Sunday, October 24, 2010

グーグルとタックスヘイブン(1)

先日のビジネスウィークの記事でグーグルの巨額の利益がタックスヘイブン認識されることで大きな節税になっているという報道があった。かなり興味深い記事だったので読まれた方も多いのではないかと思う。

*日本企業のタックス・カルチャー

このような記事を見るたびに、日本の多国籍企業と他国(米国だけではない)の企業が持つタックス・カルチャーの違いの大きさを再認識させられる。タックスは合法的に支払うものであることは間違いないが、加速度を増すグローバル競争の中、日本の多国籍企業が合理的なグローバル・タックス・プラニングを講じていないが故に競争力を低下させていることは間違いない。

日本企業同士で競争していた時代には特に問題は浮き彫りになっていなかった。みんなタックス・プラニングなどしてなかったので同じ土俵で戦っているように見えてたからだ。欧米企業とは別の道を行っていても特に大きな被害はないように感じられていただろう。

しかし資本が一瞬にしてグローバルに動く今日では状況が大きく異なる。日本企業が好むと好まざるに係らず、全世界のオペレーションの生み出す「After-Tax」の金額は世界の投資家から見るとその企業の競争力のひとつの大きな指標となる。

上場企業にとってタックス・プラニングの欠如は買収リスクをも意味するかもしれない。株価が「After-Tax」の収益に連動していると仮定して、「うちが買収してまともなタックスプラニングをすればもっと収益が上がる会社だな・・・」と踏んだファンドとか他国の会社があると、プレミアムを乗せて株式を買収しても元が取れることになる。この辺りのことは日本全体で今一度、若干冷めた目で見直す時が来ているはずだ。

日本は2009年から「外国子会社の配当非課税」という素晴らしいシステムに移行している。全世界課税という日本より本来よっぽど不利な条件で競争させられている米国多国籍企業の実効税率がこれだけ低いのだから、日本企業としてももう少し頑張って欲しい。

*グーグルの裏技

ビジネスウィークに報道されているグーグルによる節税の手法はアイルランド、オランダ、バミューダとプラニングにはお馴染みのメンバー国が活躍している。ちなみにかなり重要なポイントなので敢えて付け加えておくと、ここでグーグルがやっていることは米国多国籍企業にとっては特に珍しいことではない。言わば、米国多国籍企業としては「普通」レベルのプラニングをしているに過ぎない。マイクロソフトも同じようなことをしていることは周知の事実だし、フェイスブックも同じようなステラクチャーを準備中と言われている。

具体的な手法については次回のポスティングで続ける。