Friday, December 27, 2019

863条(生産・販売棚卸資産の所得源泉地)財務省規則案 (2)

前回のポスティングでは、クリスマスイブ前日にサンタさんではなく財務省から届いたプレゼント、Section 863の規則案に触れた。というか、規則案を読む前に、どうやって読み物にフォーカスするための環境をセットアップするか、っていうどうでもいい話しから延々と脱線してしまった。

でも、結局何とか読むことはできて、所得の源泉地を規定するSection 863にかかわる規則案ってことで、どちらかというと低めのExpectationから始まったんだけど、とんでもない話しで、インバウンドの米国税務にかかわる自分のような者にとっては、洞察力に富んだExcitingな読み物となった。まるで、初年度特別償却を規定するSection 168(k)の規則を渋々読み始めて、特定のフルーツやナッツも適格資産なんだ~、ってチョッと眠くなり掛かった頃、実は(h)(10)、336(e)、Busted 351や355(Larry Carltonの話しし過ぎて最初335って書いてしまいました)だけど(e)のアンチ・モーリストラストで法人レベルでは課税される取引との関係とか、パススルーの743とか、M&Aノリの規定がさく裂してる部分があって急に覚醒した時とか、中学の頃、ガールフレンド、というか女の子の友達がロミオとジュリエットの映画(もちろん凄い昔のオリビアハッセーのやつ)の再上映を2本立ての1本でやってるから行きたいという話しとなり(もう一本は何だったんだろう、まさかよく見たEasy Riderじゃないよね。組み合わせ変だもんね)、確か飯田橋だか神楽坂とかあの辺のいわゆる名画座に出かけ、最初はロミオとジュリエットなんて全然期待してなかったんだけど、後半スクリーンの前に釘付けになってた時、みたいな感じだ。

で、チョッと脱線ついでだけど、ようやくセットアップも完了し、East Riverの向こうのQueens方面が赤いどころか、完全に朝になりそうな頃、Larry CarltonのShuffleプレーで、ナンとRobben Fordとの共演ライブが出てきた。自分で作るPlaylistと違って次に何が出てくるか分からないPlaylistは未知との遭遇でワクワク。Robben Fordね~。懐かしい。IRSの大きなセンターがあるFresnoや、地上最大の巨木の多くが生えているセコイア国立公園の近くWoodlake出身で、L.A. ExpressやYellojacketsで有名な、Jazz Fusionと言われているけど、Larry CarltonとかNorman Brownとかと比べると、むしろBlues、それもかなりストラクチャーされたフレーズで構成される、カチッとしたBluesギタリストって言った方が近いセンス抜群のギタリスト。

中学生高学年から高校に掛けて、渋谷とか原宿ではなく、チョッとオフな裏道っぽい隠れ家を知っているのがCoolみたいに信じてる時期があり、皆でムキになってメジャーじゃない場所を探索したりしてたけど、高田馬場とか、今思うともしかしたらかなり神楽坂方面に到達してたのかな、ジャズ喫茶(今では死語?まだあるのかな)と言われる、大概、地下の不健康そうなロケーションにあり、会話はとてもできない音量で最新のFusionとかの「レコード」を掛けてる店が複数あった。そんなお店のひとつでL.A. Expressを聴いた記憶がフラッシュバック。Back Pageとか、隠れ家だけどもう少し明るくてメジャーで格好いいカフェバーに移り気する前のフェーズ、日本の経済もまだまだこれから高度成長っていう予感を感じさせてくれてた、平和かつハイテンションな時代だ。

大音量で音楽をかけるカフェと言えば、もう少し後年だったかもしれないけど、地元、自由が丘にチャーリーブラウンって店があって、やっぱりそこも地下なんだけど、JBLのStudio Monitor、アレなんだったんだろう、4367かな、がド~ンと置いてあり、そこでどちらかというとRock系のレコードを凄い音量で聴かせてくれるお店があって、そこには一人でチョッと気分を変えて勉強したりする際とかに行ったりしてた。

JBLのモニター(要はスピーカー)と言えば、大学に進学して間もない頃、親しくしてもらっていた先輩がいて、ラディックのツインバスやジルジャンンのシンバル一杯持っててCozy Powellみたいなドラムをたたく凄い先輩だったんだけど、その先輩がナント、千歳船橋の自宅の自分の部屋にJBLの4367を置いててビックリしたのを思い出した。街中の住宅地でどれだけ大きな音で音楽聴いてるんだろう、っていう驚きもそうだったけど、JBLの4367なんて当時でも100万円とかしたと思うので、そんなお金良くあるね、っていうのもビックリだった。本人曰く、月賦で買ってて、真面目に生活してれば全然怖くないよ~、みたいな説明だった。その説明自体、良く分からなかったけど、良く遊びに行った勢いで英語で言うところのSleepoverとなり、夜中にRushとかを大音量で聴かせてもらえたので、まあいいか、って納得してた。今ではOnlineで、Google HomeとかAlexaとかで音楽聴くけど、やっぱり昔の「Turntable」で針からJBLのStudio Monitorとかを通じて聴く音の方がベターと思っちゃたりするのは昔の人、って証拠なんだろうね。

で、そのJBLの先輩はいろいろと面白い人で、別の先輩が、当時、ホンダベルノから登場したばかりの「Specialty Car」初代プレリュード、リトラクタブル・ヘッドライトになる前の初期のやつで歴代で一番Coolなやつ、を持ってたんだけど、JBLの先輩が「この車は実は走り屋にいいんだよね」とか言って、人の車だというのに自らドライブして、夜中に甲州街道から山手通りや青山通り経由で外苑の方までカウンターステアとか当てまくって、当時で言うところの深夜レストランのひとつだったO&Oとかにスペアリブとか食べに行ったりしてたんだけど、実はその先輩、免許持ってないことが後年発覚してビックリ。無免でカウンターステア当てて人の車使って公道走ってたんだね、っていうか僕もそんな車に乗せてもらってたんだね。凄い人だった。

で、凄いと言えば、財務省からの素敵なクリスマスプレゼントとなったSection 863の規則案。基本的には、2017年の税制改正、TCJAで法文そのものが改定され、納税者自らが「生産」する棚卸資産から生じる販売益の所得源泉地が、改定前は「生産場所と販売場所に基づいて配賦・按分」して決定、すなわち部分的に生産場所源泉、他の部分は販売場所源泉、だったものが、生産場所のみを基に決定という規定に変更になったことを受けて、財務省規則の更新というのが今回の規則案の建付けとなる。

でも、実際にはそんなことよりも、Section 863の規則変更を利用したプラニングに早々に網を掛けたかった、というのが真の狙いだろう。この点は後述。

まず、Section 863が源泉地を決定する所得だけど、「米国内で生産され米国外で販売」、または逆に「米国外で生産され米国内で販売」される棚卸資産から生じる販売益となる。米国内や米国外で生産も販売も双方完結している取引に基づく所得は、当然、全額米国源泉だったり、米国外源泉だったりするからSection 863の規定の対象にはならない。

上述の通り、TCJAでSection 863が改定される前は、Section 863対象の棚卸資産の販売益の所得源泉地は生産場所と販売場所に基づいて配賦・按分と規定されていた。その際、法文そのものには具体的にどのように配賦・按分するべきか、という算定法は規定されていなかったけど、旧来の財務省規則で原則は50%・50%、納税者の選択で「会計帳簿および記録類」等に基づく個別配賦も可能というアプローチで、基本的には50%・50%で按分するのが通常だった。それがTCJAで生産場所のみを見るように変わったというものだ。

例えば、米国企業がベトナムで自ら生産し、米国で販売している棚卸資産があったとすると、そこから生じる所得は、従来、50%米国外源泉所得(生産部分)、残りの50%は米国源泉所得(販売部分)だったものが、改定後のSection 863では全額外国源泉所得となる。逆に米国で生産し、外国で販売している棚卸資産に関しては、従来は半々だったのが、改定後のSection 863では全額米国源泉所得となる。

生産活動が全て米国外、または米国内の場合にはこのルールだけど、生産活動そのものが米国内外の双方にわたる場合もある。で、そんな時は改定後の863条でも所得を按分する作業が必要となる。当然、従来から同様の事実関係は想定されていて、その際は、生産設備の税務簿価に基づいて按分することってなっていた。今回、規則案では、税務簿価に基づく按分法は継続して適用するとしている。ただし、TCJAで初年度特別償却が中古の生産設備の多くに適用されることとなり、特別償却やMACRSは主に米国外で使用される資産には適用がないことから、通常の償却法を基に税務簿価を算定すると、自ずと国内生産設備の税務簿価がより圧縮される結果となる。となると、所得の多くが経済的には不合理なレベルで外国源泉に按分される懸念が生じる。そんな背景で、按分の基として使用する税務簿価は、定額法に基づく特殊なAlternative Depreciation System(「ADS」)ベースに変更となった。GILTIもFDII目的でもADSベースの償却が必要だから、納税者としては最近ではADSはすっかりお馴染みだね。

ここまでは、フ~ン、そうなんだね、って感じの規定だけど、この後に続く、非居住者が米国外で生産した棚卸資産を米国内で販売する際の取り扱いこそが今回の規則案の神髄だろう。この話しは、ECI課税の詳細を理解しながら考えないといけない、実は超Deep Purpleなもので、ブログのポスティング位では到底解説し尽くせるものではないんだけど、基本的な背景に触れ、それがなぜSection 863の新規定の影響を受けたりするのか整理してみたい。今回もJBLとかで脱線してしまったのでここからは次回。