Tuesday, January 1, 2019

米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)「Unplugged」(6) – BEAT財務省規則案(5)

2019年、明けましておめでとうございます!昨日、大晦日は例年より気温が高めっぽいから、43rd Streetとかで12時間待つみんなもチョッと楽かも、とうかつなことを書いてしまったけど、結局午後早めからかなり雨が降り始めてTimes Squareでカウントダウン待ってるみんなは大変だったんじゃないかな。あれだけの人が殺到しているので傘は禁止。ということはポンチョのみが頼り。それでもストリーミングで見る限り、たくさんの人が参加してた。せっかくだから一度はライブでって思うこともなくはないけど、ティーンだったり20歳代の頃なら話しのネタに頑張って参加したかもしれないけど、今となってはコストパフォーマンス的に割が合わない気がする。

ちなみにエンパイアステートビルのライトは今でもクリスマス色って昨日の昼時点で書いたけど、大晦日の夜、年越しのタイミングが近づいてくると7色のRainbowになり、普段でもたまに白い光が下から上に流れるようにライトアップされる時間帯があるけど、それと同じように7色の光が滝が逆流するみたい下から上に流れていて凄い綺麗。ミッドタウンはどこに行ってもエンパイアステートビルとクライスラービルが上から守っててくれるみたいで心強い。Freedom Tower(いまでは名前変わったけど)とかParkと56のコーナーにDrakeホテルを壊して建築された超高層アパートの432 Park Avenue Condominiumsとか、他国にももっと高い摩天楼がいくら建ったとしても、エンパイアステートビルとクライスラービルのエレガンスは唯一無二。

で、新年早々BEATに戻るけど、BEATの対象となる納税者かどうかの判断に関してあれこれとポスティングしている途中で年が変わってしまった。売上基準はだいたいカバーしたんじゃないかと思うので、今日はBase Erosion%に関して少し。お正月特番としては地味だけど、売上基準を優に超える法人にとって、Base Erosion%は最後の砦。これを3%未満とすることができるかは重要な分かれ道。米国企業も含めて周り様子を見ていると、取りあえず2017年課税年度ベースで何%くらいになるか試算し、2018年が経過するにつれて、2018年に予想されるマテリアルな差異を取り込んでFine Tuneして、%を予測、場合によっては調整、というのが一般的な対応のようだ。

税制改正でM&A時のタックスDD項目が大幅に増えたり、今までとは異なる視点が鍵となってくることがあるけど、買収後のBase Erosion%もそんな検討のひとつ。ターゲットとグループ間取引が存在しないケースでは、分母となる控除は増えるので、Base Erosion%的にはグッドニュース。しかも、「米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)「Unplugged」(6) – BEAT財務省規則案(2)」で触れた通り、Aggregateグループの合算計算は、法人の期末時点でグループ構成を判断するので、期の途中で買収したターゲットの金額もまるまる取り込んでグループ合算Base Erosion%を判断することができるはず。ただ、逆に売上基準も同様に期末時点でAggregateグループに属する法人の売上は、期末直前に買収したような法人でも強制的に過去3年の平均に加味されるので、こちらは売上が大きくなって不利。

Base Erosion%が3%未満かどうかが勝負、ってさっき書いたけど、これはあくまで一般法人の話しで、金融機関を含む連結納税グループには特別に厳しく、3%の代わりに2%が適用される。いつ2%で対象になるかっていう点は異なるグループコンセプトが混在しているので結構分かり難い。法文では「銀行または証券ディーラーが含まれる連結納税グループのメンバー」は2%となっている。ちなみにBEATミニマム税を算定する際に使う税率も年度によって5%、10%、12.5%となるけど、銀行や証券ディーラーを含む連結納税グループのメンバーには6%、11%、13.5%とやはり1%厳しくなっている。法文は、銀行や証券ディーラーが連結納税グループの一メンバーの際に適用があるような文言となっていて単体の話しには触れられていない。また、厳密に言うとここで言う連結納税グループは、連結納税の選択が可能なグループのことを意味し、実際には余りないケースだけど、連結納税可能なグループであれば連結納税を選択していなくても同様の取り扱いとなる。連結納税可能なグループは米国法人親会社を起点に80%以上の議決権および価値に基づく資本関係で結ばれる米国法人グループだ。なので、必ずしも自分が銀行とか証券ディーラーでなくても2%のBase Erosion%が適用されることがある。ちなみに、ここで言う証券ディーラーは1934年証券取引所法(Securities Exchange Act of 1934)の第15条(a)に基づき登録される証券ディーラーを意味する。

さらに財務省規則案では、連結納税グループに属する銀行や証券ディーラーをメンバーに持つAggregateグループにも2%を適用するとしている。Aggregateグループは、連結納税グループより広範なので、この規則は法文だけでは読み取れない追加の厳しい規定となる。

また、財務省規則案にはAggregateグループの売上合算額に占める銀行または証券ディーラーの売上が2%未満の場合には、当該Aggregateグループには銀行または証券ディーラーは含まれないかのように取り扱うという少額免除制度が規定されている。Aggregateグループと連結納税グループは異なるグループ定義なので、ここの部分は解釈が難しいけど、財務省規則案はその直後に、銀行や証券ディーラーを含む連結納税グループにAggregateグループが存在しない場合には(連結納税グループ以外にAggregateグループのメンバーがいない場合と理解するのがいいだろう)、連結納税グループの売上に占める銀行または証券ディーラーの売上が2%未満の場合には、同様の少額免除を適用し、当該連結納税グループには銀行または証券ディーラーは含まれないかのように取り扱うとしている。このことから、Aggregateグループに占める銀行または証券ディーラーの売上が2%未満の場合には、当該Aggregateグループ内に存在する銀行または証券ディーラーを含む連結納税グループの銀行または証券ディーラーの売上が2%以上でも、Aggregateグループベースの少額免除をもって、連結納税グループも3%のBase Erosion%に基づく判断をしてよろしい、ということなんだろう。なんか結構思ったよりも難しいね。

という訳で新年早々のBase Erosion%でした。