Saturday, January 28, 2023

新春IRSガイダンス特集「CAMT適用対象法人Safe Harbor (2)」

モーツァルトお誕生日おめでとう!って感じで今日(1月27日)の朝はLed ZeppelinのBlack Dogの代わりにフィガロで目覚めたんだけど、もし生きてたら267歳。思ったよりも最近だな~、なんて思えるのは自分が年取ったせいかもね。モーツァルトの誕生日ってことは昨日はEddie Van Halenの誕生日だけど、Eddieは生きてたら68歳だね。Clapton、つい先日RIPのBeck、Hendrixと並ぶ歴史に残るロックギターの巨匠だ。Black Dog弾いてるZeppelinのPageも恰好いい。特にBlack Dogが収録されてる4枚目のアルバムまでは圧巻。

Black Dogのリフって、ブルーノートスケールの練習に最適な音階で構成されてて、その昔子供の頃、Black Dog弾くときは自宅で練習してるっていうのにわざわざストラトから(グレコの安過ぎてネックがDetachedスタイルの…)サンバーストのレスポールに替えて思い切りストラップ長くして、レスポールが膝に位置するくらいの低さで恰好つけたものだ。レスポールの位置が低すぎて左手の人差し指が6弦に届かないくらい(笑)。Black Dogって変拍子でリズム取りが難しいよね。途中でリフの拍子が変わってく一方、Bonhamのドラムは元のまま押し通して最後に合う、って。実はZeppelin本人たちも結構音合わせに苦労したらしくて、Bonhamの提案でドラムはリフ部分の変則を無視して続けるっていう解決策に至ったそうだ。MSGのライブ映像見ると、ライブパフォーマンスの時はボーカルのアカペラ部分のリズムを数える、っていうよりはアカペラが終わるタイミングでドラムに合わせて一気にリフに行くようなアプローチに見えた。リフが始まる一瞬前にハイハットの音が入ってるような気もしたし。Black DogってMSGライブ映画で一部映像は見れるけど、2枚組のサントラには入ってないんだよね。逆にCelebration Dayはサントラには入ってるけどライブ映画ではカットされてるしね。70年代と違って今ではYouTubeがあるからMSGのBlack Dogライブはフルにみることができる。あの頃のZeppelinは格好いいね。今でもMSG行くとホールに歴代MSGでプレーした大御所の写真が飾ってあるけどPlantとPageの写真もしっかり存在して結構Real。ただPlantのVocalは73年のMSGライブと72年のUKの映像を比べると73年には相当声が出なくなってる感じ。映画化する際は相当MixerがEnhanceしたんだろうけどね。

ちなみに変拍子って言えばThe Beatlesの曲には多いよね。彼らの曲は高度で本当にコピー難しい。特にJohn Lennon作の曲は激しい。しかも聴いてて気づかない位自然なんだけどコピーしようと思うと何これ~、みたいなのが多い。4拍子の曲に急に3拍子が途中に入っていつの間にか4拍子に戻っててみたいなパターンは日常茶飯事。途中一回だけ5拍子っていうのもある。All You Need is Loveとかは変拍子で有名だけど、Across the Universeとか曲を聞きなれてるから当たり前に聞いてるけど、コピーする際にリズムを頭で理解するのは不可能に近い。John Lennon一人で演奏してるんだったらランダムに拍子が変わってもいいのかもしれないけど、Good Morning Good MorningにしてもStrawberry Fields Foreverにしてもバンド全員で演奏が合ってるっていうのは当然全員理解してやってるんだろうから凄い。

Black Dogのリフが変拍子な間、Bonhamのドラムは普通に叩いて進んでくっていうアイディアと同じアプローチ、実はThe Beatlesもやってて、Happiness is a Warm GunでLennonとRingoが同じように別々に突き進んで最後に合うって箇所がある。Happiness is a Warm Gun自体そもそも3つの別の曲が合わさった曲だけど、各々のパターンでリズムが違うし、バンド全体でコピーしてThe Beatlesみたいにきれいに合わせるのは至難の業だ。Happiness is a Warm Gunは名作White Albumの一枚目のA面最後(A面B面って言っても今の子には分からないよね~。Spotifyに面とかないもんね)で、レコーディングは1968年9月のAbbey Road。1968年9月ってLet it Beセッションの直前。道理で新たに公開されたLet it Beの映像、Get Backの中でMcCartneyがMartha My Dearをピアノで弾いてたりする訳だよね。Marthaのレコーディングが1968年10月だから、Twickenham Film StudiosでLet it Beセッションのため集合したのが1969年のお正月なんで、わずか3か月後なんだね。そう考えると直近のWhite Albumと直後のAbbey Roadに挟まれたLet it Beセッションはさらに迫力満点。一方、Led ZeppelinのBlack Dogは1971年にBasing Studioでのレコーディング。

Basing StudioってHyde Parkの北のNotting Hillにあって、皆さんもHeathrow空港からロンドン市街にPaddington Express使って乗り入れることあったら、Paddington駅からまあまあ徒歩圏内(って言っても30分くらい)だから、お天気良ければUKに来た~、っていうモーメンタムを維持するために立ち寄るといいだろう。時差もあるし入国直後に荷物持ってそんなとこ行くわけないじゃん、って?それはそうかもね。でもロンドンっぽい石造りの建物を前に、ここでPageがBlack Dogのリフを…、って思いにふけるひと時は何事にも代えがたい至福の時間(大げさ)。Abbey Road同様にロンドンっぽい住宅地の中にあって嫌でもハイテンションになる。Abbey Roadや、昔のポスティングで触れたBeatlesのMartha My DearがレコーディングされたTrident、Let it Beセッションの前半(Appleビルの地下に移るまでのセッション)が収録されたTwickenham Film Studios、後半のSeville RowのAppleビルとかを前に瞑想にふける時間と同じだ。Heathrow空港からいきなりBasingに行く体力や気力のある人は、ご褒美にBasingの帰り道、その辺のPubによってシェパードパイ(なければコッテージパイ、ContemporaryなPubだとSteakパイとかしかない?)とか食べてツアーリスト丸出しでロンドン体験をMaximizeすること。NYCにもBritishやIrishのパブはたくさんあるけど、やっぱり気のせいか本場は一味違う。店員がみな本当のBritish Accentだしね(当たり前…)。Porchesterとか寄ってPuddings(UKではデザートの意味)としてお決まりのApple Crumble、もちろんカスタードかけて、一口一口よ~く味わったりできたら、もうそのままPaddington Express経由で帰ってもいいくらい充実してる。実際には少なくとも一泊してその晩にRoast食べないといけないんだけど。

で、またどうでもいい話しで脱線してるけど、前回は年末ぎりぎりに公表されたCAMTガイダンスの一部、Safe Harborに関して書き始めたものの、Safe Harborを理解するためには、ということで触れ始めた一般テストの話しに終始してしまった。今日もその続き。

それにしても米国もこの期に及んでCAMTとか言ってる場合だろうか。ここまでマーケットの環境が急激に悪化すると、「大手企業は庶民の敵、懲らしめるぞ」ってポリティシャンたちが言っても、ある意味自らの失政もあってインフレ等の環境悪化で$1Bの財務諸表利益を計上できる企業の数は思ったより少なくなり、懲らしめる相手がいなくなっちゃうんでは。Berkshire Hathawayが巨額のCAMTを支払うね、っていう前評判も単純に財務諸表利益に投資対象の優良企業(日本の大手商社も入ってるよね!)の株式投資含み益が多額にあるから(あったから?)で、2022年とかはMark-to-Marketしても2020年や21年みたいな巨額の利益は出ないんじゃないだろうか。

大手企業のOrganic成長はインフレ、利上げ、サプライチェーンその他チャレンジングな状況で、Earnings不況の兆候大。かと言ってM&Aの環境も最悪。S&Pは乱高下を繰り返しながら制御不能な飛行機みたいにだんだん落ちたし、インフレもチョッとマシになりつつあるとは言え、対比している見てる昨年の段階で既に高インフレだったんで肌感覚ではとても元に戻ってない。インフレ対策の利上げ政策でDebt Financeのコストが上がり新規M&Aだけでなく、既存のDebtのRefinanceで窮地に追いやられる企業も多そう。エネルギー政策もいまいちでガソリンもまだ高い。そんな中、バイデン政権のSECは歴史上見られないほど多くの新らたなルールを乱発気味で、上場企業も、Private Vehicleのファンドスポンサー(Securities ActやExchange Act、また1940年投資法の対象免除になる場合もInvestment Advisory法には抵触するんでSECの管轄下)も本業が複数の困難に直面している最中に、省庁による規制コンプライアンスに大忙し。公正取引委員会にあたるFTCも、訴訟を通じて大型Dealへの介入が激しい。またロシアや中国・台湾問題などのGeopoliticalな不安定要素と、最悪の条件が重なってPerfect Storm状態の中でのCAMT導入になる。

お正月特集で2022年のM&Aを単純に振り返った際、2021年が特別だっただけで2019年以前の通常レベルとの比較においては、それ程大きく落ちこんでないのでは、すなわち2020年夏から2021年に掛けての一時が異常にシュガーハイな状態にあっただけで、落ち着いて歴史的にみると2022年がむしろ普通では、って話しをした。だけど、よくデータを見てみると驚愕の現実に気づく。つまり、2022年が2019年以前のレベルというのは上半期がまだシュガーハイだったお陰で年間のDealボリュームその他のデータポイントを押し上げてるだけの話し。2022年下半期だけ見ると2008年の金融危機、2011年前後の公的債務危機、時期と同レベルに推移してるのが分かる。2022年は上半期と下半期で「A Tale of Two Cities」じゃないけど全く別の世界にいるような状況だった訳だ。

振り返ってみると、2019年12月に武漢が都市閉鎖された際、「そんな措置は自由社会の米国では考えられない…」って言われていたにもかかわらず、2020年3月にカリフォルニア州の極左知事ニューサムが米国初のロックダウン宣言し、その後多くの州が追随したこともあり、経済活動は一瞬、前代未聞の不確実性に見舞われた。当然2020年は、特殊な案件を除きM&Aどころではないだろう、って一瞬予想されたんだけど、1~2か月の間にZoomやTeamsによるDeal環境が急遽整備され、なんと夏から今度は前代未聞のM&Aブームに。結局振り返ってみると2020年夏から2022年の夏までの8四半期は空前のM&Aが記録された不思議な「8 Quarter Run」となった。

どうりで会計事務所、投資銀行、法律事務所、みな休日返上で忙しかったわけだ。Online環境でRoad ShowやDeal交渉ができることが分かり、SigningからClosingまでの期間は場合によっては半分に短縮。この短縮もより多くのDealを成立させる一助になったに違いない。S&Pも絶好調で、Debtも低コストで調達したい放題。ファンドもDebt Finance部分のConditionをWaiveしてFull Equity Backstopとかしてたけどそれは間違いなくDebt Financeができるっていう確信があったからできたことだ。StrategicもS&Pが高値更新続ける中、CEO Confidenceは最高でM&Aは高値でどんどんCloseされてた。De-SPACも多かったし。最高のDeal環境にあった訳だ。ところが一転、2022年夏から前述の多くの不確実性が露呈され、また行政府による厳しい規制強化も手伝い、IPOはストップ、M&Aも大幅減となってしまっている。2023年は下半期から復活し、2022年とは逆方向の「A Tale of Two Cities」が期待されるけど、どうなるのでしょうか。夏以降の正常化に期待したいけど、実際には誰にも分からない。いわゆる専門家やテクノクラート系の方たちが2020年春に展開していた予測や発言を振り返ってみるとハズレばかり。前代未聞のパンデミックだったんで予想が外れたこと自体は何の不思議もないし、当然に近いけど、先のことは誰にも全く分からない、ってことは一般市民は良く覚えておいた方がいい。例えばダボスとかで集まっていろいろそれらしい感じのこと言われると「そういうものなんだな…」って思わせるオーラはあるけど、結局のところ裏道の占い師の的中率とあんまり変わんない、すなわち、先のことは誰にもわからない、ってことだね。Missing PersonsのDestination Unknownの世界だ。

で、CAMTの続きだけど、前回は米国MNCとインバウンド企業に共通して適用される一般テストの考え方、特にCFCを含む外国法人の数字がどう取り込まれるかにフォーカスした。また、双方に同じルールが適用されるんだけど、米国MNCは$1B超、インバウンド企業は$100M以上っていう基準値だけは異なる、っていう点から米国MNCの$1Bテストとインバウンド企業の$100Mテストを一般テストと考えると分かりやすい点にも触れた。ちなみに$1Bは「超」で、$100Mは「以上」だから法律は不思議だ。

インバウンド企業特別テスト

インバウンド企業は一般テストの$100M以上に抵触すると同時に、インバウンド企業だけに用意されている$1Bインバウンド企業特別テストにも抵触して初めてCAMT適用対象法人となる。このテストに使用するAFSIは一般テストと異なる。まず、Section 52に基づく合算ではなく、インバウンド企業特別テスト目的ではインバウンド企業が含まれるグループ、すなわち「Foreign-Parented Multinational Group」に属する全法人のAFSIが自社のAFSIと取り扱われる。例えば日本企業の米国子会社がCAMT対象になるかどうかの判断時のインバウンド企業特別テスト適用時には、米国子会社が属するForeign-Parented Multinational Group全社のAFSIを自社のAFSIとして使用することになる。

Foreign-Parented Multinational Group合算目的で使用されるグループ法人のAFSIは一般テスト同様、パートナーシップ持分を所有する場合のSection 704ベースのDistributive Shareの合算は停止され、また確定給付退職金も財務諸表に反映される損益をそのまま使用する。で、ここからが面白いっていうか肝心なんだけど、インバウンド企業特別テスト目的ではCFCの持分を取り込むっていう規定を不適用とした上、米国外法人のAFSIはECIに準じる金額のみ含むっていう規定も適用しないとしてる。このCFC合算とECI概念の双方を無視し、かつForeign-Parented Multinational Group全体のAFSIを取り込むってことは、すなわち日本親会社や米国外兄弟子会社のAFSIも米国で申告課税があってもなくても、すなわちECI見合いでもそうでなくても、AFSI同様の利益や損失となり、全て自分のAFSIかのように合算して$1Bテストをするってこと。

Foreign-Parented Multinational Groupって何?

Section 52ではなくインバウンド企業特別テスト目的ではForeign-Parented Multinational Groupに属する法人のAFSIを全て合算するには、当たり前だけどForeign-Parented Multinational Groupの構成メンバーを正確に特定しないといけない。新設された税法の定義によると、Foreign-Parented Multinational Groupとは2社以上の主体で構成されるグループで、少なくとも1社が米国法人で他社が外国法人で、双方が同じ連結財務諸表に含まれてて、究極親会社が外国法人なケースとされる。う~ん極自然な定義だ。さらにもし親会社が存在しないケースは、財務省がルールを策定してどんなケースで外国法人親会社を持つグループと認定するか決めるとしている。この定義だけだと、日本法人が米国支店を通じてのみ米国事業に従事している場合にはForeign-Parented Multinational Groupに当たらないことになるけど、そこはしっかりと手当されていて、米国内法基準で外国法人が米国事業(A trade or business within the United States (「USTOB」)に従事している場合は、USTOBは外国法人に100%所有される米国法人扱いされるとしている。

ここまでがCAMT適用対象となるかどうかのテスト2つの詳細だけど、毎年これやるの~、って感じの面倒なものだ。そこで登場するのが「Safe Harbor」。モーツァルトの誕生日だったんでBlack Dogの話とかになり(モーツァルトと全然無関係?)紙面を取ってしまったので次回は満を持してSafe Harbor。