも多いかも)、それでも時代の大きな変遷は感じざるを得ない。Fiat Currencyの過多なプリンティング、Bitcoin派とGold派の戦い、AIや自動運転(これ凄く便利)を含むテクノロジーの進化、税務その他の法制度をとりまく様々な環境の変化は、法制度の理解に不可欠なことが多い。
今回は新春特集なのを良いことにオタクな米国税務テクニカルな話しは次回以降に泣く泣く譲り、2025年を振り返り2026年に備える、みたいなテーマとします。いつもそうだけどあくまで私見で無知さを露呈するかもしれないけど米国で感じる姿をのべつ幕無しに書いておくね
僕たちが現実って思ってることの多くは演出?
米国を語る際のひとつの副題として、肌感覚的に日本の一般市民には米国って言う国がほぼ理解されていない点っていう点がある。戦後80年経過していて堅固な同盟関係を築いている日米間でなぜ?って思うことは多いけど、考えてみると米国に住んでる僕たちでも米国っていう国を理解するのは難しいし知らぬが仏みたいな部分も多いから増してや対岸の火事とまでは行かなくても他国の米国の事情が日本で理解されていないのは当然かもね。
これって従来はニュースソースがレガシーメディアの報道に限られていた点は一因だろうけど、米国レガシーメディアは主に民主党側なので、例えば、オバマやバイデン政権は良く分かんないけど何となく善で、トランプ政権は逆に悪っていう銭形平次とかウルトラマン的な感覚の世論の形成に尽力する傾向がある。
その昔、Jim Carrey(彼のLiar Liarは面白かったね)主演の「トルーマン・ショー」って1998年の映画があって、トルーマンっていう主人公の人生は全て舞台装置上の演出でそれを知らないのは本人だけ、みたいなストーリーで当時話題だったんでLAの映画館で封切と同時に見たけど、その頃は単なるエンターテインメントとして見てた。でも、あのストーリーって結構怖くて、結局のところ僕たちが生きてる世界や現実っていうのはメディアを含むDeep Stateに完全に支配されている演出に過ぎず、大多数の一般市民は本当の現実を知らずに生涯を送っているっていう実態を大げさに描いてるとすると実に深淵。
1998年はGoogleが設立された年で、まだまだアナログの世界だったけど、全てがデジタルに移行し、トルーマンショー当時とは比較にならない監視社会に移行した今日、当時は単なる映画の非現実的なあらすじにしか見えなかった話しが、実は僕もトルーマンか…っていうような再認識をせざるを得ない。知らぬが仏でそれはそれで実害なければいいのかもしれないけどね。最後の一線は政府、企業、個人の道徳観だね。う~ん大丈夫かな。個人にしても企業にしてもメディアで報道されていることは演出の可能性ありっていう点を理解してリスク管理していくしかない。インターネット普及で1998年とは比較にならない量の代替ニュースソースがあるんで異なる視点を吸収できるチャンスは多いけど、どれが正しいってこともないんで難しいよね。
America Firstトランプ2.0の即実行で2025年はパラダイムシフト
180度転換とも言える米国の政策リセットは、大別してオープンボーダーの撤回・国境警備強化、バイデン政権下で1千万人以上と言われる不法移民流入に対する強制送還措置、エネジー・Climate関係、金融・税制・独禁法・その他の広範な分野における規制緩和(De-Regulation)、Re-shoringを目指す通商政策、カルチャー系(いわゆるWokeへのプッシュバック)などなど。これらは全て選挙前からの公約に基づくもので全て速攻で実行された。その意味で有権者への公約は守ったことになる。
このExecutionのスピードは2016年のトランプ1.0の失敗と対照的。すなわち2016年政権発足当時はDCの抵抗を過小評価していたかまたはそもそも部外者なんでDCのパワーストラクチャーを理解していなかったんだろうけど、当時は内部で足を引っ張られ、「匿名情報源」の真偽不明の諸々メディア報道、今では作り事だったって分かっているロシア疑惑、とかで政策どころじゃなかった感じだもんね。このトランプ1.0の教訓を活かし、2.0は相当用意周到だったけど、感覚的に2024年11月の選挙後に準備開始したんでは到底間に合わないレベル。となると、おそらく2020年の選挙結果を見て2024年はちゃんとやれば当選するっていう確信があり、4年間かけて相当な準備をしたとしか考えられないね。取り巻きもSusie Wilesとか実力者かつ忠臣で揃えてるし。Wilesが先日Vanity Fairにインタビュー許したのは意外だったけどね。
2024年の選挙結果予想とかもそうだけど、米国のレガシーメディアはトランプに対しては2016年から一貫して極端にネガティブ。ニュースを伝えるっていうよりもトランプを引きずりおろすっていうのが目的になってしまったんで、これらの表面的なニュースから情報を得ていると本当のトレンドは分かり難い。
メディアや民主党のメッセージはその時その時で流行フレーズ(Buzz Word)、例えば選挙中は「ファシスト」「ヒトラー」, Elon MuskがDOGEに居た頃は「President Musk」、政権発足後の諸々に政策実行時には「Chaos」、とか、を決めて徹底的に連呼して世論に浸透させる。それらだけ聞いてると大変な混乱が生じてるようなイメージを持つかもしれない。トランプっていう人物に予見可能性が低いのは確かだけど、上述の政策そのものは選挙運動中から一貫して提唱しているもので、それらが賢明なものか、または賛成できるかどうかは別として、2025年は尋常じゃないスピードと決意で着々とそれらをExecutionした一年って言える。
国外不干渉は?
ひとつ公約違反(?)があるとすると、米国外の戦争や他国の内政干渉、Nation Buildingしたりしないっていう原則。Nation BuildingのUSAIDは即廃止されたけど(もちろんだからってBlobがなくなったって思うナイーブな人はいないし、これらがゼロになると米国の国力や経済力にマイナス面もあるんだろう)、イランにミサイル打ち込んだり、ウクライナに関してもEUとかNATOが一向に戦争を終わらせる気配を見せないなか、議会のプレッシャーもあってか最後通牒を発することができず、なんだかんだ米国も中途半端な関与を続けてる。数日前はベネズエラのMaduroを米国の罪状に基づき逮捕の上、Brooklynに連れてくるっていう驚愕の出来事もあった。Maduroのような立場にある者は当然、どの国でも要塞のようなところで強力な警備で守られてるはずだけど、そんな他国のリーダーを国外から攻撃して数時間で(米国側の)犠牲者ゼロでNYCに連れて帰ってくるっていう諜報能力やオペレーション遂行能力にはビックリ。米国と馬の合わない他国のリーダーも戦々恐々だろう。ただ、MAGAの重要な信条のひとつ、米国外不干渉の原則からは逸脱してるよね。イランとかベネズエラは単発攻撃なんで湾岸戦争とかベトナム戦争とは比較可能性はないけど、だからってMAGAのサポートは得られるんでしょうか。
Donro主義
ベネズエラに関しては過去の米国石油会社の資産没収や米国への薬物流入、等の特別な背景があるかもしれないけど、そう言えば先日公表された米国の「National Security Strategy」でも従来の外交政策を一変、米国の国家主権を最重要視して、グローバルではなく「西半球」(Western Hemisphere)の反米勢力やそこからの不法移民や犯罪の排除にフォーカスするとしてる。西半球を米国のSphere of Influenceとしてフォーカスする外交はMonro 主義だけど、その復活がうたわれていた。Donald Trumpにもじって早速Donro主義っていう新用語が生まれてる。
そんな原則の下、西半球以外の地域への関与は徐々に控えると同時に、米国が自分の裏庭だと思っている西半球に属するベネズエラが反米勢力に支配されたり、中国やロシアの影響が強くなったり石油がそれらの国に渡るのは許せないっていうことなんだろうか。Maduroは米国に逮捕される直前、中国の代表と会っていたそうだから反米他国とは親密な関係にあったんだろう。National Security Strategyではロシアとは安定的な関係を築くとしたり、中国にもソフトタッチな一方、欧州やNATOには冷淡。EUとは言論統制の問題、また国家主権や選挙に基づかないグローバリストによるSuper Stateの統治形態、等の観点からMAGAの米国とは馬が合わない。
グリーンランドと火星
西半球って言えばグリーンランドが含まれててこれも意味深。ベネズエラの例から見るに、その気になれば数時間で占拠可能なのかもしれないけど、現時点では対価を支払って取得するとかって未だ言ってるけどね。グリーンランドに関しては米国の国家安全保障や資源の観点からの重要性が指摘されるけど、米国の自律神経的に新たなフロンティアを求める血が騒いでるっていう側面はないのかな。
以前のポスティングでも書いた記憶があるけど、今の米国って、個人のLibertyを重要視するリベタリアン派には独立時や憲法起草当時の精神・理想から掛け離れた国になってしまったって感じてる者が少なくないだろう。MAGAってグローバリストに取り残された一般市民を代表する面もあるけど、Tech Rightとかのリベタリアン的な側面もあるよね。Tech Rightやリベタリアンの人は未開の地で一から米国が目指した真の個人の自由を再度追及したい、みたいなドリームがあるんじゃないかな、って感じる。Techの重鎮やCypherpunkの人って結構な人がイデオロギー的に真逆の大きな政府・官僚主導のCaliforniaにも住んでる気がするんでチョッと不思議だけど、根はリベタリアンな人が多いように感じる。火星に文明を築きたいっていうドリームも、もう地球はトルーマンショーで自由はないから新天地を目指したいみたいな理想を追求してるのかもね。でもTechが原因でますますトルーマンショーになっているんでなんか矛盾があるけど。グリーンランドはその一歩?
Bitcoin
Cypherpunkと言えばBitcoin。取引の多くが現金ではなくカード等の電子決済に移行した中、インターネット普及初期から取引を中央銀行や銀行に頼らずに純粋にPrivateに行う仕組みを現実化したいっていう者が現れてた。シルクロードみたいなアングラマーケットを目指したっていうよりも単純にお金の動きを把握されたりする点を嫌うPrivacy面、トランプ政権が問題視している過去のDe-bankとかでも明らかなように急に自分のお金が使えなくなったりするリスクを恐れたりする制度そのものに対する不信感、に基づく動きだと理解してるけど、E-Goldとかの流れからBitcoinはそれを達成しようとするもの。
でも今のところBitcoinは商業の媒体・通貨っていう機能よりも、どこまで価値が維持できるのか不安なFiat CurrencyやDebasement対策で長期的な富の温存的な存在になってるけど、価値が安定したら通貨としての機能も持つようになるかもね。後述の米ドルの問題と直結してる。米国法制面で2025年に可決・署名済みのGENIUS Actや今議会で議論されているCrypto Market Structure法案、などトランプ政権下ではCryptoに関してより活発な議論が行われているんでこちらも2026年は注目に値する。
基軸通貨USドルとペニー(セント)硬貨廃止
ニクソンショックで金本位性を一方的に撤回してドルがFiat Currencyになって際限なくドルをプリントすることができるようになったけど、それ以前、1913年にFederal Reserveが通貨を国単位で管理するようになってからのドルの価値は実に96%下がっている。逆に言えばインフレが3,000%っていうこと。1913年は連邦憲法改正で連邦政府がIncome Taxを徴収することが初めて認められた年。この辺りから建国時の理想は崩れていくね。大国のサガだ。
戦争その他のクライシス毎に出費を重ね結果、到底返済不能な$38Tの国家負債。過剰なドル供給でにっちもさっちもいかなくる姿はローマ時代の銀貨(denarius)に含まれる銀の量がどんどん低下していったのと同じ。帝国初期には98%ってほぼ純銀硬貨だったものが、90%、80%、50%、20%、ついに300年AD頃には2%からゼロ%って銀貨とは名ばかりになってしまった。銀貨の価値が低減する訳だから、当然銀貨で表示される物品の価格は上がる。6,000%を超えるインフレになりリーダーの信用な地に落ちた。はは、6,000%のローマ帝国の話しは大昔で今は違うって思うかもしれないけど、米国は1913年から100年掛けて3,000%。どっちがマシだろうか。
ちなみに米国のPennyは製造コストが1セントより高いっていうことで製造停止になったけど、これもPenny自体の価値(すなわちPennyの購買力)が大きく低下してしまったっていうことでDenariusの運命、そしてローマ帝国の運命を連想させる象徴的な2025年の出来事。
返済できないって分かってる負債に対処するため歴史的に必ず起こるのがDebasement。すなわち意図的に自国通貨の価値を下げて返済を容易にするっていう作戦。これはイコール、高いインフレなんで賃金上昇が表面インフレ率を上回らない限り一般市民には受け入れ難い。利下げその他の動きでこのテンションをどうするかのかじ取りは難しそう。ドルがBebaseって言ってもドルの為替レートは悪くなってないじゃんって思うかもしれないけど、それは他のFiat Currencyとの比較での話し。どの通貨、EUも円もFiat Currencyで同じような状況にあるんで相対的な話しなんだと思う。
米国が巨額の債務でも大丈夫だったのはドルが基軸通貨だっていう理由が大きい。所謂Exorbitant Privilegeだ。Overnightでドル以外の通貨が基軸通貨になるとは思えないけど、Debasementとは別の観点で基軸通貨を持つ国としてどうなのかな、って思えたのはロシアに対する制裁でバイデン政権がEUと一緒に$300Bのロシア中央銀行が持つドル資産を凍結してしまった事件。主にEuroclearにある資産の話しだけど、その後、EUでは凍結だけではなく実質没収(国際法上許されないってことで結局腰が引けた?)みたいな話しも出てたって理解してる。これは相当な冷却効果で、過去にも凍結は限定的にあったけど、核保有軍事大国ロシアの資産も凍結されたり没収の話しに至るっていうことは、特に反米のレッテルを張られやすい国の中央銀行として米国債やドル資産はリスキーって当然考えてドル離脱が加速するだろう。BRICsでは一部金でバックアップされたバスケット通貨構想もある。国家ですら凍結対象となるとCypherpunkが恐れる個人の資産凍結などはいとも簡単。Bitcoinがレスキューできるでしょうか。
なぜリセット?
米国や世界のリセットだけど、トランプが出てきて急にリセットしてるっていうよりも、ここ何年も掛けて蓄積されてきた支配階級のグローバリストと米国一般市民間の「Disconnect」が作因というかAgentで、その反発がトランプやMAGAとして具現化されてるってことだろう。そんなタイミングで媒体としてトランプって言う変人が存在したのは時の悪戯。トランプの好き嫌いは両極端なんで意見が割れるところだけど、100件近い刑事訴訟、その他民事訴訟、徹底したメディア中傷、その他の困難を克服して再選っていう精神力は普通ではない。
米国外の一般市民と生活を共にしてないんで肌感覚はゼロだけど、もし同様のDisconnectや不満、失望を感じている一般市民が米国外でも多いとすると、戦後80年のグローバル秩序は大きな曲がり角差し掛かってるだろう。支配階級のグローバリストは各国の一般市民の意思で成り立つ国家主権ベースではなく、権威主義的にトップダウンで世界レベルで事を進めようとするから、自国の選挙で地道に議員を選んだりしても結局何も変わんないねっていう無力感の蓄積も激しい。
僕たちは戦後のグローバル秩序しか体験したことないし、それがあたも未来永劫続くような錯覚に陥ってるかもしれないけど、歴史を見ると必ず訪れる大きなリセット。たまたまそんな時代に生きてるってことなんだろうね。
タックスの世界でもOECDのグローバルタックスなんかはその例で、自国の選挙や主権国家レベルの統治とは直接関係なく、各国市民に説明責任のない欧州の専門家が税法を書き、その規則から逸脱すると村八分にすることで各国に適用を半強制するもので、各国市民の意思が反映されているように見えない。15%のミニマム税を課すっていう政策が世界の発展にプラスかどうかって視点は置いておいて、その意思決定プロセスに対する議論が(米国外では)思ったよりも少ない点は意外だった。なんかトルーマンショーみたい。
この従来の民主主義とは異なる新しい姿のコンセンサス民主主義、すなわち支配階級にあるグローバリストが超国家的なポリシーを一般市民からは手の届かないところで合意し、各国にトップダウンでその実行を求めるタイプの民主主義(それが民主主義って言えればだけど…)で、Brexitやトランプ1.0以降に加速した感じがする。ただ「Rule-based」の秩序っていうのは、Ruleを策定する側に説明責任がないとRuleされる側の納得感が低下するっていう致命的な欠点があるけどね。
トップダウンの新しい民主主義の許容レベルは各国の国民性や国家統治のあり方、国際舞台での発言力等の違いにより凹凸があるだろう。議会制度(Congress制度、Parliament制ではないという意味)で、国民性的にもなんだかんだ言って個人のLibertyを重要視するリベタリアンが比較的多い米国では衝突必至のCollision Course。グローバルタックスでも結局衝突。G7が12月末までに合意することに合意していた(?)Side-by-sideはどうしちゃったんでしょうかって思ってたらギリギリセーフでルールが公表されたね。これを受けて米国財務長官のScott Bessentは「the historic victory in preserving US sovereignty」って反応してた。この反応からもグローバリタックスの問題はテクニカルなタックス面に加えて一般市民・有権者への説明責任を伴う主権国家ベースのRule作り、と新民主主義との確執だったことが計り知れる。まあ、Side-by-sideルール公開があんまり遅くなると議会では例の(苦笑)section 899の復活も噂されてたもんね。
グローバルタックスは法人税の世界なんで戦争や個人のLibertyの観点から比較的Benignな世界かもしれないけど、根本的なテンションは同じ。グローバリストがやり過ぎると一般市民から信頼が低下し、コロナ禍のDraconianな対処で多くの米国市民が専門家、メディア、官僚機構に失望してすっかり信頼をなくしたように、国際合意や国際機関への信用も低下してしまって結局これらの制度のいい面も台無しになり兼ねない。
2026年 (and beyond)
2025年のリセット・トレンドは反転不可で2026年も加速し、人類の歴史的に100年単位で訪れる大きなリセットの流れに身を置くことになるんだろうね。この大きな流れは良くも悪くも逆らうことはできず、国、企業、個人単位でリスク管理して対処するしかないね。関税や通商問題を考える際にも、リセット渦中でのひとつの現象として広範なトレンドっている文脈で対処していく必要がある。
この世は無常で盛者必衰。138億年っていう長~い歴史の中で僕たちが知ってる文明はたかが2~3千年、今のグローバル秩序に至ってはたった80年っていうスパンの話しなんで、一瞬の出来事に過ぎず当然未来永劫続くものじゃない。
テクノロジーやAIとかで「自分たちはローマやオランダ時代の人とは違う」っていう錯覚に陥るかもしれないけど、人間の根本的な行動パターンはたかが2000年とかでは変わらない。テクノロジーの進化で変わることがあるとすると変化のスピードが加速することだろうけど、根本的なストラクチャーは前述のローマ帝国のDebasementを見ても結局あんまり変わんないんじゃないだろうか。
リセット時には新たな勝者や敗者が現れるけど、日本としてはかじ取りを間違わずに自国の伝統、美学、そして世界でもまれに見る質の高い民度・文化を大切に温存していって欲しい。Some kind of happiness is measured out in milesだけど、HappinessのMeasureは他にもあるんで資源やお金は限りがあるっていう前提で国としてどんなHappinessを目指すのかな。
ということで慣れない話しだったけど次回からはまたタックス三昧しましょう。
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